風車騒音の健康影響 北海道大学大学院 工学研究院教授 松井利仁 2017年7月28日 https://www.chosyu-journal.jp/shakai/3979 北海道石狩市では、石狩湾周辺に3000`h以上の風車四六基(総出力16・7万`h)が建設されようとしていることに、市民が粘り強い反対運動を起こしている。先日、本紙に石狩湾岸の風力発電を考える石狩市民の会のメンバーから大量の資料が送られてきた。そのなかで5月13日に開催したシンポジウムでの、北海道大学大学院工学研究院教授・松井利仁氏(工学博士)の講演「風車騒音による健康影響と石狩湾新港周辺三事業の影響評価」が地元で大きな反響を呼んでいることも記されていた。講演内容は専門家の見地から低周波音の人体への影響をとらえたもので、同じように風力発電と向き合っている下関市民にとって、もっとも知りたい内容を含んでいることから、松井氏に直接連絡をとり講演要旨を紹介することに快諾を得た。松井氏は北海道や札幌市の環境影響評価審議会委員も務めた。なお、最近下関市の安岡沖洋上風力発電を計画する前田建設工業が松井氏を訪ねて意見を求めており、「周辺人口が多すぎるので、この計画では健康影響が出る」と伝えたことを本人が明らかにしている。以下、その講演要旨を紹介する。 騒音で人が死んでいる 風力発電がもたらす環境影響は、一つは自然破壊、漁業環境破壊、それと今からお話する人への影響、健康への影響、この二つが大きなものだ。 まず札幌市を対象にした騒音、交通騒音の健康影響について見てみたい。札幌市で環境要因でもっとも人が死んでいるのは騒音だ。騒音で人が死ぬというメカニズムは風車騒音も共通している。この交通騒音の健康影響というのは世界的に、とくにヨーロッパでは常識になっている。6年前の2011年、フィンランドの研究所がおこなった研究で、フィンランド、ドイツ、ベルギーなど欧州六カ国で粒子状物質、交通騒音、ベンゼン、ダイオキシン、ホルムアルデヒドなどでどのぐらい健康損失が生じているかの推定値を明らかにした。100万人当たり1年間でどのぐらい損失しているかという数値で、ある人が1年早く死んだら1年損失である。明らかにトップは粒子状物質(6,000〜10,000)だ。これは日本でも全体的に見ればトップで、健康損失は年間3万人といわれている。ただし北海道はそれほど汚染されていない。 二番目が実は交通騒音(500〜1,000)だ。粒子状物質とはひと桁違う。一方、最近豊洲で話が出てきたベンゼンは2〜4で、さらに桁がちがう。ホルムアルデヒドは0〜2。交通騒音は粒子状物質に次いで二番目に高いのだが、よくマスコミをにぎわすのはベンゼンとかダイオキシン、ホルムアルデヒド。実際には交通騒音はそれより三桁ぐらいリスクが高い環境要因である。 従来、騒音は不快感を及ぼしたり生活妨害を起こす環境要因にすぎないと主張する人が多い。しかし現在WHOをはじめ騒音の健康影響を研究している者の常識は、「聴取妨害は不快感を及ぼすけれども、睡眠妨害はさまざまな身体的健康影響を及ぼしている」というものだ。 WHOの資料だが、複数の地域で住民を対象に道路交通騒音と心筋梗塞の発症リスクとの関係を調査した。騒音が80デシベルで1・5倍になっている。つまりその地域に住んでいると、他の地域よりも1・5倍、心筋梗塞の患者が多い。増えた分の50%は騒音が心筋梗塞の発症につながっている。日本の騒音の環境基準は、三大死因の一つである心筋梗塞の患者が15%増加するところに設定されており、けっして住民の健康を保護していない。これが騒音の環境基準の現状だ。 札幌市でこのWHOの計算方法をそのまま用いて試算した。毎年45,000人(札幌市の50人に1人)が道路交通騒音で軽度の睡眠障害を起こし、毎年150人が道路騒音で心疾患を発症し、そして毎年20人が道路騒音による心疾患で死亡することになる。これを札幌市の主要道路周辺に限って見てみると、道路交通騒音による生涯死亡リスク(死因)は100人に1人。これはとんでもなく高い数値で、たとえばベンゼンの環境基準は100,000人に1人の生涯死亡リスクを採用している。 他の死因と比べてみた。札幌市の各種年間死亡率で見ると、道路騒音による心疾患で100,000人当たり毎年30人が亡くなっている(高い数値の場所)。もちろん一番多いのはがんで、100,000人当たり年間278人、脳血管疾患で71人だ。