http://www.asyura2.com/17/genpatu49/msg/369.html
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2008年に原子力安全基盤機構(現在の原子力規制委員会)が、炉心溶融が起きる
シビアアクシデントをシミュレーションした5分ほどの教育ビデオがあります。
以前コメント欄で話題になったものですが、まだ見たことのない方も多いと思います。
違法コピー云々で削除される可能性があるので、急いでご覧下さい。
解説を書き出しておきます。
(上の画像は、ビデオの1コマでぺデスタル底面に溶け落ちた核燃料)
「独立行政法人_原子力安全基盤機構2008年シビアアクシデント教育ビデオ」
(YouTube・momomomorn 2012/4/10)
https://www.youtube.com/watch?v=9Kc0FqhNE3o
------(解説の引用ここから)-------------------
今からご覧いただく映像は、沸騰水型原子炉の設計基準事項を越えるような
いわゆるシビアアクシデントを想定し、視覚的に説明したものです。
この例ではニ十数時間におよぶ事故の経過をおよそ5分の映像にまとめています。
それではマークI型格納容器を例に原子炉圧力容器につながる大きな配管が破断し、
大量の放射性物質が環境に放出される様子をご覧いただきます。
これは事故発生後に制御病が完全に炉心に挿入されたことにより、原子炉が停止し、
その後、炉心を冷却するためのすべての注水に失敗するケースです。
配管破断事故が発生すると冷却材が流出し、原子炉圧力容器内の水位が低下します。
制御棒は挿入されますが、注水に失敗するため、炉心が露出します。
炉心が露出すると燃料の冷却が出来ないため、残留熱により燃料温度が上昇します。
そして最も温度が高くなる炉心中央部の燃料が溶融します。
溶融した燃料は、やがて原子炉圧力容器下部に到達します。
解析により、事故発生からおよそ1時間で、この状態になると予測されます。
原子炉圧力容器は厚さおよそ12〜15センチの鋼鉄製ですが、溶融した燃料は
非常に高温であるため、ついには原子炉圧力容器を貫通します。
解析により、事故発生から約3時間後で、この状態になると予測されます。
貫通した溶融燃料は、原子炉圧力容器を支えるペデスタルの中間床面に落下します。
そしてコンクリートの床を浸食しながら、ガスを放出し格納容器の温度および圧力を
上昇させます。
マークT型格納容器では、その後、溶融燃料がコンクリートで形成されたペデスタルの
中間床面を貫通し、さらにその下部にあるコンクリート床面上に落下します。
ペデスタル下部のコンクリート床面に落下した溶融燃料により、ガスが発生します。
このガスが格納容器内に充満して、温度および圧力が徐々に高くなります。
そして圧力が格納容器の限界を超えた時に、格納容器のフランジ部から原子炉建屋内に
大量の漏洩が起こると想定し、防災策を講じます。
漏洩したガスには希ガスやヨウ素などの放射性物資が含まれており、
原子炉建屋を経由して排気塔から環境に放出されます。
今回は防災用事故シナリオ理解のために、配管破断に起因する最悪の事例を
ご覧いただきました。
万一こうした事態に至った場合でも、住民の方々に安全・安心していただけるように
日頃から防災担当者への訓練を通して原子力災害時の対応能力の習熟に努めております。
------(解説の引用ここまで)-------------------
シミュレーションとはいえその正確さに驚きます。
実際に福島第一の1、2、3号機ではこの通りに炉心溶融が起きました。
格納容器内圧が上昇し格納容器のフランジ部から大量の漏洩が起きると解説していますが、
3号機の格納容器はガスだけではなく火を吹きました。
ぺデスタル下部に落ちた溶融燃料は、そこでとどまっているわけではなく、さらにコンクリート
床面を溶融し、格納容器も貫通し外界に出てしまう、いわゆるメルトアウトを起こすわけですが、
さすがにそこまで言うと大問題になるのでビデオでは触れていません。
冷却ができなくなれば、燃料が全部溶融し格納容器を突き抜けて外界に出てしまうことは、
こういったシミュレーションにより、かなり昔からわかっていたことなのです。
そこで思いだすのが、まだ東電がメルトダウンを隠していた時期に、原子力ムラの大ボス・
石川迪夫氏が、「燃料は全部溶け落ちている」と「朝まで生テレビ」で語ったことです[1]。
これが専門家の共通認識なのです。
東電はミュー粒子の測定により溶融燃料の大半は圧力容器の底に残っていると
発表していますが、もちろんこれはデタラメです[2]。
核燃料は全部溶融落下し格納容器の底も貫通して沈降しているはずです。
本来なら、こういった取り返しのつかない燃料溶融事故に備えて、受け皿のコア・キャッチャーを
設置すべきですが、お金がかかるし後付けも難しいのでやめたのです。
安全対策をケチったために収拾がつかない状態になっているのに、その反省もなく、
新たな安全対策を何一つせず、原子力ムラ・東電は原発の再稼働を進めています。
また原発が大爆発を起こすのは時間の問題でしょう。
(関連情報)
[1] 「日本原子力技術協会最高顧問・石川迪夫の「朝まで生テレビ」発言主旨
(「福島の燃料棒は全部溶け落ちている!」)」 (阿修羅・馬鹿まるだし 2011/4/30)
http://www.asyura2.com/11/genpatu10/msg/200.html
[2] 「福島2号機 溶け落ちた核燃料の大部分 圧力容器の底に (東京新聞)」
(拙稿 2016/7/15)
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/177.html
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