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凍土壁、完全凍結2ヵ月、効果が見えず
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2017/11/02(木) 19:43:23 めげ猫「タマ」の日記
福島第一の凍土壁の完全凍結が8月22日に始りました(1)。それから2ヵ月が経過したので、凍土壁内側に流れ込んだ地下水量を(=^・^=)なりに集計すると
完全凍結開始前の2016年10月 1日当たり 942トン
完全凍結開始後の2017年10月 1日当たり1,105トン(25日までの集計)
で減っていません。凍土壁の効果が見えません。
福島第一では地下水が山から流れてくるなどして、原子炉やタービン建屋に流れ込んでいます。あるいは海までに達しています。海に到達するころには地下水は汚染されてしまっています。以下に海岸に設けられた井戸の一つの地下水ドレン揚水井Cから汲み上げた地下水に含まれる放射性物質を示します。
※(2)を集計
図―1 地下水ドレン揚水井Cの放射性物質濃度
図に示す様にストロンチウム90は法令限度の1リットル当たり30ベクレル(3)の数十倍の2000ベクレル近くに達します。このままでは海に流せないので、これを汲みあげ浄化装置を通した後で海に流しています。ただし全ての放射性物質が浄化できる訳ではありません。東京電力はトリチウムは浄化できないとしています(4)。浄化しても排水基準(3)を満たさない汚染地下水は、タービン建屋に送っています(6)。
地下水がタービン建屋に流れ込んだり、海岸の井戸からタービン建屋に送り込んだ地下水で汚染水は増えていきます。
※(7)を集計
図―2 どんどん増える福島第一汚染水
最新の発表(8)を集計すると総量で約109トンに達します。以下にタービン建屋から汲み上げた直後のセシウム137の濃度をします。
※(9)を集計
図―3 タービン建屋から汲み上げた直後の汚染水のセシウム137濃度
概ね1リットル当たりで1億ベクレルを下回る程度でしょうか?法定限度は1リットル当たり90ベクレルですので、100万倍近い高濃度です。このままでは海には流せないので、汚染水タンクを作り続け保管しています(11)。そのうちに敷地がいっぱいなり汚染水タンクの増設が困難になる日が来そうです。汚染水の増加を抑えることは近々の課題です。
汚染水の増加を抑える対策の柱として原子炉やタービン建屋を氷の壁で囲む「凍土壁」が作られました。以下に構造を示します。
※(4)(12)にて作成
図―4 凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン
断面の模式図は以下の通りです。
※(4)(12)にて作成
図―5 凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン(断面)
氷の壁で地下水の流れを阻止し、タービン建屋に流れ込む地下水や海岸にまで達する地下水を減らす計画です(12)。当初の予定では2015年3月位から運用を始める予定でしたが(13)、完全凍結が始まったのは2017年8月22日からです(1)。ほぼ2年半の遅れです。以下に2号機付近の配置を示します。
※1(14)とGoogle Mapで作成
※2 R/Bは原子炉建屋、T/Bはタービン建屋を略した
図―6 2号機付近の構造
図に示す様に西側(地下水の流れでは上流)はら、観測用井戸、凍土壁、観測用井戸、サブドレン、原子炉建屋、タービン建屋が配置されています。便宜的に凍土壁の西側の観測井戸を観測井戸(外)、東側の観測井戸を観測井戸(外)とします。汚染水の増加を抑える対策には凍土壁の他に原子炉やタービン建屋のそばに井戸(サブドレン)を掘り、そこから地下水を汲み上げるサブドレンもあります(4)。以下に各井戸の地下水位を示します。
※1(15)より作成
※2 各井戸の平均
※3 サブドレン制御水位はサブドレンからの汲みあげを停止する目途の水位
図―7 福島第一の「凍土壁」近傍井戸の地下水位
図に示す通り観測井戸(外)と(内)で水位差が拡大しています。凍土壁は一気に凍結を始めたのでなく、2016年3月31日に主に海側の部分の凍結を開始し、その後2016年6月6日に山側の1部の凍結を開始しました。その後、2016年12月3日、2017年3月3日に凍結する範囲を拡大し(15)、2017年8月22日に全てで凍結が始まりました。そして図に示す様に凍結範囲が拡大するにつれ、水位差が広がっていきました。水位差が広がると流速が早くなります(16)。流れる水は0℃でも凍りません(17)。それでなくても、少しでも隙間があれば流れが集中し、結局流れる地下水の量はそれ程には減らないような気なします。
図―3に示す様に福島第一は西側が山で東側が海です。陸側(西側)から順に凍土壁・サブドレン・建屋・サブドレン・凍土壁・ウエルポイント・地下水ドレン・海側遮水壁です。このうち凍土壁と海側遮水壁は水の流れを遮ることを意図し設けられました(4)(12)。サブドレン、ウエルポイント、地下水ドレンは地下水を汲み上げる井戸です。汲み上げられた地下水はサブドレン排水として海に捨てられるか、タービン建屋に送られ汚染水の増加要因になります。山側の凍土壁をすり抜けた地下水はサブドレン、ウエルポイント、地下水ドレンで汲み上げられ排水さるかタービン建屋に送られます。直接に原子炉やタービン建屋流れ込んだ地下水はそのまま汚染水増加量になります。すると山側と濃度壁をすり抜けた地下水はサブドレン排水か汚染水になるので、サブドレン排水と汚染水の増加量が凍土壁をすり抜けた水の総量になります。以下に推移を示します。
※1(7)(18)を集計
※2 2017年10月は26日まで
図―5 凍土壁をすり抜けた水の量
図に示すように凍土壁をすり抜けた量は殆ど減っていません。気候の条件を揃える為に前年同月比でひっくすると
