★阿修羅♪ > 経世済民119 > 170.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
日本も米国を「食べさせる」経済関係の時代が来る(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/170.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 2 月 14 日 11:00:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

             Photo:首相官邸HP


日本も米国を「食べさせる」経済関係の時代が来る
http://diamond.jp/articles/-/117804
2017年2月14日 上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長] ダイヤモンド・オンライン


 安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領による、初の日米首脳会談が行われた。「日米同盟」と「経済問題」が2大テーマとなったが、両首脳は沖縄県・尖閣諸島が米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であると確認し、中国の海洋進出を念頭に力による現状変更の試みに反対することも申し合わせた。トランプ大統領は、就任前に発言した「在日米軍駐留経費の問題」について言及しなかった。

 経済問題では、麻生太郎副総理・財務相とマイク・ペンス副大統領による対話の枠組みを新設し、財政政策や金融政策から貿易や投資など広範な分野で包括的に議論することで合意した。米側から、「対日貿易赤字」や「円安」について具体的な要求はなかった。

 この連載では、トランプ大統領の「就任最初の100日間」は、これまでの放言・暴言の一体なにが実現できて、なにが実現できないのかを見極めればいいが、尖閣近海での中国の軍事的拡大を止めることだけは、なりふり構わずトランプ政権にアピールすべきだと主張してきた(第149回・p5)。その意味で、今回の日米首脳会談は「合格点」だといえる。しかし、本当に重要なのは、「100日間」が過ぎた後、どうするかである。

■安全保障は「満額回答」
トランプ政権は地政学的戦略を理解

 米大統領選の期間中、トランプ氏は日米安保体制について、「アメリカが一歩引いても、日本は自ら防衛できるだろう。(中略)他国がアメリカを攻撃しても、日本はアメリカを助けなくてよい。なのに、他国が日本を攻撃したら、アメリカは日本を助けなければならない」と批判し、「在日駐留軍の経費を日本に負担させる」と強く主張していた(第145回・p2)。

 しかし、トランプ政権が発足すると、その姿勢は一変した。日米首脳会談に先立って、ジェームズ・マティス国防長官が来日して、稲田朋美防衛相と会談し、日本の負担は「他国のモデル」だと持ち上げた。首脳会談では、トランプ大統領がこの問題を取り上げず、「私たちの軍を受け入れてくれている日本国民に感謝したい」と述べた。両首脳は日米同盟の強化で一致し、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が沖縄県の尖閣諸島に適用されることを確認した。安全保障に関しては、安倍首相はトランプ大統領から、まさに「満額回答」を得たといえる。

 この連載では、国際社会が「ブロック化」という大きな転換点にあると指摘してきた(第134回第142回など)。そして、「ブロック化」で日本の最大の懸念材料となるのは、中国の軍事的拡大であるのはいうまでもない。

 毎日のように中国の船が南シナ海や尖閣近海で展開するニュースが流れるのは、全く穏やかではないし、いつ中国が本格的に尖閣を取り戻そうとしてくるのか、不安で仕方がない。これが日本国民の持つ「普通の感覚」だ。

 いわゆる「リベラル派」は、日米安保体制が強化されると、中国を刺激することになるという。そして、日米安保を恐れる中国が、軍事力の増強を進めてしまい、結果として軍事的衝突の可能性が高まるという「安全保障のジレンマ」に陥るという。だが、その主張が日本のマジョリティ(第115回(下)・p3)に支持される状況にはない。日本と中国の軍事衝突に対する国民の危機感は、かつてないほど高まっているからだ。

 これは、米国の圧倒的軍事力で中国を抑え込む以外に方法がないのが現実だ。ところが、バラク・オバマ政権では、米中関係を重視してか、米軍が尖閣を守ってくれるのかどうか、曖昧なままだった。一方、トランプ政権は無条件に「尖閣を守る」と明言したのだ。日本国民が今、最も懸念している問題について、トランプ大統領は、一点の曇りもなく「心配いらない」という強いメッセージを出したということになる。

 この連載では、トランプ大統領の外交政策についての言動が、確固たる戦略に基づくものか、単なる思い付きか、現時点では判断できないとしてきた(第142回・p5)。しかし、「中東への積極関与姿勢」、“1つの中国”の否定など「対中国の駆け引き」や、「尖閣防衛の明言」は、トランプ政権が決して「孤立主義」ではなく、地政学的戦略をよく理解していることを示している(第120回など)。安倍政権は、ひとまず「トランプ大統領就任最初の100日」にやるべきことをやったと評価できるだろう。

