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核燃サイクル、費用底なし 再処理施設廃止に1兆円 原子力機構、ずさん管理でコスト膨張も
日本原子力研究開発機構は30日、原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す「東海再処理施設」(茨城県)の廃止計画を原子力規制委員会に提出した。作業を終えるまでに70年かかり、総費用は約1兆円にのぼると試算した。国がかかげる核燃料サイクル政策の負のコストが巨大になることが明らかになった。
再処理の過程で出た放射性廃棄物がずさんに管理されていることもあり、費用がさらに膨らむ可能性もある。
規制委は今後、廃止計画の安全性を重点的に審査する。追加費用については、原子力機構を所管する文部科学省が精査する。ただ大半が国費でまかなわれることになり、原子力政策への批判が強まる可能性がある。将来の廃止措置も見据えずに技術開発を急いだ文科省側の姿勢も問われそうだ。
東海再処理施設の費用を巡っては、同機構は最初の10年で2200億円かかると公表していた。30日に規制委に出した廃止計画では、残り60年間でも約7700億円かかると試算した。具体的には汚染された機器の解体費が1400億円、放射性廃棄物をセメントなどで固める処理費が2500億円、廃棄物を地中に処分する費用が3800億円になる。
商業用原発の廃炉にかかる費用は1基あたり300億〜800億円といわれる。十数倍にも達したのは、再処理施設を廃止する経験が無く、作業方法が確立されていないからだ。
再処理施設は、使い終わった使用済み核燃料からプルトニウムやウランなどを再び燃料として利用する核燃料サイクル政策に欠かせない施設。東海再処理施設は1981年に運転を開始した。核燃料の切断や溶解、分離など様々な手順があり、約30の施設が点在している。原発よりも再処理の過程で高レベルで汚染された建物が多く、廃止技術も高度になる。
今回の試算通り1兆円ですむかどうかも不透明だ。原子力機構の放射性廃棄物の管理がずさんで、作業が順調に進む保証がないからだ。
原子力機構は固体の放射性廃棄物を入れたドラム缶約800個を乱雑にプール内に積み重ねたままにしている。高い放射線を出すため人では作業できず、専用ロボットの開発などが必要だ。廃棄物が漏れ出ている可能性も指摘されており、作業の見通しが立たない可能性がある。
今後の大きな問題は、7700億円の試算の中に年50億〜60億円かかっている施設の維持管理費が含まれていないことだ。例えば、政府が廃炉を決めた高速増殖炉原型炉「もんじゅ」は、30年かかる廃炉作業中の維持管理に2250億円を見込んでいる。
30日に会見した原子力機構、核燃料サイクル工学研究所再処理技術開発センターの大森栄一センター長も、今回の試算について「精度の高いものだと考えてはいない」と述べ、廃止費用がさらに上積みされる可能性を示唆した。
国の原子力政策に詳しい九州大学の吉岡斉教授は「将来費用が足りず放置される可能性もある。作業はリスクの高い廃液処理から優先させるのが現実的だ」と指摘する。
核燃料サイクル政策では、今後、青森県六ケ所村にある再処理施設を使う計画。この施設は東海再処理施設の約4倍の処理能力がある。六ケ所村の施設を運用する日本原燃は将来の廃止に約1兆5000億円と試算し、電力会社が積み立てているが、今回の東海再処理施設の費用をみると、膨らむ可能性も出てきた。
[日経新聞7月1日朝刊P.4]
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