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世界恐慌を貿易戦争が誘発も−米大統領政策の結果は悲惨
カールソン
Simone Foxman、Taylor Hall
2017年1月31日 14:31 JST
トランプ大統領の政策が株価の大幅な下落を引き起こすと予想
ブラック・ダイヤモンドは16年通期でプラス19%の運用成績を残した
トランプ米大統領の政策は米国と世界経済に悲惨な結果をもたらす恐れがある、とヘッジファンド運営会社カールソン・キャピタルの資金運用担当者が指摘した。
同社のリチャード・マラビグリア氏とマット・バーコフ氏は、「ブラック・ダイヤモンド・テマティック」ファンドの顧客に宛てた四半期レターで、トランプ大統領が導入を目指す輸入関税と輸出補助金について、恐慌の引き金になりかねないと警告。「国境調整メカニズムが提案された通り実行に移された場合、世界的な不況と株式市場の大幅下落を引き起こすと考えている」と説明した。2人が運用する株式ファンドは昨年10−12月(第4四半期)がプラス9.3%、2016年通期でプラス19%の運用成績を残した。
トランプ大統領の政策がビジネスにとってプラスになると金融業界の首脳の多くが予想しているのに対し、マラビグリア氏とバーコフ氏は、世界の株式市場が「陶酔状態」にあると指摘。バリュエーション(株価評価)が高い状況で、季節性や天候、金利といった要因で経済指標が「ほんのわずかに減速」しただけで、相場に狂いが生じる可能性があると分析した。
両氏は貿易戦争をめぐる懸念に加え、雇用を創出する経済の力が尽きる中で、インフレ率が今後1年で最大5%に加速すると予測。「株式市場は循環調整後のバリューションが過去最高水準に達しており、われわれはスタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)という忌まわしい光景を目にすることになるかもしれない」と指摘した。
原題:Carlson Managers Warn Trade War Could Trigger Global Depression(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-31/OKMOQ76JIJVL01
バフェット氏も巻き込む富豪ディールメーカー、ウォール街が動向警戒
Craig Giammona、Noah Buhayar
2017年1月31日 15:18 JST
レマン氏は約2年ごとに食品業界で大型M&Aを行っている
可能性のある買収対象とされているのはモンデリーズやケロッグなど
ブラジルの富豪ジョルジ・パウロ・レマン氏が、再び企業の合併・買収(M&A)を狙っている。
真偽はともかく、それが食品業界内で広がっているうわさだ。同氏は約2年ごとに同業界で大型M&Aを実施している。同氏は2013年にウォーレン・バフェット氏にH・J・ハインツ買収で協力するよう説得し、両氏はハインツとクラフトフーズの合併を15年に取りまとめた。
RBCキャピタルの食品業界アナリスト、デービッド・パーマー氏は「今年がM&Aの年になるという見方には理がある」と指摘した。
こうしたうわさをトレーダーらは警戒している。昨年12月にはほとんど知られていないスイス誌の記事で、レマン氏がバフェット氏と組んで米モンデリーズ買収を計画していると伝えられると、過去に何度も似た観測が浮上していたにもかかわらず、モンデリーズ株は急伸。数分間で28%上昇した。これまで買収合意は発表されていない。それにもかかわらず、レマン氏の17年のM&A計画には誰もが探りを入れている。モンデリーズ以外に、ゼネラル・ミルズやケロッグ、キャンベル・スープなどの名前も取り沙汰されている。
また、一部があり得ないと一蹴しているにもかかわらず、バフェット氏が選好する米コカ・コーラも買収対象になり得るとの見方も浮上している。
レマン氏(77)が世界の食品・飲料業界に及ぼす影響力の大きさが、こうした注目度の高さで分かる。投資会社3Gキャピタルの創業パートナーである同氏は他のパートナーと共にここ10年間にアンハイザー・ブッシュやバーガーキングなど人目を引く買収を行ったことで、その名を知られるようになった。
原題:Buffett’s Go-To Billionaire Dealmaker Has Wall Street on Edge(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-31/OKMPHP6JIJUO01
米金融当局、トランプ政権の政策で一層視界不良に−31日からFOMC
Rich Miller
2017年1月31日 14:02 JST
トランプ大統領の移民、貿易政策でインフレ高進や景気減速も
税制変更や規制緩和などもイエレンFRB議長らに難題突き付ける
