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銀行・生保・商社・自動車…これから始まる一流企業「大合併」 人口減少社会で生き残るために(週刊現代)
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/758.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 2 月 07 日 07:58:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


銀行・生保・商社・自動車…これから始まる一流企業「大合併」 人口減少社会で生き残るために
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50896
2017.02.07 週刊現代  :現代ビジネス


「勝者総取り」の時代だ。ごく一部の企業だけが突出して成長して輝く一方で、大多数は無残に死んでいく。勝ち残るためにはライバルとも手を組む。経営者たちはもう動き出している。

■「メガ合併」の衝撃

みずほフィナンシャルグループ(FG)と三井住友トラスト・ホールディングス(HD)が、傘下の資産管理銀行を統合すると報じられてから約2週間。いまだ銀行業界では、この統合劇による衝撃の余波が収まらない。

今回の統合は、コストやシステム運営費を減らしたいという思惑が一致したライバル同士が手を組んだもの――。

新聞やテレビではそんな経済解説がなされているが、銀行業界のインナーたちはまったく違った視点からこの統合劇を眺め、戦々恐々としている。

「現在、日本の銀行業界は青息吐息の経営を強いられています。ただでさえ人口減少で経済のパイが縮小して利ザヤを稼ぎづらくなっている中、日本銀行がマイナス金利政策を導入したことでトンネルの先がまったく見通せない状況に追い込まれている。

そうした中で、今回の統合話が急浮上してきたことの意味は何かと言えば、メガバンクですら生き残るためには手段を選んでいられず、系列を超えた金融再編が一気に幕を開ける可能性が出てきたということです。

すでに日本の銀行界では、'90年代後半から'00年代前半にかけて、不良債権問題から経営破綻、経営危機が勃発し、現在の3メガに集約された経緯があります。

あれから10年以上が経ち、この体制すら維持するのが厳しくなってきた。ここからは、生き残りをかけた大合併劇が起こり得る」(元日本興業銀行金融法人部長で経済評論家の山元博孝氏)



そんな金融再編の「目玉」として銀行界で噂になっているのが、みずほと三井住友FGの「メガ合併」という驚愕のシナリオである。

順を追って説明すると、まず今回はみずほが出資する資産管理サービス信託銀行と、三井住友トラストが出資する日本トラスティ・サービス信託銀行の統合だが、その先にはみずほFGと三井住友トラストHD同士が一緒になる可能性がある。

              

みずほ幹部が、「確かにそれは検討されている」として内情を明かす。

「現在のみずほFGの佐藤康博社長は、信託銀行部門を強化したいという想いが強い。信託銀行は普通の銀行と違い不動産業ができるため、低金利時代にあって高い仲介手数料を稼げる絶好のビジネスになるからです。

佐藤社長は、みずほ銀行とみずほ信託銀行を統合させて、全国の支店で不動産業を展開させる壮大な構想まで考えていた。みずほ信託銀行が三井住友トラストHD傘下の三井住友信託銀行と一緒になれれば、まさにその強力な一手となり得る」

三井住友トラストも、「みずほと近づくメリットは大きい」と、三井住友グループ幹部は言う。

「三井住友FGが同じ金融グループ内で自分たちを格下として見るのが気に入らないし、仮に統合となれば経営の主導権を握られるのは目に見えている。

そのため、三井住友銀行の國部毅頭取と三井住友信託銀行の常陰均社長は表向き良好な関係だが、水面下での駆け引きは激しくなっている。その点、みずほ相手であれば、交渉次第では『対等合併』という形に持ち込める」

次に、両社がそうして蜜月を深めるほど、三井住友FGとしては黙ってはいられなくなる。三井住友は昨年度にみずほの後塵を拝して業界3位に転落しており、みずほと三井住友トラストが統合すれば、その差は広がるばかりだからである。

「そこでいま業界内で語られているのが、三井住友と大和証券グループ本社の『復縁話』です」と、銀行業界を長く取材する金融専門記者は言う。

「三井住友は業界トップに立つために、@信託強化、A海外の地銀買収、B証券業務の強化の3つの選択肢を考えてきた。ただし、@については三井住友トラストとの統合が一番だが、みずほに先手を取られた。Aも、現在海外にいい出物がないのが実情。

そこで浮上してくるのがBであり、かつて提携しながら関係解消に至った大和との復縁話が急浮上してきた。

実は、これは大和証券にも渡りに船の面がある。リーマン・ショック後の証券業界では、いざという時のキャッシュを確保するため、『銀行がついている』というのが重要になっている。

