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高齢ドライバー事故、免許証返納ではない解決策 「後付け」の安全装置も出現。自動ブレーキ義務化も視野に 
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/892.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 2 月 11 日 00:11:15: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

高齢ドライバー事故、免許証返納ではない解決策
「後付け」の安全装置も出現。自動ブレーキ義務化も視野に
2017/02/09
中西 享,伊藤 悟
 「母が軽度の認知症と診断され、運転免許証を返納させるか否か、家族で揉めています」

 榊原史子さん(仮名、東京都中央区在住)はそう悩みを打ち明ける。76歳になる母親は埼玉県草加市に住んでいるが、最寄駅から車で15分のところに住んでおり、自動車は生活に欠かせないという。

 「交通事故の恐ろしいところは、運転している本人だけでなく、何の罪もない周りの人も巻き込むことです。私としては何とか返納させたいと考えているのですが……」

 高齢化した親に免許証を返納させるべきか否か─。もしくは自分自身、免許証を返納すべきか否か─。こんな悩みを抱えている方も多いのではなかろうか。


2016年11月、立川市で83歳の女性が運転していた車が歩行者をはねた。連日のようにこうした交通事故が報じられている(JIJI)
実態とは異なる
報道から受けるイメージ

 2016年は交通事故死者の54.8%が65歳以上と、統計が残る以降、最も高い割合を示した。テレビをつければ、連日のように高齢運転者による悲惨な事故が報道されている。「高齢者は運転すべきでない。強制的に免許証を返納させろ」。こんな意見も目立つ。

 だが、事故の詳細をみていくと、日々の報道から受ける印象とは異なる実態が浮かび上がってくる。警察庁の資料によると、05年に6165件あった交通の死亡事故が、15年には3585件へと減少している。これは高齢者を含む全事故の件数で、ここ10年ほどで4割以上も減っている。

 認知症に罹患しやすくなる75歳以上の高齢運転者が起こした死亡事故件数のみ抽出してみると、05年は457件、15年は458件とほぼ横ばいだ。つまり、死亡事故全体の件数は減っているが、75歳以上の高齢運転者による事故は横ばいなので、割合が高まっている(05年7.4%→15年12.8%)ということになる。


写真を拡大
3月に道交法改正
強化される認知症対策

 75歳以上の高齢運転者による死亡事故の割合が12.8%とはいえ、認知症に罹患しやすい高齢者の多くがハンドルを握る現状を憂う意見には耳を傾ける必要がある。

 今年の3月12日から認知症の高齢運転者への対策を強化した改正道路交通法が施行される。免許更新時に認知機能検査で認知症の疑いがある75歳以上のドライバーは、逆走や信号無視などの交通違反がなくても医師の診察が必要になる。逆に交通違反があると、臨時の認知機能検査が課され、認知症が疑われると医師の診察が必要になる。いずれも認知症ドライバーによる重大な事故を未然に防ぐのが狙いだ。

 免許更新を受ける高齢ドライバーの数から考えると、これまでは認知症と診断されて免許取り消しになるケースは少なかった。

 老年精神医学が専門の慶應義塾大学医学部の三村將教授は「この改正法の施行により、医師による臨時適性検査の対象が大幅に拡大されるので、診察を行う認知症の専門医をどう確保するかなどの問題はあるが、一定の成果はあるのではないか」とみている。

 高齢者の免許証の返納についてみると、警察庁の統計では75歳以上の免許所有者のうち自主返納したのは15年では2.8%しかなく、返納者数は増えているが低い水準にとどまっている。

 特に地方の過疎地域の場合、地方自治体の財政難からバスなどの公共交通機関が縮小、廃止されてきており、買い物、病院通いなどの移動手段がマイカーしかないところが多い。

 このため、高齢者になっても生活の足として運転せざるを得ない状況にあり、地方では一律的な返納は反発を招きかねない状況になっている。

 高齢者に対して無理に免許を返納させようとするとトラブルが起きかねない。昨年12月には岡山市で事故を起こした母親(79歳)と免許返納を求める息子とで口論になり殺人未遂事件まで起きている。

