http://www.asyura2.com/17/genpatu48/msg/631.html
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「いつの間にか国は『事故が起きたら原発周辺住民の被曝はやむなし』に政策転換
原子力規制庁に直接確認したら本当だった」 (烏賀陽(うがや)弘道 2017/8/31)
https://note.mu/ugaya/n/n6e5564b9d40f
万一、再び福島第一原発のような事故が起きて、放射性物質が周辺に大量に漏れたとき、次回は国は原発付近に住む住民をどう避難させるつもりなのか。これは同事故を発生時から取材し続けている私のような記者にとって、もっとも重要な関心事のひとつだ。同事故では、国の失敗から、23万人が放射性物質に被曝するという最悪の結果を招いたからだ。
洪水や土砂崩れのような「一般災害(知事や市町村長が避難指示を出せる)と違って、原子力災害では国(内閣総理大臣)が避難指示を出す権限を持っている。指揮命令ラインが長い。
福島第一原発事故では、それがトップから末端に至るまでミスに次ぐミスの連続で惨敗に終わった。過去6年半の報道でも明らかになっている。私も、これまで地元の避難民、市町村長や国(政治家・官僚)など当事者へのインタビューで、その失敗の連鎖を明らかにしてきた。
では、そうした失敗から、国は住民避難政策をどう改めたのか。そこに福島第一原発事故の経験は生かされているのか。生かされているなら、どう改められたのか。
「ポスト福島第一原発事故」の避難政策を国(原子力規制庁=原子力安全・保安院と原子力安全委員会が統合された新組織)が公表したのは2012年10月だった。「原子力災害対策指針」と呼ばれている(本文中では『新避難指針』と呼ぶ)。
さんざん新聞などで報道された「重点区域を原発の半径8〜10キロ圏内から30キロ圏内に拡大」とか「半径5キロ圏内は重大事故が予想される場合、即時に避難する」とか「オフサイトセンターは半径5〜30キロ圏内に設置」など、いろいろ細かい部分はひとまず置いておく。
この「新避難指針」を最初に見たときから、私が驚き、そして理解できなかった最大の疑問は「地上に設置したモニタリングポスト(MP=線量計)が高い数値を示したら、避難を開始する」という方針だった。地上のMPが高い数値を示しているということは、すでにそこに高濃度の放射性物質のプルーム(雲)が到達している、ということを意味する。そうなれば当然、周囲の住民も放射性物質を浴びて被曝しているはずではないのか。
本来、原発事故で放出された放射性物質を浴びないために、住民は避難するはずだ。「被曝してから、避難するかどうか決めましょう」という新指針の内容は、どう考えても逆立ち、あえて語調強めれば倒錯している。しかし、新聞・TVなどマスコミや学識者はそれを批判どころか、指摘すらしない。私の理解が何か足りないのかと思って取材を続けていたら、滋賀県の嘉田由紀子・前知事など原発周辺の自治体がやはり同じ点を批判をしていることがわかってきた。
<参照>烏賀陽記事:福島第一事故の教訓は住民避難に生かされないまま 前滋賀県知事の警告
https://note.mu/ugaya/n/nf83aed7c5f6c
国は、本当に原発周辺の住民の被曝を許容するようになったのだろうか。いつからそんなおかした政策に転換したのか。転換したのなら、それはどう正当化されるのだろうか。
あれこれ調べてもすっきりしないので、私は原子力規制庁に直接話を聞きに行くことにした。すると驚いたことに担当課長が「『周辺住民の被曝やむなし』に避難政策を転換した」とあっさり認めたのである。これは新聞TVなど記者クラブ系マスコミの記事には出てこない重大な話である。つまり「被曝ゼロ避難」を国は放棄したということだ。次の原発事故が起きて放射性物質が漏洩したら、周辺住民は必ず被曝するのである。
原子力規制庁広報室を通じて取材を申し込んでみた。すると、住民避難政策立案の務担当責任者である佐藤暁・原子力災害対策・核物質防護課長に約70分間話を聞くことができた(同庁の金城慎司・広報室長らが同席した)。
佐藤課長は極めて率直に「周辺住民被曝やむなし」への政策転換を認め、ときには資料を示しながら、その理由や背景を丁寧に話してくれた。以下に、その一問一答を掲載する。
その発言内容に賛同するかどうかは別として、そのオープンな姿勢には感謝を表明したい。個人的には、佐藤課長の個人的な思いをも含めた率直な語り口には、好感を持った。これは「国」の政策であって、担当者や官僚一人を責めるべき事柄でないことは、読者もあらかじめご記憶いただきたい。
(注)なお、以下のインタビューは、記録性を優先して、一問一答形式として、話の順番もそのままにし、できるだけ人為的な編集を加えないようにした。だから、一番のキモの部分が真ん中へんに出てくる。
基本的にゴチックが烏賀陽の発言、一部を除いて、プレインが佐藤課長の発言である。烏賀陽の解説は「(注)」と書いて太字で挿入した。
念のために、このインタビューが実現した経緯を説明しておく。「原子力安全保安院の阿部清治審議官(当時)が2003年ごろから論文でSPEEDIの欠陥について指摘していたが、政府はそれを無視・放置した」という事実を掴み、その経緯を確かめるために取材をしていた。
しかし、著作の出版社を通じてご本人に連絡したところ「現在は原子力規制庁の技術参与であり、公職にある。個人としては発言できないので、所属組織でる規制庁の広報に相談してほしい」とのご希望だった。そこで、どうせならと、規制庁の避難政策担当者に新避難指針の話を聞いてみることにした。
---------(引用ここまで)------------------------------
モニタリングポストが高い数値を示してから避難を開始するのでは手遅れ、
大量に被ばくしてしまいます。
そのモニタリングポストも実際より低く表示されるよう不正調整されているのです[1]。
政府は福島事故の失敗に何一つ学んでいません。
住民の命などどうなろうと知ったことではない、ということです。
「事故が起きたら原発周辺住民の被曝はやむなし」ではなく、
「事故が起きたら原発周辺住民はすべて見捨てる」と、はっきり言ったほうがよろしい。
残念ながら、これが日本という国家の本性なのです。
(関連情報)
[1] 「『放射線量低く見せろ』との文科省の要求に応じず破産したアルファ通信」
(拙稿 2014/6/13)
http://www.asyura2.com/14/genpatu38/msg/696.html
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