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https://jp.sputniknews.com/opinion/201701263275428/
トランプ氏の外交戦術は不動産売買と同じ?「衣替え版」TPP成立か
© REUTERS/ Saul Loeb
オピニオン
2017年01月26日 18:57
徳山 あすか
大方の予想通り、トランプ米大統領は就任早々、TPP(環太平洋連携協定)離脱の大統領令に署名した。オーストラリア、ニュージーランドは米国抜きの協定締結の可能性を示唆する一方、カナダは米国抜きで協定を結ぶことには後ろ向きだ。安倍首相はTPPの意義について「米国に理解を求めたい」としている。
国際経済に詳しい杏林大学の馬田啓一名誉教授は、TPP参加11カ国を混乱に陥れたトランプ氏の意図について、「彼は米国の不動産王として名を馳せた人物で、体に染みついた不動産ビジネスの常套手段を外交戦略に使っている節があります。どんなに優良な物件(TPP)でも絶対に買いたい(批准)とは言わず、ケチをつけて買わない素振り(TPP離脱)を見せて、売り手にもっと値段を下げさせる(再交渉)。このような筋書きがあってもおかしくありません」と話す。
米紙ウォールストリートジャーナルは24日、米国のTPP離脱を受けて「中国の勝利、安倍晋三首相の敗北」と報じ、社説で「安倍氏にはプランBが必要」と唱えた。現行のTPPの発行は、参加国の約6割のGDPを占める米国が離脱することにより確実に不可能となったので、プランB、つまり代替案は不可欠だ。馬田氏も、日本は通商戦術を練り直さなければならないとの見方を示し、「これまでのような受動的な『様子見』の姿勢は、今や許されません」と手厳しい。安倍首相も事態を静観する気はないようで、来月初旬にも訪米し、トランプ氏と会談するとみられている。
しかしロシアの専門家らはTPP離脱翻意に懐疑的だ。ロシア科学アカデミー世界経済国際関係大学の経済論理部部長であるセルゲイ・アフォンツェフ教授は、「仮にトランプ氏の立場が変わるとすれば、それは諸外国からの圧力ではなく、米国の実業界の影響によってのみでしょう」と話す。また、ロシアの経済紙「エクスペルト」の金融アナリスト、アンナ・コロレヴァ氏も、「日本や世界の投資家は、トランプ氏は国際貿易上の制限に関する自身の公約の多くを履行するだろうと判断しています。それは輸出企業、銀行、保険業界の株式の下落からみてとれます」と述べている。
馬田氏は、二国間FTAに飽き足らず、メガFTAたるTPPの締結を強く望んだのは他ならぬ米産業界であると指摘。実際、共和党内からも「破滅的な判断」「中国経済力の伸長を図るのを手助けしている」とTPP離脱批判の声が出始めている。果たしてトランプ氏は限界までもったいをつけたうえで、再交渉に臨むのだろうか。馬田氏は「トランプ氏は民主党候補だったヒラリー・クリントン氏のTPP再交渉発言を強烈に批判しました。その手前、再交渉に持ち込むには手の込んだ芝居が必要でしょう。結果は交渉次第ですが、まずは再交渉の土俵に引きずり込むことができれば大成功です。そうすれば時間はかかっても、衣替えし厚化粧させた形でTPP修正版が成立するでしょう。日本は現行TPPの発効にばかり固執せず、セカンドベストの選択をするべきですし、もうその方向に舵を切っています」と述べている。
タグ TPP, ドナルド・トランプ, 米国
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