 仮に75歳以上の高齢者すべてに免許証を返納させたとしても、前出の通り、12.8%の死亡事故はなくなるが、90%弱の死亡事故は残る。

 果たして交通事故を限りなくゼロに近付け、しかも地域の足を確保する解決策はあるのだろうか。

期待すべきはテクノロジー
広がる「自動ブレーキ」

 その解の一つはテクノロジーである。昨今注目されている自動運転は、そもそも人にぶつからない可能性が高いが、すべての自動車が自動運転車になるにはまだまだ時間がかかる。現実的には、「自動ブレーキ機能」に大きな期待が寄せられる。


シリコンバレーの一般道を試験走行するグーグルの自動運転車(MASATAKA NAMAZU)
 08年にいち早く低価格で衝突防止装置を取り付けたのが、ステレオカメラで前方の障害物を検知する運転支援システム「アイサイト」を導入した富士重工業だった。10年以降、装着費用が10万円程度と割安だったことからユーザーの支持を受けて普及した。

 トヨタ自動車は、車の前後に取り付けた超音波センサーが障害物の接近を表示とブザーで知らせ、ペダルの踏み間違いによる衝突防止に役立つ「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」を開発、12年以降9車種に搭載してきた。今後、装備できる車種を増やす方針だ。

 ICSを装備した車と、していない車の駐車場で起きた事故データ約2500件を比較調査したところ、装着した車のペダル踏み間違い事故が約7割減少、後退時の事故は約4割減少したという結果を得られたという。

 自動車の価格が高価であればあるだけ、自動ブレーキ機能を付加することによる価格上昇の割合が抑えられるため、受け入れられやすいが、低価格がウリの軽自動車にもこの機能は広がってきている。

 ダイハツ工業は12年にレーザーレーダーで前方の障害物を検知する衝突回避支援システム「スマートアシスト」を軽自動車で初めて導入、5万円という低価格だったことから装着するドライバーが増え、昨年7月には「スマートアシスト」搭載車種が累計100万台を超えた。今や同社が販売する乗用車では、約8割のユーザーが「スマートアシスト」搭載の自動車を選んでいるという。

 今後、自動ブレーキ機能を搭載した自動車はますます増えていくものと予想されるが、ここで問題となるのが中古車である。

 日本では新車約500万台に対し、中古車約370万台が売れる(15年)など、中古車市場の存在感は大きい。自動ブレーキ機能が搭載された新車が数多く世に出れば、いずれ中古車市場にも出回ることになるが、それにはまだ時間がかかる。自動ブレーキ機能の後付けが安価でできれば、事故は少なくなるが、一筋縄ではいかないようだ。

課題となる中古車対策
「後付け」安全装置も出現

 「今のところ中古車に後付けで自動ブレーキ機能をつける予定はありません」と自動車会社の社員は話す。

 中古車に対して後付けで自動ブレーキなどを装着するのは、センサーを付ける位置の設定が難しく、最近の車はエンジンとブレーキの動きがコンピュータ制御されているものが多いため、後から設置するのが技術的に困難だという。

 このため自動車メーカーは安全装置の後付けを歓迎しない傾向がある。メーカーとしては、車の組み立て段階で電子部品の一部として装置を組み込まない限りは、事故が起きた際に責任が取れないという考え方だ。中古車の後付けより利幅の大きい新車販売に注力したいという思惑もあるだろう。

 そうした状況のなか、自動車用品店最大手のオートバックスセブンが、昨年12月に急発進防止装置「ペダルの見張り番」を発売した。

 もっともこれは「自動ブレーキ機能」ではなく、アクセルとブレーキの踏み間違いを防止するものだ。アクセルペダルを踏み込んだ量を電気的に制御して誤発進を防止するシンプルな装置で、カメラやセンサー機能は付いていない。

 軽自動車を含む約100車種に後付けが可能で、価格は取り付け費用込みで税別3万9999円。「見張り番」を装着した車に乗ってみたが、時速10キロ以下で動いているときにアクセルを強く踏んでも警報音が鳴ってゆっくりと進むだけで加速しない。

