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シャープの本社(「Wikipedia」より/Otsu4)
「完全なる子会社」シャープ、鴻海の世界的躍進のために「意のままに」利用される
http://biz-journal.jp/2017/01/post_17800.html
2017.01.21 文=編集部 Business Journal
「経営再建中のシャープの戴正呉社長は4日公表した年頭あいさつで、『早期の黒字化と東京証券取引所1部への早期復帰を目指す』と改めて強調した。実現に向け『(親会社である台湾の)鴻海グループとのシナジー(相乗効果)を最大限に高めることにより収益を拡大する』と述べた」
新聞各紙は1月5日、このような共同通信の配信を掲載した。
2016年8月1日、シャープは東京証券取引所1部から2部へ降格になった。液晶事業の不振から16年3月期は2559億円の赤字(前期は2223億円の赤字)となり、312億円の債務超過に陥った。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されることが決まっており、7月に新たな経営体制をスタートさせる方針だったが、中国で独占禁止法の審査が遅れていた。結局、間に合わず2部に降格となった。17年3月末までに債務超過状態を解消できなければ、シャープ株は上場廃止になる。
16年8月12日、シャープは鴻海から3888億円の出資金の払い込みが完了したと発表した。鴻海はシャープに議決権ベースで66.07%の株式を確保し、シャープは鴻海の子会社になった。これによりシャープは債務超過(6月末時点で853億円の債務超過だった)を解消した。
翌13日、シャープは臨時取締役会を開き、新社長に鴻海副総裁の戴氏が就任した。
戴氏は1951年9月3日、台湾生まれで、大同工学院(現・大同大学)機械学部卒業。74年に同大学の経営母体である総合電機メーカー、大同に入社した。70年代に新潟県佐渡島にあった日本企業の半導体ラインで生産管理を学んだという。
86年、創業11年目の鴻海に課長として転職。鴻海が世界一のEMS(電子機器受託製造サービス)へと急成長を遂げる時期に幹部として頭角を現した。
ソニーなどの大型受注を獲得したことから、アクの強い“独裁者”である郭台銘会長の信頼を得たとされる。2004年に鴻海グループのナンバー2、副総裁に登りつめ、郭氏の大番頭とみられている。
EMS事業は利幅の薄いビジネスのため、郭氏は非常に細かいコストカットを実践する。「コストカットの鬼」として知られる郭氏の右腕である戴氏もまた、「コストカッター」の異名を持つ。
「戴社長は毎朝7時ごろ始動する。7時半からの会議も珍しくない鴻海で身についた習慣で、1日16時間働くとされる郭台銘会長よりも早く出勤するため17時間働くとも言われている」
高度成長時代の日本人を彷彿させるモーレツ経営者である戴氏が目標に掲げたのが、早期に黒字に転換して東証1部に復帰することだった。
■下期の最終利益の黒字化を公約
シャープは16年11月1日、未公表だった17年3月期の連結業績予想を明らかにした。
通期売上高は、液晶ディスプレーの販売減で前年比18.8%減の2兆円の見込みだ。前期1619億円の赤字だった営業損益は、257億円の黒字とした。鴻海との相乗効果が寄与するという。通期営業黒字を実現できれば3期ぶりとなる。持ち分法投資損失や減損で純利益は418億円の赤字になると見ている。上期(16年4〜9月)は454億円の赤字だったが、下期(16年10月〜17年3月)を36億円の黒字に転換するとしたのだ。
郭氏でさえ、シャープの最終黒字は2年後と、時間的な余裕を与えていた。ところが戴氏は、社長に就任した最初の決算で下半期に最終黒字を必達目標にしたのである。極めて大胆な目標設定といえ、戴氏の経営力が問われる最初の場面となる。
■鴻海がシャープを買収した本当の理由
鴻海はなぜ、シャープを買収したのか。その狙いが明らかになってきた。
シャープと鴻海が共同出資するテレビ向け液晶パネル生産会社、堺ディスプレイプロダクト(SDP)は16年12月30日、中国の広州市政府と共同で世界最大級のパネル工場を新設すると発表した。広州の新工場に1兆円を投じ、18年秋の生産開始を目指す。
その前日の29日、シャープは保有するSDP株の一部を鴻海に譲渡した。鴻海の議決権ベースの持ち株比率は39.88%から53.05%となり、SDPを子会社にした。
シャープは持ち株を171億円で売却し、16年10〜12月期の連結決算で2億3400万円の特別利益を計上する。戴氏が下期の最終黒字を公約した根拠となるカードの一枚を切ったことになる。
SDPの新規株式公開(IPO)を検討していると伝わった1月5日の東京株式市場で、シャープの株価は一時、前日比31円(11%)高の324円まで上昇。14年9月以来、2年4カ月ぶりの高値をつけた。SDPが上場すれば、シャープは保有株を売却し、財務の改善につながると期待されたからだ。
SDPの上場は、戴氏の公約「黒字化、早期の東証1部復帰」の切り札になり得るのか。
鴻海は世界最大のEMSだが、あくまで有力メーカーの生産をサポートする“黒子”の存在でしかない。同社は米アップルの「iPhone」を生産しているが、圧倒的に知名度が高いのはアップルであって鴻海ではない。ここに鴻海がシャープを買収した本当の狙いが隠されている。
シャープの買収に執念を燃やした理由は、シャープをテコにして世界的ブランドとして通用する商品の開発から販売までを手掛ける総合電機メーカーに脱皮することだろう。これは、郭氏の悲願である。
鴻海とシャープは、中国にスマホ向け有機ELパネルの量産工場を建設する。アップルが年内に「iPhone」の表示装置を有機ELパネルに切り替えると予想されることから、鴻海・シャープ連合は有機ELの量産に乗り出し、先行する韓国のサムスン電子を追う。
シャープは有機EL関連で2000億円を投資し、国内に工場をつくる予定だが、量産工場に関しては中国ということに方針を転換した。
(文=編集部)
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