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原子力機構「毎日新聞の『もんじゅ廃炉想定せずナトリウム搬出困難』記事は誤報で遺憾!!」と抗議するも盛大に自爆
http://buzzap.jp/news/20171130-monju-na2/
2017年11月30日12:15 by 深海 BUZZAP!
Photo by Wikipedia
結局のところ具体的なプランは何も決まっていませんでした。詳細は以下から。
昨日BUZZAP!でも取り上げた「高速増殖炉もんじゅが廃炉を想定しない設計のため冷却用ナトリウムが抜き取れない問題」ですが、日本原子力研究開発機構が毎日新聞に記事は誤報であると抗議しています。
しかし当然もんじゅをまともに運用すらできない原子力機構のこと、盛大な自爆に終わっており、今後の廃炉処理が暗澹たるイバラの道である事を暗示しています。
◆毎日の「もんじゅ廃炉想定せずナトリウム搬出困難」記事は誤報?
原子力機構は11月29日の毎日新聞の「もんじゅ:設計、廃炉想定せず ナトリウム搬出困難」とした記事に抗議する文書を発表しました。原子力機構はこの中で
技術的に可能であるにも関わらず、あたかも原子炉容器からナトリウムを抜き出すことが極めて困難であり、かつ、あらかじめ設計上の配慮を怠ったかのような印象を読者に与えようとするものであり、更には事実関係を十分に取材せずに掲載されたものであることから、当機構としては甚だ遺憾であります。 (平成 29 年 11 月 29 日付毎日新聞における「もんじゅ」に関する報道について(魚拓)より引用) |
として「原子炉容器からナトリウムを抜き出すことが極めて困難」ではなく「技術的に可能」であり「あらかじめ設計上の配慮を怠った」訳ではないと主張しています。
◆「記事解説」の記述は真逆
しかし、同文書に張られている「記事解説URL」を参照してみると言っていることが全く違います。
こちらの解説では大きく4点に分けて反論が行われています。最初の2項目はナトリウム抜き出しは燃料取り出し後に行う予定で、別計画として認可申請予定だという話。問題は第3項目です。以下引用します。
運転段階においては、原子炉容器内にある燃料を冷却するために、万一の配管が破断するような事故が発生した場合においても、燃料がナトリウムから露出することが無いよう原子炉容器内のナトリウムを抜き取る設計にはしていない。 原子炉容器内のナトリウムの抜き取りについては、今後詳細に検討して決定していくが、原子炉容器の底部まで差し込んであるメンテナンス冷却系の入口配管を活用するなどにより抜き取ることが技術的に可能と考えている。その上で原子炉容器の最底部に残留するナトリウム(約1立方メートル)については、更なる抜き取り方法を検討するが、技術的に十分可能なものである。 (記事解説(魚拓)より引用) |
ここで「原子炉容器内のナトリウムを抜き取る設計にはしていない」事を認めてしまっています。廃炉を行えば必ずナトリウムを抜き取る必要が生じるわけですから、これは廃炉を想定しておらず設計上の配慮を怠ったと言う以外ありません。
そしてナトリウム抜き取りについては「今後詳細に検討して決定していく」として現時点で計画が白紙であることを曝露してしまっています。
申し訳程度に「原子炉容器の底部まで差し込んであるメンテナンス冷却系の入口配管を活用するなどにより抜き取る」というアイディアらしきものが書かれていますが、これは「技術的に可能」とすら言えず「技術的に可能と考えている」と、単なる絵空事に留まっている事を白状しています。
それでも残るとされる1立方メートルの最低部のナトリウムについても「更なる抜き取り方法を検討する」「技術的に十分可能」と主張するものの現時点ではアイディアの欠片すら見当たりません。
(高速増殖原型炉もんじゅ公式サイトより引用)
そもそも論になりますが、高速増殖炉もんじゅ自体が「技術的に可能」であったから建設されたものの、1985年の着工以来日本の税金1兆2000億円を食いつぶし、稼働してすぐにナトリウム漏洩事故が発生。2010年にも原子炉容器内に筒型の炉内中継装置が落下する事故が起き、まともに運転すらできないまま廃炉に追い込まれたことを考えれば、「技術的に可能」という主張がいかに空疎なものか分かります。
◆原子力機構という杜撰すぎる組織の言葉の信用性
また、もんじゅを運営した原子力機構自体も、上記のナトリウム漏洩事故での事故現場ビデオ編集による隠蔽や特命内部調査員の自殺皮切りに、炉内中継装置落下事故の現場責任者の自殺など、不祥事隠蔽体質の塊のような組織である事は改めて指摘されるべきところ。
震災後の2012年には原子力規制委員会によって1万個近い機器の点検漏れが発覚。その後の立ち入り検査によってさらに13個の重大な点検漏れが発覚して無期限の使用停止を命じられます。その後原子力機構は点検漏れが全て解消したと報告しましたが、再び点検漏れが発覚するというあまりに杜撰な体制が再び明らかにされました
さらに2015年になると中央制御室の換気をする系統の弁など、最重要の15個の部品を誤って最も重要度の低いランクに誤って分類していたことが発覚。なんと1992年の試験運転開始からただの1度も点検されていなかったことが判明しました。
規制委からも「ラストチャンスはもう過ぎている」と総スカンを食らい、もんじゅ廃炉への一因にすらなったといえる原子力機構の隠蔽体質と杜撰さを見れば、今更信用に値しないことは言うまでもありません。
◆規制委もナトリウム抜き取りの困難さを指摘
本件については規制委の更田豊志委員長は11月29日の定例会見で「1次系ナトリウムの取り出しは難しい」との認識を示しています。更田委員長は「(廃炉が先行する)フランスでもかなり苦労している」とした上で「まずは原子力機構が真剣に技術開発、検討を進めているか確認する」と語っており、もんじゅのナトリウムを抜き取るための技術が現時点では開発されていないことを認めています。
廃炉を想定しないずさんな設計の高速増殖炉もんじゅから、空気に触れれば発火し、水に触れると爆発的に化学反応を起こすナトリウムを隠蔽体質と杜撰さが服を着て歩いているような原子力機構がどのようにして安全に抜き取れるのでしょうか。規制委すら難しいと認識する作業を完遂するための技術をこの組織が完成させ、無事に廃炉処理を行う事ができるのか、非常に疑わしいところです。
規制委員長「取り出しは難しい」 もんじゅ1次系ナトリウム _ 原発 _ 福井のニュース _ 福井新聞ONLINE
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