米連邦準備制度理事会(FRB)の副議長を務めたドナルド・コーン氏は、「異例の不透明な時期にある」と誰かが陳腐な表現を口にするのを好まなかった。1980年代のレーガノミクス黎明(れいめい)期から2000年代後半の金融危機に至るまで、40年に及ぶ米金融当局でのキャリアを通じ多くを経験してきたからだ。だが、そんなコーン氏も今やこの決まり文句がとうとう現実になったと感じている。
2月1日まで2日間の日程で、今年初めての連邦公開市場委員会(FOMC)会合に臨むイエレンFRB議長をはじめとする当局者は、トランプ政権発足に伴って生じた広範にわたる不確実性に直面している。それは税制の大幅な変更や多岐にわたる政府規制緩和、移民や貿易に対する厳格な制限の可能性といったものだ。主要政策金利が過去最低近辺にある中で、最大限の雇用と物価安定の2つの目標に近づきつつある金融当局にとって、いずれもが難題となり得る。
イエレン議長は今月19日、米スタンフォード大学経済政策研究所で行った講演で、「不確実性が広がっている」と指摘し、実際の政策が米金融当局の予想から「大きく異なったものに行き着く」可能性があると語った。当局者が昨年12月に示した最新の経済予測では、17年は中央値で3回の利上げが見込まれているが、今週のFOMCは金利据え置き見通しが大勢だ。
想定される難題のうち、移民と貿易を取り上げてみよう。イスラム圏7カ国からの入国を制限するとした米大統領令と、メキシコ国境の壁建設費用をどちらが負担するかで同国のペニャニエト大統領とトランプ米大統領が押し問答をしたことで先週、この2つの問題が最前線に浮上した。
外国人の米国入国と定住が厳しく制限されれば、労働力の伸びを鈍化させ、インフレ高進のリスクを冒そうと望まない限り、金融当局が相殺するには無力であるような経済の減速をやがて招くことになる。
他方、メキシコないし中国と貿易戦争になれば、米金融当局にとって一層深刻な悪夢だ。米国への輸入品に対する関税引き上げでインフレ率が上昇するとともに、消費者の購買力低下で経済成長率は押し下げられるだろう。
現在はブルッキングズ研究所の上級研究員であるコーン氏は26日、ナショナル・エコノミスト・クラブで講演し、「悪い事態しか考えられない」とコメントした。
独アリアンツの主任経済顧問モハメド・エラリアン氏は、景気悪化時には金融当局が緩和策で対処すると予想する。しかしコーン氏は、余りにも緩和的な政策スタンスを追求することでインフレ期待の危険な上昇をあおることがないよう、当局は注意しなければならないと語った。
原題:Trump Trade, Travel Tactics Add to Uncertainty at Yellen’s Fed(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-31/OKMHZB6JIJV101
黒田日銀総裁、トランプ米政権の動きを注視−金融政策は現状維持
日高正裕、藤岡徹
2017年1月31日 12:07 JST 更新日時 2017年1月31日 17:26 JST
世界的に保護主義が広がる可能性は小さい−黒田総裁
緩和出口議論は尚早、日々の金融調節は政策スタンス示さず−総裁
日本銀行は金融政策決定会合で31日、昨年9月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みによる金融調節方針の維持を決定した。黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、米国の経済政策は世界経済や国際金融市場に大きな影響があるとして、トランプ新大統領の政策や影響を注視する姿勢を示した。
金融調節方針は、誘導目標である長期金利(10年物国債金利)を「0%程度」、短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)を「マイナス0.1%」といずれも据え置いたほか、長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめどである「約80兆円」も維持。指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J−REIT)の買い入れ方針も据え置いた。
四半期に1度の経済・物価見通しは、海外経済の改善や円安などを背景に実質成長率を上方修正する一方、物価はほぼ据え置いた。前会合に続き、木内登英、佐藤健裕両審議委員が長短金利操作等の金融調節方針に反対した。ブルームバーグがエコノミスト42人を対象に実施した事前調査では、全員が現状維持を予想していた。会合では3月に期限が来る「貸出増加を支援するための資金供給」と「成長基盤強化を支援するための資金供給」などの1年間延長も決定した。