 アクセルをゆっくり踏み込むと普通に加速する。これならブレーキとアクセルの踏み間違い事故も減りそうだ。自動車メーカーがやろうとしない後付けできる安全装置が低価格で登場してきたのは好ましいことで、問い合わせが相次いでいるそうだ。

 あらゆる状況に対応した自動ブレーキとなると、センサーなど複雑な装備が必要になり、後付けはできないことから、現状では「見張り番」は事故防止のための一つの選択肢と言える。

 富士重工業の安全運転支援システム「アイサイト」を搭載した車と非搭載の車を比較したところ、1万台当たりの人身事故発生件数が61%減少したそうで、操作ミスによる事故防止に役立っていることが確認された。同社によると新車購入時の「アイサイト」装着比率は9割以上になっているという。

 損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構は、自動ブレーキを搭載した車の事故率が大幅に減少していることから、昨年12月に自動ブレーキがかかる車の自動車保険料を平均9%安くすると発表。18年1月から適用になる。

 保険料が安くなれば、自動ブレーキ機能を搭載するコストの負担が実質減ることになり、自動ブレーキ機能を搭載するインセンティブにつながる。蛇足だが、年間8兆円の市場規模の損保会社にとっては保険料収入の約6割を占める自動車保険ビジネスの縮小につながる可能性がある。

視野に入れられている数年後の自動ブレーキ義務化 

 高齢者による事故が社会問題化していくことを受け、昨年11月に急きょ、関係閣僚会議を開催、安倍首相が高齢者の事故防止対策を強く要請した。

 国土交通省自動車局技術政策課の村井章展・車両安全対策調整官は「自動ブレーキの技術は障害物は認識するが、歩行者はまだ完全には検知できない。歩行者も認識できるなど全体の検知レベルが向上するのを受けて義務化も検討したい」と話し、数年先にはなりそうだが、義務化が視野に入れられていることがわかった。

 また、同省によると、軽自動車の台数は3000万台を超え、自動車全体のおよそ4割を占めるまでに増加し、その利用者の3割以上が60歳以上と高齢者の比率が高い。

 このため昨年12月に根本幸典国交政務官が軽自動車メーカー4社の担当役員を呼び、自動ブレーキをはじめとした先進安全技術の開発と普及促進を盛り込んだ事故防止対策を、2月までにまとめるよう指示した。防止対策は新車だけでなく、すでに販売した車に対しても警報装置を設置することなどを求められそうで、軽自動車メーカーは高齢者事故防止対策が待ったなしの最優先課題になっている。

 また、高速道路での逆走事故が絶えないことから、同省はカーナビ画面で運転手に警告するシステムの実現に向けた取り組みを始めた。衛星利用測位システム(GPS)の機能を活用して走行ルートを外れないようにし、車載カメラで進入禁止の標識を認識して逆走を防ぐことを想定している。カーナビメーカーなどから技術を公募中で、18年度からの運用を目指す。

 こうした官民の対策がすでに販売されている車を含めて実行されれば、高齢運転者に限らず、事故件数を大幅に減らすことができるだろう。

 しかし、大雪や豪雨などの悪天候ではどんなにセンサー技術が進歩しても、性能には限界があり自動ブレーキが作動しないことがあるという。最終的にはどのような気象条件でも走行できる自動運転車の開発が待たれる。事故は1件でも少ないほうが良いことは言うまでもない。まずは自動ブレーキ機能が搭載された自動車の普及が待たれるところである。それだけでも「登校中の小学生の列に自動車が突っ込み児童が死亡した」というような“惨劇“は大幅に減るはずだ。高齢ドライバー事故、免許証返納ではない解決策
「後付け」の安全装置も出現。自動ブレーキ義務化も視野に
2017/02/09
中西 享,伊藤 悟
 「母が軽度の認知症と診断され、運転免許証を返納させるか否か、家族で揉めています」

 榊原史子さん(仮名、東京都中央区在住)はそう悩みを打ち明ける。76歳になる母親は埼玉県草加市に住んでいるが、最寄駅から車で15分のところに住んでおり、自動車は生活に欠かせないという。