大和ネクスト銀行を作ったのもその一環だが、なにぶん大和証券には銀行運営のノウハウがない。それが三井住友と一緒になれば、問題がクリアできる」

大和はりそなHDと手を結ぶとも噂されていたが、大和が三井住友と一緒になる場合、野村HDがりそなを狙いにかかるとの話も浮上。

つまり、金融業界では銀行、証券の垣根を越えて再編の主導権を誰が握るかの駆け引きが激しくなってきたわけだが、そうした中で出てきたのが、みずほ銀行と三井住友銀行の「メガ合併」という驚愕の統合シナリオなのである。前出・幹部は言う。

「三井住友トラストはいま、自分たちの価値をわかった上で、みずほと三井住友を天秤にかけて、両社を揺さぶろうとしている。大和証券にしても、三井住友に吸収合併される形は嫌なので、強気の交渉に出てくるのは濃厚。

そうした面倒な交渉で時間をロスするくらいなら、いっそのことみずほと三井住友のメガ同士で対等合併するほうが話は早いという意見が出てきた。

荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、予兆もある。三井住友は今年4月の組織改定で、みずほとほぼ同じ組織体制に大幅に作りかえる。これは将来のメガ合併に向けた布石ではないか、と」

■キリンとコカが火をつけた

胎動し始めた大再編劇――。実は金融業界に限らず、こうした巨大企業の合併・統合話がいま、さまざまな業界で浮上しつつある。

理由は明確で、急激に進む日本の人口減少社会化だ。国内市場のパイは縮むばかりで、市場を喰い合う企業の生存競争が熾烈になっている。敗れて会社が倒れれば、社員とその家族を路頭に迷わせる。

なにがなんでも生き残るためには、ライバルとでも手を結ぶべきでは……。そんな会社の未来を決する判断に、頭を悩ませている経営者が急増しているのである。

たとえば、飲料業界。業界トップのコカ・コーラグループと、業界5位のキリンビバレッジを擁するキリンHDの提携話が突如わいて起こり、業界再編気運が急激に高まっている。

「国内清涼飲料マーケットは乱立するメーカーによる過当競争が年々激しくなり、年間1000万ケースを超えるヒット商品も出なくなってきた。キリンHDの磯崎功典社長も『利益率が低すぎる』と嘆いていた中で、昨年から一気にコカ側と話し合いがまとまり、提携話へと進展している。

当初は運送の共同化などに取り組む予定だが、そこから資本業務提携へ発展する可能性も高まっている。さらに、磯崎社長は飲料事業をコカ側に売却する可能性まで示唆している。ここへきて、一気に業界再編に発展しかねない」(ビジネスリサーチ・ジャパン代表の鎌田正文氏)

飲料業界ではここ数年、サッポロHDがポッカコーポレーションを、アサヒグループHDがカルピスを買収するなど、大が小を呑み込む再編は起きていたが、ここからは大企業同士の統合話が急伸していく公算大だ。飲料総研取締役の宮下和浩氏も言う。

「いま一番困っているのはサントリーHD。業界2位のサントリー食品インターナショナルは『打倒コカ』で業界トップを目指して、JTの自販機事業を約1500億円で買収するなど攻勢を仕掛けていたのに、コカとキリンが統合すれば差がさらに開いてしまう。

しかも、気になるのは業界3位以下のアサヒグループHDや伊藤園の動き。キリン、コカに対抗すべく、大塚HDやダイドードリンコを巻き込んだ新しい『第三極』を形成する可能性が出てきた」

そうなれば、サントリーも「単独」で生き残るのは厳しくなるが、キリンとはかつて破談になった経緯があり、よりが戻る可能性は低い。一方、アサヒが相手であれば、海外展開に積極的な点など戦略は合うし、今後の酒税改正が逆風になるサントリーと追い風になるアサヒは補完し合える。

すでに海外ではビール1位のアンハイザー・ブッシュ・インベブが2位のSABミラーを統合しており、「日本でもアサヒ−サントリーの巨大連合が誕生する可能性が高まってきた」と業界関係者たちは口を揃えるようになってきているのだ。

続けて見れば、典型的な内需企業の百貨店業界も昨年、36年ぶりに売上高が6兆円を割り込み、市場縮小が止まらない。

「そもそも、百貨店のビジネスモデルというのは、場所を貸して、売り上げの15〜20%をもらう場所貸し業です。

かつて地価が高かった時代には、そのマージンを払ってでも百貨店のある一等地に店を出したい店は多かったが、いまは地価も下がっているので、わざわざ百貨店に頭を下げなくても自力で銀座の一等地に出店できるようになった。だから、売上減が止まらない」(流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏)

