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無理をして家を買った結果、老後に貧乏暮らしが待っているーー人口が減少し、地価も上がらない時代になったのに、いまだに「持ち家信仰」がはびこっているのは由々しき事態だ
持ち家は下流老人への近道!不動産=資産という幻想を手放せ
http://diamond.jp/articles/-/116207
2017年2月1日 ダイヤモンド・オンライン編集部
日本人の約8割が欲しいと思っている持ち家。アベノミクスによる地価上昇や住宅ローンの超低金利も、持ち家への後押しとなっている。しかし、不動産鑑定業界で取り扱いトップを誇る三友システムアプレイザルの井上明義相談役は「持ち家は下流老人の始まり」と断言する。
■明るい材料はゼロ!住宅価格は上がらない
――これだけ低金利だし、家賃を払い続けるよりは家を買った方が資産形成にもなる。そんな考えが常識的だと思っていましたが…。
家を持つことに明るい材料は何もありません。日本は既に人口減時代に突入しています。世帯数も当然減っていきます。
一方で空き家はものすごい勢いで増えている。都心に点在する一等地は例外ですが、それ以外、特に地方の空き家は救いようがないと言っていい。お父さんががんばって駅から遠い場所に家を建てたはいいものの、売りたくなっても駅から遠い上に設備も老朽化して売れない、そして借り手もつかない、といった話ばかりです。
家を建てる30代頃はまだまだ元気で、将来子どもが巣立って夫婦2人暮らしになるとか、体が動かなくなって掃除や炊事もままならなくなり、ホームに入らなければならなくなるという未来は想像しにくいでしょう。だから郊外に広い家を買ってしまいがち。高齢者になってはじめて、家が資産になるどころか、始末に困る代物であることに気づく人が多いのです。「資産形成になるから」と無理をして建てた場合、家だけが残って現金が十分残らないでしょう。これでは下流老人になってしまいます。
中古住宅にきちんと値段が付く欧米と違い、日本は圧倒的に新築信仰の国です。そもそも日本では買った瞬間に住宅の価値は下がり、一戸建てでは築20年ほどでゼロになってしまう。こんな状況が続く限り、住宅=資産という図式は成り立ちません。むしろ、お金を生まず、税金ばかり取られるという、「マイナスの資産」になる危険性が高いのです。
今後、人口が減って行くのだから、土地価格も上がるはずがありません。長年、日本人が常識だと思ってきた持ち家信仰は、今やまったく的外れな考え方になってしまったのです。
■日本人は賃貸のメリットを再評価すべき
――そもそも、どうして持ち家信仰が広まったのでしょう?
実は戦前まで、日本は賃貸が7割で、決して持ち家信仰の強い国ではなかったのです。ところが戦後になって、景気浮揚策として持ち家建設が奨励された。住宅不足が問題になった時代でもありました。
――今でも、景気浮揚策として持ち家の住宅着工を奨励する動きはありますよね。
政府は減税にしろ何にしろ、持ち家に限った奨励策しか取りませんが、なぜ持ち家ばかりを奨励するのでしょうか。
考えてもみてください、持ち家は原則として1世帯1戸でしょう。しかし賃貸なら100世帯あるなら150戸くらいは建てないと流動性が生まれない。つまり持ち家か賃貸かで言えば、賃貸が主流になった方が、むしろ世の中に家は増えるのです。
よく家が老朽化したけれど、リフォームするお金を出したくなくてガマンする、という話も聞きますが、賃貸なら設備の良さもセールスポイントですから、リフォームをしないという選択肢はありません。あくまでも私の感覚ですが、持ち家よりも賃貸の方がこうした修理・修繕需要は1.5倍くらい多いのではないかと思います。
――つまり、国は賃貸住宅をもっと奨励した方が景気浮揚にもつながる、と。
私はそう思います。税金にしたって、持ち家からは取りにくいでしょう?生活に直結していますからね。しかし賃貸は業として行っているものですから、その儲けに対して課税するのは自然です。実は個人のみならず国も、持ち家よりも賃貸重視に政策をシフトした方がいい理由がたくさんあるのです。
■マインドの変化には数十年が必要
――しかし、賃貸は高齢者になっても貸してもらえるのかなど、借り手側の不安が大きいと思います。また、貸し手の側から見ても、孤独死されたら困るなどの声を聞きます。
戦後ずっと持ち家信仰が続いていた結果、日本の賃貸住宅市場は未整備のままなのです。高齢者が賃貸から追い出されないよう、救済する政策が必要になるでしょう。また、孤独死が起きても大家さんが痛手を被らないで済むような保険商品ももっと工夫していけばいい。
それに賃貸市場は1人暮らし世帯向けが大半で、ファミリー向けが少ない。戸建て賃貸も少ない上に、賃料が高いですよね。だから、ファミリーが賃貸暮らしをしようと思っても、満足のいく物件が圧倒的に足りないのが現状です。借り手側の意識が持ち家信仰を離れ、賃貸に目が向かうようになれば、賃貸市場も活性化しますから、こうした未整備な部分は徐々に解消されていくだろうし、そうなるように政策で誘導すべきです。
――そう考えると、今はちょうど過渡期ですよね。持ち家信仰も限界が見えているけれど、さりとて賃貸市場も未整備なまま。消費者はどうしたらいいのでしょう?
私はこうした取材をたくさん受けてきましたが、持ち家信仰は幻想である、という現実を知っているはずの記者さんたちからも、後になって「家を買っちゃいました」と報告を受けることがあります(笑)。なぜかというと、持ち家には「自分の居場所」という心理的な安心感が得られるという、もう1つのメリットがあるからだと思います。
私は今後、数十年はかかるにしても、日本で徐々に賃貸派が増えていくのは確実だと思っていますが、たとえば持ち家の安心感が欲しいと家族が強く望んだ場合、そちらを優先してもいいのではないでしょうか。ただし、不良資産化する可能性があることは念頭に置いておき、老後に現金が残らないような、背伸びした金額の物件には手を出さないことです。
いのうえ・あきよし
1937年生まれ。59年学習院大学政経学部卒業後、日本生命、ミサワホームで企業融資と個人向け不動産金融業務などに従事した後、80年に三友システム住宅融資(現・三友システムアプレイザル)を設立して代表取締役に就任。2011年同取締役相談役に就任。土地バブル最盛期以前から地価暴落を予言したことで知られる不動産鑑定の第一人者。著者に『土地の値段はこう決まる』(朝日新聞社)、『地価はまた下がる』『不動産鑑定業の教科書』(以上、PHP研究所)など Photo by Tsutomu Suyama
「持ち家」という病(PHP研究所)
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