■経済問題では日米の立場逆転へ
日本の製造業が米国の雇用を支える

「経済問題」については、麻生副総理・ペンス副大統領による「新たな経済対話」の開始で合意しただけで、懸案とされた「米国のTPP離脱とFTA締結の要請」「対日貿易赤字」「円安」等について、なにも具体的な合意がなかった。首脳間で突っ込んだ議論が行われなかったことには、批判があるようだ。しかし、ツイッター等で一方的に暴言・失言を繰り返して、日本側を「口撃」したトランプ大統領が、日本に多くの要求があるのに対して、日本側の希望は基本的に「現状維持」である。米国に対して、特にリクエストがあるわけではない。米国から具体的な話が出なければ、日本からわざわざなにか言う必要はないのだ。

 トランプ大統領が就任して以来、様々な企業が米国内での雇用拡大を表明している。それも、GM、フォードなど米国企業だけではない。日本からもソフトバンクの孫正義社長が、総額500億ドル(5兆7000億円)を米国内の新興企業に投資し、5万人の雇用を生み出すと表明した。また、トヨタもトランプ大統領に批判された後、米国で今後5年間に100億ドル(約1兆1600億円)を投資する方針を発表している。

 安倍首相も首脳会談で、これまでの日本の自動車メーカーによる米国での投資や雇用増への貢献の高さをアピールした。また、トランプ大統領が新幹線を高く評価しているように、今後、麻生財務相・ペンス副大統領による経済対話では、日本からの米国内のインフラ整備への投資が話し合われる予定だ。要するに、トランプ大統領の「口撃」がセンセーショナルに取り上げられる陰で実際に起こっていることは、「高い競争力を持つ日本の製造業が、米国の要望に応えて、米国内で仕事を生み出し、雇用を増やしていく」ということだ。

 これは、従来の日米経済関係と方向性が「真逆」なのではないだろうか。この連載では、日本が高度経済成長を成し遂げたのは、米国が東西冷戦期に日本を成長させるために、日米安保条約に基づいて日本の安全保障を肩代わりし、日本の製品をどんどん購入してくれたからだと指摘してきた(第145回・p3)。

 要は、「日本はアメリカに食べさせてもらって大きくなった」というのが、日米経済関係の基本的な構図だったということだ。また、これは日本だけの話ではない。第二次世界大戦後のパックスアメリカーナの下で、世界中の途上国が、米国に製品を買ってもらって成長した。韓国、台湾、ASEAN、メキシコ、南米、そして中国も、米国への輸出に依存して成長してきたのだ。換言すれば、米国のような、いわゆる「大国」の条件の1つは、「他国を食べさせる」ことなのである。

 ところが、トランプ大統領の登場で、米国が「世界の警察」をやめ、世界中の国からモノを買うのをやめるという。「他国を食べさせる」という大国の役割を放棄するというのだ。それどころか、他国の企業に対し、米国内で生産し、雇用を増やすことを要求している。つまり、米国が他国に対して「食べさせろ」と言い始めたということだ。

 この連載では、トランプ大統領を「戦後、初めて日本の『完全独立』を容認する大統領」となるかもしれないと評したことがある(第145回・p5)。しかし、安全保障に関しては、日米関係は強化する方向となり、日本の「完全独立」は起きそうにない。だが、経済問題では様相は異なり、日本が「米国に食べさせてもらう」という、いわゆる「途上国」の立場だったのが、「米国を食べさせる」という「大国」の立場になる、逆転現象が起きつつあるのかもしれない。

■トランプ政権とシリコンバレーの
摩擦解消に一役買う

 現在の国際情勢は、日本を「極東の一小国」に落としかねない厳しいものだといえる。だが、経済問題における逆転現象からいえることは、知恵を絞って行動すれば、日本にとって好機となり得るということだ。

 では、今後日本がどう行動すべきか。とりあえずは、米国のリクエストに応じて、日本が高い競争力を持つ自動車産業や、新幹線の建設などで、米国に雇用を生み出して「食べさせる」ことが重要だ。しかし、大事なのはその後だ。

