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「しょぼくれたアメリカ」への怒りが より過激なトランプ新大統領を生み出した
http://www.asyura2.com/17/ban7/msg/105.html
投稿者 中川隆 日時 2017 年 1 月 29 日 17:02:05: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: ヒッピー文化は何もかも破壊していく文化だった 投稿者 中川隆 日時 2017 年 1 月 28 日 11:49:38)

2017年1月27日
「しょぼくれたアメリカ」への怒りが、より過激なトランプ新大統領を生み出した
http://diamond.jp/articles/-/115783


 団塊の世代はもとより、それよりひとまわり若い私の世代にとってもアメリカは「夢の国」だった。1976年にマガジンハウスの雑誌『POPEYE』が創刊されたときは高校生で、はじめて知った西海岸の文化やファッション、ライフスタイルに大きな衝撃を受けた。しかしそれよりもっと衝撃的だったのが、もはやタイトルも忘れてしまったが、深夜テレビで見たアメリカ映画だった。

 ロサンゼルスに住む母子家庭の物語で、ストーリーもほとんど覚えていないが、母親も高校生の息子もそれぞれが恋人との関係に悩む、という設定だったと思う。映画の最後で、男に捨てられた母親が妊娠を知り、泣きながらそのことを息子に打ち明ける。その当時、カリフォルニア州では中絶は違法だったが、母親に子どもを産む余裕はなかった。すると高校生の息子(彼は私と同い年だった)は母親を慰め励まし、車の助手席に乗せて、中絶が合法化されている隣のネバダ州ラスベガスまで運転していくのだ――。

 当時の私には、そもそもなぜアメリカの高校生が当たり前のように車を運転しているのかがわからなかった。しかしより信じがたかったのは、母親が18歳の息子に自分の失恋や望まぬ妊娠を赤裸々に語り、息子がそんな母親に、対等な個人として手を差し伸べようとすることだった。そこには、私には想像もできない価値観で生きているひとたちがいた。

 その後、80年代にはじめて北米を旅したが、そのゆたかさに圧倒され、なにもかもきらきらと輝いてみえた。これは私だけの感想ではなく、帰国便を待つ空港では若い日本人女性のグループが、「この自由な空気を知ったら、もう日本なんかで暮らせないよね」と大声で話しあっていた。

 しかしそれから、私のアメリカに対する印象は徐々に変わっていった。昨年末にニューヨークの夜の街を歩いたのだが、街頭は暗く、建物は古く、道はあちこちが工事中だった。久しぶりにタイムズスクエアも訪れたが、六本木や銀座、あるいは香港やシンガポール、北京や上海と比べても、なにもかも古ぼけて見えた。ひとことでいえば、街がしょぼくれているのだ。

 私はこれが、自分が年をとったせいだと思っていたのだが、

トーマス・フリードマンとマイケル・マンデルバウムの『かつての超大国アメリカ』(日本経済新聞出版社)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4532168457/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4532168457&linkCode=as2&tag=mailmagazin0asyuracom-22


を読むとそうでもないらしい。当のアメリカ人が、自分たちの国はすっかりしょぼくれてしまったと思っているのだ。

ニューヨークのタイムズスクエア            (Photo:©Alt Invest Com)


ニューヨーク5番街のトランプタワー           (Photo:©Alt Invest Com)


アメリカはもっとも早くインフラの老朽化に直面している

 トーマス・フリードマンはニューヨーク・タイムズの名物コラムニストで、世界的なベストセラーとなった

『フラット化する世界』
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4532313775/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4532313775&linkCode=as2&tag=mailmagazin0asyuracom-22


『レクサスとオリーブの木』
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4794209460/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4794209460&linkCode=as2&tag=mailmagazin0asyuracom-22


で知られる。マイケル・マンデルバウムはジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究所大学院教授で、『フォーリン・アフェアーズ』やニューヨーク・タイムズなどに寄稿する国際問題の専門家だ。

『かつての超大国アメリカ』
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4532168457/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4532168457&linkCode=as2&tag=mailmagazin0asyuracom-22


は、そんな2人が世界金融危機後のアメリカに向けて(本の発売は2011年)、グローバル化する世界の中で政治や経済、社会をどのように変えていくべきかを提言したものだ。

 この本は、中国の天津とワシントンD.C.の地下鉄から始まる。

 世界経済フォーラムの年次総会(サマー・ダボス)に参加したフリードマンは、5年前には存在しなかった超モダンな北京南駅から高速鉄道に乗り、115キロをわずか29分で走り抜けて超モダンな天津駅に着く。会議が行なわれた天津梅津会議・展示センターは延床面積23万平方メートルの巨大施設だが、案内によれば2009年9月15日から2010年5月までの8カ月で完成した。

 ひるがえって2人が仕事をするワシントンD.C.の地下鉄メトロレールのベセズダ駅は、短いエスカレーター2本が6カ月ちかく修理中のままになっている。1本が修理のため通行できないので、もう1本が上下両方向の階段代わりに使われ、ラッシュアワーのときは大混乱が起こる。

 たんなる“設備改善”になぜこんな時間がかかるのか調べたところ、ワシントン首都圏交通局のコメントが見つかった。そこには次のように書かれていた。
「修理には約6カ月かかる予定で、予定どおり進んでいる。作業員はエスカレーター1本の修理に10週間ないし12週間かかる」

 インフラが老朽化して手に負えなくなっているのはワシントンD.C.だけではない。2009年、米国土木学会(ASCE)が“アメリカのインフラ成績表”を発表したが、「C」を平均として、「固形ゴミ処理が最高点でCプラスだった。つぎに高いのが橋梁でC。つづいて、線路と公園及び娯楽施設の2項目がCマイナス。航空、ダム、有蓋(ママ)廃棄物、内陸部水路、堤防、道路、学校、公共輸送機関、下水など、その他のインフラは全種DもしくはDマイナスだった」。

 さらに問題なのは、インフラが老朽化すればするほど補修費がかさみ、政府や自治体が修繕に及び腰になることだ。ASCEの推計では、アメリカのインフラ補修費は2005年に1兆6000億ドルだったが、それが2009年には2兆2000億ドルになった。わずか4年で40%近くもコストが上昇するのなら、いまはいくらになっているか考えるだけで恐ろしい。――だからアメリカの政治家は考えることをやめたのだろう。

 世界でもっとも早く近代化に成功したアメリカは、もっとも早くインフラの老朽化に直面した。アメリカの都市がどんどんしょぼくれていくのは、私の偏見というわけではなさそうだ。

サンフランシスコのゴールデンゲート・ブリッジ。徒歩でも渡れるようになっており、自殺の名所としても知られる              (Photo:©Alt Invest Com)
http://diamond.jp/articles/-/115783


アメリカの高校生の四分の一が読み書きができない
http://diamond.jp/articles/-/115783?page=2

 アメリカは世界でもっとも優れた大学教育を提供しており、ハーバード、MIT、スタンフォードなどの有名大学には世界じゅうから優秀な若者が集まってくる。彼らはその後、ウォール街の金融機関やシリコンバレーのIT企業に就職し、アメリカを金融、テクノロジー、イノベーションの中心地に押し上げた。

 だがその一方で、当のアメリカ人の教育水準は惨憺たるレベルにあると、フリードマンとマンデルバウムは嘆く。『かつての超大国アメリカ』には、驚くべき数字が列挙される。

 ワシントンD.C.を本拠とする学生支援組織エデュケーション・トラストが行なった調査によれば、アメリカ陸軍に入隊を希望する高卒者の23%が入隊テストに必要な最低点がとれない。その問題は、「2+x=4のとき、xの値は?」というような初歩的なものだ。

 ブルッキングス研究所の教育問題専門家によれば、2009年、高校の最上級生の26%が、全国統一テスト(NAEP)で基本リーディング・レベル以下の成績だった。これはかんたんにいうと、読み書きができないということだ。

 外交問題評議会(CFR)におけるスピーチでアーン・ダンカン教育長官は、「わずか一世代前には、アメリカは世界一大卒者の割合が多かった。現在では、成人期初期の若者が大学を終える割合で、韓国を含む8カ国がアメリカをしのいでいる」と述べたあとで、こうつけ加えた。

「それと同じくらい問題なのは、アメリカの高校生の4分の1――25パーセント――が、中退するか所定の年数で卒業できていないことだ。じつに毎年100万人近くの学生が、学校をやめて世間に出ている。これは経済的に持続不可能だし、道義的に受け入れられない」

「(退役将官のグループによれば)17歳から24歳のアメリカの若者の75パーセントに、高校を卒業していない、前科がある、あるいは体に故障があるなど、軍隊に入隊するのに不適格な理由がある」

 こうした状況は、OECDが行なう学習到達度調査(PISA)を見ても明らかだ。PISAは先進工業国数十カ国の15歳の生徒が未来の仕事に備えてどう学習しているかを、「リーディング」「数学」「科学」で3年ごとに調査しているが、アメリカの成績は、リーディングではアイスランドとポーランドと同点で全体の中程度、数学では国際平均以下でアイルランドやポルトガルとほぼ同じ、科学は全体の中程度で東アジア諸国やフィンランドに大きく遅れをとった。これを受けて教育省はアメリカの公教育の現状に危機感を表明したが、メディアでは束の間報道されすぐに消えた。

 公教育の崩壊は、当然、成人の知識レベルにも反映されることになる。

 デトロイトの地域労働力基金が2011年5月に発表した調査で、デトロイト住民の成人の47%、約20万人に、日常生活に必要とされる読み書き能力がないことが判明した。これはデトロイト市の大人の半数ちかくが、取扱説明書や、パッケージや機械のラベルを読むことができず。就職の申込書を書くことができない、ということだ。――それにもかかわらず、彼らのうちの10万人が高校の卒業証書を持っているか、GED(高卒資格)を得ている。

 トランプは「アメリカに雇用を取り戻す」と公約したが、彼がそれを実現してデトロイトにふたたび自動車工場が戻っても、企業は仕事に必要な読み書き能力を持つ労働者を雇うことができないのだ。

 こうして、かつて光り輝いていたアメリカは、人材面でもしょぼくれてしまったのだ。

ラスベガスのトランプホテル

「グローバル化」に適応できなくなったアメリカへの処方箋

『かつての超大国アメリカ』を書いたフリードマンとマンデルバウムはリベラルなコスモポリタンで、政治的にはトランプの対極にいる。同書ではアメリカ再生の条件として、優秀な移民に広く門戸を開くことを掲げており、トランプが「アメリカ・ファースト」の名のもとに進めようとする国境の壁や移民排斥などの「新政策」はぜったいに認めないだろう。

 しかしそれでも、両者には明白な共通点がある。それは、しょぼくれてしまったアメリカへの怒りだ。

 フリードマンとマンデルバウムは、劣悪な公教育や機能しない政治など、アメリカ社会が抱えるさまざまな深刻な問題を指摘しながらも、「それでもアメリカをもういちど偉大な国にすることは可能だ」と繰り返し述べる。これが彼らの本のテーマなのだが、それはトランプの標語“Make America Great Again”とまったく同じだ。

 ところで、「偉大さ(Great)」とはいったいなんだろうか?

 アメリカの歴史には、3つの大きな成功体験がある。独立戦争、第二次世界大戦、冷戦の終焉だ。この“偉業”によってアメリカは神に選ばれた「偉大な国家」となった、というのが彼らの歴史観だ。

 このなかで、ファシズムに勝利した第二次世界大戦(1945年)と、共産主義を打ち破った冷戦の終焉(1990年)は現代史に属する。この2つの勝利に貢献したのが「偉大な世代」で、大統領としては、第二次世界大戦に招集されたロナルド・レーガンとジョージH.W.ブッシュ(父ブッシュ)がこれに属し、その後のビル・クリントンやジョージW.ブッシュ、ドナルド・トランプは戦後生まれのベビーブーマーだ。

“Make America Great Again”の背景には、冷戦終焉によってアメリカは唯一の超大国としての地位を不動のものにしたにもかかわらず、20年たって振り返ってみると、もはや世界の国々はアメリカを「偉大な国」と見なしていない、という落胆がある。だとしたら、アメリカはどこかで道を間違えたにちがいない。

 冷戦の終焉と前後して「偉大な世代」は引退したのだから、間違えたのはベビーブーマーのリーダーたちだ。だが、いったいどこで?

 この問いに対して、リベラルなコスモポリタンである2人の著者は、「アメリカがグローバル化に適応できなくなったときからだ」とこたえる。それに対する処方箋は、教育への投資によってアメリカ人労働者の知識とスキルを向上させ、優秀な移民を呼び込むことでイノベーションを起こし、増税と歳出削減の抜本的な改革によって財政赤字から脱却し、事実を直視して「地球温暖化」という人類の危機に立ち向かうことだ。

 だが、いったいどうしたらこんなことが可能になるのか。それは「ショック療法」だと彼らはいう。

 来るべき大統領選で、民主党からも共和党からも距離を置き、まっとうな政策を説く第三の候補が現われ、当選できないまでも一定の票を獲得すれば、新大統領は4年後の再選を見越して第三の候補の政策を取り入れようとするはずだ、というのが著者たちの見立てだった。なぜなら、第三の候補と同じことをすれば、次の選挙では労せず彼が獲得した票を上積みできるのだから。

 そして現実に、政治経験も行政経験もまったくない「第三の候補」が現われた。大方の予想に反し、「アメリカをふたたび偉大にする」と叫んだ彼は大統領に当選したが、その政策は企業を恫喝して国内に工場をつくらせ、移民を追い出して「アメリカ人」に仕事をあてがい、財政支出の大幅拡大によって景気を回復させ、化石燃料による地球温暖化を否認する――同じ「しょぼくれたアメリカ」への怒りから出発したにもかかわらず、処方箋はまったく逆だったのだ。

トランプホテルの土産物店で売られている“Make America Great Again”のベースボールキャップ                   (Photo:©Alt Invest Com)


赤ちゃんのときからTrump印             (Photo:©Alt Invest Com)
http://diamond.jp/articles/-/115783?page=2


アメリカの予備選挙は、中道よりも過激な候補者が有利になる
http://diamond.jp/articles/-/115783?page=3


 アメリカではなぜ、共和党と民主党の二大政党がはげしく憎みあうようになったのか。その理由は『かつての超大国アメリカ』できわめて明快に分析されている。

 最大の要因は、互いの党利党略によって、選挙区にどちらかの党員が集中するよう区割りされていることだ。これによって、党内の予備選挙が本選挙と同じになった。すなわち、共和党/民主党の予備選挙に勝って正式な候補になれば、選挙区はその党に圧倒的に有利なように仕組まれているのだから、本選挙をするまでもなく結果はわかっているのだ。

 この区割りはゲリマンダーと呼ばれるが、もっとも顕著なカリフォリニア州では、2004年から2010年にかけて行なわれた4回の選挙で計212カ所の投票が行なわれたが、党が入れ替わったのはわずか1選挙区だけだったという。ここまで極端だと、すべての候補者が本選挙ではなく予備選挙に勝つことに全精力を傾けることになる。

 本選挙とは異なって、予備選挙には正規登録している党員しか投票できず、彼らは思想的に凝り固まっているので、左右両極に近い候補者が中道の候補者よりも有利になる。本選挙では、相手は反対党の過激な候補者なのだから、穏健な有権者も自党の過激な候補者に投票するしか選択肢はないのだ。

 さらに、当選した公職者は、自分をその地位から追い落とすのが反対党の候補者でないことを承知している。ゲリマンダーによって、反対党の勝ち目はゼロに等しくなっているからだ。それよりも、足をすくわれるおそれがあるのは、自党からより過激な候補者が挑戦してくることだ。政治家として生き残るには、在職中に穏健になったり、反対党と妥協したりすることはぜったいにできないのだ……。

 このようにしてアメリカでは、穏健な政治家も党派的で過激な活動家に引きずられて互いに憎みあうようになり、国レベルでも州レベルでも政治は機能不全に陥っていく。――その典型が、二大政党の対立で財政破綻寸前になっているカリフォルニア州だという。

 だがだからといって、アメリカ社会が「(保守対リベラルの)文化戦争」によって真っ二つに分断されているわけではないと著者たちはいう。

 スタンフォード大学の政治学者モリス・フィオリーナは『文化戦争? 二極化したアメリカという間違った通念』で、共和党と民主党の活動家が遠く隔たっているとしても、一般のアメリカ国民の考え方はそう変化しておらず、世論は政治思想では中道に傾いていて、国民が選んだ公職者の考えや好みほどには偏っていないと分析した。「選挙で票がほぼ等分に割れたり、棄権されたりするのは、党や候補者が極論にしがみついているのに対して、国民が本能的に中庸を求めているからだ」

 このことは過去20年間に当選した大統領も気づいており、彼らはいずれも選挙運動中に、穏健なやり方で国を治めると約束している。レーガンの後任のジョージH.W.ブッシュが「より親切で優しい」政治を掲げ、クリントンが「これまでとはちがう民主党」を標榜し、ジョージW.ブッシュが「思いやりのある保守主義」を唱えたように。

 フィオリーナは、次のように結論する。

「(共和党と民主党のエリート層が二極化しているのは疑問の余地がないとしても)そういうエリートの二極化が、幅広い大衆でおなじように見られると考えるのは間違いだ。(中略)むしろその逆で、エリートは二極化した選択肢を掲げることで、有権者が二極化しているように見せかけている」

 いまや民主党は、これまでの「正義のたたかい」で手にした既得権をいっさい手放さない「反動リベラル」と化し、一方の共和党は、市民の権利を侵害するとして増税をいっさい認めず、独立戦争の精神に立ち返ればすべてがうまくいくと主張する頑迷な「復古保守」となった。だが有権者はこうした二大政党の罵詈雑言にうんざりしており、アメリカ社会を和解させるより穏健な選択肢を求めているのだ。

 これは興味深い議論だが、だとしたらなぜ世界を「善(正義)」と「悪」に二分し、自らの意に沿わない者を悪として切り捨てる人物を、「穏健な」アメリカの有権者が選択したのだろうか。――それはたぶん、「穏健」なはずの大衆が、リベラルな著者たちが思うよりずっと「しょぼくれたアメリカ」に怒っているからだろう。

 大統領就任直後の記者会見でのやり取りを見ても、トランプ新政権は異例の対応をつづけているが、「かつて偉大だったアメリカ」はいったいどこに向かっているのか。

 最後に同書から、きわめて示唆に富むエピソードを紹介したい。

 アメリカの選挙広告では、候補者をアピールするポジティブアドのほかに、相手の候補者を批判するネガティブアドも認められている。これについて老練な広告マンが、2000年の大統領予備選でジョン・マケインの選挙参謀を務めた共和党員に助言した。

「ネガティブアドには効き目がある」と、広告マンはいった。「だが、マクドナルドが、バーガーキングのバーガーはウジだらけだというようなネガティブアドをぜったいに打たない理由を知っているかね? 1年か2年は効き目があるが、そのあとはだれもハンバーガーを食べなくなるからだよ」

トランプホテルのロビー。宿泊客は高齢の白人と中国人観光客

(Photo:©Alt Invest Com)


http://diamond.jp/articles/-/115783?page=3

 

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コメント
 
1. 中川隆[6465] koaQ7Jey 2017年1月30日 07:34:02 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6919]

トランプとダークサイド 排他と差別

◆宮家邦彦キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

宮家邦彦氏の内外情勢調査会緊急全国懇談会での講演(2016年11月21日)と新刊『トランプ大統領とダークサイドの逆襲』(時事通信社)から構成しました。

 なぜトランプが大統領になったか。トランプは「原因」ではなくて「結果」でした。トランプの資質や能力に誰も期待しておりません。彼が放つ言葉は、米国民の一部を刺激する「本音」です。普通はメディアがトランプの暴言を問題視すべきなのですが、本音として大きく支持されているため、報じざるを得なかったのです。

 冷戦後、米国では少数派がどんどん偉くなっていった。アジア系やインド系、ヒスパニックにはじかれ脱落した白人の一部がトランプの支持層になりました。いい職に就けない怒り、不信感がワシントンに向く。「ダークサイド」です。そのエネルギーをトランプがごっそり持っていった。

 1980年に共和党のロナルド・レーガンが、民主党の保守票をごっそりと取った。今起きているのは「レーガン・デモクラット」以来の米国内政治の地殻変動です。レーガンの時と今回は似ている点もありますが、決定的に違う点もあります。

 レーガンを大統領にしたのは反共主義、保守主義のエネルギーでした。今回はもっと不健全な、排外主義的で差別的な感情がトランプに投票させた。2人の共通点は、ある意味アウトサイダーで、コミュニケーターとして非常に能力があることです。レーガンは何も知らないけれど、俳優ですから、優秀なシナリオライターを周りにいっぱい置いて、シナリオを見事に演じたんです。トランプは俳優じゃなくてパーソナリティーですから、脚本を書く人はいない。自分で、途中で書き換えたりする人です。これが一抹の不安として残ります。

 ダークサイドは米国だけではなく、欧州、中東、中国…。世界を覆っています。なぜそういうことが起きるのか。冷戦時代は社会が安定していて予測可能だったんです。ソ連が崩壊して冷戦が終わったら、より不確実で不安定になった。

 冷戦が終わったら「これからはグローバリゼーション、規制緩和、マーケットだ、効率だ」となった。世界的に、金持ちがどんどん金持ちになり、貧乏人がどんどん貧乏になっていく。格差が広がり、不満が増えていく。これがダークサイドを生みます。

 冷戦後の米国は勝者より敗者の方が圧倒的に多いんです。その結果がトランプです。英国のダークサイドはEU離脱をもたらしました。「英国のトランプ」といわれているボリス・ジョンソン外相はEU離脱の中心人物でした。フランスでは下手したら極右のルペンの国民戦線が出てくるかもしれない。ドイツにはネオナチがあり、ほかの欧州の国々でも「中東の難民はみんな出て行け」という非常に排外的な、人種差別的な動きが今出てきてしまっています。

笑うロシアと中国


ロシアのプーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席【EPA=時事】


ロシアのプーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席【EPA=時事】

 トランプは、暴言ばかり言っていた「選挙モード」から「統治モード」に移行しなければいけない。政治家は選挙中、言いたいこと言うけれど、当選したら真面目にやらなきゃならないわけです。選挙モードが残っていると米国は内向きになる。統治モードになればなるほど、米国の国際的な関与はやはり米国の国益にとって大切だということになります。どっちになるかは、日本だけじゃなく同盟国もものすごく大きな影響を受ける。

 トランプ政権が大失敗に終わる。つまり、同盟国との関係がギスギスして迷走するような大失敗に終わると、大笑いするのはロシアと中国だと思います。米国の国際的関与が減っていくと、現状を変えようとしている中国やロシアが何をやっても米国は反応しない。「これは幸いだ。鬼のいぬ間に洗濯をしよう」ということになるわけです。

 米国の孤立主義は既に、オバマで始まっているんです。その前のブッシュ共和党政権がやったアフガン戦争とかイラク戦争をやめてしまえということになった。テロとの戦いに勝ったのはいいが、その後、内戦でむちゃくちゃになった。アフガンはもともと壊れているし、イラクはさらに壊れてしまった。それに懲りたオバマは「何もしないこと」を決めたんです。その結果、「イスラム国」がどんどん強くなった。イスラム国はアラブ版「ダークサイド」の覚醒です。

 オバマはシリア問題で指導力を発揮できなかった。アジアでも結局、何もしなかった。広大な土地にたった3億人しか住んでいない米国に、生産力、技術力で太刀打ちできる国はありません。力は衰えていないけれど、米国の力を適切に使う能力が衰えている。リーダーに自分たちの力を適切に使う努力も、能力も気概もなくなってきた。

 なぜプーチンがウクライナにちょっかいを出して、クリミアの領土を取ったのでしょうか。オバマが何もしないと思ったからです。トランプが大統領になってちゃんとしたチームをつくれなかった場合、恐らくプーチンの東欧への浸透はさらに続きます。「ロシアをなめるなよ」というメッセージを出し続けるでしょう。

 中国はなぜ南シナ海にあんな島をつくったのでしょうか。米国が実力で阻止すると思ったら、中国はそんな馬鹿なことはしません。絶対に米国が来ないと思って高をくくっているんです。

 中国がどうトランプを懐柔するか。トランプは中国について「不公正貿易があって、為替操作をしてとんでもない国だ」と言っています。80年代に米国が日本に対して言ったことです。トランプの頭の中は経済です。安全保障ナショナリストではなくて経済ナショナリストです。

 中国は、経済的に譲歩して、トランプの分かる「数字」で関係を改善して「その代わり、南シナ海をちょっと変えたけど、これを認めてね」というのを狙うと思います。トランプがそれを毅然とはねつけられるかがポイントです。

諸帝国の逆襲

 ロシアや中国の動きは「諸帝国の逆襲」といえます。国家意思としてのダークサイドともいえるかと思います。ダークサイドが世界中を覆い、その一部から「諸帝国の逆襲」が起きている。

 現在、世界は大国、そして大国に準じる国で構成される2つのリーグがあります。メジャーリーグが米国、中国、ロシアです。マイナーリーグは日本、英国、EU、インドなどを中心とする国々です。

 「諸帝国の逆襲」というのは、メジャーリーグの米国以外の残りの2つの勢力(中国、ロシア)が力による現状変更を目指して、逆襲を試みている。これが基本的な構図です。

 メジャーリーグの力関係を見ると、今は米国が1強で、あと2つの中ロが2弱です。その状況がどう変わっていくか。2弱のうち中国はどちらかというと昇り竜です。今後、1強(米国)と、その次に中国、そして1弱のロシアというように変わっていくと思います。

 メジャーリーグでの「力のシフト」は、必ずマイナーリーグに影響します。メジャーリーグの1チームの力が仮に低下したとしても、それが「世界の終わり」ではありません。そのメジャーリーグプレーヤーをマイナーリーグの有志が支援すればいいわけですから。

 トランプが「選挙モード」から「統治モード」になっていくのを日本は手伝うというか促していくことはできると思います。トランプが変な方向を向くということは、世界中の米国の同盟国が影響を受けるわけですから。

 日本は領土も小さいし、人口も減っているし、十分な軍事力はない。だから誇りを持ってマイナーリーグでいいと思います。日本にとっては絶好のチャンスだと思います。米国の大統領とうまくやりながら、あの人に世の中の現実を教えていくのです。

 ユーラシア大陸のバランス・オブ・パワー(勢力均衡)という観点で言うと、海洋国家日本からすれば、ロシアと中国をどう競わせるかということが肝要になります。欧州は東方のロシアだけを見ていればいいのですが、日本はロシアと中国を見なければいけない。両者が結託されては困るし、どちらかが強くなり、手が付けられないくらい強大化してもらっても困る。

 両方とも覇権国家を目指している点は気掛かりですが、今のように、そこそこやっている状態が、バランスが取れて、最も良いかもしれません。陸の2大勢力である中国とロシアを均衡させる。その上で、両国周辺の海域での自由航行を、フィリピン、シンガポール、オーストラリアなどとの海洋国家連合の共同で引き続き維持する。これが日本の戦略であるべきです。
http://www.jiji.com/jc/v4?id=201612miyatru0001


2. 中川隆[6474] koaQ7Jey 2017年1月30日 12:42:10 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6928]

2017年01月21日
トランプ大統領の就任演説

米国でトランプ氏が大統領に就任しました。就任演説はプロンプターをつかい、原稿を読んでいたため、内容は極めて穏当なものだったため混乱も生じていません。

ただ演説の中身で気になったのは、分断が意識される米国で、エスタブリッシュメント(支配階層)とあなた方(国民)とを使い分け、さらに対立を煽るところからスタートした点です。

今、あらゆる国で行われている敵をつくり、対立の構図を煽り、自らの正当性を訴える政治家、その流れの一つに米国も加わった、ということになります。

しかもエスタブリッシュメントだけでなく、「我々の富、力、自信は地平の彼方へ消え去った」とし、「中流層の富が…世界に再分配された」とまで述べる。つまり失敗したのはエスタブリッシュメントだが、簒奪者は国外の者であり、だから愛国心をもち、結束しよう。米国ファーストが正しい、という理屈に立っていることが、この演説から伝わるのです。

「自国産業の保護こそがすばらしい繁栄と強さにつながる」と、保護主義による利点を最大限に謳い上げます。

しかし上記したように、トランプ氏が掲げる理屈、そこには論理の跳躍がある。

失敗したはずのエスタブリッシュメントではなく、外国を攻撃対象とするからです。

ここにはトランプ政権の閣僚が富裕層と軍人から指名されている、ということが深く関わるのでしょう。トランプ氏も富裕層、その富裕層への攻撃に国民が傾くようなら、自分とて安泰ではいられない。つまり富裕層への攻撃を、海外へと向けるための敵視政策、これがトランプ氏を貫く行動原理となっているのであり、そこが外せない大元になっているのです。

例えば日本では小泉政権で郵政反対派、第二次安倍政権では民主党(現民進党)が、最近では小池都知事が自民都連を、敵性として攻撃することが目立ちます。欧州でも極右とよばれる勢力は反移民だったり、国内の敵を攻撃してきた。

しかし、トランプ氏はその上をいく。国内での失敗を、諸外国のせいにして国内をまとめる、という戦術にでた。

これは相当に厄介です。なぜなら、日本でも敵視政策は人気があり、その愚をいくら説いても大多数の人々は歓喜し、そんな政治家を応援します。トランプ氏への熱烈な支持者、もこの類であって、かつそれが国内の敵ではない。下手をすれば移民の排斥や、他民族、他宗教への攻撃といった問題へと、容易く発展しやすい状況をうみだした、ともいえるのです。

日本にとっても重要な一節は「以前からの同盟を強化するとともに、新しい同盟を構築」とする部分です。

つまり日本も否応なく、関係の変化が生じる。それが如何なるものか、推測するに、そのすぐ後にでてくる「米国への完全な忠誠」という言葉にあるのかもしれません。これは「政治の根底」という主語の下での話ですから、文脈としては別、との見方もできますが、その前段には「みんなが従う手本として、我々の生き方(保護主義)を輝かせよう」とあるので、自国第一主義を輸出する中で同盟があり、その先に米国への忠誠こそそれに適う、と述べているようにも読み解けてしまうのです。

「肌の色に関わらず、どんな人の体にも愛国者という血が流れている」という言葉を、軍人の知恵だとしてもち出しますが、思想、心情がちがったり、愛国の向かう先が米国でない人間は排除する、とも述べているように聞こえます。

結局、米国第一主義ではなく、どちらかといえばトランプ第一主義でない人間は排除する、ということでもあり、トランプ氏が米国の代表でいる限りにおいて、まさにそれを最優先にして、経済、外交、そして軍事面も展開してくることになるのでしょう。

市場は一先ず、落ち着いています。ただ、TPP離脱、NAFTA再交渉、オバマケアの見直しのうち、オバマケアのみ大統領令をだして見直しを開始しました。

トランプ氏の敵視政策の対象となったら、強権的な対応をされることが確実で、日本もTPPの翻意などを迫ったら、敵性国家の仲間入りをするかもしれません。

自分の失敗、間違いを認められない人物にもみえ、それは日本の政治家にも多々いる傾向ですが、その最も頑迷なタイプの人物、それがトランプ氏にみえます。

27日の日米首脳会談も飛びそうです。むしろ「中身のない話をする時間は終わった」と述べるように、必要のない会談はしなくていい、ということなのかもしれません。

安倍首相は上手くやれる、などと考えているようですが、トランプケアに失敗すると大変なことになる、ということでもあり、それは市場の急変動も含めて、かなり難しい事態にさらされることだけは間違いないのでしょうね。
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52902754.html


3. 中川隆[6476] koaQ7Jey 2017年1月30日 13:52:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6930]

2017-01-29
格差のどん底から這い上がる「もがき方」は存在するのか?


資本主義社会が長らく続くと格差が広がっていくが、この格差は何をどうしても埋められない。

仮に累進課税をかけても、資産家は必ず法の穴を付いて資産を動かし、あるいは隠し、あるいは何らかの形に変換させて、最もダメージのない方法を捜し出す。

さらにロビー活動や政治的な圧力をかけることによって税制そのものをザル化する。

ドナルド・トランプ政権も金持ちに対して税制優遇措置を行う予定となっているのだが、なぜ政治家は常に金持ちに対する減税を行うのかというと、「自分たちが金持ち」だからに他ならない。

富裕層が政治家になるのだから、自分たちにダメージを与える税制を制定するわけがない。自分たちにダメージを与えるどころか、逆に自分たちだけが生き残れるような巧妙な税制を作り上げるのがオチだ。

かくして、税制が富裕層に対して骨抜きになると、数十年経つと富裕層とそれ以外の層の格差は凄まじい差となって現れることになり、この資産が世代に受け継がれることによって、格差は埋められないものと化す。

格差問題は、資本主義の崩壊でしか成し遂げられないと考えた方が早い。

格差のどん底から這い上がる「もがき方」とは?

しかし、この弱肉強食の資本主義は、現代文明の奥深い部分まで食い込んでいる。

現代文明とは資本主義とほぼイコールなのだ。そのため、資本主義を消し去ることは現代文明を消し去るのと同様のインパクトとなり、現実的ではない。

格差は是正したいと願う人はいても、そのために石器時代のような生活に戻りたいという人はほとんどいない。また、格差が嫌だからと言って文明ごと資本主義を消し去るほどの破壊ができる人間も現実にはいない。

本当に格差を憎み、資本主義から脱して石器時代に戻ってもいいと思うのであれば、別に資本主義の破壊運動を起こさなくてもいい。

今すぐ、すべてを捨ててどこかの無人島で暮らし始めるか、アマゾンやパプアニューギニアにいってジャングルで裸族として暮らせば資本主義から逃れられる。

しかし、実際にはそうする人がほとんどいない。誰もが現代文明から離れられない。それは、誰もがこの弱肉強食と化した資本主義で生きるしかないということを意味している。

たとえ、格差の一番下に押し込められたとしても、その社会を破壊できない以上は、その格差の海で必死でもがいて生きるしかない。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20170129T1628120900


4. 中川隆[6477] koaQ7Jey 2017年1月30日 13:59:00 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6931]

2017-01-22
「世界で最も裕福な8人」にまつわる秘密を暴いて応用せよ

2017年1月16日、国際NGO「オックスファム」が「世界で最も裕福な8人の資産の合計が、世界の人口のうち、経済的に恵まれない下から半分(約36億人)の資産の合計とほぼ同じだった」とするデータを発表した。

現代の弱肉強食の資本主義は、ここまで格差を拡大させたのかと多くの人に衝撃を与えた。

世界中のたった8人が、全世界の人口の半分である約36億人の貧困層と同じ資産を持っているのだから、その格差の凄まじさは言葉に表せないほどである。

これに対して「オックスファム」は資産課税や法人税への増税、あるいは多国籍企業などの政治介入を減らすことを提唱している。なるほど、それは「若干」の是正効果はあるかもしれない。

しかし基本的には、この格差は実はもう何をどうやったとしても埋められることはない。

「経済的に恵まれない下から半分」はその多くは絶対貧困の層が占めている。

この絶対貧困層というのは、1人あたりの年間所得が370ドル以下を指すことが多い。分かりやすく1ドル100円で計算すれば、3万7000円かそれ以下の年収である。

90%の「懲罰的」な累進課税をかけても300億円残る

この層は、死ぬほど必死で働くことによって、収入を2倍にも3倍にも伸ばす余地はあるかもしれない。仮に2倍になったとしたら、3万7000円が増えたことになる。

ところで、現代社会で最も裕福な人物はビル・ゲイツであると言われているのだが、このビル・ゲイツはすでに資産は10兆円に達したのではないかと推定されている。

ビル・ゲイツの資産は、ほぼすべてが「株式資産」だが、このビル・ゲイツが持つ資産10兆円が約3%の配当を毎年生み出すとするとどうなるのか。

ビル・ゲイツは365日何もしないで食って寝ているだけで、約3000億円もの現金が転がり込んでくることになる。

絶対貧困の層が必死で働いて収入を年間で3万7000円増やすというのは非常に素晴らしいことであり、凄まじいことでもあるのだが、それでも何もしないで3000億円入ってくる人間と比べてしまうと、その差は絶望でしかない。

「億」という言葉で丸めてしまうと、あまりピンとこなければ、数字で書いてみれば凄まじさが分かるはずだ。

ビル・ゲイツ 年間 300,000,000,000円
絶対貧困の層 年間 37,000円

ビル・ゲイツは絶対貧困の状態にある人々と同じくらい汗水垂らしてフラフラになりながら働いているのかと言えば、そうではないことを改めて考えなければならない。この3000億円というのは、何もしなくても入ってくる金である。

一方は必死で働いて3万7000円、一方は何もしないで3000億円が入ってくる。金持ちには累進課税をすればいいという人がいるのだが、仮にビル・ゲイツのこの3000億円に90%の累進課税をかけたとする。

ではビル・ゲイツにはいくら残るのか。300億円である。

あっと驚く人もいるのではないだろうか。何もしないで3000億円が転がり込んで来るのだから90%の「懲罰的」な累進課税をかけてやると言っても、それでも300億円がビル・ゲイツの手元に残るのである。

「基本的に、この格差は実はもう何をどうやったとしても埋められることはない」というのは、このあたりの事情を指している。格差は埋められるのではない。むしろ、もっと広がっていくのである。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20170122T1450400900


5. 中川隆[6478] koaQ7Jey 2017年1月30日 14:11:33 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6932]

2017-01-21
何もしない大統領から何をするか分からない大統領の時代へ

2017年1月20日、ドナルド・トランプが正式にアメリカ45代大統領に就任した。

品性の欠如、攻撃的な性格、女性蔑視と、数々の問題を抱えながらもアメリカ人がドナルド・トランプを選んだのは、ただひとつ「アメリカの再建」をこの男が表明しているからだ。

本来、この「アメリカの再建」はバラック・オバマ大統領がすべきことだった。バラック・オバマは「チェンジする」とアメリカ国民に約束したはずだ。

アメリカの多国籍企業は凄まじいまでの富で膨れ上がって、その大株主が地球上の富を独占するのではないかというほどの資産を膨らませていた。

しかし、株式を持たない普通の市民はその資本主義の恩恵はまったく何もなかった。その格差はもはや一生懸命に働くとか、努力するとかのレベルでは埋めがたいものになっていた。

こうした社会をバラック・オバマは「チェンジする」と約束したはずなのに、蓋を開けてみればリーマン・ショックで痛めつけられた巨大な多国籍企業を税金で救済し、一般国民に対しては何もしなかった。

このバラック・オバマ大統領の8年間で、アメリカの格差はさらに深まり、今や超富裕層の8人の富が世界人口の半分と同等の資産を持つような時代にまで突き進んだ。

バラック・オバマは、何もしない大統領だった

「バラック・オバマは何も変えてくれなかった」という失望は、非常に深いものだった。

相も変わらず、アメリカの政治は多国籍企業を優遇する方向に向き、グローバル化を推し進め、アメリカ国民を見捨てる政策を取り入れるばかりだった。

グローバル経済を重視するあまり、アメリカは中国の台頭も許した。中国に媚びを売ってアメリカの権威や覇権ですらも捨てかねなかったのがオバマ大統領だった。

この大統領は中国を優遇して、重要な同盟国である日本をないがしろにした。当初は安倍政権をも「歴史修正主義者だ」として寄せ付けようとしなかった。

すり寄ってくるバラック・オバマ政権を見て、中国は図に乗ってアメリカを見下すようになった。

その結果、中国は、軍事費を膨張させて南シナ海を支配下に置こうとする動きを公然と進めるようになった。

さらに超限戦でアメリカに凄まじいハッキング攻撃を行って情報を盗み取ったり、AIIBでアメリカ抜きの経済圏を作ろうと画策したりするようになった。

ここまで見下されて、バラック・オバマはやっと最後に「日本が味方で、中国が敵だ」ということに気付いたのだった。

オバマ大統領は、中東でも大失敗した。2011年から中東の親米政権が次々と崩壊しても傍観したままで、中東におけるアメリカの存在感も完全に喪失した。

さらに、ロシアと深いつながりのあるシリアのアサド政権を崩壊させようとして、反体制派に武器弾薬を大量に流し込んでいると、その反体制組織が勝手にシリア・イラク圏内で国を創設して、世界最悪の超暴力国家ISIS(イスラム国)を生み出すという結果を生んだ。

バラック・オバマ政権は、やることなすこと失敗ばかりだった。ただ、この大統領は品位だけはあったので、そのイメージは愛された。しかし、それだけだった。

何もしないバラック・オバマ政権のせいで、アメリカは富も威信も覇権も失いかけていた。アメリカ人は「もうこんなアメリカを終わりにしなければならない」と決意していた。

では、この病んで弱体化したアメリカを「再建」するのに、誰が相応しかったのか。


アメリカ人は「アメリカ第一」を訴える政治家を望んだ

ヒラリー・クリントンは次期大統領候補の本命だと言われていた。アメリカのほぼすべてのマスコミは最後の最後までヒラリー・クリントンを推して露骨に世論操作に明け暮れた。

しかし、ヒラリー・クリントンは、どう見てもエスタブリッシュメント(支配者階級)であり、この政治家に任せてもアメリカが変わるとはアメリカ国民は思わなかった。

オバマ政治を継承するというのだから、「悪くなっていくアメリカを何も変えない」と言っているも同然だった。

さらにヒラリー・クリントンは温暖化対策やら女性の人権やら世界との協調やらを一生懸命にやっていくと訴えたが、今のアメリカ人が求めているのはそんな当たり障りのないものではなかったのだ。

今のアメリカ人が求めているものとは何だったのか。

それは「もっと仕事をくれ。もっとアメリカをすごい国にしてくれ。アメリカのことを考えてくれ。アメリカ人を豊かにしてくれ」というものだった。

つまり、アメリカ人は「アメリカ第一」を訴える政治家を望んだのである。

それは、バーニー・サンダースでも、ヒラリー・クリントンでも、ジェブ・ブッシュでもなかった。マスコミが「キワモノだ」と叫んで「絶対に投票するな」と言って回っていたはずの候補、ドナルド・トランプだったのである。

ドナルド・トランプは、「アメリカに雇用を戻す」と約束した。「アメリカに不利なTPPもNAFTAも見直す」と言った。「アメリカから不法移民を叩き出す」と言った。「中国に45%の関税をかけてやる」とも言った。

そのすべては「アメリカ第一」という公約につながるものであり、そのための暴言でもあった。既存秩序をぶち壊しても、アメリカ第一を貫く、という意味でドナルド・トランプは型破りだった。

ドナルド・トランプは大統領就任式で「この瞬間から、国を再建していく」と開口一番に言ったのは、まさにそれがアメリカ国民が望んでいることであるのをトランプ本人が知っているからでもあった。


叩き合い、殴り合い、罵り合い、反目し合う世界へ

ドナルド・トランプは既存の秩序を破壊しても「アメリカ第一」を優先すると宣言している。

すでに「TPP離脱」は表明されており、選挙公約を着々と推し進めていくことも宣言されており、「アメリカ第一」が口先だけでないことは確かである。

これから何が起きるのかというと、言うまでもないが中国との激突である。

ドナルド・トランプは当初から中国に45%の関税をかけると言っている。

その他にも中国に対して「輸出競争力を高めるため人民元の対ドル相場を操作して低水準に抑えており、この犠牲になったのが米製造業の雇用だ」と中国の為替操作を激しく批判し続けてきた。

さらに、南シナ海での中国の横暴に繰り返し触れて、「中国は南シナ海の真ん中に巨大な軍事施設を建設していいかと尋ねたか。私はそうは思わない!」と激しく攻撃している。

その上、ドナルド・トランプは「どうして『一つの中国』政策に縛られなきゃならないのか分からない」と中国が勝手に世界に押し付けている「一つの中国政策」を突っぱねて、最初から中国の敵対を激しく見せている。

中国は今まで恫喝外交を繰り広げてきたが、ドナルド・トランプは売り言葉に買い言葉で対処する政治家であり、中国の恫喝外交は効かない。

ドナルド・トランプは中国に配慮しない。「アメリカ第一」を中国が邪魔するのであれば、中国と激しく対立することも辞さない大統領である。そうであるならば、対立は止められないと考えるのが正しい。

2017年1月20日。いよいよ、何もしないバラック・オバマ政権が終わり、何をするか分からないドナルド・トランプ政権が始まったのだ。

今年からグローバルな世界は秩序が崩壊し、対立は激化し、激しい摩擦が生じる世界と化す。もちろん、日本も対立と摩擦に巻き込まれていく。

叩き合い、殴り合い、罵り合い、反目し合うのがこれからの世界の姿だ。暴力の時代は先鋭化していく。あなたは、準備ができているだろうか?


大統領就任式に臨むドナルド・トランプ。今年からグローバルな世界は秩序が崩壊し、対立は激化し、激しい摩擦が生じる世界と化す。もちろん、日本も対立と摩擦に巻き込まれていく。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20170121T1443070900

2017-01-17
ドナルド・トランプという凶器でグローバル経済を叩き壊す

アメリカの多国籍企業が凄まじい利益を叩き出し、成長し、株主に大いなる恵みを与えてきたのは、その根底にグローバル経済があったからだ。

グローバル経済とは、多国籍企業が「人件費の安いところで作り、物価が高いところで売る」を実現する壮大な仕掛けのことである。

人件費は、徹底的に削られる。だから、グローバル経済が進むと先進国の人々はリストラされたり、賃金を削減されたり、過重労働を強いられたりして、労働の対価はどんどん減る。

つまり、グローバル経済とは多国籍企業が利益を総取りする世界のことを言うのであり、逆に言えば労働者から搾取する世界であるとも言える。

その結果、何が起きたのか。多国籍企業の支配者である「大株主」が空前の資産を築くようになり、格差の拡大が尋常ではないものへと変化していったのだ。

現代は株式「至上」主義だ。労働力だけで株式資産を持っていない人間は、もはや資本主義の中では奴隷に堕されるだけであり、逆に大株主は何もしなくても資産が極限まで増えていく。

2017年1月15日、国際NGO「オックスファム」は「世界で最も裕福な8人が保有する資産は、世界の人口のうち経済的に恵まれない下から半分にあたる約36億人が保有する資産とほぼ同じだった」と報告した。

多国籍企業に対する憎悪が蔓延するようになっている

この裕福な8人の富の源泉は何か。それは、すべて「優良多国籍企業の株式資産」であるということに気付かなければならない。土地でも石油でも貴金属でもない。「株式資産」である。

グローバル化の中で、莫大な富を生み出す多国籍企業の株式をつかむということが、現代の資本主義で成功できるかどうかの境目だったのである。

この事実は、裏を返せばグローバル経済が進めば進むほどより多国籍企業に有利な社会となり、株式資産を持つ者と持たざる者の格差は開いていくということを意味している。

裕福な資産家はその後も富を爆発的かつ累進的に膨らませていき、地球上の富の90%以上を掌握するようになっていくのは言わば必然的なことであった。格差は何をしても、もう縮まることはないのだ。

しかし、世界を完全掌握するはずだったグローバル経済は、ここ数年できな臭い動きにさらされるようになっている。

多国籍企業に対する憎悪が蔓延するようになっているのだ。

この「多国籍企業に対する憎悪」が目立つようになったのは、2008年9月15日のリーマン・ショック以後からである。

サブプライムローンに端を発した超巨大な信用収縮(クレジット・クランチ)は、放置していれば資本主義を崩壊させる可能性すらもあった。

そのため、アメリカ政府は「大きすぎて潰せない」銀行群を次々と税金で救済していき、EU(欧州連合)もまたそれに倣ってサブプライムローンに踊った自国の銀行を救済していった。

しかし、多額の借金をして自宅を買った普通の国民は政府から見捨てられて破綻していき、背伸びして買った家はすべて銀行に取り上げられることになった。

「企業は助けても国民は助けないのか?」

この政府のやり方は欧米で激しい怒りを引き起こすことになり、それが後に「ウォール街を占拠せよ」という反格差運動に結びついていくことになった。


今の現状をチェンジしてくれる大統領を望んでいた

ウォール街では何が起きていたのか。そこでは、世界最大の株式市場を舞台にして、投資家や銀行家たちが顧客の資金にレバレッジを賭けてトレードに明け暮れていた。

そして、「トレードでの儲けは自分のもの。トレードでの損は客のもの」と言いながら、博打を繰り返して多額の報酬を手に入れていた。

その挙げ句に2008年9月15日に金融市場がすべてを巻き込んで壮大に破裂していくと、今度は政府にツケを払わせて自分たちはのうのうと生き延びたのである。

政府がウォール街のギャンブラーたちを救済するために使った資金は、もちろん国民の税金である。この不条理に普通のアメリカ人は怒り心頭に発して、以後ウォール街は「国民の敵」と認識されるようになった。

こうした「ウォール街を占拠せよ」という格差に対する反対運動は、抗議デモを起こすたびに警察当局に弾圧されるようになっていった。

その結果、次第にデモは起こされなくなっていったが、それで人々はグローバル経済を受け入れたのかと言えば、そうではなかった。

「1%」と呼ばれる一握りの資産家が富を独占し、「99%」と呼ばれるその他の層が取り残される構図は、グローバル経済の中でより強化されるようになっている。

そしてグローバル経済の中で、多国籍企業はどんどん人々の賃金を削り、合理化によってリストラを恒常化させ、ワーキングプアを生み出す社会が、人々を追い詰めていた。

そのため、格差拡大がさらに鮮明に意識されるようになり、欧米では「反グローバル化、反移民・難民、反格差」の考え方が草の根に広がっていくようになったのだ。

バラック・オバマ大統領は、こうしたアメリカの底辺に広がる絶望を「チェンジ」するために選ばれた大統領だったが、格差解消のためにこの大統領は何もしなかった。

バラック・オバマは失望され、人々は本当にアメリカの今の現状をチェンジしてくれる大統領を望んでいた。


ドナルド・トランプという「凶器」を振りかざす99%

そこに現れたのがドナルド・トランプである。

この荒々しい言動をする粗暴な男は、おおよそ大統領の品位には欠けており、マスコミ受けも悪く、国民の半分は「本当に大丈夫なのか」と資質を疑問視している。

しかし、アメリカ人の半分はこの男を大統領に選んだわけであり、今後は4年から8年の間、アメリカの命運はこの男に委ねられることになる。

アメリカ人の半分がこのドナルド・トランプを支持したのはなぜか。それは、この男が「アメリカ第一=反グローバル経済」を謳っていたからだ。

「多国籍企業の富の源泉であるグローバル化を阻止し、雇用をアメリカに戻し、多国籍企業よりもアメリカの労働者を儲けさせる」と荒々しく宣言したのがこの男だったのだ。

中国やメキシコに関税をかけるというのは、空虚な選挙公約だったのではないかと思われていたが、この男は本当に報復関税をかけようとしている。

特に中国に対しては非常に敵対的で「中国製品に45%の関税をかける」と今から豪語しているのである。

アメリカがこのように動くと、中国もまた報復に動くのは分かりきっているので、2017年より「グローバル経済」は今までにない激震に見舞われるのは確実になった。

しかし、これこそがアメリカの「99%」の層が望んでいたことであるというのは忘れてはならない。99%はグローバル経済を破壊したいのである。

それが社会の底辺で起きている動きなのだ。

グローバル経済の浸透によって格差の下に転がり堕とされたアメリカ人が、ドナルド・トランプという「凶器」を手に入れた。そして、その凶器を振りかざしてグローバル経済を叩き壊そうとしている。

当然のことながら、これから起きるのはグローバル経済の受難であり、多国籍企業の成長率の低下であり、競争力の減退である。この状態で株価は上がるのか下がるのか。

下がるに決まっている。

ただ、勘違いしてはいけない。老獪な投資家たちは株価が下がれば売り飛ばすのではなく、逆に暴落した株式を静かに買い漁る。そして、ドナルド・トランプが自滅してグローバル経済が復活したとき、真っ先にグローバル経済復活の恩恵を手に入れる立場になる。

ドナルド・トランプという嵐が去った後、格差はより深まっている現実を見て、私たちは震撼することになるだろう。


当然のことながら、これから起きるのはグローバル経済の受難であり、多国籍企業の成長率の低下であり、競争力の減退である。この状態で株価は上がるのか下がるのか。下がるに決まっている。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20170117T1507410900


6. 中川隆[6479] koaQ7Jey 2017年1月30日 14:13:08 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6933]

2017-01-11
ドナルド・トランプの激しい女性攻撃の裏側に何があるのか


ドナルド・トランプ次期大統領は非常に好戦的で、アメリカに不法入国してくるメキシコ人を罵ったと思ったら、今度はイスラム教徒に対する不信をあからさまに表明したりしていた。

さらには自分を攻撃してくる女性たちについても容赦なく反撃し、その容姿さえも「太った豚」「イヌ」などと嘲笑したりしていた。

大統領戦でも共和党から出馬していたカーリー・フィオリーナに対して「あの顔を見てみろ。だれが投票するだろうか」と攻撃していた。

最近はメリル・ストリープがやんわりとドナルド・トランプを批判したらすぐにドナルド・トランプはツイッターで「メリル・ストリープは、ハリウッドで最も過大評価された女優のひとり」とこき下ろしている。

ドナルド・トランプは「売られた喧嘩は買う」という性格である。誰かに何か言われたら、それが誰であれやり返さずにはおられない。

そのため「この候補は非常に人種差別主義者だ」と大統領選挙中はずっとマスコミに攻撃され続けてきた。マスコミ、著名人、企業人、投資家はこぞってヒラリー・クリントンを支持して、ドナルド・トランプをこき下ろした。

しかし、グローバル・メディアが見向きもしない底辺のアメリカ人が選んだのは、ドナルド・トランプだった。

「ポリティカル・コレクトネスを粉砕して欲しい」

こうした数々の「暴言」を問題視され、攻撃され、マスコミに敵視されてきた荒削りの男が次期大統領に選ばれたというのは、どういうことなのか。

実はアメリカに蔓延る行き過ぎた「ポリティカル・コレクトネス」に対する激しい反撥もあると分析されている。

「ポリティカル・コレクトネス」というのは、「政治的・社会的に公正・公平・中立的で、なおかつ差別・偏見が含まれていない言葉や用語のことで、職業・性別・文化・人種・民族・宗教・ハンディキャップ・年齢・婚姻状況などに基づく差別・偏見を防ぐ目的の表現を目指すもの」と説明されている。

言ってみれば、「差別のない言葉遣いをしよう」という崇高で美しい運動でもある。

ドナルド・トランプはこうしたポリティカル・コレクトネス運動とは完全に対極的なところにいる。

その数々の暴言は、政治的な正しさを追求する人々から見れば「許しがたい暴言」であるのは間違いなく、だからこそドナルド・トランプはずっと「差別主義者だ」と罵られてきた。

ところが、名もなきアメリカ人は、そうした状況を分かった上で、この「暴言王」「差別主義者」を選んだのである。

ドナルド・トランプの暴言によって、「ポリティカル・コレクトネスを粉砕して欲しい」という願いがそこに込められていたとも言える。

なぜ、そんなことになったのか。

それは、「ポリティカル・コレクトネス」の中に、大きな欺瞞が含まれていたからである。ポリティカル・コレクトネスは、少数派への差別や嘲笑は激しく糾弾したが、多数派への差別や嘲笑は容認していた。

もっと具体的に言うと、アメリカにおける多数派というのは、「白人男性」を意味している。

ポリティカル・コレクトネスを進める黒人団体や女性団体は、自分たちに対する攻撃は差別だと糾弾するが、白人男性に対する差別に対しては放置していた。


「少数派が差別をタテにして多数派を差別している」

黒人男性が「自分の肌の色に誇りを持つ」と言えば崇高な考え方であると見なされる。

しかし、白人男性が「自分の肌の色に誇りを持つ」と同じように言えばどうなるのか。それは、「傲慢で、支配的で、差別的だ」と見なされる。そして差別主義者だと言われる。

女性が「自分たちの性(ジェンダー)は強い」と言っても何も思われないが、男が「自分たちの性(ジェンダー)は強い」と言うと、やはり「傲慢で、支配的で、差別的だ」と見なされる。そして差別主義者だと言われる。

そのため、白人男性は、もはや自分たちに誇りを持つことも許されなくなり、攻撃されても反撃すらもできず、ポリティカル・コレクトネスの前に黙って口を閉ざすしかないような社会情勢に放り込まれていた。

こうした流れは2000年代からすでに始まって、バラック・オバマ時代になって一気に加速していったと言われている。

言いたいことが何も言えない。攻撃されても耐えるしかない。この白人男性の抱える閉塞感と不満は、もはや頂点にまで達していたということもできる。

そんな中で、アメリカでは「オルト・ライト」と呼ばれる集団が生まれるようになっていった。

この「オルト・ライト」はポリティカル・コレクトネスを真っ向から否定し、そしてこの運動を進めるフェミニストや黒人団体に対して激しい嫌悪を表明するようになった。

「少数派が差別をタテにして多数派を差別している」

これが「オルト・ライト」と呼ばれる集団の現状認識だった。ポリティカル・コレクトネスというのは要するに「差別利権」だという現状を認識し、反撥するようになったのだ。

この「オルト・ライト」の人々が熱狂的に支持したのが、少数派にも女性にも歯に衣着せない攻撃を行う男ドナルド・トランプだった。

ドナルド・トランプが次期大統領に決まってすぐ、オルト・ライトの雑誌「ブライトバート・ニュース・ネットワーク」を発行していた男スティーブ・バノンは主席戦略官に選ばれた。


少数派のバックにはグローバリストがいたということ

「少数派が差別をタテにして多数派を差別する」というのは、世界中で起きている現象だ。

EUでも少数派の移民や難民が「自分たちは差別された、敵視された」と言ってその国の人々を黙らせ、いくつもの特権や例外を奪い取っている。

日本でも在日外国人が「自分たちは差別された、敵視された」と言って日本人を差別主義者扱いして「謝罪と賠償しろ」と詰め寄る集団が存在する。

少数派が、少数派であることを利用して利権や特権を次々と手に入れる。

現場ではそういった不正や事実があることを告発すると、少数派は逆ギレして「差別主義者が告発した」と告発者を糾弾し、不正者が正義に、告発者が悪人にされていく。

なぜ、こうした少数派の横暴が黙認され、増長されるようになったのかというと、世界はグローバル化が猛烈な勢いで突き進んでいたからだ。

グローバル化というのは、その国を破壊し、多数派の力を弱体化させ、最終的には国という概念そのものを崩壊させようとする動きである。

そのためには、多数派である「その国の国民」を弱体化させ、少数派である「移民・難民」を増長させる必要がある。だから、全世界で少数派は力を与えられていた。少数派のバックにはグローバリストがいたということだ。

そう考えると、ドナルド・トランプの激しい移民・難民攻撃、イスラム教徒攻撃、女性攻撃、米国第一の主張はすべて根がつながっていることが分かるはずだ。これらはすべて「反グローバル化」なのだ。

そして、アメリカの名もなき白人の男たちが暴言を連発すればするほど支持するようになった理由も分かるはずだ。ポリティカル・コレクトネスに対する反撥もまた、グローバル化との戦いだったのである。


ドナルド・トランプの激しい移民・難民攻撃、イスラム教徒攻撃、女性攻撃、米国第一の主張はすべて根がつながっている。
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20170111T1548040900


7. 中川隆[6480] koaQ7Jey 2017年1月30日 14:15:36 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6934]

トランプ革命の檄文としての就任演説 2017年1月24日 田中宇
http://tanakanews.com/170124trump.htm

トランプは米国と世界に巨大な転換を引き起こそうとしている。全体像が膨大で分析が間に合わないので、とりあえず今回はトランプの大統領就任演説を分析する。

演説は、米国を支配してきたワシントンDCのエリート層による支配構造をぶちこわせと米国民をけしかけている。

トランプは米大統領という、支配層のトップに入り込んだのに、その地位を使って支配層を壊そうとしている。これは革命、クーデターだ。支配層の一員であるマスコミは、就任演説を否定的にとらえ、趣旨をきちんと報じない。リベラル派は反トランプ運動を強めている。おそらくトランプ陣営は、意図的に対立構造の出現を誘発している。概要ここまで。以下本文。 (Donald Trump inauguration speech: Read the full transcript)

 ドナルド・トランプが米大統領に就任した。彼は、米国と世界の政治・経済・社会状況に、大きな転換をもたらしそうだ。昨春に彼が有力候補になって以来、私は彼について何本も記事を書いてきた。最近の私は「トランプ情勢分析者」になっている。それほどに、彼は国際情勢の巨大な転換役となる感じがする。米大統領という、人類の覇権体制の中枢を占めた彼が、どんな戦略に基づいて、何をどこまでやれそうか、何を破壊して何を創設するのか、どこからどんな敵対・妨害・支援を受けるのか、全体像が膨大だし、曖昧・未確定・未言及な部分が多いので、読み込みや分析が追いつかない。とりあえず今回は、トランプが1月20日に発した大統領就任演説の分析をする。 (トランプの経済ナショナリズム) (米国民を裏切るが世界を転換するトランプ) (世界と日本を変えるトランプ)

 就任演説を読んでまず驚くのは「ずっと前から、ワシントンDCの小集団・エスタブリッシュメントだけが儲け、あなたたち米国民は失業や貧困にあえいでいる。だが今日からは違う。米政府はあなたたち米国民のものだ。(トランプが主導する)この運動は、米国の国家を(エスタブ小集団の支配から解放し)、米国民のための存在に変えるためにある」と明言し、米国民に対し、エスタブ小集団を権力の座から追い出すトランプの運動に参加するよう呼びかけていることだ。 (The Following Words Had Never Appeared In An Inaugural Address, Until Today) (Donald J. Trump takes the helm. What happens now?)