しかし不慮の事故23人、自殺22人、腎不全21人よりも騒音で亡くなっている人の方が多い。低周波音も同様に危ない。このことが余り知られていない。 低周波音とその発生源 低周波音とはどういうものか? 環境省は100ヘルツ以下の音を低周波音と呼んでいる。超低周波音は20ヘルツ以下で、これは国際的に決められている。国によっては200ヘルツ以下を低周波音としているところもある。私もその方がいいと思う。苦情を見ているとその範囲の苦情がけっこうあるからだ。ところが国はどうしたかというと、これすら関係のないものにしてしまった。今年5月、環境省は「風力発電については、耳に聞こえない超低周波音(20ヘルツ以下)には健康影響との関連は見られないので、低周波音に注目して評価するのでなく、聞こえる騒音レベル(A特性)で評価せよ」という実に非科学的な内容の通達を出した。 低周波音の発生源は、高架道路(橋が揺れると一種の大きなスピーカーになり、揺れる振動数によって低周波音が出る)、風力発電、室外機(ヒートポンプ、エコキュート)などさまざまなものがある。日本で最初に低周波音事件が起こったのは西名阪自動車道路という高架道路だった。 西名阪自動車道路の問題がマスコミで話題になったのは昭和50年頃。「朝起きてみたら位牌の位置が動いていた」ということで話題になった。次に平成9年頃から家庭用ヒートポンプ(エコキュート)が普及しはじめた。寝室のすぐ横でエコキュートがずーっと回っていて寝られない。電気で回るエコキュートはまだましで、ガスで回る場合、50ヘルツの原付エンジンが寝ている部屋のすぐ横で夜中にずーっと回っているのと同じだ。 低周波音の物理的特徴 低周波音は普通の騒音と違う特徴がある。 まず、低周波音は遠くまで届く。4,000ヘルツの騒音は2`離れると音の大きさにして200分の1以下にボーンと下がる。これと比べ63ヘルツとか125ヘルツなどの音は、2`離れてもほとんど減衰しない。1`、2`離れたら影響は減るだろうというのは甘い考えで、人間の耳では差がわからないぐらいだ。遠くまで届いてしまうのが低周波音だ。 低周波音がやっかいなのは建物に入ってきやすいことだ。高い音は窓を閉めれば音の大きさは落ちる。デンマークでの実測例だが、100ヘルツをこえるとある程度減衰するが、50ヘルツあたりだと窓を閉めても変わらないか、窓を閉めると室内のレベルが上がった。どうしてそうなるかというと、一番の理由は共鳴だ。日本の家屋の場合に起こっているのは、天井と床の間での共鳴だ。天井と床の間が2・5bぐらいで、床面と天井面でレベルが上がる。床に布団を敷いて寝るとレベルの高いところで寝ているということになる。床ではとても寝られないので、簡易ベッドをつくって枕を上げたら寝られるということも起こっている。 低周波音でどんな影響が出るか。40年前の1977年、西名阪自動車道の周辺で低周波音の健康影響が出る事件があった。周辺住民が「頭痛・頭重」「不眠(睡眠障害)」「イライラ」「肩こり」「めまい」(多い順)という症状を訴えた。注目すべきはパーセンテージで、周辺20bまでのところに77人が住んでいたが、そのうち2人に1人が「頭痛・頭重」「眠れない」という症状を訴えた。また4人に1人が「めまい」を訴えた。これは健康影響以外のなにものでもない。「頭痛・頭重」「肩こり」「めまい」というのは音で生じる影響とは考えられない。そうではなくて内耳の前庭という所で空気の振動を検知することによる障害だ。これはいわゆる風車病と同じ症状だ。 低周波音で風車病の症状が起こるというのは、日本では40年前に知られていた。海外よりも早かった。それなのにいまだに低周波音を否定する人がいるのが私にはわからない。とくに騒音専門家といわれている人たちがこれを知らない。 健康被害が起る仕組み 人間の耳は、鼓膜があって中耳があって、蝸牛というところで音を分析して脳に伝える(図1)。そこには前庭という機関があって、頭の傾き、頭の振動を検知して体の平衡機能を保っている。音は鼓膜から入ってきて、まず前庭窓を刺激し、中のリンパ液を振動させて、一部は蝸牛に伝わって音として感じる。前庭窓から蝸牛の間に卵形嚢(のう)、球形嚢という二つの器官があり、ここが振動を感じる感覚器官だ(図2)。入ってきた振動はまずこの二つを振動させてから蝸牛に入る。卵形嚢・球形嚢は低周波音でしか反応しない。 低周波音による「公害病」はいくつかに分類できる。一つは低周波音が聞こえることによって「小さい音」でも気になって眠れない環境性睡眠障害。