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(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
タクシー初乗り410円は「実質値上げ」だった!長距離ほど損、狙いはUber潰し?
http://biz-journal.jp/2017/02/post_18076.html
2017.02.20 文=後藤豊/フリーライター Business Journal
東京都内で「410円タクシー」が始まり、3週間がたった。これは、1月30日から東京23区、三鷹市、武蔵野市を営業地域とするタクシーの初乗り運賃が「2km730円」から「1.052km410円」に引き下げられたものだ。
“ちょい乗り”を促進して乗客を増やそうという施策だが、実際のところ「運賃改定前と営業収入は変わらない」というのが、多くのタクシー運転手の実感だ。運転手の声をいくつか紹介しよう。
「勝どき周辺のタワーマンションから東銀座駅まで行っていた客が、勝どき駅で降りるようになったね。メーターが上がるのを見越して『410円で止めて』なんて客もいるよ」(都内のタクシー運転手)
730円のときは「行ける限り遠くへ」だった乗客が、410円になったら「ここでいいや」となったそうだ。別の運転手は、こう語る。
「730円未満のお客さんは、平均して1日6人ほどです。410円が2人ぐらいで、それ以上730円未満が4人ぐらい。410円のお客さんが連続すると、一時的には売り上げがガクッと落ち込みますが、トータルで見ると、それほどの減収ではないですよ。“行ってこい”ですね」
それもそのはず。新運賃は410円で“ちょい乗り”を増やした半面、約6.5km以上乗る場合は以前よりも割高になる仕組みで、いわば「値下げと見せかけた値上げ」でもあるからだ。
それでも、タクシーを使う人は以前と変わらずに使う。特に都心部は「会社の金」で乗る人が多く、移動の交通費が50円上がろうと100円上がろうと、自分の懐は痛まないからだ。もちろん、自腹で乗る人も少なくないが、タクシーを利用するのは「金銭的余裕がある」か「タクシーでなければ移動できない」という人である。そのため、多少の値上げは気にならずにタクシー移動を選ぶわけだ。
■410円タクシーは合法白タク潰し?
また、今回運賃が改定された理由のひとつに「白タク導入」がある。
1年ほど前、スマートフォンのGPS機能で現在地を取得し、付近の登録ドライバー(一般車)に配車を依頼する、配車アプリ「Uber」を駆使した有料配車サービスが話題になった。「アプリに登録してくれたら配車します」という「合法白タク」システムにより、タクシーがつかまらない過疎地の交通網を充実させようというものだった。
タクシー業界は猛反発したが、2016年3月に一部合法化が閣議決定されたため、危機感を募らせた東京のタクシー業界が「合法白タクを潰すべく、運賃を改定した」という側面もあったわけだ。
■東京以外では410円タクシーが導入されない?
さて、私は千葉県某市でタクシー運転手としても働いている。会社の同僚は「千葉にも新運賃が導入されるのでは?」と戦々恐々としているが、千葉では確実に導入されない。
なぜなら、東京都心部と異なり、流し営業などできないからだ。千葉の場合、乗客を乗せる場所は「駅」「病院」「ホテル」の3カ所が主だ。これに無線営業が加わり、1日当たりの「流し客数」は平均25人のうち1人いるかいないかである。しかも、そのほとんどが「自分の金」で乗る客だ。
加えて、松戸市や浦安市、市川市、船橋市などの都市部では、路線バスが充実している。バスの料金が200円前後である以上、410円でも高いと感じるはずで、バス利用客の鞍替えが大きく増えるとは考えにくい。
また、駅から家まで1km程度の人が乗るのは「雨の日」で、ザーザー降りになるほど駅のタクシー乗り場は長蛇の列となるが、こうした悪天候時は「放っておいても乗ってくれる」ため、現行の運賃を下げる必要もない。
つまり、業界全体の売り上げが確実に減るようなシステムを、わざわざ導入する理由はないということだ。強いて言えば、可能性があるのは流し営業もできる神奈川県横浜市だが、やはり可能性は低いと思われる。
■「実質値上げ」410円タクシーで損することも
タクシーはそれぞれ営業区域が決められており、区域外営業は禁止されているが、発着地のいずれかが区域内であれば問題ない。
たとえば、千葉のタクシーが乗客を東京都内まで乗せ、その帰りに手が挙がって停められた場合、通常は「千葉に行く客」なら乗せてもいいわけだ。しかし、初乗り410円は都内のタクシーに限った話であり、千葉のタクシーは適用外のため、乗客とのトラブルの原因にもなりかねない。実際、運転手はどう対応しているのか。
【パターン1 回送表示に切り替えて無視する】
これは、多くの運転手が実行している。なぜなら、千葉のタクシー運転手の多くは流し営業のテクニックを知らない上、知らない場所や道は怖い。そのため、自分のエリアに一目散に帰るのだ。
【パターン2 最初に断りを入れる】
たとえば、千葉県に通じる京葉道路や蔵前橋通り、水戸街道などの下り車線で手が挙がった場合に「410円ではありませんが、よろしいでしょうか?」と断りを入れる運転手がいる。これは、「410円だと思ったのに……」というトラブルを事前に防ぐためだ。
【パターン3 これまでと同様に乗せる】
これは、私のような「東京大好き・区域外の乗客もウェルカム」という運転手のケース。区域外の乗客を無視して得意のエリアに入るより、流し営業に切り替えたほうが営業収入は確実に上がる。
なぜなら、千葉の高速利用客や万シュウ(運賃1万円以上)客は全体の1〜2%ほど。50分の1の確率を狙って猛ダッシュするより、少しでも空車時間を減らすほうが、長い目で見れば営業収入アップにつながるからだ。
もともと、私は都内でタクシー運転手の営業テクニックを覚えたため、都内の地理にも明るい。そのため、都内で乗客をつかまえるのに抵抗はない。
2月上旬。東京・亀戸の蔵前橋通りを走っていると、若いカップルの手が挙がった。「はい、ど〜ぞ〜」とニコニコしながらメーターを押した瞬間、「あれ、410円じゃないんですか?」と聞かれたが、咄嗟に対応した。
「すいませ〜ん。実は千葉のタクシーなんですが、帰る方向なのでお乗せしちゃいました。ごめんちゃい」
この言い方がウケたようで、彼氏がケラケラと笑い、彼女も「かわいい」と車内が一気に明るくなった。それがきっかけで話が弾み、降車時には「お釣りはいいです」とチップも置いていってくれた。
また、実は乗客にとっても千葉のタクシーのほうが得になる場合もある。なぜなら、千葉のタクシー運賃は改定前の東京のタクシーとほぼ同じため、料金にして2000円以上乗る場合は「実質値上げ」の東京のタクシーよりも安くなるからだ。
乗客にとっては、どこのタクシーであろうと、無事に目的地に行ければ問題はない。これらの事情をきちんと説明すれば、多くの乗客は「なるほど」と納得してくれる。
(文=後藤豊/フリーライター)
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