http://www.asyura2.com/17/genpatu48/msg/730.html
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「米・科学論文が示唆する「原発事故後の再汚染」の懸念」
飯塚 真紀子 (講談社・現代ビジネス 2017/9/14)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52815
福島第一原発事故から5年が経過した昨年2月、原子炉専門家のアーニー・ガンダ
ーセン氏は福島を訪ねて、様々な場所の土壌やダストを採取し、汚染状況を調査した。
その結果、福島で、再汚染が起きている状況を発見したことは、昨年6月の拙記事で
紹介したところだ(「フクシマではいま、再汚染が起きている可能性がある」米国原子力研究家の警告 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48323)。
この記事では、具体的な放射線数値については「調査のための時間が必要」ということで言及できなかったが、7月、ガンダーセン氏は、ともに調査にあたっているウースター工科大学のマルコ・カルトフェン博士と連名で「Science of The Total Environment」誌に科学論文を発表、その数値を公開した(http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969717317953)。
この数値を見れば福島周辺の再汚染が進行していることが疑われるという。ここに、その内容を紹介しよう。
■ 「状況改善を願っていたが…」
ガンダーセン氏とカルトフェン氏は、日本の科学者やボランティアたちとともに、2011年の原発事故の翌日から、サンプルの収集を実施。また2016年にも来日し、再びサンプルの収集を行った。
サンプルは、道路脇の土壌の他、車のフィルター、掃除機、風呂場の換気扇など人々の生活空間から採取したダストが中心。そうしたダストは、人々が日頃吸引しているほこりやちりと同じであると考えられるからだ。2人は2011年に78個、2016年に102個の計180個のサンプルを採取し、これらが調査された。
「原発事故から5年を経て、我々は、汚染状況が改善されていることを願っていました。しかしながら調査結果をみるかぎり、依然として高放射性粒子が多数存在し、2011年と2016年とでは汚染状況があまり変わっていないことがわかりました」
ガンダーセン氏はこう指摘する。
具体的な数値を紹介しよう。日本で採取した180のサンプルの放射性セシウムの中央値は約3200bq/kg、平均値は約26000bq/kgである。
平均値とは全サンプルの合計の数値を総サンプル数の180で割った数であり、中央値とは180のサンプルを並べた場合に中央に来る数値のことである。比較上、同時期に、カナダと米西海岸でもサンプルが採取されたが、その中央値は30bq/kg以下だった。
実際にサンプルを計測したカルトフェン教授が解説する。
「アメリカのサンプルの中には日本由来の放射性セシウムが含まれているものもあったのですが、チェルノブイリを除けば、世界の多くの地域での放射性セシウムの数値は30bq/kg以下と推測されます」
つまり、3200bq/kgというのは、世界の多くの地域の100倍以上の数値なのだ。さらに、カルトフェン氏は続ける。
「3200bq/kgという数値は癌になるリスクを上げる可能性があります。特に、平均値である26000bq/kg以上の放射線にさらされた人のリスクを上げるでしょう」
ガンダーセン氏は、平均値と中央値を比較してこう説明する。
「平均値が中央値の約8倍もあるのです。つまり、それだけ、高い数値の放射性粒子が存在しているということになります。
IAEAは放射線の数値については中央値にしか注目していませんが、実際は、高い数値の放射性粒子があることがわかったのです。これは非常に危険なことです。食べ物や呼吸を通して、健康に影響を与える可能性があるからです」
■ 「日本の調査法は十分ではない」
標準偏差を見ると、このことは明らかだとガンダーセン氏は言う。標準偏差とはデータのばらつきを示すカーブ。通常、データは正規分布する場合、その99.7%が中央値の±3σの領域に分布し、その領域から外れるのは0.1%だ。
しかし、採取したサンプルを調査した結果、5%、つまり、通常の50倍ものサンプルが+3σ(216000bq/kg)の領域を超えて分布していた。5%のサンプルが242000bq/kg(平均値の26000bq/kg + 3σの216000bq/kg)以上の非常に高い数値を示したのである。しかも、分布状況は、事故が起きた2011年と5年後の2016年とでは、大きな変化が見られなかったという。
カルトフェン教授が解説する。
「調査の結果、多くの人々が低線量の放射線を受けている可能性があることを指摘しておきたい。なかでも、この5%のサンプルが採取された地域に住む人々は、高放射性粒子が存在するため、他の人々よりはるかに多くの線量を受けている状況なのです。
重要なのは、高放射性粒子を測定すること。そうしないと、高い線量を受けている人々を見逃してしまうことになります」
日本でも、放射線量は測定されている。しかし、主に、地表1メートル地点の数値が手持ち測定器で測定されるだけ。精緻な検査で計測されているとはいいがたい。高放射性粒子までは測定されていないのである。しかしながら政府は、その数値をベースに様々な政策決定を行っている状況だ。