黒田総裁は記者会見でトランプ米政権が今後のリスク要因になるかとの質問に対し、一般的に減税やインフラ投資などでは経済成長を押し上げる方向に働くが、保護主義的な政策は「世界貿易を縮小させたり世界経済を減速させたりする懸念がある」と指摘。一方で、自由貿易の重要性は国際的に広く認識されているとして、世界的に保護主義が広がる可能性は小さいとの見解を示した。
展望リポート
経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、世界経済の改善や昨年12月の政府の国内総生産(GDP)統計見直しを受けて、17年度の実質GDP成長率の見通し(政策委員の中央値)を1.5%増と昨年11月の前回見通し(1.3%増)から上方修正した。
従来「0%台前半」としていた潜在成長率もGDP統計の改定に伴い「0%台半ば程度」に上方修正した。足元の景気は「緩やかな回復基調を続けている」、先行きは「緩やかな拡大に転じていく」との見通しを維持した。
消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比の見通しは17年度が1.5%上昇、18年度が1.7%上昇といずれも前回見通しを据え置いた。物価が2%程度に達する時期も「見通し期間の終盤(18年度ごろ)になる可能性が高い」との見通しを据え置いた。
見通しのリスクとしては「経済・物価ともに下振れリスクの方が大きい」と指摘。物価面では「2%の物価目標に向けたモメンタムは維持されているが、なお力強さに欠け、引き続き注意深く点検していく必要がある」としている。
政策委員見通しの中央値(単位%、カッコ内は昨年11月の見通し)
16年度 17年度 18年度
CPI(除生鮮) -0.2(-0.1) 1.5(1.5) 1.7(1.7)
GDP(実質 ) 1.4(1.0) 1.5(1.3) 1.1(0.9)
昨年11月の米大統領選でのトランプ氏勝利以降、大規模な財政出動への期待から米長期金利が上昇、為替相場のドル高・円安が進行していたが、足元では新大統領などの発言により為替相場が振れる展開が続いている。黒田総裁は記者会見で為替相場について、金利差だけで決まるものではないと指摘し、経済実体を反映して安定的に推移するのが望ましいと述べた。日銀会合前に1ドル=113円半ば近辺で取引されていたドル・円相場は会合後もほぼ変わらずで推移している。
緩和観測は沈静化、利上げ観測が浮上
世界経済の改善や円高修正を受けて追加緩和期待がしぼむ一方、コアCPI前年比が今年末から来年初にかけて1%に達するとの見方から、引き締め方向の見方が徐々に増えている。ブルームバーグ調査では、黒田総裁の任期中に長期国債買い入れ増加ペースのめどを減額、ないしめどの公表自体を取りやめると予想したのが24人、長短金利操作の下でターゲットである長期金利を引き上げるとの予想は15人に達した。
しかし、事情に詳しい複数の関係者によると、日銀は物価上昇率がたとえ1%に達しても、長期金利の誘導目標引き上げには慎重なスタンスで臨む構えだ。2000年のゼロ金利政策の解除や、06年の量的緩和政策の解除とそれに続く2度の利上げが時期尚早だったと批判を浴びた経験から、日銀内では金融引き締めを急ぎ過ぎるリスクが強く意識されているためだ。
黒田総裁は記者会見で、金融緩和の出口を議論するのは「時期尚早」と述べ、「市場に余計な混乱をさせるのは適切ではない」と述べた。また日銀の日々の金融市場調節は「需給動向、市場環境を踏まえて実務的に決められる」として、先行きの政策運営姿勢を示すものではないと説明。金融政策運営方針は毎回の金融政策決定会合で示されると語った。
日銀は展望リポートで、政策運営について「今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、物価目標に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う」とのスタンスを維持した。
決定会合の「主な意見」は2月8日、「議事要旨」は3月22日に公表する。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイトで公表している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-31/OKD6B16S972901
円安に潜むもろ刃の剣の恐れ、風向き変われば黒田日銀に試練も
野原良明
2017年1月31日 15:23 JST
インフレに賃金アップ追い付かなければ家計圧迫−輸入物価上昇で
日銀は長期金利目標の引き上げには慎重な構え−関係者
日本銀行が金融政策の現状維持を決定した。今年は日米金利差が拡大する見通しで、円安傾向が続けば日本経済にはプラス効果が期待できる。日銀の望むところだが、海外からの追い風が向かい風に変わると楽観ばかりはしていられない可能性もある。
日銀は長期金利を0%程度に誘導することを通じて、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに伴う日米金利差の拡大を公に認めている格好だ。これはトランプ米大統領の経済政策にかかわらず、今年は円安が続くとエコノミストの多くが予想する根拠となっている。