中・高周波音では小さい音は気にならない。「小さな音」が気になるかどうかは個人差があり、騒音計で評価することは困難だ。もう一つは今紹介した前庭への刺激で、耳に聞こえる音としてではなく圧迫感・振動感を感じることによって眠れなくなるのと、振動によってめまい、頭痛、肩こりを起こしていわゆる風車病となる。「音が気になる」かどうかより、物理刺激との関係が強い。さらにもう一つ、上半規管裂隙症候群(SCDS)という障害を持っている方がいる。1998年に発見されたもので、有病率は1〜5%。その方は低周波音、とくに超低周波音の感受性が極めて高い。この三つが発症機序である。 風車騒音と風車病・睡眠障害との因果関係について。風車病(風車症候群)と名前をつけたのはヨーロッパの研究者ニーナ・ピアポントだが、彼女が風車の近くに住んでいる人を調査して「転居したら治る」ということを調べた。それはきわめて強い因果関係を証明している。関連の可逆性という。2000年代のことだが、この時点で疫学関係者は風車病というのは低周波音で起こると確信していたはずだ。ところがいまだにそう思わない人がいる。耳鼻科ではもっと前から、音が前庭を刺激して「めまい」が起こるというのはチュリオ現象として教科書に書いてある。実はチュリオ現象は前庭器官の診断に使われている。 もう一つ、低周波音による「環境性睡眠障害」については、すでに複数の疫学調査結果(環境省を含む)で風車騒音と「睡眠障害」との関係は明らかにされている。にもかかわらず環境省は「睡眠障害」という言葉を使わない。家庭用ヒートポンプ(エコキュート)による「睡眠障害」に関しては、2年前の2015年に、参照値以下のレベルでも睡眠障害が起こるということを消費者庁が認めている。低周波音で睡眠障害が起こることは明らかで、これを否定する人は科学者ではない。 環境省の対応と問題点 環境省は実に非科学的なことをやっている。WHOは1999年に低周波音についての知見を出した。「A特性騒音レベルによる評価は不適切である」「低周波音が多く含まれる騒音に対しては、より低いガイドライン値が推奨される」「低周波音は低い音圧レベルでも休息や睡眠を妨害する可能性がある」ということをいっていた。 低周波音について環境省は、寄せられた苦情に対して2004年に参照値という目安をつくった。参照値というのは、10人に1人が寝室で「気になるレベル」を調べたものだ。そして環境省は参照値を目標値にしないよう通達した。住民の1割に影響が出るような値では住民を保護できないからだ。また、参照値は室外機など定常的な低周波音を対象としており、風車の風切り音のような規則的な変動がある場合はもっと「気になる」からだ。ところが事業者は通達を意図的にねじ曲げて、「環境省は参照値を使うなといった」といって、もっと緩い「環境基準値」や「気になる―気にならない曲線」、5割の人に影響が出るような数値を目標値にした。これは倫理観のある人間の行為ではない。利益追求しか考えない事業者やコンサルタント会社による公害犯罪だと思う。 先にのべたように環境省は今年5月、「風力発電から発生する騒音に関する指針」を出した。環境省が選んだ専門家は「風車騒音の影響は“聞こえる音”による生活妨害や不快感である」「“聞こえる音”なら騒音レベルで評価できる」「“聞こえる音”なら風車以外の騒音のある地域では基準値を緩めるべき」というものだ。なぜこういう論理を環境省が採用したのか、信じられない。これに対して選ばれなかった専門家、私だが、「環境省の研究でもすでに睡眠障害との因果関係が示されている。それを生活妨害とか不快感という言葉で矮小化するな」「WHOは20年前に騒音レベルでの評価を否定している」「前庭への影響は低周波音だけであり、人間は低周波音を聞き分けて“気になる”のだ」と反論している。 石狩の住民はどうなる 石狩湾新港周辺に計画されている風力発電事業について、人体への健康影響を評価してみた。影響の評価方法は「圧迫感・振動感」に注目したもので、事業者が提出している準備書をもとに、H特性音圧レベルから圧迫感・振動感を優先的に感じる住民の症状発生率を算出した。「圧迫感・振動感」の優先知覚率は「気になる曲線」より控えめである。 まず、石狩コミュニティウインドファーム(3,200`h×7基)だが、発症率1%以上のところに住宅地、住宅街がある。300人以上の周辺住民に健康リスクが生じる可能性がある。