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東芝が上場廃止をすると、日本経済には一体どんな影響があるのか 変わるものと変わらないもの
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51004
2017.02.21 田中 博文 現代ビジネス
東芝が抜き差しならない状況になっている。第三四半期の正式な業績開示が延期となったことが、その証左だ。
理由としては、グループ会社であるウェスチングハウス社(以下、WEC)によるCB&Iストーン&ウェブスター社(以下、CB&I)の買収に伴う取得価格配分手続の過程において、内部通報によりWEC経営者による不適切なプレッシャーの存在を懸念する指摘があり、会計への影響の有無、複数の関係者のインタビューの確認を始めとする調査、および監査法人のレビュー手続には1ヵ月程度の期間を要するとのことである。
また、監査レビュー前ではあるが、2016年4〜12月期が4999億円の連結最終赤字(米国会計基準)になったと発表し、米国中心に原子力事業で7125億円の損失が発生し、昨年末時点で株主から預かった自己資本が1912億円のマイナスになる債務超過に陥ったと説明している。
今期3月末についても、半導体事業の株式売却時期を2017年度以降に先送りする方針を固めたことで、現状では債務超過を想定している。
今回は、改めて東芝の上場廃止について考えてみたい。
■判断は6月の定時株主総会後か
現状、東芝がこの3月末に債務超過に陥る可能性が高いことを受けて、「東証2部に指定替え」との報道が出ているが、個人的には特設注意銘柄に対する上場廃止が筋だろうと考えている。
特設注意市場銘柄とは、
「有価証券報告書等の「虚偽記載」や不適正意見、上場契約違反等の上場廃止基準に抵触するおそれがあったものの、金融商品取引所の審査の結果、影響が重大とはいえないとして上場廃止に至らなかった銘柄のうち、内部管理体制等の改善が必要であり、継続的に投資家に注意喚起するべく、取引所が指定する銘柄」
とされており、これはオリンパス事件の時に新たにできた制度である。
現在東芝は2015年9月15日に東証より「特設注意市場銘柄」に指定され、更には2016年12月19日に指定継続となっている。
また、当該指定から1年6ヵ月を経過した日(2017年3月15日)以降に東芝から提出される内部管理体制確認書の内容を確認し、内部管理体制等について、再度改善がなされなかったと認められた場合は、同社株式は上場廃止となる。
記者会見で頭を下げる綱川智社長 Photo by GettyImages
この判断が出るのはいつか。
一部では7月までにはという話も出ているようだが、現状まだわからない。
また、3月末の債務超過を想定して、東芝が市場第一部から市場第二部に指定替えになるとの報道も出ているが、もし市場第二部に指定替えになるとすれば、そのタイミングは今年のシャープと同様、今年度の決算が確定する6月の株主総会後、有価証券報告書が提出されたタイミングであろう。
となれば、特設注意銘柄の指定解除か上場廃止の判断も同時期である可能性が高い。
整理すると、
東証が東芝の内部管理体制が構築出来ていると判断した場合、特設注意銘柄指定解除および市場第一部から市場第二部への指定替え
内部管理体制が未構築と判断した場合、上場廃止
である。
本件、個人的にはどう考えても上場廃止であると考えている。
以下は、東証本則市場(市場第一部、市場第二部)の上場審査の審査基準である。
いかがだろうか。
継続性・収益性については、この第三四半期で債務超過となり、注記として継続疑義(ゴーイングコンサーン)が記載される可能性が高い。内部管理体制は、WEC買収時、またその子会社であるCB&I買収時のリスク要因の踏み込みが足らず、この多大な減損を計上してしまい、更には一部の経営者からの不適切なプレッシャーがかけられ、しかもそれが明らかになったのは、内部告発によるものだった。
開示については二度の決算開示を延期している状況である。
私は証券会社で上場準備の発行体に上場していただくために、内部管理体制構築のお手伝いをさせていただいたが、上記の内容であれば、上場審査合格は到底無理な話である。
当然だが、上場審査基準とは上場準備の発行体が目指すだけのものではなく、上場している発行体そのものも、そのレベルを維持していることが前提である。