 「交通事故の恐ろしいところは、運転している本人だけでなく、何の罪もない周りの人も巻き込むことです。私としては何とか返納させたいと考えているのですが……」

 高齢化した親に免許証を返納させるべきか否か─。もしくは自分自身、免許証を返納すべきか否か─。こんな悩みを抱えている方も多いのではなかろうか。


2016年11月、立川市で83歳の女性が運転していた車が歩行者をはねた。連日のようにこうした交通事故が報じられている(JIJI)
実態とは異なる
報道から受けるイメージ

 2016年は交通事故死者の54.8%が65歳以上と、統計が残る以降、最も高い割合を示した。テレビをつければ、連日のように高齢運転者による悲惨な事故が報道されている。「高齢者は運転すべきでない。強制的に免許証を返納させろ」。こんな意見も目立つ。

 だが、事故の詳細をみていくと、日々の報道から受ける印象とは異なる実態が浮かび上がってくる。警察庁の資料によると、05年に6165件あった交通の死亡事故が、15年には3585件へと減少している。これは高齢者を含む全事故の件数で、ここ10年ほどで4割以上も減っている。

 認知症に罹患しやすくなる75歳以上の高齢運転者が起こした死亡事故件数のみ抽出してみると、05年は457件、15年は458件とほぼ横ばいだ。つまり、死亡事故全体の件数は減っているが、75歳以上の高齢運転者による事故は横ばいなので、割合が高まっている(05年7.4%→15年12.8%)ということになる。


http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/5/3/-/img_5388bd0e02ad50dec9c472a70a507a81115693.jpg
3月に道交法改正
強化される認知症対策

 75歳以上の高齢運転者による死亡事故の割合が12.8%とはいえ、認知症に罹患しやすい高齢者の多くがハンドルを握る現状を憂う意見には耳を傾ける必要がある。

 今年の3月12日から認知症の高齢運転者への対策を強化した改正道路交通法が施行される。免許更新時に認知機能検査で認知症の疑いがある75歳以上のドライバーは、逆走や信号無視などの交通違反がなくても医師の診察が必要になる。逆に交通違反があると、臨時の認知機能検査が課され、認知症が疑われると医師の診察が必要になる。いずれも認知症ドライバーによる重大な事故を未然に防ぐのが狙いだ。

 免許更新を受ける高齢ドライバーの数から考えると、これまでは認知症と診断されて免許取り消しになるケースは少なかった。

 老年精神医学が専門の慶應義塾大学医学部の三村將教授は「この改正法の施行により、医師による臨時適性検査の対象が大幅に拡大されるので、診察を行う認知症の専門医をどう確保するかなどの問題はあるが、一定の成果はあるのではないか」とみている。

 高齢者の免許証の返納についてみると、警察庁の統計では75歳以上の免許所有者のうち自主返納したのは15年では2.8%しかなく、返納者数は増えているが低い水準にとどまっている。

 特に地方の過疎地域の場合、地方自治体の財政難からバスなどの公共交通機関が縮小、廃止されてきており、買い物、病院通いなどの移動手段がマイカーしかないところが多い。

 このため、高齢者になっても生活の足として運転せざるを得ない状況にあり、地方では一律的な返納は反発を招きかねない状況になっている。

 高齢者に対して無理に免許を返納させようとするとトラブルが起きかねない。昨年12月には岡山市で事故を起こした母親(79歳)と免許返納を求める息子とで口論になり殺人未遂事件まで起きている。

 仮に75歳以上の高齢者すべてに免許証を返納させたとしても、前出の通り、12.8%の死亡事故はなくなるが、90%弱の死亡事故は残る。

 果たして交通事故を限りなくゼロに近付け、しかも地域の足を確保する解決策はあるのだろうか。

期待すべきはテクノロジー
広がる「自動ブレーキ」

 その解の一つはテクノロジーである。昨今注目されている自動運転は、そもそも人にぶつからない可能性が高いが、すべての自動車が自動運転車になるにはまだまだ時間がかかる。現実的には、「自動ブレーキ機能」に大きな期待が寄せられる。