■「高島屋三越伊勢丹会社」へ

モノが売れない時代にあってはその傾向に拍車がかかっており、ここからは業界再編が必至。ファッションジャーナリストの南充浩氏も言う。

「昨年、三越伊勢丹HDの大西洋社長に何度かインタビューしましたが、『百貨店はいまのままでは生き残れない』と率直に語っていました。同社が外食、ブライダルなど他業種との提携策を矢継ぎ早に打っているのも、生き残りのために必死だからです。

昨年には、経営不振のそごう・西武が、阪急阪神百貨店などを運営するエイチ・ツー・オーリテイリングに一部店舗を売却しましたが、ここからはさらなる店舗売却や再編が起こっていくでしょう。

その中心になるのは、高島屋。売上高ベスト10の中に、日本橋、横浜、JR名古屋、大阪の4店舗を持つなど、高島屋は全国に強い店舗を持つ唯一無二の百貨店です。

伊勢丹ならば新宿本店、阪急もうめだ本店は強いけれど、それ以外の店舗は厳しい。伊勢丹や阪急に限らず、各百貨店の中小型の地方店などは今後も縮小、閉店、切り売りされていくでしょう」

その流れが加速すれば、気づいた時には、高島屋が三越伊勢丹の新宿本店以外をすべて手中にして、統合せずとも実質的に「高島屋三越伊勢丹会社」になっている――そんな未来図もあり得るわけだ。



意外なところでは、テレビ業界でも再編気運が高まっている。「フジ・メディアHDがWOWOWに触手を伸ばしています」と指摘するのは、元日本総研メディア研究センター所長でメディアコンサルタントの西正氏だ。

「ほとんど報じられていませんが、昨年12月に注目すべき動きがありました。フジ・メディアHDが約43億円を投入し、WOWOWの株式を追加取得したのです。これでフジの株式保有比率は20%を超えた。

実は、フジは伊藤忠と合同で出資している伊藤忠・フジ・パートナーズ名義で、スカパーJSAT HDの株式も20%以上保有しており、同社の筆頭株主。民放テレビ事業ではCMなどの広告収入が伸びない中、フジが安定収入の望める有料放送に手を出そうという狙いが透けて見える。

一から有料放送をやろうにも一朝一夕にはできないので、一気にWOWOWかスカパーを買収し、自社のプラットフォームに加える動きに出てもおかしくはない」

現在、法律上は一つの認定放送持株会社が複数のキー局を持つことはできない。

だが、「かつてラジオ事業者が経営難に陥り、一事業者が複数局持てるように規制が緩和されたように、将来的にテレビ局の経営が傾いた時、テレビ局と総務省の議論の中で規制が変更される可能性はある」(元NHK放送文化研究所主任研究員で次世代メディア研究所代表の鈴木祐司氏)。

「テレビ不振」の時代にあっては、民放キー局同士の統合も絵空事とは言えなくなってきた。日本テレビ放送網幹部が言う。

「いま言われているのは、日本のテレビ界の『フランス化』です。日本のテレビ局は電波を飛ばすハード・設備部門と、番組を作るソフト部門が一体化しているが、それでは経営が高コスト体質になるので、フランスでは分離している。

経営難化している日本のテレビ局も早晩、分離型に移行すると見られており、そうなると規制も緩和されて新規参入組が急増する。

もちろん、既存民放局を買収することで手っ取り早く新規参入しようという業者も出てくる。そうした中で、アニメ制作会社を買収するなどソフト力の向上に余念がない日本テレビHDが、弱体化しているフジを救済する形で吸収するか、あるいは、ともに弱体化したところを異業種に買収されて統合されるか……。

そんなシナリオも『想定範囲内』になってきた。当然、テレビ広告費の激減を受けて、電通と博報堂も統合しないと生き残れなくなるでしょう」

見てきたように、国内の過当競争を闘っているばかりではじり貧になるのは目に見えているので、世界に活路を見出そうとする企業も多い。

しかし、世界に出ればそれで「安泰」ではなく、むしろこれまで相手にしたことのないような巨大企業がライバルになってくる。こうした相手に伍するための再編劇も、ここから続出してくる。

生損保業界は、まさにその「好例」。大手生保幹部が言う。

「生損保ともに人口減少・高齢化する国内だけでは稼いでいけないので海外に打って出る必要がありますが、世界には総収入が15兆円規模の仏AXAグループや、独アリアンツグループなどの『ガリバー』が君臨している。