■この1ヵ月で内部管理体制の構築は困難
内部管理体制が適切に機能しているか否かにについては、今般のCB&Iの買収は当初のれんが100億程度と考えていたのが、突如として全体で7000億円を超える減損損失が出るなど、その買収案件のデューデリジェンスを含めたリスクファクターの認識の甘さ自体が、十分内部管理体制の不備とも言えるために、これ一発で十分上場廃止になると言える。
更には一部報道では、昨年12月、急きょ米国に調査に向かった志賀重範会長(15日で辞任)がWECのダニー・ロデリック会長と共に、WEC幹部に対し、東芝にとって「有利な会計になるように圧力をかけた」とされる。
経営者であれば、監査で認められる範囲内で、「有利な会計」になること自体は問題ないが、それを目的として「圧力」をかけたとなると、それは問題であろう。
そして、仮にWECで内部統制上の問題が持ち上がったことで、その実態が把握できたとしても3月15日までに「内部管理体制が整った」と言える状態になるのかどうか。
通常は内部管理体制が適切に運営されているか否かを判断するためには、その管理体制の運用期間が必要である。
東芝は上場審査基準を維持できていない Photo by GettyImages
東証は東芝から提出される内部管理体制確認書をもとに、その運用を確認するが、本来、特設注意銘柄の指定解除のための内部管理体制の運用期間は1年であり、東証はその運用の結果を審査した上で、特設注意銘柄の指定解除を行う。
しかし東証は、昨年12月19日に、
「同社では、同社株式を特設注意市場銘柄に指定した後においても会計処理等に関する問題が確認されるなど、コンプライアンスの徹底や関係会社の管理等において更なる取り組みを必要とする状況が存在しており、これらの改善に向けた取り組みの進捗等についてなお確認する必要がある」
と内部管理体制の構築が不十分として、特設注意銘柄の指定延長を行ったばかりであり、その渦中での今回の開示延期である。
普通に判断すれば、この状況下、今まで1年以上かけて出来なかったものが、これから1ヵ月月程度で適切な内部管理体制が構築できるとは考えにくい。
■東芝だからこそ上場廃止にするべき
改めて、オリンパスの時に東証が判断した項目を参考にして、以下の7項目を過去事例にも当てはめてみたものを再掲しておく。
1.決算修正すると上場基準に抵触するか
2.赤字を黒字にみせかけていたか
3.虚偽の有価証券報告書を使って金融市場より資金調達を行っていたか
4.本業の収益を偽っていたか
5.不正は組織ぐるみだったか
6.刑事罰となったか
7.課徴金となったか
大きく分けると「形式基準」と「それ以外」の2つに分けられ、「形式基準」には西武鉄道とカネボウが分類される。
1から5までは内部管理体制が構築されていれば防げる論点であり、6と7はその結果としてのペナルティである。
今回その規模、上場廃止の俎上に上がる深刻度を勘案すれば、東芝はカネボウのケースに近い。
東芝は巨大>な企業であるため、上場廃止になると影響が大きいとか、株主に多大な迷惑が掛かるという意見もあるかもしれないが、私は東芝だからこそ、上場廃止にすべきだと考えている。日本を代表する会社だからこそ、この混乱の社会的責任を全うすべきではないのか。
■上場廃止になっても株式は相対で売買可能
上場廃止となっても、基本的には、株式関連以外に大きく変わるところはほとんどない。銀行は上場していようがしていまいが、基本的にその融資スタンスは変わらない。適切に自分たちの融資が返済されるか否かだけが重要である。
上場廃止が決定すると、上場廃止日までおおむね株価は下落し、上場廃止後は証券取引所で自由に売買することは出来なくなるが、株主が相対で取引することは可能だ。
お互いが値段で折り合えば、担当の信託銀行に名義の書き換えを申請することになる。実際に西部鉄道が上場廃止になった時も、引き続き株を保有していた株主が多数おり、再上場時には1万4000人近くの株主がいたのである。
今回半導体の分社化については、株式の全部売却含めて来期以降になるとのことだが、その場合、懸念されるのは、分社化後に東芝に残された債権者・株主から詐害行為取消請求を出される可能性も否定できない。
東芝は上場廃止とし、法的整理も含めて、改めて慎重な対応が必要であると考えている。そういった意味では、東証の英断を望むばかりである。
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