格納容器内の燃料が今も全部そこにあるか目視確認できない問題より、 燃料プールの燃料が今も全部そこにあるか目視確認できなかった(瓦礫で覆い隠されて)問題が どうなったかを、先に発表すべき。一瞬かすって行っただけで鉄骨,数十トン(1トンや2トンじゃない)を1000℃上げたほどの、 膨大な熱量を持った高温ガスが、建屋内で発生した状況証拠があるのだから、 プール内の燃料の何割か連鎖反応を起こして気化したと疑われて当然でしょう。 https://www.youtube.com/watch?v=OiZmLqWnjgc http://c23.biz/eV77 鉄骨の曲がった箇所は全体に点在している。 曲がった箇所に集中的に熱が移ってそれらの箇所だけ1000℃になった、なんてあり得ないのだから (曲がった箇所が1箇所だけなら熱がそこに集中もあり得るが、曲がった箇所は全体に点在している)、 鉄骨,数十トン全体が1000℃になったと考えるのが自然。 政府見解通り建屋内に水素ガスが600kg溜まっていて、 水素ガス600kgが全部燃焼して、それで出来たガスの熱が鉄骨にあの一瞬で全部移ることができたとして、 ようやく鉄骨,数十トンの温度を1000度上げることができる。 水素600kg=0.6トンが燃焼するには、その8倍の質量の酸素(4.8トンの酸素)が必要だが、 4.8トンの酸素には、その3.5倍の質量の窒素(16.8トンの窒素)が漏れなく付いて来る(空気は酸素と窒素の混合気)。 空気中で水素0.6トンが燃焼すると、5.4トンの水蒸気が、16.8トンの窒素と混ざった状態で出来上がる。 つまり、22.2トンの水素と窒素の混合気が出来上がり、そのときの温度は元の温度の3600度増。 要するに、3600℃の混合気22.2トンが出来上がる(元の温度は10℃以下で0℃と変わらないから3600度増なら3600℃)。 鉄骨を1000度上げるのに移れる熱量は、1000℃との差分の2600度だけ。 この混合気の大半は窒素だから比熱は窒素に従う(水蒸気に従うわけではない)。 窒素22.2トンの2600度分の熱を鉄骨に移せば、鉄骨,数十トンがだいたい1000度上がるとわかるでしょう。 しかし、水素ガスが全部燃焼することも、ガスの熱が一瞬で全部移ることもあり得ないので、 鉄骨,数十トンを1000度上げるなんて出来ないのです。 ■600kg全部が建屋内で燃焼できるわけがない。 水素ガスは、比重が空気の14分の1しかなく、水素ガスと空気は上下に分離して存在していた筈で、 水素ガスと空気が混ざることが出来るのは2者の境界付近だけ。だから、建屋内で燃焼できたのは精々60kgくらい。 爆発の衝撃で混ざるとは言っても、 |水素ガス| |水素ガス| |_水蒸気_| |__空気__| |__空気__| 上図のように、燃焼で出来た水蒸気が水素ガスと空気を仕切ったまま膨張して、 水素ガスを建屋の外に押し出すのだから、 水素ガスの大半は、酸素と結合できないまま、建屋の外に出て燃焼するか、燃焼せずに拡散するかして、 鉄骨に熱を与えるのに寄与しない。 ●この理由だけでも、水素爆発で鉄骨,数十トンの温度を1000度上げるには、熱量が1桁足りない。 ■また、その燃焼で出来た高温ガスは鉄骨を一瞬かすって通り過ぎるのだから、 熱は、鉄骨に精々10分の1くらいしか移らない。 下図が爆発時の建屋天井の断面図で、■が鉄骨、↑が通り過ぎる高温ガスとすると、 ■↑↑↑↑↑↑■↑↑↑↑↑↑■↑↑↑↑↑↑■ 鉄骨から離れたガスの大半が、鉄骨に熱を与えないまま、高温のまま、 建屋の外(上側)に出て行ってしまうことはわかると思う。 鉄骨近くのガスが鉄骨に熱を与えてしまって温度が下がったら、すぐ周りから熱が補充されて温度が復活する とは言っても、時間ゼロでは無理なのだから、その一瞬ではほとんど補充されずに通り過ぎて行ってしまう。 鉄骨に熱を移すのは、鉄骨近くを通ったガスの熱だけ、しかも一瞬で通り過ぎるのだから移せる熱量も僅か。 ●この理由だけでも、水素爆発で鉄骨,数十トンの温度を1000度上げるには、熱量が1桁足りない。 上に書いた理由と合わせると、熱量は2桁足りない。 水素ガス600kgの燃焼だけでは全然足りないことが、わかるでしょう? あの状況で他に熱を出した可能性があるのは、プール内の使用済燃料の連鎖反応だけなのです (もし格納容器の中味が大量に飛散していたら、 半減期の短い、強烈なγ線を出す物を含んだガスが膨大な量ばら撒かれていた筈だが、 実際には空間線量が跳ね上がらなかったので否定される。となると高温ガスはプールから)。
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