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トランプ大統領の発想は90年代で止まっているのか?
“米国第一”の自動車政策、政治的圧力でも日本市場では売れない米車
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170131-00010002-nkogyo-ind
日刊工業新聞電子版 1/31(火) 12:30配信
■保護主義で競争力は高まらない
米国の保護主義的政策は、自国の自動車業界の競争力を弱める危険が大きい。
米国のトランプ大統領が主唱する保護主義が自動車業界に波紋を広げている。日米間の自動車販売の不均衡を問題視する発言は1980―90年代の日米貿易摩擦の再燃を思わせ、日本側に強い警戒感が広がる。
ゼネラル・モーターズ(GM)やフォードモーターなど米ビッグスリーの首脳と会談したトランプ大統領は、3社に対し米国内での工場設置や雇用拡大を求めた。一方、3社からは規制緩和やドル高是正への要望があったとされる。
米国発祥の3社のみと会談した点にトランプ流のナショナリズムが現れている。今後の自動車産業振興策も“米国第一”政策に基づくものになろう。それが米国自動車業界の競争力の復活につながるはずがない。
米国外で生産した車や部品に高い関税を課せば、価格競争力は失われる。そうして米国で生産した大きくて燃費の悪い車は、政治的圧力をかけたところで国情の違う日本市場では売れない。組み立て産業の頂点に立つ自動車産業の競争力向上は、地道なニーズ把握と技術開発、販売促進、人材育成の努力を続けるところから生まれる。
それでなくとも、世界の自動車業界は大きな変化の節目にある。地球環境問題を受けた電動化や、自動運転などを実現するIT化だ。これらは従来の垂直統合型の業界構造や、すりあわせ型のモノづくりに対し、水平分業型、組み合わせ型への変化を迫るものとされている。
米国でもテスラモーターズのような新興メーカーや、グーグルやアップルなどIT大手の参入で、業界の勢力図が塗り替えられる可能性がある。ビッグスリー復活には、これら新興勢力の力を、どう取り込むかが一つの焦点だった。だが今のところトランプ大統領の発想は90年代で止まっているようだ。
“米国第一”政策は、わが国の自動車産業の海外投資にも影響しよう。しかし地道な努力こそが王道であることを、日本勢は忘れずにいたい。
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