しかも、彼らは生保も損保もやる総合保険会社。こうした中、業界内では『次の国内の巨大再編は生損保の枠を超えた業界再編になる』と言われ始めています」

■第一生命とかんぽ生命も

中でも有力視されているのが、日本生命と東京海上HDの統合だ。大手損保OBも言う。

「東京海上HDは中期経営計画で生保事業を『成長分野』と明記するなど積極的ですし、かたや日本生命は海外事業に出遅れているので、海外M&Aに積極的な東京海上が魅力に映る。この2社は販売チャネルも異なり、日本生命は生保レディ6万人による販売、東京海上は代理店による販売が主流。

一緒になれば、生保・損保のセット販売ができるうえに、営業網もバッティングしないので、シナジー効果はかなり大きい」

両社の統合が実現すれば、その総収入規模は10兆円超に迫り、世界のトップ5に肩を並べる。そんな日本生命−東京海上連合に対抗するために、第一生命HDとかんぽ生命が合併して、同じく「10兆円グループ」の仲間入りをするという話も浮上している。

「第一生命からすれば、郵便局での窓販チャネルを使えるのが絶好の商機になるし、かんぽ生命からすれば第一生命の商品開発ノウハウなどを吸収したい。

さらに、保険会社というのは巨額マネーを運用する『ファンド』の側面も持っており、この両社が一緒になれば、より積極的な投資案件にベット(賭け)することができるようになる。実は昨年、かんぽ生命と第一生命は業務提携することで基本合意もしている」(前出・幹部)

ここで次の表をご覧いただきたい。これは各業界で大企業同士が手を結んだ場合、世界でどれだけの地位になれるかを示したものだ。



たとえば、石油元売り業界ではJXHDと東燃ゼネラル石油の統合は決まっているが、さらにここに出光興産、昭和シェル石油を合わせても世界5位。メガファーマが君臨する製薬業界でも武田薬品工業、第一三共など業界トップが統合してやっと世界2位で、そこまでしないと世界では勝ち残れないということがよくわかる。

航空業界では、JALとANAHDという長年のライバルが手を結ぶと世界4位になるが、その再編話は現実的になりつつある。航空業界の内情に詳しい嘉悦大学教授の小野展克氏が言う。

「目下、国際線競争が激しさを増していて、各国で大胆な統合再編が巻き起こっています。国際線を飛ばす自国の航空会社を一社に絞って生き残りを図ったり、仏エールフランスと蘭KLMが統合するなど、国境を越えた統合まで起きている。

さらに、アジアや中東では国が主導する形で、最新鋭の空港を整備したうえで自国航空会社のプレゼンスを高めていく戦略が取られ、大韓航空やシンガポール航空、エミレーツ航空が伸びている。

片や日本では人口1億人あまりなのに国際線2社体制を維持しており、国際競争で出遅れている。このままいけば経営体力を消耗するだけなので、これを挽回するにはJALとANAの統合という一手に出る必要に迫られてくる」

アメリカの航空業界もかつて大手6社体制だったのが、各社の経営破綻などを経て3社に集約された。日本でもJALが経営破綻したのは記憶に新しいが、このときは国土交通省が救済策に乗り出した経緯がある。



「国交省には『競合2社体制を維持することで、自分たちの航空行政の存在感を維持できる』という思惑があり、これが再編を妨げている一因になってきました。

しかし、もはやそんな悠長なことは言っていられず、昨年からは国交省がJAL、ANAに対して、採算の悪化している傘下の地域航空会社の統合を検討するように指示を出した。この先に、国際線部門の統合が出てきてもなんらおかしくない。

採算性の高い国内線は競合を維持しながら、国際線では新たなナショナルフラッグ『JANA』が生まれる日も遠くないかもしれません」(前出・小野氏)

■三井住友商事がついに

生き残るためには、もはや手段を選んではいられない。現在は勝ち組の企業ですら、一寸先はどうなるかわからない。「その時」に備えるべく、強者連合でいち早く統合する流れもこれから加速していく。

たとえば、アジアで化粧品が絶好調な資生堂と紙おむつなどが売れている花王が組んで、アジアでの地位を盤石にする。同じく、世界に和食文化を売り込んで大成功している味の素とキッコーマンが統合して、メイドインジャパンの味を世界中で売りまくる。

電機業界ではいち早く構造改革を進めたパナソニックと日立製作所が組めば、すべてのものがインターネットにつながる「IoT時代」で先駆者になり得る――といった具合である。