 かつて米国が、製造業で日本など途上国から商品を買い、経済成長を支えながら、一方でIT産業など新しい産業を次々と生み出していったことに着目すべきだろう。換言すれば、常にイノベーションを繰り返し、新しい産業が生まれ続けたからこそ、米国は「途上国」を食べさせ続けることができたのだ。

 日本でも、米国の要求に応え続けるには、輸出産業だけに頼ってはいけない。産業構造改革を断行し、「新しい成長産業」を生み出すことが大事になる。そこで注目すべきは、米国のIT、人工知能などの最先端のテクノロジー企業である。

 トランプ大統領は、自動車産業など製造業とは友好的な関係を築いているが、シリコンバレーのテクノロジー企業は、反トランプ大統領の姿勢を露にし始めている。そのきっかけは、トランプ大統領が打ち出した一部のイスラム系国家に対する強硬な入国制限措置である。

 テクノロジー企業は、多くの移民が勤める「多国籍軍」である。自らも移民であるFacebookのマーク・ザッカーバーグCEOを始めとして、Apple、Autodesk、Dropbox、Etsy、Google、LinkedIn、Lyft、Salesforce.com、Slack、Squareなどシリコンバレーの有名企業のトップが、次々と移民である自社社員を擁護し、入国制限に反対し、多様性の重要性やアメリカの価値観を守ることを主張しているのだ。

 日本は、米国のテクノロジー企業を積極的に受け入れてはどうだろうか。日本は現時点では、米国や欧州、そして中国などよりも、多国籍の優秀な人材にとって、比較的に「安全な場所」だといえる。また、この連載で指摘してきたように、日本は「地理的条件の良さ(欧州、北米、中東、アフリカ、アジアをすべてカバーできる)」「知識・情報の集積」「高い技術力」「質の高い労働力」「ブランド」「政治的リスクの低さ」という、外資が参入するのに適した条件をいくつも備えている(第52回・p7)。日本経済・社会の問題は「規制」が多いことだが、安倍政権が本気で規制撤廃を断行すれば、外資受け入れに絶好の環境となる。

 ITや人工知能など最先端の分野は、日本が弱い領域である。日本では、シリコンバレーで職を得るような人材は育成できていない(第70回)。しかし、テクノロジー企業のオフィスが日本に来るならば、日本の若者にとって多少は就職しやすくなるだろう。最先端テクノロジー領域を担う人材を、より育成しやすくなるのだ。

■米英の大学に入りづらくなった
留学生を日本が受け入れる

 また、企業だけではなく、大学の役割も重要だ。前回、インドのナレンドラ・モディ首相が「インドからの留学生の地位を、EUからの移民と同じと考えてもらっては困る」と、テリーザ・メイ英首相に苦言を呈したことを紹介した(第149回・p3)。保守党政権の英国では、留学生の大学への入学基準が、筆者が在学した頃に比べて格段に厳しくなっている。また、米国でもトランプ政権の大統領令によって、留学生が空港で足止めされたり、強制帰国させられたりするケースが続発している。米国の大学でも、今後留学の基準は難しくなっていくかもしれない。

 それは、日本の大学にとっては、世界中から優秀な人材を確保する好機ということになる。日本の大学に対する批判は多いが、それでも「グローバル30」「世界展開力強化事業」「スーパーグローバル」と、文科省の助成金により、苦しみながら国際化を続けてきた成果は軽視すべきではない。

 多数の大学で英語で授業が行われるようになり、大量の留学生をサポートできる基盤ができつつある。今こそ、日本の大学は、米国や英国で学びづらくなった優秀な人材に対して門戸を開き、欧米の後塵を拝している研究水準と人材育成力を、一挙に引き上げる絶好の機会だと考えるべきだ。

 もちろん、日本が米国に食わせてもらえなくなり、途方にくれている新興国をサポートし、保護主義に舵を切った米国に代わって、自由貿易を守るリーダーになる志を持つことも大事である。これから始める日米の経済問題の交渉は厳しいものになるだろう。しかし、いかに米国の攻勢を凌ぐか、守ることを考えるだけではなく、従来の権威や価値観に捉われず、知恵を絞って「攻める」べき時が来ているのではないだろうか。

(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)