シリコンバレーの一般道を試験走行するグーグルの自動運転車(MASATAKA NAMAZU)
 08年にいち早く低価格で衝突防止装置を取り付けたのが、ステレオカメラで前方の障害物を検知する運転支援システム「アイサイト」を導入した富士重工業だった。10年以降、装着費用が10万円程度と割安だったことからユーザーの支持を受けて普及した。

 トヨタ自動車は、車の前後に取り付けた超音波センサーが障害物の接近を表示とブザーで知らせ、ペダルの踏み間違いによる衝突防止に役立つ「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」を開発、12年以降9車種に搭載してきた。今後、装備できる車種を増やす方針だ。

 ICSを装備した車と、していない車の駐車場で起きた事故データ約2500件を比較調査したところ、装着した車のペダル踏み間違い事故が約7割減少、後退時の事故は約4割減少したという結果を得られたという。

 自動車の価格が高価であればあるだけ、自動ブレーキ機能を付加することによる価格上昇の割合が抑えられるため、受け入れられやすいが、低価格がウリの軽自動車にもこの機能は広がってきている。

 ダイハツ工業は12年にレーザーレーダーで前方の障害物を検知する衝突回避支援システム「スマートアシスト」を軽自動車で初めて導入、5万円という低価格だったことから装着するドライバーが増え、昨年7月には「スマートアシスト」搭載車種が累計100万台を超えた。今や同社が販売する乗用車では、約8割のユーザーが「スマートアシスト」搭載の自動車を選んでいるという。

 今後、自動ブレーキ機能を搭載した自動車はますます増えていくものと予想されるが、ここで問題となるのが中古車である。

 日本では新車約500万台に対し、中古車約370万台が売れる(15年)など、中古車市場の存在感は大きい。自動ブレーキ機能が搭載された新車が数多く世に出れば、いずれ中古車市場にも出回ることになるが、それにはまだ時間がかかる。自動ブレーキ機能の後付けが安価でできれば、事故は少なくなるが、一筋縄ではいかないようだ。

課題となる中古車対策
「後付け」安全装置も出現

 「今のところ中古車に後付けで自動ブレーキ機能をつける予定はありません」と自動車会社の社員は話す。

 中古車に対して後付けで自動ブレーキなどを装着するのは、センサーを付ける位置の設定が難しく、最近の車はエンジンとブレーキの動きがコンピュータ制御されているものが多いため、後から設置するのが技術的に困難だという。

 このため自動車メーカーは安全装置の後付けを歓迎しない傾向がある。メーカーとしては、車の組み立て段階で電子部品の一部として装置を組み込まない限りは、事故が起きた際に責任が取れないという考え方だ。中古車の後付けより利幅の大きい新車販売に注力したいという思惑もあるだろう。

 そうした状況のなか、自動車用品店最大手のオートバックスセブンが、昨年12月に急発進防止装置「ペダルの見張り番」を発売した。

 もっともこれは「自動ブレーキ機能」ではなく、アクセルとブレーキの踏み間違いを防止するものだ。アクセルペダルを踏み込んだ量を電気的に制御して誤発進を防止するシンプルな装置で、カメラやセンサー機能は付いていない。

 軽自動車を含む約100車種に後付けが可能で、価格は取り付け費用込みで税別3万9999円。「見張り番」を装着した車に乗ってみたが、時速10キロ以下で動いているときにアクセルを強く踏んでも警報音が鳴ってゆっくりと進むだけで加速しない。

 アクセルをゆっくり踏み込むと普通に加速する。これならブレーキとアクセルの踏み間違い事故も減りそうだ。自動車メーカーがやろうとしない後付けできる安全装置が低価格で登場してきたのは好ましいことで、問い合わせが相次いでいるそうだ。

 あらゆる状況に対応した自動ブレーキとなると、センサーなど複雑な装備が必要になり、後付けはできないことから、現状では「見張り番」は事故防止のための一つの選択肢と言える。