完全凍結開始前の2016年10月 1日当たり 942トン
完全凍結開始後の2017年10月 1日当たり1,105トン(25日までの集計)
で逆に増えています。これについて東京電力は「台風」を言い訳にしています。10月末に台風21号が福島を襲いました。大量の雨が降ったようです(19)。
以下に海岸部から汲み上げた汚染水の量を示します。
※(15)にて作成
図―6 福島第一の海岸からの汲みあげ量
台風が来ると急に汚染水が海側に流れています。凍土壁が台風の雨で溶けた可能性が否定できないとおもいます(20)。凍土壁は失敗の可能性が高いと思います。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
凍土壁には約350億円の税金が使われていますが(21)、それでも安倍出戻り総理は「一つ一つ結果を出していきたい」と述べたそうです(22)。でも、彼は結果を出していません。(=^・^=)はこんな人に騙される訳には行きません。彼がいくら「福島は安全」と主張しても(23)、(=^・^=)は信じません。(=^・^=)は「買わない」「食べない」「出かけない」の「フクシマ3原則」を決めています。でも、これって(=^・^=)だけではないようです。
福島県会津地方の特産品に「柿」がります。とても食味がよく、毎年皇室へも献上されています(24)。ことしも出発式が行われました(25)。福島、会津は柿のシーズンです。
※(25)を引用
図―7 福島・会津の柿の出発式を報じるTUF
福島県は福島産は検査で安全が担保されていると主張しています(26)。でも、福島県会津若松市のスーパーのチラシには福島産柿はありません。
※(27)を引用
図―8 福島産柿が無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2331.html
(1)2017年8月22日福島第一原子力発電所 陸側遮水壁第三段階開始について(PDF 786KB)
(2)X.地下水|東京電力中の「地下水ドレンポンド揚水井・観測井水質分析⇒分析結果⇒CSV(7月25日以降の計画による結果)」
(3)サンプリングによる監視|東京電力
(4)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(5)報道配布資料|東京電力
(6)(5)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(7)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社ちゅの「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(8)福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第326報)|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
(9)(5)中の「水処理設備の放射能濃度測定結果」
(10)第56回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(11)(10)中の「資料6:フランジ型タンクに関するリスク低減策の進捗[東京電力]【PDF:2MB】」
(12)陸側遮水壁|東京電力
(13)2014年3月12日 凍土式遮水壁の計画及び進捗状況について(資源エネルギー庁)
(14)中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2017年10月26日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第47回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(13.5MB)」
(15)(10)中の「資料2:地下水流入対策の現状[東京電力]【PDF:2MB】
(16)水力発電所の出力と有効落差の関係
(17)0℃でも凍らない水
(18)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(19)福島県内に避難準備情報 台風21号接近、7市町村47万人対象:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(20)台風で福島原発の“凍土壁”が溶けている!「効果なし」と指摘された汚染水対策を強引に推し進めた安倍政権と東電の罪|LITERA/リテラ
(21)東京新聞:凍土壁、残り7メートル凍結開始 福島第一の汚染水対策、秋にも完了:社会(TOKYO Web
(22)第4次安倍内閣が始動 首相「結果を出す」 - 共同通信 47NEWS
(23)平成28年6月3日 福島県下訪問 | 平成28年 | 総理の一日 | 総理大臣 | 首相官邸ホームページ
(24)みしらず柿 | JA会津よつば
(25)Nスタふくしま20171101 TUFchannel
(26)食の安全に関する取組 - ふくしま復興ステーション - 福島県ホームページ
(27)ヨークベニマル/お店ガイド
(21)(10)中の「会議映像 YouTube
(23)福島県の果物ランキング
(24)福島県の旬(出回り時期) 果物編
(25)めげ猫「タマ」の日記 福島のリンゴ産地の葬式は13.1%増、相馬は別
(26)特産品情報 | 地区別くらし情報 福島地区 | JAふくしま未来
(27)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(28)ヨークベニマル/お店ガイド
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