さらに風車は工業団地の真ん中にあるが、工業団地内では発症率は20%、30%、つまり3人に1人、場所によっては2人に1人が圧迫感・振動感を優先的に感じ、睡眠障害などの健康リスクが生じる可能性がある。仮に工業団地に1,000人働いていたとすると、30人ぐらいは圧迫感・振動感を感じ、その半数以上は就労困難になる可能性がある。 次に銭函風力発電(3,400`h×10基)だが、工業地帯からは少し離れている。石狩市樽川地区、札幌市手稲区山口団地のあたりで0・5〜1%ぐらいの人に健康リスクが生じる可能性がある。計算すると300人以上に健康リスクが生じる可能性がある。全員が発症するとはいわないが、ゼロになることはありえない。 そして一番問題の石狩湾新港洋上風力(4,000`h×26基、図3参照)だが、石狩市のほとんんどの住宅地と札幌市北区屯田、手稲区の大部分、小樽市銭函市街地で0・5〜1%をこえる住民に影響が出る(図3のだ円で囲った部分)。個人のリスクは小さくても人口が多いので、トータルとして約2,000人に健康被害の発症リスクがある。これだけ人口密集地の近くに大規模洋上風力発電がつくられるところは他にない。 低周波での科学の限界 さて、水俣病の場合を考えてみたい。「経済成長にブレーキがかかるから」「原因は厳密に特定できない」という理由で水俣病は約10年間放置され、企業は有機水銀の垂れ流しを続けた。それをサポートしたのが科学者だ。彼らは「原因はまだはっきりわかっていない」ということをいい続けた。のちにそれは「非科学的」と裁判で否定されたが、残念ながら彼らはその後も何の痛みもない。それにマスコミも協力した。「中央の権威がこういっている」という報道をして国民を納得させた。熊本大が解明した「有機水銀説」は闇に葬られた。御用学者には鹿児島大学長というポストと研究費が与えられた。 風車騒音被害の場合はどうなるか? 「パリ協定の目標を達成しようと思ったら再生可能エネルギーを増やさなければならない」といって、住民が睡眠障害や風車病を訴えているのに聞き入れない。そして水俣病の場合は個人の科学者が住民の健康被害を否定したが、低周波音の場合は日本騒音制御工学会という学会自体が否定している。原子力学会が原発の推進をやっているようなものだが、実際には原子力学会に加入している研究者で反対している学者もいる。ところが騒音制御工学会は低周波音について非科学的な発表を続けている。それはこの学会が環境省からの委託研究がないとやっていけないからだ。現状は半分以上が委託研究だ。なので私は去年、騒音制御工学会をやめた。 世界的には騒音・低周波音の健康影響についてかなりわかってきている。欧州では2002年にEUが環境騒音指令を出し、2009年にはWHOが夜間騒音ガイドラインを定め、騒音対策が進められている。六月に国際会議があるが、心疾患だけでなく、脳血管疾患、糖尿病、がん、精神疾患など、睡眠障害に起因するさまざまな疾患との関係が医学的に明らかにされつつある。低周波音は欧州WHOが風車騒音のガイドラインを策定中である。 しかし日本ではどうなっているか。国の法律は40年前の知識にもとづいたもので、国民の健康は保護されない。さらに地域差がある。騒音は地域指定されているところしか法律が適用されない環境基準だ。もし大気汚染で「ここの地域に住んでいる人には基準を適用しない」というようなことをいったら大騒ぎになるが、それをやっている。 1999年と2009年のWHOガイドラインにある健康影響を無視している。 また司法も、国の法律が定める基準値にもとづいて判断をおこなっている。私も裁判の証言にかかわってきたが、健康影響、睡眠障害をとり上げてくれる裁判官はいるが、最高裁までいくとWHOガイドラインすら科学的根拠なく否定している。裁判所はここまでできるのかと思う。 騒音・低周波音の健康影響が無視され続ける理由は、地球環境問題と同じ構図だと思うが、資本主義の下で利益追求を目的としているからだ。騒音・低周波音で人が死ぬと思っていないので、健康保護より利益追求を第一にしている。被害者が訴えても他人事だ。また、騒音・低周波音はほとんどの事業に関連し、どんなアセスメントでも騒音が出てくるため、利益追求には厄介な環境要因になり、何とかなきものにしたいと考えている。そのために騒音専門家を起用する。一番の責任者は東京大学名誉教授の橘秀樹氏で、環境省の環境審議会騒音振動部会などで約20年間、環境行政を歪めてきた。 