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関電、大飯原発2基廃炉へ
採算合わず、大型炉も選別
関西電力は大飯原子力発電所1、2号機(福井県)を廃炉にする方針を固めた。東日本大震災後、小型の原発の廃炉が進み始めたが、大飯原発のような100万キロワット超の大型の廃炉が決まるのは東京電力福島第1原発を除くと初めて。安全対策の費用が膨らむなか、電力各社はすべての老朽原発の再稼働を前提とせず、大型炉でも採算重視で選別する時代に入る。
大飯1、2号機の出力は各118万キロワットで、廃炉は国内の原発で過去最大となる。関電は福井の地元自治体などと調整を進めており、今秋中にも最終決定する。
政府は震災後、原発の運転期間を原則40年と定めた。原子力規制委員会が認めれば最長60年まで延長が可能だが、安全対策で1000億円規模の投資が必要になる。
関電はすでに小型原発の美浜原発1、2号機(福井県)の廃炉を決めている。震災後、福島第1を除き国内で計6基の廃炉が認可されたが、いずれも出力が30万〜50万キロワット台の小型だった。
100万キロワット前後の大型原発は各社が再稼働をめざしてきた。だが震災後に安全対策で費用が膨らみ続けている上、電力需要も伸び悩んでおり、大型でも採算をとることが難しくなってきた。
関電は再稼働を決定済みの7基の原発の安全対策で約8300億円が必要になる見込み。大飯1、2号機も動かすと総額は1兆円を超える。廃炉を選んでも30年間程度の作業で1基あたり数百億円のコストがかかるもようだが、再稼働にかかる費用よりは少ない。
関電の2016年度の販売電力量は、10年度に比べて約2割減少している。震災後に節電意識が広く浸透したことや、小売りの全面自由化により顧客が新電力に流出したためだ。大飯1、2号機などの廃炉で発電能力は約1割減少するが、需要も減っているため供給に支障は出ない見込み。
国内では震災前に電力の約3割が原発でまかなわれていたが、現在は数%。政府は現行のエネルギー基本計画で、30年の原子力比率を20〜22%としているが、現状は大きく下回っている。
実現には関電や九州電力、四国電力の計5基にとどまっている原発の再稼働を30基程度まで増やす必要がある。
ただ、運転開始から30年を超えている原発も多く、いずれも近い将来に廃炉か運転延長を申請するかの選択を迫られる。
関電のように採算を精査して大型原発でも廃炉を選ぶ電力会社が増えてくれば、原発比率が低水準で推移し政府の計画達成は厳しくなる。
[日経新聞10月17日朝刊P.1]
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