For too long a small group in our nation's capital has reaped the rewards of government while the people have borne the cost. Washington flourished but the people did not share in its wealth. Politicians prospered but the jobs left and the factories closed. The establishment protected itself but not the citizens of our country. That all changes starting right here and right now because this moment is your moment. It belongs to you. At the centre of this movement is a crucial conviction – that a nation exists to serve its citizens. (Donald Trump’s full inauguration speech transcript, annotated)

 米大統領は、米国を支配するワシントンDCのエスタブ小集団のトップに立つ地位だ。トランプは、自分がその地位に就いたのに、就任式の演説で、自分がトップに立つ支配体制をぶち壊したいので協力してくれと、国民に呼びかけている。しかもトランプは、これと同趣旨の演説を、共和党の候補の一人だった昨年初めから、何度も繰り返している。トランプは思いつきの出まかせばかり言う人だとマスコミは報じてきたが、全くの間違いだ。トランプは一貫して同じことを言い続けている。確信犯だ。 (Trump's Declaration Of War: 12 Things He Must Do For America To Be Great Again) (米大統領選挙の異様さ)

 ふつうの人は、大統領になったら、エスタブ小集団に迎合してうまくやろうとする。民主主義や人権といった建国以来の米国の理念を賛美し、世界の「悪」(独裁国家や社会主義)に立ち向かう決意を表明するのが、従来ありがちな大統領の就任演説だった。しかし、トランプは、そういうことを全く演説に盛り込まないどころか「中身のない話をする時は終わった。実行の時がきたのだ」(The time for empty talk is over, now arrives the hour of action.)と明言している。 (Donald Trump meant everything he said)

 トランプは、大統領になって米国の政権(エスタブ小集団)を握ったとたん、米国の政権を破壊し転覆する政治運動を、大統領として開始し、国民に参加を呼びかけている。これは革命だ。就任演説は、トランプ革命への参加を国民に呼びかける「檄文(召集命令)」となっている。演説は「私たち、あなた方(we, you)」といった米国民全体をさす呼称が多用され、「私(I)」がほとんど出てこない。トランプ自身が英雄になるつもりはないようだ。悪い権力構造を破壊して最後は自分も消される運命を予期しているのか。 ("We Are Transferring Power Back To The People" - Trump's Full Inaugural Speech) (Trump’s Declaration of War - Paul Craig Roberts)

 米支配層(エスタブ小集団)の一員であり、支配層による支配体制を「いいこと」として報じることが不文律的な義務となっているマスコミは、当然ながら、トランプ革命の檄文という就任演説の主旨を報じず、トンデモ屋のトランプがまたおかしな、危険なことを言っているという感じで報じている。米国民の中でも、大統領選挙でクリントンに入れ、トランプを嫌い続けているリベラル派の人々は、トンデモ演説とみなしているかもしれない。だがトランプ支持者は、よくぞ言ったと評価し、鼓舞されているだろう。米国は、トランプ支持者と、リベラル派(と軍産マスコミなど支配層)とが対峙する傾向を増している。 (Viewers SAVAGE BBC Newsnight for Obama BIAS as Donald Trump described as 'JOKE') (マスコミを無力化するトランプ)

▼トランプの魅力は、決して屈服しない強固な喧嘩腰

 トランプは選挙戦中から、中露イランや欧州、日韓など、同盟国や非米反米諸国との関係をいろいろ表明してきたが、それらは就任演説にあまり盛り込まれていない。政治面の個別具体策としては「古くからの同盟を強化しつつ、新しい同盟を作る。過激なイスラムのテロリズムをこの世から根絶するために世界を団結させる」という一文のみだ。

 このトランプの「テロ戦争」は、おそらく911以来の米国のテロ戦争と全く似て非なるものだ。従来のテロ戦争は、米支配層の一部である軍産複合体が、アルカイダやISといったテロリストを裏でこっそり支援しつつ表向きの戦いをやる、軍産エスタブ支配の永続を狙った恒久戦争の戦略だった。トランプのテロ戦争は対照的に、軍産が敵視するがゆえに軍産の傀儡でないロシアなどと協力し、米政府内の軍産(国防総省やCIAなど)に裏のテロ支援をやめさせつつ、アルカイダやISを本気で全滅する計画だろう。トランプ革命(エスタブ潰し)には、テロリスト(テロの脅威)を使って軍産エスタブが米国を支配する911以来の構造を壊すことが必要だ。 (Trump Inauguration Address Centers on Fighting Islamic Terror) (911十周年で再考するテロ戦争の意味)

 トランプは就任演説で「これまでわれわれ(米国)は、自国の国境を守ることを拒否する一方で、諸外国の国境を守ってやること(愚策)を続けてきた」(We've defended other nations' borders while refusing to defend our own.)とも言っている。「米政府は従来、米墨国境を抜け穴だらけに放置し、メキシコから違法移民が大量流入して米国民の雇用を奪うことを黙認する一方で、日韓やイラクの駐留米軍やNATOなどによって、大して米国の国益にならないのに諸外国の国境や領海を守ってやってきた。こんな悪い政策はもうやめる」という意味だ。トランプは「貿易、税制、移民、外交に関するすべての決定は、米国の労働者と家族の利益になるものにする」とも言っている。いずれも、選挙戦中から彼が言ってきたことだ。 (Why Donald Trump's Inaugural Address Matters)

 貿易政策で度肝を抜かれる一文は「保護(主義、Protection)は、大きな繁栄と(国家や経済の)強さにつながる」というくだりだ。世界的に「極悪」とされてきた保護主義をみごとに肯定している。「これまで何十年も、われわれ(米国)は、自国の産業を犠牲にして外国の産業を儲けさせてきた。自国の軍隊をすたれるままにしつつ他国の軍隊に資金援助してきた。米国のインフラを整備をしない一方で外国に何兆ドルも支援してきた(今後これらのことを全部やめる)」とも言っている。 (New President, New World Patrick Buchanan)

For many decades, we've enriched foreign industry at the expense of American industry, subsidised the armies of other countries, while allowing the sad depletion of our own military. And spent trillions and trillions of dollars overseas while America's infrastructure has fallen into disrepair and decay.

 これらもすべて選挙戦中からトランプが言っていたことだが、意味するところは「覇権の放棄」である。戦後の米国は、世界の単独覇権国として、基軸通貨と基軸貯蓄ツールであるドルと米国債を世界に持ってもらうことで無限発行できる利得の見返りとして、自国の製造業をないがしろにしつつ世界から商品を旺盛に買い続け、世界の消費を底上げして世界経済の成長を維持する役目を担ってきた。この経済覇権の構造が、同盟諸国の軍隊を支援する軍事覇権の構造と合わせ、覇権国である米国が維持すべき義務だった。米国の覇権的な義務を放棄することで、米国の産業や雇用を一時的に再生しようとするのがトランプの経済戦略の要諦だ。 (トランプのポピュリズム経済戦略)

 覇権の利得で儲けてきた米国の支配層は、当然ながらトランプを敵視している。もしくは、トランプは支配層の一員になったのだから、儲かる覇権構造を意図して破壊・放棄したがるはずがないと考え、そのうちトランプは姿勢を転換するはずだと考えている。投資家の多くは、金儲けの視点しかないので、トランプが姿勢転換すると予測している。日本政府も、トランプの姿勢転換を予測してTPPに固執している。 ("It Remains A Mystery Why So Many Continue To Anticipate A Change In Trump's Behavior")

 だが実際には、トランプが姿勢を変えることはない。私が以前から何度も分析してきたことだが、米国の支配層の中には、ずっと前(第二次大戦で英国が米国に覇権を譲渡した直後)から、自国の覇権を意図的に放棄して多極型・分散型の覇権構造に転換しようとこっそり努力し続けてきた勢力(隠れ多極主義者)がいる。キッシンジャーやCFRつまりロックフェラーは、その一味だ。彼らは、多極分散型に転換した方が、世界は政治的、経済的に安定する(大戦争やバブル膨張・崩壊しにくい)と考えている。トランプは隠れ多極主義者だ。トランプは昔からでなく、大統領に立候補するに際して隠れ他極主義者になった。おそらく、隠れ多極主義者たちの方からトランプに立候補を持ちかけた。トランプが姿勢を変えることはない。 (Reagan And Trump: American Nationalists - Patrick Buchanan)

 多極主義者たちが感じたトランプの魅力は「決して屈服しない喧嘩腰」だろう。オバマもCFRに評価されて大統領になったが、オバマは沈着冷静で喧嘩しない。とりあえず軍産エスタブの覇権勢力の言いなりになり、その上で微妙な転換や歪曲策をやる。たとえばオバマは、シリアに濡れ衣戦争を仕掛けて途中でやめて意図的に混乱を招き、仕方がないといってロシアに軍事介入を頼み、シリアなど中東の支配権をロシアに移譲していくという、回りくどいことをやった。オバマの下ごしらえのおかげで、今やロシアや中国は、米国が捨てる覇権の一部を拾って自分のものにしてもいいと考えている(この数十年の世界において、覇権は奪い合うものでなく押し付けあうものだ)。 (米英覇権を自滅させるシリア空爆騒動) (アメリカの戦略を誤解している日本人)

 ビルクリントンは、覇権を軍事主導から経済主導に変えた。次のブッシュ政権は911とともに覇権を軍事側に戻したが、イラクで過激に(故意に)大失敗し、リーマン危機の対策(QE=ドルパワーの浪費)を含め、覇権を盛大に無駄遣いした。オバマもシリアやリビアやQEで覇権の浪費を続け、いまや米国の覇権は経済外交の両面で崩壊感が強い。ここで新大統領として、米中枢の覇権勢力(軍産エスタブ)に喧嘩を売り、覇権戦略の一方的な放棄、もしくは覇権運営どころでない米国内の内戦・内乱状態を作る無茶苦茶野郎が出てくれば、米国が放棄した覇権を、中露などBRICSやドイツ(いずれきたる再生EU)、イラン、トルコなど(日本=日豪亜も??)が分割するかたちで継承し、自然と多極化が進む。 (ますます好戦的になる米政界) (潜水艦とともに消えた日豪亜同盟)

 トランプは、こうした隠れ多極主義者のシナリオを引き受けることにして、大統領選に出馬して勝った、というのが私の見立てだ。トランプは、米国を主権在民に戻すと言っているが、それが最大の目標でない。最大の目標は、米国民を政治運動に駆り立て、米単独覇権を運営する軍産エスタブ、政界やマスコミの支配構造をぶち壊すことだ。近代資本主義の前提となる国民国家体制を作るためにフランス革命があったように、きたるべき時代の世界の基盤となる多極分散型の覇権体制を作るためにトランプ革命がある。 (覇権の起源)

 トランプが就任して米国の新たな混乱が始まったとたん、中国政府(人民日報など)は「米国の事態は、欧米型の民主主義の限界を示している。中国の社会主義の方が安定している」と豪語し、落ち目な米欧に代わって中国が世界に影響力を行使するという言説を発し始めている。ドイツの左派のシュタインマイヤー外相は「トランプの出現は、20世紀の古い世界秩序の終わりと、厄介な新たな事態の始まりを示している」と指摘している。 (China Says It Is Ready To Assume "World Leadership", Slams Western Democracy As "Flawed") (Trump’s presidency harbinger of troubled times ahead: German FM)

▼CIAを脅して味方につけ、マスコミを潰しにかかる

 戦後、覇権を牛耳る軍産支配を壊そうとした大統領はみんなひどい目にあっている。若気のいたりで冷戦を終わらせようとしたケネディは暗殺された。中国和解やドル潰しをやったニクソンは弾劾された(これらの教訓から、レーガンは目くらまし的な裏表のある政策をとって成功した)。トランプも、殺されたり弾劾されたりするかもしれない。しかし、軍産支配を壊そうとする黒幕のCFRなども、この間、知恵をつけてきている。黒幕に守られ、トランプは意外としぶといだろう。 (ニクソン、レーガン、そしてトランプ)

 トランプの目的は、米国の既存の支配層を潰して自分が独裁支配することでない。米国の支配層を潰し、その果実をBRICSなど他の諸大国が分散して受け取る新たな世界体制を作ることだ。トランプは、勝たなくても目的を達せられる。ただ喧嘩して壊すだけでいい。代わりの政体を作る必要がない。次の世界システムは、米国の覇権のしかばねの上に自然に生えてくる。 (The Trump Speech That No One Heard)

 大統領就任後、トランプの喧嘩の矛先はまずマスコミに向いている。就任式に集まった人々の数をマスコミが過小に報じたかどうかをめぐり、さっそく大統領府とマスコミが相互批判している。トランプ陣営は、マスコミと折り合っていく常識的な道筋をとっていない。 (White House Spokesman Slams Media Over "Crowd Size Comparisons" In Bizarre First Briefing)

 トランプは就任の翌日、CIA本部を訪れて職員を前に演説し、テレビ中継された。演説でトランプは、マスコミを「世界でもっともウソつきな人々」と非難しつつ「私はマスコミと戦争している。マスコミは、私が諜報界と喧嘩しているかのように報じているが、そんなことはない。私は就任後、真っ先にここに来た。私はみなさんを1000%支持する。マスコミは私を酷評するが、多くの人々が私の就任演説を支持してくれている。みなさんも支持してくれるよね」と述べた。 (Watch Donald Trump give first CIA speech and his 1,000% backing - full transcript)

 私から見ると、この演説が意味するところは、トランプがCIAに向かって「マスコミとの戦争で俺を支持しろ。これまでのように俺を不利にすることをマスコミにリークするをやめて、逆にマスコミを不利にすることを俺に教えろ。トランプ革命に協力しろ。そうすればお前らを優遇してやる。従来のように、俺を潰そうとするマスコミを支援し続けるなら、俺は逆にお前たちを潰すぞ」という二者択一を、テレビの前で迫ったことだ。 (トランプと諜報機関の戦い) (Why Trump's CIA speech was simply inappropriate)

 トランプはこの演説でもう一つ「われわれはISISを倒すしかない。他に選択肢はない」とCIAに通告している。CIAは軍産複合体の一部として、イラクやシリアなどでISISをこっそり支援してきた。それはトルコ政府も指摘する「事実」だ。トランプはCIAに行って「もうISISを支援するな。そうすればCIAを厚遇する。(逆に、こっそりISISを支援し続けるなら、お前たちもマスコミ同様、俺の敵だ)」と啖呵を切り、それをテレビで米国民にも知らせた。 (Trump's CIA speech reveals a challenge to America's 'deep state')

 これまでの、独自の諜報網がない米大統領なら、CIAは、大統領に知られないようにこっそりISISを支援し続けられたかもしれない。だがトランプにはプーチンのロシアがついている。露軍はシリアに駐留し、トルコやイランの当局とも通じているので、CIAなど米国勢がISISをこっそり支援し続けていたら、すぐ察知してトランプに通報する。トランプが就任前からプーチンと仲良くしてきたのは、米露関係自体のためだけでなく、米国内の軍産エスタブ潰しのためともいえる。 (Lifting of anti-Moscow sanctions an illusion: Russian PM)

 米諜報界では、オバマ政権で1月20日までCIA長官だったジョン・ブレナンが、現役時代から、トランプへの激しい敵視を続けている。ブレナンのトランプ敵視は、オバマや米民主党、リベラル派、軍産エスタブのトランプ敵視とつながっている。CIAなど米諜報界は今後、親トランプ派と反トランプに分裂する傾向を強めるだろう。国防総省とその傘下の業界も、軍事費の急増を約束しているトランプになびく勢力と、旧来のトランプ敵視を維持する勢力に分裂・内紛しそうだ。軍産内部を分裂させるのがトランプ陣営の作戦と感じられる。この分裂にオバマも一役買っている。 (Plan of neocon axis in Senate to spend $5 trillion on military could destroy US: Ron Paul) (得体が知れないトランプ)

▼軍産に取りつかれたマスコミやリベラルとトランプの長い対立になる

 トランプは、大統領就任後もツイッターの書き込みをさかんに続け、マスコミを迂回する情報発信をしている。FTなのに気骨ある分析を書き続けるテットは、トランプのツイートをルーズベルトの炉辺談話になぞらえて評価している。トランプ政権は、大統領府(ホワイトハウス)の大統領執務室の近くにあった50人収容の記者会見室を撤去し、代わりにとなりの建物に400人収容の記者会見場を設ける計画を進めている。従来の、大手マスコミだけが大統領の近くにいられる記者クラブ的な癒着状況を廃止し、大手以外のオルトメディアなども入れる大きな会見場を作る。 (Twitter: Trump’s take on the ‘fireside chat’ Gillian Tett) (Trump Team Responds: May Move White House Briefings To Accommodate More Than Just "Media Elite") ("They Are The Opposition Party" - Trump May Evict Press From The White House)

 トランプは、マスコミの特権を剥奪する一方で、イラク大量破壊兵器に象徴される軍産プロパガンダを「事実」として報じてきたマスコミへの敵視を続けている。米(欧)国民のマスコミへの信頼は低下し続けている。共和党系のFOXなど一部のマスコミは、トランプ擁護の姿勢に転じている。米国のメディア機能はすっかりインターネットが中心になり、ネット上ではマスコミもオルトメディアも個人ブログも大差ない。トランプの喧嘩腰は、軍産の一部であるマスコミを弱め、軍産と関係ないオルトメディアを強める。 (偽ニュース攻撃で自滅する米マスコミ) (The ‘Post-Truth’ Mainstream Media)

 マスコミや軍産と並んでトランプを敵視するもうひとつの勢力は、民主党系の市民運動などのリベラル派だ。この戦いは、大統領選挙のクリントン対トランプの構造の延長として存在し、トランプの大統領就任とともに、リベラル派の方から仕掛けられている。負けたクリントン、大統領を終えたオバマ、世界的に民主化を口実とした政権転覆を手がけてきたジョージソロスなどが、指導ないし黒幕的な面々だ。ソロスはダボス会議での公式演説で、トランプを倒すと宣戦布告している。 (George Soros Vows To ‘Take Down President Trump’) (Putin Warns Of "Maidan-Style" Attempt To Delegitimize Trump)

 草の根の右からのポピュリズムを動員して軍産エスタブを潰しにかかるトランプに対抗し、軍産エスタブの側は左(リベラル)の市民運動を動員している。もともと軍産は冷戦時代から、強制民主化、人権侵害の独裁政権の軍事転覆など、民主主義や人権擁護といったリベラルな理想主義を口実として戦争することを得意としてきた。イラク戦争を起こした共和党のネオコンは、民主党のリベラルから転じた勢力だ。リベラル派のお人好し(=人道重視)の理想主義が軍産に悪用されてきたが、今回また何十万人ものリベラル派が、トランプとの戦いに、軍産の傀儡にされていることも気づかずに結集し「トランプを強姦罪で弾劾しよう」と叫んでいる。トランプに反対するワシントンでの女性らの「自発的」な50万人集会を率いた人々のうち56人がソロスとつながりのある人だった。 (Ex-WSJ Reporter Finds George Soros Has Ties To More Than 50 "Partners" Of The Women’s March) (Beware the Rise of Left-Wing Authoritarianism)

 女性や有色人種、貧困層、都会の知識人を束ねているリベラルの運動を敵に回すのは、トランプにとってマイナスとも考えられる。だがリベラルと仲良くすると、軍産エスタブがリベラルのふりを展開してきた強制民主化・独裁転覆の戦争や、人権を口実にした格安労働者の導入である違法移民放置策、覇権とカネ儲けの策である地球温暖化対策などを否定しにくくなる。喧嘩好きのトランプは、リベラル全体を敵に回す荒っぽい策をとることで、むしろリベラルが不用意に軍産の傀儡になってしまっていることを浮き彫りにしている。 (Trump responds to protesters: Why didn’t you vote?) (まだ続く地球温暖化の歪曲)

 トランプと、リベラル派やマスコミ、諜報界、軍産エスタブとの戦いは、まだ始まったばかりだ。今後、延々と続く。すでに述べたように、この長い戦いは、トランプ陣営が好んで始めた計算づくのことだろう。対立が続くほど、トランプ側の草の根からの支持者の動きも活発になる。これぞ米国の民主主義のダイナミズムだ。誰もトランプ革命について語らず、自国のひどい官僚独裁政治にすらほとんど誰も気づいていない浅薄な日本から見ると、米国はラディカルで強烈ですごいと改めて思う。


8. 中川隆[6481] koaQ7Jey 2017年1月30日 14:24:31 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6935]

トランプさん就任 人事はティーパーティー(茶会派)


トランプさんは就任層早々、TPP離脱を表明しましたね。
そして、オバマケアも撤退だそうです。

で、CNNを偽ニュースと罵ったりしてました。


トランプ氏「偽ニュースだ」CNNをののしる…質問無視

 「お前の組織は最低だ」「黙れ」「フェイク=FAKE(偽)ニュースだ」−−。

ドナルド・トランプ次期米大統領は昨年11月の大統領選後初めてとなる11日の記者会見で、手を挙げて質問をしようとする米CNNテレビの記者をののしり、機会を与えなかった。

1月20日の就任式を前にメディアとの関係が修復されたとは言い難く、今後も激しい攻防が続くとみられる。メディアを選別する態度に、識者からは日本の報道への影響を懸念する声も上がった。【鈴木一生、ニューヨーク國枝すみれ】
http://mainichi.jp/articles/20170112/k00/00e/030/194000c


うーん。
なんでしょう。

ワタスはトランプさんはバチカンとのつながりがある等々。
あっち側だと疑って見てたんですが。

TPP離脱、CNN口撃。
これだけ見る限り本気で国際金融資本にケンカを売ってる人に見えます。

今後、まさかあのFRBをぶっ潰すとか。
そして、あのケネディさんもできなかった政府紙幣発行とか。

まさか。

そうなればワタスは本物だと認めるのですが。

以下、閣僚人事です。
http://golden-tamatama.com/blog-entry-2626.html


全体的に閣僚人事を見ると大富豪とか軍人ばっかですね。
で、見るとほとんど茶会派(ティーパーティー)じゃないか。

以下はWIKI ティーパーティー(茶会派)より。

ティーパーティー運動( ティーパーティーうんどう、英: Tea Party movement)

2009年からアメリカ合衆国で始まった保守派のポピュリスト運動である。

バラク・オバマ政権の自動車産業や金融機関への救済の反対、さらには景気刺激策や医療保険制度改革(オバマケア)における「大きな政府」路線に対する抗議を中心とする。茶会運動ともいう。

: 「ティーパーティー(Tea Party)」という名称は、当時の宗主国イギリスの茶法(課税)に対して反旗を翻した1773年のボストン茶会事件(Boston Tea Party)に由来しており、同時にティーは「もう税金はたくさんだ(Taxed Enough Already)」の頭字語でもある。 :

総じて税金の無駄遣いを批判して「小さな政府」を推進しようという運動で、「アメリカ人の中核的価値への回帰」を訴える保守系独立政治勢力である。


__


茶会派(ティーパーティ)とは、新自由主義者、リバータリアン。

調べると国務長官ティラーソンさんもティーパーティーでした。

この人はエクソンモービルの元CEOで、ロシアと北極海油田などを開発してた人です。
で、プーチンさんから勲章などを貰ってました。
ロシアのプーチンさんと非常に仲が良い。

副大統領のマイク・ペンスもティーパーティー。
で、CIAのマイク・ポンペオも労働長官のアンディー・バズダーも。
調べるとかなりティーパーティーの人が多い。


以下はニューズ・ウィーク誌から。

財務長官に選ばれたのはスティーブ・ムニューチンさん。
この人はロシア系ユダヤ人で元ゴールドマン・サックスです。

カール・アイカーンさんとはウォーレンバフェットと並ぶ、著名投資家。
もの申す投資家として知られてます。


アイカーンさんは規制改革の顧問になるようです。


http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL22H2F_S6A221C1000000/
トランプ次期米大統領、アイカーン氏を規制改革の顧問に起用へ 米紙報道

NQNニューヨーク=神能淳志】トランプ次期米大統領は21日、物言う株主で知られる投資家カール・アイカーン氏を規制改革全般に関する顧問として起用する方針を固めた。

前にも書いたのですが、アイカーン氏はトランプさんの師匠なのです。

で、話を戻してティーパーティーと言えば以下の小説です。

以前のっけました。


肩をすくめるアトラス 単行本 – 2004/9 アイン ランド (著), 脇坂 あゆみ (著), Ayn Rand (原著)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4828411496/asyuracom-22/ref=nosim/


この小説は、日本でいうと司馬遼太郎さんの「飛ぶが如く」とか「坂の上の雲」とか。
そんな感じで広く読まれてます。


で、作者は以下のおばちゃんです。


アイン・ランド
ロシア系アメリカ人小説家

このアイン・ランドさんはフィリップ・ロスチャイルドの愛人と言われてます。

この小説の言ってること。


富を追い求めるののどこが悪いの?
弱肉強食のどこが悪いの?

すべて市場原理にまかせましょう。
金持ちを縛るのをやめましょう。
小さな政府を作りましょう。

経済を牽引する金持ちを、福祉のためとか、税金とか規制などで縛ると経済が停滞してしまいますよ。


この小説のあらすじは、世界の大金持ちが、自分達は世界経済を推し進めるエンジンなのに、常に議会や政府の規制で邪魔をされる。

たび重なる政府の妨害に、なぜ我々は頑張って世界経済をまわしているのに悪者扱いされなきゃならないんだ?

努力もなにもせず、福祉に依存する貧乏人達にたかられるのはごめんだ。
そう言って呆れ果てた金持ち連中が、肩をすくめて、コロラド山中に消えていくというお話でした。

アトラスとは、ギリシャ神話で、肩で世界を支えていると言われる神様です。
アトラスが、天を支えるのを放棄してどっかに行っちゃったという話なのでした。

このアイン・ランドさんを信奉する人達が新自由主義者=実力主義者=ティーパーティー。

で、今回のトランプさん人事を見ると、

例えば、商務長官のウィルバー・ロス氏。
元ロスチャイルドにいた人ですね。

そしてエクソンモービルとかゴールドマン・サックスとか。
相も変わらず金融そして軍産複合体政権に見えますが。

ただ、どうも中身が茶会派、新自由主義者=リバータリアンです。
そしてどうもロシア寄り人脈になってる。

あのピーター・ティールさんなども完全リバータリアンですね。
http://golden-tamatama.com/blog-entry-2626.html

トランプの掲げる政策

●法人税減税(税率を35%から15%に引き下げ)

●個人所得税の減税(現行の7段階の累進税率を12%、25%、33%に引き下げ)

●キャピタルゲイン並びに配当に対する減税延長(現行の0%、15%、20%の税率を維持)

●相続税の撤廃

●TPP撤廃発言のすぐ後、キーストンパイプライン工事を既に開始、二国間貿易協定開始。

●自分は合法脱税で全く税金を払っていないくせに国民の税金を利用してメキシコへ壁を作りはじめて国民を借金漬け、労働者たちが生活苦、医療費に苦しんでいるにもかかわらず労働者保護(オーナーの福利厚生徹底)や国民皆保険制度は考えない。

●共和党の非人道主義者やリバタリアンたちを自分のキャビネットに据える金権政治

●自分たちが散々戦争を作り出し軍費予算や軍滞在費用を「他国」へ要請する(そして戦争へ行くのは貧しく医療保障や学費補助が欲しい学の無い若者たち)。

どう見ても金持ちの、金持ちによる、金持ちのための優遇政策。

トランプは散々、ワシントンの「一部の金持ちと権力者」にだけ恩恵をもたらす政策の政権を非難しながら、実は、そういう最低で姑息な権力者を見逃すだけでなく、さらに、減税して儲けさせてあげるという政策に他なりません。

ヒラリー・クリントンが良かったなどとは口が裂けてもいいませんが、バーニー・サンダース率いるプログレッシブ議員たちが存在している民主党はまだマシです。

共和党員こそが、こぞって国民皆保険に反対して潰し、国民の税金を軍費へと異常に回し、議員全員がイラク戦争へ賛成し、公共福祉予算を削り、金持ち脱税ルールをこっそり作り上げ、金持ち優遇税金制度へと変えてきた経緯があります。

さらに共和党陣営はトランプをスキャンダルでいずれ追い出して、マイク・ペンス(最悪なリバタリアン)に挿げ替えようとしているという意見もあります。スキャンダルが無くても実権は共和党が握っています。マイク・ペンスが倒れた後にもまた次の悪玉が共和党には用意されています。

現在、その悪の親玉となったトランプが(スピーチは、スピーチライターによって書かれており、それに感動した日本人も多かったようですが)、労働者への発言をひるがえして、オーナーと金持ちに恩恵を与える政策へと早速切り替えています。

彼のキャビネットは、国民皆保険を圧力で潰して金持ち優遇策へ切り替えた共和党の裏ボスであるミッチ・マコネルの妻を運輸長官に。労働長官には「労働者は過剰に保護されている」として労働者最低賃金を更に下げるよう要請しながら労働者を排除してロボットへの切り替えに尽力してきたアンドリュー・バズダー。共和党へ家族総出で1億円以上の大口献金をしている教育長官デボス、そしてウォール街バンカーです。

トランプが金持ち(そして金持ちに雇用されている投資家たち)に不利となる国内政策や外交政策を行うとは全く思えません。

トランプは政府に勤めている者を排除する予定としていますが、それならば何故、共和党員たちを排除せずに、公共施設で低賃金で働いている者たちを排除しようとするのでしょうか。
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/564.html#c7


トランプ政権の「化けの皮」はすぐに剥がれる 「バブルを喜ぶ」のではなく「リスク」に備えよ
http://toyokeizai.net/articles/-/155851
2017年01月28日 ぐっちーさん :投資銀行家 東洋経済

「選挙戦での主張」をいまだに信じ続けるメディア

トランプ大統領が言っている、「白人労働者など一般の人々へホワイトハウスからの権力の移行だ」、なんてことをまともに捉えているメディアの神経も疑います。

これは確かに選挙戦から言っていた主張で、「Drain the Swamp」(沼の栓を抜け!)とトランプ大統領が声高に叫んでいた政策(と呼べるのかどうかさえ疑問ですが…)の一つです。

既存の権力者(エスタブリッシュメント)からワーキングクラス(ブルーカラー)に権力を取り戻す、なんて言っていたわけですから、さながら民主党のサンダース議員の専売特許のようなキャッチフレーズです。

しかし、実際に起きたことはなんですか?


国務長官はレックス・ティラーソン、現役のエクソンモービルのCEO、財務長官はゴールドマン・サックスにもいたハゲタカ投資家としてボロ儲けをしたスティーブン・ムニューチン、さらには教育長官にはベッツィー・デボスを起用。彼女はアムウェイの創業者の息子の嫁ですよ。既存の権力者と成功者ばかりじゃないですか!

 これほど言行不一致なことはないわけであって、もうこれだけでトランプ大統領は嘘つきだ、ということになるはずですが、そういう声はメディアからは、ほとんど聞こえませんわね。この政権の一体どこが貧乏な白人労働者に権力を取り戻す、ということになるんでしょうか。

一方、今、反トランプでデモをしているような人たちも似たり寄ったりです。だいたいトランプ大統領が良く使う「the forgotten man and woman」というのは一体誰のことを言っているんでしょうか? メディアが好んで取り上げるようなラストベルトで職がなくて、うろうろしている学歴のない白人労働者を指す、というのであれば、人口で見ればゲイだってLGBTだって同じような人数の少数派であって、まさにその「the forgotten man and woman」ではないですか。

なぜ、LGBTを救済することは「善」で喝采を浴びせ、同じ少数派の白人労働者を救済するのはいけないのか?そこに論理的一貫性を見出すことは不可能です。要するに、どっちもどっちでしょう。

そもそも多くの日本のメディアはそういう白人層(ヒルビリーだのレッドネックだの、彼らを蔑む単語には事欠かない)が存在することも知りませんし、彼らがアメリカにおいて社会的にどんな存在なのか知りもしない。

書店に行けば、彼らヒルビリーのレシピなんて本がベストセラーになっていて、それは道路で轢かれたリスをどう調理するか、とかタヌキ料理のレシピ、というような内容の本で、同様のテーマのテレビ番組がものすごい視聴率を挙げたりしている。こういう番組が高視聴率を取るということは、アメリカ全体で見ればそういう人々を蔑んで笑いものにして喜んでいる人がたくさんいる、ということにほかならず、彼らはまさにトランプ大統領がかかわっていたWWEというプロレス団体のファンとそっくり重なるような人々であって、別に忘れられた人々でもなんでもない。

■アメリカの権力構造の本質は何一つ変わっていない

トランプ大統領自身も含めて、アメリカ人全体でそういう人々を蔑んで笑いものにしている構造そのものには、なんら変わりはないのです。その怒りが今回の選挙結果だというのであれば、じゃあ、トランプ大統領自身、ひいてはあなた自身はどうなんだ、という身もふたもない結論に行き着くだけでしょう(トランプ大統領自身は白人の大金持ちのただの成り上がりでしょうが!本当に「彼らのために」、というのであれば大統領に当選したら、その資産をすべて寄付するくらいのことはするべきでしょう!)。一方、ゲイを支持するのはよくて、ヒルビリーを支持しちゃいかん、というのも全く納得いきませんね。

結局、トランプという人は怒りの矛先を既存のエスタブリッシュメントに向けたふりをしただけで、ホワイトハウスの人事のように本質は何一つ変わっていない。それに人々が気づいた時にはすでに遅く、迷走した分だけ物事がこじれ、状況は前より酷いことになり、そのために国民が支払うコストは膨大になるだろうことには疑問の余地はありません。実は同じような危惧を小池百合子東京都知事にも持っているのですが、その話はまた別の機会に…。

そしてもう一つ。当欄を順番で担当されている吉崎さん(双日総合研究所副所長)とはよく話すのですが、トランプ政権は要するにあのWWEのようなプロレス政権だ、という話です。プロレスと言うのは「お前殺すぞコノヤロー!!」と過激にショーアップして技もとんでもない技をかけてきますが、あんなもの、真剣にやったら相手は本当に死んでしまいます。

しかし、死なないわけですよ。つまり手を抜いているわけで、要するに相手が受け止められる範囲で技をかけているということです。つまりトランプ大統領の一連の過激な発言もこれはあくまで「プロレス」であるという解釈をしなければならないのではないか、という話です。まさにその通りでしょう。

■「具体策なし、結果責任なし政権」の末路

そしてもう一つ気が付いたことがあります。

すでに大統領令を何発も繰り出し、TPPからの離脱も、メキシコ国境の壁の建設をメキシコのコストで行う、などの案にサインしていますが、具体的にどうやるか、という点については、何ら明らかにされていないという点です。

これから議会が調整に入っていくわけですが、各論は各担当大臣に任せてある、という言葉がこの大統領からはしょっちゅう出てきます。例えば、アメリカのメディアは早速かみついていましたが、自分は水攻めという拷問に効果があると確信しているが、実際にどうするかはポンペオ(CIA長官)などにすべてを任せると言っています。つまり、自分なりに方向性は打ち出すが、あとは現場が決めることだ、と結局は他人任せである、と明言していることになります。

この景色もどこかで見たことがあります。

そう、あの「アプレンティス」(「見習い」の意味)ですね。トランプ氏がホストを務め、「しろーと」を集めてカネを渡してビジネスをやらせ、かなりの無理難題を押し付けておいて、ダメだとなると “You are fired!” といって脱落していくという有名なテレビ番組です。要するに、自分の閣僚に無理難題を押し付けておいて思い通りの結果がでないと、最終的には ”You are fired!” と叫ぶことにひょっとしたらなるのではないかと思い始めました。これはあり得るな〜…。

トランプ大統領はWWEとアプレンティスの手法を本気でホワイトハウスに導入しようとしているのではないか、と密かに恐れているわけです。そういう意味では、こういう人の一言一言で振り回させる人々はたまったもんじゃありませんね。そこに理念などはなく、ただ、無理難題を押し付けては妥協点を探り、ダメだったときは You are fired! ということになると、次は一体なにが起きるのかすら、予測できません。

私のような「投資する」という立場から指摘するなら、この種の「不透明性」を市場は最も嫌います。今は「トランプバブル」とかはしゃいでいますが、早晩化けの皮がはがれることになるでしょう。何するかわかんない人が大統領、というのはアメリカ経済にとっても非常に大きなリスクでしょうね。

サポートに付いている共和党の経験のある人々が何とかするから大丈夫、なんて言ってる人がいますが、それはあまりにも楽観的なような気がします。投資家から見ると、トランプ政権は自動ブレーキや、ましてABSなどの近代的な安全装置がまったくついていない馬力だけはばかでかい、1980年代のアメ車のようなもので、ガソリンをがばがば食って、ぶつかったら大破する。という覚悟だけは必要でしょう。

そして、ここまで読んで頂ければ、トランプ大統領のことだけに限りませんが、メディアで垂れ流される情報の拙さ、酷さを読者の皆様には改めて認識して頂くことができるのではないでしょうか。所詮、アメリカで何もやったこともなく、そもそもアメリカのことを何も知らない人々がアメリカのことをしたり顔で報道しているようなことを信じてはいけません。大体彼らは道路で轢かれたリスの肉で作ったハンバーグなんて食べたことがあるんでしょうかね!?


9. 中川隆[6482] koaQ7Jey 2017年1月30日 14:25:44 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6936]

トランプの掲げる政策を行なう Trump village の運命は:


人口100人の青い目の人達の村_Trump village があった。

4人の資本家に支配された労働者庶民96人が住んでいた。

資本家の年俸は2億円、残りの庶民は年俸200万円
全体で9億9200万円の紙幣が循環していた。

Trump village では、自動車は6〜7台しか売れず、他の者は自転車だった。
暴動や略奪や薬物中毒・犯罪が頻繁に起こっていて
ズタズタなスラム社会になった。


その村の隣に、ジパングという人口100人の島国があった。

20人の知恵者をリーダーとした職人庶民80人いた

リーダーの年俸は1440万円、残りの職人は年俸500万円

全体で Trump village より少しすくない6億8800万円の紙幣が循環していた。

その村では、自動車は100台売れた。 自転車も売れた。

あらゆる産業が学問が医療が社会福祉が発展し
インフラが整備されていき、すばらしい街を形成していった。


___


「日本の失われた10年」は昭和63年税制改革が原因である。
EU型付加価値税は誤りで累進所得税こそ経済を活性化させる

2004年10月27日 水曜日

◆資本主義で失業率改善と税収増と株高を同時達成する 吉越勝之
http://www.geocities.jp/mirai200107/p0.htm

「別表日米90年間の年度別最高税率と経済」を調べてみると、米国は1910年代
後半から、50−75%の高累進所得税制で空前の好景気に沸いたが、1925年に
最高所得税率を史上最低の25%へ所得規制緩和し、承継したフーバー大統領誕生の
1929年アメリカで株価大暴落が発生し世界大恐慌へ突入したのです。

その3年後、多数の米国会議員の努力で成立した失業率を大改善し、本格的経済成長
に大成功して世界恐慌を完全克服し世界大戦の膨大な戦費を賄った上、財政再建に大
成功して世界一の経済大国となり株価上昇の原点となった、最高所得税率63−92
%へ税制改革の「必要は発明の母で生まれたルーズベルト税制」を分析し理論化した
のが本論文であります。

日本は戦後一般消費税を拒否し、この米国型直接税制を採用し国税75%の高累進所
得税制で高度経済成長と財政健全化に大成功したのです。 
しかし米国の強力な競争相手に成長した我国が、税制への無理解から平成元年にEU
型間接税中心税制へ大転換し米国型経済成長税制を放棄してしまったのです。 

この日本の競争力低下に助けられクリントン米大統領はルーズベルト税制を参考に
「富裕層所得税の累進強化の税制改革」を断行し国家競争力を再強化し株高と景気回
復と財政再建の同時達成に大成功を納めたのであります。

逆に直接税の所得規制緩和税制改革のレーガン税制やブッシュ税制では所得再配分機
能の低下を招き、個人消費は停滞減少し本格的経済成長と財政再建の同時達成に必ず
失敗するのです。

さて成熟経済においてアメリカと同じく納税者番号制を伴った高累進所得税の増税で
所得を規制強化し、且つ消費税を廃止し個人消費を規制緩和すると、国民所得が大幅
増加して失業率低下と経済成長と大幅な税収増の同時達成という素晴らしい結果を得
られます。 

この立証に世界一の経済大国アメリカと第二位日本で何回も大成功した実例を紹介し、
このメカニズムを詳細に分析しています。


逆にEU型間接税制で、消費税を大増税して高度経済成長と失業率大改善の同時達成
に成功した成熟経済大国の成功実例は皆無であり、消費税率を上げて個人消費と設備
投資を規制強化すると、景気は後退し、失業率は悪化し税収は増加出来ません。

消費税制では何故そうなるかについて解説しています。さて日本独特の消費慣行から、
消費税制の副作用は極端に出るので日本が消費税制に固執し、財政赤字をタレ流せば
財政は破綻し莫大な国債が残り必ず政治責任が発生します。

この税制改革理論は国家を誠実で正直な国民を要素部分とする全体、つまりシステ
ムと考え国民性に合致する国家システムで強力に経済成長させる手法を解説します。

◆この税制改革理論の結論の要約 吉越勝之
http://www.geocities.jp/mirai200107/p0.html

◆日本は戦前、マスコミ、政治家、官僚の広めた理念観念を礼賛し、武力によって膨大
な国土を獲得したが、7000万人の国民を食べさせることも困難な大不況の国家だ
ったのです。

ところが敗戦の昭和20年に「焼け野原の国富ゼロ」から出発し、日本固有の領土に
大幅縮小されたのに、国民と国家の「考え方」と「システム」を、「個人消費を課税
規制せず、逆に増進しながら徴税する自由と平等思想の高累進所得課税の税制改革」
によって、平成元年までに、何と1億2000万人の国民が食うに困らない「無から
有の年平均74兆円の国富を生み出し43年間でビルが林立する、国富3190兆円
増(経済企画庁発表)の国民が豊かに暮らすことが出来る国家」へ成長したのです。

ところが平成元年、個人消費を課税規制して個人消費を抑圧しながら徴税する間接税
中心税制へ大転換し、更に所得税の累進を弱体化させた税制改革以降、年々国富は減
少し、平成14年度の国富は2799兆円と確定発表されており、この14年間の国
富は391兆円減であり、年平均減少額はマイナス28兆円にもなるのです。

本論文は「経済は神の手ではなく人間が営むもので、人間の手で改悪も改善もできる」
のであり、分析の結果、経済不況が継続している原因は「平成元年の税制改革」にあ
ったことを後述の通り明らかにし、その改善方法を解説したものです。

さて「個人消費+設備投資=国民所得」の経済公式があり、更に設備投資の増減は、
個人消費の増減に正比例する重要な性質がありますので、結果として市場経済では個
人消費の増減が国民所得の増減を決定する、基本的な経済構造になっているのです。

所得税は所得を課税して規制する税ですが、所得は他人から稼得する性格から、他人
の意志決定で増加するため、本人所得に直接課税規制する方法は、他人の意志決定を
課税抑圧することにならず、ましてや本人の意欲と意志と全く無関係に増加するので、
直接税制の大きな利点は、所得増加の意欲と意志の人間行動を全く規制抑圧しないと
いう点なのです。

しかも「個々の所得を累進課税で累進強化すればするほど、消費性向が低い高額所得
者から、より多い税収を得、国家の基本的機能の一つである所得再配分機能が自動的
に作動し、国家財政は、公務員や公共事業や建設事業従事者等の中低所得者層の人件
費に使用され、低所得者層ほど個人消費性向が極めて高い事実から、国家全体の消費
性向は徐々に高まり、個人消費が増加し、比例して設備投資も増加し、個人消費と設
備投資の両者から等価変換される国家全体の国民所得は急速に向上するのです。

所得税の累進構造は個別の所得を課税規制し、国家税収を増収しながら、経済成長を
達成する巧妙なシステムを内在していたのです。

それに引き換え、消費税は、本人の意欲と意志で増殖する個人消費を、本人に直接課
税し個人消費増加の意志決定を抑圧して税収を得る、抑圧的なシステムであり個人消
費の増加そのものが抑圧され、設備投資も減少し国民所得も税収も停滞後退するので
す。

個人消費過少、貯蓄過多の日本人の国民性において経済成長と財政再建を同時達成す
るには、平成元年の間接税制への大転換は経済的合理性と科学性が全く無い税制改革
だったのです。

◆さて企業の生産設備が超進化しロボットが大量生産を行っても、国民総生産(GNP)
としては全く計算されないのです。

それを人間が現実にカネを支払い「個人消費した瞬間」に始めて国民総生産として計
算され把握されるのです。

この経済の仕組みの深い意味と個人消費を維持増強する経済システムの重要性を、ま
ず理解しなければなりません。

つまり個人消費は人間しか行なわず、どんなに機械化し生産性を挙げても、機械は絶
対に個人消費は出来ず、更に当たり前のことですが、世界最強の企業や最強の国家と
いえども現実に個人消費をするのは人間であるという現実は変えられないのです。
しかも人間は所得が順調に増加しないと継続して良好な個人消費が絶対に出来ない原
則があるのです。

更に進化システム(後段詳述)の科学技術の発達によって民間の生産力増強は、需要
さえあれば民間自身で可能なので、「国家は科学技術振興策より国家自身の責務とし
て国内個人消費を規制抑圧せず、更に財政再建のため増税しながら国家全体の個人消
費の増強効果を発揮する税制改革の実現」こそが重要なのです。

イギリスの大経済学者ケインズの言うとおり、個人消費こそ国民所得を増加させ国民
全体に国富をもたらすからです。

結局、経済成長は「消費の意欲」を規制抑圧しない税制改革が大切であり、資本主義
の間接金融国家日本では、設備投資や個人消費の増加意欲が強ければ、「国内総生産
と総需要の増加」の不足資金を賄うために「自己資金を活用する以外に国内民間銀行
の貸出総残高の増加」という形で現実のおカネの増加流通をもたらし、市場経済は経
済成長していくのです。

逆に「個人消費意欲を課税で規制抑圧する税制改革をすると」それに応じて国内資金
が国内消費や国内設備投資へ向かわず、国民所得は減少後退し、退蔵預金として固定
化し滞留し、国内資金の回転率が悪化し、更に海外投資や不正資金の逃避などで海外
へ流出して、経済成長は停滞、後退するのです。

結局進化システムの資本主義経済においては「お客様は神様であり」言葉を変えると
「個人消費は神様仏様である」のです。

◆次に国家の全租税収入は国民所得の一定割合であり、租税負担率を引き上げることな
く租税収入を増やすには結局の所、個人消費+設備投資(=国民所得)を増やす以外、
つまり経済成長を実現する以外方法はないのです。

日本経済の最大の問題点は、国民所得が連年低下状況であり経済成長どころか後退し
ています。

本論文では一貫して税制は、人間行動の意欲と意志への自然な動機付け手段であり、
個人消費+設備投資=国民所得の増加方法つまり経済成長に役立つ、強力な税制改革
を述べています。

「戦前の戦陣訓と同じく」知識人が頭の中で考えた「公平、中立、簡素」などの「言
葉の羅列による強制」では、人間文化の発展である意欲と意志で成り立つ資本主義の
成長発展には何の意味も為さず、経済成長に全く役に立たず害悪ですらあるのです。

大事なことは一台1000万円するベンツを年間10台買える消費者5人と一台一万
円する自転車を年間一台しか買えない消費者95人が存在する、国民所得5億95万
円の国家よりも、一台1000万円するベンツを年間3台買える消費者3人と、一台
450万円するクラウンを年間2台買える消費者33人と、一台180万円するカロ
ーラを年間1台買える消費者62人と、一台一万円する自転車を年一台しか買えない
消費者が2人存在する国民所得4億9862万円の国家の方が国家全体の国民所得が
ほぼ同一でも、国産自動車メーカーのトヨタ自動車が存在しうる存立基盤が国家内に
確保されるのです。

結局のところ資本主義の成長発展は、貧富の格差があまり無く中流意識を持った豊か
な消費者を、如何に多数作るかの、国民所得の増殖創出システムと、配分システムが
全てなのです。

したがって、市場経済の資本主義における問題解決方法は「人間の過剰性の本能(150参照)」と「個人消費の進化システム性」と「国民の所得階層別の消費性向の
事実(別表P4参照)」について科学的に理解することが最重要なのです。

◆更に付け加えれば、購買力平価へ近づけなければならない為替相場において、わずか
年間15兆円の貿易収支の黒字を得るために国家が推し進めた継続的な輸出振興策に
よる「異常な円高により」国内企業の見かけ上の人件費を高騰させ、国内の設備投資
環境を破壊し資本収支を14−15兆円の赤字とした上、国内外企業の対等で平等な
価格競争を破壊し、外国企業との仕事の奪い合いで国内人件費比率の高い産業は常に
国際競争で敗退を続け、結果として死に物狂いの生き残り競争により「単価・粗利益
率が継続的に減少」し、結果として国家経済と産業構造に大きな痛手となっているの
です。

国家全体をコントロールしなければならない、指導層が「自由貿易体制」を隠れ蓑に、
国家経営層の重大な責務である「貿易収支の均衡と資本収支の均衡がもたらす管理の
利益」を放棄しているために、起きている膨大な悲劇なのです。

根本的に年間500兆円以上の国内個人消費+設備投資の継続的で持続的な増殖を図
り続けることが、日本国の産業構造をゆがめず、アメリカ経済にも中国経済にも頼ら
ず、日本独自の力で経済成長を継続できる、真に日本経済の利益になるのです。

さて現状の最悪な税制の組み合わせを、昭和天皇の崩御の一週間前の昭和63年12
月30日法律107号として、急いで「税制改革法」として強行成立し、その「第4
条第一項」に、今次の税制改革は、所得課税において税負担の公平の確保を図るため
の措置を講ずるとともに、税体系全体として税負担の公平を資するため、「所得課税
を軽減し」「消費に広く薄く負担を求め」「資産に対する負担を適正化すること」等
により、「国民が公平感を持って納税し得る税体系の構築を目指して行なわれるもの
とする」と強制規定し、この税制改革が国民の幸福や福祉の向上に役立つ明確な証拠
も理論も実績も無いのに、如何にも、もっともらしい目的らしきものを掲げ法文化し
てしまったのです。

結局この条文によって現状の日本経済は最悪の事態に追いこまれた上「日本の税制改
革の方向性が固定的、観念的な税制イデオロギーに支配される結果」をもたらし、強
い経済規模縮小作用と税収減少作用を持つ税制を強制的に経済の中核システムへ持ち
込み財政再建が絶対不可能なレベルにしてしまったのです。

これこそが昭和天皇が奇襲攻撃に強く反対していた太平洋戦争開始時の状況と全く同
一の「日本のマスコミや国会議員や官僚等による事実を確かめないまま思い込みによ
る最悪の選択」だったのです。

この不幸の生い立ちと、誤った目的意識を掲げた平成元年の消費税導入の税制改革が、
国民へ絶対に幸福をもたらすことは無いのです。

この状況を根本的に改善するためには、まずこの税制改革法第4条第一項の税制改革
の目的を、観念的、信念的な税制イデオロギーから解き放ち「税制改革は憲法で規定
している国民の幸福と福祉の向上と資本主義経済の発展に役立つものでなくてはなら
ない」と、当たり前の税制改革の原則的な目的を再確認する本来の方式へ大改正する
ことです。

目的錯誤の法律は百害あって一利なしであり、政策立案者がフリーハンドの思考で経
済成長と税収増加と国民の福祉向上へ同時に役に立つ政策立案の強い障害になるだけ
だからです。

そのためには、まず全く誤った結論を法律化した「現行税制改革法の抜本的な改正」
が必要です。

一国の総理大臣が自分の任期中は消費税増税をせず、広く議論すべきと宣言している、
今こそ「日本経済にとって何が経済成長にとって役立つ税制なのか、何を規制緩和し、
何を規制強化すべきか、」事実を元に真実を再研究する最後の機会になると思います。

◆さて「経済成長とは」「科学技術の無限の進歩」により、絶え間なく上昇する労働生
産性を吸収して、企業売上を増加させ「全国民へ働く職場を提供し、資本や税収や、
国民所得を増加させるため」「個人消費(第三者へ所得を与える利他的行為)の持つ
無限の増殖性」を活用した、進化システム技術を言うのです。

分かりやすく表現すれば「経済成長とは」後述の通り「人間文化そのものである個人
消費の種類、質、量の増殖」の貨幣経済的表現なのです。

さて日米の全税制史を調べると「1925年米国は所得獲得者や資産所有者を優遇す
ることが正しい選択であると誤解し、税制は景気に無関係であると誤解し、当時50
−73%の高累進所得税率で好景気を謳歌していたのに、25%へ低下させる所得規
制緩和策を実施し、4年間継続した結果、1929年に株価大暴落に続く世界大恐慌
を引き起こしたのです」。

3年後に最高所得税率を25%から、63−>92%へ劇的に累進増税し所得規制強
化し「米国はわずか6年間で失業率の悪化を食い止めバブル崩壊前の国家税収を完全
に回復して、本格的景気回復軌道」へ載せたのですが、アメリカでさえ本論文の理論
は認識されておらず、このアメリカの増税策はやむをえず取られた政策と評価され、
50年後の大規模財政赤字を発生させたレーガン政権や現在の子ブッシュ政権の大減
税政策の強行でも明らかです。

しかしレーガン政権後のクリントン政権が場当たり的で失敗すると批判された累進所
得税等の増税政策で、本分析通り見事に本格的経済成長と財政再建の同時達成に大成
功したのです。

これに対して日本の平成2年初からのバブル崩壊は税制を、最高所得税率75%―>
50%へ所得規制緩和し、更にアメリカが採用したことの無い3%のヨーロッパ型付
加価値消費税を導入し個人消費へ規制強化したことが「原因」であるのに、バブル崩
壊後、景気が完全回復していない、平成10年には、更に最高所得税率を50−>3
7%へ所得規制緩和し、更に消費税率を5%へ個人消費規制強化したため、日本経済
を更に最悪の経済環境へ陥れ、結果として、日本経済は泥沼に陥り国家税収は更に大
幅減少し「バブル崩壊後15年も経過してるのにバブル前の税収に遠く及ばず」若者
の実質的失業率は最悪化し、多くの結婚も出来ない経済状況の若者を多数出現させ、
合計特殊出生率はますます悪化し、年金問題はますます解決困難に向かい、日本民族
は消滅の未来に向かっているのです。

では、なぜ税制が、このように強力な効果を持つのかを分析し研究した結果が本論文
であり、「この税制改革理論の結論の要約」と「別表日米90年間の年度別税率と経
済」「日米と主要経済大国を基礎データーで比較」だけでも読み進めば「税制が持つ
誰でも理解できる簡単で巧妙な原理と、もたらされる結果のデーターに、びっくりさ
れると思います。」    

