http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/281.html
Tweet |
スマホ全盛の時代になっても、いまだに固定電話を解約できない家庭は多い。固定電話はなぜ解約しづらいのか。日本人の心理に迫る
スマホ全盛時代でも固定電話を解約できない人々の心理
http://diamond.jp/articles/-/118342
2017年2月17日 鈴木貴博 [百年コンサルティング代表] ダイヤモンド・オンライン
■20代の保有率は11%まで下落 それでも固定電話は必要か?
今、20代の世帯における固定電話の保有率は、11%まで下がっている。固定電話は昔から当たり前のように家の中にあったので、誰も気にしていなかったが、2005年に初めて調べてみたら、その時点での保有率は全世帯ですでに91%に下がっていたという。総務省の「通信利用動向調査」でわかったデータだ。
その後、毎年のように数字は下がっていき、最新のデータでは、固定電話の世帯保有率が76%にまで下がっている。冒頭で述べたように、中でも非保有率が突出している20代の世帯では保有率が11%になってしまった。30代の世帯でも49%と保有率は半分を割っている。若者からすれば、スマホがあるから固定電話は要らないのだ。
一方で、筆者のような50歳以上の世帯では、固定電話の保有率はいまだ9割のラインで高止まりしている。その理由はというと「何もない」。確かに「なぜ我が家に固定電話があるのか?」と聞かれても、それに理由はないのだ。
念のため、自分の昨年1年間の電話代を調べてみたら、毎月の固定電話代はほぼ2300円前後でほとんど変わっておらず、3ヵ月くらいだけ2600円近辺の支払いになっていた。携帯電話に通話量無料プランがついているので、電話をかけるときに固定電話を使う機会はほとんどない。
結局、固定電話はファクスを送るとき、自宅に電話がかかってくるときだけしか使わないのだが、そのかかってくる電話も知り合いからという場合はまったくなくなった。かかってくる電話は間違いなく、何らかのセールスの電話ばかりだ。だから我が家の電話は、常に留守番電話になっている。
実は企業でも、状況は似たようなものらしい。先日、ある出版社の編集者と雑談をしていたら、「土曜日に出社すると仕事にならない」という話をしていた。会社は休みなのだが、打ち合わせなどがあって出社すると必ず電話が鳴る。作家からの連絡かもしれないので電話に出てみると、たいがいは今週号の雑誌に関するクレームや問い合わせばかり。仕事にならないので、打ち合わせが終わったらすぐに編集部を後にするらしい。
企業から見れば社員の時間は人件費だ。かかってくる電話で業務が止まるのはよろしくない。そこで頭のいい銀行は早くから、支店にかかってきた電話を皆、コールセンターで取るようにした。そこで前さばきをして、本当に支店の担当者でないとわからない用件だけを支店につなぐ。コールセンターだって人件費はかかるが、このやり方のほうがムダな電話で人件費がかかることはまだ少ない。
そもそも電話をするということは、相手の貴重な時間をもらい受けることになる。電子メールがある現在、相手のスケジュールに配慮するのであれば、メールで用件を連絡するほうがマナーにかなっている。逆に急ぎの用件なら、携帯に電話をする。だから業務でも、よほどのことがなければ会社宛てに電話をかけることはない。
つまり固定電話は、世の中ですでに「無用の長物」と言っても差し支えない状況なのだ。
■IP電話への乗り換えで対処可能?固定電話解約で生じる「3つの不便」
ただ、予約の電話がかかってくる店舗などがあるので、さすがに日本全体で固定電話をゼロにするのは無理かもしれないが、個人でも会社でも、固定電話が要らないというケースは、現実の非保有率よりも結構高いものなのだ。
実際、固定電話の保有率は日本よりも外国で早くから低下傾向にある。具体例を出すと、日本人よりも合理的なアメリカ人の場合、固定電話の保有率は全体で45%まで下がってきている。おそらく日本人も、惰性で電話会社と契約をしている人の比率はこれくらいはいるはずだ。
実は、日本人でも固定電話のコストがムダだと考えている人は多い。その証拠に、NTTの固定電話を解約して「ひかり電話」のようなインターネットサービスプロバイダが提供する安いIP電話に切り替えている家庭が、全電話契約世帯の実に半数に上るのだ。
月額の固定電話代が2400円だと高いと思う人が、月1500円の電話に乗り換えているのだ。だったら、それをゼロにする気はないのだろうか。そこで考えてみたいのが、固定電話を解約することで何らかの不都合が起きるかどうかだ。一般に、もしあなたが固定電話を解約してしまうと、3つの困ったことが起きると言われている。
1つめは銀行から住宅ローンを借りられなくなるということ。銀行だけではないのだが、お金を貸してくれる業態では、なぜか「固定電話のない人は信用ができない」という伝統的なものの見方をするらしく、少なくとも将来お金を借りる予定のある人は、はやまって固定電話を解約すると困ったことになる。
2つめに、子どもが少なくとも携帯を持てるくらいの年齢になるまでは、電話がないと困るということだ。子ども同士で連絡をとる場合に、親の携帯の番号を教えるわけにもいかないからだ。
そして3つめに、大災害時に携帯では連絡がつかないという問題がある。家に固定電話があったほうが家族や親戚は安心する。
とはいえ、どれも対処できない理由ではない。子どものいる家庭でも、スマホやパソコンで050番号の別の電話を受けられるようにして、それを子どもに使わせれば、家に固定電話は要らなくなる。災害時に備えて、災害掲示板のような公的な仕組みを家族同士で使うことを予め決めておきさえすればいい。ファクスだってインターネットで送受信するサービスがある。
この050番号のIP電話に加入することは、銀行に関しての対策にもなる。050から始まるNTTのIP電話サービスに加入して、「これが我が家の電話番号です」と言い張れば、さすがに天下のNTTの番号に非を唱えることは銀行でもしづらいだろう。
そもそも固定電話に入っている人が迷惑電話をブロックするために使うのも050で始まるIP電話だし、会社でも050電話を使うケースが増えている。IP電話に対する認知が広がっているから、昔のように頑なに「市外局番のある電話番号のない方にはお金をお貸しできません」という銀行ばかりではないのだろう。そうしておいて、その050番号を固定電話で受けるのではなく、スマホで受信すればいいのである。
■シニアの9割が解約しないのは料金への不満がないから?
しかるに、固定電話を解約しない人がなぜこれだけ多いのか。
突き詰めて考えると、シニア以上の世帯で9割の家庭が固定電話を解約しないのは、結局、月々の電話代が目くじらをたてるほど高くなくなったからではないか。昔は家族に長電話をする人が1人いるだけで、月の電話代が簡単に1万円を超えてしまったものだ。それと比べて今の電話代のレベルなら、緊急連絡のための投資だと割り切っても大した話ではないというのが、大半の固定電話保有者の本音ではないだろうか。
そういう人に1つだけアドバイスがある。実は、私は自分の会社を創業して8年目に、会社の固定電話をなくしてしまった。会社のことなので、家族からは一切反対がないし、オーナー社長なので社員も反対しない。固定電話を止めるのは簡単だった。それでわかったことがある。
「電話がかかってこないと邪魔をされずに、自分の時間を楽しめますよ」
そう。固定電話を持つか止めるかは、実はお金の問題以上に、外からの電話で自分の時間を中断されないという、「プライスレスな体験」の問題であると思う。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民119掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。