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カンボジア首都の北東にある日本橋(右)と中国橋
中国がカンボジアに国家予算の5%もの「爆援助」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170205-00000022-pseven-cn
SAPIO2017年3月号
南シナ海を自らの版図に組み込むべく、中国人民解放軍は人工島増設を進めている。国際秩序をかき乱す暴挙に他ならない。一方で、東南アジア諸国(ASEAN)が一枚岩で抗議できないのは、中国が彼らの急所を握っているからでもある。このたびジャーナリストの安田峰俊氏が訪れたカンボジアは、 まさにいま中国に喰われようとしている。
* * *
熱帯の日差しがヘルメットを焼いた。バイクのエンジンをふかし、過重積載のトラックとトゥクトゥクの群れが渦巻く環状交差点に突っ込む。私が目指すは、街の北東のトンレ・サップ川(メコン川の支流)に架かる全長約710mの「日本・カンボジア友好橋」(通称・日本橋)だ。
いざ日本橋に差し掛かると、路面の老朽化が激しく穴ぼこだらけで難渋した。いっぽう、左手には建設直後の新橋が並行して伸び、対向車両が快適なドライブを楽しんでいる。やがて渡り切った場所に待っていたのは、中国製の巨大な電光掲示板と五星紅旗がはめ込まれた華々しい記念モニュメントであった──。
ここはカンボジアの首都、プノンペンだ。かつて泥沼の内戦に苦しんだ同国だが、近年は目覚ましい勢いで復興が進み、毎年7%以上のGDP成長率を誇る「東南アジア最後のフロンティア」として注目を集めている。1990年代初頭、明石康氏を代表とするUNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)が国内の混乱を収拾し、その過程で邦人2人が殉職するなど日本との縁も深い。
トンレ・サップ川に初代の日本橋が架かったのは1966年だ。この橋は内戦時代にポル・ポト派により爆破されたが、日本は1994年に無償資金協力を通じて橋を再建した。現地では結婚写真の撮影場所に使われるなど、両国の友好と復興のシンボルとして長らく愛されてきた。
だが、近年は経済発展に伴う交通量の激増や経年劣化で、橋の再整備を求める声が出ていた。そこで登場したのが中国である。
2015年10月、かねてからカンボジア政府への有償借款契約に合意していた中国は、なんと日本橋と完全に並行する形で「中国・カンボジア友好橋」を建設する。現在は市街方面に向かう上り車線を中国橋、下り車線を日本橋で分担して運用されている。
目立つ場所に記念碑ひとつ見つからない日本橋と比べ、中国側のモニュメントは巨大だ。知らぬ人が見れば、両橋とも中国が作ったように見えるだろう。
「現場はプノンペン市にとって重要な幹線路。現在、ODA事業として日本橋の改修工事計画も進行中です。この工事の際に交通が途絶せずに済むので、中国橋の存在にメリットもある。カンボジア国民にとってはよい結果になっています」
国際協力機構(JICA)現地事務所の関係者は語るが、釈然とせぬ思いは残る。
ちなみに中国橋の建設が決定した2010年は、中国の対カンボジア年間援助額が、従来最大の援助国・日本の額を上回った年だ。以前はODAを受け取る側だった中国だが、ここ10年ほどで開発途上国を対象に「爆援助」を展開。中国の対カ年間援助額はその後も伸び続け、2014年度には日本の約2.7倍に達した。
もちろん、カンボジアの復興はよろこばしい。だが、大部分が無償援助である日本に対し、中国の援助は9割が有償借款(つまり借金)となっている。現在のカンボジアはそんな中国のカネに「国家予算の約5%」(JICA関係者談)を頼る状況である。
この「爆援助」による大規模なインフラ整備事業で儲けるのは中国企業だ。元JICAカンボジア事務所長の松田教男氏は話す。
「中国企業の工事は安価だが、事前調査や資材の吟味・安全対策などを軽視しがち。一方、インフラの耐久性への意識が希薄なカンボジア当局は、壊れる可能性を無視して初期費用が安価な中国企業に引き寄せられる。結果、すぐに劣化する道路や橋の修理を当局が中国企業等に何度も依頼し、結果的に高くつくのです」
頭金は安いが、中国企業にメンテナンス費を延々とむしられる構図である。
中国橋の走り心地は古い日本橋より良好だったが、築1年の割には汚れや劣化が目に付いた。やがてはこの橋も、中国にカネをもたらし続ける“永久機関”に変わるかもしれない。
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