従来の税制改革論議は税制が経済的に中立を装うという市場経済を無視した、大きな
誤りがありますので、市場経済に適応した、資本主義の本家であるアメリカの税制と
日本の高度経済成長期の税制を基礎に、新たな税制改革理論を打ち立て、自立してア
メリカと対等に強力に経済競争しながら、地球環境へ適応して日本国が発展していく
「第二の明治維新」を目指さなければなりません。


◆さて人間の過剰性を悪く解釈するだけでは人間性の否定につながり、まして輸出に課
税せず内需と輸入のみを課税するのは「対等な平等競争ではなく」その国の不平等な
反人間的論理なのです。

国家コストを消費税という税制で、自国民に役立つために生産された内需商品と、輸
入商品のみに課税転嫁して自国民のみ負担させ、自国で作り出された輸出という自国
民に全く役立たない輸出商品の国家コストを、輸出相手国に全く負担させない偏った
性格を持つ間接税なのです。

それに比較して所得税等の直接税は国家コストである税金を、商品価格に転嫁して自
国民の作り出した価値にすべてに平等課税し、内需商品、輸出商品、輸入商品に関わ
らず、商品価格に混入させ国家コストを自国民へ役立つ内需、輸入商品については自
国民へ負担させ、他国民へ役立つ輸出商品については輸出相手国に負担させる「自国
民にも他国民にも国家コストを経済的に対等で平等に割り振り負担させる税制」なの
です。

さて競争の中で「何を規制すべきで何を規制すべきでないか判断するのが政治」なの
です。

本論では同時に、この税制改革理論で主張している政治改革が実現出来れば、「人間
の本質が進化と生き残り本能」である以上「地球環境をこれ以上悪化させず人類が生
き残る方向」へ、自動的に経済成長が進むことを確信しています。

なんとなれば膨大な数の人間は五感で生き残りの方向を本能的に判断するセンサーを、
動物として保持しているからであります。

現に経済成長につれ膨大な数の国民は医療、環境保護、社会福祉、エネルギーなどへ
の関心が高っていることをご理解頂けると思います。

◆さて成熟経済では、なぜ個人消費規制緩和の消費税廃止や、所得規制強化の直接税の
累進増税で強力な経済成長を達成し、経済問題を根本的に解決できるのでしょうか。

(任意行動)少数ですが、自ら所得獲得額の調整ができる企業経営に携わる人たちや、
寄付を多額にする利他的意識の強い人たちかいます。
所得が多いと税を多額に納付しなければならず過剰に所得を取りすぎるのを控える行
動が生じます。
これが「直接税の所得規制のインセンティブ(動機付け)効果」なのです。

これは強力なオスライオンでも満腹になったら順位の低いライオンにエサを譲る「畜
生でさえ遵守している大自然の掟である自然界の無意識の利他的ルール」と同一なの
です。

これによって力の弱いライオンや他の動物も生き残り自然は豊かに繁栄できるのです。
逆に人間社会の強者の所得独占行為は、大自然のルールでは極めて不自然な行為なの
です。

結局その人が満腹で放棄した所得は「任意の自由意志で中低所得者への所得配分」さ
れ、より所得の低い人が生き残り、新たな個人消費が発生する経済の無限連鎖が確立
し、これによって消費性向の高い中低所得者から、更に多くの所得の原資となる個人
消費の自己増殖が得られ、等価変換される国民所得の向上に寄与し、強者は更に所得
獲得チャンスが増加し、且つ中低所得者が生き残れて増殖できるので、将来中低所得
者から優れた人材を突然変異と競争で得られる機会が増加し社会を進化発展させる共
存共栄の利益を得るのです。

つまりライオン(高額所得者の所得)を増やすには下層の草食動物、更に下層の植物
層(個人消費)を増やさなくては、ライオン自身増殖できないのです。

(強制行動)直接税の税率が高くても、自分で所得や資産を全て獲得したい人は多額
の税を支払うことなり消費性向の低い高額所得者から得た税収は国家によって公務員
の給与や、公共事業を通じて、ほぼ全額中低所得者層に配分されることとなります。
これが「直接税の強制的な中低所得者への所得配分のシステム効果」なのです。
これを適正担保するため「納税者番号制はアメリカと同じく絶対に必要」なのです。

(結果)個人消費は強力な自己増殖性を発揮する進化システムであり消費税での課税
強化は悪影響が生じますが、直接税は全く個人消費を課税規制しないので、大幅増税
しても進化システム効果は自然に充分に発揮されます。

更に中低所得者の消費性向はきわめて高く、常に上の階層の消費を目指し個人消費の
増殖能力も高いので、任意や強制により中低所得者へ配分された所得は、結果として
中低所得者の個人消費を通じ国家全体の消費性向を押し上げ、次の所得の源泉となる
個人消費が活発になり「設備投資を伴った本格的景気回復」が達成されるのです。

つまり所得税は個人消費と貯蓄への所得の使い道に平等に課税する結果をもたらし、
消費税は所得の使い道のうち個人消費のみを課税し、貯蓄を非課税にするため個人消
費を最小限にして貯蓄へより多く回す、不自然な経済行動を取らせてしまうのです。

つまり所得税の他に消費税を導入するということは結果として個人消費に二重に課税
する結果になり個人消費への規制抑圧になって国民所得と経済成長が停滞します。

所得税は消費税と異なり、個人消費を直接課税抑圧せず、所得の使い道である個人消
費と貯蓄へ不平等競争条件も持ち込まず、更に販売現場へ販売抑制効果も持ち込まず、
更に高所得者層と中低所得者層の消費性向の違いを活用し、所得配分機能を持つ国家
を通じて高額所得者からの税収をより消費性向の高い中低所得者へ配分し国家全体の
消費性向を引き上げる強力なシステム効果を発揮します。

更に「所得税累進増税は所得の大幅増加をもたらし且つ所得の増加は税収の増加をも
たらす」ので「国家と国民の目的は同一」になり、国民所得を増加させると国民が喜
ぶ上、国家も税収増となるので、政治家と官僚は国民所得の向上つまり経済成長に本
気に取り組めるのです。

これも直接税のインセンティブ(動機付け)効果といいます。
これが「直接税の進化システム効果とシステム効果とインセンティブ(動機付け)効
果」の三位一体の効果なのです。

つまり直接税は税率を高くすればするほど、国民所得が向上し景気が良くなる上、税
収がドンドン増える便利な税金だったのです。

アメリカが世界大恐慌後の50年以上にわたり採用した高累進税制こそ、アメリカ資
本主義の基礎をしっかりと発展進化確立した税制なのです。
http://www.asyura2.com/0411/hasan37/msg/454.html


クリントン政権が本格的経済成長と財政再建の同時達成に大成功した理由 吉越勝之

進化システム税制と経済を再構築すること」を提案しているのです。
さてこの理論の「実証」として、1929年10月の株価大暴落はアメリカ税制史上、
直接税の最大の減税環境(最高所得税率25%)で発生したのであり、平成2年から
始まった日本の株価の大暴落も全く同様であり、直接税の大減税は景気回復の手法と
いう通説は全くの虚偽であり、景気悪化の原因そのものなのです。
その後この世界大恐慌を回復させ資本主義を発展させた、レーガン政権誕生までの、
50年間にわたる累進大増税政策(63−92%)と、その後の累進弱体化減税政策
のレーガン政権でもたらされた記録的な財政赤字を解消し、記録的な大成功をもたら
したクリントン政権の富裕層への直接税の累進増税政策と、日本の高度経済成長期の、
消費税無しの直接税の累進増税政策(国税のみで75%)を「手本に」「所得税等を
累進増税すると個人消費増強効果が強まるので素直に増税し」その分「個人消費の進
化システム機能を常時規制抑圧している消費税を完全撤廃し個人消費の自然な増加を
促進し」相乗効果で「500兆円以上の膨大な個人消費の種類・質・量の自己拡大を
図り財政負担無しに国民所得つまりパイの継続的拡大」を図る「経済の出発点」で
「経済再生の根本」である「個人消費を時代に応じて増殖する進化システム機能を自
由に発揮させ」豊かな内需環境を整備する税制改革を実行すべきです。
http://www.asyura2.com/0411/hasan37/msg/456.html


日米の全税制史を調べると「1925年米国は所得獲得者や資産所有者を優遇することが正しい選択であると誤解し、税制は景気に無関係であると誤解し、当時50−73%の高累進所得税率で好景気を謳歌していたのに、25%へ低下させる所得規制緩和策を実施し、4年間継続した結果、1929年に株価大暴落に続く世界大恐慌を引き起こしたのです」。

3年後に最高所得税率を25%から、63−>92%へ劇的に累進増税し所得規制強化し「米国はわずか6年間で失業率の悪化を食い止めバブル崩壊前の国家税収を完全に回復して、本格的景気回復軌道」へ載せたのですが、アメリカでさえ本論文の理論は認識されておらず、このアメリカの増税策はやむをえず取られた政策と評価され、50年後の大規模財政赤字を発生させたレーガン政権や現在の子ブッシュ政権の大減税政策の強行でも明らかです。

しかしレーガン政権後のクリントン政権が場当たり的で失敗すると批判された累進所得税等の増税政策で、本分析通り見事に本格的経済成長と財政再建の同時達成に大成功したのです。

これに対して日本の平成2年初からのバブル崩壊は税制を、最高所得税率75%―>50%へ所得規制緩和し、更にアメリカが採用したことの無い3%のヨーロッパ型付加価値消費税を導入し個人消費へ規制強化したことが「原因」であるのに、

バブル崩壊後、景気が完全回復していない、平成10年には、更に最高所得税率を50−>37%へ所得規制緩和し、更に消費税率を5%へ個人消費規制強化したため、日本経済を更に最悪の経済環境へ陥れ、

結果として、日本経済は泥沼に陥り国家税収は更に大幅減少し「バブル崩壊後15年も経過してるのにバブル前の税収に遠く及ばず」若者の実質的失業率は最悪化し、多くの結婚も出来ない経済状況の若者を多数出現させ、合計特殊出生率はますます悪化し、年金問題はますます解決困難に向かい、日本民族 は消滅の未来に向かっているのです。
http://www.asyura2.com/0411/hasan37/msg/456.html


10. 中川隆[6505] koaQ7Jey 2017年1月31日 13:13:51 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6959]

2017-01-31
トランプ大統領の「難民受け入れ停止」による混乱は序の口

ドナルド・トランプ政権が難民受け入れを停止して大きな波乱を呼んでいる。

アメリカは移民国家だったわけであり、移民を受け入れて成長するのがアメリカの大義であり誇りであった。そのため、それをバッサリと断ち切ったドナルド・トランプに対して、戸惑いと怒りが集中している状態だ。

しかし、トランプは選挙中からイスラム移民・難民に対しては厳しく対処すると言っていた。

難民受け入れ停止については大混乱を世界中にもたらしているが、特に驚きではない。

「これは私の選挙運動の中の大きな部分を占めていたものだ」とドナルド・トランプは改めてツイートしている。トランプは最初からイスラム教徒の入国には規制をかけると言い続けて来たのだ。

こうした動きを見ても分かる通り、すでにアメリカは「米国第一主義」に転換した。

それが成功するか失敗するかは別にして、ドナルド・トランプ政権は全力でアメリカを今までと違う方向に旋回し、大きな摩擦を世界中に与えることになるだろう。

トランプ大統領が入国制限をした7ヶ国とは?

昨日と今日はまるで同じ日に思える人もいるかもしれないが、2016年に種を撒かれた「反グローバリズム」の動きは、ヨーロッパでもアメリカでも加速している。

欧米のメディアはもちろんグローバル化推進主義であり、さらに言えばこの欧米のメディアの上に立っている多国籍企業もまたグローバル経済の推進者である。

そのため、保守主義であるドナルド・トランプに対しては、アメリカの名だたる企業がすべて現政権に反旗を翻している。

アメリカが誇るハイテク企業アップルも、「移民なしでアップルは存在しない」「多様性は私たちのチームをより強くする」と声明を出し、スターバックスもまた難民を一万人雇用すると宣言している。

また現在のマイクロソフトのCEOはサティア・ナデラだが、彼自身もインド系である。当然のように、移民規制には反対している。

アメリカの大手企業で、ドナルド・トランプに対して反対していない企業は恐らくないだろう。

すべての企業がグローバル化の名の元に、多くの移民・難民を低賃金で働かせてきたのだが、そのコスト削減の手法が吹き飛ぶのだから、懸念を感じない経営者はひとりもいないと言っても過言ではない。

メディアや多国籍企業のトランプ大統領の政策に対する激しい批判だけを聞いていると、あたかもトランプ大統領は何か大きな間違いをしているように見えるかもしれない。

では、実情はどうなのだろうか?

トランプ大統領が入国制限をしたのは、以下の7ヶ国のイスラム教徒たちである。

シリア、イラク、イラン、スーダン、リビア、ソマリア、イエメン。


相変わらず暴力まみれのシリア。シリアから難民が大量になだれ込んできたとき、誰がテロリストで誰がそうでないのかは、誰も判断できない。


冷静にこれらの国々を見れば何が分かるのか?

トランプ大統領は、これらの国々からテロリストがアメリカに流入してくる危険性を危惧している。私たちも、これらの国々の名前を見ているとある種の危機感を感じるはずだ。

グローバルメディアはこの7ヶ国の背景をまったく報道しようとせず、「トランプ大統領がイスラム教徒を入国制限した」という一点を強調して叫び回っている。

しかし、冷静にこれらの国々を見れば、すべてイスラムの超暴力集団ISIS(イスラム国)のテロリストどもがうごめいている中心地であるというのが分かる。

ISISは今も「憤怒の中で自決しろ!」というアブ・ムハンマド・アル・アドナニのテロ決起の叫びを全世界にばらまき、イラクでは今も激しい見せしめの処刑を次々と行っている残虐組織である。

(誰も気付かない間に、暴力のグローバル化がやって来ていた)
http://www.bllackz.com/?m=c&c=20150128T1956290900


こうした危険なテロリストがシリア、イラク、スーダン、リビア、ソマリア、イエメンの7ヶ国に散らばって存在している。そして実際に彼らが難民を装ってEU(欧州連合)になだれ込んで次々とテロを引き起こしているのである。

トランプ大統領は別にイスラム教徒全員を入国禁止にしたのではなく、実際にテロリストが紛れ込む可能性の高い7ヶ国を3ヶ月という限定付きで入国規制したのだ。

これはアメリカ人に対して、良いことなのか悪いことなのか。アメリカを安全にしたのか、それとも危険にしたのか。

「テロリストが入らないようにした」というのだから、アメリカは安全になったのだと見ることもできる。

もちろん、すでに国内には大量のイスラム移民・難民が入り込んでおり、彼らがISISの思想に感化されて国内テロを引き起こす可能性はゼロではない。

しかし、少なくとも外側から入ってくる凄まじく危険なテロリストを水際で防止する措置をトランプ大統領は取った。

こうした側面を無視して「トランプ大統領がイスラム教徒を入国制限した」とだけ叫び回るのは、グローバルメディアの欺瞞でもある。


イラクで起きている爆破テロはもうニュースにもならないが、もしこれがアメリカだったら、アメリカ人はテロリストに無関心でいられるだろうか。少なくとも外側から入ってくる凄まじく危険なテロリストを水際で防止する措置をトランプ大統領は取った。


暴力は秩序と治安が崩壊したときに生まれる

ドナルド・トランプのやり方は強引で、熟考と慎重さが足りない面がある。

さらに独断即決で、世論も含めて誰の意見も聞かないので、早晩このやり方は「早い段階」で大きな問題を引き起こすことになる。なぜ「早い段階」なのか。

何もしないでのらりくらりと権力の座にしがみついている指導者は何もしないから長持ちする。逆に仕事の早い実務者は仕事が急激に進むから、早い段階で問題が起きる。

トランプ大統領は間違いなく仕事が早い指導者だ。だから、大きな問題も早い段階で発生する。

そのため、2017年は大波乱の年になるのは間違いない。

何が問題を引き起こし、物事の結末がどっちに転ぶのか分からないので、私たちは今日は昨日の続きのような態度で2017年を見ていると大変なことになりそうだ。

状況はクルクルと変わると思って間違いない。

では、状況はどちらに向かうのだろう。グローバル化による「ヒト・モノ・カネ」の自由化がもたらした結果として貧困が拡大した。

さらに多文化共生を進めたことによって逆に多文化対立となって憎悪と暴力が吹き荒れるようになった。この2016年までの時代は、ドナルド・トランプの登場で変わるのか。

「暴力の時代」はグローバル化がもたらした結果だが、では反グローバル化の巻き返しが起きたら暴力が沈静化するのかと言えばそうでもなさそうだ。

慎重に巻き返せば暴力は沈静化していった可能性もある。

しかし、トランプ大統領のように、あまりに早急かつ強引にグローバル化から保護主義に巻き返すと、大混乱が生じて逆に時代は混沌(カオス)と化してしまう。

暴力は秩序と治安が崩壊したときに生まれる。グローバル化を巻き返すにもやり方を間違えると秩序と治安が崩壊して、もっとひどい暴力が誕生することになる。

ドナルド・トランプは成功するのか失敗するのか。アメリカを復活させた偉大な大統領になるのか、それともアメリカを崩壊させた最悪の大統領になるのか……。

あなたは、どう思うだろう?


スーダンもまたテロリストまみれの国だ。子供なら大丈夫なのか。子供もまた兵士として銃を持って殺戮に加担させられている。アフリカや中東の暴力は私たちの想像を絶するものがある。
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20170131T0223540900.html


11. 中川隆[6506] koaQ7Jey 2017年1月31日 13:19:22 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6960]

経済コラムマガジン 17/1/30(924号)


そんなに変ではないトランプ大統領


•アメリカ・ファーストは当たり前

トランプ大統領の就任を受け、連日メディアは色々な分析と解説を行っている。しかしこれらに対し総じて混乱しているという印象を筆者は持つ。これもトランプという人物が極めて独特なパーソナリティーの持ち主ということが影響している。しかし大統領が変わり者であっても、米国が今後どのように動いて行くのか見極めることは重要である。

まず世界的に大きなショックを与えているのが「アメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)」という表現である。しかしこれを「国益」と解釈するなら、トランプ発言はそんなに異常ではないと筆者には感じられる。むしろどの国の政治家も国益を第一に考えることは望ましいことであろう。ただ露骨に「アメリカ・ファースト」ばかりで、他国への配慮が全くなかった大統領就任演説に「品」がなかったのは事実である。


「アメリカ・ファースト」に関連し、トランプ大統領は米国の貿易赤字を雇用喪失の原因として問題にしている。この理屈が正しいかどうかを別にして、たしかにオバマ大領領を含め米国の毎年の大きな貿易赤字を問題にしない大統領が続いて来た。むしろこちらの方が異常なことであった。ただし対日だけは例外で、30年以上前、対日貿易赤字が政治的な大問題になったことがあった(その後、急激な円高や自動車メーカの工場移転などによってかなり是正された)。ところが不思議なことに近年の米国の大きな対中貿易赤字に対しては、ほとんど対策が施されてこなかったのである。

トランプ大統領が問題にする中国の為替操作が活発になったのは、

05/8/1(第400号)「中国の為替戦略」
http://www.adpweb.com/eco/eco400.html


の表で示したように94年からで、20年以上も前の話である。また購買力平価と著しく乖離した異常な人民元安を本誌が大問題と初めて取上げたのが

01/5/28(第209号)「中国との通商問題」
http://www.adpweb.com/eco/eco209.html


であり、これも15年以上も前の話である。たしかにこれまで人民元安は米政界でも時たま問題になったが、どう言う訳か対応策はいつも腰砕けとなっていた。これに関し筆者は

10/11/8(第638号)「米政府に対するロビー活動」
http://www.adpweb.com/eco/eco638.html


で述べたように、ずっと米政界への中国や多国籍企業のロビー活動を疑ってきた。


中国の軍拡など覇権主義的行動の経済的裏付けとなっているのが、毎年続く膨大な貿易黒字であると筆者は認識している。ある意味では、今日の異形な中国を育てたのは中国製品を野方図に輸入し続けてきた米国などであると筆者は思っている。同盟国である日本の対米黒字をあれだけ問題にした米国が、中国の巨額の対米黒字に何ら有効な手を打ってこなかったのである。

しかし中国に対して甘かったのは、民主党だけでなく共和党の政権下でも見られた共通の現象である。トランプ大統領がこのような「ワシントン」を目の敵にするのもなんとなく分る。


トランプ大統領は中国だけでなく、日本など他の対米貿易黒字国も問題にしていると言う。要するに日本もトバッチリを受ける可能性があるという話である。これについてはまだはっきりしないが、来週号で取上げるが日本はうまく対応すべきとしか言えない。

たしかに習近平主席と親しい元オハイオ州知事が中国大使になり、また中国に近いキッシンジャー氏がトランプ大統領に盛んに接近しているという話がある。最悪のケース、日本が梯子を外されるのではないかという観測まである。しかしこの可能性は小さいと筆者は感じるが、まだ確かなことは言えない。

このように先が読みにくいのがトランプ政権の特徴である。筆者は、このような状況に到っては「全体の底流に流ているもの」を掴む他はないと考える。米国の巨額の貿易赤字問題もその一つである。

•シェール革命を踏まえた政策

筆者の「全体の底流に流ているもの」とは長期的な米国の国益や重要な政治課題と解釈してもらって良い。ここで米国にとっての国益や政治課題の歴史を簡単に振返ってみる。第二次大戦後の米国にとっての最大の政治課題は、共産主義勢力の拡大を防ぐことであった。ソ連との軍拡競争が始まり、朝鮮やベトナムでは代理戦争が起った。第二次大戦で敵国であった日本やドイツと同盟を結びソ連や中国といった共産勢力と対峙する冷戦が長く続いた。

しかし米ソは冷戦の膠着状態はソ連崩壊で一応終着し、米一強時代が始まった。しかし冷戦時代の終盤の頃からエネルギーの確保が新たに重要な政治課題として浮上した。第4次中東戦争を発端に73年にオイルショックが起り、一躍、石油が戦略物資として脚光を浴びることになったのである。ところが産油国である米国の原油産出量は頭打ちになり、米国は原油の輸入国に転落した。


石油の確保こそが米国の大きな政治課題となったのである。これ以降、米国の中東への関与が非常に大きくなった。90年のイラクのクウェートへの侵攻をきっかけに湾岸戦争が起った。当然、これは米国のエネルギー戦略の一環と考えられる。

03年のイラク戦争も石油の確保といった隠れた政治課題が背景にあったと筆者は睨んでいる。イラクにはいまだにコストがバーレル10ドル未満の原油が眠っていると信じられていた。

15/10/12(第863号)「安保法制改正の必要性」
http://www.adpweb.com/eco/eco863.html


で述べたように、特にブッシュ政権幹部には石油産業に関係が深い者が多かった。


ところがシェール革命によって、状況は一変した。シェールオイルとシェールガスの登場によって、米国は将来のエネルギーの確保に見通しがついたのである。近いうちに米国は石油の輸入国から輸出国に変わると見られる。もはや中東への軍事的関与の必要性がなくなったのである。

オバマ前大統領の「もう世界の警察官から降りる」発言の背景にもこのシェール革命が有ったと筆者は考える。トランプ大統領のイスラエルへの過度の肩入れもこの延長線上にある。以前のように中東の産油国の顔色を窺う必要がなくなったのである。

また石油が戦略物資の地位に駆け上がった背景には、石油供給のピークアウト説(30年で油田は涸れるという当時の常識)があった。ところがシェールオイルやオイルサンドの登場がこの構図を覆した。それどころか逆に石油需要のピークアウト説が囁かれ始めている。とうとうトランプ大統領は

15/2/9(第831号)「代替資源(非在来型資源)のインバクト」
http://www.adpweb.com/eco/eco831.html


で取上げた「キーストンXL」というパイプラインの建設に許可を出した(議会は賛成していたがオバマ大統領が環境保護団体の反対を受け許可を出さなかった案件)。このパイプラインはカナダのオイルサンドからの抽出油をメキシコ湾岸に送るものである。


トランプ大統領の言動は一見常軌を逸していると報道されている。しかしトランプ大統領の発言は、これまで説明して来たように今のところ状況の大きな変化を踏まえたものである。「一つの中国」論に対する疑義も同様であると筆者は捉えている。

大体、台湾と中国は別の国であり「一つの中国」なんて有り得ないことである。「一つの中国」論を飲んだのは米国がソ連との冷戦が激しくなり中国を取込もうと焦ったからである。そのため米中国交回復を行ったニクソン大統領とキッシンジャーは必要以上に中国に譲歩した。要するにニクソン政権は中国に足元を見られたのである。しかし冷戦が終わり、当然、「一つの中国」論も見直される必要があった。

ところが不思議なことに冷戦が終わったのにどの大統領もこの方針を変えることはなかった。筆者に言わせると、この「一つの中国」と「ドル高は米国の利益」という言葉は虚言・妄言の類である。これらにトランプ大統領が異議を唱えるのは、トランプ氏が「ワシントン」から遠い存在だからである。
http://www.adpweb.com/eco/


経済コラムマガジン 16/11/14(916号)

トランプ大統領誕生は良かった?


•支離滅裂のトランプ政策

米国の大統領選はトランプ氏の勝利で終わった。選挙戦直前、クリントン氏がやや有利という報道が多数出回り、日本の人々もそれを信じていた。また大半の人々にとって、トランプ氏よりクリントン氏の方がましという気持ちであったと推察される。それもあって選挙戦の重要ポイントであるオハイオ州をトランプ氏が取ったという報道が流れた瞬間、日本の市場は大混乱に陥った。円は急騰し、株価はプラスから大きなマイナスに転じた。

しかし同日の夜、欧米の市場が開くとアジア市場の混乱が嘘かと思われるほど落着いた動きとなった。むしろどちらが当選したかを別にして、大統領選という大きなイベントがとにかく終わったという安堵感が市場に流れたと思われる。


筆者もクリントン氏の当選をテーマに今週号を書くつもりでいた。しかしトランプ大統領ということになると、現段階ではあまり書く事はない。クリントン大統領なら中国に関連した事を取上げるつもりでいた。

たしかにクリントン氏は選挙演説を行っていても、聴衆の集りが非常に悪かったようである。やはりクリントン氏の個人的な人気が乏しかったと見られる。選挙の終盤には、大スターを次々と登場させ聴衆をなんとか動員していたのであろう。


トランプ大統領の政策はよく分らない。選挙中に訴えていた政策は整合性がなく支離滅裂である。経済政策の柱はインフラ投資と減税である。財源はとりあえず国債の発行ということになる。これを先取りして市場では、早くも長期債が売られ金利が上昇している。

またトランプ氏は選挙期間中、「FRBはむやみに低金利を維持しオバマ政権を助けている」と批難していた。またFRB理事の補充にタカ派(利上げに積極的)の者を任命するという観測が出ている。しかしインフラ投資と減税を実施するには、この金利上昇は大きな障害になる。


またトランプ氏は米国の製造業の復活を訴えていた。これに関して為替を安く操作している国として中国や日本をヤリ玉に挙げ批難していた。しかし中国の人民元が極端に購買力平価とかけ離れ極端に安かったのは数年前までの話である。昨今は人民元レートは適正レベルにかなり近付き、むしろ外貨流出を警戒し人民元安を牽制していたほどである。しかし輸出不振とトランプ登場で状況は一変し、大統領就任前まで人民元を操作し安くさせる方針に転換したようである(しかし外貨流出のリスク有り)。

また日本円が安かったことはたしかに過去に何度か(例えばレーガン時代など)あったが、昨今はほぼ購買力平価に近い水準であり特に問題はなかった。ところが上記の通り選挙後の金利上昇に伴い、むしろ米ドルだけが高くなっている。これも製造業復活というトランプ政策と矛盾する(さらに米ドルの独歩高となる別の要因が考えられるが、それについては後半に説明する)。


トランプ氏は経済成長率を3〜4%台と現在の倍にすると公約している。たしかにこれは不可能な数字ではない。しかし製造業の復活だけでこれを実現すると言っても無理である。米国の製造業は既にGDP比で10%程度まで縮小している。

メキシコに転出した工場を米国に戻すと言っても、相手があることだから簡単ではない。それどころかトランプ大統領が誕生した当日、これに当てつけるかのようにGMは2,000名のリストラを発表している。トランプ大統領の誕生で支援者は大喜びであるが、そもそも政権の基盤は決して強くない。


•あっと驚くような話

トランプ氏の経済政策の柱がインフラ投資と減税ということは正しい方向と筆者は考える。もしこれらにつけ加えるなら、米国も成熟化するのだから社会保障関連の支出も増やすべきと思う。これらの全てが日・米・欧にとって共通して必要な政策である。

問題は財源である。筆者は米国もヘリコプター・マネーの活用が良いと考える。容認できる物価上昇率の範囲内に収まる程度のヘリコプター・マネー政策である。しかしこれは日本と同様、政治的に簡単には実現しないと筆者は見ている。

次に単純な国債の増発が考えられるが、これには小さな政府を唱える共和党が簡単に賛成するとは思えない。

13/10/7(第772号)「消費税増税、次の焦点」
http://www.adpweb.com/eco/eco772.html


などで述べたように、そもそも米国政府の債務残高は法律で枠が設定されている。これを共和党がオバマ政権に対する政争の具に使い、12年末から13年にかけ「財政の崖」問題が起った。特に共和党は小さな政府を信奉するティーパーティ派を抱えている。彼等は減税には賛成するかもしれないが、国債発行によるインフラ投資なんてとんでもないと強く反発すると思われる。


ここで密かに囁かれているのがあっと驚くような話である。米大企業が海外で保有する留保金(埋蔵金)の活用である。米国内の法人税率が35%と高いので、米大企業は海外に巨額の留保金(一説では2兆5千ドル)を寝かしている。これついては本誌でも何回か取上げてきた(アップル社だけでも22兆円)。

そこで海外留保金を国内に還流させた場合、時限的にこれに対する法人税率を低くすると言うのである。実際、過去(2005年)にこれを実施したことがあり、この時には1兆ドルの海外留保金のうち3割が還流した。もし今回これを実施し4割の海外留保金が還流すれば1兆ドルとなる。これによって仮に税率を25%とすれば2,500億ドル(26兆円)の税収が得られる(筆者の勝手な試算)。


実はこの海外留保金を財源に使う案は、トランプ、クリントンの両候補が選挙中に言っていたことである。つまり実現性は高い。また米大企業の方も、この手の政策が将来実施されることを見越して海外留保金を積み増して来たきらいがある。

たしかにこの政策の具体的な形はまだはっきりしない。しかし筆者はこの政策が実施されるものと想定し色々と考えておく必要があると考える。また何となく市場もこれを織込んだ動きを最近始めたような気がする。


この政策で確実に影響があるのは為替である。仮に1兆ドルもの資金が米国内に還流すれば、単純にはかなりの米ドル独歩高となる。しかし税引後(税金が2,500億ドル)の7,500億ドルの資金の行方が問題になる。おそらく設備投資に回る資金は小さく、かなりの部分が預金や債券購入に充てられると筆者は見る。しかしこれは米金利を引下げるため米ドル安の要因となる。

つまり米ドル高要因と米ドル安要因の両方が発生する。しかしトータルでは米ドル高要因の方がかなり強いと見るのが適切であろう。つまりこの政策によって円安となると筆者は考える。実際、2005年にこの政策が実施され、102円で始まった円レートは年末には117円まで円安が進んだ。この年は年初からの半年くらいはダラダラとした円安傾向であったが、年の後半にははっきりと円安が進んだ。


しかしドル高・円安は、米国の製造業の復活を目指すトランプ政権にとって容認できないところである。おそらく次にトランプ大統領は、日本に強力な内需拡大策を迫って来ると筆者は見る。ましてや消費増税なんてとんでもない話である。

しかし内需拡大策は日本にとって好ましい政策である。これまでも日本には外圧を装って政策転換を行ってきたという歴史がある。今回は強烈な個性を持つトランプ大統領が相手という理由で、むしろ比較的スムーズに適切な政策への転換ができるのではないかと考える。もしこれをきっかけにヘリコプター・マネー政策が実現すれば万々歳である。今週は「現段階ではあまり書く事はない」から始めたが、こう考えるとトランプ大統領誕生はむしろ良かったと思うようになりつつある。
http://www.adpweb.com/eco/


12. 中川隆[6513] koaQ7Jey 2017年1月31日 21:50:59 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6967]

2017年1月30日
ヤクザと同じ手法で大企業に脅しをかけるトランプ新大統領と操られるメディア

 ひとはみんな予測可能性の高い社会を好ましいと思っています。今日が昨日と同じで、明日は今日と同じだと思うからこそ、安心して暮らすことができます。――「一寸先は闇」のような社会では、就職や結婚、子育てなどとうてい無理でしょう。

 ところが世の中には、それを逆手にとって、予測不可能性で優位に立とうとするひとたちがいます。典型的なのはヤクザで、彼らが時に暴力を躊躇しないのは感情に流されるからではなく、相手の予測を撹乱する冷徹な計算に基づいています。

 ヤクザが殺人を犯せば情状酌量の余地はほとんどなく、被害者が一般市民なら重罪として懲役20年や30年は覚悟しなければなりません。まともに考えればこんな割の悪いことをするはずはありませんが、それでもお金がからむとヤクザは暴力をちらつかせます。

 ヤクザのビジネスでは、かならずしも発言(恐喝)と行動(犯罪)を一致させる必要はありません。そんなことをすれば、組員の大半は刑務所に入ってしまうからです。しかしその一方で、相手に口先だけだとバレてしまえば、いくら脅してもなんの効果もないでしょう。

 そこでヤクザが利用するのが「不確実性」です。99%の確率でなにも起こらないが、1%の確率で殺されるかもしれないと思えば、生命はひとつしかないのですから、要求されたお金を払うのが合理的な判断になります。このようにしてヤクザは、暴力の行使による損失を最小限にしつつ、最大の恐喝効果を実現することができるのです。

 これと同じ手法を使うのが、第45代アメリカ大統領に就任したドナルド・トランプです。

「アメリカ・ファースト」のトランプが、メキシコに工場を建設する企業をTwitterで批判するだけで、フォードは工場の新設計画を撤退し、トヨタは今後5年で100億ドル(約1兆1000億円)の対米投資を発表しました。

 常識的に考えれば、合法的にビジネスする民間企業に対して政府が超法規的な報復措置をとることはできません。予測可能性の高い安定した経済環境を前提にこれまでの対米投資は行なわれてきたのですが、トランプは、米国市場から撤退する選択肢がない以上、これは罠にかかったのと同じだということを正確に理解しています。

「あいつはなにをするかわならない」という不穏なイメージさえつくりあげておけば、あとは140文字のTweetだけで相手は理不尽な要求を受け入れます。それによって米国内に工場がつくられ就業者数が増えれば、トランプの支持率は上がるでしょう。もちろんこんなやり方は長続きしませんが、これまでの遺産を食い潰して自分の利益に変えようとするなら、じゅうぶん効果的なのです。

 皮肉なのは、この「錬金術」を可能にしているのが、リベラルなメディアが行なう反トランプの報道の洪水だということです。ここでトランプは「なにをしでかすかわからない狂人」として描かれますが、こうしてつくりだされる不確実性こそがトランプの権力の源泉になっています。

 SNSという「自分メディア」を手にしたトランプは、もはや既存のメディアやセレブリティ、知識人の支持を求めてはいません。新大統領にとって世界は善と悪の対決で、彼がほんとうに必要としているのは、自分をモンスターとして描く“敵”なのです。
http://diamond.jp/articles/-/116099


13. 中川隆[6514] koaQ7Jey 2017年2月01日 07:55:32 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[6969]

2017.02.01
米主導の侵略戦争で発生した難民問題でEUは今でも混乱しているが、新たに米国も混乱の原因に


移民や難民が問題になっている。ドナルド・トランプ米大統領はそうした人びとのアメリカへの流入を規制しようとしているのだが、それをネオコンなど反トランプ派は「人権問題」だとして激しく批判、大統領の命令を無視したとして司法長官代理が解任される事態に発展した。これに対し、トランプ大統領はツイッターで、32万5000人のうち109名が引き留められて質問を受けただけであり、空港で生じた大きな問題の原因はデルタのコンピュータ、抗議活動、そしてシュマー上院議員の涙だとしている。

 バラク・オバマ政権の時代にはEUへ「難民」が殺到して大混乱になった。西側の有力メディアが大きく取り上げるようになったのは2015年9月。トルコ政府が難民のヨーロッパ行きを認めたことが引き金になったと言われている。その難民を生み出した最大の要因はアメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタール、イスラエルといった国々が始めたリビアやシリアに対する侵略戦争だ。

 西側メディアは海岸に横たわる3歳の子どもの遺体の写った画像を利用して難民受け入れをEUに迫った。この子どもが乗っていた船が沈没、溺死して遺体が流れ着いたとされたが、身体の位置が海岸線と垂直の方向になっていることから誰かによって置かれたのではないかとも指摘されていた。後の子どもの父親が難民の密航を助ける仕事をしていたという話も出てくる。ユーゴスタビア攻撃の前、1990年代に西側のメディアは侵略を正当かするために偽報道を続けてきた。これは本ブログで繰り返し、書いてきたことだ。

 この地域における違法難民の問題は2015年4月にECIPS(情報政策安全保障欧州センター)が警鐘を鳴らしていたが、西側の政府やメディアはそれを無視していた。このEUにおける難民問題は解決されていない。

 難民の中には戦闘訓練を受けたダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)の戦闘員が潜り込んでいるとする情報も流れていた。難民を送り出しているトルコはアル・カイダ系武装集団やダーイッシュの拠点があり、トルコ政府からの支援を受けていた。

 2005年7月8日付けのガーディアン紙でロビン・クック元英外相が明らかにしたように、「アル・カイダ」とはCIAから訓練を受けた「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル。1970年代の終盤にズビグネフ・ブレジンスキー国家安全保障担当補佐官(当時)が計画した秘密工作に基づいて編成された武装集団の戦闘員を供給するための仕組みとして作られた。

 ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラクはアメリカ軍やNATO軍が先制攻撃したが、イラクで行き詰まってしまう。そこで、オバマ大統領は自分の師匠にあたるブレジンスキーの手口を真似し、アル・カイダ系武装集団をリビアやシリアでは投入した。

 リビアではNATOとアル・カイダ系のLIFGの連携がうまくいったが、シリアでは失敗する。アル・カイダ系武装集団を危険視していたマーチン・デンプシー大将が統合参謀本部議長を辞めた5日後、2015年9月30日にロシア軍はシリア政府の要請を受けて空爆を始めた。デンプシーが議長を辞め、ロシアが空爆を始める直前に難民問題が急浮上したことになる。オバマ政府は難民の原因をシリア政府に押しつけ、軍事介入するつもりだった可能性もあるが、そうだったなら、ロシア軍の介入で難しくなった。

 移民や難民を利用して意に沿わない体制を揺さぶるのはネオコンの常套手段だと言えるだろう。当然、その中には自分たちが訓練した戦闘員が紛れ込んでいる。中東や北アフリカで侵略軍の末端で戦っている兵士はサウジアラビアなどの資金で雇われているのだが、兵士になる大きな理由のひとつは、アメリカによる破壊と殺戮で中東/北アフリカの経済が破綻したことにある。稼ごうと思ったら、戦闘員になるか国外へ移り住むしかない。そうした原因を作ったネオコンの後始末をトランプは押しつけられているとも言えるだろう。

 ちなみに、今回、入国を禁止された難民の出身国はシリア、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンというネオコンに破壊された国々。「テロリスト」の黒幕的な存在であるサウジアラビアが含まれていない。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201702010000/


14. 中川隆[6569] koaQ7Jey 2017年2月06日 17:11:29 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[7026]

あと2年。短期決戦を目論むトランプ大統領が繰り出す「10の戦術」=藤井まり子 2017年2月5日
http://www.mag2.com/p/money/32643

トランプ政権の経済政策の中身が明らかになってきましたが、想像以上に優秀なのでビックリです。外交政策や支持率アップのための減税など想定される10の戦術を解説します。

経済ニュースだけではわからない、トランプ新政権「10の戦術」

投資家はトランプ大統領の暴言を真に受けてはいけない

トランプ新大統領は、人格的に問題のある人物です。ですが、頭はすこぶる良い人らしいです。デキるビジネスマンによく見られる傾向ですが、「信頼できる人の意見やアドバイス」もよく聞くらしい。「間違えた!」と思えば、意地を張らずに軌道修正ができる人でもあるようです。

「ディール(=ビジネス上の取り引き)」を好み、通商政策においても安全保障や外交においても、先手必勝で相手の一番痛いところを突きながら、相手をびびらせ驚かせ、その後に「落としどろを探る」といった手法を好むようです。

もっと具体的に分かりやすく説明すると、不動産取引などで「市場価格6,000万円」くらいの物件を、その物件をとても欲しがっている顧客に向かっては、不動産会社は最初に「1億円」くらいの高値をふっかけ、まずはその「欲しがっている顧客」をびびらせてから交渉をはじめるといった、例の「あれ」です。その後で徐々に値引きして、最終的には落としどころ「8,000万円」くらいで決着する。そうすると、顧客も2,000万円くらいは相手に譲歩してもらって得をしたような錯覚を得られるし、不動産会社の方はまるまる2,000万円は丸儲けできるわけです。

ですから、通商政策においても、トランプはTPPなどの多国間交渉を嫌います。ディールを使って、アメリカに有利には運べないからです。というわけで、彼は2国間交渉をとても好むわけです。

トランプがEUを嫌う理由は、「EUが官僚主義に陥っていて、機動性をまるっきり失っていること」が一番の理由でしょう。ですが、それとともに、EU相手だと多国間交渉をしなければならない「じれったさ」がトランプにはあるからでしょう。

今後もトランプは、彼のメイン支持層(プア・ホワイト、白人低所得者層。特徴としてプロレスファンが多い)が喜ぶような「意味不明の罵詈雑言」をツイッター上では続けることでしょう。けれども、それは彼の本心ではないでしょう。「大衆向けのリップサービス」ですから、私たち投資家はこれらの暴言を真に受けてはいけません。


トランプの狙いは「短期決戦」だ。これから想定される10の戦術を解説

トランプの本心は、「瓢箪(ひょうたん)から駒」で大統領になったので、目下は「短期決戦」にあります。トランプ新政権の目下の目標(=本心)は、「2年後の中間選挙でも民主党に圧勝する」こと。射程距離、以外と短いですね!彼は、この短期決戦(短期戦略)に勝つためには、どんな手(戦術)でも使ってくることでしょう。

戦術1

まず第一の戦術は、イエレンFRBに金融引き締めを思いとどまってもらって、金融緩和を継続させること。そのための、日英米の三国通貨同盟(詳細はメルマガバックナンバー)だったわけですね。

戦術2

できることならば、財源をなんとか捻出して、財政刺激的な財政出動をいくばくか行なうこと。

戦術3

(戦術1と戦術2の結果)インフレ目標を3〜4%に引き上げて、株高・不動産高の中で、なんとか向こう2年くらいはアメリカの高圧経済を維持する。

高圧経済では、アメリカ経済の実質GDPの大きなトレンドは変わらないでしょうが、株高・不動産高が維持できれば、資産効果でいくばくかアメリカの実質経済成長率を高められるかもしれません。高圧経済を維持すれば、労働参加率を高めることで、労働のスラッグ(たるみ)を減らせる。そして支持率が上昇します。

高圧経済を維持して「労働参加率の上昇」「労働スラッグの解消」を「落としどころ」とすれば、イエレンFRBの協力(=金融緩和策への大転換)がとても得やすいでしょう。

戦術4

ミクロで自動車産業などに国内で超近代的な工場を造らせる。雇用創出効果はとても少ないけれども、象徴的な意味で、地方都市の人々の支持率は上がるでしょう。

戦術5

中小零細企業の設備投資を増やす。後述するように、今現在の中小零細企業は、企業減税には大歓迎で、彼らのセンチメントはすこぶる良い、彼らが設備投資意欲を高めてくれるならば、実質経済成長率の上昇は、いくばくか可能になるかもしれません。そのための企業減税と所得減税。

さらに走りながら、「支持率アップ」のための手段、大衆受けするような対策を次々と打ってくることでしょう。


怪物トランプ流「支持率アップ」のための戦術6〜8

戦術6

折しも、人気に陰りに見えてきた行き過ぎたグローバリゼーションの流れを、一見は保護主義的と誤解されそうな政策で、一旦は止めること。

グローバリゼーションが行き過ぎてしまって「産業の空洞化」に苦しんでいるのは、アメリカばかりではありません。あの中国でも、労働集約的な軽産業では、バングラデシュやカンボジア、ベトナムと言った国々に追い上げられて、苦しんでいるんですね。ユニクロの中国工場は、中国国内の人件費が高くなったので中国からは出て行って、これら中国周辺国に工場進出しているのは有名ですよね。

自動車・電気などの付加価値の高い産業では、超近代的な人工知能やロボットを全面導入した「異常に生産性の高い工場」を建設したならば、今は先進国のどこで生産しても、国際競争力は十分に維持できるんです。

戦術7

大衆受けするように、行き過ぎたマネーゲームの流れを止めること。すなわち、ドル高政策をしない。アンチ・ウォールストリート戦術です。

「強いドルは国益」のもとで推進してきた金融立国には、もう重点を置かない。すなわち、ウォールストリートに厳しい政策を行なう。大手投資銀行に厳しい金融政策を行なって、そのかわり、中小の地場の貯蓄銀行などが貸し付けを行ないやすいような「簡素で分かりやすい金融規制」を行なう。トランプ政権というか共和党議員たちの「金融規制緩和」の中身は、大手投資銀行にはとても厳しい内容になりそうです。大手投資銀行は従来よりマネーゲームがしにくくなるかもしれません。

その代わり、地方の弱小の貯蓄銀行(日本で言えば、信用金庫とか弱小の地銀などなど)は、今よりもっと簡単に住宅ローンを貸し付けられるようにするようです。

アメリカの「普通に人々」にとっては、持ち家(マイホーム)こそが貯蓄の柱です。オバマ政権時代には、金融規制が厳しくって、信用が低いせいで住宅ローンを借りられなかった人々が、これからは借りられるようになるようです。これは、教育ローンやオートローンにも言えることかもしれません(将来は、1980年代にアメリカで巻き起きたような不動産バブルが巻き起こって「貯蓄銀行危機」が起きることでしょう)。

戦術8

国境税を導入すること。

国境税は、共和党が長らく温めてきた保護主義と誤解されそうな政策です。今のアメリカ株式市場は、「国境税が実現するようだ!」と、マーケットがそれを保護主義的な政策と誤解して嫌って調整し始めると、すかさずトランプ新政権が「円安はけしからん!ユーロ安はけしからん!」との批判を繰り返して下落を食い止めようとしています。

国境税は、『アメリカの輸入品には20%の「国境税という関税のようなもの」をかけるけれど、アメリカからの輸出品に20%の「国境税という関税のようなもの」をかけない』とするシステムです。

「保護主義的な政策」と言うことで、この国境税をマスコミは激しく批判しています。ですが、実はアメリカ以外の国(ユーロ圏や日本)では、付加価値税や消費税といった間接税を使って、すでに国境税と同じようなことをしています。EUや日本でも行なっていることなのです。ですから、国境税を導入することで「アメリカの輸出産業は、やっと他の国と同じ土俵に立った」ということになります。

中間層、富裕層に取り入るための「減税」戦術9〜10

戦術9

国境税からの税収で、中間層に優しい大型減税を行なうこと。

国境税導入では、新しくアメリカの国庫はおよそ1兆ドルの税収増しになるようです。この1兆ドルを使って、共和党議会は、企業減税・得減税などを行なうつもりのようです。大型減税の規模は、大方の予想を遙かに下回る1兆ドルちょっとではないでしょうか?

企業減税は、35%から20%へ引き下げるようです。国境をまたいでグローバルに活躍する大企業の場合は、すでにいろいろな「国際税法上の抜け穴」を使って、実行税率は20%前後に下がっています。ですから、グローバル企業にとってはこの企業減税の恩恵はほとんどありません。

一方、中小零細企業にとっては、この企業減税はすこぶる恩恵があります。その結果、今現在のアメリカでは、中小零細企業とその従業員たちのセンチメントがすこぶる良いんですね。中小零細企業の設備投資意欲が強くなっているんです。

所得減税においては、富裕層や超富裕層の場合は、減税と同時に様々な複雑怪奇な控除対象の数々がほとんど「廃止」になるようです。ですから、彼らの実効税率には、変化はなし。所得減税の一番恩恵にあずかれるのは、ここ20年近く「忘れ去られて見捨てられていた」中間所得層です。

戦術10

超富裕層や富裕層への懐柔策も念入りに行うこと。

新大統領は、収入格差は是正しても資産格差は固定します。マスメディアはあまり報道しませんが、トランプ大統領も共和党議会も、「相続税の廃止」を予定しています。

これはなにを意味しているかと言えば、超富裕層や富裕層に向けて、「資産格差は固定するから、安心してください。あなたがグローバル化時代に営々と築いた財産を国は奪いません。『ストックとしての富』の『階級社会』は、国家が固定・保証します。そのかわり『フローとしての所得』面では、これからは中間層に手厚い税制に切り替えます。ここらあたりは富裕層も協力してください」という意味です。

その他の戦術

さて、国境税は実現すると、アメリカ国内の物価を押し上げます。1〜2年のタイムラグを伴って、アメリカ経済を「物価高が原因で起きる消費不振(いくばくかの経済失速)」に落とし込む可能性があります。こういった事態が起きた場合、中央銀行であるFRBが利下げを行なえば、経済は失速しません。

共和党議会が打ち出す「数々の規制緩和」は、2年から3年後あたりから、アメリカ経済の生産性を上昇させてアメリカ経済の繁栄を導き出す可能性はあります。

かくして、トランプ新政権の経済政策の中身が、徐々に明らかになってきました。トラ様、想像以上に優秀なのでビックリポンよ♪


15. 中川隆[6575] koaQ7Jey 2017年2月06日 23:24:06 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[7032]

逆説の日本復活論。「トランプの関税」は我が国を再びバブルに導くか=児島康孝 2017年2月5日
http://www.mag2.com/p/money/32625

トランプの保護主義で日本は大変だ!という見方が広がっています。しかし対米輸出関税で国内販売が伸び、内需が拡大する可能性も。かつてのバブル景気がこのパターンでした。

トランプは正しい。日本は今こそ自国の消費市場を拡大すべきだ

対米輸出で儲けているのはグローバル企業

対米輸出で儲けているのは、グローバル企業。内部留保を拡大しています。メディアの相次ぐ報道では、トランプ政権の保護主義で「日本は大変だ」という印象ですね。

しかし、よく考えてみて下さい。これまでの日本は良かったのかというと、良いことはなく、デフレや貧困化で大変だったわけです。例えば、仮に対米輸出の関税が増えたとして困るのは、グローバル企業の経営陣の報酬の不安、グローバル企業の内部留保の拡大ペースの鈍化です。

逆に、関税がかけられると、対米輸出よりも自国(日本)で販売する必要性が高くなり、日本の内需拡大の機運が高まります。1980年代の日本が好況からバブルへと進んだのが、こうしたパターンです。

トランプ政権、驚異の新政策

トランプ政権の新政策は、非常によく考えられています。

つまり、こういうことです。今後の米国民の雇用回復と所得向上で、景気が上昇する。これはよくあるパターンですね。しかし、これまでのアメリカでは、この次の段階から経常赤字と貿易赤字の拡大に悩まされます。好景気で米国民が商品を大量に購入すると…貿易赤字が拡大する。米国の購買力が強く、国際的に自由な市場であるためです。

しかし、トランプ政権の政策は、この問題にも対応しています。アメリカで販売する企業には、アメリカで雇用し、アメリカで生産してもらうということです。

つまり、外国の企業がアメリカで生産すれば輸入の必要性はなく、アメリカでつくられたものを購入すれば良いのです。こうすれば、景気が回復して需要が拡大しても、アメリカ「国産品」を購入することになり、貿易赤字は抑制されます。さらに、雇用面でもプラスですから、好循環は驚異的です。例えば、トヨタにしても、アメリカでつくってアメリカで売っていれば「ウエルカム」というわけです。


トランプ大統領は、メラニア夫人もスロベニア出身ですし、大統領の戦略政策フォーラムに加わることになったテスラCEOのイーロン・マスク氏は南アフリカ出身。最近の不法移民対策で多くの批判ニュースが流れていますが、トランプ大統領にとって出身地は関係ない=能力重視という考えです。
※アメリカの不法移民の数(人口)は現状でも1000万人以上といわれ、主にメキシコ国境から、中米各国からの越境が大量に続いていました。

内需拡大を促した前川リポート

さて、日本の話に戻りましょう。1986年、前川リポートは、当時の日銀総裁「前川春雄氏」を座長としてまとめられました。中曽根政権のもとで、対米輸出問題(経常黒字問題)への対応が必要となり、まとめられたものです。

この前川リポートの評価には賛否両論があり、バブルの原因をつくったとか、いいや内需に注目した良いリポートだとか、評価は様々です。内容的には、内需拡大(経常収支の均衡)を目的として、日本の住宅建設の促進、国民の所得の増加、輸入の拡大、金融市場の自由化などを提言しています。この前川リポートの内容および内需重視の考え方は、現在でも十分通用するでしょう。

反面、当時「ウサギ小屋」と世界から嘲笑されていた「日本の住宅問題」に過度に対応して、住宅建設に大きな配分を置いている印象です。考え方は評価できる一方、住宅・不動産投資への偏重は「問題あり」と思います。

その後の日本のバブルは、おそらく対米配慮的な「数合わせ」の必要から住宅・不動産投資に拍車がかかり、不動産バブルへと向かうことになったのでしょう。

ブラザ合意の時代背景と似ているトランプ政権の主張

前川リポートの前年の1985年には、プラザ合意(9月)で1ドル=240円付近から、1985年末には200円付近へと大幅に円高ドル安に誘導されました。

会場となったニューヨークのプラザホテルは、セントラルパークのすぐ南側(東南側)にあり、ホワイト系の色の外壁にエメラルドグリーンの屋根が美しい歴史的な建造物です。セントラルパークをめぐる馬車が、このあたりから出ています。また、5番街のトランプタワーへも、南側に歩けば数分。

前川リポートは、そのプラザ合意でもなかなか減らない日本の経常黒字の是正と、それぞれの先進国の内需拡大への努力を反映したものです。おそらく、トランプ政権の言い分は当時と似ていて、「アメリカの景気が回復しても“タダ乗り”しないでいただきたい」「商品を売りたければ、アメリカでつくるか、自国の内需を拡大して自国で売ってください」ということです。

一言でいえば、トランプ政権の経済政策は、アメリカの内需拡大策。雇用が回復すれば、それがさらに国民の消費を呼び、驚異的な景気の上昇もあり得ます。中間層の回復や国民の消費拡大は、景気効果が強いのです。

ところが、アメリカがそうしても、他の先進国が内需拡大努力をせずにアメリカ市場が良いからと対米輸出をすると、その国にアメリカの努力を吸い上げられてしまいます。自国の内需拡大をせずにアメリカ市場で安易に儲けようとする、こういう国は許されない。こういうことです。ですから日本も、アメリカが作り出したアメリカ市場に安易に頼ることがないよう、自国の内需拡大を求められるでしょう。

保護主義が話題になると、日本製品の方がいいから売れるのはあたり前、という話になりがちです。しかし、ではその消費市場は誰が(どの国が)どういう努力で作り上げたものでしょうか? これは、重要な問いかけです。

日本は、「自国の消費市場を拡大すべきだ」とアメリカに言われても、それはそのとおりとしか言いようがありません。


トランプ大統領の政策

トランプ大統領の政策は、雇用創出+減税+申請などの手続き簡素化。オーソドックスな、共和党の伝統的な景気浮揚策です。

雇用創出の側面は一見すると保護主義的に思えますが、減税や申請事務の簡素化などはオープン化です。減税し、めんどうな手続きを簡素化し、アメリカの景気浮揚と活性化を図る。こういう考え方です。

閣僚の布陣は重厚で、本格政権。正統派側のユダヤ人脈、米英協調など、安定政権の要素を兼ね備えています。

人件費の「ピンハネ」は許さない

これまでのアメリカでは、グローバル化や人権を大義名分にした、「人件費のピンハネ」が横行していました。例えば、NAFTAを「悪用」して、国境すぐのメキシコで安い人件費で雇い、輸出はアメリカ。

何も、メキシコが単に悪いというわけではありません。メキシコでアメリカ人と同等の人件費を払い、しっかり雇えば、まっとうな企業活動での国際化です。しかし、現実はどうかというと、アメリカ人より安いメキシコ人で雇用を代替するもので、実際は「人件費のピンハネ」というわけです。

また、不法移民の問題。これも不法移民をアメリカ人と同等の給与で雇えば、問題は拡大しなかったでしょう。現実は、不法移民という立場につけこみ、安く雇う。アメリカ人にとっては、賃金デフレと雇用の喪失です。「人権」を大義名分にして、アメリカ人の正規雇用が直接・間接的に置き代わり、人件費をピンハネしていたというわけです。

トランプ大統領は、こうした人件費のピンハネは許さないという政策です。対外的には、自国民を保護。

これまでは「グローバル化」「人権」という大義名分のもとで、実際は人件費のピンハネが横行し、オバマ政権はこれを放置していました。難しい経済理論を言っても、実際は「人件費のピンハネ」が横行していたわけです。

人件費のピンハネは、当初は企業収益の拡大を生みます。しかし、ゆくゆくは所得低下による消費の低迷で、国力の衰退につながります。いわゆる亡国政策です。アメリカの繁栄には、国民所得の向上、中間層の回復が不可欠なわけです。

国民所得の向上による消費拡大は、GDPにも好影響です。そして、GDPのパイが大きくなれば、それは軍事力、研究開発力、技術力にも余力が生まれ、軍事面で世界をリードする力を持つことになります。

大手メディアによる異常なトランプ・バッシングが続いていますが、NYダウが2万ドルを超えたのは、まだ序章に過ぎないでしょう。

超長期のコンドラチェフサイクルが上昇へと転換していることもあり、これまではリーマンショックで見たことがない安い株価が出現しましたが、今後は逆に、見たことがない高い株価が出現する可能性があります。


トランプ大統領は時代に選ばれた「適任者」とも言える

トランプ大統領は、大手メディアの異常なバッシングの中で、大統領選挙を勝ち抜きました。もちろん本人のタフさもありますが、一方で、時代の大きな変化の中で「適任者」として時代に選ばれたという側面もあります。

そういえば、大統領就任式のパレ─ドを歩いた、メラニア夫人(46歳)のファッションも、好況の1980年代風。その1980年ごろには、スウェーデンの男女4人組、ABBA(アバ)のダンシング・クイーン(1976年リリース)が流行していました。YOU CAN DANCE〜♪という歌詞が印象的ですが、まさにメラニア夫人は、スロベニア(当時:ユーゴスラビア)出身で1970年生まれ、ミラノ・パリ・NYでモデル活動をして米国籍を取得。ABBAのダンシング・クイーンの歌詞の「体現者」でもあるのです。

現状の各国の動きをみますと、大半はまだトランプ大統領を理解できないようですが、時代は大きく変化しています。さすがに英国は、常に戦勝国側にいた過去の歴史のとおり、変化への対応が早い。常勝であり、情報収集力が強いのを実感します。英国は諜報活動が強いので、はずさないということなのでしょう。


16. 中川隆[6634] koaQ7Jey 2017年2月11日 12:38:25 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[7094]

2017年02月11日
習近平に「謝罪外交」したトランプの腰抜けぶり

強そうに振る舞っていたが習近平との電話で簡単に謝罪した。
この男は信用できない。
引用:http://i2.cdn.cnn.com/cnnnext/dam/assets/161215111807-trump-xi-jinping-slipt-getty-live-video.jpg

腰抜けほど強そうに振る舞う?