 富士重工業の安全運転支援システム「アイサイト」を搭載した車と非搭載の車を比較したところ、1万台当たりの人身事故発生件数が61%減少したそうで、操作ミスによる事故防止に役立っていることが確認された。同社によると新車購入時の「アイサイト」装着比率は9割以上になっているという。

 損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構は、自動ブレーキを搭載した車の事故率が大幅に減少していることから、昨年12月に自動ブレーキがかかる車の自動車保険料を平均9%安くすると発表。18年1月から適用になる。

 保険料が安くなれば、自動ブレーキ機能を搭載するコストの負担が実質減ることになり、自動ブレーキ機能を搭載するインセンティブにつながる。蛇足だが、年間8兆円の市場規模の損保会社にとっては保険料収入の約6割を占める自動車保険ビジネスの縮小につながる可能性がある。

視野に入れられている数年後の自動ブレーキ義務化 

 高齢者による事故が社会問題化していくことを受け、昨年11月に急きょ、関係閣僚会議を開催、安倍首相が高齢者の事故防止対策を強く要請した。

 国土交通省自動車局技術政策課の村井章展・車両安全対策調整官は「自動ブレーキの技術は障害物は認識するが、歩行者はまだ完全には検知できない。歩行者も認識できるなど全体の検知レベルが向上するのを受けて義務化も検討したい」と話し、数年先にはなりそうだが、義務化が視野に入れられていることがわかった。

 また、同省によると、軽自動車の台数は3000万台を超え、自動車全体のおよそ4割を占めるまでに増加し、その利用者の3割以上が60歳以上と高齢者の比率が高い。

 このため昨年12月に根本幸典国交政務官が軽自動車メーカー4社の担当役員を呼び、自動ブレーキをはじめとした先進安全技術の開発と普及促進を盛り込んだ事故防止対策を、2月までにまとめるよう指示した。防止対策は新車だけでなく、すでに販売した車に対しても警報装置を設置することなどを求められそうで、軽自動車メーカーは高齢者事故防止対策が待ったなしの最優先課題になっている。

 また、高速道路での逆走事故が絶えないことから、同省はカーナビ画面で運転手に警告するシステムの実現に向けた取り組みを始めた。衛星利用測位システム(GPS)の機能を活用して走行ルートを外れないようにし、車載カメラで進入禁止の標識を認識して逆走を防ぐことを想定している。カーナビメーカーなどから技術を公募中で、18年度からの運用を目指す。

 こうした官民の対策がすでに販売されている車を含めて実行されれば、高齢運転者に限らず、事故件数を大幅に減らすことができるだろう。

 しかし、大雪や豪雨などの悪天候ではどんなにセンサー技術が進歩しても、性能には限界があり自動ブレーキが作動しないことがあるという。最終的にはどのような気象条件でも走行できる自動運転車の開発が待たれる。事故は1件でも少ないほうが良いことは言うまでもない。まずは自動ブレーキ機能が搭載された自動車の普及が待たれるところである。それだけでも「登校中の小学生の列に自動車が突っ込み児童が死亡した」というような“惨劇“は大幅に減るはずだ。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8825
 

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コメント
 
1. 2017年2月11日 10:30:19 : fGuGCb1aDA : 6_poo@NGpks[64]

酔っ払い運転が厳しく取り締まられているのに

高齢者とりわけ認知症老人の運転を認めるのは

いかに敬老精神が優先される「儒教社会」とはいえ

危険すぎる誤りだ

「生活に不便」という理屈を支持するひともいるようだが

いまの八十歳代の「親の世代」はすべて徒歩かリヤカーで賄っていたのだ

甘ったれたことを言うな 。。。

70歳からは免許更新を厳しく一年ごと 75歳からは半年ごとに

動体視力や反射神経をキビシク検査 平均台を渡れないものは失格など

高齢者の免許はきびしいうえにキビシク 。。。

 

 


2. 2018年3月20日 12:19:18 : DNGF1VD2pI : r0sZszspjzY[116]
>1

昔のことを言ってはならない。無意味。
むしろ、公共交通をもっと地域極小量需要即時対応で可能なシステムを構想することがよいだろう。


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