ガンダーセン氏が言う。
「日本の調査法はあまり十分ではありません。このような調査方法では、実際に、人々が何を吸い込んでいるかまではわからないからです。我々は、放射性物質に含まれる粒子とその量を調査しているのです。実際には、人はそれを吸い込んだり食べたりすることで、健康被害を受けるのですから」
実際、先日も、栃木県那須塩原市で販売されていたキノコから、国の基準の7倍を超える720bq/kgの放射性物質が検出されたばかりだ。
また、南相馬市は、9月5日、同市での外部被曝線量は、同市と交流がある県外3市と比較した時、「平均値、中央値とも4市ではほとんど差がなかった」と発表したが、ガンダーセン氏が、昨年、4階建の南相馬市役所の屋上から採取したダストの数値は45000bq/kgと、放射性廃棄物を安全に処理するための基準値である8000bq/kgをはるかに超える数値であることもわかった。
■ 「すべてを除染しない限り…」
「南相馬市役所の屋上は2014年に除染されていました。しかし、昨年採取したダストから、こんなに高い数値が出たということは、除染後、また、放射性粒子が舞い戻ってきた可能性があることを証明しています。
つまり、除染の効果はほとんどなかったと疑われるのです。除染したところで、草木が風雨にさらされれば、放射性粒子が舞い戻ってきます。草取りをしても、翌年、また草が生えてくるのと同じです」
ガンダーセン氏は、徹底的な除染が行われていなかった、というのだ。
「今、福島第一原発からは、新たな放射性物質はそれほど放出されていないと思います。しかし、すでに放出された放射性物質が、今も存在しているのです。政府は目につくような高速道路の両脇10〜20メートルや家屋は除染していますが、山森などは除染しようとしていません。
お金がかかるからでしょう。ですが、県のすべてを除染しない限り、放射性物質はこれからも残存し続け、除染しても再汚染される状況が少なくとも100年は続くことになると思います」
ガンダーセン氏は昨年の調査時、99.98%の放射性粒子をフィルタリングできるマスクを装着していたが、使用したマスクのフィルターを測定したところ、17bqの放射線値を示したという。
一方、日本で主に装着されている紙マスクは約10%しかフィルタリングできない。そのため、紙マスクを装着している人はさらに多くの放射性粒子を吸引している可能性がある。
またガンダーセン氏は、東京の経済産業省の前の通りの土壌も採取したが、その数値は、3000bq/kgと全サンプルの中央値に近い値だった。しかし、建物の入口近くの花壇から採取した土壌は7000bq/kgと高い数値を示した。
放射能に関する議論は「肯定派」「否定派」の間で、非常に激しいものになりがちだ。彼らの検査結果を否定する人たちもいるだろう。しかしながら一方で、この指摘を真摯に精査し、政府あるいは関係機関がもう一度精緻な検査を行う必要があるのではないか。
ガンダーセン氏は、この9月、日本を訪ね、日本の科学者やボランティアのチーム
とともに、さらに500〜600のサンプル採取にあたる予定だ。
-----------(引用ここまで)---------------------------------
予想されたことですが、福島原発事故5年後でも、放射能汚染は高いレベルにとどまっており、
極めて深刻であることが、ガンダーセン氏らの測定により裏づけられました。
あらかじめわかっていたことですが、何千億円もかけた除染はほとんど無意味だったのです。
中央値約3200bq/kg、平均値約26000bq/kgという値は、放射線管理区域の基準40,000Bq/m2
(615Bq/kg)にくらべてとんでもなく高い値です。
チェルノブイリ事故では、子どもは50Bq/kg、オトナは200Bq/kgから健康被害が
顕著になることがわかっています[1]。
これから、東日本を中心に想像を絶する被ばく被害が出ることは確実です。
事実、どんどん人が死に始めています。
(関連情報)
[1] 「スモルニコワ・バレンチナ先生 子供は50Bq/kgから危険がはじまる。
大人は200Bq/kgから危険」 (阿修羅・ポリーテイアー 2011/12/8)
http://www.asyura2.com/11/genpatu19/msg/164.html
[2] 「ガンダーセン氏のサンプル測定 経済産業省付近で7000ベクレル/kg検出」
(拙稿 2016/6/6)
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/787.html
[3] 「『フクシマではいま、再汚染が起きている可能性がある』米国原子力研究家の警告
(現代ビジネス) 」 (拙稿 2016/6/4)
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/778.html
[4] 「原子炉専門家のA・ガンダーセン氏が飯舘村蕨平の仮設焼却炉を見学して驚愕!」
(拙稿 2016/4/11)
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/463.html
[5] 「ガンダーセン氏 「この粒は80%どころの話ではないよ。ほぼ核燃料100%の粒だ」
(Meg氏ブログ)」 (拙稿 2014/5/31)
http://www.asyura2.com/14/genpatu38/msg/492.html
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