2月8日に南シナ海で米海軍の哨戒機にKJ-200早期警戒機が異常接近し、新大統領になって始めての挑発行為が発生した。

2日後の2月10日にトランプと習近平は初の電話会談を行い、トランプは「一つの中国」を尊重すると伝えた。

トランプは就任前の12月2日に台湾の蔡英文総統と電話会談し、「米国は一つの中国には縛られない」と正反対の事をいっていた。

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要するにトランプは南シナ海の中国軍が挑発し、「アメリカが挑発を止めないと戦争になる」といういつもの中国の主張に対して、事実上謝罪した。

トランプは選挙中から中国を倒すとか色々言っていたのだが、中国から「ワン」と吼えられたら簡単に腹を見せて従う姿勢を見せた。

これで習近平とトランプの力関係は決定し、今後中国が主導権を握る事になるでしょう。


その見掛け倒しのライオン(トランプ)と会いに訪米しているのが安倍首相で、日米同盟の親密さを再確認したいとしている。

トランプ政権では中国に強硬策を取るという見方もあったが、最初の電話会談から子犬のように尻尾を振られては同盟相手としても不安がある。

日中対立していざ戦争という時になって、またトランプの腰が抜けて「中国に謝罪するから許してください」などと言い出したら、日本は両側から挟み撃ちにされてしまう。


強そうに振る舞うが、いざという時に手のひらを返す親分についていくと、子分は裏切られて孤立してしまいます。

メキシコ相手には居丈高に振る舞えるが、相手が中国だとおしっこちびって逃げ出す大統領では、日本としては信用できない。

その程度の相手なら、日本としてもその程度に相手をする必要が出てくる。

トランプはライオンか猫か

トランプはライオンか子猫かはもう少し様子を観察する必要があるが、今のところたてがみを生やした猫の可能性が高い。

安倍首相はトランプが所有するフロリダの別荘に招待され、ゴルフをしたり親交を深めるようです。

日本としてはトランプの口から直接、「尖閣諸島は日米安保に含まれる」という発言をどうしても引き出したい。


新政権の国防長官は既に「尖閣諸島は日米安保に含まれる」と発言しているが、新大統領が発言する事で中国をけん制できる。

日本が米軍から守ってもらうには「貢ぎ物」や「お土産」が必要なので、安倍首相からこうした発言が出てくるでしょう。

トランプがオバマから引き継いだアメリカ合衆国は、世界のあらゆる国から狙われています。


中国とロシアは隙あらばアメリカに代わる超大国にならんとしているし、ドイツもアメリカに代わる西側のリーダーになりたいと考えている。

北朝鮮とイランは核ミサイルを開発してアメリカと対等になろうとしているし、韓国やフィリピンも「アメリカより中国に従おう」と言っています。

日本は自民党政権が続く限り日米同盟に依存し、米軍の核の傘の中に居たいと考えている。


アメリカは中国とロシア、日本と中国のような隣国同士を競争させて有利な条件を引き出す外交を得意としています。

日本と日米安保を結ぶ一方で、中国と国交を結び常任理事国にしたことなどが代表例で、天秤に掛けて両方を操ります。

日米貿易摩擦が起きるとアメリカは中国に味方して「南京事件や中国侵略で日本は謝罪しなさい」と突然言い出すのです。


同じ事を日韓や日露、中露などでも行って、裏切ってはアメリカの利益になるようにもって行きます。

こういう事をするので日本はアメリカ一辺倒にはなれず、いつ裏切られても良いように、逃げ道を確保しておく必要があります。

トランプが「一緒に中国と戦おう」と言ったとしても、実は中国と密約があり、日本を売るかも知れないのです。
http://thutmose.blog.jp/archives/69257403.html


17. 2017年2月13日 11:31:13 : fjl2G9Zmro : eMcPigBWLHg[62]
中川隆様が、マルチコピペ投稿しても咎められないのは

正体が管理人さんだからですな。コピペ著作権料金くらいは

寄付金から支払って数年前に円満解決しているんでしょう。

愛国派の、元自衛隊将校の木村愛二先生や、TORA様

Ddog様が常連投稿者だった昔を懐かしんでも仕方ありません。


18. 中川隆[6766] koaQ7Jey 2017年2月17日 09:59:53 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[7227]

本当に大丈夫なのか? トランプ政権 2017年02月17日


表題はもちろんトランプ大統領の過激な言動や乱発する大統領令を心配しているわけではありません。トランプ政権の土台そのものが大丈夫なのか?という内容です。

 まず米国では大統領に属する行政権と、連邦議会に属する立法権が明確に区別されています。現在の連邦議会は上下院とも共和党が過半数を占めており、上下院共和党も「今のところ」トランプ大統領と大きく反目していません。ところがトランプ政権は連邦議会と政策協議する「以前」の状態なのです。

 閣僚(各省庁の長官)の議会承認は今週になってようやくムニューチン財務長官が承認され、15閣僚のうち9閣が承認されましたが、過去の政権では「とっくに」すべて承認されています。議会承認は上院だけで、定員100名(うち共和党が52名)の過半数を取ればいいだけですが、承認された各長官もほとんど過半数をわずかにこえただけです。

 さらにそれ以上大きな問題は各省庁で実務を取り仕切る幹部のうち、議会承認が必要な政治任用ポストが全部で693ありますが、先週末(2月10日)の段階で承認済みが8名、指名されて承認待ちも27名しかおらず、残り658のポストは指名すらされていません。

 2月10日の日米首脳会談で、懸念された通商・為替・金融で米国側から厳しい要求がなかったと安堵されていますが、単に米国側が実務の話ができる体制になっていなかっただけです。

 現時点におけるトランプ政権最大の問題点がこれで、大統領に属する行政権を行使しようにもその体制が全く出来上がっておらず、各省庁で実務が正式にスタートできるまで相当時間(3〜6か月?)がかかりそうです。そのうち各省庁の業務停滞により大混乱となるはずです。

 そこでトランプ大統領は各省庁の体制が整うまで大統領令の乱発で凌ぐしかありませんが、もう1つ「気になる兆候」があります。それは補佐官や特別顧問など大統領を直接補佐するホワイトハウス事務局に権限を集中させ「側近政治」にしてしまうことです。

 この補佐官や特別顧問は議会承認が不要で、どうしても大統領選における功労者が任命される傾向にありますが、それだけ直接行政への関与は厳しく制限されています。ところが実際に各省庁の業務が停滞してくると、このホワイトハウス事務局が行政に大きく関与してくることになります。

 その「気になる兆候」の1つは、ホワイトハウス事務局で新設の首席戦略官・大統領特別顧問となったスティーブ・バノンは過激なナショナリストでレイシスト(人種差別論者)ですが、トランプ大統領はすでに1月28日にこのバノンを国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーに昇格させています。

 トランプ大統領の外交に関する過激な発言は、すべてこのバノンから出ています。

 NSCは米国の安全保障に関する最高意思決定機関でありCIAもその傘下にあります。常任メンバーは大統領、副大統領、国務長官、国防長官、国家安全保障担当大統領補佐官などですが、バノン昇格の「あおり」で安全保障担当補佐官のマイケル・フリンが辞任に追い込まれました。

 補佐官就任前に駐米ロシア大使に、オバマ政権終期のロシア制裁は「心配いらない」と囁いたことが発覚したからとされていますが、そもそも米国はロシアに限らず駐米大使館の通信はすべて傍受(わかりやすく言えば盗聴)しているため、今ごろになって発覚したはずがありません。つまりこれは後付けの理由で、トランプ側近の勢力争いに敗れて放逐されたことになります。

 さらにもう1つの「気になる兆候」は昨年12月21日にホワイトハウス内に貿易政策を担当する国家通商会議(NTC)が新設され。そのトップに対中強硬派のピーター・ナバロが起用されています。最近はそうでもありませんがトランプ大統領の中国への過激発言は、このナバロから出ています。

 トランプ政権で重要な決定が「過激な側近」に委ねられる危険性だけではなく、その側近の勢力争いが過激化して空中分解してしまう恐れまであるのです。

 つまりトランプ政権の各政策が大丈夫なのか?ではなく、そもそも行政執行能力があるのか?と本気で心配になってきます。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1940.html#comment


19. 中川隆[6788] koaQ7Jey 2017年2月19日 08:46:52 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[7249]

ジム・ロジャーズ氏: 米国のロシア嫌いはオバマ政権によるウクライナ政権転覆が露呈して決まりが悪くなったから2017年2月18日


著名投資家ジム・ロジャーズ氏が非常に面白いことを言っている。

現在アメリカでは選挙に負けた民主党とマスコミが協力してトランプ政権とロシアとの繋がりを疑い、トランプ大統領を批判している。

ヒラリー・クリントン氏を擁立し敗北した民主党は、大統領選挙以来、トランプ氏が勝利したのはロシアが選挙に介入したからだと主張し続けてきた。証拠は一切提出されていないが、民主党とリベラル系メディアはそう言い続けている。

最近ではこの騒ぎに関連してフリン大統領補佐官が辞任するという一幕があったが、フリン氏が行なったことと言えば、ロシアの大使と対露制裁について話をしたことだけである。しかし彼は辞任に追い込まれた。詳細は以下の記事を参考にしてほしい。
•ロシア大使との会話を巡ってフリン大統領補佐官が辞任に追い込まれる

アメリカのロシア嫌い

アメリカの政治家やメディアがここまでロシア嫌いである理由について、ロジャーズ氏がMACRO Voicesのインタビュー(英語)で非常に興味深いことを言っている。


オバマ政権の時、われわれアメリカはウクライナで違法なクーデターを画策し、そしてそれが露呈した。あの国務省の女性の名前は確かヴィクトリア、何だったか、誰であれ、アメリカの国務省がウクライナで違法なクーデターを画策したが、ロシアの方が一枚上手だった。以来、国務省はロシア批判を始め、ロシアに対するネガティブキャンペーンは日に日に膨張してゆくばかりだ。

悪いことをして見つかってしまえば、出来ることと言えば相手に対する批判の声を上げ続けるくらいしかない。国務省はそうしたということだ。

女性とは国務省のヴィクトリア・ヌーランド元国務次官補のことである。

この人物は米国の駐ウクライナ大使との通話のなかで、複数のウクライナの政治家を政治の舞台から排除し、同時にヤツェニュク氏(その後ウクライナ首相に就任)をトップに据えることを決定したが、その通話がYoutubeにアップロードされた(BBC、原文英語)ことで計画が露呈した。恐らく日本ではほとんど報じられていないと思うが、メディアなどその程度のものである。

アメリカの政権転覆主義

ここの読者は覚えていると思うが、トランプ大統領は就任前に「トランプ政権は他国の政権転覆を辞める」と言っていた。
•トランプ次期大統領: アメリカは他国の政権転覆をやめる

彼の言うアメリカが画策した政権転覆と言うのは、リビアやイラク、シリアなどの例のほかに、当然今回言及したウクライナが入ってくるわけである。トランプ大統領はこれを辞めると言っている。彼をロシア絡みで批判している人々がウクライナで何をしたかを思い出す必要がある。

しかし民主党とメディアの戦略はトランプ大統領に対して一定の効果を上げているらしい。記者会見(原文英語)でロシアについて何度も執拗に問い詰められ、疲弊したトランプ大統領はやっとのことでこう言った。


メディアは明日にでも「ドナルド・トランプはロシアと仲良くしたいらしい。酷いことだ」とでも言うだろう。しかしロシアと上手くやってゆくことは酷いことではない。良いことだ。(中略)ロシアに対して強硬姿勢を示す方がわたし個人にとってはよほど簡単だ。分かるだろう? しかしわたしはアメリカ国民にとって正しいことをしたいのだ。そして第二に、正直に言うならば、世界にとって正しいことをしたいのだ。

ここまで書けば、現在アメリカでトランプ大統領に必死で抵抗している勢力がどういう連中か、読者にもお分かりだろう。

ここまで考えた上でトランプ大統領の発言を見返してみると、よくこんなまともな人物がアメリカの大統領になったものだと思う。それでも彼はアメリカ内部で激しい抵抗に遭っており、彼が何処まで意志を通すことが出来るかは不明瞭だが、しかし見守ってゆきたいと思う。政治とは醜いものである。
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/5603


20. 中川隆[6915] koaQ7Jey 2017年3月02日 17:01:02 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[7377]

トランプ大統領: 移民が安全に家に帰れるよう努力したい2017年3月2日


トランプ大統領がアメリカの議会で演説(原文英語)を行った。様々なことが話されたが、その中から特に中東の混乱と移民政策について話された部分を取り上げて紹介したい。マスコミが決して報じないトランプ大統領のまともな言葉であり、それらは人々に知られるべきである。

メキシコと中東

アメリカで議論の的になっている移民問題は主に二つあり、一つは隣国メキシコから不法に入国してくる移民、そしてもう一つはヨーロッパで混乱が続いている中東からの移民問題に、アメリカがどう対応するかということである。

メキシコから流入が特に懸念されているのは麻薬密売人である。オバマ政権下の緩い国境のためにアメリカで麻薬を売りたいメキシコ人が国境から流れ込んでおり、特にカリフォルニアなどでは大麻は「Weed」(雑草)の愛称で呼ばれて当たり前のように使用されている。

トランプ大統領はこの状況を憂慮している。特に中毒になった若者に援助の手を差し伸べる必要性を訴えている。彼は単に国境を閉じようとしているわけではなく、アメリカ国民のために必要なことを行おうとしている。彼は次のように述べている。


現在われわれは、アメリカ市民の安全を脅かし、まったく罪のないアメリカ市民を餌食とするマフィアや麻薬密売人、犯罪者を排除しようとしている。

アメリカは他国の国境を守った一方で、自国の国境を開けっ放しにして、誰でも侵入でき、麻薬が流入できる状況を放置してきた。

われわれは麻薬が国内に流入して若者を毒するのを食い止め、酷い中毒に陥ってしまった人々に対するケアを拡大する。

移民問題と国境政策

また、中東からの移民流入については、ヨーロッパにおける惨状をアメリカで再現させないことが重要だと指摘した。ここの読者であれば知っての通り、ヨーロッパの移民問題は悲惨な状況になっている。

•ヨーロッパ移民問題: 止まらない大量殺人と性的暴行、今度はミュンヘンでイラン人が銃乱射

トランプ大統領が選出された大きな理由の一つは、こうした無秩序な移民政策にアメリカ市民が反対したことにある。彼の強硬姿勢にはリベラルの人々からの反対があるが、トランプ大統領はそういう人々に対して次のように語りかけた。


アメリカ政府の義務は米国の市民を守ることであり、イスラム過激派から国を守るための強力な施策を取りたいと思っている。

こうした法の執行に反対する議員の皆さんにはこう聞きたい。アメリカが法を維持し、国境を守らなかったために、雇用や収入、そして愛する人を失ったアメリカの家族に対して、あなたはどう言うのですか?

そしてより重要なのは以下の箇所である。


戦争と破壊が世界中で猛威を奮っている。多くの場合、このような人道上の悲劇に対する唯一の解決策は、故郷を追われた人々が安全に家に帰ることが出来る環境を作り出し、状況を立て直すための長い長いプロセスを開始することなのだ。

リベラルの政治家は、難民を迎えるべきだと言いながら、彼らが自分の国に再び住めるようになるために何が出来るかということには同じ程度の興味を示さない。何故か? それは移民を受け入れようとしたドイツのガブリエル副首相の言葉に耳を傾ければ分かることである。


•移民を歓迎するドイツの本音と哀れなハンガリーの受難


われわれのところにやって来る人々を早急に訓練し、仕事に就かせることができれば、熟練労働者の不足という、わが国経済の未来にとって最大の課題の1つが解決するだろう

要するに労働力、それも安い労働力が欲しいのである。トランプ大統領の国境強化にスターバックスなどの大企業が反対するわけである。そうした欺瞞に頭の足りない人々が賛同する。そしてそうした政治的議論の渦中には、移民本人のことなどは何も考えられていない。

しかしトランプ大統領はそうではない。彼はグローバル企業が始めた奴隷制度である移民政策に反対した上で、国を追われた人々が自分の生活に戻れるようにしたいと言う。口では難民を可哀想だと言いながら、実際には中東に武器を供給し続けたオバマ氏やクリントン氏などのいわゆるリベラルの人々とは違うということである。


•ジム・ロジャーズ氏: 米国のロシア嫌いはオバマ政権によるウクライナ政権転覆が露呈して決まりが悪くなったから

•ロシア、プーチン大統領: ISIS(イスラム国)は米国のオバマ大統領が作った

結論

トランプ大統領のこういう言葉は大手メディアには取り上げられない。だからわたしが一つ一つ拾って取り上げてゆく。アメリカの大統領を誤解したままでは、世界の情勢について何も理解することが出来ず、メディアや多くの人々のように大統領選挙やイギリスEU離脱などを誤解した失敗を繰り返すだろう。


•国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力

•ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙に勝利した理由

こうしたまともな言葉がようやく政治家の、しかもアメリカ大統領の口から話され始めるようになった。上記の言葉はすべて、少し前まではレイシズムと見なされていたものである。しかし時代は変わった。物事は確実に良い方向に進み始めている。

また余談だが、各社の報じている通り、今回のトランプ大統領の演説は、普段よりも柔らかなトーンであったと言える。ロイターが娘のイヴァンカ・トランプ氏の影響を指摘しているが、恐らくは正しいのではないかと思う。

以下の記事で報じた選挙戦におけるイヴァンカ氏の演説を想起させるような部分がいくつもあった。選挙が終わった今、彼女の融和的な思想とトランプ氏本人の政治観が上手く組み合わせられようとしている。


•娘のイヴァンカ・トランプ氏: 父は肌の色や性別で人を差別しない
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/5720


21. 中川隆[7339] koaQ7Jey 2017年3月26日 12:14:44 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[7814]

トランプはなぜ小学生のように喋るのか? 答えはプロレスにあった! 負け犬白人を惹きつける「技術」の由来
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/740.html
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51307

2017.03.26 川崎 大助 作家 現代ビジネス


■トランプが愛される理由

ドナルド・J・トランプ大統領は、なぜこれほどまでに「愛されて」いるのだろう?

いや、万人から愛されているわけではない。今日、彼の当選によって「二分された」とされるアメリカ国民の、その「一方の側」からは、彼は熱烈に愛されている。それが彼の強み、原動力となっている。

本稿は、トランプが「愛されキャラクター」と化したその構造、メカニズムそのものの分析を試みるものだ。僕が「トランプ節」と呼ぶあのパフォーマンスのなかに、「愛されポイント」の基本構造マトリックスがある。そこを分解してみたい。

昨年の11月、当サイトに寄せた前回の原稿で、僕は、トランプ支持者のコア層についての考察をおこなった(「日本人がまったく知らないアメリカの『負け犬白人』たち」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50253)。

イギリスの政党「UKIP」の党首、ナイジェル・ファラージの言葉に倣い、「負け犬たち」の表象を、映像作品や音楽など、アメリカ大衆文化から読み解いた。

「ヒルビリー」「ホワイト・トラッシュ」などと、おもに知識層や支配層(The Establishment)からは蔑まれるような表象と心理的につながり、それを肯定するような内面性が、トランプ支持者のコア層にはあると考えられたからだ。

今回はさらに一歩踏み込んで、トランプがそんな「負け犬たち」の心をつかみ、愛されて、そして「信頼を得た」その具体的な方法について見ていきたい。「トランプ節」のどこにそれほどの希求力があるのか、腑分けした上で解析してみよう。

キーとなるのは「プロレス」と「マンガ(アメリカン・コミックス)」だ。

そんなもので天下(アメリカの国家元首の座)を獲れるのか!と、あなたは怒るかもしれない。

しかし、それこそがいま、アメリカで起こっていることなのだ。

■あまりにも幼稚な語彙…

まずは、トランプのスピーチ内容だ。言うまでもなく、彼は一貫して「ひどい」。大統領候補としても、現職の大統領としても、話にならない。

とくにオバマ前大統領が演説の達人だったから、その落差には目眩を禁じ得ない。オバマの演説は、詩であり哲学であり、高邁な理想と誠実さ、人格の高潔さを、言葉の上でだけでも感じさせてくれるものだった。これこそが、「一般的には」アメリカ社会で高い地位にいる人物に求められるもの、だった。

対してトランプは……彼の言葉は、演説でも対談でもツイートでも、その語彙が「小学4年生程度」とアメリカではよく評されているのだが、それは買いかぶり過ぎだ。もっと低いときだって多い。言葉の選びかた、文章の編みかたが、平易と言うよりも、明らかに幼稚だ。ちょっとびっくりしてしまうほどに。

トランプの語彙の水準と特徴を示す一例を、彼が得意とする(?)ツイートから見てみよう。イスラム圏7ヵ国を名指しして入国禁止を求めた大統領令に対し、世界中で轟々と巻き起こった批判に応えて、アメリカ時間の2月1日、彼はこうツイートした。

「Everybody is arguing whether or not it is a BAN. Call it what you want, it is about keeping bad people (with bad intentions) out of country!」(@realDnaldTrump より。以下同)

なんなんだよ「Bad People」って! 高めに見積もっても、これは小学1年生か2年生なみの語彙だろう。日本語にすると、平仮名で「わるもの」とか言っているような感じか。前記の一文を僕が訳すると、こうなる。

「みんな、これが〈禁止令(BAN)〉だとかそうじゃないとか、ああだこうだ議論しているが、呼びたいように呼べばいい。これは〈(わるい意志を持った)わるものたち〉を国から閉め出すためのものなのだ!」

……いい大人が、いや「先進国の国家元首が公式に」こんな言葉を口にすることは、普通、絶対にない! なんで「不審な人物(Dubious or Suspicious People)」ぐらい言えないのか? が、「あえて言わない」ところにこそ、トランプ節の真骨頂がある。

彼は、「わざと」幼稚な語彙や構文をツイートしているのだ。

日本ではよく誤解されているようだが、トランプ大統領の学歴は決して低くない。アイヴィー・リーグの一画を担う名門・ペンシルヴェニア大学で学士号までは獲っている。だからもっと難しい言葉遣いも、本来はやれて当たり前だ(というか、後述するが、かつてはこんな語彙の人ではなかった)。

であるから、今日の「トランプ節」は、意図的にやっているものなのだ。

■トランプ節の起源はプロレスにあった!

アメリカである一定以上の地位にいる公人が「絶対にやるわけがない」口調や態度を、ことさらに実践しようとしているのがトランプという人だ、と言っていい。

つまりあれは、ひとつのパフォーマンスの「型」として見るのが正しい。幼稚で粗野な言葉を、特徴的な口調と、身振り手振り、表情のありかたのすべてで「きわめてエキサイティングに」観衆に伝えていく、という……。

トランプは、すぐに絶叫する。言葉の抑揚をあざとく強調してみせる。口をすぼめる、眉根を寄せ眉尻を下げるなど「変な顔」を頻繁にする。ハンドサインの「OK」のような妙な手付きをする。繰り返しを多用し(very, very など)、また、同じ内容の話題をも「繰り返し」述べ続ける……。

こうした特徴をそなえたパフォーマンス術は、彼のほとんどすべての演説に生かされている。

だから当然、1月20日の大統領就任演説も「トランプ節」が全開だった。まず間違いなく悪い意味で歴史に残ること必至の、奇妙なあの演説が終わった直後のことだ。アメリカに住む僕の友人は、たったひとことでその内容を要約した。

「演説の内容は今までと同じで、何かアメリカのプロレスラーのマイクアピールを思い出してしまいました」

たしかに! あの「トランプ節」は、プロレス由来のものなのだ! とこのとき僕は膝を打った。

マンハッタンで働くビジネスマンであるその友人は、長年にわたる熱心なプロレス・ファンでもあった。もちろん全米最大最強の団体である〈WWE〉も追っていて……という人物の指摘を受けて、このとき僕は、ようやくにして気がついた。

トランプの語彙、話しかた、身振り手振り、あれらはすべてとても「リング映え」するものだ。リングの上で、レスラーという「虚像」を演じる際に発信される、戯画化されたセリフおよび肉体言語の数々と、トランプのそれは、まさに「そっくりそのまま」同じ傾向のものなのだ! 

トランプ節とは、アメリカン・レスラーのマイクアピール術と同じなのだ。「小学生なみ」で当たり前だ。だってプロレスなんだから……。

だから「トランプ節」は、彼のコア支持者に問答無用で受けた。前回の稿で分析した白人男性層とは、プロレス・ファンの主力と同じ層も数多く含まれている。だからまずトランプは彼らに対して「私も同じなんだよ」というメッセージを、全身全霊をもって伝えたわけだ。なにが「同じ」か? 「世界観が同じ」ということだ。

それが彼のパフォーマンス術の「最初の一歩」だった。そしてその「わかりやすさ」が受けに受けたため……今日までずっと、まるでそれを伝統芸のような「トランプ節」として継続しているというわけなのだ。

■シンプルかつ快感原則に沿った世界観

では彼が「同じなんだよ」と言外にささやいた「世界観」とは、どんなものか?

これもアメリカン・プロレスに関係している、と言っていい。トランプは以下のように聴衆にアピールした。

「私は、『プロレスの世界と同程度に』世の中をシンプルに見るのが好きなんだ」と。

プロレスの世界では、善玉(ベビーフェイス)と悪玉(ヒール)の2種類のレスラーがいて、それぞれがそれぞれ「らしく」立ち居振る舞い、戦って、そこに生じる「ストーリー」に観客が熱中していく。

……それと同じように「アメリカ国内はもとより、一見複雑そうな世界情勢も、いちど頭を真っ白にして、単純化、簡略化して見てみないかね?」と、彼は主張した。シンプルかつ、快感原則にも沿った「私のストーリー」に、あなたも参加してみないかね?……と。

これこそが「わかる人にはわかる」どころか、人によっては「堪えられない」強烈な吸引力をそなえた「ささやき」だった。トランプにしかやれない「愛されパフォーマンス」の出発点はここだった、と僕は考える。

■プロレス界との深い関係

ところで実際、トランプとプロレス界の関係は深い。WWEとは昵懇の間柄だ。

関係が始まったのは1988年、ニュージャージー州アトランティック・シティにて、自らが所有するトランプ・プラザ・アンド・カジノがホストを務める形で、WWEの興行がおこなわれたのが最初だ。

ここからずっと良好な関係は続き、なんと2007年にはトランプ本人までもが試合に参加してしまう。

「億万長者対決(Battle of the Billionaires Hair vs Hair)」と題された試合がそれで、同団体の興行「レッスルマニア23」のなかで展開された。

このときトランプは、WWEのオーナーであるヴィンス・マクマホンと対決。双方が代理としてレスラーを立て、負けた側が頭を丸坊主にする(双方ともにカツラ疑惑があったので)という設定で、話題となった。試合はトランプが勝利、マクマホンが頭髪を剃り上げた。

面白いのは、このときの両者のリング上のやりとりだ。

当時は、トランプよりもマクマホンの喋りのほうが「勢いが上」だったことが映像からも確認できる。すでに「トランプ節」は生まれていたのだが、「WWEのリングの上」では、場数を踏んだマクマホンにトランプは敵わなかった。

が、今日のトランプはマクマホンよりもずっと上だ。つまり「トランプ節は進化している!」のだ。

前述したとおり、トランプ節は地ではない。たとえば、80年代前半あたりの、若き日のトランプの話しかたを映像で見てみると、怪人めいた今日の毒々しさはほとんどない。くぐもったような口調など、もちろん類似点もあるのだが、当時のトランプの喋りかたは「普通の人」の常識的なものでしかない。

僕はこの一連の「プロレス経験」が、マクマホンや、それ以外の綺羅星のごときスターたちのマイクアピール術を間近に体験し続けたことが、「トランプを変えた」と考えている。

彼のパフォーマンス術を形作ってくれたのは、プロレスなのだ。トランプは、マット界およびWWEには大恩があるのだ。

(ゆえに、ヴィンスの妻でありWWEスターでもあるリンダ・マクマホンがトランプから中小企業庁長官に任命されたことには、なんの不思議もない)


 トランプによって中小企業庁長官に任命されたリンダ・マクマホン氏〔PHOTO〕gettyimages

■トランプの「兄弟子」

さらに、この一連のプロレス体験のなかで、トランプは「兄弟子」と言ってもいい人物と運命の出会いを果たしている。それがジェシー・ベンチュラだ。

彼は米海軍の特殊部隊兵士としてヴェトナム戦争に従軍、のちに「ザ・ボディ」の異名のもとプロレスラーとして成功し、トランプがWWEと関係を持ったころは、「毒舌が人気の」解説者としてリングサイドで大活躍していた。映画俳優としても成功した。

日本で最もよく知られているベンチュラ出演作というと、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『プレデター』(1987年)だろう。


 映画『プレデター』。左端がジェシー・ベンチュラ〔PHOTO〕gettyimages

ここでヴェンチュラは、剃り上げた頭にスローチ・ハット、丸太のような腕には「Painless Gun(軽装のガトリング砲であるミニガン)」を抱え、鬚をたくわえた口元からは噛み煙草の汁をぺっぺと吐き飛ばす、という男のなかの男像を演じ、宇宙から来た異星人ハンターとジャングルで戦った。

そして彼は、ほぼこのときの「キャラクター」のまま押し通して、なんと、99年にはミネソタ州知事になってしまう! これは、共演したシュワルツェネッガーが2003年にカルフォルニア州知事に当選することにも先んじた、まさに快挙だった。

ヴェンチュラのそれ以前の政治経験は、1990年から95年まで、同州のブルックリン・パーク市(人口7万人程度)の市長を務めたことぐらいだった。しかも出馬は、共和党でも民主党でもない、アメリカ合衆国改革党ミネソタから。だから多くの「常識的な」人は「馬鹿な有名人の冗談」だと笑っていた。泡沫候補として、相手にしなかった。

しかし蓋を開けてみれば、僅差で勝利をもぎとっていったのは、「アウトサイダー」だったはずのヴェンチュラだった……どうだろうか。この展開、まるで昨年の「トランプ旋風」について書いているようじゃないか?

(だからマイケル・ムーア監督は、早い段階から「ヴェンチュラ効果に気をつけろ」と警告を発していた、のだが……)

そして事実、このヴェンチュラの当選がトランプに与えた影響は大きい、とアメリカでは分析されている。

さっき僕は「若いころのトランプに、いまの『トランプ節』はなかった」と書いた。では、いつこれが顕現したのか? 「ここ」と特定できる、そんな瞬間は、あるのか?……じつは「ある」。「このときだ」と指摘されている有名な映像がある。

ときに2000年1月7日。同年の大統領選に向けての、アメリカ合衆国改革党の資金集め集会にて、トランプは前述のブルックリン・パーク市で記者会見をおこなった。ここで、映像で確認できる最古の「トランプ節」が炸裂する。


 トランプとヴェンチュラ。2000年1月7日〔PHOTO〕gettyimages

発売したばかりの自著の宣伝もかねてなのか、北朝鮮を、日本を叩くあの舌鋒が繰り広げられた――のだが、このときトランプの隣にいたのは、当時現役の州知事だったヴェンチュラその人だった。なぜならば、ヴェンチュラは同党の大統領予備選候補者として、かねてから友人だったトランプを推し続けていたからだ。

結局、トランプはこのときの選挙戦を途中で棄権してしまうのだが、ふるっているのが、そもそも最初にヴェンチュラが彼に立候補を持ち掛けたのは、アトランティック・シティで開催されていた「レッスルマニア」イベントの会場内だった、という出来過ぎの話まである(ニューヨーク・タイムズ、1999年9月25日付の記事より)。

また、トランプと大統領選ということで言うと、1988年に軽くひと騒ぎあったものの、彼が本格的なキャンペーン・レースに巻き込まれたのはこの2000年が初だった。

そして、このときの一連の「トランプ節」がメディア界から注目を集めたことも影響して、彼は04年にリアリティ番組『アプレンティス』の製作者およびホストとしてTV界に本格進出する。同番組は大人気を博し、ホストや内容の一部を変えながら、今日まで続く長寿プログラムとして成功をおさめることになる。

まさに、ヴェンチュラによって掘り起こされ、プロレスとTVに育てられて巨大化していったのが、トランプの「キャラクター」だったということがわかる。
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/740.html


22. 中川隆[7431] koaQ7Jey 2017年3月31日 10:44:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[7912]
「アメリカは70年間、衰退し続けている」——チョムスキーの視点 3/27
https://news.yahoo.co.jp/feature/566


ドナルド・トランプ米大統領は、国内の労働者たちに「内向き」の政策を掲げて圧倒的支持を得た。トランプ率いるアメリカは、このまま世界から「孤立」する方向に向かうのか。世界的に高名な言語学者であり、ベトナム戦争以来、アメリカの政治について鋭い論評を加えてきたノーム・チョムスキー氏に、率直な疑問をぶつけた。(インタビュー・吉成真由美/Yahoo!ニュース編集部)

トランプ就任前から「孤立」している


トランプ率いるアメリカはどこへ向かうのか(写真:AP/アフロ)


——トランプ氏は、「内向き」の政策を掲げることで、大統領に当選しました。アメリカは、本当に世界情勢から手を引き、国内政策へ力を注ぐことになるのでしょうか。


アメリカにおいて、大統領の権限は小さくありません。トランプが決意すれば、多くのことを実現できます。例えば、キャンペーンで約束した通り、パリ協定から撤退することもできるし、イランとの核協議から撤退することもできる。ただ、こうしたアメリカの決定に、ヨーロッパ諸国が追随しない可能性は十分にあります。そうなるとアメリカは、世界の中でさらに「孤立」を深めることになる。近年ますます顕著になってきているのは、アメリカが世界情勢から孤立しつつあるということです。


西欧地域が、アメリカの完全な支配下にあった時代もありました。しかし現在は、むしろアメリカが疎外されているとさえ言えます。オバマ前大統領がキューバとの関係正常化に踏み出したのは、アメリカが西半球で完全に孤立してしまうのを避けるためです。西半球諸国は、以前からキューバとの関係正常化を望んでいました。それを阻止していたのが、アメリカだった。もしキューバとの関係改善に踏み出さなければ、2015年にパナマで開かれたサミット(南北アメリカ大陸全体のサミット:Seventh Summit of the Americas)にアメリカが呼ばれない可能性もあったでしょう。


アジアにおいても、アメリカは影響力を失いつつあります。中国の経済的な影響力は増大の一途を辿り、オーストラリアや日本は、その流れに組み込まれつつある。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に主だった先進国が参加していますが、アメリカは参加していません。ひょっとするとヨーロッパも、アメリカに頼らないもっと独立した路線を歩むようになるかもしれません。

ピークは70年前に


ノーム・チョムスキー:1928年、米フィラデルフィア生まれ。マサチューセッツ工科大学教授。すべての言語に共通する普遍文法を提唱して言語学に革命をもたらした、言語学者にして哲学者であり、ベトナム反戦運動を機に、政治活動にも深く関与。邦訳書に『生成文法の企て』『覇権か、生存か』『すばらしきアメリカ帝国』など多数(撮影:Carl Rutman)


——そうしたアメリカの「孤立」は、アメリカの国力の「衰退」とも関連しているのでしょうか。


近年、アメリカは斜陽の時代に入ったと言われています。それはその通りでしょう。


アメリカは、たしかに後退してきています。そしてそのほとんどが、アメリカ国内の政治・経済政策の失敗によって起きたことです。レーガン時代からの政策(規制緩和政策)によって、国内社会はひどく傷つけられてきました。国内生産力は大幅に削減され、賃金や収入は停滞したり減額したりして、インフラも崩壊しつつあります。ボストン市内を歩いてみれば、後退は明白です。


先日、講演のためにボストンからニューヨークへ列車で行ったのですが、アメリカ一の列車という触れ込みにもかかわらず、片道約4時間もかかりました。1950年に私が初めて同じ列車に乗ったときと同じだけの時間がかかった。ヨーロッパや日本の列車であれば、おそらく2時間もかからないでしょう。これがアメリカの実情です。


アメリカ社会は内側から崩壊してきているのです。金融セクターは、大変な勢いで伸びていますが、果たして金融が経済に貢献しているのかどうかは、大いに疑問です。


アメリカをむしばんでいるのは経済政策の失敗だけではありません。莫大な軍事費も、大変な負担になっている。健康保険システムも、完全に民営化されているために、非効率です。医療にかかる一人当たりのコストは、他の先進国と比べて2倍にもなっている。もし、他の先進国並みの健康保険制度に切り替えることができたら、それだけでアメリカの負債は消えてしまうでしょう。これらが、国をむしばんでいる国内政策です。


とはいえ、それでもまだアメリカは、世界最強の国として他の国々の追随を許さない状態ではありますが。


ただ、アメリカの「衰退」は、ここ最近になって「急に始まった」のではありません。アメリカの国力がピークに達していたのは、1945年です。今から約70年前。そこからだんだんと衰退してきているのです。


1950年代のニューヨークの風景(写真:アフロ)


当時のアメリカには、世界中の富の約半分が集中していました。それほどの権力の集中は史上初のことです。圧倒的な軍事力を持ち、大西洋と太平洋をともに支配下におさめ、西側諸国全体をコントロールしていました。


しかし、後退は、その後すぐに始まります。


1949年には、「中国の喪失(loss of China)」が起こりました。中国が中華人民共和国という社会主義国家としてスタートしたことを、アメリカでは「中国の喪失」と呼んでいます。


この「◯◯の喪失」という言葉の使い方が、当時のアメリカの意識をよく表しています。私は、「自分のiPhone」を失うことはできますが、「あなたのiPhone」を失うことはできません。つまり、「中国の喪失」という言葉からは、「われわれは世界を所有している」という当時のアメリカの深層心理が見てとれます。これは自分たちの世界なのだと。ですから、どこかの国が独立したら、その部分を失ったという意識です。もっと言えば、独立しようとしたり、アメリカのコントロールから逃れようとする行為は、必ず止めなければならないのだと思っていたということです。


「中国の喪失」は、アメリカの国内政策にとって、大きな問題になりました。誰の責任で「中国の喪失」が起こったのかという問題です。その後、ケネディが、「インドシナをどうするか」という問題に直面した時も、ケネディとそのアドバイザーたちは、「インドシナの喪失」の責任を問われる事態になりはしないか戦々恐々とした。また、「アラブの春」が起こったときも、今度は「中東の喪失」が問題視された。しかし、そうしたアメリカの「世界は自分たちのものだ」という意識とは裏腹に、後退は続いていきます。


1970年代には、世界は3極に分かれました。ドイツを中心とするヨーロッパ、日本を中心とする東アジア、そしてアメリカを中心とする北アメリカ。アメリカがコントロールしている地域は、世界の25%くらいまで下がっていた。現在はさらに分散化が進んでいるので、アメリカのコントロールの及ぶ地域はもっと少ないでしょう。


もちろん、アメリカがまだ、圧倒的に大きな力を持った国であることは間違いありません。世界中には800ものアメリカの基地があります。中国は大きな経済力を持っていますが、国民一人当たりの所得はまだまだ低い。国の発展状態を表す人間開発指数(2015年発表)を比べてみても、中国は90位で、インドは130位です(アメリカは8位、日本は20位)。軍事力をはじめとして、まだアメリカとは比べものになりません。

トランプが勝った理由


――「アメリカの国力の後退」は、トランプ氏の勝利の重要な背景ということでしょうか。


2017年1月20日、トランプ大統領の就任演説を聴くために連邦議会議事堂前に集まった群衆(写真:AP/アフロ)


大きな理由の一つであることは間違いないでしょう。新自由主義政策は、多くの人々の生活を困窮させ、国力を後退させることになりました。2008年の経済大破綻の直前、経済学者たちが「大エコノミック・ミラクル」と呼ぶ2007年ですら、アメリカの一般的な労働者の賃金は、25年前の賃金と比較して、低くなっていた。


さらにグローバル化は、労働者たちを国際的な競争の海に放り込みました。自由貿易協定とは、言い換えれば、製薬会社やメディア、大企業に対する保護政策です。プロフェッショナル・クラスは競争から保護される。そして投資家たちも前例のないほどのお金を手に入れた。しかし、労働者たちの生活水準は下がっていったのです。


そもそも「市場化」と呼ばれる政策は、引責しなくてもいい私的な権力(大企業や銀行など)に、判断権限をゆだねるものでした。結果として、民主主義が制限され、生活水準が下がったのです。


――トランプ大統領誕生の背景には、中産階級の消滅や、大企業寄りの政府に対する不信、移民恐怖、反クリントンなど、たくさんの理由が挙がっていますが、トランプ支持者たちの不満は、どのあたりにあったのでしょうか。


社会学者のアーリー・ラッセル・ホックシールド(カリフォルニア大学バークレー校教授)は、トランプ支持者たちを調査した結果、「彼らは、長蛇の列で順番待ちをしているんだ」と言っています。


彼らの両親も、彼ら自身も、よい生活を求めて懸命に働いてきた。保守的で、聖書に従う敬虔なクリスチャンで、よりよい生活を求めて一歩ずつ前進していた。ところが過去25年間、彼らは一向に前へ進めなかった。列の先頭の方は、次元の違う金持ちになった。でもそれは構わない。「懸命に働けば、金持ちになれる」というのがアメリカンドリームなのだから。問題なのは、自分たちの後ろにいる奴らだと。黒人や移民、シリア難民といった弱者たち。連邦政府は、「列の後ろに並んでいる奴ら」を優先して、列の前の方に押し入れてくる。外国人や職を失ったシングルマザーに、政府が経済援助するということは、彼らを列の前に押し出すということだ。こうして自分たちは割を食ってきた。もううんざりだ、というわけです。


「トランプ支持者たちの不満はどのあたりにあったのか」(吉成)(撮影:Carl Rutman)


こういった、スケープゴートを立てて不満のはけ口にするというのは、よく使われる手です。実は、こうした傾向はアメリカだけに見られるものではありません。ヨーロッパでも同じことが起きています。フランスでは北アフリカからの移民がその対象になっています。


フランスの共和党は、右寄りの代表(フランソワ・フィヨン元首相)を選出しました。彼は今年4月、極右政党「国民戦線」の代表(マリーヌ・ルペン)と大統領選で戦うことになります。オーストリアでも、ネオ・ナチにルーツを持つ政党「自由党」が、次の選挙で台頭する可能性がある。イギリスはEU離脱を決めてしまった。イタリアでは、昨年12月の国民投票の結果、改革派のマッテオ・レンツィ首相が辞任に追い込まれました。


一般的に、民主主義への攻撃が見られます。労働者の権利や社会福祉などに対する強い反発が出てきているのです。


「トランプのもっとも『確か』な点は、彼が『不確か』だということです」(チョムスキー氏)(撮影:Carl Rutman)


――トランプ大統領のもとでは、反グローバリズムになるのではないかという恐れがある一方、ロシアとの関係改善を期待する声もあります。トランプ氏のもとで、アメリカはどのような方向に進んでいくのでしょう。


トランプのもっとも「確か」な点は、彼が「不確か」だということです。予測不能です。彼は、多くの事柄について発言していますが、その発言がどのような意味を持つのかわからない。彼の言うことは、全方向に向けて矢を放っているようなもので、たまに的に当たる場合もありますが、一体何をしたいのかわからない。本人にもわからないという状態です。


もしロシアとの非常に危険な対立関係が緩和するのであれば、それは歓迎すべきことです。しかし、もし彼の得意とする「取引(deal)」というものが、プーチン大統領との間でうまく行かなかった場合、彼は頭にきてハチャメチャな行動に出るかもしれない。ミス・ユニバースが彼を批判した時と同じような、度を越した行動に出るかもしれません。彼がどのような行動に出るか、本人も含めて誰にもわからない、という状態なのです。
https://news.yahoo.co.jp/feature/566


23. 中川隆[7587] koaQ7Jey 2017年4月07日 23:43:25 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8074]

2017-04-07
トランプ流とは問題をすべて相手に押し付けて攻撃する手法


ドナルド・トランプ大統領は「親露派」だったはずだが、もう過去の話となった。トランプ大統領はあっさりとロシアを裏切り、今後はロシアと敵対する可能性が非常に高まった。

シリアのアサド大統領は2017年4月4日、市民に対して化学兵器サリンを使用したことが報道された。

これによって「いくつもの一線を超えた」とトランプ大統領は宣言し、2017年4月6日にはいきなり巡航ミサイル攻撃でシリアの空軍基地を破壊した。

ところで、アサド大統領がいつまで経っても倒れないのは、ロシアのバックアップが裏にあるからだ。

本来、アサド政権は2015年には崩壊しているはずだったが、ロシアがアサド政権の後ろ盾になったことで状況は一変し、現在アレッポはアサド政権が奪還して息を吹き返していた。

これはアサド政権を支援するロシア軍の市民の犠牲を厭わない空爆によって成し遂げられたものだった。ロシアはアサド政権を軸にして中東の利権を手に入れようとしている。

アメリカが空爆したシリアの基地は、ロシア軍もまた使用していたものだった。アメリカはここを攻撃して、一夜にして壊滅的ダメージを与えた。

利用できるものは利用し、用済みになれば捨てる

アメリカがアサド大統領の支配するシリア西部ホムス付近の軍事拠点を空爆するというのは、ロシアの利権を破壊するも同然だった。

つまり、トランプ大統領によるアサド政権の攻撃は、形を変えたロシアの攻撃も同然だった。

プーチン大統領はすぐさま「米国のシリア空軍基地に対するミサイル攻撃は国際法違反で、米ロ関係に深刻な悪影響を与える」という認識を示した。

そして、「これはアメリカによる侵略行為だ」と強くトランプ大統領を批判している。

プーチン大統領は、シリアの人たちの人権を懸念してアサド大統領に代わってトランプ大統領を批判しているわけではない。自分たちの利権を攻撃するトランプ大統領に対して「ロシアの利害を破壊するな」と批判しているのである。

しかし親露派と呼ばれていたはずのトランプ大統領は、いともあっさりとロシアと敵対する道を選び、何の躊躇もなくシリアを攻撃している。

これはオバマ政権が口でアサド大統領を批判するばかりで何もしなかったのとは真逆だ。

トランプ大統領は3月まで「シリアのことはシリア国民が決める」と何の関心も示していなかったのに、やると決めたら一瞬で行動に移している。プーチン大統領に対しては、まったく何の配慮もない。

ここにトランプ大統領の性格が表れている。

ヒラリー・クリントンを激しく嫌ってトランプの方が御しやすいと考えていたプーチン大統領は、ヒラリー攻撃のフェイクニュースを大量にアメリカに流し込んでトランプの勝利に貢献している。

トランプもそれに気付いており、自らの勝利のためにプーチン大統領のこの裏工作を歓迎していた。

しかし自分が大統領になると、もうプーチンは用済みだと言わんばかりに手のひらを返しているのである。利用できるものは利用し、用済みになれば捨てる。

これは、トランプ大統領がビジネスマン時代でもやってきた行為でもある。


都合が良いときは絶賛、期待を裏切ると罵倒の嵐

トランプ大統領はビジネスマン時代に4度も破産して、そのたびにのし上がってきたというのがアメリカでは「美談」扱いにされている。

事業というのは当たり外れ、運不運、そして人材の良し悪しのすべてが絡んでくる。起業は千三つと言って、1000の事業で1つ当たれば上出来と言われる不安定極まりない世界である。

だから、起業家は成功するまで失敗を繰り返し続けるわけで、3度4度の事業失敗くらいでめげる精神力では起業家としての才能はない。

ドナルド・トランプは親から引き継いだ不動産業以外にカジノ運営、ステーキ屋、大学……と多くの事業を立ち上げて、その数は10以上にのぼると言われているが、実はそのことごとくが失敗している。

これについて、ドナルド・トランプは面白いことに、自分の失敗とは認めていない。「任せた担当者に能力がなかった」とすべて担当者の責任にしている。

しかし、その担当者を迎えるときは「この分野に精通した専門家であり、力強い味方だ」と褒め称え、「一緒にやっていけることを歓迎している」と手放しで喜んでいたのである。

成功すれば自分の実績として名を売る。ところが、事業で成果を出せないことを知ると、すべて担当者の責任にして「無能だ、馬鹿だ、すべてはこいつのせいだ」と罵る。

自分の都合が良いときは絶賛するのだが、自分の期待に沿わなければ容赦なく手のひらを返して、激しく攻撃して追い出すのが「トランプ流ビジネス」だったのである。

これはもちろん、政治の世界にも持ち込まれた。

オバマ大統領と初対面したときも温厚にオバマと接して友好的な態度を示して相手を褒め称えていたが、自分の政策にオバマの政策が邪魔になると、一転してオバマ元大統領をめちゃくちゃにけなし、攻撃している。

今回のシリア攻撃も「オバマ大統領が何もしないからこうなったのだ」と再びオバマ大統領を批判している。


敵対する国は、ことごとく攻撃対象になっていく

プーチン大統領との関係でも、そんなトランプ大統領の性格が剥き出しになって表れているというのが興味深い。

都合の良いときは唯一無二の親友のように振る舞い、相手に共感を示し、包容力ある態度を見せるのだが、自分の都合の悪い存在になると、責任をすべて相手に押し付けて足蹴にする。

問題の根源は相手にあると、激しく相手をなじる。

こうした「トランプ流」が今、世界を動かしている。そして、ものの見事にハメられたのが、事もあろうかプーチン大統領だったとも言える。

プーチン大統領は老獪な政治家だが、ロシアとアメリカは常に対立関係にあるわけで、どのみち関係が決裂するのは目に見えていた。

しかし、ドナルド・トランプが大統領に就任してまだ数ヶ月も経っていないのに、いきなり関係が反転するというのはプーチン大統領も予測し得ないほどの豹変でもある。

自分と敵対しなければ褒め称えるが、敵対したら一瞬にして関係が崩壊する。相手の都合など配慮しない。

まさに今回のシリア攻撃でそれが現実となった。

このドナルド・トランプの危険な性格は、今後も外交関係で遺憾なく発揮されるのは確実である。これは、どんなに和やかな対談がトランプ大統領との間で行われても、まったく何の意味もないことを示している。

そして、今後のアメリカは「より凶暴なアメリカ」になることをも暗示している。

今回のシリア攻撃は「手始め」のものであり、今後もアメリカと敵対すると思われる国は、「トランプ流」によってことごとく攻撃対象になっていくはずだ。

世界中で戦火が上がる可能性が高まっている。

北朝鮮はどうなるのか。そして中国はどうなるのか。そして、日本はどうなるのか……。


アメリカと敵対すると思われる国は、「トランプ流」によってことごとく攻撃対象になっていくはずだ。世界中で戦火が上がる可能性が高まっている。
https://darkness-tiga.blogspot.jp/2017/04/20170407T1633510900.html


24. 中川隆[7595] koaQ7Jey 2017年4月08日 09:45:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8082]

トランプ大統領 シリア内戦発言に矛盾 メディア指摘  毎日新聞


記者会見でシリアでの化学兵器使用を厳しく批判するトランプ米大統領=ホワイトハウスのローズガーデンで4月5日、西田進一郎撮影
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/843.html


 【ワシントン小泉大士】シリアの化学兵器使用疑惑を巡り、トランプ米大統領はオバマ前政権の「弱腰と不決断」がシリア情勢の悪化を招いたと批判したが、就任前はシリア内戦に「介入すべきではない」と訴えており、メディアから矛盾を指摘されている。

 トランプ氏は2013年9月、ツイッターに「オバマ大統領がシリアを攻撃したがる唯一の理由はメンツを保つため。シリアを攻撃するな」と投稿。オバマ氏は当時、アサド政権の化学兵器使用で「レッドライン(越えてはならない一線)を越えた」としたが、土壇場で軍事介入を見送り、国内外から批判を浴びていた。

 トランプ氏は翌14年にかけてツイッターで何度もシリア内戦への対応に言及し、「米国の問題ではない」などと繰り返した。大統領選出馬表明後のインタビューでも「シリアと『イスラム国』(IS)を戦わせればいい」(CNN)、「米国にはアサドよりも大事な問題がある」(MSNBC)などと発言していた。

 5日のアブドラ・ヨルダン国王との共同記者会見で、報道陣から一貫性のなさを問われたトランプ氏は「私は頭が柔らかい人間。柔軟さが誇りだ」と開き直った。


25. 中川隆[7615] koaQ7Jey 2017年4月09日 13:25:45 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8102]

軍産複合体と正攻法で戦うのをやめたトランプのシリア攻撃
2017年4月8日   田中 宇
http://tanakanews.com/170408syria.htm

 米トランプ大統領は、米国東部時間の4月6日午後8時40分、訪中した中国の習近平主席との晩餐会などをやっている時、米軍に、59発の巡航ミサイルをシリア政府軍の空軍基地に撃ち込ませた。米国が正面からシリア政府軍をミサイル攻撃したのは、11年のシリア内戦開始以来、これか初めてだ(誤爆と称する攻撃は昨年あった)。トランプは、シリア政府軍が4月4日にシリア北西部のイドリブ近郊で化学兵器を使って村人たちを殺したので、その残虐な行為に対する報復をしたのだと述べた。だが、4月4日の事件は、化学兵器を使ったのが政府軍でない可能性がかなりあり、これから国連が真相究明を進めようとしていた。トランプは、勝手にシリア政府軍がやったと決めつけ、濡れ衣をかけた上で、報復と称してミサイルを撃ち込んだ。 (UN Seeks Compromise on Investigation Into Syria Gas Attack) (Trump’s Syria Strike Sends Not-So-Subtle Warning to U.S. Rivals)

 トランプは4月4日以来「化学兵器で子どもたちを殺したアサドが許せない。武力で転覆してやる」と息巻いている。だが実のところ、米軍がアサドを殺すことは不可能だ。アサドは、ロシア軍に守られている。米軍は今回、ミサイル発射前にロシアに通告し、ロシアは防御や対抗手段をとらずミサイル攻撃を批判しつつも看過した。だが、次に米国がシリア軍の施設をミサイル攻撃するなら、ロシアはもっと強い態度に出て、防御や対抗手段をとる。米軍機が勝手にシリア領空に入ってきたら、露軍が迎撃するかもしれない。米露の戦闘は、一歩間違うと人類破滅の核戦争になる。米軍の上層部は、ロシアを敵視するだけで、ロシアと戦争する気がない。シリア上空はロシア軍が抑えている。米軍は、そこに入って行かない。トランプはアサドを倒せない。 (Is Trump Going to Commit the Next Great American Catastrophe in Syria?) (U.S. Strike on Syria Shakes Up ISIS Fight)

 しかも、今回のトランプのミサイル攻撃は、シリア政府軍に少ししか損害を与えていない。攻撃された空軍基地は、シリア軍がISを空爆するための拠点で、倉庫やいくつかの戦闘機が破壊されたが、滑走路は無事で、翌日からISへの空爆が再開されている。

今回のような非効率なミサイル攻撃を繰り返すのは得策でない。トランプがシリアを攻撃するのは、今回が最初で最後かもしれない。 (U.S. Strike, Unlike in 2013, Probably Won’t Endanger Assad Rule) (Syrian Warplanes From US-Hit Air Base Said To Resume Air Strikes)

 米軍はこれまで、ロシア軍と協調し、シリア東部でIS退治の空爆を続けてきた。だが今回の濡れ衣的なミサイル攻撃で、ロシアは怒って米国との協調を解除した。米軍がシリアで活動するのは困難になった。今回の件は、シリアの将来を決める国際体制から米国が追い出され、ロシアやイランの影響力が増し、露イランの傘下でアサドが続投する多極化的な事態に拍車をかけそうだ。 (Kremlin says Syrian gas attack 'unacceptable' but U.S. data on it not obje...)

 ロシア政府によると、4月4日のイドリブ近郊の村での化学兵器拡散は、一帯を支配するアルカイダ(ヌスラ戦線)の武器庫が村にあり、それをシリア軍が空爆で破壊した際、武器庫に貯蔵されていた化学兵器用の物質が飛散して村人が犠牲になった可能性が高い。アサド政権は最近、国際的に続投を容認されつつあり、そんな中でシリア軍が意図して化学物質を村に飛散させたとは考えにくい。米英の外交官や議員からも、犯人はシリア政府軍でなさそうだという声が上がっている。 (Combat utilization of chlorine irrational for Damascus, Russian Foreign Ministry says) (Ex-UK Ambassador To Syria Questions Chemical Attack; "It Doesn't Make Sense, Assad Is Not Mad")

 露政府によると、アルカイダは、村に貯蔵した化学兵器(塩素系?)を、イラクのモスルなどで戦うISに売っていた。同様の化学兵器は昨秋、アルカイダが占領するアレッポでも使われ、シリア政府軍に濡れ衣が着せられた。またアルカイダは2013年にも、シリア南部で化学兵器(サリン?)を散布して住民を殺し、米マスコミなどがそれをシリア政府軍の犯行だと喧伝していた。アルカイダに化学兵器の原料や製造技能を与えたのは、米国とトルコの諜報機関だ。13年に濡れ衣をかけられたシリア政府はその後、国連決議を受けて化学兵器を全廃し、その後も国際的に監視されている。廃棄を手掛けたのは米軍だ。シリア軍は化学兵器を持っていない。 (Destruction of Syria's chemical weapons From Wikipedia) (Chemical Weapons 2017: What Just Happened In Syria?)