最後に石狩湾岸の風力発電事業に対してだが、国はそもそも睡眠障害・風車病を認めておらず、そうしたなかで住民が因果関係を立証するのは困難だ。騒音・低周波音については法律で住民は保護されていない。そして事業者は「不特定多数の住民への加害」という、自分の家族にもいえない恥ずかしいことをやっている。私は、事業者はこの恥を理解できないが、その家族、出資者といわれる住民、マスコミは理解できるかもしれないと思っている。もう一つは騒音規制法による停止命令を自治体の長に出させることだ。風力発電は国が国策として進め、科学者がそれをサポートしているもので、水俣病と同じ構図なのだということを知ってもらいたい。 https://www.chosyu-journal.jp/shakai/3979 2017年07月06日 欧州の自然エネルギー、全部うそだった? 欧州が言っている発電コストは、補助金をたっぷり受け取り、設備や送電費用は除外した数字 引用:http://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2017/07/reuters20170701120426-thumb-720xauto.jpg 自然エネルギーのミステリー
自然エネルギーのコストが大幅に下がったというニュースを頻繁に目にするが、内容を調べるとどれも信憑性が無く、確認できない話ばかりだった。 自然エネルギーのコストは非常に分かりにくく、従来エネルギーより大幅に安いとも高いとも言われている。 アメリカは1kw当たり太陽光11円、風力3.8円、原発8円から10円とされていたが、もっと安いという数字もあります。 アメリカでは太陽光が1キロワット当たり6.5円、風力が1.6円という数字もあり、原発はやはり8から10円になっている。 日本は石炭9.5円、天然ガス10円、太陽光32円、風力22円、原発10円とされていて(2015年頃)アメリカよりかなり高い。 欧州は洋上風力10円程度、陸上風力が7円程度、太陽光発電は10円程度と見られるが、日米のようにコストの明示をしていなかった。 欧州のこれらのコストも業者の「入札価格」に過ぎないので、実は発送電にかかったコストではない。 日本に比べて欧米の自然エネルギー発電コストは4分の1程度であり、日本は遅れているのは常識として言われている。
だがこれらの数字とは矛盾するニュースが当の欧州委員会から出され、今後大半の自然エネルギーが赤字になるという。 自然エネルギーへの補助金は段階的に廃止されるのが決まっているが、ニューズウィーク紙によると欧州の風力発電は発電収入の半分を補助金で得ている。 つまり風力発電コストが7円/1KWだとしても実際には14円かかっていて、政府が7円を補填している事になる。
太陽光もこの方式で、ドイツの太陽光は安いといっても半分は政府補助金を出している。 一方日本は固定買取制度で大手電力会社に買い取らせ、最終的に大手電力利用者に全額支払わせています。 「コスト」とは何か
日本と欧米では「コスト」そのものの定義が違い、日本の数分の1の発電コストと言っても、それは補助金で補填した後の数字です。 さらに自然エネルギーのコストには不自然な点があり、日本では発電した後の設備費用や送電費用を、全て大手電力に負担させています。 太陽光は発電したらそれで終わりだが、その送電費用は原発や火力発電に上乗せされています。 欧米も同じで太陽光や風力は発電したらそれで終わり、原子力や火力が自然エネルギーの送電費用を負担させられています。
「そのくらい良いじゃないか」と思うでしょうが、日本中のすべての送電設備を再建築するとGDPと同額くらいかかるとされています。 「そのくらい」では済まない話であり、太陽光や風力にも設備負担を上乗せしたら、コストは数倍違ってくるでしょう。 仮にドイツのすべての発電を太陽光と風力だけにしたら、もう送電費用を従来発電に転嫁できないので、本当の「コスト」が現われてきます。
アメリカの場合は風力発電コストが1.6円になったと言っていますが、これも業者の販売価格であって「コスト」ではない。 補助金をたっぷり支給して土地は無償提供、業者が負担するのは風車そのものの建設費だけの費用が「1.6円/kw」なのでした。 アメリカのメガソーラーは一つの都市ほどの巨大さですが、費用の大半を自治体や政府、従来発電が負担しています。