さらに、世界的に企業が巨大化する流れを受けて、ビジネスや投資案件の規模も巨額化。うまくいけば儲けも大きくなる一方で、下手を打てば「即死」しかねない高リスク時代にも直面している。そのため、仮に被弾しても倒れないよう、より強靭な企業体質にするための再編統合も巻き起こっていく。

象徴的なのが、世界を舞台にビッグビジネスを仕掛ける大手商社業界。資源ショックが吹き荒れた昨年頃から、三井物産と住友商事の合併観測が燻っている。

「住友商事はマダガスカルで世界最大規模のニッケル鉱山に数千億円規模で投資していますが、投資時点からニッケル価格が暴落したため、減損リスクが指摘されている。すでにこの件では昨年に770億円を減損処理したのですが、その後もニッケル価格は振るわず、追加減損を強いられる危険性がある。

実は、500億円超で買収したアメリカの鋼管問屋も赤字体質が続いていて、追加処理を強いられかねない。そのため、こうした巨額案件での減損が一気に噴出して経営危機に陥った場合、三井物産が救済する形で両社が統合するという話が出回り始めた。

『資源一本足』と言われている三井物産からすれば、ジュピターテレコムなど非資源部門が強い住商と手を組むメリットも大きい」(大手商社幹部)



そんな三井−住友連合が誕生した暁には、それを号砲に大手商社は6社体制から巨大3グループに集約されると業界内では専らだ。前出・幹部が続ける。

「伊藤忠と丸紅は、もともと同じ会社だったのが戦後に分割された経緯があるので、ここは『元サヤ』に戻る。伊藤忠は投資案件が中国へ偏っているので、アメリカで化学品事業が絶好調の丸紅と一緒になればフィット感も強い。

社長任期を延長している伊藤忠の岡藤正広社長が、『最後の花道』としてこの合併ディールを手掛ければ話もまとまりやすい。

当然、そこまでくれば『王者』の三菱商事も動かざるを得ず、相手となるのは鉄鋼事業で共同出資会社を作るなど懇意の双日しかない」



同じように海外の数千億円規模の巨額工事案件が増えてきたゼネコン業界では、体力強化のために鹿島建設と大林組の「電撃結婚」の可能性が指摘されている。

■「自前主義」では死ぬ

「不確実性」の時代と言われる中では、もうなにが起きても不思議ではない。日本経済を牽引してきた自動車業界にあっても、変化への対応を迫られる気配が濃厚になってきた。経済ジャーナリストの塚本潔氏が言う。

「これまで世界の自動車業界は、トヨタ、フォルクスワーゲンなどの『1000万台クラブ』を中心に勢力図が形成されてきましたが、今後は大きく変わる可能性があります。

今後の自動車業界の『覇権』を決定づけるのは販売台数ではなく、自動運転化、AI(人工知能)化などが進む中、自動車を動かすソフトウェアを誰が制するかがポイントになるからです。

端的に言えば、自動車産業は、かつて携帯電話がスマホ化したのと似た状況になる。

ソニー、富士通などが端末メーカーとして活躍していたのが、携帯がスマホ化した途端、スマホを動かす基盤のソフトウェアを押さえた米アップルとグーグルが完全に市場を制覇した。その流れに乗り遅れた日本勢は一気にシェアを失い、撤退を余儀なくされた」

自動車業界でそのソフトウェア開発で一歩リードするのが米グーグル。そのグーグルと手を組んでいるのがホンダで、「スマホ業界でサムスンがグーグルと先んじて手を組んで躍進したように、ここからはホンダが『サムスン化』して急激にシェアを拡大する可能性がある」(前出・塚本氏)。



一方、トヨタはソフトウェア開発で自前主義を貫いているが、躍進するホンダに後れを取れば路線を変える可能性もある。

「ここからの技術変革に自前主義だけで対応しようとすれば、ライバルたちに先を越されるリスクが高まる。日本勢の課題は、いかに世界標準のソフトウェアを作れるかにかかっている。

実はホンダはソフトバンクグループとも共同研究をしているので、トヨタもここに合流して、トヨタ・ホンダ・ソフトバンクの日本連合ができる可能性も十分に考えられます」(桜美林大学教授の土屋勉男氏)

あなたの会社があなたの会社でなくなる日は、そう遠くない。でもそれは、みんなで生き残るためには仕方のないことなのだ。「ひとつ」にならないことがリスクになる時代に、われわれはいま直面している――。

「週刊現代」2016年2月11日号より



 

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コメント
 
1. 2017年2月08日 21:46:56 : axdxgm3Wdc : WoR5VAJtx2c[563]
マスゴミも 合併しろよ 甘えずに

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