▼トランプは軍産に負けて傀儡になったのか?

 トランプは、米国の諜報機関やマスコミなどの軍産複合体が、アルカイダやISをこっそり支援したり、アサドやイランなどに濡れ衣をかけて攻撃したりする体制を破壊するために、大統領になったはずだ。大統領就任演説も、そのような方向性の「革命の檄文」だった。それなのに今回、トランプは突如、軍産お得意の濡れ衣戦争を、自分から積極的にやり出している。これは何を意味するか? (トランプ革命の檄文としての就任演説) (Trump’s Syria shift confounds foreign policy experts) (Tillerson: Steps Already Underway for US Removal of Assad)

 ありそうなのは、トランプ政権の上層部で、従来のトランプの軍産敵視の戦略を立案してきた「ナショナリスト(反覇権主義者)」と、軍産の意を受けた「国際(=米覇権)主義者」との権力闘争が激しくなり、ナショナリストが負けている結果、トランプが軍産の策に乗らざるを得なくなって翻身したことだ。 (The Trump Administration Goes Neocon-crazy)

 4月5日、ナショナリストのトランプ側近の筆頭であるスティーブ・バノンが、米国の世界戦略を決める大統領府の最高意思決定機関である国家安全保障委員会(NSC)の常任メンバーから外された。代わりにNSCを仕切るのは、米軍出身で軍産系とおぼしきマクマスターだ。 (Trump Removes Stephen Bannon From National Security Council Post) (Trump’s son-in-law behind Bannon’s removal: Report)

 トランプは、選挙戦中から大統領就任直後まで、バノンの意見を最も良く聞き、それがゆえにトランプはナショナリストで反覇権的な「米国第一主義」を掲げていた。だが、大統領就任後、トランプの娘婿であるジャレッド・クシュナーが、バノンに対抗する形で、トランプ政権の政策を立案決定する主導者として台頭してきた。クシュナーは、バノンと対照的に国際主義者と言われている。バノンをNSCから外すようトランプに進言したのもクシュナーだと報じられている。今や、トランプと習近平の米中首脳会談をお膳立てしたのも、米イスラエル関係を主導するのも、ユダヤ人のクシュナーだと報じられている。 (Bannon Threatened to Resign Over Clashes With McMaster, Kushner, Ivanka) (Bannon Responds: "I Love A Gunfight")

 このような説得性がありそうな話が、事実かどうかはわからない。だが、バノンとクシュナーの戦いが激しくなり、バノンが最後の抵抗を試みていた感じの3月末に、トランプ政権のシリア戦略が「アサドを許す」方に大きく振れた。ティラーソン国務長官やヘイリー国連大使が相次いで「アサドを辞めさせるのは、もはや米国の目標でない」と表明した。だがその後、結局バノンがNSCから外され、4月4日の化学兵器事件を契機にトランプがアサド敵視へと激変し、その2日後に、トランプがシリアに巡航ミサイルを撃ち込んでいる。 (White House Shakeup? Rumors Swirl That Bannon / Priebus On The Chopping Block)

 バノンは、NSCを辞めたあとも、大統領首席戦略官というトランプ側近の要職を保持している。だが、それも近いうちに辞めさせられるのでないかと、米マスコミが報じている。 (Donald Trump Considers Major Shake-up of Senior White House Team)

 これはつまり、トランプが自らの保身のため、軍産潰しの「革命」「覇権放棄(多極化)戦略」をあきらめて、一気に正反対の軍産傀儡、覇権主義に転換したということなのか?。シリアの状況を見ると、そうも言い切れない。トランプは軍産お得意の、濡れ衣に基づくシリアへのミサイル攻撃を挙行した。だが、すでに書いたように、その攻撃は、アサドとその背後にいる露イランを弱体化するどころか、むしろ強化している。 (Trump Betrays Trumpism: Syria in the Crosshairs by Justin Raimondo)

▼バノン式からオバマ式の戦いへと後退したトランプ

 トランプのもともとの戦略は「覇権放棄・多極化(隠然)推進」だ。トランプは当初、ロシアと仲良くして覇権を譲渡していくことを模索したが、軍産が「トランプ政権はロシアの傀儡だ」「ロシアは米国の選挙に介入してトランプを勝たせた」といった濡れ衣スキャンダルを展開し、トランプがロシアとの敵対を解いていくのを阻止した。対露協調の主導役だったマイケル・フリン安保担当補佐官が2月中旬に微罪で辞めさせられ、軍人のマクマスターと交代した。今回ついにバノンもNSCから追い出された。トランプは、覇権放棄戦略を正攻法で進められなくなった。 (フリン辞任めぐるトランプの深謀) (Trump says of Assad: "Something should happen") (Bannon Taken Off Trump National Security Council in Shake-Up)

 だが、正攻法でないやり方なら、まだやれる。トランプは、軍産の傀儡になってみせて、シリアを濡れ衣ミサイル攻撃したが、その結果見えてきたのは、ロシアと戦争できない以上、シリアをますます露イランアサドに任せるしかないという現実だった。「可愛い子どもたちを化学兵器で殺したアサドを武力で倒す」と(演技っぽく)激怒して息巻くトランプに対し、軍人や諜報界の人々は、ロシアと戦争することになるのでダメだと言い出している。おそらくNSCのマクマスターも、トランプに、米露戦争はできませんと進言している。トランプが軍産傀儡っぽく戦争したがるほど、軍産の人々は戦争したがらなくなる。 (Trump’s Bipartisan War Coalition) ("Assad Crossed Many, Many Lines": Trump Signals Imminent Change In Syria Policy)

 ネオコンやネオリベラルといった政治側の人々は、無責任に無茶苦茶な戦争をやりたがるが、軍人は、失敗するとわかっている戦争をやりたがらない。だからトランプは、NSC議長や国防長官といった地位に、マクマスターやマチスといった軍人を就かせている。戦争できない、どうしよう、と騒いでいるうちに、4月4日の化学兵器事件の真相が国連などの調査で暴露されていき、アサド政権は悪くないという話になる。ロシアと戦争したくない軍人たちが、アサド政権を濡れ衣から救う可能性が、すでに指摘されている。おそらくマスゴミは従来の濡れ衣戦争と同様、この真相をほとんど報じないだろう(マスゴミは全部つぶれた方が良いと言ったバノンは正しい)。しかし、外交官や軍人といった関係者たちは、濡れ衣を認めざるを得なくなる。米国の信用が低下し、トランプが正攻法でやった場合と似た結果になる。 (It Took A War For Trump To Win CNN's Approval: "Trump Became President Last Night")

 トランプが今回、突然に軍産の傀儡として振る舞い出してミサイルを発射したとたん、それまでトランプ敵視ばかりだった米議会が一転してトランプを称賛し始めた。反トランプなマスゴミの筆頭だったCNNが「トランプはようやく(一丁前の)大統領になった」と礼賛した。難航していた最高裁判事の人事の議会承認が、一気に可決した。議会の支持を維持できれば、経済や国内の政策も議会に通りやすくなる。結果が変わらないのであれば、バノンが提唱していた過激な正攻法のトランプ革命方式より、非正攻法の隠然とした傀儡演技の方が効率的ともいえる。 (Congress Backs Trump on Syria, Debates Its Own Role In Military Strikes) (In big win for Trump, Senate approves his conservative court pick) (不透明な表層下で進む中東の安定化)

 こうした非正攻法は、トランプの発案でない。オバマが得意とするやり方だった。オバマは13年夏に、今回のトランプと同種の、アルカイダが化学兵器を使ったのにそれがシリア政府軍のせいにされる濡れ衣事件に直面している。トランプはミサイル攻撃をやったが、平和主義を掲げるオバマはミサイル攻撃に踏み切らず、代わりにロシアをせっついてシリアに軍事進出させるところまで持っていった。ネオコンやネオリベは、オバマの「弱腰」を非難し続けたが、オバマは、シリアをロシアに押しつける多極化に成功した。この流れの中からイラン核協定も出てきた。トランプは、いくつもの点でオバマを批判しており、今回のミサイル攻撃も「弱腰のオバマが踏み切れなかったことを俺はやった」と豪語できるようにするための観がある。だが本質を見ると、トランプが目標とするもの(覇権放棄、多極化)は、オバマとかなり似ている。 (米英覇権を自滅させるシリア空爆騒動) (イランを再受容した国際社会) (Congress Supports U.S. Airstrikes Against Syria, Debates What Happens Next) (Russian PM: "US On Brink Of Military Clash With Russia")

(それ以前には、ビル・クリントンも、軍産からの批判を回避するため、スーダンの化学兵器工場=実は医薬品工場=などを98年に巡航ミサイルで破壊している) (Al-Shifa pharmaceutical factory)

 ゴラン高原でシリアと国境を接するイスラエルは、すでに、自国の安全保障を、米国よりもロシアに頼る傾向が強い。ゴラン高原のシリア側には、イスラエルの仇敵であるイラン傘下のヒズボラなどシーア派民兵が拠点を作っている。アサドがいるかぎり、イランやヒズボラはシリアを闊歩する。大きな脅威を感じ始めたイスラエルは、シリアとの国境地帯に、緩衝地帯を作り、戦争を避けたい。だがそれには、アサドの後見役であるロシアの協力が不可欠だ。 (Netanyahu seeks buffer zones against Iran and Hezbollah on Syria’s borders with Israel and Jordan) (Israeli-Russian clash over Hizballah’s Golan grab) (内戦後のシリアを策定するロシア)

 この件について、米国はほとんど役に立たない。米国の不能性は今回、トランプが軍産に譲歩してロシアと敵対してしまったことで、いっそう強くなった。軍産は本来、親イスラエルだが、イスラエルがロシアに近づくほど、ロシア敵視が不可欠な軍産は、イスラエルにとって迷惑な存在になっている。最近では、軍産との結託を強めている米民主党が、以前のごますりをやめて、イスラエル批判を強めている。イスラエルは、ロシアに頭が上がらなくなっている。イスラエルの右派閣僚が「化学兵器を使ったのはアサドだ。100%間違いない」と豪語したところ、その後の電話会談で、ネタニヤフがプーチンに強く叱られた。こんなのは一昨年ぐらいまでありえないことだった。 (Putin to Netanyahu: Unacceptable to Make 'Groundless Accusations' on Syria Chemical Attack) (イスラエルがロシアに頼る?)

 バノンがトランプ側近を辞任すると、おそらくトランプ政権内のナショナリストが総崩れになる。それは政治軍事だけでなく、経済の分野でも政策の大転換を引き起こしうる。以前に書いたが、米国がTPPに復帰し、NAFTAやWTOを再評価し、経済覇権の再獲得へと動くおそれがある。それについては、事態の推移を見ていきたい。 (金融界がトランプ政権を乗っ取り米国をTPPに戻す??)

 トランプがなぜ習近平がいるときにシリア攻撃を挙行したのかという点も書き忘れた。たぶん北朝鮮との絡みだろうが、これもあらためて考察する。 (What Will the Chinese Make of Trump Bombing Syria Over Dinner With Xi?) (Syria Attack Throws U.S.-China Summit Off Balance)


26. 中川隆[7822] koaQ7Jey 2017年4月17日 13:32:53 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8312]

2017年4月17日 矢部 武
トランプは悪性の人格障害!?米で精神科医らが解任求める

 トランプ大統領は6日、化学兵器の使用が疑われるシリアのアサド政権に対する攻撃を命じた。軍事作戦をためらったオバマ前大統領と違い、決断力と実行力があると誇示したかったのかもしれないが、はたしてこの「即断」は正しかったのか。国連決議や国際社会の支持を得ることなく、主権国家攻撃の根拠もシリア内戦終結の戦略も示さないまま、単独で武力行使に踏み切るのはかなりの危うさをはらんでいる。

 また、トランプ大統領は北朝鮮の核や弾道ミサイル開発をめぐり、中国の対応によっては米国が北朝鮮への軍事攻撃に踏み切る可能性をほのめかしている。もし米国が攻撃すれば、北朝鮮の報復によって韓国が火の海になるだけでなく、日本も甚大な被害を受ける可能性がある。そのリスクが大きすぎるために、米国の歴代政権は北朝鮮への軍事攻撃に踏み切らなかった。問題は気まぐれで衝動的なトランプ大統領が大惨事のリスクをすべて考慮に入れて、軍事的選択肢をテーブルの上に載せているのかということだ。

 実は米国ではいま、トランプ大統領の自己制御がきかない衝動性や精神不安定性に対する懸念が高まっている。きっかけは2月半ばに35人の精神科医らが連名でニューヨーク・タイムズ紙に送った、「トランプ氏は重大な精神不安定性を抱えており、大統領職を安全に務めるのは不可能だ」とする内容の投書だった。

 米国精神医学会(APA)は「精神科医が自ら診察していない公的人物の精神状態について意見を述べるのは非倫理的だ」とする規定を設けている。しかし、この投書の後、「危険性について認識しながら、沈黙しているのは逆に倫理に反する」として多くの精神医療の専門家(精神科医、臨床心理学者、ソーシャルワーカーなどを含む)が立ち上がり、トランプ大統領の解任を求める運動に加わっている。彼らが口を揃えて指摘するのは、「現実と空想の区別がつかない妄想症で、サイコパス(反社会性人格障害)の人物が核のボタンを握っていることの怖さ」である。

現実と空想の区別がつかない「妄想症」

 トランプ大統領は就任後も選挙戦中と同様、根拠のない発言を繰り返している。たとえば、就任式の参加者数がオバマ前大統領の時より少なかったと報じたマスコミを「嘘つきだ!」と非難し、「過去最大規模の人出だった」と主張した。CNNテレビなどが流した両者の就任式の映像を比べればトランプ氏の方が少ないことは明らかなのに、また、就任式当日のワシントンの地下鉄の乗降者数でもトランプ氏の方が少なかったことが報道されたにもかかわらず、トランプ氏は主張を変えなかった。

 選挙結果にしても、トランプ氏は選挙人数で民主党のヒラリー・クリントン候補を上回ったが、総得票数ではクリントン氏より約300万票少なかった。この事実を受け入れられなかったのか、トランプ氏は何の根拠も示さずに「得票数で負けたのは300万〜500万人の不法移民が不正に投票したからだ」などと突拍子もないことを言い出した。


ガートナー医師
 ジョンズ・ホプキンス医科大学での精神療法を含め、35年以上の実績と経験を持つジョン・ガートナー精神科医はトランプ氏の一連の言動をこう分析する。

「自分はベストで偉大だと思い込む誇大妄想の傾向が強いので、そこそこの勝利では我慢できないのだと思います。普通なら、“選挙に勝って大統領になったのだから十分だ”と考えるだろうが、彼の場合は“選挙人数でも得票数でも勝っていた”と主張しないと気がすまないのでしょう。就任式の参加者数でも同じことが言えます。トランプ氏は自分に都合の悪い現実を受け入れることができない。本当に危険なのは、彼が事実をねじ曲げ、自分の空想と一致するような“もう1つの事実”(嘘)を作り上げてしまうことです」

 トランプ氏は選挙戦中からずっと事実と異なる発言(嘘)を繰り返してきたが、目的を遂げるためなら平気で嘘をつき、それに対して自責の念を感じることも謝罪することもないというのが多くの専門家の意見だ。実際「トランプ氏の選挙戦中の発言のうち、77%は嘘だった」(『ポリティファクト』)との調査結果もある。

 そして、ロシアによる米大統領選介入にトランプ陣営が関わっていたのではないかとするFBI調査で追い詰められる中、トランプ氏は国民やメディアの関心をそらそうとしたのか、新たな暴言を吐いた。3月4日の朝、「なんということだ。オバマが投票日直前、トランプタワーを盗聴していたことがわかった。何も見つからなかったが、これはマッカーシズム(赤狩り)だ」とツイッターでつぶやいた。さらにこの後、「神聖な選挙戦の最中、私の電話を盗聴するとはオバマはどこまで落ちたのか。ニクソンのウォーターゲートと同じ悪い奴だ」などと立て続けに3回書き込みをした。

 結局、トランプ大統領からは何の証拠も示されず、FBIのジェームズ・コミー長官は「盗聴は起きていません」と議会で証言し、「トランプ大統領が言う盗聴を裏づける証拠はない」と明言した。

超ナルシストの「自己愛性人格障害」


メイヤー医師
 カリフォルニア州ロサンゼルスで精神科クリニックを約25年開業しているリン・メイヤー医師(臨床心理学博士)は最近、トランプ大統領の「精神障害」について他の医師と話す機会が多いが、ほとんどの人は「自己愛性人格障害」(NPD=Narcissistic Personality Disorder)を疑っているという。

 NPDは誇大妄想症、過剰な賞賛欲求、共感性の欠如などによって特徴づけられる人格障害である。米国精神医学会(APA)の「NPDの定義」によれば、多くの人は「自己愛性」の特徴を持っているが、そのうちNPDと診断される人は1%程度。次の9項目のうち5項目以上があてはまると、相当するという。

 1.自分の実績や才能を誇張する。
 2.無限の成功、権力、才能などの空想にとらわれている。
 3.自分は「特別」であると信じている。
 4.過剰な賞賛を求める。
 5.特権意識をもち、特別な取り計らいを期待する、
 6.対人関係で相手を不当に利用する。
 7.共感性の欠如。
 8.よく他人を妬み、または他人が自分を嫉妬していると思い込む。
 9.傲慢で横柄な行動や態度を示す。

 メイヤー医師は、「トランプ氏の場合、9項目すべてが当てはまるように思う。学校の成績でいえば“オールA”です」と話す。

「就任式の参加者数のことでメディアを批判したのは、どれだけ多くの人が自分を賞賛しているかを示す意味で重要だからです。一方、自分を批判する人に対して激しく攻撃するのは、批判を受け入れられないからです。褒めてほしい欲求が強すぎて批判に耐えられない、これもNPDの兆候です」

 さらにメイヤー医師はNPDを疑われる人物が核のボタンを握っていることについて警告する。

「最も注意しなければならないのは、結果をよく考えずに行動してしまう衝動性です。外国の指導者から否定的なことを言われたり、批判されたりした時に激しい怒りを抑えられず、行動に移す可能性があります。このような人物が核のボタンを握っているのは米国にとっても世界にとっても非常に危険だと思います」

 たしかにトランプ大統領が真夜中の執務室で核のボタンとツイッターを前にしている姿を想像するとぞっとする。世界最強の軍事力を誇る米国は7000個以上の核弾頭を所有するが、それを使用するかどうかは大統領の決定にかかっているのだ。

「世界でも最も危険な指導者になる」

 前出のガートナー医師も同様の懸念を示す。

「現実と空想の区別ができない妄想症のため、相手が攻撃を仕掛けてくると勝手に思い込み(現実は違うのに)、“想像上の敵”に向かって攻撃するかもしれない。このような人物に核のボタンを握らせるべきではないと思います」

 さらにトランプ氏の怖さはそれだけではない。豊富な診療経験を持つベテラン精神科医で心理学者のガートナー医師は、トランプ氏は非常に稀で深刻な「悪性の自己愛性人格障害(MNPD=Malignant Narcissistic Personality Disorder)」ではないかと推測する。MNPDは主にナルシシズム(自己愛性)、パラノイア(偏執病)、反社会性、サディズム(他人を傷つけて喜ぶ)の4つの要素を持ち、治療はほぼ不可能だという。

「パラノイアは移民やマイノリティへの侮蔑発言やメディアへの敵視などに現れ、反社会性は人々の権利を侵害したり、嘘をついても自責の念がまったくない所に現れています」

 MNPDという病名を最初に使ったのはナチスドイツの迫害から逃れた心理学者のエリック・フロム博士で、1964年にヒトラーなどファシズム指導者の精神構造を解明するために考え出した。そのため、MNPDは「ヒトラー型の人格障害」とも呼ばれているそうだ。

 ガートナー医師はこう続ける。

「これまで多くの人格障害患者を診てきたが、トランプ氏のケースは“最悪の最悪”と言ってよいでしょう。普通のNPDなら、問題はあってもなんとか大統領として4年の任期を全うできるかもしれません。でも、彼は悪性のNPDですから、それよりはるかに病的です。パラノイドで反社会的で妄想的で、現実と空想の区別ができない。精神医学の見地から言っても非常に危険です。たとえば、精神医学の研究所で“世界で最も危険な指導者をつくる実験”をしたとしても、彼以上の危険な“人格”をつくり出すのは難しいでしょう。彼は意図的に混乱をつくり出し、人を傷つけることに喜びを感じているのですから」

「トランプ解任」を求める動き

 にもかかわらず、トランプ大統領は今でも40%前後の支持率(4月11日のギャラップ調査で41%)を維持している。それについてガートナー医師は、「全ての人を常に騙すことはできないが、一部の人を騙すことはできる」というリンカーン大統領の言葉を引用しながら、「だからこそ、彼の危険性についてより多くの人々に知ってもらわなければならない。それを行うのは私たち精神科医の責任だと思っています」と話す。

 ガートナー医師は2月半ば、他の精神医療の専門家と一緒に「警告義務の会」(DTW)を結成した。DTWはトランプ大統領の人格障害や危険性についての情報をメディアや政治家に提供したり、憲法修正第25条を適用して職務不能を理由に解任を求める署名運動を行ったりしている。3月末の時点で3万人を超える精神医療の専門家が署名したという。

 第25条には「職務不能を理由に大統領を解任し、副大統領を代理に据えることができる」と規定されている。具体的には、「副大統領と閣僚の過半数が“大統領は職務上の権限と義務を遂行できない”と判断した場合、副大統領が直ちに職務を遂行する」というものだ。

 精神医療の専門家に連動するかのように、議会でも大統領の解任に向けた動きが出ている。野党・民主党のアール・ブルメンナウアー下院議員は2月半ばに憲法修正第25条の適用に備える会を立ち上げ、「妄想症で偏執病の大統領には本条項が適用される可能性はあると思います」との声明を発表した。

 また、医療助手として働いた経験を持つカレン・バース下院議員は、「トランプ氏の衝動性と自己抑制の欠如、精神不安定性は米国にとって非常に危険である」として、「トランプ大統領に精神科医の診断を求める」署名運動をchange.orgで始めた。「ダイアグノス・トランプ(DiagnoseTrump)」と呼ばれるページには、4月14日の時点で3万6882人の精神医療の専門家が署名している。

 前述の「警告義務の会」と合わせて6万6000人以上の専門家が(一部は重複しているかもしれない)、トランプ大統領の「精神障害」を懸念し、職務能力に疑問を持ち、政府や議会に適切な対応を求めているのである。

 憲法修正第25条はこれまで一度も適用されたことはなく、しかも副大統領や閣僚が「大統領にノーを突きつける」というハードルの高さを考えると、現実的には難しいかもしれない。しかし、トランプ大統領は他に自らのビジネスとの利益相反問題や選挙中のロシアとの不適切な関係など、弾劾訴追の大きな火種をかかえており、憲法第2条(弾劾規定)の適用を受けて解任される可能性はある。

 ロシア関連の調査は現在、FBIと上下両院の情報委員会で進められており、疑惑はどんどん膨らんでいる。そのため、トランプ大統領がシリア攻撃に踏み切ったのは、ロシア疑惑から国民の関心をそらす目的もあったのではないかとの指摘も出ている。

「公共政策世論調査」(PPP)が3月30日に発表した調査では、ロシア疑惑について国民の44%は「米国大統領選の介入でロシア政府とトランプ陣営は“共謀”したと思う」と答え、「そう思わない」(42%)を上回った。そして、「もし証拠が出たら、トランプ大統領は辞任すべきだ」と答えた人は53%にのぼった。

 与党・共和党が議会両院の多数を握っている現状では、普通に考えればトランプ大統領の弾劾は難しいかもしれない。しかし、ロシア疑惑の調査や「利益相反裁判」(トランプ氏は政治倫理監視団体から訴えられている)の行方次第では、世論が一気に高まる可能性はある。そうなれば、共和党の議員たちも「トランプ弾劾」に向けて動かざるを得なくなるだろう。そうしなければ、共和党は2018年11月の中間選挙で惨敗し、代わって多数を握った民主党が弾劾に向けて動きだす可能性が高いからである。

 ガートナー医師は最後に、「民主党が過半数を握ればトランプ大統領の弾劾訴追を行うでしょう。こちらの方が第25条より可能性は大きいと思います」と話した。

(ジャーナリスト 矢部 武)
http://diamond.jp/articles/-/124974


27. 中川隆[-7803] koaQ7Jey 2017年5月05日 10:16:10 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017.05.05
トランプ大統領の義理の息子が設立した会社にソロスやゴールドマン・サックスが多額の融資
ドナルド・トランプの娘、イバンカの存在感が強まっているが、その結婚相手である大統領の顧問を務めているジャレド・クシュナーが話題になっている。ジャレドは弟のジョシュアと2015年にカドリという会社を設立したが、その際に10億ドルの融資を受けていた。その中に投機家のジョージ・ソロスや投資銀行のゴールドマン・サックスが含まれ、ソロスは約2億5900万ドルを出しているという。昨年の大統領選挙でソロスはヒラリー・クリントンを支援、そのクリントンの敗北が決まってからはトランプの排除を目的とした「パープル革命」を仕掛けていた。

1990年代、夫のビル・クリントンが大統領だった時代にヒラリーと親しいマデリーン・オルブライトやビクトリア・ヌランドを政権内へ引き入れている。この政権は1997年にオルブライトが国務長官に就任してから一気に戦争へ進み始め、ユーゴスラビアを先制攻撃して解体することになった。

バラク・オバマ政権でヒラリーは国務長官になり、シリアやリビアへの侵略を推進、2010年10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィが惨殺されたと報告を受けた彼女は「来た、見た、死んだ」と口にし、喜んでいる。同じ頃、リビアのベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられた。その様子はYouTubeにアップロードされ、イギリスのデイリー・メール紙も伝えている。

カダフィ体制を倒した後、CIAは戦闘員と武器/兵器をトルコ経由でシリアへ運んだ。リビアを破壊したのはNATOの航空兵力とアル・カイダ系のLIFGであり、運ばれた戦闘員はアル・カイダ系の傭兵だ。武器/兵器の輸送はベンガジにあったCIAの施設が使われたが、アメリカ領事館も拠点のひとつ。

その領事館が2012年9月11日に襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使を含むアメリカ人が殺された。領事館が襲撃される前日、大使は武器輸送の責任者だったCIAの人間と会談、襲撃当日には武器を輸送する海運会社の人間と会っている。つまり大使も戦闘員や武器/兵器の輸送に関わっていたわけで、国務長官も知っていた可能性が高い。また工作の主体だったCIAの長官はヒラリーと親しいデイビッド・ペトレイアスだった。

当時、バラク・オバマ政権はシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すため、「穏健派」を支援していたが、この主張を揺るがす報告書が襲撃の前月、アメリカ軍の情報機関DIAからホワイトハウスに提出されている。シリアの反政府軍はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI(イラクのアル・カイダ)だと指摘、オバマ政権の政策が継続されるとシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフ主義者の支配国が作られる可能性があると警告している。この警告はダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)という形で現実になった。

この報告書が提出された2012年8月、オバマ大統領はシリアに対する直接的な軍事介入のレッド・ラインを生物化学兵器の使用だと宣言した。12月には、自暴自棄になったアサド大統領が化学兵器を使う可能性があるとヒラリーが発言した。化学兵器の使用、アメリカによると直接的な軍事介入という道筋が示された。

ところが、2013年1月にイギリスのデイリー・メール紙はオバマ政権の計画に水を差す記事を掲載した。シリアで化学兵器を使い、その責任をアサド政権になすりつけ、国際的な軍事行動を実現するという作戦をオバマ政権が許可したという内容だ。

そして3月と8月にシリアでは化学兵器の使用が問題になり、アメリカなどシリアを侵略していた国々はシリア政府軍が使ったと証拠も根拠も示さずに宣伝するが、現地調査したカトリック系聖職者の報告、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュ、トルコの国会議員、マサチューセッツ工科大学の教授などから西側の政府や有力メディアの宣伝とは逆の主張が具体的、あるいは科学的に示された。

化学兵器の使用はシリアに対するアメリカ/NATOの直接的な軍事介入を正当化するための偽旗作戦だった可能性が高いということだが、その偽旗作戦で重要な役割を果たしていたのがヒラリー。そのヒラリーを操ってきたひとりがソロス。トランプ政権に影響力を持つクシュナーへそのソロスから資金が流れていたということだ。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201705040000/


28. 中川隆[-7166] koaQ7Jey 2017年7月15日 14:28:21 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2017-07-15 ネットから繊細な人の生きる場所が消えて荒廃が幅を利かす


ドナルド・トランプが大統領に立候補してから、トランプのまわりは罵詈雑言と中傷と口論の嵐となっている。

マスコミとトランプ、トランプ支持者と民主党支持者、あるいは反トランプ主義者とトランプ自身が激しく互いを罵りあっている。

「無能、間抜け、低能、軽率、大統領の器ではない、まったく何も考えていない、外交を知らない、政治を知らない、品位がない、嘘つき、差別主義者、女性蔑視……」

これらはすべてドナルド・トランプに連日のように向けられている攻撃の言葉である。これほどマスコミに集中砲火を浴びながら実務を行う大統領も珍しい。

また、何か言われたら激しい言葉で罵り返す大統領も今までにないタイプだ。

こうした状況の中で、インターネット内では急激に言葉による暴力が過激化し、殺伐とした空間になっている。

2017年7月12日、CNNは、アメリカの成人4248人を対象にした調査で41%が誹謗中傷を受けた経験があり、66%が他人が誹謗中傷されているのを目撃し、そのほとんどがSNSで発生していると報道した。

どんなに批判を受けようとも我を貫き通す人物

この激しい誹謗中傷の蔓延に、グーグルやフェイスブックはついに対策を余儀なくされている。

しかし、直接的な誹謗中傷はインターネットの中でより蔓延していく可能性もある。もはや繊細な人は生きていけないような無法地帯になってもおかしくない。

この世には、批判されても中傷されても罵倒されても袋叩きにされても、まったく何の痛痒も感じないばかりか、むしろ他人の中傷・罵倒をエネルギーにして燃え上がっていく人間もいる。

ドナルド・トランプは、まさにそんな時代に現れた現代の象徴とも言える。

ドナルド・トランプの攻撃的な言動は反撥と憎悪を呼びやすい。だから、罵詈雑言を受けても自業自得という面もある。

しかしそれにしても、容姿から人格から政策まで、ほぼすべてに渡って凄まじい批判と中傷のネガティブ攻撃を受けても、気にしないでいられるというのは尋常ではない神経だ。

他人の評価のすべてを弾き飛ばす凄まじい闘争本能が最初から備わっている人物であるとも言える。まさにインターネット向きだ。

企業家の中にも、やはり激しい罵詈雑言を浴びてもまったく意に介さない人間がいて、たとえばスティーブ・ジョブズなどはその典型だった。

どんなに批判を受けようとも我を貫き通して、逆に自分を批判する人間を痛罵し、平気で切り捨てるような荒々しい性格だった。社員であっても容赦しなかった。

しかし、誰もがドナルド・トランプやスティーブ・ジョブズのような、批判を物の数とも思わないような性格を持ち合わせているわけではない。

多くの人は人格を傷つけるような誹謗中傷にさらされると、それを気に病み、恐れ、傷つき、落ち込む。しかし、それは「弱い」のではない。それが普通の人の姿なのである。

そんな中で、特に「繊細な心」を持った感受性の強い人たちは、激しい批判が続くと心が萎縮し、次第に精神のバランスを崩してしまうことになる。インターネットが精神を蝕む。


ドナルド・トランプ。容姿から人格から政策まで、ほぼすべてに渡って凄まじい批判と中傷のネガティブ攻撃を受けても、気にしないでいられるというのは尋常ではない神経だ。


人間の憎悪を止める方法は、発見されていない

繊細な心を持った人たちは、インターネット時代になって壮絶に生きにくい時代に入った。

インターネットの世界では、顔の見えない相手から突然、何の前触れもなく凄まじい批判が飛んでくる。そして、その批判と罵詈雑言は永久に記録されてそこに残る。

批判にさらされやすい有名人だけでなく、ごく普通の人たちでさえもそうなのだ。

その結果、インターネットの誹謗中傷が原因で深く落ち込んだり、鬱病になったり、自殺したりする人たちも激増した。

成人であっても誹謗中傷に耐えるのは覚悟がいる。

しかし、インターネットは成人だけのものではない。今や子供たちもスマートフォン経由でインターネットに接続し、SNSで友達とつながっている。だから、子供たちの間でもインターネットでのいじめが蔓延している。

インターネットは人々のコミュニケーションを円滑にする道具なのだが、それと同時に悪意と憎悪を相手に届ける道具でもあるのだ。

ここでは、憎悪が直接的で剥き出しだ。

そのため、もはや繊細な人たちが生きる場所は存在しないと思えるほど荒廃した社会になった。言論の自由があり、対策には抜け道がある以上、この荒廃はもっと加速していく。さらに深刻化する。

誰もが巻き込まれ、他人事ではなくなり、もっとひどくなり、恐ろしいことになる。

規制はもちろん避けられない。しかし、いかに罵詈雑言や中傷罵倒が規制されたとしても、それでインターネットが牧歌的になることは絶対にない。

人間の憎悪を止める方法は、発見されていない。

それは自分の身の回りの人間関係を見れば分かる。リアルの世界でも人間関係の対立やもつれや決裂があるのだから、インターネットでもそれが持ち込まれて当然なのである。


自分の身の回りの人間関係を見れば分かる。リアルの世界でも人間関係の対立やもつれや決裂があるのだから、インターネットでもそれが持ち込まれて当然なのである。


誰もが暴力と対峙しなければならない日がくる

人間は誰でも闇を抱えており、それはインターネットという空間にも充満する。そして、目を背けたくなる一歩手前まで状況は悪化していくことになる。

インターネットが深刻なのは、中傷や罵倒がいつまでも残って当事者を傷つけ続けるということだ。言葉の暴力が延々とリピートされる。

規制は意味を為さない。規制をすり抜けて、どんどん巧妙になって言葉の暴力は浸透していく。それが激しい勢いで個人に向かっていき、その人が破壊されるまで続く。

だから現代社会で最も深刻な危機にあるのは「繊細な心の持ち主」であると言える。

今後は、素直で優しく感受性が強く敏感でナイーブな性格の人間が生きられないような世の中になる。

こうした人たちは実は人間社会で最も重要な人たちである。彼らは社会に潤いと優しさと慈しみを与えてくれる。彼らは愛を表現することができる。

繊細であるが故に、その繊細な機敏を文学や音楽や絵画によって私たちに気付きを与えてくれる。その繊細さが、私たちに思いやりの重要さを教えてくれる。

美しい文化は、繊細な人たちの偉業で成し遂げられている。

ところが繊細な心の持ち主が生きていけないほどの罵詈雑言と誹謗中傷と叩き合いが蔓延するようになっている。そして、そうした叩き合いに耐性がついた人間が君臨していく世の中になっている。

叩き合いに耐性がついた人間というのは、自分が叩かれるのも平気だし他人を叩きのめすのも平気だ。

もともと、そういう性格の人がいるのだが、全世界でこうした人間たちが台頭し、言葉の暴力が吹き荒れ、突き刺さる危険な世の中になっていく。

これは誰にとっても他人事ではない。

暴力に満ち溢れた社会では、誰もが暴力と対峙しなければならない日がくる。「繊細な心」は今後の世の中を生きる上で致命傷になってしまうのだろうか……。

今のままで推移すると、どうやらそのようだ。


暴力に満ち溢れた社会では、誰もが暴力と対峙しなければならない日がくる。「繊細な心」は今後の世の中を生きる上で致命傷になってしまうのだろうか……。
https://www.bllackz.net/blackasia/content/20170715T0544410900.html


29. 中川隆[-7144] koaQ7Jey 2017年7月17日 11:24:24 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
米トランプとロシアの疑惑の関係、存在しなかった可能性…CIAによる捏造工作との見方
http://biz-journal.jp/2017/07/post_19808.html
2017.07.17 文=筈井利人/経済ジャーナリスト Business Journal


 ドナルド・トランプ米大統領周辺がロシアと不透明な関係にあるという「疑惑」が、米メディアによって盛んに報じられている。1970年代にニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件になぞらえて、「ロシアゲート」とも呼ばれる。しかし、これらの報道は信頼性に乏しく、むしろ「疑惑」を主張する側に危険な意図があるとの見方が強まっている。

 ロシアゲートの発端は、トランプ(共和党)、ヒラリー・クリントン(民主党)の両候補が争った米大統領選中の昨年夏、民主党全国委員会へのサイバー攻撃が発覚し、同委幹部らのメールが流出した事件。同12月9日、ワシントン・ポスト紙は米中央情報局(CIA)の秘密報告書を引用し、サイバー攻撃はロシア政府機関のハッカー集団によるもので、クリントン氏の当選を妨害し、トランプ氏の勝利を支援するものだったと報じた。

 このほか、「トランプ陣営関係者がロシア政府による選挙干渉を支援」「ロシア側と対ロ制裁について秘密裏に協議」「ロシア絡みで不透明なカネの流れ」といった「疑惑」が相次ぎ浮上。今年5月に米連邦捜査局(FBI)のコミー長官を突如解任したトランプ氏の司法妨害疑惑も加わった。

 米主流メディアはこれらの「疑惑」について繰り返し報道してきた。しかしワシントン・ポストによる最初の報道から半年以上が過ぎた今でも、「疑惑」を裏づける証拠は判明していない。

■「米側の共謀、根拠乏しく」

 米メディアの報道を受け売りしていた日本の報道機関も、さすがに冷静になり始めたようだ。日本経済新聞は7月7日、「米側の共謀、根拠乏しく」と題し、元米大統領法律顧問ピーター・ワリソン氏のインタビュー記事を掲載。同氏は「政府や議会の関係者がこぞって内部情報を漏らし、メディアもそれを十分に検証しないで一斉に報じている」などと厳しく指摘した。

 米国内でも以前から、「疑惑」報道に対する批判はあった。ウィルス対策ソフト開発の先駆者であるジョン・マカフィー氏は今年3月、ロシアの通信社スプートニクの取材に答え、こう述べている。

「断言してもいいが、民主党全国委にサイバー攻撃を仕掛けたのはロシアではない。使われたソフトウェアが古すぎる。政府のハッカーなら、最新版より機能が劣る古いバージョンのソフトは使わない」

 マカフィー氏はさらに、「サイバー攻撃の犯人を特定するのはほとんど不可能。優れたハッカーは自分の痕跡を隠し、誰か他人の仕業に見せかけることができる」とも指摘している。

 かりにロシアによるサイバー攻撃が事実だったとしても、大統領選の行方を左右するほど大きな影響力があったとは思われない。それを何より如実に示すのは、トランプ大統領もしばしば指摘するように、当時のオバマ政権がサイバー攻撃を知りながら、なんの手も打たなかったという事実だ。

 もしサイバー攻撃がそれほど重大なら、オバマ大統領は同じ民主党のクリントン氏を守るため、すぐさま対応したはずだ。ところが実際には何もしなかった。ニューヨーカー誌3月号の記事によれば、当時はクリントン氏が選挙戦で優位に立っていたため、オバマ大統領は積極的な反応を控えたという。もし強硬に対応すれば、勝てる選挙を無効にしてしまいかねないからだ。

■米国の武力によるクーデターや体制転換

 別のもっと重要な意味でも、ロシアのサイバー攻撃など大したことではないといえる。それは米国自身がこれまで世界中で行ってきた武力によるクーデターや体制転換などに比べれば、児戯に等しいということである。

 冷戦終結後、米国はイラク、アフガニスタン、イエメン、シリア、南スーダン、ソマリア、ウクライナなどで軍事介入を繰り返してきた。これらの国はいずれも内戦状態に陥り、国民は死の恐怖と隣り合わせで暮らす。

 ロシアを非難するクリントン氏自身、国務長官時代に北大西洋条約機構(NATO)軍によってリビアのカダフィ政権を崩壊させ、今に続く同国の混乱を招いた。選挙への介入程度であれば、さらに多数に上ることは想像に難くない。

 こうした米国自身による暴力的な介入と比べると、かりにロシアによるサイバー攻撃があったとして、それを大げさに騒ぐことがばかばかしく見えてくる。

■クリントン一家と金

 似たような話はほかにもある。今年2月、マイケル・フリン大統領補佐官(当時)が昨年12月に民間人の立場でロシアの駐米大使と対ロ制裁をめぐって協議したことが違法だと指摘され、辞任。翌月、フリン氏が2015年にロシアの政府系メディア「RT」などから講演料として計約5万6000ドル以上の支払いを受けていたとして、民主党議員が問題にした。

 しかしジャーナリストのロバート・パリー氏によれば、ヒラリー氏の夫であるビル・クリントン元大統領はモスクワで行った講演の対価として、ロシア政府系の投資銀行から50万ドルを受け取ったという。フリン氏の受け取った金額の10倍近い。

 さらにクリントン一家が主宰するクリントン財団は、何年にもわたりサウジアラビアから数百万ドルを受け取っている。サウジアラビアは中東と北アメリカの聖戦主義者を支持し、9.11テロ実行犯の大部分を生み出し、米国の外交政策に大きな影響力を及ぼしている。米国民にとってはフリン氏がロシアからわずかな金額を受け取ったことよりも、はるかに大きな問題のはずである。

■「第2の冷戦」を煽る情報機関

 もしサイバー攻撃を仕掛けたのがロシアでないとすれば、誰がやったのか。

 ひとつのヒントがある。内部告発サイト、ウィキリークスは今年3月、大量のCIA機密文書を公開した。それによると、CIAは他国が生産したサイバー攻撃ソフトを所有しており、それにはロシア製ソフトも含まれる。つまりCIAは自分で民主党全国委をサイバー攻撃し、ロシアの仕業に見せかけることもできたわけである。

 弁護士で平和活動家・著作家のダン・コバリック氏は「CIAがロシアを陥れるために民主党全国委の電子メールを入手し、漏らしたと疑うのはもっともなこと」と述べる。4月15日の本連載でも指摘したように、CIAは米国の軍事介入を正当化する偽情報を流布してきた前歴がある。2003年のイラク侵攻前には同国が大量破壊兵器を保有していると主張したが、結局事実ではなかった。

 CIAは米ロの緊張緩和に反対している。ロシアをサイバー攻撃の犯人に仕立て上げたとしても不思議ではない。

 トランプ大統領は少なくとも外から見る限り、ロシアのプーチン政権と友好関係を築こうとしている。その動機が商業的利益にあるとしても、友好そのものは間違っていないし、日本にとっても歓迎すべきことである。薄弱な根拠に基づいてロシアを悪者扱いし、「第2の冷戦」を煽る情報機関やメディアに踊らされないようにしたい。

(文=筈井利人/経済ジャーナリスト)

●参照文献(本文に記載したものを原則除く)
Trump, Putin, and the New Cold War(2017.3.6, newyorker.com)
WikiLeaks Releases Trove of Alleged C.I.A. Hacking Documents (2017.3.7, nytimes.com)
John McAfee : 'I Can Promise You It Wasn't Russia Who Hacked the DNC’(2017. 3.21, sputniknews.com)
Dan Kovalik, The Plot to Scapegoat Russia: How the CIA and the Deep State Have Conspired to Vilify Putin(2017, Skyhorse Publishing)


30. 中川隆[-6641] koaQ7Jey 2017年8月17日 07:04:36 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2017-08-16 緊迫する北朝鮮情勢、米中露の動向から何が見えるか

北朝鮮のキム・ジョンウン委員長がグアム島周辺へのミサイル発射計画を発表し、トランプ大統領が北朝鮮に核兵器を使用することを示唆するなど、緊張が続く北朝鮮情勢ですが、今後どうなるのでしょうか。アメリカもさすがに核兵器まで使うとは思えませんが、これまでも世界中で武力行使をしてきたアメリカのこと、何をしでかすか分からない恐ろしさがあります。

不思議なのは北朝鮮で、なぜこれほど強気なのでしょうか。中国やロシアが背景にいるとは言え、北朝鮮の行動はあまりにも行き過ぎており、国際世論を前にして中国やロシアもどこまで北朝鮮をかばいきれるか疑問です。南北対立の時代ならいざ知らず、中国もロシアも市場経済体制に移行しており、北朝鮮の戦略的意義がそれほど大きいとも思えません。

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北朝鮮の過激な行動がどのような結果を引き起こしているかをよく見ると、誰がその背景にいるのかも見えて来ます。
北朝鮮の過激な行動を受けて、国際情勢で最も大きな影響があったのはアメリカとロシア・中国の関係悪化です。トランプ大統領は就任した直後には、ロシアとの関係改善を目指していました。

ロシアは、トランプ政権になることでアメリカとの関係が改善することを期待していました。特に、ウクライナ問題に対する経済制裁の解除や、EUで台頭する反グローバリズム勢力との連携など、ロシアにとって大きなメリットが期待されていました。

中国の立場は微妙です。トランプ大統領就任時には中国を強く批判しており、ロシアゲート疑惑でトランプ大統領の追い落としを画策しているアメリカの民主党も支援していると思われますが、もう一方で中国は通商を通じてトランプ大統領との関係改善を図っており、国際世論を敵に回して、北朝鮮に過激な行動をとらせるほどのメリットは中国にも無さそうです。

やはり、アメリカとロシア・中国の関係悪化を一番喜んでいるのは、アメリカの反トランプ勢力だと思われます。アメリカの反トランプ勢力の中心はグローバリズムを推進する国際金融資本勢力=金貸し勢力です。アメリカとロシアが手を組むことで反グローバリズムの潮流が世界に広がることを最も恐れています。

ロシアゲート疑惑でトランプ大統領の追い落としを画策したものの、マスコミによる情報操作にもかかわらず、大衆のトランプ大統領支持が予想外に根強く、次の手として打って来たのが北朝鮮問題だと思われます。北朝鮮問題が大きくなってきた時期も、ロシアゲート事件の鎮静化の時期と並行しています。つい最近では、北朝鮮のミサイル技術はロシアから北朝鮮に供与されたとアメリカの研究機関が発表しています。北朝鮮がミサイル開発やアメリカ対する挑発を行っているのが、アメリカの反トランプ勢力の支援によるのであれば、北朝鮮がアメリカから攻撃される心配をするはずもなく、なぜあれほどトランプ大統領に対して強気なのかの説明も付きます。

心配なのは、アメリカ国内の対立構造です。北朝鮮を支援している実行部隊はCIAである可能性が高いですが、今やCIAとトランプ大統領は対立関係にあると思われ、必ずしもCIAの思惑通りに進むとは思えない事です。アメリカ軍は、トランプ大統領に忠誠を誓っており、米海軍太平洋艦隊司令官のスコット・スウィフト大将は「米軍のメンバーは全員がアメリカ憲法の遵守を宣誓している。外国や国内のすべての敵に対して、上官そして最高司令官である大統領の命令に従う」と発言しています。

トランプ大統領の過激な発言は、北朝鮮に向けて発信されたのではなく、北朝鮮の背後にいるアメリカ国内のCIAに対して発せられたのかもしれません。アメリカ国内の対立関係が激化した結果、トランプ大統領がCIAを抑え込むために、北朝鮮に武力攻撃を仕掛けるという可能性はありそうです。

■緊張緩和へ“提案”2017年7月5日
ロシアを訪れた中国の習近平国家主席とプーチン大統領は4日、モスクワで会談し、朝鮮半島問題に関する共同声明を発表しました。その中で、北朝鮮が核・ミサイル開発を凍結するのと引き換えにアメリカと韓国が大規模な合同軍事演習を停止するべきだとして、今週ドイツで開かれるG20サミットを前に、アメリカのトランプ政権と一線を画す姿勢を明確にしました。

■安保理で結論出ず 米中協議へ2017年7月6日
アメリカのヘイリー国連大使は、「同盟国とみずからを守るため、あらゆる能力を駆使する準備ができている」と述べて、軍事的な対応を排除しない姿勢を示して北朝鮮をけん制しました。さらに「北朝鮮が挑発をエスカレートさせた分だけ国際社会にもより厳しい対応を求める決議を数日中に提出する」と述べて、北朝鮮への石油の供給や航空、海運の制限を含む新たな制裁決議の必要性を訴えました。
一方、中国の劉結一国連大使は、「朝鮮半島の緊張を緩和するため、関係国は北朝鮮との無条件の対話に乗り出すべきだ」と主張し、ロシアも中国を支持したため、緊急会合では結論は出ず、北朝鮮への対応は、アメリカと中国が今後、協議することになりました。

■対北 非難声明をロシアが阻止2017年7月7日
国連の安保理は5日、対応を協議する緊急の会合を開き、アメリカが北朝鮮の発射を厳しく非難し、制裁の強化に言及した報道機関向けの声明の草案を日本を含むメンバー国に示しました。しかし、国連外交筋によりますと、ロシアは6日、ミサイルは長距離のICBMではなく中距離であり、中距離ミサイルの発射で制裁を強化する必要はないなどとして、全員一致が前提の声明の発表を阻止したということです。

■圧力強化か 緊張緩和か2017年7月9日
米中首脳会談が8日、ドイツのハンブルクでG20サミットの閉幕後に行われました。トランプ大統領は北朝鮮をめぐる、これまでの中国の対応に謝意を示したうえで、「何らかの行動を取らなければならない問題だ」と述べ、習主席にさらなる圧力を促しました。一方、習主席は「中国は対話と協議に基づく問題の解決を主張している。国際社会は対話を促し、危機管理を強める努力が必要だ」と述べ、圧力よりも緊張の緩和が優先だという考えを示しました。

■増えていた中朝貿易額2017年7月13日
中朝貿易のうち、北朝鮮からの輸入額は8億8000万ドルと、去年の同じ時期に比べ13.2%減り、国連安全保障理事会の制裁決議で原則禁止されている北朝鮮からの石炭輸入が、ことし2月以降、停止していることなどが減少の原因と見られます。一方で、北朝鮮への輸出額は16億7000万ドルと、29.1%増え、制裁対象ではない繊維製品などの輸出が増えたことが増加の要因だとしています。北朝鮮に対する国際的な圧力が強まる中でも、中国との貿易が北朝鮮経済を支えている状況が一層、鮮明になっています。

■CIA長官「秘密工作も検討」2017年7月28日
これはCIAのポンペイオ長官がアメリカのニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」のインタビューに対して明らかにしたものです。

「過去の政権は、まだ時間があると考えていたかもしれないがその段階は過ぎた」と述べ、CIAとしては外交による解決ができなかった場合に備えて、秘密工作やアメリカ軍の支援などいくつかの選択肢を検討していることを明らかにしました。ポンペイオ長官は、先週行われたフォーラムで、北朝鮮について「核の能力と核を手に入れたい者を切り離すことが重要だ」と発言していて、北朝鮮の体制転換は求めないとするトランプ政権の方針とは異なり、体制転換を目指す可能性を検討しているのではないかという見方も出ています。

■「トランプ大統領が命令すれば、米軍は中国を核攻撃する」米太平洋艦隊司令官2017年7月28日
7月27日、米海軍太平洋艦隊司令官のスコット・スウィフト大将は米軍最高司令官である大統領への忠誠を示した。オーストラリア国立大学の安全保障会議でスウィフトは、大統領の命令なら中国に核ミサイルを撃つことも辞さない、と語ったのだ。「米軍のメンバーは全員がアメリカ憲法の遵守を宣誓している。外国や国内のすべての敵に対して、上官そして最高司令官である大統領の命令に従う」

■「中国に大変失望」2017年7月30日
北朝鮮が、2回目のICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功したと発表したことを受けて、アメリカのトランプ大統領は、29日、みずからのツイッターに「中国には大変失望している。アメリカの過去の愚かな指導者たちが貿易で中国に大金を稼がせたのに、中国は北朝鮮に対して口先だけでわれわれのために何もしていない」と書き込み、北朝鮮への影響力を行使していないとして、中国への強い不満をあらわにしました。さらに「われわれはもはやこの事態が続くのを見過ごすわけにはいかない」と投稿し、今後、中国に対して何らかの措置を取る可能性を示唆しました。

■軍事力か、対話か2017年8月2日
アメリカの与党・共和党のグラム上院議員は1日、NBCテレビの番組で北朝鮮への対応をめぐってトランプ大統領と交わした会話の内容を明らかにしました。それによりますと、トランプ大統領は北朝鮮がアメリカを標的にICBM=大陸間弾道ミサイルの開発を続けるなら北朝鮮に対して戦争を行う可能性に言及したということです。そして「戦争が起こるとしたら向こうで起こる。大勢が死ぬとしてもアメリカではなく向こう側だ」と述べたということです。

■中朝外相 1年ぶり会談2017年8月6日
中国の王毅外相は、北朝鮮のリ・ヨンホ外相と訪問先のフィリピンでおよそ1年ぶりに会談し、朝鮮半島情勢について、「危機の臨界点に迫っているが、交渉に戻る決断をする転換点でもある」と述べて、北朝鮮に弾道ミサイルの発射などをやめ、アメリカなど関係各国との対話に臨むよう促しました。

■「過去最大の経済制裁」決議2017年8月6日
北朝鮮がICBM=大陸間弾道ミサイルだとする発射実験を2回行ったことを受けて、国連の安全保障理事会は、北朝鮮の主な収入源となっている石炭や海産物などの輸出を全面的に禁止する新たな制裁決議を全会一致で採択しました。アメリカは「北朝鮮に対する過去最大の経済制裁だ」として各国に着実な実行を求めました。

中国の劉結一国連大使は「アメリカが北朝鮮の政権転覆や崩壊を求めず、朝鮮半島の統一を急がず、南北の軍事境界線を越えて米軍を投入することはないと主張していることに留意している」と述べました。また、北朝鮮が核実験と弾道ミサイルの発射を停止するのと同時に、アメリカが韓国との合同軍事演習を中止するという、中国とロシアからの提案を受け入れるようアメリカに呼びかけました。

ロシアのネベンジャ国連大使は「決議の草案に盛り込まれたわれわれの提案が、支持されなかったことを懸念している」と述べました。また、「制裁と圧力だけでは朝鮮半島の問題は解決できない。追加制裁だけで終わるのではなく建設的な対話への手段とするべきだ」と訴えました。

■「炎と怒りに直面」トランプ氏、北朝鮮けん制 2017年8月9日
トランプ米大統領は8日、記者団に対し、北朝鮮が米国を脅かすなら「世界が見たこともないような炎と怒りに直面するだろう」と述べ、武力行使を示唆して核・ミサイル開発をけん制した。「北朝鮮にとって最善の策は、米国をこれ以上脅かさないようにすることだ」と警告した。

■トランプ氏「この力を使うことがなければいいが…」2017年8月9日
トランプ米大統領は9日朝、さらに米国の核兵器について、「核兵器の更新と現代化が、私の大統領としての最初の命令だった。今はかつてないほど強力だ」「この力を使うことがなければいいと望むが、我々が世界最強の国でなくなる時は決してない」などとツイートした。

■トランプ大統領 ツイッターで北朝鮮に再び強く警告2017年8月12日
11日には自身のツイッターに、「北朝鮮が愚かな行為をすれば軍事的に解決する手段は、今、完全に整っている。戦闘準備完了」と投稿し、軍事的な対抗措置も辞さない構えを示しました。そのうえで、「キム・ジョンウン(金正恩)が異なる道を進むことを願う」と書き込み、グアム島周辺に向けた弾道ミサイルの発射計画を今月中旬までに完成させると発表した北朝鮮に対して挑発行為をやめるよう再び強く警告しました。

ロシアのラブロフ外相は11日、アメリカと北朝鮮との間で激しい言葉の応酬が続いていることについて、「強く懸念している」と述べました。さらにアメリカと北朝鮮が軍事衝突する可能性について「危険性は非常に高い」と答えました。そのうえでアメリカに対し事態の沈静化に向けた行動をとるよう促しました。
中国外務省の耿爽報道官は11日、「現在、朝鮮半島情勢は、複雑かつ敏感であり、関係各国は言動を慎み、緊張緩和の助けとなることをするよう望む。緊張をエスカレートさせるような道を歩むべきではない」として、米朝双方に強く自制を求めました。

■中国 北朝鮮の石炭など全面禁輸 制裁実行をアピール2017年8月14日
中国の商務省は14日、採択を受けて対象となった石炭や鉄鉱石、海産物などの北朝鮮からの輸入を15日から全面的に禁止すると発表しました。発表によりますと、すでに中国に到着しているこれらの貨物についても来月5日以降は輸入手続きを禁止するとしていて、制裁を着実に実行する姿勢をアピールしています。

■北朝鮮 ICBM開発で旧ソビエト製ロケットエンジン入手か2017年8月15日
アメリカのロケット技術の専門家で、IISS=国際戦略研究所のマイケル・エルマン氏は14日、北朝鮮のICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星14型」や新型の中距離弾道ミサイル「火星12型」について、発射映像などに基づく最新の分析結果を発表しました。これらのミサイルには旧ソビエト製のロケットエンジンの改良型が使われている可能性が高いということです。このエンジンは旧ソビエトのICBMなどにも使用された液体燃料式で、北朝鮮では去年9月ごろから発射実験などで使われるようになったとしています。また、このエンジンを製造していた旧ソビエトのウクライナの工場が去年、財政難に陥っていたほか、過去に北朝鮮がこの工場からミサイル技術を得ようとした形跡が見られることから、この2年間に闇市場を通じて旧ソビエト製の強力なロケットエンジンの入手に成功した結果、ICBMの技術を急速に進展させた可能性があると指摘しています。

■ウクライナで製造のロケットエンジンを北朝鮮に提供か2017年8月16日
このエンジンについてウクライナ宇宙庁のラドチェンコ長官代行は「ウクライナで2001年まで製造され、ロシアに供給したロケットにすべて使用された」と述べ、そのうえで「北朝鮮との友好的な関係を考えると、ロシアにはロケットそのものやエンジンなどを提供する理由があるだろう」と述べ、ロシアが北朝鮮にエンジンを提供した疑いがあるという見方を示しました。

北朝鮮のミサイル開発をめぐる今回の指摘をめぐってはロシアのロゴージン副首相が15日、「北朝鮮はウクライナの専門家なしではエンジンの製造はできなかっただろう」としてウクライナによる技術提供があったという見方を示しています。
http://www.kanekashi.com/blog/2017/08/5400.html


31. 中川隆[-6646] koaQ7Jey 2017年8月20日 05:02:55 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

シリア爆撃にも反対した「極右」バノン首席戦略官、北朝鮮への軍事行動に反対で事実上更迭に2017年8月19日
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/6750

8月18日、トランプ政権を大統領選挙の頃から支えてきたスティーブ・バノン首席戦略官が辞任した。多くのメディアはトランプ大統領による事実上の更迭と伝えている。

トランプ政権入りする前までは保守系ウェブメディアのBreitbartの編集長を務めていたバノン氏は、反グローバリズムやアメリカ第一主義などのトランプ大統領の選挙公約を牽引してきた立役者であり、論敵である大手メディアからは「極右」「影の大統領」などと呼ばれてきた人物である。

トランプ大統領との蜜月と軋轢

大統領選挙で支持者を集めたトランプ氏の公約の多くは実質的にはバノン氏のものだと言われている。しかし政権発足後は大統領の娘でリベラル寄りのイヴァンカ氏や、その夫のクシュナー氏などとの対立から、トランプ大統領はこれまで何度かバノン氏の更迭を考えていた。バノン氏は特にクシュナー氏を「グローバリスト」と呼び批判していたが、身内の肩を持ったトランプ大統領によって左遷された経緯がある。

ホワイトハウス内でクシュナー氏やイヴァンカ氏との軋轢がもっとも表面化したのはトランプ政権によるシリア爆撃である。アメリカ第一主義を掲げるバノン氏は他国を攻撃するために米国が資金と労力を使うことに大いに反対したが、トランプ大統領はシリア攻撃を声高に主張したイヴァンカ氏とクシュナー氏の意見を採用、トマホークミサイルによる攻撃が行われた。

•娘のイヴァンカ氏、トランプ大統領にシリア攻撃を指示、反対した「極右」バノン氏は左遷へ

因みにこのシリア爆撃は、トランプ氏とヒラリー・クリントン氏の政治的意見が合致した珍しいケースでもあった。トランプ大統領が身内びいきのためにリベラルに寄った瞬間である。一方で攻撃に反対したバノン氏は、この頃より政権の中枢から姿を消すことになる。

何がバノン氏を辞任させたのか?