同時に、円安が続いた場合には黒田東彦総裁が批判を受ける要因にもなりかねない。輸入物価の上昇が急激で賃金上昇が追い付かない場合、家計に打撃を与える可能性があるためだ。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、「春先以降円安有害論が出てくるかもしれない」と指摘する。円安になっても賃金が実質プラスにならないと循環的な物価上昇が実現するか不透明なためで、「春闘による所得の改善なしに春以降の円安は限界論が出やすい」と話す。
円安のリスク
円相場は昨年10月末から対ドルで一時約11%下落。31日午後は1ドル=113円台前半で取引されている。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは4日付のリポートで、今年の国内の最大のリスクは「円安進展が家計の実質購買力を抑制し消費低迷が続くこと」と指摘している。
どの程度の円安が望ましいかは経済情勢による。2015年に円相場が1ドル=120円まで下げたときに、当時の甘利明経済再生担当相は、過度の円安が進めば経済のファンダメンタルズから離れると指摘したこともある。昨年9月に金融政策の枠組みを長短金利を目標に切り替えた今、日銀が円安圧力を緩和する一つの手段は0%程度としている長期金利の誘導目標を引き上げることだ。
ただ日銀はその場合でも拙速は避けたい考えだ。事情に詳しい複数の関係者によると、日銀は物価上昇率がたとえ1%に達しても、長期金利の誘導目標引き上げには慎重なスタンスで臨む構えという。
日銀は、2000年のゼロ金利政策の解除や06年の量的緩和政策の解除とそれに続く2度の利上げが時期尚早だったと批判を浴びた経験がある。日銀前理事でみずほ総合研究所のエグゼグティブエコノミストの門間一夫氏は、「今度は3度目なので絶対批判が起こらないという状況を目指して政策運営をやっていくと思う」と述べ、「そんじょそこらのことでは金融緩和の手を緩めることはしばらく考えられない」と話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-31/OKMHG16S972801
ユーロ圏景況感:1月は6年ぶり高水準−景気と物価加速兆し
Maria Tadeo
2017年1月30日 19:45 JST 更新日時 2017年1月31日 17:20 JST
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景況感指数は107.9、前月は107.8
1月インフレ率と10−12月GDPは31日発表
ユーロ圏の景況感指数は1月に上昇し、2011年以降で最高に達した。景気拡大とインフレ加速の兆候が強まり、欧州中央銀行(ECB)の刺激策をめぐる議論が活発化しそうだ。
欧州連合(EU)の欧州委員会が30日発表した1月のユーロ圏景況感指数は107.9と、昨年12月の107.8を上回り、2011年3月以来の高水準となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の中央値では107.8が見込まれていた。
昨年末の物価上昇圧力が強まったことで量的緩和(QE)縮小を呼び掛ける声が一部で上がったが、この日の発表で議論はさらに高まりそうだ。当初から大規模なQEに批判的だったドイツの忍耐力が限界に近づきつつある様相を呈す一方、ドラギ総裁らECB要人は基調的な物価圧力がまだ弱いことから出口戦略を協議する時期には至っていないと主張している。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト52人を対象にした別の調査によれば、1月のユーロ圏インフレ率は1.5%と、前月の1.1%から加速したとみられている。これは13年半ば以来の高水準で、ECBによる今年の見通しを上回ることになる。EU統計局(ユーロスタット)は31日にインフレ率と共に、12月の失業率と10ー12月(第4四半期)の域内総生産(GDP)速報値も発表する。
第4四半期GDPは前期比0.4%増となる見通し。ドイツとスペインの景気拡大が後押しし、伸びが加速したと見込まれている。
(原題と原文を差し替え、ユーロスタットの申し出により1月景況感指数を107.9に訂正します)
原題:Euro-Area Economic Confidence Hits Highest Since 2011 (Correct)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-30/OKL8O96KLVR401
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