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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 “万里の長城”の問題点
http://wjn.jp/article/detail/6873903/
週刊実話 2017年2月23日号
1月26日、米国のスパイサー大統領報道官が、「メキシコからの輸入品に20%の課徴金を課すことで、年間1兆1400億円を調達できるから、“壁”の建設費用はそれだけで捻出できる」と記者に語った。
メキシコとの国境に作るという高さ12メートル、全長3200キロに及ぶ米国版“万里の長城”の建設費は、約2兆8000億円とされるから、メキシコ製品に3年も課徴金をかければ、十分回収できる計算だ。
もちろん、トランプ大統領は、本気でそんなことを考えているのではなく、課徴金は、壁の費用負担を渋るメキシコへの脅しだ。メキシコからの輸入品だけを狙い撃ちにした関税引き上げは、WTO(世界貿易機関)が認めない。しかし、メキシコの最大の輸出相手は米国なので、最終的にメキシコが脅しに屈して、壁建設費用の一部を支払うことになるだろう。
実は、私は不法移民の流入を防ぐために壁を築くこと自体には、反対ではない。法律は守るべきだと思う。ただし気に入らないのは、トランプ大統領の政策に“文化の香り”がしないことだ。
本物の万里の長城(6〜9メートル)よりさらに高い12メートルの壁が延々と建設されたときの状況を想像してみて欲しい。まるで刑務所のような風景が生まれてしまうだろう。だったら少し構造を変えて、壁の頂上に幅を持たせたうえで、サイクリング道路にしたらよいと思う。もし3200キロに及ぶサイクリング道路が誕生したら、世界中から観光客がたくさん集まってくるだろう。
現在想定されている壁の1メートル当たりの建設単価は、87万5000円だ。国土交通省の資料によると、アメリカの高速道路の建設費は、1メートル当たり190万円だ。つまり、いま考えられている壁は、単価が高速道路の半額程度のコストなのだ。だから、天井にサイクリングロードを作ることくらい、十分可能なことだろう。世界一長いサイクリング道路は、すぐに観光名所になるに違いない。
そして、もう一つ、壁の両面には、アーティストに壁画を書いてもらえばよい。壁へのペイントを自由にすれば、書きたいアーティストはいくらでもいる。もっと言えば、壁に絵を描く権利を分譲すれば、建設費の一部を回収することもできる。
例えば、高さ12メートル、幅1メートルの権利を10万円で売り出したとすると、両面で6400億円もの収入が入ってくる。しかも、自分で絵を描ける人は少ないから、権利を取得した多くの人が、アーティストに絵描きを依頼することになるだろう。そうすれば、トランプ大統領の一番の関心事である雇用が増えるのだ。
荒唐無稽のアイデアだと思われるかもしれない。しかし、世界恐慌で4人に1人が失業するという厳しい経済状況を迎えた米国では、失業対策事業の一環として、アーティストを政府が雇って、公共建築物の壁面に絵を描かせることを実際にやっているのだ。
全長3200キロの巨大壁画が完成すれば、これもまた大きな観光名所になることは間違いない。その観光業でも、雇用は生まれるのだ。そうしたアイデアを出さず、ただ単に他国を恫喝し続けるだけでは、米国経済は長期的には反映しないだろう。
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