シリア爆撃の頃から明らかに左遷させられていたバノン氏だが、既に他を何人も解任しているトランプ大統領がバノン氏を即座には解任しなかったことには理由がある。保守派の象徴であるバノン氏を切り捨てることで、トランプ氏よりもバノン氏の方を支持している保守派の支持者を失うことを恐れたのである。

しかしながら、結局辞任の瞬間は訪れる。契機となったのはバノン氏がThe American Prospectによるインタビュー(原文英語)で、トランプ大統領の見解に反する意見を表明したことである。

バノン氏はこのインタビューで多くのことを語っているが、先ずは北朝鮮問題である。トランプ大統領は北朝鮮の核保有問題を解決するためには軍事的手段も辞さないと主張していたが、バノン氏はそれを否定した。


軍事的解決はない。忘れて良い。1,000万人のソウル市民が最初の30分の間に通常兵器で犠牲にならないと証明されない限りは、軍事的解決は有り得ない。

今から考えれば、この発言をした時には既にバノン氏は辞任を覚悟していたのだろう。最後に他国への軍事攻撃の否定という自分の主張を政権内の人間として通したことになる。こうした主張は、トランプ大統領の公約に含まれていたはずのものだった。

そしてもう一つトランプ大統領の発言と異なる主張をしたのは、白人至上主義についてである。

8月12日、ヴァージニア州のシャーロッツビルで白人至上主義者の集会が開かれ、反対派との衝突があり、その中で白人至上主義の男性が反対派の女性を車で轢き殺す事件が発生した。多くの政治家がこの事件に関連して白人至上主義を批判する中で、トランプ大統領は即座に批判声明を出さず、「双方の中に悪い人間が居た」との見解を出し、メディアの批判を浴びていた。

トランプ大統領は結局人種差別を批判するコメントを出すことになるのだが、バノン氏はこの件についてインタビューで迷いのない意見を表明している。以下の通りである。


民族主義的なナショナリズムは負け犬だ。彼らは政治的潮流の枝葉に過ぎない。大手メディアが大きく取り上げ過ぎているのだと思う。彼らをもっと叩き潰さなければならない。

こういう輩は道化の集まりだ。

一部の大手メディアはトランプ大統領が即座に批判しなかったのはバノン氏のせいではないかとしていたが、全くの誤解である。

結論

バノン氏も覚悟してのことだろうが、当然ながらこのインタビューはトランプ大統領の逆鱗に触れたらしい。そしてバノン氏は辞任させられた。解任にならなかったのは、やはりトランプ氏がバノン氏の支持者の支持を失うことを恐れたからだろう。ホワイトハウスは、バノン氏の「幸運を祈る」などと体の良いコメントを出している。

バノン氏の辞任後、色々なメディアが色々なことを書いている。ロイターによれば、バノン氏は政権内の「穏健派」と対立していたという。因みにその「穏健派」はシリアを爆撃した。

•娘のイヴァンカ氏、トランプ大統領にシリア攻撃を指示、反対した「極右」バノン氏は左遷へ

メディアの表現はいつも通り恣意的である。

バノン氏の事実上の更迭によって、トランプ政権のメンバーは既に発足当時のものとはほとんど別のものとなった。大統領選挙においてトランプ氏を支持した有権者の支持をこれからも得られるかどうかはトランプ氏次第だが、少なくともバノン氏の辞任で一定数の支持者がトランプ氏を見限ったことは確かだろう。
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/6750


32. 中川隆[-6623] koaQ7Jey 2017年8月23日 08:26:31 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙に勝利した理由2016年11月9日
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/4615

2016年のアメリカ大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の当選が決まった。恐らくは日本のメディアの偏向報道によりヒラリー・クリントン氏優勢の報道ばかり耳にしていた日本の人々には驚きをもって迎えられる結果かもしれないが、投票日以前にもトランプ氏優勢の世論調査は少なくなかったことはここで伝えてきている通りである。ヒラリー・クリントン氏を支持するメディアが報じていなかっただけである。

•トランプ氏支持率優勢の報道で騒ぐ日本国民のおめでたさ

しかしトランプ氏がこれほどの支持を集めた理由についてはここでも断片的にしか説明していなかった。そこで、この記事ではドナルド・トランプ氏が有権者に選ばれた理由について包括的に説明してゆきたい。

民主党の候補者選び

先ず第一に言えるのは、トランプ氏が勝利したのは、対立候補となった民主党の候補者がヒラリー・クリントン氏だったからである。

そもそもヒラリー・クリントン氏は政治家とメディアと大企業の支持によって民主党の大統領選候補となった政治家である。民主党支持の有権者の多くは貧困層に味方するバーニー・サンダース氏を選んでいた。しかしサンダース氏は有権者における人気にもかかわらず、民主党候補を選ぶ予備選でクリントン氏に敗退した。これは民主党の候補者選定システムのためである。

サンダース氏は一般の民主党支持者の支持率においてはヒラリー・クリントン氏を大きく引き離したが、民主党の政治家の票を獲得出来ず、その結果有権者における不人気にもかかわらずクリントン氏が民主党の候補として選ばれることとなった。一方でトランプ氏が出馬した共和党では純粋に一般有権者の支持によって候補者が決まる。民主党は元々が政治家と癒着した大企業を利するシステムなのである。

こうした結果は民主党支持者に大きな禍根を残した。そして政治家や大企業によって歪曲された民主党の党内政治を印象付ける結果となった。トランプ氏が選挙戦を通して非難していたのはそういう腐敗した政治システムそのものだったのだから、サンダース氏の支持者の一部がトランプ氏に流れたのは想像に難くない。

クリントン氏の薄い人望

原因はヒラリー・クリントン氏自身にもある。クリントン氏が権力以外の何にも興味がないことはアメリカ国民なら誰もが知っている。

例えば、クリントン氏は大企業の利益となるTPPに賛成していた。TPPは未だに内容が明らかになっていないが、食品などに使われる農薬などに対する規制緩和が含まれていると推測され、一般市民の健康を犠牲にして大企業を利する条約として悪名高いが、ヒラリー・クリントン氏にはそのようなことは関係がなかった。

しかしトランプ氏やサンダース氏などがTPPに反対してアメリカ国民の支持を得ると、途端にクリントン氏はTPP反対に回った。彼女に政策など存在しなかった。存在するのは大統領になれるかどうかという打算と、どのような政策を打ち出せば企業が政治献金をしてくれるかということだけである。

一方でトランプ氏は政治献金をほとんど受け付けず、主に自腹による選挙活動を行った。選挙資金ではクリントン氏に大いに見劣りし、広告合戦では不利な面もあったが、それがトランプ氏の反政治腐敗のイメージを植え付ける結果となった。トランプ氏の選挙戦は主にTwitterとFacebook、そして各地での集会によって行われた。

日本ではトランプ氏こそが大統領になりたいだけだとか、売名行為だとかいう非常に浅い理解による馬鹿げた評が一部見受けられたが、そのような子供じみた理由で私財の多くを投げ打ち、暗殺されるリスクを顧みずに大統領選挙に出馬する人間はいない。常識的に考えれば分かるだろう。それが良いものであれ悪いものであれ、トランプ氏には目的があったのである。クリントン氏にはそれが無かった。

マスコミのヒラリー贔屓

そのような「何もない」ヒラリー・クリントン氏を無理矢理持ち上げようとしたのがメディアである。例えばこれまでの世論調査では、クリントン氏優勢となっているものが恣意的に選ばれて報道されていた。トランプ氏優勢のものが一度だけ報道されたとき、それに驚いていた日本人の反応に苦言を呈したのは少し前のことである。

•トランプ氏支持率優勢の報道で騒ぐ日本国民のおめでたさ

マスコミはこぞってヒラリー・クリントン氏を常識的な選択とし、トランプ氏の支持者は頭の悪いレイシストだとして扱った。ヒラリー・クリントン氏も自らそういう発言をした。非常に残念ながら日本でのイメージも大多数の人にとってはそういうものだろう。

しかしそれはアメリカ国民の思いとは完全に乖離している。ヒラリー・クリントン氏に反対するアメリカの有権者には断固たる理由があった。そしてマスコミに心無い非難をされ、馬鹿に馬鹿と言われたトランプ氏の支持者たちは、自分たちの票で大統領選挙を覆そうと強く決心した。そして元々はクリントン氏の支持者であっても、このようなメディアの偏向報道を見て何かがおかしいと思った有権者もあったことだろう。

高まる反グローバリズムの気運

そして最後に挙げられるのはやはり反グローバリズムである。上に書いたTPPなどは格好の標的となった。大企業は国民を農薬漬けにすることで金を儲けようとしている。反移民もトランプ氏の大きな支持基盤の一つである。大企業は安い労働力が欲しいためだけに移民政策を推進する政治家を支持し、メディアはそれを援護射撃するために可哀想な移民の子供の写真を載せるのである。

一部の指摘によればそうした写真の一部はでっち上げられたものだと言う。しかし自分の頭で考えない一部の有権者にはそのようなことは関係がない。その結果、現地の女性が性的暴行を受け、多くの人々がテロで殺されたとしても政治家や大企業、メディアの知ったことではないということである。ヨーロッパでは大惨事となっている。

•ヨーロッパ移民問題: 止まらない大量殺人と性的暴行、今度はミュンヘンでイラン人が銃乱射

このような馬鹿げた事態にもかかわらず、メディアによればグローバリズムは常識的、理性的選択であり、彼らはそれに反する政治的主張は反理性主義であるとまで言い放った。しかし彼らの選択によって現地住民はおろか騙された移民でさえも不幸な目にあっている。文化も言語も異なる国にいきなり移り住んで生計を立てることが簡単であるはずがない。繰り返すが、彼らの多くは難民ではなく、自国でも十分暮らせたであろう出稼ぎの移民なのである。

•ヨーロッパには移民受け入れ能力はない: イタリアで邂逅した少女の話とドイツの欺瞞

ヒラリー・クリントン氏の支持者はトランプ氏を嘘つきだと繰り返し主張したが、嘘に塗れていたのはクリントン氏の裏で団結したグローバリズムという利権である。このような偽善に反旗を翻さないまともな人間があるだろうか? イギリス人は少なくともそれを知っていたのである。

•国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力

ヨーロッパでは既に惨劇が起きたが、アメリカはそれを未然に防いだ形となる。アメリカの有権者の方が日本人よりもよほどまともである。

今や先進国でグローバリズムを喜々として推進している国は日本だけとなった。TPPも移民政策も日本だけが乗り気である。

•安倍首相がシリア難民150人受け入れを発表、日本の治安と文化は終焉へ

グローバリズムの闇についてはここでは語り尽くせないほどのことがある。興味のある読者は他の記事も読んでみてもらいたい。大富豪のジョージ・ソロス氏も、OECDも、日本で言えば財務省も、すべては同じ穴の狢なのである。彼らの終わりの日が来たということである。日本人も立ち上がるべきではないか。


•ソロス vs イスラエル: イェルサレム・ポストがジョージ・ソロス氏の政治活動を痛烈批判

•イギリスのEU離脱でOECDと財務省が化けの皮を剥がされる

http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/4615


33. 中川隆[-6629] koaQ7Jey 2017年8月23日 08:30:17 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

世界最大のヘッジファンド、米国株下落の原因を説明2017年8月22日
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/6772

米国株がやや荒れている。この株安については著名投資家のガントラック氏が事前に予想していたが、しかし株価はガントラック氏の予想したものとは異なる理由で下落しているということを前回の記事で説明したばかりである。
•ガントラック氏の米国株下落予想は当たったのか?

ガントラック氏によれば、世界的な経済成長への期待から長期金利が上昇し、金利上昇が株式市場にとって重荷になるということであった。しかし実際には、金利はむしろ低下したにもかかわらず、株式市場は下落を開始した。

では、米国株を下落させた本当の原因は何だったのか? 丁度良いタイミングで世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運営するレイ・ダリオ氏が、このテーマについてLinkedIn内のブログ(原文英語)で語っているので、これを紹介したい。

ダリオ氏が語る米国株下落の原因

米国株の下落の理由は金利上昇ではなかった。それは長期金利のチャートを見れば明らかだろう。

金利はむしろ低位に留まっている。

では何が原因なのか? ダリオ氏が指摘する本当の原因は政治リスクなのだが、彼は単にトランプ政権内の混乱というよりも広い視野でこの問題を見ているようである。

昨年の大統領選挙の様子をここでリアルタイムで追いかけていた読者にはある程度分かってもらえると思うが、アメリカ国内の保守派とリベラルの対立はかなり激化している。トランプ氏を支持するか、ヒラリー・クリントン氏を支持するかで、家族や友人と仲違いしたり、中には離婚に陥ったアメリカ人も居るようである。

•ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙に勝利した理由

ダリオ氏はアメリカ国内がこのように政治的に分断されている状況を、統計を持ち出して以下のように端的に説明している。


例えば、ドナルド・トランプの支持率35%というのは、共和党支持者の79%と民主党支持者の7%で成り立っている。トランプ大統領を支持する層のうち、61%は彼が何をしようとも支持し続けるだろうと言い、非支持者の57%は大統領について今後意見を変えるつもりはないと言っている。

言い換えれば、アメリカ人の大部分は政治と国の未来について強力かつ頑固に対立しているということである。

ダリオ氏の指摘で重要なのは、これはトランプ政権に限定された問題ではなく、どういう大統領かにかかわらず、アメリカの人口の大半はそもそも政治的に反対の方向に行きたいと思っており、この対立は誰が大統領になろうとも落ち着くことはなく、一方が満足すれば他方が不満足になるということである。

では、この対立は株式市場にどのような影響をもたらすか? ダリオ氏は以下のように語る。


現状、アメリカ経済自体には大したリスクは認識されていないが、日々高まってゆくこうした対立が、政権が法案を議会に通して成立させる能力を損なったり、その他の問題を引き起こしたりすることを心配している。

因みにダリオ氏は、トランプ相場の初期において、トランプ政権の経済政策が実現すると仮定すれば、米国株が上昇するのは「完全に論理的」であると主張していた。だからトランプ政権の政策が議会を通らないのは米国株にとって下落方向のリスクというわけである。

•世界最大のヘッジファンド: トランプ相場で株価上昇は完全に論理的

しかし、ダリオ氏の論点は、このアメリカ国内の分断はトランプ大統領の任期4年に限定されたものではなく、何らかの形で解決されない限り、今後ずっとアメリカ国内にくすぶり続ける問題だということである。

恐らく、ダリオ氏が見ているのはこの問題が米国株の短期的下落に留まらず、国際社会全体にとって大きな問題に波及する可能性だろう。彼は今年に入って何度も、今の状況と第二次世界大戦勃発前の国際社会とを比較している。


われわれは経済的、社会的に分断され、重荷を負っている状態であり、その状況は1937年に非常に近いもののように思える。

結論

米国株を下落させたのは、ガントラック氏の予想した金利上昇ではなく、ダリオ氏が以前より心配していた政治リスクの方であった。現状を以上のように分析して、ダリオ氏は自分の現在の投資方針をこう語る。


この状況をどれだけ上手く切り抜けられるかどうかは、従来重要とされていた金融及び財政政策よりも、経済と人々の生活に対して大きな影響を及ぼすと考えている。引き続き状況がどう対処されるかを注意深く見続けようと思う。現状では、上手く対処されていないので、短期的にリスクオフの姿勢を取っている。

短期的なリスクオフというのは、他の著名な投資家と同意するところだろう。

しかしより大きい問題は、この西洋社会の分断が結局はどのように進んでゆくのかということである。イギリスは移民歓迎のリベラルに背を向けてEUを離脱した。アメリカはトランプ大統領を選んだ。フランスは反移民のルペン氏を退け、親EUのマクロン大統領を選んだ。


•国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力

•ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選挙に勝利した理由

•フランス大統領選挙結果速報: マクロン氏が史上最年少の仏大統領へ


この社会的分断が今後どうなるかである。世界最高のヘッジファンドマネージャーの一人、レイ・ダリオ氏が危惧する世界大戦というシナリオが実現しないことを祈りたいものである。しかし、投資家としてはその時の金融市場の動きの想定を、頭の片隅に置き始めなければならないのかもしれない。
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/6772


34. 中川隆[-6507] koaQ7Jey 2017年9月05日 19:32:13 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2017年9月4日 トランプ大統領が大半の共和党議員よりもずっと“リベラル”な理由
[橘玲の日々刻々]


 アメリカ南部のバージニア州シャーロッツビルに「白人至上主義」団体が集結し、極右の若者が集会に反対するひとたちに車で突っ込んだことで、死者1名と多数の負傷者が出ました。事件のきっかけは、南北戦争で南軍の英雄だったロバート・リー将軍の銅像を市内の公園から撤去しようとする計画に白人の極右団体などが反発したことです。

 2015年6月に南部サウスカロライナ州チャールストンの黒人教会で極右の青年が銃を乱射し9人が犠牲になった事件を機に、南部連合の軍旗やリー将軍の銅像などを「奴隷制の象徴」として撤去する動きが広がりました。一部の白人がそれに反対しているのですが、ややこしいのは、リー将軍自身は奴隷制に反対しており、南北戦争後はバージニア州のワシントン大学学長に就任して南部復興に尽力するなど、人格者として高く評価されていることです。極右とその周辺のひとたちにとっては、奴隷制に反対した人物を「奴隷制の象徴」にするのは、歴史の歪曲以外のなにものでもないのでしょう。

 混乱に輪をかけたのは、トランプ大統領が「一方の集団は悪かったが、もう一方の集団もとても暴力的だった」などと、“喧嘩両成敗”のような発言を繰り返していることです。それを秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)の元指導者が「左翼のテロリストを非難した大統領の誠意と勇気に感謝する」と歓迎したことで、人種差別とのはげしい非難にさらされることになりました。

 しかしこのことから、トランプを「レイシスト」と短絡することはできません。白人至上主義者のなかにはネオナチに心酔する者もたくさんいますが、周知のようにトランプの娘婿はユダヤ人で、政権の中枢で重要な役割を果たしているからです。

 トランプの過激な発言を追っていくと、たしかにヒスパニックの「不法移民」に対しては排外的な主張をしているものの、市民権を持つヒスパニックを批判することはありません。キリスト教原理主義にちかい共和党右派は中絶に反対し、同性愛を神への冒瀆と考え、黒人に対するアファーマティブ・アクション(マイノリティへの優遇措置)を否定しますが、大統領就任後もトランプは女性やLGBT、黒人を敵に回すような言動は慎重に避けています。客観的に見れば、その政治理念は共和党の大半の議員よりずっと“リベラル”なのです。

 こうした態度は、トランプが政治をビジネスと考えているとすると、きわめて容易に理解できます。

 再選を目指す大統領にとって、投票権をもつ者はすべて「潜在顧客」です。それに対して「不法移民」や「(外国の)イスラーム」「中国(あるいはEUや日本)」は市民権をもっていないので、いくら批判してもかまわないのです。

 シャーロッツビルの事件後の対応も、同じ論理で説明できます。

 白人至上主義者はトランプ支持者の中核、いわばリピーター(優良顧客)です。どのような商売もリピーターを大事にしなければ立ち行きませんし、「右翼」を批判したところで「左翼」は態度を変えようとは思わないでしょう。だとすれば、ビジネスの論理によって、どれほど批判されようともトランプが「レイシズム」を擁護するのは当然なのです。

『週刊プレイボーイ』2017年8月28日発売号に掲載
http://diamond.jp/articles/-/141044


35. 中川隆[-6375] koaQ7Jey 2017年10月03日 17:16:08 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

なぜアメリカ合州国は第四帝国なのか
Finian CUNNINGHAM 2017年9月27日
Strategic Culture Foundation
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/10/post-e5c4.html

先週の国連での、トランプ大統領による北朝鮮を“完全に破壊する”宣言や、彼がアメリカの軍事力をまくしたてるのは、ナチス第三帝国が“総力戦”を言うのといい勝負だ。

トランプや彼の閣僚幹部が北朝鮮や他の反抗的な国々に対する“軍事的な選択肢”を、いとも気軽に口にするのは、国連憲章のみならず、ナチス指導部のニュルンベルク裁判で確立された国際法の原則にもまず間違いなく違反する。明らかな自衛行動でない戦争を威嚇に利用するのは“侵略”だ。

ドナルド・J・トランプ大統領のもとのアメリカ合州国は、戦争を始める自称の“権利”を、これまで以上にあからさまに採用している。北朝鮮に対する“自衛”という度を越した主張は、侵略の身勝手な言い訳だ。トランプが北朝鮮指導者金正恩は“長続きしないだろう”と言えば、その言葉は、アメリカが“宣戦布告”したと北朝鮮が考える合理的な根拠になる - 特に、“あらゆる選択肢”を用いるというアメリカによって繰り返される軍事的威嚇という文脈で。

国連総会でのトランプのやくざのごとき演説は、世界機関の平和構築という公式任務に対する衝撃的な拒絶だった。好戦的なトランプを、一部の評論家たちは、1938年-39年頃のニュルンベルクでの党大会におけるナチス演説になぞらえている。

アメリカ人評論家のポール・クレイグ・ロバーツは、アメリカは今や第四帝国、つまりナチス第三帝国の後継者だと、気味悪く要約した。

ポール・クレイグ・ロバーツのような名声ある人物が、そうした重大なコメントをするなら、耳を傾けねばなるまい。かけだしがふっかけている誇張した単なる口論ではないのだ。ロバーツ氏の業績は申し分がない。1980年代、ロナルド・レーガン政権で、彼は財務省次官補をつとめた。ロバーツ氏は、ウオール・ストリート・ジャーナルで編集者もつとめ、受章もしている著作者だ。尊敬される元政府部内者が、アメリカを“第四帝国”と呼ぶのは、アメリカがルビコンを超えている証しだ。

だが真実を言えば、アメリカはとうの昔にルビコンを超え、暗い領域に入っている。アメリカ国家を、ナチス・ドイツになぞらえるのは、単なる比喩ではない。 極めて現実的な歴史的なつながりが存在するのだ。

第二次世界大戦とナチス・ドイツ敗北の余波の中、1947年にアメリカ中央情報局(CIA)が創設されてから、今年で70周年だ。アメリカ人著者、ダグラス・ヴァレンティンが最近言った。節目は、CIA“70年間の組織犯罪”の象徴だ。

CIAとペンタゴンのアメリカ軍指導者たちは、多くの点で、ナチス・ドイツの継承者だ。第二次世界大戦後、何千人ものナチス軍、諜報機関幹部、科学者やエンジニアが、ペンタゴンや初期のCIAによって、すぐさま採用された。

1945年末、アメリカ統合参謀本部が承認したペーパークリップ作戦は、 ナチス・ミサイル技術を受け入れる上で極めて重要だった。ナチス親衛隊少佐、ヴェルナー・フォン・ブラウンや他の何百人ものロケット専門家たちが、アメリカ兵器開発と、NASA宇宙計画で貢献した。

アレン・ダレスや他の初期のCIA幹部(組織は、1947年まで、戦略諜報局OSSと呼ばれていた)が監督したサンライズ作戦で、ナチスの最高司令官たちが、裁判を逃れ、ヨーロッパから脱出するための“縄ばしご”を作った。アメリカCIAが支援・幇助したナチス幹部の中には、カール・ヴォルフ大将とラインハルト・ゲーレン少将がいた。

アメリカの諜報機関と軍と第三帝国残滓とのつながりが、CIAとペンタゴンという組織自体と、その対ソ連冷戦イデオロギーを生み出した。アメリカは、ヨーロッパ各国から盗まれたナチスの金で恩恵を受けたのみならず、アメリカは、第三帝国の諜報や、秘密の軍事技術を利用した。(例えば、David Talbotの著書、The Devil's Chessboard、on formation of CIA.を参照)

ラインハルト・ゲーレン少将は、戦後、ワシントンで仕事についたあと、ウクライナ・ファシストの多くの知己とともに、第二次世界大戦後の何十年間も、ソ連国境内で妨害工作を行う、ゲーレン組織を立ち上げた。

第二次世界大戦後、アメリカ合州国の権力構造は、二つになった。一方には、選出された議員たちと大統領による公式政権がある。もう一方には、CIAとアメリカ軍産複合体で構成される“秘密の政府”で本当に権力を持った人々がいる。

アメリカの“秘密の政府”あるいは“陰の政府”は、過去70年間、思い通りにしてきた。民主党、共和党、どちらの政治家が選ばれようと、政府政策に大きな影響はない。大企業権力という支配層エリートの要求応えるCIAと“陰の政府”が采配を振るっているのだ。言うことを聞かない大統領は誰であれ、1963年11月に暗殺されたジョン・F・ケネディのような仕打ちをうける。そこで選挙後、トランプがいくじなく降伏するわけだ。

ナチスの戦時略奪品からの資金があり、ロシア嫌いで、国際法を軽視するCIAとアメリカ軍は必然的に殺人マシンとなった。

第二次世界大戦からわずか五年後、アメリカは“世界共産主義を打ち破る”という名目で朝鮮と戦争を始めた。アメリカ1950年-53年の朝鮮戦争中に使ったの多くは新軍事技術は、ペーパークリップ作戦で採用されたナチス・エンジニアが開発したものだった。アメリカが朝鮮にふるった虐殺的破壊は、第三帝国が行った蛮行と違いはない。

過去70年にわたり、アメリカ支配者連中は、公然の戦争、クーデター、暗殺や代理戦争を世界中の何十もの国々にしかけてきた。このアメリカの破壊による世界の死者数は、2000万人と推計されている。

アメリカ指導者が“アメリカ例外主義”を褒めたたえるのは、戦略的権益を推進するための“覇権”と軍事力を行使する“権利”の婉曲表現だ。これは、他国の征服を正当化するために引き合いにだされていた第三帝国至高主義思考と何ら変わらない。

トランプと彼の閣僚が、北朝鮮を絶滅すると威嚇する際、精神構造には前例がないわけではない。第二次世界大戦以来、ほとんど全てのアメリカ指導者が、 “敵国”とされた国々に対する同じ一方的な武力行使を行ってきた。トランプが代表しているものは、同じ侵略を一層むき出しにしたものに過ぎない。

アメリカの暴力による世界中の恐るべき死亡者数に加えて、現在アメリカは、軍に、ロシアが使っているものの10倍、あるいは、続いて軍事支出の大きな九カ国が割り当てているものの10倍、毎年約7000億ドル使っていることに留意すべきだ。アメリカは、軍事基地世界中の100カ国以上に置いている。過去四半世紀、アメリカは恒久的な違法戦争状態にある。

アメリカが、直接の前身をナチス・ドイツとする、第四帝国だというのは決して誇張ではない。第二次世界大戦後の、ナチス要員と違法な資金によるCIAとペンタゴンの発展が、アメリカ支配者が、第三帝国のイデオロギーに染まるのを保証したのだ。

偏見のない人々にとって、アメリカ第四帝国の遺産伝承は明らかだ。侵略戦争、大虐殺、代理戦争、クーデター、暗殺部隊、大規模国民監視、マスコミ・プロパガンダと大規模拷問 - 全て何の罪も問われないままの独善。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/09/27/why-united-states-fourth-reich.html
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孫崎享氏の今朝のメルマガを一部、断片的にコピーさせていただこう。


「希望の党」。小池氏、前原氏、長島氏等米国の「ジャパンハンドラー」と強い結びつき。組織づくりも、米国の指示に従うのか。共同報道の、組織の「ガバナンス長」って、日本人にどれ位通用しているか。英語は、「Chief governance officer」。

希望の党の規約案全文が1日、判明した。

・ガバナンス長は役員として、コンプライアンス(法令順守)やガバナンス(組織統治)の構築を統括。国会議員でなくても就任できる。

この組織のあり様は、日本人が書いたとは思えない。

ガバナンス長?どこの何様かと思わせる傲慢な物言い、宗主国陰の政府がついていればこそと納得。

安保法制に賛成の人間しか受け入れない。つまり属国化推進派=宗主国走狗集団。

電車中吊り広告で、選挙直後に開催される大学セミナー広告を見た。登場人物を見れば中身がわかる。ジャパン・ハンドラー様が中心。属国の大学は、ハーバード大学どころの奴隷度でないと感心。ムサシ選挙の監督もかねて来日し、説教するのだろうか。

大本営広報部、一つ見たが、方針が変わることは必ずしも悪くないという説を開陳する論説委員にあきれた。風に合わせて「方針を変える」のが方針のような人間をどうして信じられるだろう。

ということで、大本営広報部でない組織から情報を得たいと思う。

日刊IWJガイド「本日にも『希望の党』の一次公認候補者が発表に!『合流』を決めて「軍門」にくだる民進党議員らは含まれるのか!?/民進党・リベラル派の議員らが次々『無所属』『非希望』を表明!新党結成か?『前原解任・合流撤回案』も!/枝野幸男氏が市民の前に登場!『何があってもブレない、媚びない』!/安倍自民でも小池希望でもない社・共とリベラルの第三極結集へ! リベラル派歓迎! の社民党・福島みずほ氏に岩上安身が本日午後4時からインタビュー!/本日18時からは阿部知子氏の街宣を中継!」2017.10.2日号〜No.1844号〜
http://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/32586


36. 中川隆[-5784] koaQ7Jey 2017年12月07日 10:04:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

トランプがイスラエル大使館をエルサレムに移す「理由」とは?
2017年12月07日


トランプはエルサレムをイスラエルの首都として公式に認め、米国大使館もエルサレムに移転させると表明しました。現地時間6日にも実行を命じる大統領令に署名するようです。

 そして世界中が「中東和平に暗雲」と報じています。最近はどんな悪材料があっても上昇していた日経平均も急落し、445円安の22177円で終わりました。意外ですが本年最大の下げ幅となります。

 そこで米国がエルサレムをイスラエルの首都と認め、米国大使館をエルサレムに移転すると、どれくらい「中東和平に暗雲」となるのでしょう?

 イスラエルは1948年5月14日に独立宣言したユダヤ人国家ですが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地があるエルサレムだけは、国際統治にすると取り決められていました。

 ところが1948〜49年の第1次中東戦争で、イスラエルはさらにパレスチナ人居住地を領土に加えたため大量のパレスチナ難民が発生し、エルサレムの東半分も実効支配していました。さらに1967年の第三次中東戦争でエルサレムの西半分まで実効支配し、現在に至ります。

 厳密にいえばパレスチナ人=アラブ人とは言い切れませんが、ほとんどがイスラム教徒であるため、そうでなくても不安定なイスラエルと中東諸国の関係に「わざわざ」火をつけたようなものです。

 イスラエルは(東西統一した)エルサレムを「不可分の永遠の首都」と主張し、パレスチナ自治政府も東エルサレムを「将来の独立国家の首都」と位置付けており、国際社会は長くこの問題への関与を避けてきました。

 したがって(東西統一した)エルサレムをイスラエルの首都と正式に認める国はなく、各国大使館もエルサレムではなくテルアビブに置いたまま現在に至ります。

 確かにトランプは大統領選中から「イスラエル大使館をエルサレムに移転する」と公約に掲げていましたが、これはユダヤ人に対する選挙期間中だけのリップ・サービスと考えられており、大統領就任後はほとんど忘れられていました。

 米国議会は1995年にイスラエル大使館の移転を求める法律を制定していましたが、そこからクリントン(夫)、ブッシュ(息子)、オバマの各大統領は、その実施を半年毎の大統領令で延期してきました。

 その時期は毎年6月、12月上旬で、トランプ大統領も本年6月には延期しています。そして今回(つまり12月上旬)も、直前まで延期されると考えられていました。

 それが文字通り「突然に」大きく方向転換したことになります。1995年に議会が承認しているため、大統領権限だけで「実施」できることになります。

 大統領就任後のトランプは、5月のサウジアラビアなどへの最初の外遊ではイスラエルも訪問し、ユダヤ教の聖地である「嘆きの壁」に現職米大統領として初めて訪問し、キッパ(黒い小さな丸帽子)を被って祈りをささげていました。
 
 娘婿のクシュナー上級顧問は正統派ユダヤ教徒で、妻のイバンカ(トランプの娘)もユダヤ教徒に改宗していますが、もともとトランプはユダヤ人に「近い」大統領となります。

 当然のようにエルサレムをイスラエルの首都と公式に認めることも、大使館をエルサレムに移転させることも、中東諸国(イスラム諸国)が容認できるはずがありません。また中東からの難民に悩まされている欧州諸国にとっても無関心ではいられません。

 大統領選におけるトランプへの最大献金者は、超保守派のロバート・マーサー、世界最大級の非上場企業を率いるコーク兄弟、カジノのシェルドン・アデルソンですが、マーサーがトランプ政権に送り込んだスティーブ・バノン(8月に解任)も「米国大使館をエルサレムに移す」と主張しており、アデルソンは(ユダヤ人をイスラエルに再集結させようと考える)シオニストの中心人物です。

 つまりトランプ大統領は中東和平より、最大献金者との「約束」を重視したことになります。つまりトランプとは、その傍若無人の言動とは裏腹に、「その意向を重視しなければならない相手」がかなりいることになります。

 歴代大統領も多かれ少なかれ同じでしたが、トランプはもっとそれが極端であると考えなければなりません。大規模減税ももちろんそこから来ており、中東和平だけでなく本来はトランプ支持者だった中間層以下の白人も切り捨てられていくことになりそうです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2134.html


37. 中川隆[-5700] koaQ7Jey 2017年12月14日 06:51:55 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

トランプは大丈夫なのか? 2017年12月14日


 本日(12月12日)投票されたアラバマ州の上院補欠選挙は、与党・共和党のムーア候補が民主党のジョーンズ候補に僅差で敗れました。アラバマ州はもともと保守的で共和党が強い州ですが、そこで与党・共和党の候補が敗れたわけです。

 ただ両者の得票率の差が1.5%ほどであるため、ムーア陣営はまだ敗北宣言を出していません。しかしムーア候補の過去のわいせつ行為疑惑(40年前のものもあります)が突然に出てきた影響が大きかったようです。偶然ではなかったはずです。

 また共和党内部もムーア候補で一本化していたわけでもありませんが、この結果はトランプ政権にとって「原爆級」のダメージとなるはずです。

 トランプ大統領は12月6日に「イスラエルの首都はエルサレム」「米国大使館をエルサレムに移す」と突然に発表しましたが、イスラエルとユダヤ人が喜ぶだけでパレスチナや中東全域に新たな混乱を呼ぶことになり、どう考えてもデメリットの方が大きいはずです。

 もともと傍若無人の言動が多いトランプ大統領ですが、今回の言動に至った背景はほとんど理解不能となりますが、現地のコメントの中に「アラバマ州の上院議員補選に勝つため」というものがありました。

 アラバマ州にユダヤ人が多いわけではありませんが、もともとムーア候補はトランプ本人ではなく8月にホワイトハウスを放逐されたスティーブ・バノンが推していた候補で、「イスラエルの首都はエルサレム」「米国大使館をエルサレムに移す」はもともと超保守派のバノンが主張していたものです。

 単なる「こじつけ」かもしれませんが、トランプはそうまでしてでもアラバマ州の上院補欠選挙に勝つ必要があったことも間違いではありません。

 補選前でも上院は、与党・共和党が52名、民主党が48名と接近しており、それでトランプ政権は上院の承認が必要なポストの選任が絶望的に遅れています。とくにトランプ政権発足後はじめての重要法案である大型減税を含む税制改革案を何が何でも通過させるためにも、ここで共和党が1議席を取るか失うかで天国と地獄の違いがあります。

 この税制改革案は上院案と下院案が違ったまま別々に承認させ(それでも上院は1名造反したため51:49でした)、そこから上下両院協議会ですり合わせて1本化し改めて上下院で採決する必要があります。株式市場ではもう承認されるものと楽観視していますが、これで何が何でも年内に成立させる必要が出てきました。当選したジョーンズ上院議員は来年1月3日からスタートするからです。

 ところでこのアラバマ州上院補選は、トランプ政権の司法長官となったため本年2月8日に辞任したジェフ・セッションズ上院議員の「後任」を選ぶものでした。ところがセッションズ上院議員の辞任から現在に至るまで上院の採決結果は、先日の税制改革案の51:49など、すべて合計が100となっています。

 セッションズ司法長官が採決の時だけ上院議員に戻っていたわけではありません。これは「後任」が決まるまでアラバマ州知事が指名する(上院以外の)議員が採決に加わっていたため、合計が100となっていました。

 数日前には民主党でもフランケン上院議員(ミネソタ州選出)が、やはりセクハラ疑惑で辞任に追い込まれていますが、これも同じでミネソタ州知事が指名する議員が採決に加わることになります。

 細かいところですが、アラバマ州知事が共和党でミネソタ州知事が民主党なので問題はなかったはずですが、もしそれが逆だったらどうするのかはわかりません。

 話を戻しますが、上院は来年早々から与党・共和党が51名、民主党が49名となってしまいます。上院は採決が同数となった時だけ憲法上の上院議長であるペンス副大統領が採決に加わりますが、税制改革案、12月22日まで暫定予算である2018会計年度予算、それに延期している債務上限引き上げなど、すべて年内に通過させなければなりません。

 来年早々に民主党のジョーンズ上院議員が加わると、トランプ政権の行政能力がさらに低下してしまうことになり、冗談ではなく「トランプは大丈夫なのか?」となってしまいます。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2138.html


38. 中川隆[-5730] koaQ7Jey 2018年1月02日 12:00:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018.01.02
米支配層がトランプ大統領の動きを封じるために使ってきたロシア疑惑の幻影が消えかかっている


ロシアとの関係を修復するという方針を示したドナルド・トランプ大統領の動きを封じる切り札として「ロシアゲート」が使われてきた。その疑惑を調査するとしてロバート・ムラー元FBI長官が特別検察官に任命され、有力メディアと連携して調査を進めているというが、そうした疑惑が事実なら、その証拠を電子情報機関のNSAが持っているはず。FBIはNSAにそのデータを提出するように求めれば良いだけのことだ。それができないということは、この疑惑がインチだということを示している。

​FBIが疑惑を調べ始める端緒はジョージ・パパドプロスという人物の泥酔時の発言だとする記事​をニューヨーク・タイムズ紙が12月30日に報じた。大統領選挙でトランプの政治顧問を務めていたパパドプロスは2016年5月、ロンドンのバーでオーストラリアの外交官に対し、モスクワはヒラリー・クリントンのキャンペーンにダメージを与える目的で盗み出されたと思われる数千件の電子メールを持っていると聞いたと話したとしている。それを知ったFBIが7月に捜査を始めたというわけだ。

パパドプロスによると、​彼にその話をした「ミフスド教授」は「プーチンの姪」とパパドプロスの会談をアレンジしてくれたというのだが、第2次世界大戦の最中、子どもだったプーチンの兄弟はレニングラードで死亡しているため、姪はいない​。この「教授」はかなり如何わしいということだ。

ちなみに、プーチンの兄弟が死んだ当時のレニングラードはドイツ軍とフィンランド軍に攻撃されていた。29カ月間包囲され、約70万人が餓死したという。プーチンが戦争回避に努める理由のひとつはこの体験にあるとも言われている。

これまで、ロシアゲート事件の幕開けはアダム・シッフ下院議員が昨年(2017年)3月に下院情報委員会で行った発言だと考えられてきた。2016年のアメリカ大統領選挙にロシアが介入したという同議員の主張はクリストファー・スティールという元イギリス情報機関員の報告書に基づいているのだが、FBIのチームは2016年10月、スティールと会うためにヨーロッパへ出向いたとされている。

スティールはイギリスの対外情報機関MI6のオフィサーだった人物で、MI6のために働いていたアレキサンダー・リトビネンコのケース・オフィサーだったとも言われている。情報機関を離れてからはオービス・ビジネス・インテリジェンスという民間情報会社を経営しているが、生きている限り、情報機関員は組織との関係を断ち切ることはできない。組織から抜け出すためには裏切るか、死ぬしかないのだ。このスティールが作成した報告書は伝聞情報や噂話をつまみ食いした代物で、信頼度は低い。

パパドプロスがFBIに協力しはじめたのは昨年(2017年)10月の前半だと伝えられている。ロシア人との接触でFBIの捜査官に嘘をついたと認めてのことだという。その直前、トランプのキャンペーンで幹部だったポール・マナフォートがビジネス仲間と一緒にマネー・ロンダリングなどの容疑で起訴されていた。勿論、この起訴で「ロシアゲート」の捜査が進展したなどということはない。この容疑はロシア疑惑と無関係だが、パパドプロスとFBIとの取り引きに関係していると考える人はいる。

FBIの上層部には反トランプ派がいた。司法長官代理を務めたサリー・イェーツもそのひとりで、トランプ大統領の中東旅行禁止に反対している。そのイェーツの発言を電子メールで賞賛していたアンドリュー・ワイツマンはムラー特別検察官の側近だ。

ところで、NSAは全ての通信を傍受、記録している。つまり、NSAで通信傍受システムを開発した人物を含む専門家が指摘しているように、トランプやその周辺の人々がロシア側と不適切な遣り取りをしていたならNSAが証拠を握っているはず。新たな捜査は必要ないのだ。ミュラーを特別検察官に据えたという事実が「ロシアゲート」のインチキを示している。

実は、NSAの盗聴記録をFBIは持っていた。その記録からマイケル・フリン中将とセルゲイ・キスリャク駐米露大使との会話に問題ないことを承知の上で、イェーツはフリンから事情聴取、その記録に残っている話を捜査官にしなかったとして偽証罪に問うている。何も違法なことをしていない相手を陥れるため、イェーツはトラップを仕掛けたと言えるだろう。

ダナ・ローラバッカー下院議員によると、​昨年8月に同議員はロンドンのエクアドル大使館でWikiLeaksのジュリアン・アッサンジと会談、リークされた電子メールの情報源がロシアでないことを示す決定的な情報を提供する容易があると聞かされる​。アッサンジ逮捕を諦めることが条件だったようだ。

この情報をローラバッカー議員はジョン・ケリー大統領首席補佐官に伝えたのだが、この情報はトランプ大統領へは知らされなかった。民主党、FBI、情報機関、有力メディアなどが総掛かりで始めた「ロシアゲート」の幻影が消えかかっているのだが、この幻影を維持しようとしている人間はトランプ政権の内部にもいる。ロシアゲート疑惑の幻影が消えたとしても、中国やロシアとの軍事的な緊張を高めるアメリカの流れを止めることは難しいかもしれない。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201801020000/


39. 中川隆[-5730] koaQ7Jey 2018年1月05日 19:00:44 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2018年1月5日
2018年はどんな年になるのだろうか?[橘玲の世界投資見聞録]


 2016年はイギリスのEU離脱(6月)とトランプ大統領の登場(11月)という2つの大きな事件があり、自由でゆたかな欧米先進国にポピュリズムの嵐が吹き荒れていることをひとびとは目の当たりにした。去年のいまごろは、フランス大統領選(5月)で“極右”FN(国民戦線)のマリーヌ・ルペンが当選するようなことになればEU(欧州連合)もユーロも崩壊し、世界は大混乱に陥るのとの重い不安が垂れ込めていた。

 だが蓋を開けてみれば、フランス大統領選の決選投票では中道左派・親EUのエマニュエル・マクロンが圧勝し、3月に行なわれたオランダ総選挙でも“極右”自由党が予想より票を伸ばせなかったことから、「右傾化の流れは止まった」といわれた。ドイツの連邦議会選挙(9月)でメルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が第一党の座を守ったものの大幅に票を減らし、「反移民」を掲げるAfD(ドイツのための選択肢)が第3党に躍り出たことで連立交渉が難航しているものの、振り返ってみれば大過なく1年が過ぎたのではないだろうか。もちろんこのなかには、10月の総選挙で自民・公明の与党が圧勝し、安倍政権の続投が決まったことも含まれている。

 だとしたら、2018年はどんな年になるのだろうか。備忘録として、思いついたことを書いておきたい。

アメリカで起きているのは、
「貧困層」と「貧困に落ちつつある(白人)中流層」の対立だ

 期待よりも不安の方がはるかに大きなスタートを切ったトランプ政権だが、さまざまなトラブルを引き起こしながらも、「ビジネス・オリエンテッド」であることがはっきりした。

 トランプは、気候変動対策の国際的枠組みである「パリ協定」から一方的に離脱したように環境問題に興味も関心もない。オバマケア廃止を目指し、富裕層に増税したり貧困層に再分配するつもりも毛頭ない。さらに12月には懸案だった税制改革法が成立し、これまで35%と先進国でもっとも高かった法人税率が21%に引き下げられるなど、総額170兆円規模の減税が行なわれた。

 その一方で、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の交渉からは離脱したものの、カナダ・メキシコとのNAFTA(北米自由貿易協定)を廃止したり、メキシコとの国境に「万里の長城」をつくるような、自由貿易を拒絶する極端な経済政策をとるわけではないこともわかってきた。

 それを受けてニューヨーク株価やNASDAQは史上最高値を更新した。グローバル企業にとっては、「自由に商売させてくれるし、好きなだけ儲けさせてくれる」居心地のいい政権なのだろう。

 アメリカは先進国でもっとも大きな経済格差を抱える国であり、保守派(共和党支持者)とリベラル(民主党支持者)の対立、というか憎しみ合いもさらに激しくなっていくだろうが、それが大きな社会的な混乱につながるとはかぎらない。

「ウォール街を占拠せよ」の運動では、左派の若者たちは米国社会を「1%の富裕層と99%の貧困層」だと批判した。富がごく一部の富裕層(超富裕層)に集中しているのは間違いないが、だからといって99%の貧困層が一致団結して「革命」を求めているわけではない。

 すでに繰り返し指摘されているようにトランプの強固な支持基盤は「中流」から脱落しかけている白人労働者(ホワイト・ワーキングクラス)で、彼らの怒りは経済的な成功者(もちろんトランプがその代表だ)に向けられているのではなく、真面目に働く気もなく生活保護で暮らしている(とトランプ支持者からみられている)黒人貧困層や、不法な労働で善良なアメリカ市民の仕事を奪っている(と思われている)移民がターゲットだからだ。すなわちアメリカで起きているのは、「貧困層」と「貧困に落ちつつある(白人)中流層」の対立なのだ。

 それに対して、トランプを激しく批判するリベラルの牙城はニューヨークやボストンなどの東海岸と、ロサンゼルス・サンフランシスコのある西海岸で、どちらもアメリカで(というか世界で)もっともゆたかな地域だ。トランプの最大の敵対勢力は、金融業やIT産業、メディア産業・教育産業などに従事する裕福な知識階層だ。

 アメリカの分裂とは、白人中流層を代表するトランプ(共和党)と、黒人や移民などの貧困層(差別されたひとたち)の代理人であるリベラルな富裕層(民主党)の対立だ。トランプ支持者はこれを、「(俺たち)善良なアメリカ人」と、「グローバル資本主義の強欲なエリート」の対立だという。ここでは「グローバル資本主義(ネオリベ)」は、民主党を支持するリベラルへの蔑称として使われている。

 そのリベラル派(その多くは白人)はオバマ政権のときのように、包括的な社会保険制度を設立したり、地球環境を守るためにコストを負担することは支持するだろうが、自分たちの既得権を根こそぎにするような極端な政策はぜったいに受け入れないだろう。

 すなわちこの構図では、共和党と民主党のどちらに転ぼうともアメリカ社会を根底から揺るがすような混乱は起きず、ただお互いの憎悪が募り社会の分裂が進んでいくだけだ。もちろんその結果として、白人中流層の多くが貧困層に落ちていくようなことになれば別だが、そうなるまでにはまだしばらくかかるだろう。
http://diamond.jp/articles/-/155077

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40. 中川隆[-5844] koaQ7Jey 2018年1月15日 11:24:46 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

トランプの正直さは“美徳”にならず / 一般白人の本音を代弁した大統領
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68695551.html

米国を「白人の国」へ戻したいトランプ

 メイソン・ロック・ウィームス(Mason Lock Weems)の作品に、有名な『桜の木』という童話がある。誰もが知っているストーリーだが、良い子のみんなのために言うと、6歳のジョージ・ワシントンは、手斧を持てたのが嬉しくて、道端にあるものを片っ端から切っていた。すると、父のアウグスティンが自慢する桜の木があったので、ちよっとした好奇心からその幹にも刃を入れてみたくなったという。案の定、樹皮は斧で剝かれてしまい、桜の木は枯れてしまったそうだ。これを発見した父のアウグスティンは驚き、さっそく息子のジョージに誰があんな事をしたのか、と尋ねた。すると、素直なジョージは、「父上、僕は嘘をつけません」と答え、自分が木を傷つけたことを告白したという。それを聞いた父親は感心し、息子の正直さを褒めて赦(ゆる)したという話になっている。

Donald Trump 1George Washington 2Mason Lock Weems 1
(左: ドナルド・トランプ / 中央ジョージ・ワシントン / 右: メイソン・ロック・ウィームス )

  もっとも、これはウィームスの創作だから史実ではないが、第19世紀から第20世紀の中葉くらいまで、よく語られた偉人伝である。英文科の学生なら「マクガフィー読本(MucGuffey Reader)」を聞いたことがあるはずで、こうした道徳物語集は曾ての“古き良き”アメリカで教えられ、学校の教師や躾を大切にする親は、子供たちに読み聞かせたものである。しかし、コンドームの付け方や密入国者も市民です、と訴える学校では、取り上げている教師なんかほとんど無いんじゃないか。筆者はウィリアム・ベネット(元教育長官)のネタ本に興味があったし、敬虔さを重んずる旧いアメリカ社会を知りたかったので、米国で出版された道徳本や公民読本(「良きアメリカ人」を育成するための副読本)に目を通したことがある。子供向けの薫陶だったが、いかにも西歐的で信仰と倫理を最優先したアメリカの教育は素晴らしかった。日本だと、昔の講談社とか実業之日本社が出しそうな修養書みたいなものと思えばいい。

  ところが、第21世紀のこんにち、「正直さ」というのは美徳ではなく、「不謹慎な言動」であったり、「政治的に正しくない考え」、「他者を害する(offensive)行為」であるらしい。「口は禍(わざわい)の元」というが、トランプ大統領は、“正直に”自分の意見を吐露したので糾弾される破目になった。というのも、彼はハイチからの移民・難民を侮辱したからだ。「事件」はホワイトハウスで起きた。いつものように会議が開かれ、トランプ大統領は側近からブリーフィングを受けたそうだ。彼は共和党のリンゼイ・グラム(Lindsey Graham)上院議員と民衆党のリチャード・ダービン(Richard J. Durbin)上院議員を交えて会談を行い、彼らの提案や要請を聞いて不機嫌になっていた。なぜなら、両上院議員は臨時保護対象(Temporary Protected Status)から外されていた国家に再び保護を与えるよう提言していたからである。(Monique O. Madan, "Trump asks why people from shithol countries like Hiti and El Salvador come here, reports say", Miami Herald, January 11, 2018)

Richard Durbin 1Lindsey Graham 2
(左: リチャード・ダービン / 右: リンゼイ・グラム)

  しかし、移民反対の立場を訴えてきたトランプには承服しがたい。彼は側近に向かって、「なぜ我が国にやって来る、あの肥溜め国からの連中を求めるんだ?」と尋ねたらしい。(Eli Watkins and Abby Philip, "Trump decries immigrants from shithole countries coming to US", CNN, January 12, 2018) すると、この暴言をワシントン・ポスト紙が嗅ぎつけたから欣喜雀躍(きんきじゃくやく)となった。トランプ憎しの記者が耳にすればトップ記事になるのは間違いない。さっそく、各メディアが取り上げた。「みなさぁ〜ん、トランプの失言ですよぉ〜」と大はしゃぎ。トランプ当選で煮え湯を飲まされたCNN、ABC、NBC、ニューヨーク・タイムス紙などが大々的に報道し、トランプ大統領の人種差別発言を宣伝していたのだ。(ちょっと「肥溜め/ 便所shithole」とは酷い表現だが、実際のハイチを目にすれば、日本人だって「そうだよなぁ」とうなづくだろう。それとは関係無いけど、筆者は昔NY州のジャマイカ地区を散策したことが数回あるけど、あの街は全般的に生ゴミ臭いし、「アメリカ」というより黒人だらけの「アフリカ」や「ジャマイカ」という感じだった。色々な体験があったけど、ここでは述べないことにする。)

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(左: 北歐系の家族 / 右: アフリカ系の人々 )

  それにしても、トランプの“気さくな”発言は、それほどの「暴言」なのか? 彼は執務室で側近に尋ねたらしい。

「 どうして合衆国はハイチやアフリカからの人間をどんどん欲しがるんだ?」

さらに、次の意見を加えたという。

  「合衆国はノルウェーのような国からもっと人を受け容れるべきだ。・・・なんで更なるハイチ人が必要なんだ? あいつらを取り除けばいいじゃねぇか!」

  さすが、ドナルド・トランプだ !! 良い事を言うじゃないか。まさしく正論だ ! ハイチからの黒人がどんどん上陸して、中流階級のアメリカ白人は大迷惑だ。昔、ハイチで大地震が起き、多くの黒人が避難者となったので、アホの左翼と白人の偽善者が多くの女子供を米国に連れてきたことがある。ずぶ濡れになった野良犬じゃあるまいし、異質な種族を自国に招いたら後が大変だ。生活水準や風習、思考、容姿の点で大きく違うハイチ人はアメリカ社会に溶け込めないし、たとえ文化や英語を覚えても容易に同化できるものではない。ドロップアウトして犯罪に走るか、社会福祉に頼り切りの生活を送るのが関の山である。だいいち、ハイチ人が住んでいた国の状態を見れば解るじゃないか。あんなゴミ溜めみたいな街に生まれ育った人間が、ホスト国のアメリカに適合できるはずがないだろう。しかも、黒い肌を持ちアフリカ人の顔附きなんだぞ。洗練されたアメリカ白人と“対等”になれるなんて嘘に近い。(ハイチ人はアフリカに移住すれば差別に苦しまなくても済むのに、わざわざ米国に渡って差別に来るしむんだから自業自得である。) 理想や道徳を述べるのは勝手だが、人間というのは「外見」の印象で感情が左右されてしまうものだ。それに、災害や紛争を逃れてきたハイチ人やアフリカ人は、「難民」なんだから気軽に「アメリカ国民」にすべきではない。「難民」は“一時的”な滞在者であり、“恆久的”な居住者ではないから、ある期間が経過すれば本国か他の地域に追い払うのが筋である。それが出来なければ、離れ小島に監禁するという処置も考えねばならない。

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(左: アフリカ系の美女 / 中央: 西歐系の女性 / 右: スカンジナヴィア系の子供)

  なるほど、トランプの意見は政治的配慮に欠けるかも知れないが、リベラル派議員がいつも口にする偽善が無いからまだ「まし」だ。大学で左翼教育を受けたクルクルパーの白人なら反撥するだろけど、中西部や南部の田舎に住む白人が聞けば、諸手を挙げて「その通り !」と賛成するだろう。高等教育というのは、ある種「常識の撲滅」であるから、大卒者の意見は「非常識」なものが多い。一方、トランプの発言は沈黙の白人を代弁するものである。以前、彼は「ハイチ人なんかナイジェリア人と同じく、みんなエイズ持ちだ !」と評したし、「あいつらはアフリカにある自分の“小屋(huts)”に帰ろうともしないんだからな !」と述べたそうだ。(Michael D. Shear and Julie Hirschfeld Davis, "Stoking Fears, Trump Defied Bureaucracy to Advance Immigration Agenda", The New York Times, December 23, 2107) 左巻きのジャーナリストは、こうした「暴言」に厳しい批判を加えたそうだが、一般の白人たちなら、心の底で「そうよねぇ〜」と賛同するんじゃないか。

Trump, immigration HaitiTrump immigration Norway
(左: 災害に襲われたハイチの街並み / 右: 美しいノルウェーの風景)

  日本人だってエイズ持ちのハイチ人が近寄ってくれば、我が子を遠ざけようとするし、一緒の職場で働きたくない、と思ってしまうだろう。たとえ、エイズ患者でなくても、何らかの伝染病を持っているかも知れないから触れあいたくない。確か、支那でサーズ(SARS / 重症性呼吸器症候群)が猛威をふるっていた頃、筆者はある用事で中央線を利用し、印象的な場面に遭遇したことがある。長椅子に坐っている乗客の一人が咳き込んでいると、周りの乗客が徐々に離れていったのだ。「偏見」に満ちた乗客は、「憐憫」よりも「脅威」を感じているようだった。また別の時、支那語を話すアジア人乗客がいたんだけど、当然ながら隣に坐る女性はいなかった。若い女性だと、ちょっと離れた位置に移って吊革を摑んでいる。筆者は雑誌を読む振りをしながら、気付かれないよう周囲の乗客をジっと観察していたことがある。そう言えば、中高年のオバチャンは別にして、若いOLとか女子大生が黒人に挟まれて坐ることは稀で、もし、両脇にパキスタン人やトルコ人がいたら、その真ん中には坐らないケースが多い。疲れていて坐りたくても、じっと我慢するんじゃないか。筆者は変態じゃないんだけど、有色人種の外人に対し、一般人がどう反応し、如何なる行動(無意識的な動き)を取るのかに興味がある。もし、エレベーターの扉が開いて、黒人ばかりが乗っていたら、日本人女性は気にせず中へと乗り込むのか? ある人は遠慮して(あるいはビックリして)「パス(回避)」したり、ちょっと待って隣のエレベーターに乗ろうとするはずだ。

100%の確信を持ったアメリカ人だって?