 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 無段活用[1605] lrOSaYqIl3A 2017年2月14日 11:40:19 : SH5ovszS6w : hff0Rjd7ULE[6]

>米英の大学に入りづらくなった留学生を日本が受け入れる

ただ、工学というのは飽くまでも枝葉であって、そういった学問体系の根幹に据えるべき哲学がしっかりしていないと留学生から馬鹿にされるだろう。やって来るのはそれぞれの国のエリートの卵だ。移民代わりに奴隷労働をさせられるような人材とは違う。

イギリス・フランス・ドイツのいずれも科学技術の発展と並行して人文学が栄えていた。米国も20世紀の前半にかけてプラグマティズムの体系が作られた。日本にも禅の伝統はあるが科学技術の世界とは乖離があるだろう。現政権は必ずしも人文学を奨励していない。

外国を食べさせるのはメシの種があれば可能だ。昔からの電機と自動車、現在はロボットと素材。その次をいまから用意しておく必要があるということだろう。

一度は傾いた電機とコンピュータを結合することで最先端のロボット産業が発生し、同様に絶滅寸前に追い込まれた繊維業から世界の追従を許さない素材産業が生まれた。だから。いま低迷している産業からそういったものが生まれる可能性がある、ということだろう。

とすると、思いつくのは農業と鉱業。確かに「都市鉱山」というものは存在する…と頭に浮かぶままに書いてみた。


2. 2017年2月14日 12:36:10 : zHEIs4uKgQ : HgkmdXv0UK8[18]
あの、すでに日本は何百兆円単位で
アメリカ様に貢がされており、
日本人の多くが貧困のどん底にあえぐ中で
多くのアメリカの金持ち権力者の皆様を
何十年もの間、食べさせているのでございます。

3. 2017年2月14日 12:41:08 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3650]

>米国の圧倒的軍事力で中国を抑え込む以外に方法がないのが現実だ。ところが、バラク・オバマ政権では、米中関係を重視してか、米軍が尖閣を守ってくれるのかどうか、曖昧なままだった。一方、トランプ政権は無条件に「尖閣を守る」と明言したのだ。日本国民が今、最も懸念している問題について、トランプ大統領は、一点の曇りもなく「心配いらない」という強いメッセージ

甘いよ

トランプの口約束もまたプーチンや中国同様、ほとんど信用できない

>トランプ大統領の登場で、米国が「世界の警察」をやめ、世界中の国からモノを買うのをやめるという。「他国を食べさせる」という大国の役割を放棄するというのだ。それどころか、他国の企業に対し、米国内で生産し、雇用を増やすことを要求している。つまり、米国が他国に対して「食べさせろ」と言い始めた

支離滅裂な論理

米国が世界の大消費国であることは変わらないし

日本などアジアでは少子高齢化が進み、消費が減っていく

また製造業のウェイトは今後、減っていく

つまり相手国からモノを輸入することで相手を「食べさせる」

といった単純な発想では話にならない


4. 2017年2月14日 20:40:44 : KkRTaNa4co : nr8ZiqDeQJ4[1]
ところが、トランプ大統領の登場で、米国が「世界の警察」をやめ、

どうしようもないくらいの幼児解説。
今の日本は子供が大学教授になってしまったようだ。

「世界の警察」―――ヤーメタ
「金欠偽装」で戦争させるための定番メニュウ。

中国やロシアに好きなようにやれと暴れやすい状況を工作しているわけで、
尖閣島も中国次第ということだ、
日本は100%守ってやるから
憲法を改正しろ、戦争しろ、
アベノミクスでもっとカネをスレと言っているのだ。
こんなマヤカシ物に反応するバカがいるか!
この男は教職剥奪モノだ!



5. 2017年2月15日 13:33:11 : zTKwUDrTl2 : EfwGHs2h8LA[8]
それは、日本の大学にとっては、世界中から優秀な人材を確保する好機ということになる >

そんなものは要らない。
大学の教職員を食べさせるために、留学生を連れてくることはない。
余った大学はリストラさせれば良い。


多数の大学で英語で授業が行われるようになり、大量の留学生をサポートできる基盤ができつつある。今こそ、日本の大学は、米国や英国で学びづらくなった優秀な人材に対して門戸を開き

留学生の面倒より、
日本国民がまともな教育を受けるる経済環境を整えることが先だ。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民119掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民119掲示板  
次へ