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原子力産業の不良債権処理 (その2)(5回連載)
| 福島第一原発事故により東電の損害賠償と損害損失及び事故処理・
| 処分費用が最大の不良債権
| この巨額な負債を消費者に如何に負担させるか
| 詐欺ともいえる策略を経産省が中心に進めている
└──── 堀江鉄雄 (東電株主代表訴訟原告代表)
大見出しの紹介
1.<東京電力救済は誰のためか>
2.<肥大化する東京電力の負債>
3.<「将来分」「現在分」「過去分」と多面性のある「一般負担金」>
4.<原発廃炉・解体費用の負債と負担:「廃炉会計」>
5.<発送売電分離の分社化は「法的分離」ではなく「所有権分離」にすべき>
2.<肥大化する東京電力の負債>
福島第一原発事故から7年、東電の負債は年々肥大化して22兆円となり将来的
には70兆円とも見積もられています。
こんな巨額の負債を抱えた企業が清算処理をせず延命している例はありません。
本来、東電及び東電関連事業の倒産で「債権放棄」すべき金融機関は、東電の
延命で債権放棄を回避しています。この延命を支えさせられているのが国民であ
り、電気料金を支払う電力消費者です。
経産省は「株主は配当を受けず、金融機関は与信(貸付)維持をしている」な
どと寝ぼけたことを言っています。何のことは無いのです。
金融機関は、東電の巨額な負債に対しての貸付を継続、増額(政府債務保証)
することで、債権放棄どころか逆にマイナス金利の中でも確実に貸付金利での利
益を上げているのです。
<東電の負債22兆円の負担と回収>
東電22兆円の負債内訳は、損害賠償費用8兆円、除染費用4兆円、中間貯蔵費
用2兆円、事故炉処理費用8兆円となっています。
事故炉処理費用8兆円は、東電が毎年3000億円を支援機構に積立てる。それ以
外の約14兆円は、支援機構からの交付金(税金)13.5兆円を充てることになって
います。
イ.損害賠償費用8兆円は、支援機構からの交付金(税金)で支払われ国民が負
担しています。その返済は、支援機構への「特別負担金」(東電のみ)「一般負
担金」(東電含む原子力事業者)で行われています。「一般負担金」は、各電力
会社の「電気料金」で電力消費者から回収します。つまり東電の損害賠償費用等
は、賠償義務のない国民が税金で支払い、負担義務のない全電力消費者が「電気
料金」で負担しているのです。
ロ.除染費用4兆円は、支援機構からの交付金で支払われ、その返済は支援機構
の所有する東電株の売却益4兆円を充てることになっています。つまり東電株1
兆円を5兆円(5倍)で売却すると言う(たられば)の話です。
東電株が5倍にならなければ売却できないので支援機構(経産省)の東電支配
は続くということです。
また、東電株の売却益があれば、それは株を所有する国民の利益です。株所有
権のない東電の利益ではありません。新々総合特別事業計画では、東電の利益と
なっています。
ハ.中間貯蔵費用2兆円は、支援機構からの交付金で支払われ国が負担をします。
ニ.事故炉処理費用8兆円は、毎年3000億円を東電の「送配電事業の利益」など
から支援機構へ積立てる(廃炉積立金制度)ことになっています。
この積立は、電力会社の送配電事業の統合によって「送配電事業の利益」から積
立てるとすれば、東電管内だけではなく全電力消費者から回収することが可能に
なります。
*上記イ.からハ.の支援機構からの交付金13.5兆円は、原子力事業者が支援機
構へ支払う特別及び一般負担金で返済することになっています(一昨年12月の閣
議決定で「負担金は、交付国債の返済原資とする」となりました)。
一般負担金は、経費処理されて各電力会社の「電気料金」から回収されていま
す。つまり東電への交付金の返済は、電力会社の全電力消費者が負担していると
いうことになります。(その3)に続く
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