  トランプの「暴言」を耳にして、早速、大統領に怒りをぶつける議員が出て来た。ユタ州選出の共和党下院議員であるミア・ラヴ(Mia Love)は、ハイチ系アメリカ人で、大統領に謝罪を求めたそうだ。彼女はトランプに腹を立て、大統領のコメントは「配慮に欠け、人々を分断し、エリート的なうえに、我が国の価値観から見ても、とんでもない発言だ」と評していた。また、「彼の行動は我々の指導者として受け容れ難い」とも述べていた。(Julie Hirsch Davis, Sheryl Gay Stolberg and Thomas Kaplan, "Trump Alarms Lawmakers with Disparaging Words for Haiti and Africa", The New York Times, January 11, 2018)

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(左: ミア・ラヴ / 右: ルイス・グッテレス)

  ラヴ議員に続いて、民衆党の下院議員ルイス・グッテレス(Luis V. Gutiérrez)も参戦してきた。このグッテレス議員は筋金入りの移民推進論者で、イリノイ州から選ばれたヒスパニック系住民の代弁者。彼はユダヤ人のチャック・シューマー(Charles E. Schumer)上院議員と雙壁を成す反米分子と言えよう。前大統領のバラク・オバマと並んで、有色人種の移民や難民を擁護するグッテレスは、「茶色いオバマ」といった感じだ。彼はこう述べた。

  私はアメリカ人として、大統領を恥ずかしく思う。・・・彼のコメントには失望した。信じられない。だが、驚きはしなかった。100パーセントの確信を持って言えるが、この大統領は合衆国憲法ならびに独立宣言に体現される価値観を共有しないレイシストである。

  米国史を勉強した白人なら、「このヒスパニック野郎は、何を言っているんだ ?」と眉を顰めるだろう。 独立戦争前後の入植者たちは、アフリカ大陸やカリブ海諸島からの有色人種を一顧だにせず、自分達が持つ個人資産や先祖伝来の権利、つまり「イングランド“臣民”の権利」を守りたかっただけだ。彼らの頭には「黒人の権利」など一切無く、どうやって黒い家畜を最大限に利用するのか、というのがもっぱらの関心事であった。黒人の事を考えるとすれば、奴隷市場に出品された黒人のうち、「どいつが丈夫そうなのか」、「虫歯は無いのかな?」、「値段と能力が釣り合うのか?」といった点しかない。そもそも、合衆国憲法を起草したジェイムズ・マディソンやアレクサンダー・ハミルトンたちが、野蛮国からやって来た黒い動物や、トルコとかアラビアに棲息するイスラム教徒の帰化を想定して、国家体制を整えたは思えない。

Muslim Immigrants 2Papua New Guinea 1
(左: ムスリム移民の男たち / 右: パプア・ニューギニアの土人たち )

  ちなみに、アメリカ人が大切にした「権利の章典」とは、イングランドの国王に忠誠を誓う臣下の権利であって、コンゴやエチオピア、あるいはパレスチナとかマレーシアの村落に転がっている「外人の権利」ではないのだ。左翼学者が持て囃す「人間の権利」などは、流血のフランス革命を起こした気違いどもや、西歐文明を呪詛するユダヤ人が“でっち上げた”妄想である。もし、この“普遍的概念”が至高の権利であるとするならば、ペニス・サックを自慢するパプアニューギニアの土人も「所有」しているはずで、彼らが持つ「権利」など雑草のようなものだ。 もたとえ、そんな「権利」があるとしても、我々が代々受け継ぐ「日本国民の権利」と同じはずがない。だいたい、犬に関する扱いにだって地域差があるんだぞ。日本人は柴犬と秋田犬を「猫っ可愛いがり」するけど、隣の朝鮮や支那では単なる「食材」だ。旨そうな犬をさらってきて、紐で足を縛ったら、天井につるし、棍棒で思いっきりぶっ叩く。激痛に耐えかねた「食材」は、数キロ先でも聞こえるほどの悲鳴を上げて絶命する。それに、ワンちゃんの皮剥ぎなんてゾっとすじゃないか。朝鮮人の迷信によれば、恐怖に怯えた犬の肉はアドレナリンで「美味」になるそうだが、日本人なら吐き気がする。目を蔽いたくなるほど凄惨な屠殺方法は、日本の家庭では絶対無理。日本の料理人には決して真似できない。朝鮮人は「なぜニダ? 寒い季節に犬鍋は最高だぞ!」と笑みを浮かべるが、日本人だと彼らをバットで殴りたくなる。

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(左: 日本で人気を誇るコーギー犬の尻尾 / 右: 食欲旺盛な朝鮮人)

  余談だけど、コーギー犬の尻尾を切断するイギリス人やアメリカ人は鬼畜だなあぁ。いくら仔犬だって、親からもらった尻尾を切られたら、激痛で泣きたくなるだろう。日本人の飼い主の中にも馬鹿な奴がいて、イギリス人の悪習を踏襲し、コーギー犬の尻尾を切断する者がいる。それなら自分の小指を先に詰めてからペットを虐待しろ ! 何も知らない仔犬が可哀想じゃないか ! 尻尾の切断手術をしたくせに、自慢しながらコーギー犬を連れている日本人は頭がどうかしている。日本政府は寄生している在日朝鮮人の「権利」より、無力な動物が発する鳴き声に耳を傾けるべきだ。(本当に可哀想なんだから。) ちなみに、英国人は数年前に、こうした動物虐待を禁止したそうだ。

Mixed race kid 3Mixed race couple 3Black Asian 2
(左: 白人と黒人との混血児 / 中央: 白人女性と黒人男性のカップル / 右: アフリカ系アジア人の混血男性)

  脱線したので話を戻す。トランプ大統領はハイチからの黒人より、ノルウェーからの白人移民を好んだという。こうした「傾向」は一般のアメリカ白人にも顕著である。これは“現実”のアメリカ社会を見れば明らかだ。新聞・雑誌で社会事件の記事を目にするけど、白人対黒人の摩擦とか人種上の犯罪などがしょっちゅうある。移民問題でも、アラブ系や東南アジア系、アフリカ系の流入となれば、人種的および文化的摩擦が絶えない。しかし、北歐からの移住者だと、すんなりとアメリカ社会に同化し、人種的対立が起こらず、宗教的なイザコザも発生しないのである。例えば、セネガル出身のイスラム教徒黒人とキリスト教徒のアングロ・サクソン系白人が結婚すれば、白人側の親兄弟が不満を述べたり、混血児の将来が心配になるけど、スウェーデン人やノルウェー出身の白人プロテスタントなら、ほとんど問題が無い。 日常生活に必要な英語能力の問題だって、ノルウェー人には深刻でないし、食文化の違いなど微々たるもんだ。(ドイツ移民だって英語は障壁にならない。そもそも、英語じたいが「古いドイツ語」なんだから。) それに、冷凍食品やジャンク・フード漬けのアメリカ人が、魚介類の料理に文句をつけるなんて身の程知らずである。アメリカ人はあまり意識しないけど、啓蒙主義時代を経た今にちでは、宗派的相違だって気にならない。例えば、カトリック教会に通うドイツ=アイリス系の亭主と、北歐のルーテル教会で育ったオランダ=ノルウェー系の妻が、秘蹟の解釈や聖餐の化体説を巡って夫婦喧嘩をするのか? もし起こったとしても、鼻血を出す程の殴り合いにまで発展しないし、別居や離婚に至るまでの騒動にもならない。それに、生まれてくる赤ん坊の件でも、両親や祖父母と同じ容姿になるから安心だ。

「好ましい」北歐系アメリカ人

  実際、ノルウェーやデンマーク、スウェーデンからの白人移民が、アメリカ社会で理不尽な人種差別に悩み、希望する会社に就職できないとか、高級住宅地の邸宅購入を拒絶される、警察官から意味不明な職務質問を受ける、なんて事件が多発しているのか? アメリカ社会では北歐系白人への「差別」なんてまずあり得ない。逆に、大学入試で優秀な白人が落とされ、愚劣な黒人受験者が合格というケースはある。また、都市部の黒人やヒスパニックの下郎が「白い肉」を求めて強姦することもあるだろう。だが、西歐系白人が同じ白人を「スカンジナヴィア出身」という理由で排斥するというのは想像しづらい。北歐移民の同化率は非常に高いし、その子孫は地元民から歓迎されるし、何の抵抗も受けずに“自然”と融合できるのだ。北歐系の有名人を思い出せば分かるじゃないか。

black baby 2Nordic baby 6Trump & Ivanka 2
(左: アフリカ黒人の赤ん坊 / 中央: ノルディク系の赤ん坊 / 右: トランプと娘のイヴァンカ)

  例えば、もう「レジェンド」としか表現できない女優のグレタ・ガルボ(Greta Garbo)、映画『風とライオン』およびTVドラマの『マーフィー・ブラウン』で一世を風靡したキャンディス・バーゲン(Candice Bergen)、大ヒットTVドラマの『ダイナスティー』で話題となったリンダ・エバンス(Linda Evans)、『ターミネーター3』で脚光を浴びたクリスティーナ・ローケン(Christina Loken)、TVドラマ『ハート&ハート』で知られる二枚目男優のロバート・ワグナー(Robert Wagner)や名優ロバート・ミッチャム(Robert Mitchum)がいるし、日本のエルヴィス・プレスリー・ファンなら当然知っている美人妻のプリシラ・プレスリー(Priscilla Presley)、巨額なギャラを稼ぐ一番人気の歌手テイラー・スウィフト(Taylor Swift)などである。(プリシラの孫娘ライリー・ケノーを見ると、種族保存が如何に重要かがよく解る。)

Greta Garbo 12Candice Bergen 3Linda Evans 2Robert Wagner 1
(左: グレタ・ガルボ / キャンディス・バーゲン / リンダ・エヴァンス / 右: ロバート・ワグナー)

Priscilla Presley 4Riley Keough 34Kristinna Loken 2Taylor Swift 32
(左: プリシラ・プレスリー / ライリー・キノー / クリスティーナ・ローケン / 右: テイラー・スウィフト)
  
  政治家なら駐日大使になった元副大統領のウォルター・モンデール(Walter Mondale)がいるし、大空の英雄チャールズ・リンドバーグ、アポロ11号で月面に辿り着いたバズ・オルドリン(Buzz Aldrin)、ネオコンの師匠格であったヘンリー・スクープ・ジャクソン(Henry Martin “Scoop” Jackson)上院議員、連邦裁判所の首席判事になったウィリアム・リンクウィスト(William Rehnquist)やJFK暗殺事件で調査に当たったアール・ウォーレン(Earl Warren)判事、「アンタッチャプル」を率いてアル・カポネを捕まえた敏腕捜査官エリオット・ネス(Eliot Ness)などが挙げられよう。日本の高校生だと、パリスとニッキー・ヒルトン(Paris & Nicky Hilton)の姉妹が直ぐに思いつくはずだ。ただし、妹のニッキーは第三代ロスチャイルド男爵、ヴィクターの孫にあたるジェイムズと結婚し、「ロスチャイルド」の名前を冠している。

Walter Mondale 1Earl Warren 1William Rehnquist 1Eliot Ness 1
(左: ウォルター・モンデール / アール・ウォーレン / ウィリアム・リンクィスト / 右: エリオット・ネス )

  これはトランプ(?)と筆者の好みになってしまうけど、モデルのニッキー・ジーリング(Nikki Ziering)も北歐系アメリカ人である。彼女の旧姓は「シーラー(Shieler)」なんだけど、ユダヤ人俳優のイアン・ジーリング(Ian Ziering)と結婚したので、夫の家族名を名乗っている。また、結婚に伴ってユダヤ教に改宗してしまったから憐れだ。というのも、二人は後に離婚してしまったので、ニッキーは何の為にユダヤ教徒になったのか分からない。(元異教徒が離婚後も敬虔なユダヤ教徒のままでいるとは考えにくいんだけど、意外と頑張って誡律を守っているかも知れないなぁ。)

Buzz Aldrin 1Jackson 2Nikki Ziering 1Iggy Pop 2
(左: バズ・オルドリッチ / ヘンリー・スクープ・ジャクソン / 右: イギー・ポップ)

これまた筆者の私的好奇心になってしまうんだけど、パンク・ロック界の寵児、イギー・ポップ(Iggy Pop)が北歐系アメリカ人であることは、日本人の間ではあまり知られていない。彼の本名は「ジェイムズ・ニューウェル・オスターバーグ(James Newell Osterberg, Jr.)」というから、スカンジナヴィア系移民の子孫であると判るだろう。哀しいこに、最近の大学生に彼のことを尋ねると、「ザ・ストゥージス(The Stooges)のヴォーカル? イギー・ポップって誰? 聞いたことがない !」と言われてしまうのだ。まぁしょうがないけど、こうした解答に世代間ギャップを感じてしまい、結構ショックを受ける事がある。小林克也とか筆者からすれば、イギーの『サーチ・アンド・デストロイ』は懐メロなんだけど、20代の若者からすれば「未知の曲」であるらしい。

  ちなみに、伝説のロック・バンド「グレイトフル・デッド(Greatful Dead)」のブレント・ミドランド(Brent Mydland)やジェリー・ガルシア(Jerome John Garcia)も北歐系アメリカ人なんだよ、と言いたいのだが、「グレイトフル・デッドって何?」と訊いてくるから言葉が出ない。ちょっと前、人気ロック・バンド「モーターヘッド(Mötorhead)」のレミー(ベース&ヴォーカル)が亡くなったけど、日本で哀しむのは「サザン」の桑田佳祐と筆者くらいかなぁ。(実際はもっと多いと思うけど。) 話を戻すと、北歐系アメリカ人は各界に多く浸透しているものの、彼らの外見が白人なので、その民族性はあまり目立たない。社会学や政治学を専攻する大学生なら知っている、『誰が支配するのか? (Who Governs?)』の著作で有名なイェール大学教授ロバート・ダール(Robert Alan Dahl)も北歐系アメリカ人だ。

Lemmy 2Robert-A_-Dahl 1Victor Davis Hanson 1
(左: レミー・キルミスター / 中央: ロバート・ダール / 右: ヴィクター・デイヴィス・ハンソン)

  日本の保守系雑誌でさえ滅多に言及しないが、カルフォルニア州立大学やフーバー研究所に勤めたヴィクター・デイヴィス・ハンソン(Victor Davis Hanson)教授もスウェーデン移民の子孫で、生まれ故郷のカルフォルニアに住みついた五代目であるという。彼は西歐の戦史やギリシア史の研究で知られており、筆者が今の大学生に勧めるとすれば、彼の『殺戮と文化(Carnage and Culture)』や『ホプリテス(Hoplites)』、『西歐流の戦い方(The Western Way of War)』を挙げたい。特に、スパルタ人の戦闘様式や尚武の精神を扱った『ホプリテス』は興味深くて有益である。彼の経歴は研究機関の歴史家としては異色で、大学教授をする前、祖父や父親から受け継いだ稼業のブドウ栽培に従事していた。こうした経験から、彼には古代ギリシア人の心情が多少解るという。古代において、戦争に負けると自分の故郷を破壊・掠奪されることは当り前で、敵軍の攻撃を受けて退却・避難した場合、ギリシア人は自分のブドウ畑が敵兵に荒らされるのを見て、胸が引きちぎれるほどの悲哀を嘗めたそうだ。したがって、自分の家屋や農場、祖国を蹂躙されたギリシア人が、復讐の鬼となっても不思議ではない。ギリシア人の戦争は敵の殲滅が常識だったから、攻撃する時も敗北する時も凄惨な状況が多くなる。

可哀想なら自宅に泊めてやれ !

Henry Cabot Lodge 1Albert Johnson 1Sam Erwin 1James Eastland 1
(左: ヘンリー・カボット・ロッジ / アルバート・ジョンソン / サム・エルウィン / 右: ジェイムズ・イーストランド)

  またもや脱線したので話を元に戻す。アメリカ合衆国はブリテン国民のイギリス人やスコット人が主体となって独立した共和国なので、西歐白人が社会の主流になることは当然である。ブリテン王国の「元臣民」が歓迎する移民というのが、同じ文明圏に属する西歐人であったのも不思議じゃないし、本来なら、西歐人だけに移住を許すべきであった。過去の移民法改正でも、異質な種族を排除しようと奔走したアメリカ人は多かった。例えば、上院議員のヘンリー・カボット・ロッジ(Henry Cabot Lodge)とか、アルバート・ジョンソン(Albert Johnson)議員、ジェイムズ・イーストランド(James Eastland)議員、サム・エルウィン(Sam Erwin)議員、規制派の大御所パトリック・マッカラン(Patrick McCarran)議員、国務省の外政官であるウィルバー・カー(Wilbur S. Carr)、社会学者のエドワード・A・ロス(Edward A. Ross)、今では忘れ去られている学者のマディソン・グラント(Madison Grant)など、錚々たる愛国者が存在したのだ。ところが、彼らは現在の学校で徹底的に否定されている。「人種差別論者」というレッテルを貼られてしまい、彼らが具体的にどう反論したのかは説明されることがないのだ。アメリカでさえ「ブラックリスト」に名を載せられるくらいだから、日本の大学で肯定的に紹介されることはない。第一、その名前さえも知らない学生が多数派なのだ。

Patrick McCarran 1Wilbur Carr 1Madison Grant 2Edward Alworth Ross 1
(左: パトリック・マッカラン / ウィルバー・カー / マディソン・グラント / 右: エドワード・ロス )

  トランプ大統領の「暴言」はアメリカ国内で非難囂々(ごうごう)だが、彼の率直な意見は重要である。人々は政治家の信念を聞きたがっているのだから、トランプの発言を頭ごなしに否定すべきではない。主要メディアはトランプのことを徹底的に吊し上げているが、彼らの上司とかテレビ局のスポンサーたちが「どんな」生活をしているのか、“具体的”に紹介してから、大統領を批判すべきだ。黒人の移民や難民がいない閑静な高級住宅に「お城」を構え、高給リムジンに乗って出勤する高級幹部は、一般的に「移民賛成派」だが、それなら憐れな黒人たちを気前よく自宅に泊めてやれ。リベラル派の“豪邸”なら、数十人は楽に収容できるだろう。ハイチ難民が自宅の便所でウンコしたからといって、「臭くて嫌だから、別のトイレに入ろう」なんて言うんじゃない。人間の大便というのは、黒人でも白人でも、「だいたい」同じ悪臭を放つんだからさぁ。こうした「平等」を厭がると、「極右」のレイシストに指定されちゃうぞ。
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68695551.html

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41. 中川隆[-5903] koaQ7Jey 2018年1月15日 17:21:39 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

トランプ氏は無能な大統領か?!2018年01月12日 長谷川 良


欧米メディアから配信されるトランプ米大統領と北朝鮮の独裁者、金正恩朝鮮労働党委員長の舌戦のやり取りを見ていると、「世界は大変だ。超大国の米国に稀に見るバカな大統領が選出され、日々、ツイッターで世界を威嚇し、北では核兵器をおもちゃのように扱う独裁者が君臨している」といった印象を受けたとしても仕方がないかもしれない。全てのニュースが根拠のないフェイクニュースとは言い切れないからだ。

▲親の代からの聖書の上に手を置き宣誓式に臨むトランプ新大統領(2017年1月20日、CNN放送の中継から)


トランプ氏はまもなく大統領就任1年目を迎える。この1年間でさまざまな出来事が生じ、メディア関係者には記事不足といった事態はなかった。トランプ氏は好きなゴルフ場に頻繁に通いながらも、夜にはツイッターで面白いコメントを発信するからだ。トランプ氏はワシントン政界に通じていないだけに、同氏の発言やその言動はワシントンのエスタブリッシュメントの規格外だ。そのため、メディア関係者はトランプ氏の失言や暴言を面白可笑しく報道できたわけだ。

トランプ氏は無能な大統領、なる資格すらない大統領、といった批判や中傷が野党勢力からだけではなく、身内のホワイトハウス関係者からも漏れてくる。欧米メディアが報じるように、トランプ氏は無能な米大統領なのか。米大統領に対してこのような問いはこれまで考えられなかったことだ。例えば、トランプ氏の最側近だったスティーブ・バノン大統領上級顧問はジャーナリストの暴露本「炎と怒り」の中でトランプ氏を「9歳児のような振る舞い」と酷評しているのだ。こんな話を聞くと、益々深刻とならざるを得ない。トランプ氏は小さな国の大統領ではないのだ。世界を軍事的、経済的に掌握している超大国の大統領だ。

オーストリア代表紙プレッセのコラムニスト、クリスチャン・オルトナー氏は「バカなトランプが蛮行を繰り返すイスラム過激テロ組織『イスラム国』(IS)にどのようにして勝利したのか」という見出しの興味深い記事を掲載していた。オルトナー記者はファクトチェックをすると意外なことが見え出すというのだ。

イスラム過激テロ組織「イスラム国」は昨年初めごろまでは飛ぶ鳥も落とす勢いで、占領した領土はヨルダンの国土に匹敵するほどだった。欧米から“聖戦兵士”をリクルートし、蛮行を繰り返してきた。世界はISの残虐性に恐れおののいていた。そのISは今、イラクの拠点を失い、至る所で敗走し、もはや消滅の危機に瀕しているのだ。

オルトナー記者は、「過去1年間で何が生じたのか」を検証する。そしてトランプ氏が米大統領に就任してから、ISは敗走し出したという事実に出くわす。米国嫌いの欧州ジャーナリストにとって、快い事実ではない。トランプ氏の出動ラッパを受け、米軍主導のイラク政府軍がISが支配していた拠点を次々と奪い返していった。米軍の支援がなくては考えられない軍事的成果だ。しかし、欧州の政治家やメディアには「トランプ氏は無能な大統領」というイメージがあるため、トランプ氏がIS打倒で功績があったという事実を理解できないでいる。

例えば、ISに支配されてきたイラク北部の最大都市モスルを解放したのは、米空軍の攻撃、それを受け、地上ではイラク政府軍のエリート部隊、そしてクルド系部隊の連携の結果だ。そしてイラク中部の要衝ファルージャを奪還し、ISが首都としていたシリアのラッカは昨年10月、解放された、といった具合だ。

オルトナー記者は、「米大統領に対する欧州人の意見は嫌悪感が先行し、正しいプロファイルを構築できないことが多い。今回が初めてではない。ロナルド・レーガン(第40代大統領、任期1981〜89年)の時もそうだった。『3流の映画俳優に何ができるか』といった思い上がった偏見があって、レーガン大統領の冷戦時の政治的功績を正しく評価できなかった」と説明する。レーガン氏は「最も評価の高い米大統領」といわれている。逆に、オバマ大統領が選出された時、欧州メディアは大歓迎し、高く評価したが、実際はオバマ氏は米国の歴史では「平均的な大統領」に過ぎなかった。

同記者はトランプ氏に対しても、「欧州は同じ過ちを犯そうとしている」と警告する。トランプ氏がエルサレムに米大使館を移転すると表明すると、欧州の政治家やメディアは一斉に「トランプ氏は中東の政情に無知だ」と辛辣に批判したが、それでは欧州は中東和平でどのような解決策を有しているのか。

オルトナー記者は、「欧州の政治家やメディアが主張していることと反対のことを考えれば間違いない」と皮肉ったイスラエル政府関係者のコメントを引用し、記事を閉じている。

トランプ氏は少なくとも無能な大統領ではない。たとえ、その言動が少々型破りで理解に苦しむことがあってもだ。就任1年目の実績からいうならば、大統領トランプ氏の実績は、就任早々ノーベル平和賞を受賞した前任者オバマ氏よりあると言わざるを得ない。
http://agora-web.jp/archives/2030504.html

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42. 中川隆[-5870] koaQ7Jey 2018年1月17日 16:16:44 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

トランプ氏、認知能力に「問題なし」 担当医師が見解
2018.01.17 Wed posted at 11:24 JST

トランプ米大統領の認知能力は「まったく問題ない」と担当医師が明言


ワシントン(CNN) トランプ米大統領(71)の健康診断を担当した医師のロニー・ジャクソン氏は16日、ホワイトハウスでの記者団との質疑応答で同大統領の認知能力の検査結果について報告し、職務を遂行するうえで「まったく問題ない」との見解を示した。

トランプ氏に対しては米国、カナダ、ドイツの専門家らが、精神状態を懸念する声に基づいて認知症の検査を実施するべきだと提言していた。

今回用いた検査は30点満点のテストで被験者の認知能力を評価するというもの。医療の専門家が緩やかな認知障害やアルツハイマー病を検知するのに役立つとされる。

ジャクソン医師は、トランプ氏が上記のテストで満点を記録したと説明。「思考過程に何らかの問題を抱えていると思われるような、いかなる理由も見いだせない」と強調した。

ジャクソン氏によれば、こうした検査は当初行う予定がなかったものの、トランプ氏の求めに応じて実施したという。

また検査に関する質問にすべて回答することで、自らの身体的、精神的健康状態にまつわる疑問の声を静めるよう、トランプ氏本人から告げられていたとも明かした。

一方トランプ氏の身体的な健康状態について、ジャクソン医師は、体重を減らす必要性に言及しながらも極めて良好だと分析。これまでたばこやアルコールを摂取してこなかったことが寄与していると述べた。


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43. 中川隆[-5854] koaQ7Jey 2018年1月18日 17:04:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

トランプ暴露本(Fire and Fury)の意味 2018年01月18日


 暴露本にどういう問題が書かれているのかではなく、この暴露本でホワイトハウスがますます「動物園」になってしまうことが深刻な問題であるという意味です。まだトランプ政権は1年しか経過しておらず、最低あと3年はこのまま存続するはずだからです。

 ジャーナリスト兼作家であるマイケル・ウォルフが書き、1月5日に出版されたホワイトハウス暴露本のFire and Fury(炎と怒り)がベスト・セラーになっています。もともと1月9日が出版日でしたが、ホワイトハウスが出版差し止めを検討していたため、前倒しで出版に踏み切りました。

 だいたい過去の著作でもその信憑性を巡る疑念が残るマイケル・ウォルフが、大統領選中から政権発足後のホワイトハウスまで1年半以上もトランプの本丸に陣取り、「トランプおよび側近への批判だけを集めた」本書に、それほど重要な意味はないはずです。

 ウォルフもよく「つまみ出され」なかったなと感心しますが、ホワイトハウスの中にもウォルフを通じてトランプや幹部の中傷を探っていた人物が多数いたことになります。

 トランプ政権における「誰も知らなかった真実」も「息詰まる外交の裏側」も「政権が崩壊するほど重要な新事実」もほとんど含まれておらず、まさに興味本位で読む暴露本以外の何物でもなさそうです。

 そんなことより本書に書かれているトランプの言動が本当なら「認知症ではないのか?」や「本当に思いつきだけで世界を振り回しているのか?」など、余計な心配も必要となります。ホワイトハウスも主治医が慌てて「トランプは健康」とのコメントを出しています。

 さてウォルフは200人以上にインタビューしたそうですが、中身の「かなりの部分」はスティーブ・バノンから出ているようです。スティーブ・バノンとはトランプ当選を資金面でも戦略面でも支えたロバート・マーサー率いる超保守派が、新設の主席戦略官としてホワイトハウスに送り込んでいました。

 そして政権発足前から米中首脳会談があった昨年4月初めころまでトランプ政権の重要政策を主導していましたが、徐々にトランプの女婿であるジャレッド・クシュナーに権力を奪われ、そのまま挽回できずに昨年8月に解任されていました。つまりバノンの天敵がクシュナーですが、クシュナーの後ろ盾はヘンリー・キッシンジャーとなります。

 ここでロバート・マーサーとは、世界最強のヘッジファンドであるルネッサンス・テクノロジーズCEOで、世論操作のケンブリッジ・アナリティカの実質オーナーでもあり、カジノのシェルドン・アデルソンと並ぶトランプ陣営への大口献金者です。

 ところが暴露本では、バノンは解任されるはるか以前からトランプを中傷していたことがバレてしまい、さらに暴露本の出版と同時にロバート・マーサーの娘のレベッカ・マーサーが、最初からバノンを重用していたわけではないと「あっさり」梯子を外してしまいました。

 バノンは解任後もトランプと良好な関係を維持していると触れ回っていましたが、新年早々トランプに「マーサー家は最近、情報漏洩屋のうすのろバノンを切り捨てた。賢いぞ!」とツイートされ、直後に復帰していた「ブライトバート」の会長も辞任に追い込まれてしまいました。

 しかし思い出してみれば、トランプ政権の公約である「メキシコの壁」も「イスラム移民排斥」も「イスラエルの首都はエルサレム」も「中国の対米貿易黒字は持続不能」も、すべてバノンの主張だったはずです。今後のトランプは多少はこれらの主張を後退させる可能性があります。

 また暴露本では大統領選の最中である2016年6月に、トランプ陣営の幹部(トランプ・ジュニア、クシュナー、それに昨年訴追されたマナフォート)がロシア側と接触したのは「反逆罪に相当する」とのバノンのコメントが引用されているようです。

 モラー特別検察官の捜査が進むロシアゲート疑惑は、マーサーの超保守派ルートとキッシンジャー・ルートの2つがあります。ところが超保守派ルートはマナフォートらの訴追でほぼ終了しているはずで、キッシンジャー・ルートもフリンの訴追でほぼ終了のはずでクシュナーまで訴追される可能性は低いはずです。

 それでは暴露本にバノンが書かせたロシア側との接触とは、実は全くお粗末なブローカー話で何の意味もありませんでした。モラー特別捜査官もほとんど問題視していないはずです。

 ところがトランプ・ジュニアやクシュナーが登場しているため、バノンが「天敵」クシュナーの追い落としを狙ったはずですが、あまり効果はなさそうです。

 結局のところ暴露本にはほとんど「新事実」がないはずで、2月下旬に日本語版が出版される頃にはすっかり熱が冷めているような気がします。政治の醍醐味は暴露本でhttp://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2153.html読むよりはるかに奥が深いはずです。


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44. 中川隆[-5865] koaQ7Jey 2018年1月20日 10:33:13 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2018.01.19
クリントンを勝たせるため、FBIがFISAを悪用してトランプ周辺の情報を集め、利用していた可能性

ヒラリー・クリントンを担いでいた勢力が​FISA(外国情報監視法)を不正に利用していたとする4ページの覚書​がアメリカの支配層を揺さぶることになるかもしれない。その覚書を見た議員の中にはウォーターゲート事件以上の権力乱用だとし、文書の秘密指定を解除して速やかに公開すべきだとする人もいる。

本ブログでは繰り返し書いてきたが、2016年の大統領選挙でドナルド・トランプを勝たせるためにロシア政府が介入したとする「ロシアゲート」は事実に基づかず、作り話の可能性がきわめて高い。トランプを敵視するFBI幹部が政治的に動き、国家安全保障補佐官への就任が予定されていたマイケル・フリン元DIA局長に対して罠を仕掛けたことなどが明らかになっている。

2016年から民主党や有力メディアはトランプとロシアとの関係を宣伝していたが、当局が表立って動き始めたのは昨年(2017年)3月に下院情報委員会でアダム・シッフ議員が大統領選挙にロシアが介入したとする声明を発表してから。その声明の根拠はイギリスの対外情報機関MI6のオフィサーだったクリストファー・スティールの報告書だった。この報告書の信頼度がきわめて低いことはすでに判明している。そのスティールと会うため、FBIのチームはシッフ発言の5カ月前にヨーロッパへ出向いたともされている。

ロシアという「外国勢力」を巻き込むことでトランプは「外国勢力のエージェント」だという容疑が生じ、監視や捜索の対象になった。そうした手段で情報を収集するためにはFISC(外国情報裁判所)の許可が必要だが、ここはフリーパスに近い。そこで、FBIやCIAはトランプ陣営の情報を自由に入手できるようになり、その情報をクリントンを勝たせるために使ったようだ。

すでにFBIはスキャンダルまみれになっているが、今回の覚書で情報機関や治安機関はさらに厳しい状況に追い詰められる可能性がある。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201801190001/


45. 中川隆[-5848] koaQ7Jey 2018年1月25日 14:15:22 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2018.01.25
トランプを大統領の座から引きずり下ろそうとしていた司法省とFBIが一転して窮地に(その1)


FBIの幹部だったピーター・ストルゾクが親しい友人のリサ・ペイジへ出した電子メールが司法省とFBIを揺るがしている。1月23日には上院国土安全保障委員会のロン・ジョンソン委員長が司法省とFBIの幹部が大統領選で当選したドナルド・トランプを引きずり下ろすための秘密会議を開いていたとテレビ番組の中で語っている。

NSA史上最高の分析官のひとりと言われ、NSAの不正を内部告発したことでも知られているウィリアム・ビニーも指摘しているが、司法省やFBIが有力メディアとタッグを組んで進めてきた「ロシアゲート」が事実ならNSAから通信の傍受記録を取り寄せるだけで決着が付く。特別検察官を任命する必要はないということだ。特別検察官を任命したということはロシアゲートがインチキであることを示しているとも言える。いずれにしろ、ロシアゲートが作り話だということは最初から明白だった。

トランプ陣営への攻撃で最初のターゲットは国家安全保障補佐官に内定していたマイケル・フリン中将。この人物は2012年7月から14年8月まで軍の情報機関であるDIA(国防情報局)の局長を務めていた。その間、2012年8月にDIAは「穏健派支援」を進めるバラク・オバマ大統領に対し、​反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団であり、そうした支援を続ければ東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配国が作られる可能性があると警告​している。

その警告は2014年に現実となった。この年の1月にダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)はイラクのファルージャでイスラム首長国の「建国」を宣言、6月にファルージャを制圧したのだ。

その際、トヨタ製の真新しい小型トラックのハイラックスを連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が配信されたことも有名になったが、そうした行動をアメリカの軍や情報機関はスパイ衛星、偵察機、通信傍受、人から情報を把握していたはず。ハイラックスの車列は格好のターゲットだが、アメリカ側は何もしていない。8月にはジェームズ・フォーリーの首をダーイッシュが切ったとする映像が公開され、ダーイッシュの凶暴さが伝えられた。

その凶暴な武装集団を殲滅するという口実でアメリカは突如、動き始める。配下の国々を引き連れ、2014年9月23日にシリアを攻撃しはじめたのだが、その様子を取材したCNNのアーワ・デイモンは翌朝、​最初の攻撃で破壊されたビルはその15から20日前から蛻の殻​だったと伝えている。ダーイッシュはアメリカがシリアへ軍事侵攻する口実に使われたということだろう。

その後、アル・ヌスラ(アル・カイダ系)やダーイッシュはシリアで勢力を拡大していくが、その理由は連合軍が本気で攻撃していなかったからにほかならない。その後、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュは支配地を拡大、アメリカ主導軍はインフラを破壊、住民の犠牲が増えていく。つまり、DIAの警告通りになった。こうした展開の中、2014年8月にフリンDIA局長は解任される。

退役から1年後の2015年8月、フリン中将はアル・ジャジーラの番組へ出演、ダーイッシュの出現が見通されていたにもかかわらず阻止できなかった理由を問われる。それに対し、自分たちの任務は提出される情報の正確さをできるだけ高めることにあり、その情報に基づいて政策を決定するのは大統領の仕事だと答えた。​ダーイッシュの勢力が拡大したのはオバマ政権が決めた政策による​というわけだ。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201801250001/


46. 中川隆[-5834] koaQ7Jey 2018年1月25日 18:28:14 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2018.01.25
トランプを大統領の座から引きずり下ろそうとしていた司法省とFBIが一転して窮地に(その2)


アメリカとダーイッシュとの関係を指摘した人物はマイケル・フリン中将以外にもいる。例えば、空軍の​トーマス・マッキナニー​中将は2014年9月、アメリカがダーイッシュを作る手助けしたとテレビで語った。また​マーティン・デンプシー​統合参謀本部議長(当時)はアラブの主要同盟国がダーイッシュに資金を提供していると議会で発言、10月には​ジョー・バイデン​米副大統領がハーバーバード大学で中東におけるアメリカの主要な同盟国がダーイッシュの背後にいると語っている。2015年には​ウェズリー・クラーク​元欧州連合軍最高司令官もアメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと述べた。

ダーイッシュはアル・カイダ系武装集団から派生したのだが、その​アル・カイダとはロビン・クック元英外相が指摘したように、CIAから軍事訓練を受けた「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル​。こうした訓練は1970年代の終盤にジミー・カーター政権の大統領補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーが考えた戦略に基づいて始められた。

CIAをはじめとするアメリカの好戦派とアル・カイダ系武装集団/ダーイッシュの関係をフリンは熟知、しかも背後にはDIAが存在している。こうした人物が国家安全保障補佐官に就任することは侵略戦争を推進している勢力にとって余りにもリスクが大きい。そうしたことから最初にフリンがターゲットになったのだろう。

こうした攻撃を続けてきた反トランプ陣営は現在、逆襲されている。タイミング的には、トランプ大統領が12月6日にエルサレムをイスラエルの首都だと認め、アメリカ大使館をそのエルサレムに建設する方針を示してからだ。

この決定を撤回するべきだとする決議案が国連総会で12月21日に賛成128カ国、反対9カ国、棄権35カ国で採択されているが、アメリカの状況は全く違う。この国には「1995年エルサレム大使館法」という法律があり、エルサレムをイスラエルの首都だと承認し、99年5月31日までにエルサレムにアメリカ大使館を設置すべきだとしている。

しかも、昨年(2017年)6月5日に上院はその法律を再確認する決議を賛成90、棄権10で採択している。アメリカとはそういう国であり、パレスチナ問題を公正な立場で仲裁することなど不可能な立場にある。エルサレムをめぐる問題の責任をトランプ個人に負わせるのは正しくない。

イスラエルのロビー団体であるAIPACがアメリカで大きな影響力を持っていることは広く知られている。有力メディアに大統領候補として取り上げられていたトランプ、ヒラリー・クリントン、バーニー・サンダースのうち、トランプとクリントンはAIPACの会合でイスラエルを支持している。サンダースはこの団体の招待を断ったが、エルサレムをイスラエルの首都だと承認し、アメリカ大使館を設置すべきだとする法律を再確認する決議には賛成している。

一般にユダヤ系富豪からの寄付はクリントンが多かったと言われているが、トランプも多い。タイムズ・オブ・イスラエル紙によると、​クリントンの高額寄付者の上位5位まではユダヤ系、トランプの場合は上位2位までがユダヤ系​で、トランプもイスラエルの影響を受けていると言える。

クリントンの上位5位までの寄付者は、ドナルド・サスマン(2080万ドル)、JBとマリー・カトリン・プリッツカー(1500万ドル)、ハイムとチェリル・サバン(1250万ドル)、ジョージ・ソロス(1180万ドル)、そしてS・ダニエル・エイブラハム(960万ドル)で、いずれもユダヤ系。そのほかフィルムメーカーのスティーブン・スピルバーグ、ファッション・デザイナーのラルフ・ローレン、Facebookのダスティン・モスコビッツなども高額寄付者だ。それに対し、トランプに対する最大の寄付者はカジノ経営者のシェルドン・アデルソン。第2位はロシア系ユダヤ移民の息子であるバーナード・マーカスである。

アデルソンは日本でカジノを経営させろと要求している人物だが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と親しいことでも知られている。ネタニヤフの友人のひとり、チャールズ・クシュナーはトランプとビジネス上のつながりがあり、その息子であるジャレド・クシュナーの結婚相手はトランプの娘イワンカであり、サウジアラビアのモハマド・ビン・サルマン皇太子とも親しい。勿論、この人脈はエルサレムをイスラエルの首都とすることに賛成だ。

ネタニヤフの父であるベンシオンはウラジミル・ジャボチンスキーの秘書だった人物。ジャボチンスキーは大イスラエルを主張する修正シオニストの祖であり、ハガナ(後のイスラエル軍)を創設した人物でもある。この一派は軍だけでなく情報機関とも関係が深いのだが、イスラエルの電子情報機関8200部隊はアメリカの情報機関とも深く関係、NSAが集めた情報も入手できると言われている。ストルゾクからペイジへの電子メールだけでなく、ヒラリー・クリントンの通信も把握しているだろう。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201801250002/


47. 中川隆[-5824] koaQ7Jey 2018年1月26日 09:01:57 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018.01.26
トランプを大統領の座から引きずり下ろそうとしていた司法省とFBIが一転して窮地に(その3)


ドナルド・トランプもヒラリー・クリントンも親イスラエル派であることに変わりはないが、背景の色合いは違う。トランプがウラジミル・ジャボチンスキーからベンヤミン・ネタニヤフ首相につながる流れであるのに対し、クリントンにはジョージ・ソロスやリン・フォレスター・ド・ロスチャイルドのように著名な富豪がついている。上院議員時代からクリントンはロッキード・マーチンのような戦争ビジネスの代弁者としても知られ、大統領選ではマイク・モレル元CIA副長官も公然と支援していた。

モレルは2016年8月8日、テレビのインタビューでロシア人とイラン人に代償を払わせるべきだと語り、司会者からロシア人とイラン人を殺すと言うことかと問われるとその通りだと答えている。その後、同年11月にアメリカの領事館で副領事の死体が発見され、12月にはアンカラでトルコ駐在大使が射殺され、ロシア外務省ラテン・アメリカ局の幹部がモスクワの自宅でやはり射殺されている。翌年1月になるとギリシャでロシア領事が死亡し、インド駐在大使が心臓発作で死亡した。2月には国連大使が急死、心臓発作だと言われている。外交官ではないが、2015年11月にはロシアの放送局RTを創設した人物がワシントンDCで死亡、16年12月にはKGB/FSBの元幹部の死体が自家用車内で発見された。また、2016年9月にはウラジミル・プーチンの公用車がモスクワで暴走車に激突され、大統領専属の運転手が死亡している。

モレルが言うところの代償とは、アメリカの中東支配戦略をロシアが崩壊させ、そのロシアにイランが協力したことに対する償いを意味している。本ブログでは何度も指摘していることだが、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟を中心とする勢力はリビアやシリアの自立した体制を倒すため、サラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心にした傭兵部隊を送り込んだ。

これは1970年代の終盤、ジミー・カーター政権で大統領補佐官を務めたズビグネフ・ブレジンスキーの戦術を踏襲したもの。ブレジンスキーはイスラム武装勢力を編成し、ソ連をアフガニスタンへ誘い込んで戦わせるという計画を立て、そうした秘密工作をカーター大統領は1979年7月に承認している。

その2カ月後、アメリカに留学、コロンビア大学などで学んだ経験のあるハフィズラ・アミンがモハメド・タラキ首相を暗殺して実権を握るが、クーデターの直前にアミンが首都のカブールでCIAの工作員と会っていたとする説も流れている。

アミンが最初にコロンビア大学へ入ったのは1957年。一旦アフガニスタンへ戻った後、1962年には博士号を取得するため、同大学の大学院で学び始めている。ブレジンスキーがコロンビア大学で教鞭を執り始めたのは1959年のことだ。

ブレジンスキーの思惑通り、ソ連の機甲部隊がアフガニスタンへ軍事侵攻したのは1979年12月のこと。アミンは暗殺され、バブラク・カルマルが新たな大統領になる。

1979年7月上旬にエルサレムで「国際テロリズム」に関する会議が開かれている。参加したのはアメリカとイスラエルで情報機関に関係していた人々。イスラエル側からは軍の情報機関で長官を務めた4名を含む多くの軍や情報機関の関係者、アメリカからの参加者にはジョージ・H・W・ブッシュ元CIA長官(後の大統領)やレイ・クライン元CIA副長官が含まれていた。会議の参加者は「テロの黒幕」はソ連だと主張、そこから反ソ連キャンペーンが始まる。

本ブログでは繰り返し書いてきたが、この当時、アフガニスタンでCIAはイスラエルやサウジアラビアのほか、パキスタンなどの協力を受けて傭兵部隊を組織している。CIAの訓練を受けた戦闘員の登録リストがアル・カイダ。アメリカやイスラエルはソ連を「テロの黒幕」だと宣伝する一方、テロリストを養成していたわけだ。

なお、エルサレムでの会議を主催した「ヨナタン研究所」はベンシオン・ネタニヤフによって創設されたシンクタンク。名称のヨナタンはベンシオンの息子、ベンヤミンの兄にあたるヨナタン・ネタニヤフに由来する。ヨナタンは1976年にウガンダのエンテベを襲撃したイスラエルの部隊を率いていた人物で、そのときに死亡している。

ヒラリー・クリントンを支える人脈にはブッシュ一族もつながっているが、その一族のひとりであるジョージ・H・W・ブッシュがネタニヤフと関係の深いシンクタンクが主催した会議に参加していた。両グループは1980年代にイラクのサダム・フセインをめぐって対立するような時もあるが、手を組む時もあるわけだ。同床異夢とも言えるだろう。

トランプは逆襲に転じる過程で政策を変更している。エルサレムをイスラエルの首都だと認めたのは周辺の人脈を見れば必然であり、これはアメリカ政界の総意でもある。大統領選の際にはロシアとの関係修復を訴えていたが、それは影を潜め、ウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づく世界制覇プランに従っているように見える。アメリカの巨大資本との関係を改善しようとすれば、TPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)の復活もありえるだろう。

ドルが基軸通貨の地位から陥落すればアメリカ中心の支配システムは崩壊、その後の世界は多極化するか巨大資本が国家を支配するシステムになるかだと見られている。後者はファシズムと言い換えることもできるが、そのためにはTPP、TTIP、TiSAを成立させ、ISDS条項によって巨大企業のカネ儲けを阻むような法律や規制を政府や議会が作れないようなシステムを築く必要がある。そうなれば健康、労働、環境など人びとの健康や生活を守ることは困難。すべて巨大資本の「御慈悲」にすがるしかない。

多極化を推進しているのはロシアや中国を中心とする勢力で、巨大資本はロシアや中国を屈服させるか破壊するしかない。これはクリントン陣営の政策でもあり、だからこそトランプのロシアとの関係修復を激しく攻撃したのだ。その点でトランプは妥協した可能性がある。(了)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201801260000/


48. 中川隆[-5798] koaQ7Jey 2018年1月27日 12:25:52 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2018.01.27
不正行為が発覚して窮地の司法省とFBIはトランプ大統領の事情聴取で罠を仕掛け、逆転を狙う


​ドナルド・トランプ大統領がFBIの事情聴取を受けることに疑問を持つ人​がいる。民主党や有力メディアがキャンペーンを続けてきたロシアゲート、つまりロシア政府が2016年の大統領選でトランプを勝たせるために介入したという話だが、その主張を裏付ける証拠は示されていない。本ブログでも指摘してきたが、この主張が正しいなら電子情報機関のNSAが証拠を握っているはずで、特別検察官を任命する必要はなかった。

遅くとも2015年6月にはヒラリー・クリントンを当選させることを支配層が決めたという噂が流れていた。2016年にWikiLeaksが公表したヒラリー・クリントンらの電子メールには、民主党幹部たちが2015年5月26日の時点でヒラリー・クリントンを候補者にすると決めていたことを示唆する電子メールもある。そうした「陰謀」で最初に狙われた人物がバーニー・サンダースであり、トランプは2番目だ。

そうしたクリントンを担いでいた勢力の陰謀を露見させる上で重要な役割を果たしたのがWikiLeaksの公表した電子メールだが、民主党や有力メディアは自分たちに都合の悪いその内容を封印する一方、ロシアがハッキングしたという宣伝を始めた。

かつて、毎日新聞の記者だった西山太吉は「沖縄返還」にともなう復元費用400万ドルを日本が肩代わりする密約の存在を明らかにした。これが事実だということは後に確認されているが、この件でマスコミが攻撃した相手は西山記者だった。バッシングで使われたフレーズは「ひそかに情を通じ」だ。国民全てが関係する「公」の話が、個人的な「私」の問題にすり替えられたのだ。しかも、この「私」の問題もきちんと検証されたようには見えない。こうしたキャンペーンが毎日新聞の経営にダメージを与え、倒産の一因になったと見る人もいる

クリントンのケースも同じパターンだ。有力メディアは問題の本質には触れず、人々を嘘で誤誘導している。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、​その嘘を流し、ロシアとアメリカとの関係悪化を目論んだのはCIA長官だったジョン・ブレナン​。ワシントンDC警察やFBIの報告書を見たとした上で、電子メールをWikiLeaksへ渡したのはDNCのコンピュータ担当スタッフだったセス・リッチだともしている。ハッキング話はインチキだということだ。

そうした「陰謀」に早い段階からFBIや司法省の幹部が加担していたことを示す電子メールの存在が明らかになっているのだが、それを議員が公開するかどうかは不透明。全ての通信を傍受、記録しているNSAに弱みを握られている議員は少なくないだろう。好ましくないことをするように仕向けられ、それを記録されている人もいると言われている。買収も行われているだろう。

イスラエル・ロビーに逆らうと次の選挙で当選できないことも常識になっている。1975年から76年にかけて、アメリカ上院では政府の情報活動を調査する特別委員会が設置され、秘密工作や監視システムの一端が明らかにされた。その委員会の委員長を務めたフランク・チャーチは次の任期を目指した1980年の選挙で落選、84年に59歳で死亡した。

バラク・オバマ政権がサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とする武装勢力を使ってシリアを侵略、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を編成した内幕を熟知しているマイケル・フリン元DIA局長をトランプが国家安全保障補佐官に任命すると、民主党や有力メディアは激しくフリンを攻撃、辞任させた。

CIA、司法省、FBIの幹部には反トランプ派が多いが、そのひとりで司法長官代理を務めたサリー・イェーツはトランプの政策に反対、そのイェーツの発言を電子メールで賞賛していたアンドリュー・ワイツマンはロバート・ムラー特別検察官の側近だ。

イェーツはフリンから事情聴取、ロシア大使との会話について質問しているが、その内容を知りたかったわけではない。その内容はNSAが盗聴し、記録していたからだ。その記録にある話を捜査官にしなかったとして偽証罪に問うたのだ。何も違法なことをしていないフリンを陥れるため、イェーツはトラップを仕掛けたということ。同じことをFBIはトランプに対して仕掛けようとしていると考えている人がいる。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201801270001/


49. 中川隆[-5747] koaQ7Jey 2018年2月01日 13:59:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2018.02.01
ロシアゲートの関する第2の文書は第1の文書の焼き直しにすぎず、筆者はクリントンの緊密な関係


アメリカでは大統領選の当時からドナルド・トランプをCIAやFBIは攻撃してきた。民主党や有力メディアはロシア政府がトランプを勝たせるために選挙へ介入したと主張、FBIはそれを口実にしてトランプ陣営を監視してきた可能性が高い。FISA(外国情報監視法)という法律を利用、ロシアという「外国勢力」を巻き込むことでトランプを「外国勢力のエージェント」だとし、監視したという。

そうした手段で情報を収集するためにはFISC(外国情報裁判所)の許可が必要だが、ここはフリーパスに近い。そこで、FBIやCIAはトランプ陣営の情報を自由に入手できるようになり、その情報をクリントンを勝たせるために使った可能性がある。

そうした不正行為に関する4ページの覚書がFBIを追い詰めている。FBI幹部のピーター・ストルゾクと同僚のリサ・ペイジとの電子メールによる遣り取りもFBIや司法省を窮地に追い込んだ。全ての電子的な通信はNSAが傍受、記録している。

FBIが表だってトランプとロシアとの関係を捜査しはじめたのは昨年(2017年)3月。下院情報委員会でアダム・シッフ議員が大統領選挙にロシアが介入したとする声明を発表したのだが、その根拠とされたのはイギリスの対外情報機関MI6のオフィサーだったクリストファー・スティールの報告書だった。スティール本人も信頼度が低いことを認めている代物。そのスティールを雇ったのはフュージョンGPSなる会社。そのフュージョンを雇ったマーク・エリアスなる人物はヒラリー・クリントン陣営や民主党全国委員会の顧問弁護士だ。

スティールを雇う前、フュージョンはトランプに関する調査と分析をネリー・オーなる人物に依頼している。この女性はCIAの仕事をした経験の持ち主で、その夫はFBI幹部のブルース・オー。

シッフ発言の5カ月前、FBIのチームはスティールと会うためにヨーロッパへ出向いたとされているが、ブルース・オーも大統領選の直後にスティールやフュージョンを創設したグレン・シンプソンと会っている。こうしたことが発覚したこともあり、ブルースは2017年12月に解任された。

民主党、FBI、CIAといった反トランプ勢力が追い詰められる中、ロシア政府ととらんぷを結びつけるという新たな文書が現れたが、その内容はスティールの主張を焼き直したもので、内容に新味はない。注目されているのは、それを書いた人物だ。

第2の文書を書いたのはコディー・シーラー。その双子の片割れであるブルックはヒラリー・クリントンのスタッフで、1971年にストローブ・タルボットと結婚している。タルボットは1994年2月から2001年1月にかけて、つまりビル・クリントン政権で国務副長官を務めている。ブルックとコディーの兄、デレクはタルボットのルームメートで、フィンランド駐在大使を務めた。その父親、ロイドはパレード誌の編集者だった。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201802010000/


50. 中川隆[-5734] koaQ7Jey 2018年2月03日 10:49:51 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

FBI非難の文書公開 トランプ氏、反対押し切り機密解除
2018年2月3日 3:59 発信地:ワシントンD.C./米国


パソコン画面に表示される、米議会が公開した文書。米首都ワシントンのニュース編集室で(2018年2月2日撮影)。(c)AFP PHOTO / Eric BARADAT


【2月3日 AFP】(更新)米連邦捜査局(FBI)が2016年大統領選のドナルド・トランプ(Donald Trump)陣営を監視するため職権を乱用したと主張する文書が2日、米議会によって公開された。FBIのクリストファー・レイ(Christopher Wray)長官は文書公開に反対していたが、トランプ氏がその警告を押し切り機密解除を決めた。

 4ページにわたる同文書は、トランプ氏の政権移行チームのメンバーだった共和党議員、デビン・ニューネス(Devin Nunes)氏が複数の機密文書に基づき作成したもの。

 同氏は文書で、ロシア関係者と接触を繰り返していたトランプ陣営顧問のカーター・ペイジ(Carter Page)氏の監視に必要な捜査令状をFBIが取得した際、民主党の資金援助を受けてまとめられた確証に欠ける報告書を使用したと主張。捜査に偏りがあったとしている。

 文書の機密解除を発表したトランプ氏は「われわれの国に起きていることは恥辱だ」と指摘。「多くの人々が恥じるべきだ」と述べ、FBI上層部に向けたとみられる批判を展開した。

 文書の公開により、トランプ氏はFBIと真っ向から対立する形となり、レイ長官が就任からわずか6か月で辞任するとの観測も出ている。

 2016年の米大統領選をめぐっては、ロシアが選挙情勢をトランプ氏の有利な方向に傾けようとしたとの見解で米情報機関の見解が一致しており、反トランプ派からは、文書はトランプ陣営とロシアの関係をめぐるロバート・モラー(Robert Mueller)特別検察官の捜査を妨げるため作成されたものだとの批判が出ている。

 民主党は今回の文書に対抗するため、ニューネス議員が事実を単純化し、都合の良い部分だけを選別したと主張する文書を作成し、公開の承認を求めている。(c)AFP


51. 中川隆[-5731] koaQ7Jey 2018年2月03日 17:09:39 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2018.02.03
ニューネス下院情報委員会委員長のスタッフによって作成されたメモが2月2日に公開され、FBI窮地
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201802030000/

ドナルド・トランプを2016年の大統領選挙で勝たせるためにロシア政府が選挙に介入したというキャンペーンが民主党、有力メディア、司法省、FBI、CIAなどによって展開されてきたが、監視システムに精通しているNSAの元分析官など専門家は早い段階から偽情報だと指摘している。いわゆるロシアゲートだが、その主張を裏付ける事実は提示されず、説得力はない。そのキャンペーンの実態を調査したデビン・ニューネス下院情報委員会委員長のスタッフは4ページのメモを作成、それが2月2日に公開された。いわゆるニューネス・メモだ。ロシアゲートがFBI/司法省ゲートへ変化しつつある。


アメリカ議会でロシアゲートが取り上げられたのは2017年3月のこと。下院情報委員会でアダム・シッフ議員が大統領選挙にロシアが介入したとする声明を発表したが、その根拠とされたのはイギリスの対外情報機関MI6のオフィサーだったクリストファー・スティールの報告書だった。この報告書の信頼度が低いことはスティール本人も認めている。

この後、2017年5月にロバート・マラー元FBI長官がロシアゲートの特別検察官に任命されたが、メモによると、FBIの幹部だったブルース・オーは2016年の夏からスティールと会っている。スティールは長期にわたるFBIの情報提供者だったと指摘されているので、そうしたことから接触した可能性がある。

