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ネット広告業は「現代の女工哀史」 電通・働き方改革の「消えない闇」とは
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170219-00000007-nikkeisty-bus_all
NIKKEI STYLE 2/19(日) 7:47配信
過重労働が大きな社会問題となるなか、『震源地』の電通が働き方改革に奔走している。「労働環境の改善」へ向けて人員増強や機械化を推進するため、2017年12月期は単体の純利益が31%減となる見通しだ。山本敏博社長は14日の決算記者会見で、「仕事量を無理して追いかけるより、社員の心身の健康を優先する」と明言した。まず問題の解決には成長が続くインターネット広告を取り巻く過酷な労働環境の改善こそが不可欠といえそうだ。
■仕事の質と社員の健康がトレードオフになる
電通は17年12月期、働き方改革を進めるために70億円を投資する計画だ。その柱は「増員と機械化による業務体制の充実」「デジタル体制の強化」「顧客向けのマーケティング投資」の3つ。「増員」は200人以上の緊急増員と、中長期的な視点に基づいた採用の両方をにらみ、25億円を投じる。
こうした取り組みなどから、17年12月期の連結業績予想では、国内事業の売り上げを前年比0.8%減と見込む。減収減益もいとわず、労働環境を改善して「現状の業績が踊り場となっても、持続的で中長期的な成長を選ぶことを決めた」(山本社長)という。
山本社長は決算発表の席上、2015年12月に過労自殺した新入女性社員、高橋まつりさん(当時24)について、「先輩社員として痛恨の極み」とした。過重労働の原因については、「あくまで私見」とした上で、「仕事の最前線で、法令順守や一人ひとりの社員の健康を守ることが、仕事の品質や顧客からの評価、業績の向上と『トレードオフ』の関係になりがちだった。その危険性をわれわれ経営陣が認識しきれていなかった」と語った。
決算会見で語る電通の山本敏博社長(14日、都内で)
■ネット広告業務は作業量が膨大
「当社に内在する問題は、複数の問題がからみあっている」。山本社長は決算会見で、こう繰り返した。その問題の一つは、高橋さんも担当していた「ネット広告」が抱える構造的な問題だろう。2016年12月期、電通グループのデジタル領域の売上総利益は全体の37%を占める。海外事業では52%を超える大きさだ。
国内広告費の約2割を占めるなど、成長を続けるネット広告市場だが、労働環境は過酷だ。ネット広告は新聞やテレビなどの「マス広告」に比べて、作業量が圧倒的に多いという。
ページ閲覧件数や表示した広告のクリック数だけでなく、どれだけ顧客の購買や資料請求などに結びついたかまで、効果が数字で明確にわかることがネット広告の特徴。広告代理店のデジタル広告の担当者は、掲載した広告の結果を毎日顧客に報告し、結果が悪ければその都度施策を変える「PDCA」(計画、実行、評価、改善)を毎日繰り返すことになる。
■残業100時間超すネット広告専業も
ネット広告専業大手に勤める20歳代の男性社員は、「残業時間は毎月100時間を超える。しかも、顧客とは交流サイトサービス(SNS)でつながっているから、自宅でも連絡があればすぐ仕事」と語り、勤怠表に書かれることのない『残業』に苦しむ。
しかも、総合代理店に比べてネット広告専業の給与は低い。「給与は月額25万円程度。離職率は非常に高い」(関係者)という。昨年まで大手広告代理店に勤務していた男性は「ネット広告業務は、現代の女工哀史」と、その過酷さを例えた。
電通本社は全館消灯を実施し、残業時間削減に躍起だが
■「機械化」どこまで
電通は2月中旬に発表予定だった働き方改革の骨子案の発表を4月に延期した。すでに、午後10時の全社一斉消灯などの対策を実施しているが、決算会見で山本社長は、単純な長時間労働の改善にとどまらない改革を目指す決意を示した。
「思った以上に複数の問題がからみあっていた」「表面的なルールでは意味がない。確実に実行でき、かつ効果が出ること。そして、社員の成長が会社の成長につながる循環ができてこそ初めて改革が成功したといえる」という山本社長の言葉は重い。
改革のなかでも注目されるのは「機械化」だ。「これまで代々伝えてきた仕事のやり方がある。なかには自分の手でやったほうが一人ひとりの成長につながるものも多い。しかし、自分でやれば成長につながる仕事と、機械にやらせるべき仕事が複雑に入り組んでいる。丁寧にひもといて機械化する業務を検討する」と山本社長は話す。ネット広告に含まれる「作業」も、その検討対象に含まれていることは想像に難くない。
くしくも14日、政府が残業時間の規制案を示した。残業時間は年間720時間(月平均60時間)以内。仕事の集中する時期は、2カ月平均で80時間以内の残業を認める案も今後検討する見通しだ。しかし、「時間の制限」という視点にとどまっているのは否めない。
労働問題に詳しい千葉商科大学の常見陽平専任講師は、「日本人が効率的に働けていない、という意見もあるが、そもそも仕事の量が多すぎるという見方が欠けている」と指摘する。「仕事の量を追いかけない」とする山本社長の方針は、この指摘に答えているといえるだろう。
電通が「人間がやるべき仕事と機械のやる仕事」の棚卸しに成功すれば、多くの企業のモデルケースともなりうる。「疲れた状態でいい仕事をし続けられるはずがない。持続的な成長をめざす」という山本社長の思いは、ネット広告業界が抱える過酷な労働環境の改善につながるかもしれない。
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