太陽光発電の事業者が負担しているのは、パネル代と設置費用だけだと言われています。 自然エネルギーの「本当のコスト」は原子力潜水艦の性能並みに秘密にされていて、まるで国家機密のように守られています。 少なくとも日本と欧米の「コスト」は、自分で言ってるほどは違わない筈です。 http://www.thutmosev.com/archives/71652182.html アメリカではオバマ大統領のエネルギー政策によって、太陽光や風力発電など、自然エネルギーが急拡大してきた。
低コスト化が急速に進み、太陽光や風力発電のコストが原発や火力を下回ったという報道もされた。 だが実際にはオバマ政権が多額の補助金を交付したことで「見かけのコスト」が減少しただけだとも言われている。 例えばアメリカの太陽光や風力発電は土地は公有地を無償供与、送電設備は既存の電力会社負担、変電や送電なども既存発電に負担させ無料にしている。 しかも建設は補助金が半分出ているので、発電業者が負担しているのは太陽光パネルと設置費用の半額程度です。 これなら確かに「原発より太陽光発電のほうが安い」でしょうが、この比較は公正な数字とは言えない。
送電設備や電柱、電線、変電設備、買い取り費用まで全て原発に負担させて「原発より安い」というのは詐欺ではないだろうか? 日本のソーラー発電も同じように東京電力などに全ての費用負担を押し付けていて、最終的に電気の利用者に払わせている。 こうした「ソーラー詐欺」を槍玉に挙げているのがトランプ大統領で、補助金なんか廃止するべきだと主張している。
1月20日にトランプはオバマ政権のエネルギー政策を抜本的に転換する姿勢を示し、気候変動や環境対策を撤回すると表明した。 国内エネルギー開発を推進し、石油輸入を減らす為に、シェールオイルとガスと石炭開発を進める。 アメリカの自然エネルギー
オバマは温暖化ガス排出量を削減するため、再生可能エネルギーを促進するとして、太陽光や風力に膨大な補助金と優遇策を取っていました。 トランプはさっそく石油パイプライン建設に署名し、「環境より国内経済」優先の姿勢をはっきりと示した。 特に太陽光発電は、普及するにつれて環境に良いどころか、環境を破壊している例が次々に明るみになっている。 典型的な例が日本で行われている、森林伐採や草原、農地などを潰してメガソーラーを建設する方法で、どこら辺が「地球に優しい」のか謎である。
アメリカには広大な砂漠や荒地があるので森林伐採する必要はないが、アメリカの多くの環境保護団体は太陽光や風力が原発より環境を汚染すると主張している。 風力や太陽光は広大な敷地を必要とし、太陽光の照り返しや風車の騒音などで人や動物が住めなくなります。 ソーラーパネル製造には多くの化学物質が使用され、耐用年数は短く、施設を維持するために人間が手入れをし、石油エネルギーを消費しています。
ソーラーパネルも風車も、電力設備の多くも石油を利用していて、保守点検をする人間も石油を消費している。 つまり太陽光と風力発電は石油を消費して2次的に太陽光や風力で発電しているので、発電するほど石油を消費しています。 オバマの環境バブル崩壊か
例えばソーラーパネルを運ぶトラックは石油燃料で走るし、通勤する人も石油燃料を使い、彼らの食べ物や服装も石油を利用した物です。 これと比較すると原発は石油をあまり消費せず発電できるので、放射能漏れを起こさなければ「地球に優しい」と主張している。 地球に優しい議論は環境保護団体に任せるとして、トランプ政権が自然エネルギー優遇を見直したら、アメリカの自然エネルギーブームは終了するでしょう。 トランプはアメリカの自動車メーカー優遇も主張しているので、米メーカーが苦手としているEVやハイブリッド優遇も見直すかも知れません。
カリフォルニアやハワイなどの州ではオバマの環境政策にのって自然エネルギー発電や無公害自動車を進め、EV社のテスラが躍進しました。 だがEVブームもオバマと共に転機を迎え、優遇政策や補助金が打ち切られる可能性が高まった。 http://www.thutmosev.com/archives/68921126.html 詳細は 反原発派は知恵遅れ _ 原発再稼動で温室効果ガスが減少 再生可能エネルギーの限界 http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/781.html
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