選挙キャンペーンでドナルド・トランプの顧問だったカーター・ペイジを監視するためにFBIはFISA(外国情報監視法)の令状を2016年10月に入手したが、その際にマイケル・イシコフがヤフー・ニュースに書いた記事を利用した。この記事の情報源はスティールにほかならない。令状を受け取った当時、FBIのチームはスティールと会うためにヨーロッパへ出向いたとされている。

そのスティールを雇ったのはフュージョンGPSなる会社で、そのフュージョンを雇った人物はマーク・エリアスなる弁護士。ヒラリー・クリントン陣営や民主党全国委員会の顧問弁護士を務めていた。

つまり、民主党やヒラリー・クリントンのカネで雇われたFBIへの情報提供者であり元MI6オフィサーが作成した信頼度の低い報告書に基づいてFISC(外国情報裁判所)はトランプの側近を監視、捜索するために必要な令状を選挙期間中に出したことになる。監視する司法省やFBIの幹部は反トランプ派だ。

フュージョンはスティールを雇う前、トランプに関する調査と分析をネリー・オーに依頼したが、この女性はCIAの仕事をした経験の持ち主で、夫はFBI幹部のブルース・オー。これは本ブログでも指摘済みの話だ。

ロシアゲート事件でイシコフは重要な役割を果たしたが、ビル・クリントン政権では信憑性に乏しい情報に基づく記事を書いて大統領を攻撃していた。1997年10月にリンダ・トリップなる女性がモニカ・ルウィンスキーと大統領との電話による会話を録音、公表している。不適切な関係をうかがわせる内容だが、この後、攻勢は落ち着く。トリップに盗聴するように進めたルシアンヌ・ゴールドバーグは1972年の選挙で戦争反対の意思を鮮明にしていた民主党のジョージ・マクガバンの陣営へスパイとして潜り込んでいた人物だ。

マクガバンは民主党の一般党員に支持されていたが、党の幹部は違った。民主党の内部ではヘンリー・ジャクソン上院議員を中心にCDM(民主党多数派連合)が組織されている。ジャクソン議員の事務所はシオニストのリチャード・パイプスを顧問として抱え、まだ若手だったリチャード・パール、ポール・ウォルフォウィッツ、エリオット・エイブラムス、ダグラス・フェイス、エイブラム・シュルスキーなど後にネオコンの中心グループを形成する人びとが訓練のために送り込まれていた。

ルウィンスキーの話が浮上する9カ月前、1997年1月に国務長官は戦争に消極的だったクリストファー・ウォーレンから好戦的なマデリーン・オルブライトに交代している。オルブライトはヒラリー・クリントンの友人だ。ビル・クリントン政権には2014年のウクライナにおけるクーデターを現場で指揮していたネオコンのビクトリア・ヌランドが国務副長官首席補佐官として加わっていた。このヌランドもヒラリーと親しい。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201802030000/


52. 中川隆[-5722] koaQ7Jey 2018年2月04日 09:58:06 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]
2018.02.04
FBIやCIAが16年の大統領選挙でトランプを監視するために不正手段を使ったことをFISCにも報告か
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201802040000/


2月2日に公開されたニューネス・メモにはFBIや司法省がFISC(外国情報裁判所)を欺き、選挙キャンペーンの期間注にドナルド・トランプの側近を監視、捜索するために必要な令状を出させたことが指摘されているのだが、​FISC​はこの件に関するメモを2017年4月に作成、NSA(国家安全保障庁)、FBI(連邦捜査局)、CIA(中央情報局)、NCTC(国家テロ対策センター)に問題があったことを認めている。

ポール・クレイグ・ロバーツ元財務次官補によると、司法省、FBI、CIA、NCTC(国家情報長官オフィスの下部機関)による​不正行為をNSAのマイケル・ロジャース長官が気づいて調査、FISCに知らせた​という。これが事実だとすると、当然、知らせたのはFISCのメモが作成される前のこと。つまり2017年4月より前。今年の1月には​ロジャース長官が春に引退するという記事​をPOLITICOが掲載している。ふたりの情報機関オフィサーが同誌に話したという。

議員にしても、有力メディアの編集者や記者にしても、NSAからFISCへそうした情報が伝えられていたのならば、ニューネス・メモを封印することは困難だっただろう。メモ自体がダメージコントロールだった可能性も否定できない。アメリカ支配層の権力バランスに変化が生じているようにも見える。タイミングを考えると、ドナルド・トランプ大統領が12月6日の演説でエルサレムをイスラエルの首都だと認めたことも関係している可能性がある。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201802040000/


53. 中川隆[-5665] koaQ7Jey 2018年2月10日 17:38:32 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年02月09日
ロシア疑惑の捏造と暴かれた米国司法省の腐敗


信用できない情報源

Trump 25Hillary Clinton 48


  アメリカ合衆国における反トランプ勢力の陰謀は凄まじい。どんな手段を使おうが、「何としてもトランプを抹殺すべし !」と執念に燃えた左翼が全米中に溢れている。連邦議員による敵対陣営への裏工作とか、大手マスコミの政権批判は毎度のことだけど、政治的中立性を保つはずの司法省が腐っていたとは驚きだ。しかも、民衆党の縄張りになっていたのだから見過ごせない。不動産王のドナルド・トランプが大統領選挙に出馬を表明してからというもの、マスコミ各社はこの「部外者(アウトサイダー)」を蛇蝎の如く嫌い、贔屓のヒラリー・クリントンを陰に陽に擁護して、彼女を女性初の大統領にしようと躍起になっていた。

  温かいマスコミの支持を得たヒラリーも、目の前にぶら下がっている念願の椅子を手に入れようと必死で、盛んにトランプ批判を繰り返していたのは記憶に新しい。浮気症が治らない亭主のビルにヒラリーが離婚もせずにジっと我慢していたのは、ひとえに大統領になりたいからである。しかし、その「夢」も「幻」に終わってしまい、ヒラリーの政治生命は終焉を迎えることとなった。だが、もしかすると、彼女以上に失望感を味わっていたのは、左巻きの主要メディアかも知れない。あれほど全力でヒラリーを応援したのに、中西部や南部の保守派白人が、あろうことにトランプを担いでしまい、このド素人をホワイトハウスの主人にしてしまったのだ。リベラル派の知識人や報道陣は憤慨し、悲しみと怒りが混じり合って、もう気が狂わんばかりに怒っていた。彼らからすれば、テレビ藝人上がりの商売人など、教養の欠片(かけら)も無い下層白人の代表者に過ぎない。したがって、彼らの評価は「ネオナチまがいの頑固者」、「人種偏見の権化」、ないし「外政音痴の唐変木(とうへんぼく)」といったところだ。

Trump supporters 3Hillary Clinton 49

(左: 熱心なトランプ支持者 / 右: 意気銷沈したクリントン夫妻 )

  クリントンの敗北を目にして自失茫然の左翼陣営であったが、暴君打倒の炎を絶やしたわけではなかった。彼らはトランプ陣営とロシアとの“関係”に注目し、その“いかがわしい”闇を突こうとしたのである。こうして主要マスコミは「ロシア疑惑」を囃し立て、トランプを大統領の座から引きずり落とそうと謀った。ところが、トランプを追い詰めてチェックメイトをかけようとした、その時、運命の女神(フォルトゥーナ)はトランプに微笑んでしまったのだ。しかも、正義の女神(テーミス)までもがトランプに靡いてしまったから、まさしく泣きっ面に蜂である。ざっくり言えば、民衆党シンパやヒラリー陣営がトランプの側近を締め上げて、彼らの親分を射止めようとしていたのに、その手法が「イカサマ」とバレてしまったのだ。

Carter Page 2(左 / カーター・ペイジ)
  「トランプ包囲網」に綻びが生じたのは、トランプ陣営のカーター・ペイジ(Carter Page)に関するFBIの調査であった。その前に、このペイジについて述べねばなるまい。彼は1990年代、合衆国海軍に所属し、その後ビジネスと国際関係論で学位を取得したそうだ。(彼は博士号のPhDを取得している。) 大学を出ると有名な投資会社の「メリル・リンチ」に就職し、ロシアと東歐の動きに注目していたという。こうした関心から、彼は頻繁にロシアを訪れたようで、ロシア屈指の国営石油会社「ガスプロム(Gazprom)」に助言を与える仕事もしたそうだ。

  それにしても、なぜロシア関連の仕事をするメリル・リンチ社員が、トランプ陣営の外政担当チームに加わったのか、と言えば、単なる偶然と自らの“売り込み”があったからだ。トランプがまだ共和党の代表候補者になりかけだった頃、彼の選挙陣営は外政方針を定めるチームを発足させ、その大役は保守派のラジオ司会者であるサム・クローヴィス(Sam Clovis)に任された。しかし、ペイジはクローヴィスからの「お声掛かり」を待ちきれず、ニューヨークの共和党議長を務めていたエド・コックス(Ed Cox)に直談判し、トランプ陣営に加えてくれるよう頼んだのである。そこで、コックスは選挙マネージャーを務めるコーリー・ルワンドスキー(Corey Lewandowski)にペイジを任せ、彼がこの新入りをクローヴィスに会わせた。こうしてペイジはトランプの「スタッフもどき」になることができたのだ。しかし、トランプの選挙陣営で報道係を担当したジェイソン・ミラー(Jason Miller)によれば、ペイジは一度も正式な選挙スタッフにはなっていないという。

Sam Clovis 1Ed Cox 1Corey Lewandowski 2

( 左: サム・クローヴィス / 中央: エド・コックス/ 右: コリー・ルワンドスキー )

  ただ、ペイジには疑惑を招くような雰囲気があった。まず、彼はロシアに対して好意的で、米国の外政方針はクレムリンに対して厳しすぎると批判していたのだ。さらに、彼はロシアの要人と会談することも多かった。例えば、ロシアの大手石油会社「ロスネフチ」の経営者であるイゴール・セチン(Igor Sechin)と会って、米国による禁輸措置について話し合っていた。また、ロシアの諜報将校であるイゴール・ディヴェイキン(Igor Diveykin)とも接触し、何かを話していたらしい。ロシア分析を専門とするベイジがロシア人と会談するのは当然だが、トランプの対露政策が融和的なので、米国のジャーナリストは「何らかの密約があるのでは?」と勘ぐったのである。なるほど、大統領になる前からドナルド・トランプは、ロシアと戦略的パートナーになることを示唆しており、ロシアを目の敵(かたき)とするよりも、むしろ共同で世界政治を動かそうと考えていた。だから、一部の専門家や政治家たちが猜疑心を抱いたのも“もっとも”だ。しかし、現実政治を念頭に置けば、ロシアと悉く対立するより、何らかの取引で経済的繁栄を図った方が良いと考えるのは自然な流れである。

Devin Nunes 1(左 / デヴィン・ヌーネス)
  カーター・ペイジのような末端のアドヴァイザーが、何度ロシア人と接触しようが、ホワイトハウスにおける意思決定機関に影響は無い。ところが、このペイジに目を附けた人物がいた。それが元英国諜報員のクリストファー・スティール(Christopher Steele)である。この元スパイは心の底からトランプを嫌いだったようで、開示されたデヴィン・ヌーネス(Devin Nunes)のメモによれば、スティールは絶対にトランプを当選させてはならぬと思っており、何としても奴を大統領にさせてはならぬと息巻いていたそうだ。(これは、下院諜報委員会で議長を務める共和党のヌーネス議員によるメモランダムで、2018年2月2日、トランプ大統領が極秘にされていた内容を公開するよう指示したから、ようやく世間に明らかとなった代物ある。)

明らかとなった司法省と民衆党の陰謀

  我々が注目すべきは、この機密解除により暴露されたFBIと司法省の恥部である。米国には「外国諜報員監視法(FISA / Foreign Intelligence Surveillance Act)」という法律があって、スパイ活動を行っていると目されるアメリカ国民を監視する際、FISAの法廷から許可を得なければならない。そこで、ペイジを“臭い”と踏んだ司法省とFBIは、彼の盗聴や監視を行うためにも、その根拠が必要となり、「スティール文書(Steele dossier)」を切り札にしたという訳だ。ところが、この「スティール文書」が“紛(まが)い物”というより、とんでもない“捏造品”であったから問題となった。

  ヌーネス・メモによれば、FBIと関係を持っていたクリストファー・スティールは、「パーキンズ・コイ(Perkins Coie)」という法律事務所と「フュージョン(Fusion)GPS」を通して、クリントン陣営と民衆党全国委員会(DNC)から16万ドル(約1千760万円)をもらっていたのだ。ちなみに、「フュージョンGPS」とはグレン・シンプソン(Glenn R. Simpson)が設立した調査会社で、元々シンプソンは「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙に記事を載せていたジャーナリストであった。独立してからは、外国でのセックス・スキャンダルや資金洗浄の内偵を請け負っていたそうで、今回の一件も銭を目的とした調査である。

Glenn R Simpson 1Christopher Steele 1Michael Isikoff 1


(左: グレン・シンプソン / 中央: クリストファー・スティール/ 右: マイケル・イシコフ )

  話を戻すと、「使命感」に燃えていたスティールは、トランプとロシアの関係を洗い出し、両者の間に横たわる「汚物」、つまり何らかのネタを摑んでトランプ陣営に打撃を与えようと謀った。しかし、彼の“情報源”というのが「ヤフー・ニューズ(Yahoo News)」というから呆れるじゃないか。スティールの“特ダネ”となったのは、マイケル・イシコフ(Michael Isikoff)というジャーナリストが書いた記事である。このイシコフは2016年7月にペイジがモスクワを訪問したことに目を附けて、問題の記事を纏めたそうだ。

  ところが、イシコフの記事における“情報源”というのは、スティールがリークした“裏話”に基づいていたのだ。(Sarah Westwood, " Nunes memo : Justice Department's FISA application never disclosed Steele dossier's ties toClinton", Washington Examiner, February 2, 2018) これを聞けば、日本人のみならずアメリカ人だって「えっっっぇぇぇ ! 何それ ! ヤラセ記事じゃないか !」と叫ぶだろう。スティールは自分でイシコフに情報を漏らし、その囁きでイシコフがスクープ記事を書き、これをスティールが決定的証拠に仕立て上げたのだ。こんなのは八百長記事だけど、黙っていれば誰にも分からない。かくて、FISA法廷から監視許可が下りた。

James Comey 2Andrew McCabe 3


(左: ジェイムズ・コミー / 右: アンドリュー・マッケイブ)

  司法省とFBIは“アメリカ国民”のペイジを監視できる許可を得た訳だが、その手続きにも不手際が絡んでいた。FISAの規則では90日ごとに監視令状の更新を行わねばならず、その申請書には高官たちの署名が必要となる。だから、署名した高官は責任を免れない。ただし、ここで特筆すべきは、彼らは3回もサインを繰り返していたという点だ。令状の申請書に署名していたのは、FBI長官のジェイムズ・コミー(James Comey)と副長官のアンドリュー・マッケイブ(Andrew McCabe)、司法長官代理のサリー・イェイツ(Sally Yates)およびダーナ・ベンテ(Dana Boente)、それにトランプ政権で司法長官代理となったロッド・ローゼンシュタイン(Rod Rosenstein)である。しかし、これだけの面々がスティール文書の信憑性を精査せず、事務的に盲判(めくらぱん)を押したとは考えづらい。もしかしたら、意図的に「裏」を取ることを怠ったのかも知れないし、ひっとしたら「曰く附き」と判っていて“わざと”署名したとも考えられるのだ。

Sally Yates 1Dana Boente 2Rod Rosenstein 2

(左: サリー・イェーツ / 中央: ダナ・ベンテ / 右: ロッド・ローゼンシュタイン)

  「いかがわしい」のは司法省のお偉方だけではない。トランプのゴミ漁りをしていたスティールは、「フュージョンGPS」を通してお金をもらっていたのだが、彼は同社に務めるネリー・オー(Nellie Ohr)と協力関係にあったのだ。ところが、このネリーというのが何と、司法長官の補佐官を務めるブルース・オー(Bruce Ohr)の女房であったから、さあ大変。(Andrew C. McCarthy , "House Memo Details Use of Steele Dossier to Spy on Trump Campaign Adviser", National Review, February 2, 2018) ペイジの監視令状を承認した司法副長官に仕える側近の妻が、情報提供者と昵懇だなんてスキャンダルもいいとこだ。しかも、FISA法廷はスティールが多額の報酬をもらっていたことを報告されていなかった。もし、スティールがクリントン陣営や民衆党から依頼を受け、司法省の高官とも個人的な関係を持っていたと判っていれば、FISA法廷は監視令状を許可しなかったはずである。おそらく、コミー長官やマッケイブ副長官は、スティールの怪しい情報に気付いていたはずだし、イェーツもブルース・オーがスティールとの関係を保っていた事は承知していたはずだ。

Nellie Ohr & Bruce(左: ネリー・オー / 右: ブルース・オー)
  本来、司法省の役人は政治的中立性を優先しなければならないが、官僚の「政治任命」があるので、どうしても党派性が出てくる。それに、アメリカ政治の専門家とか高学歴を誇る官僚となれば、大学で真っ赤に染め上げられているから、民衆党寄りのリベラル派とか、ピンク左翼のミュータント(変種)になりやすい。馬鹿馬鹿しいけど、政界や財界、研究所、法曹界などに就職する大卒者には、「教養人たる者はリベラル派であるべし」とか「民衆党の方が国民を代表している」いう観念がある。だから、職場では“ノンポリ”を装っている官僚でも、私生活では筋金入りの民衆党員という場合が多い。FBI副長官のアンドリュー・マッケイブも、こうしたリベラル派官僚の一人である。

  スティール文書に基づき監視令状の要請をしたマッケイブだから、当然、トランプ陣営ともクリントン陣営とも利害関係を持ってはならないはず。しかし、彼は民衆党陣営と間接的に利害関係を持っていた。なぜかと言えば、彼の伴侶であるジル・マッケイブ(Jill McCabe)夫人が、地元ヴァージニア州の州議会選挙に出馬したからである。2015年、小児科医のマッケイブ夫人は選挙に打って出たが、あええなく落選してしまった。ところが、2016年10月に、ひょんな事から問題が発覚したのである。ウォール・ストリート・ジャーナル紙のデルヴィン・バレット(Delvin Barrett)記者が、ジル・マッケイブの政治献金に目を通したところ、民衆党の大物を介してヒラリー・クリントンと繋がっていることに気付いたのだ。(Zack Beauchamp, "Trampand Republicans have spent months going after Andrew McCabe. Now he's gone", Vox, January 29, 2018)

Jill McCabe 1Jill McCabe & family

(左: ジル・マッケイブ / 右: 亭主のアンドリュー・マッケイブと子供たち )

  出馬したジル・マッケイブは、州知事のテリー・マッコウリフ(Terry McAuliffe)が基盤とする政治団体(PAC)から46万7千500ドル、これに加えヴァージニア州の民衆党組織から20万7788ドルをもらっていたという。さらに、クリントンと関係の深い人々が合計で13万ドルも貢いでおり、献金者リストの上位を占めていたそうだ。大口献金者の例を述べるとすれば、まず投資家でヴェンチャー・キャピタリストのフレデリック・ショウフェルド(Frederick D. Schaufeld)を挙げることができる。公式報告書によれば、彼は合計で6万5千332ドルを渡していた。具体的には以下の通り。(Virginia Public Acess Projectのサイトを参照。)

  2015年6月29日     2万5千ドル
8月31日        2万ドル
     10月22日       1万ドル
4月26日        5千332ドル

Terry McAuliffe 1Fredrick D Schaufeld 2Fredrick D Schaufeld & Karen


(左: テリー・マッコウリフ / 中央: フレデリック・ショウフェルド / 右: フレデリックとカレン・ショウフェルド夫妻)

  ショウフェルド氏は既婚者なので、当然、彼の妻、カレン(Karen Schaufeld)夫人も献金者になっていた。法律事務所に勤める夫人が渡した金額は1万849ドルである。政治献金をした個人ということだけなら別段問題ではないが、見過ごせない「問題」というのは、この夫婦がヒラリー・クリントンの全米ファイナンス委員会(National Fiance Committe)に席を持っていた点である。この委員会は「ヒラリー・フォア・アメリカ(Hillary for America)」や「ヒラリー・ヴィクトリー・ファンド(Hillary Victory Fund)」、「ヒラリー・アクション・ファンド(Hillary Action Fund)」に少なくとも10万ドルの献金をした者でなければ、その参加資格が無いのだ。つまり、明らかなクリントン支援者がジル・マッケイブの支援者になっていた訳で、その亭主がクリントンの政敵を調査する令状に係わっていたのだから、トランプ大統領や共和党議員が眉を吊り上げたのも無理はない。

Sonjia Smith 1(左 / ソニア・スミス)
  ショウフェルド夫妻の他には、ヒラリーの全米ファイナンス委員会に所属していたソニア・スミス(Sonjia Smith)も、ジル・マッケイブの献金者となっていた。スミス氏は総額で1万849ドルを渡しており、彼女の夫であるマイケル・ビルズ氏も4万5千ドルを献金していたそうだ。彼は投資金融業者で「ブルーステム・アセット・マネージメント」社を経営している。落選したものの、ジル・マッケイブは160万ドルもの献金を集めており、その内、クリントンと繋がりのある者が88万1千469ドルを貢いでいたのだ。(Joe Schoffstall, "TopClinton Bundlers Were Major Donors to Wife of FBI's Andrew McCabe", The Washington Free Beacon, November 7, 2016)

胡散臭い民衆党のユダヤ人

George Papadopoulos 1(左 / ジョージ・パパドロポス )
  とにかく、民衆党が推し進めていた「ロシア疑惑調査」は、ヌーネス・メモが公表されたことで、その流れが変わってしまった。このメモに対し激しく反駁していたのは、ヌーネス議員と同じく、下院諜報委員会に属する民衆党の下院議員アダム・シフ(Adam Bennett Schiff)である。このユダヤ人議員はヌーナン・メモを党派的バイアスのかかった文書で、トランプ大統領とその取り巻き連中を守るため、特別調査を毀損させる意図を有しており、司法省とFBIが握っている重要な情報を省略している、と述べていた。(Bob Bryan, "Top Intelligence Committee Democrat says release of Nunes memo is an attempt to circle the wagons around the White House", Business Insider, February 2, 2018) シフ議員によれば、トランプとロシアとの関係を洗うFBIの捜査は、ペイジの動向ではなく、トランプ陣営の選挙スタッフであったジョージ・パパドポロス(George Papadopoulos)の線から始められたものであるという。このパパドポロスは、あるパーティーの席でオーストラリア人外政官のアレグザンダー・ドウナー(Alexander Downer)と話しているとき、ロシアがヒラリー・クリントンの周辺を嗅ぎ回っているんだ、と語っていたそうだ。後に、彼はFBIの事情聴取を受けた時に、事実と異なる「嘘」をついてしまい、裁判で有罪となってしまった。

Adam Schiff 1Charles Schumer 3Rod Rosenstein 1

(左: アダム・シフ / 中央: チャールズ・シューマー / 右: ロッド・ローゼンシュタイン)

  司法省と民衆党を擁護したいアダム・シフ議員は、公表されたヌーネス・メモを何とか貶めようと躍起になっていた。彼によれば、ヌーネスが作成したメモはFBIの的確な捜査を反映しておらず、世論を間違った方向に導く党派的な文書であるそうだ。米国の報道を観ていると、反トランプ陣営の連中はどいつもこいつも、シフと口を揃えて、ヌーネス・メモは「良いとこ取り(cherry picking)だ !」と批判し、国家機密に触れるのでFBI捜査の全貌を明かせないのだ、と愚痴を述べていた。こうした中、シフ議員はヌーネス・メモに対抗する独自の「シフ・メモ」を作成したそうで、これを民衆党の大物であるチャールズ・シューマー(Charles Schumer)上院議員が後押ししていた。(Emily Stewart, "Trump released the Nunes memo. Democrats think he should make theirs public, too", Vox, February 4, 2018) シューマー議員によれば、ヌーネス・メモはロバート・ムラーの調査だけを意図的に貶め、アメリカ国民が抱く恐怖心を一方的に煽るだけらしい。まったく、シフ下院議員に続きシューマー上院議員といい、どうしてこうもユダヤ人はダッグを組んでトランプを攻撃するのか。本当に、同族原理で動く連中のチーム・プレーは見事である。

  もう一人“胡散臭い”ユダヤ人を挙げるとすれば、それはトランプが司法副長官に取り立てたロッド・ローゼンシュタインだ。一応、彼はジョージ・W・ブッシュ恩顧の共和党員だけど、司法界では民衆・共和のどちらにも偏らない、「政治的中立を保つ男」との評判を得ている。しかし、奇妙なのは彼が上院で承認されるとき、共和党は元より、民衆党議員の多くがあっさりと認めてしまったのだ。ローゼンシュタインは民衆党に肩入れしない姿勢を貫いていたが、何となくロバート・ムラーやジェイムズ・コミーと親しく、例の監視申請書にも署名していたから実に怪しい。しかも、トランプ大統領が彼を罷免しそうだとの噂が流れると、民衆党議員がこぞって反撥し、彼を解任すべきではないと言い出した。ブッシュ大統領に仕えた法律顧問のリチャード・ペインター(Richard Painter)も、ローゼンシュタインの解任はトランプ大統領にとって大きなマイナスだ、と述べていたのだ。

Rod Rosenstein 3Jews in US 2


(左: ロッド・ローゼンシュタイン / 右: 星条旗とイスラエル国旗の刺繍をした帽子「キッパ」を被る米国のユダヤ人)

  これは筆者の勝手な推測なんだけど、ロッド・ローゼンシュタインは共和党の中に潜り込んだ民衆党のモグラなんじゃないか。つまり、普段は冷静なノン・ポリを装い、イザという時には“こっそりと”民衆党と連携する裏切者ということだ。もし共和党の仲間から責められれば、原理原則や遵法精神を貫くがゆえに、身内の共和党に厳しいのだ、と言い訳するに違いない。ローゼンシュタインにとっては党利党略など“些細な事”で、重要なのは司法省に居坐り、権力の座を保持することだ。普段から中立性を保てば、民衆・共和の両党が衝突した時に「仲介者」の役割が廻ってくるから、ローゼンシュタインが「不偏不党」なのは理に適っている。「分断して支配せよ !Divide and Rule !)」は歐米人のお家藝だが、この統治術を西歐で使っていたのはユダヤ人だ。白人議員の馬鹿どもは、ちょくちょく下らない事で争い、結果的に共倒れとなるが、ローゼンシュタインのような者だけは生き残る。つまり、漁夫の利は賢い第三者に転がってくるという訳だ。

Peter Strzok 1Lisa Page & Joseph Burrow(左: ピーター・ストロック / 右: リサ・ペイジと夫のジョセフ)
  今回の一件で呆れ返るのは、FBIの政治腐敗だけでなく、司法省に充満する反トランプ感情の発露である。保守派メディアが公表していたけど、司法省が集めた色々な電子メールの中に、司法省の職員が交わした大量の交信記録がったそうだ。しかも、公開されたメールの中には露骨な反トランプ文書が結構あった。例えば、防諜担当のピーター・ストロック(Peter Strozk)とFBI所属の法律家であるリサ・ペイジ(Lisa Page)は、5万通もの電子メールを交わしており、両者ともトランプを馬鹿呼ばわり。ただし、面白いのは、大統領選挙の前、彼らがトランプの当選を危惧していたことだ。ストロックはロバート・ムラーの調査チームに加わることを躊躇(ためら)っていた。なぜなら、ムラーがトランプを有罪に持ち込めないんじゃないかと思っていたからだ。興味深いことに、彼は第六感で、決定的な証拠は出てこないだろうと踏んでいたのである。

Robert Mueller 3(左 / ロバート・ムラー)
  もっと面白いのは、不倫関係にあった二人が、トランプ当選という悪夢に備えて保険を掛けておいた方がいい、と話し合っていたことだ。(Kaithyn Schallhorn, "Strozk, Page and the FBI texting scandal explained", Fox News, January 31, 2018) 彼らはトランプを心底嫌っていたけど、自分の将来を考えれば、トランプに敵対しない方が賢い、と考えていた。こういう輩(やから)は毒饅頭と似ている。上っ面は純白で、腹の中が真っ黒。白人のくせに白人の身分を非難し、善人を気取って黒人に理解を示す。だが、恋人や愛人となれば白人ばかりで、住むところも黒人街とは離れた別世界。いわゆる「偽善系」というやつだ。トランプにタカっている共和党系の高級官僚だって、同じ穴の狢(ムジナ)である。ホワイトハウスの物陰に隠れれば、お互いに「トランプって本当にアホだよなぁ」と囁く。それでいて、トランプの前では恭しく「ミスター・プレジデント」と敬礼するんだから、二枚舌の支那人も頭が下がる。その点、オバマ前大統領は気楽だった。黒人だとインテリの白人は親切だし、何をやっても褒めてくれる。ヘマをやらかしても、赤いジャーナリストや左翼評論家が庇ってくれるし、辛辣なコメントも少ない。トランプも黒人に生まれていれば、今頃は好景気をもたらした「偉大なる大統領」と呼ばれていたんじゃないか。

  全部のマスコミ報道を網羅した訳じゃないから断定できないが、日本のマスコミは相変わらず「どうでもいい」ことばかりを垂れ流している。平昌オリンピックにやってくる北鮮人がスゴいとか、茂木大臣が有権者に手帖を配った、大相撲の理事会がおかしいとか、本当に脳天気な話題ばかりである。毎月、新聞代やNHK受信料を払っている日本人は、こうした報道姿勢に満足しているのか? 新聞はロシア疑惑の一部を報道しているが、どれもこれも表面的な“アリバイ報道”で、「ちゃんと海外ニューズも伝えてますよ !」という虚勢のみ。具体的で生々しい報道は皆無で、読んでいる一般人はどの程度の事件なのか解らない。各社ともワシントン特派員を置いているが、大学生のアルバイトでも書けそうな記事ばかりだ。全国紙や地上波テレビは、どうせ米国の左翼メディアから貰った英語ネタを和訳しているだろだろう。日本のマスコミで熱心に取材しているのは、藝能記者とスポーツ新聞の記者だけじゃないのか。一般家庭の亭主どもは、つまらない朝日新聞を毎朝読むより、楽しい「東京スポ」や「スポ日」を待ち望んでいるはずだ。見栄を張って朝日・毎日を取るより、隅々まで読みたくなるスポーツ新聞の方がいいよねぇ。でも、奥様たちは反対だ。「折り込み広告が無いじゃない !」とご立腹。とは言っても、新聞って「記事」が主体じゃないのかなぁ〜。
 http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68699933.html 


54. 中川隆[-5615] koaQ7Jey 2018年2月20日 22:00:37 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

2018年02月19日
【書評】『あなたの資産が倍になる——金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」』植草一秀(ビジネス社)

トランプ氏はいつもメディアからたたかれているが、その理由は「米国の支配者」である強欲巨大資本が彼を歓迎していないからと指摘する。

 これは分かっている人には当然のことだが、メディアを見る際、肝に銘じてほしいことである。ニュース研究者を自認する私からすれば、メディアが攻撃する対象は支配権力(国際資本)の敵、持ち上げる対象は支配権力の手先(売国奴)にほかならない。日本のメディアが植草氏をありもしない「犯罪」でこき下ろしてきたのもこの理由からである。

 トランプ氏が支配権力を敵に回したまま地位を維持することは難しい。植草氏は彼の行動様式を「現実主義=実用主義」と捉え、その「柔軟性」の高さを認める。具体例として、

@最高裁判事ニール・ゴーサッチ氏の就任承認
A首席戦略官兼大統領上級顧問スティーブン・バノン氏の解任
B連邦政府の債務上限引き上げや暫定予算など一本化法案を成立させたこと、を挙げる。


@ は中東など7カ国からの入国禁止措置をめぐる裁判所側との攻防で、大統領の示した人事案が議会承認されたことを指す。水面下で議会共和党とさまざまな取引が展開されたとみられる。

A バノン氏は、米国が世界の警察官の役割から撤退することを提言してきた。トランプ候補が掲げた「米国第一主義」に沿う主張である。著者は「米国の支配者は巨大軍事資本であり巨大金融資本である。この支配者は、米国が世界の警察官の役割を放棄することを許すことができない」(p.61)とし、「トランプ大統領は、徐々に米国を支配する巨大資本との間合いを詰めていると考えられる」(同)と分析する。

B は、民主党とも接触を欠かしてない証左である。長いビジネス経験で培った高い交渉能力の産物だろう。
http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1948472.html


55. 中川隆[-13811] koaQ7Jey 2018年7月30日 06:46:31 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17383]

【討論】トランプ外交は世界を変えるのか?[桜H30-7-21] - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=SsEBcBYKFoE


2018/07/21 に公開
◆トランプ外交は世界を変えるのか?

パネリスト:
 古森義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員・麗澤大学特別教授)
 高橋洋一(嘉悦大学教授・「政策工房」会長)
 山正之(コラムニスト)
 田村秀男(産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)
 ペマ・ギャルポ(拓殖大学国際日本文化研究所教授・チベット文化研究所名誉所長)
 馬渕睦夫(元駐ウクライナ兼モルドバ大使)
 三浦小太郎(評論家)
司会:水島総


56. 中川隆[-13842] koaQ7Jey 2018年8月04日 16:44:55 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-17599]

愛国的リバタリアンという怪物 - 内田樹の研究室 2018-08-04


これは2017年の6月に劇団態変の金満里さんの求めに応じて寄稿した一文である。
杉田水脈発言から「社会的弱者は殺してもいい」と言って19人を殺害した植松聖に言及する人が多かったので、旧稿を筐底から引き出して諸賢のご批判を請うことにした。

相模原の大量殺人事件のもたらした最大の衝撃は、植松聖容疑者が事前に安倍晋三首相宛てと大島理森衆院議長宛てに犯行を予告する内容の書簡を届けていたことにある。

それは単に権力者を挑発するための犯行予告ではなく、自分の行為が政権と国会多数派には「好ましい」ものとして受け止められ、権力からの同意と保護を得られるだろうという期待をこめたものだった。逮捕後も容疑者は「権力者に守られているので、自分は死刑にはならない」という趣旨の発言をしている。

もちろん、これは容疑者の妄想に過ぎない。けれども、何の現実的根拠もない妄想ではない。彼の妄想形成を強化するような現実が今の日本社会内部にはたしかに存在しているからである。

アナウンサーの長谷川豊は事件の直後の2016年9月に自身のブログに「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」というタイトルの記事を投稿した。これには批判が殺到し、専門医からも事実誤認が指摘されたが、この人物を日本維新の会は千葉一区から衆院の立候補者として擁立するということが先日発表された。

重篤な病人や障害者に対する公然たる差別発言にはまだ一定の社会的な規制が働いており、有名人の場合には、それなりの批判を受けて、社会的制裁が課されているが、在日コリアン、生活保護受給者やLGBTなどの社会的弱者に対する差別や攻撃の発言はほとんど何のペナルティもないままに垂れ流しされている。

際立つのが片山さつき議員で、生活保護受給者は「実質年収4百万円」の生活をしているという無根拠な都市伝説の流布に加担して、生活保護叩き発言を繰り返してきたが、最近も捏造投稿に基づいてNHKのニュース内容にクレームをつけて、生活保護受給者が社会福祉の「フリーライダー」だという世論の喚起に励んでいる。もちろん、本人がそう「信じている」という信憑の問題もあるのだろうが、「そういうこと」を公言すると選挙で票が集まるという現実的な打算も同時に働いているはずである。

アメリカではドナルド・トランプ大統領が「弱者叩き」の代表格である。「ラストベルト」のプア・ホワイトたちの輿望を担って登場したはずのトランプだが、就任後実施された政策は富裕層への厚遇措置ばかりで、移民排斥や、海外企業の国内移転への圧力などの「雇用対策」は今ここにいる社会的弱者のためには何の利益ももたらしてはいない。選挙公約だったオバマケアの廃止は、それによって2400万人が医療保険を失うという予測が公表されて、さすがに与党共和党も加担できず、改廃法案を撤回するという騒ぎになった。アメリカの有権者はそのような人物を大統領に選んだのである。

これはおそらく全世界的な傾向である。社会的弱者たちは、自己責任で弱者になったわけであり、いわばそういう生き方を選択したのだから、政府や自治体が、公金を投じて彼らを支援することは「フェアではない」というロジックは目新しいものではない。これは「リバタリアニズム(libertarianism)」というかたちで、建国当初からつねにアメリカ社会に伏流していた考え方である。アメリカが世界に冠絶する覇権国家となり、その国の作法や価値観が「グローバル化」したことによって、アメリカ的な「リバタリアニズム」もまたグローバル化したということだと私は理解している。

「セルフメイド・マン(selfmade man)」というのは建国以来、理想とされてきたアメリカ市民像だが、要するに誰にも頼らず独立独行で自己実現を遂げることである。「リバタリアン(libertarian)」というのは、その過激化したかたちである。
リバタリアンは、人間は自分の運命の完全な支配者であるべきであり、他者であれ公共機関であれ、いかなるものも自分の運命に介入する権利はないと考える。だから、リバタリアンは政府による徴税にも、徴兵制にも反対する。当然ながら、社会福祉のための原資の提供にも反対する。

ドナルド・トランプが徴税と社会福祉制度につよい嫌悪感を示すのは、彼がリバタリアンの伝統に連なっていることを示している。トランプは選挙期間中に対立候補から連邦税を納めていないことを指摘されて、「すべてのアメリカ人は納税額を最小化するために日々知恵を絞っている。私が連邦税を払っていないのは私が賢いからである」と述べて支持者の喝采を浴びた。これは別に露悪的な発言をしたわけではなく、ほんとうにそう思っているからそう言ったのである。彼に喝采を送ったプア・ホワイトたちは、自分たちとは桁が違う大富豪であるトランプの「納税したくない」というリバタリアン気質が「自分と同じだ」と思って、その発言に賛意を評したのである。

トランプは軍務の経験も、行政の経験もないはじめての大統領だが、それは軍務に就くことも、公共機関で働くことも、どちらもリバタリアンとしては「やらないにこしたことはない」仕事だからである。アメリカの有権者たちは彼の「公的権力を用いて私利私欲を満たすが、公益のためには何もしない」という態度がたいそう気に入ったのである。

今の日本で起きている「弱者叩き」はアメリカ原産のリバタリアニズムが日本に漂着し、日本独特の陰湿なしかたで退廃したものだと私は理解している。
トランプのリバタリアニズムはこう言ってよければ「あっけらかん」としている。ロシアとの内通疑惑が暴かれたことによって、彼が「愛国者」であるかどうかについてはアメリカ人の多くが疑問を抱いているだろう。けれども、リバタリアンにおいて、愛国者であることは「アメリカ人的であること」のための必要条件ではない(国家や政府などというものは「ない方がいい」というのが正統的なリバタリアンの立場だからである)。

けれども、日本では公的立場にある人間は「国よりも自分が大事」というようなことを(心で思っていても)口には出さない。仮に、安倍晋三が所得税を払っていなかったことが発覚したとしても、彼は「私は賢いから税金を払わずに済ませた」という言い訳をしないだろうし、その言い訳に喝采を送る有権者も日本にはいないはずである。日本ではリバタリアンも愛国的なポーズをすることを強いられる。
だから、日本では「リバタリアンでありながら、かつ愛国的」という奇妙な生き物が生まれてくる。現代日本に跋扈しているのは、この「愛国的リバタリアン」という(「肉好きのベジタリアン」とか「気前のいい吝嗇漢」というような)形容矛盾的存在である。

一方において、彼らは自分が獲得したものはすべて「自己努力によって獲得されたもの」だから、100%自分の所有に属し、誰とも分かち合う気がないと断言する。同じ理屈で、貧困や疾病や障害や不運などによって社会的弱者になった者たちについても「すべて自己責任で失ったもの」であるので、そのための支援を公的機関に求めるのは筋違いであると主張する。ここまではリバタリアン的主張であるが、日本の「愛国的リバタリアン」はこれに愛国主義(というより排外主義、外国人嫌い(ゼノフォビア))をぱらぱらとまぶして、社会的弱者というのは実は「外国人」であるという奇妙な社会理論を創り出す。ここが日本のリバタリアニズムの独特の歪みである。

日本型リバタリアンによると、社会的弱者やあるいは社会的弱者を支援する人たちは「外国人」なのである。仮に血統的には日本人であったにせよ、外国渡来のイデオロギーや理説に「感染」したせいで、「外側は日本人だが、中身は外国人」になっているのである。だから、社会福祉や教育や医療などの活動に公的な支援を求める組織や運動は本質的には「日本の国益よりも、彼らが忠誠を誓っている外国の利益に奉仕するもの」なのだという妄説が出来上がる。生活保護の受給者は多くが在日コリアンであるとか、日教組の背後にはコミンテルンがいるとか、朝日新聞は反日であるとか、翁長沖縄県知事は中国に操られているといった類のネトウヨ的妄説はその典型的なものである。

語っている本人もさすがにほんとうだと思ってそう言っているわけではいないだろう。にもかかわらず、彼らが「反政府的な人間=外国人」というスキームに固執するのは彼らにリバタリアンに徹底する覚悟がないからである。

リバタリアンであれば、話はすっきりしている。貧乏なのも、病気なのも、障害者であるのも、すべては自己責任である。だから、それについては他者からの同情や公的支援を当てにしてはならない。医療保険制度はいらない(医療は「サービス」なのだから金を出して買え。金がないやつは死ね)。公立学校も要らない(教育は「サービス」なのだから、金を出して買え。金がないやつは働いて学費を稼ぐか、有利子で借りろ)。社会福祉制度はいらない(他人の施しがないと生きていけないやつは死ね)と、ずいぶん非人情ではあるけれど、バケツの底が抜けたように「あっけらかん」としている。

しかし、さすがに日本では(心ではそう思っていても)そこまでは言い切れない(居酒屋のカウンターで酔余の勢いで口走ることはあるだろうが、公的な立場ではなかなか口にはされない。

その不徹底をとりつくろうために、日本的リバタリアンは「排外主義」的イデオロギーを装飾的に身にまとう。そして、貧乏人も、病人も、障害者も、生活保護受給者も、みな本質的には「外国人」であるという摩訶不思議な理説を噛ませることで、話のつじつまを合わせようとするのである。

相模原事件の植松容疑者はその意味では障害者支援をめぐる問題の本質をよく見抜いていたというべきだろうと思う。彼自身は生活保護の受給者であったが、その事実は「わずかな賃金を得るために、他人に顎で使われて、自分の貴重な人生を空費したくない」という彼のリバタリアン的な気質と齟齬するものではなかった。けれども、自分以外の生活保護受給者や障害者は彼の目には許し難い社会的寄生者に見えた。この矛盾を彼はどう解決したのだろうか。自分には公的支援を受けることを許すが、他人には許さないという身勝手な識別を可能にする境界線として最終的に彼が思いついたのは「私は日本人として日本の国益を優先的に配慮しているが、彼らはしていない」という「日本人/非日本人」スキームであった。

だから、植松容疑者がこれは「日本のために」したのだとか、「社会が賛同するはずだった」とかいう自己弁明を繰り返し、「国益を害するものたち」を「処分」する「官許」を首相や衆院議長に申請したことには論理的には必然性があったのである。彼は自分が「愛国的リバタリアン」という政治的奇形物であり、現在の日本の政界の指導者たちの多くが程度の差はあれ自分の「同類」だと直感していたのである。
http://blog.tatsuru.com/2018/08/04_1031.html


57. 中川隆[-13632] koaQ7Jey 2018年9月04日 09:29:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-18223] 報告

トランプが嫌った悪質な売国奴の詐欺師 マケイン

マケインの暗い過去 / 「ハノイ・ホテル」での囚人生活
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68732343.html

  8月25日、共和党の大物議員であったジョン・シドニー・マケイン3世(John Sidney McCain III)が脳腫瘍のため81歳でこの世を去った。彼の死は党派を超えた悲しみとなり、いつもは民衆党贔屓のジャーナリストさえマッケインの昇天を歎き、各テレビ局がこぞって彼の葬儀を放送したので、日本でも多くの国民がその放映を目にしたはずだ。葬儀には軍人や議員だけでなく、歴代の元大統領も出席したから、まるで国葬のような雰囲気に包まれていた。ところが、一人だけ重要人物が欠けていたのだ。それはドナルド・トランプ大統領である。

john McCain Funeral 5Trump 001

(左: ジョン・マケインの柩 / 右: ドナルド・トランプ )

  「トランプ憎し」のマスコミは、大統領のイメージを貶める絶好のチャンスと思ったのか、「偉大なる上院議員の葬儀に欠席するとは何事か !!」と大激怒。リベラル・メディアは「人間としての器が小さい頑固者」という印象を世間に与えるべく、悲しみの表情を浮かべるバラク・オバマやビル・クリントンの姿を映した。間抜けなアメリカ国民は、反対政党の議員であっても、その死を悼む元大統領に感動していたが、オバマの偽善は有名で、カメラを前にすれば鰐の涙を流すことができるし、アカデミー主演男優賞を獲得できる程の腕前を持っている。クリントンに至っては「いつものこと」だ。女房のヒラリーに浮気がバレれば何度でも否定できるし、愛人と恋人を手玉に取るくらい朝飯前。女房、愛人、娼婦を相手にしても、「君だけを愛している!」と平然と口にできるし、目薬無しでも同じ涙を何度も流せる。「飾りじゃないのよ、涙は」と歌うのは井上陽水と中森明菜くらいだろう。オバマとクリントンとって涙は大衆向けのサービスだ。

john McCain Funeral 4john McCain Funeral 6


(左: 葬儀に参列したオバマ夫妻とブッシュ夫妻 / 右: 葬儀に参列したクリントン夫妻とチェイニー夫妻 )

  偽善がプンプン臭うクリントンやブッシュ、オバマに比べたら、「俺は葬儀に行かないぞ!」と言い切るトランプの方が清々しい。本心を偽って教会に赴き、柩(ひつぎ)の前で涙ぐむなんて、誰もが厭だろう。選挙のために参列する議員の方がよほど薄汚い。嫌いな奴の葬儀には出ないという信念を貫くトランプは、ある意味、男らしいんじゃないか。生前、マケイン上院議員は同じ党に属していても、悉く大統領と意見を異にし、移民問題に関しては政敵に等しい存在であった。というのも、マケインは共和党議員であったが、外国人の受け容れに関しては民衆党寄りで、亡くなったエドワード・ケネディー上院議員と親しかった。日本ではあまり報道されないが、ケネディーは矢鱈と移民に優しく、不法移民まで庇う極左議員。たぶん、溺れる女を見棄てて自分だけ助かった“例の”スキャンダルを常に気にしていたから、マスコミに叩かれぬよう、いつも彼らの御機嫌を伺っていたのだろう。朝日新聞に擦り寄っていた宮澤喜一を思い出せば分かるはずだ。この元総理は「徴兵逃れ」という後ろめたい過去を持っていた。

闇に葬りたい過去を持つ英雄

John McCain 8John McCain 11

(左: 負傷したマケイン / 右: 解放されたマケイン)

  実は、この卑劣なケネディーと馬が合ったマケインにも、人には触れられたくない過去があったのだ。マケインが政界に進出できたのは、不運にもベトナム戦争で敵軍の捕虜となり、恐ろしい苦難に堪えて帰国を果たした「英雄」だったからである。ところが、彼の輝かしい「過去」には暗い影があった。時は、1967年10月26日、海軍パイロットのジョン・マケイン少佐は「A-4スカイホーク(Skyhawk)」に搭乗し、任務遂行を図ったが、その途中で北ベトナム軍の攻撃を受け、ソ連製の地対空ミサイルで撃墜されてしまった。ところが、脱出時にヘマをやらかしたのか、彼は片脚と両腕を負傷することになった。一般の日本人は事情を知らないから、彼の捻れた腕を見て、「拷問でかなり痛めつけられたんだなぁ」と勘違いする。これは明確な証拠に基づく話ではないが、ある帰還兵の話によれば、マケインは治療を受けるため、北ベトナムに軍事情報を提供したそうだ。そして、彼が介護されたギ・ラム病院には、ベトナム人民軍の総司令官たるヴォー・クエン・ザップ将軍まで訪れたらしい。

John McCain 4Vo Nguyen Giap 2


(左: パイロット時代のマケイン / 右: ヴォー・グエン・ザップ )

  ベトナムで捕虜となったアメリカ兵の間では、マケインが鄭重な「もてなし」を受けたという噂が飛び交っていた。なぜなら、マケインは下層階級の兵卒と違って、海軍兵学校を出た軍人一家の息子で、人質としての価値が非常に高い囚人であったからだ。彼の父親は太平洋艦隊司令官のジョン・S・マケイン・ジュニア提督で、祖父は第二次世界大戦でウィリアム・ハルゼイ提督(Adm. William Halsey)のもとで空母を指揮したジョン・S・マケイン・シニア提督である。こんな家系のお坊ちゃんと判れば、北ベトナム軍とソ連の軍事顧問は拷問などせず、至れり尽くせりの待遇を与えて味方にしようと考えるはずだ。ベトナム人やロシア人にとって、生け捕りにしたアメリカ兵を嬲(なぶ)り殺しにするなんて造作も無いことで、場合によったら、ロシアン・ルーレットの余興を開いて賭の対象にするだろう。しかし、独裁国の諜報員は狡猾だ。捕虜の有効利用を考える。ロシアの軍事顧問は捕まえたマケインを好待遇で寝返らせ、「苦難に耐え抜いたヒーロー」に仕立てあげてから、「渋々ながら」を装って米国に送り返す。この作戦の肝はね拘留期間である。ベトナム軍は彼を即座に返却せず、五年半「ハノイ・ヒルトン(ホア・ロア収容所の別称)」に引き留め、「英雄神話」を作らねばならない。ベトナム側の脚本だと、マケインは「仲間の解放を優先したため、帰国が遅れたエリート軍人」、則ち、自己犠牲を厭わない英雄なのだ。

John McCain, Sr. 002John McCain , Jr.John McCain 15John McCain IV


(左: ジョン・マケイン・シニア / ジョン・マケイン・ジュニア / ジョン・マケイン3世 / 右: ジョン・マケイン4世)

  日本人はアクション映画の影響が強すぎて、フィクションと現実の区別がつかないから、捕虜生活の実態が分からない。人気映画の『ランボー』ではベトコンに捕まったジョン・ランボーが凄まじい拷問に耐え抜くシーンがあったけど、実際の戦争では有り得ない。あんなの嘘。尋問されれば直ぐに答えた方が賢い。ここではあまりに残酷なので具体的に書けないが、アジア人の肉刑に耐え抜くアメリカ人などいないだろう。もし、解放されてもボロボロの身体となり、片輪になって還ってくるだけだ。ハノイの収容所にぶち込まれていた捕虜の一人にデニス・ジョンソン(Dennis Johnson)というアメリカ兵がいて、彼は脚を骨折していたが、ベトナム人から治療を受けることはなく、そのままであったという。ジョンソンによれば、マケインはいつも皆と隔離されており、髭を剃り、清潔な服を着せてもらって、快適な生活を送っていたそうだ。解放された時のマケインを見れば、「やけに健康そうだなあ」と疑問に思ったアメリカ人もいたんじゃないか。

Bob Smith 2Robert Dornan 2Al Santoli 1

(左: ボブ・スミス / 中央: ボブ・ドーナン / 右: アル・サントリ )

  カンボジアで極秘作戦に従事していたジャク・マックラム(Jack McLamb)によれば、マケインが拷問されたという形跡は無いらしい。ベトコンは大切なマケインをコードネーム(「ソングバード / Songbird」)で呼んでおり、この九官鳥は32本のプロパガンダ・フィルムに出演したそうだ。ソ連の諜報機関(GRU)から派遣されたロシア人将校は、「ハノイ・ヒルトン」に泊まっているアメリカ人捕虜の尋問を行っていたが、その際、通訳担当の少年「T」が同伴したそうである。マケインの尋問にも「T」が通訳を務めたそうで、もし、ソ連がマケインを「エージェント」にしていたというなら、1969年12月から1973年3月まで収容されていた彼の生活記録が残っているはずだ。運命の女神は残酷なのか、それとも気紛れなのか、マケインにとって悪夢となる1991年が訪れた。冷戦に敗れたソ連が崩壊し、多くの機密書類がKGBとCIAの間で交換されたという。ところが、上院の外交委員会で権力をふるうマケインは、執拗に機密ファイルを封印し、戦争捕虜を取り戻すチャンスを潰してしまったのである。これは実におかしい。誰よりも捕虜を救出したいマケインが、なぜ捕虜奪還の情報を遮断し、被害者家族の邪魔をしたのか? マケインの妨害工作に多くのアメリカ人家族が憤慨し、ボブ・スミス上院議員(Sen Bob Smith)やボブ・ドーナン下院議員(Rep. Bob Dornan)、元議会スタッフのアル・サントリ(Al Santoli)などが不満と疑念を述べていた。

Tracy Usry 1(左 / トレイシー・アスリ)
  1991年、ベトナムでの戦争捕虜に関する上院の公聴会が開かれ、帰還兵であるトレイシー・アスリ(Tracy Usry)が呼ばれて証言を行っていた。彼はアメリカ人捕虜が定期的にソ連の諜報将校から尋問を受けていたと述べたが、これに憤慨したマケインは、しばしば彼の証言を遮り、捕虜がソ連の将校から尋問を受けたことは無い、と反駁したそうだ。ところが、元ベトナム軍のブイ・ティン大佐によれば、そうした尋問は実際に行われていたそうで、彼はアスリの証言を肯定し、マケインの反論を斥けた。当時、共産党内部で要職に就いていたティン大佐は、ソ連の政治局から発せられる電報や書類を読むことができる身分だったから、ソ連の軍人が尋問する場面を目にしても不思議ではない。

Bui Tin 1(左 / ブイ・ティン )
マケインの議事妨害には眉を顰めたくなるが、彼がティン大佐と抱き合う姿はそれ以上に驚きだった。まるで旧友にでも再会したように、マケインは証言席の方に歩み寄り、曾ての憎き敵を温かく抱擁したのである。いくら何でもこれはおかしい。五年以上も自分を苦しめたベトナム人に対し、罵詈雑言どころか、一発も殴らず、感動の抱擁なんて、あまりにも寛大すぎるじゃないか。シベリアで生き地獄を味わった日本兵が、戦後にロシア軍将校と和解し、笑顔で抱き合うなんて想像できない。ソ連の犬に成り下がった日本人なら別。まぁ、普通の日本兵なら怒りで全身が震え、たとえ人前であろうとも、渾身の力を込めて殴りかかるだろう。

  アメリカのテレビ局はマケインの葬儀を放送し、彼に同情的なジャーナリストや政治家を番組に招いて、故人の素晴らしさを語らせていたが、戦争捕虜の家族を招いてマケインの「悪行」を暴露させることはなかった。民衆党の上院議員ならともかく、共和党の議員が亡くなったからといって、あんなにも大袈裟な特集を組むのは解せない。いくら欠席したトランプを貶めたいからといって、リベラル派のマスコミが「保守派」の共和党議員を心から称讃するのか? 確かに、マケインは外政に関しては「カタ派」に見えたが、内政面ではリベラル派の偽装保守であった。民衆党のジョセフ・リーバマン上院議員と同じタイプの政治家と思った方がいい。マケインを偲ぶのであれば、「ハノイ・ジェーン」と呼ばれた女優のジェーン・フォンダと一緒に論評すべきだ。両者ともベトコン側の宣伝係となり、その過去を封印して人気者になったことで共通している。フォンダはエアロビックスで注目を集め、CNNの創設者であるテッド・ターナーと結婚できた。マケインはヘンスリー家のご令嬢シンディーと結婚し、政界に進出してアリゾナ州の大御所になった。(シンディー夫人の父ジェイムズ・ヘンスリーが創設した「ヘンスリー(Hensley Beverage Company)」社は、アメリカの大手飲料メーカー。)

Cindy & John McCain 1Jane Fonda 1


(左: ジョン・マケインとシンブィー夫人 / 右: 反戦活動家のジェーン・フォンダ)

  日本のマスコミは本当に怠慢で、マケインが大統領候補になった時でも、彼の過去に言及することはなかった。もっとも、オバマのドス黒い過去すら触れずに「パス」なんだから、マケインの謎を見逃しても不思議じゃない。これは少々不謹慎だが、もしトランプが数年後に亡くなったら、米国のマスコミはどんな特番を放送するのか? もしかしたら、マケインよりも格下に扱い、放送時間も微妙に短縮するかも知れない。また、トランプを心から憎むCNNやCBS、PBSなどが、どんなゲスト・コメンテーターを用意するのか見物である。まさか「偉大な大統領が亡くなり、本当に残念です」とは言えまい。たぶん、遺族に対する同情でお茶を濁すんじゃないか。一方、トランプだって負けてはいないだろう。強気のトランプなら遺言で、「オバマとブッシュだけは呼ぶな !」と釘を刺すかもしれないぞ。おそらく、ヒラリー・クリントンも排斥されるだろうが、彼女だって行きたくはない。たとえ葬儀に招待されても、ヒラリーなら仮病を理由に欠席するんじゃないか。アメリカのリベラル派はトランプの死去に対し「アホが死んで良かった!」とそっぽを向くだろうが、故人を偲んで哀悼の辞を述べるのは、意外にも安倍総理とプーチン大統領だったりしてね。ついでに言うと、アメリカとの友好を維持したいのであれば、日本人は横須賀基地の近くにトランプ像を建てるべきだ。米国に慰安婦像を建てる朝鮮人と、合衆国大統領の記念碑を建てる日本人の「どちら」が立派なのか、アメリカ人によ〜く考えさせればいい。外務省の役人に外交を任せるとロクなことにならないから、日本の庶民が日本人らしく振る舞った方が良いときもある。
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68732343.html

58. 中川隆[-13418] koaQ7Jey 2018年10月06日 13:13:53 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19042] 報告
増田俊男(2018年10月3日号)

トランプの寿命

トランプの寿命を知るにはトランプの使命を知らねばならない。

ではトランプの使命は何か。それを知るにはトランプを大統領にしたキングメーカーが誰で、一体どんな使命をトランプに課し、それは何の為かを知る必要がある。私は2016年5月20日、私のあらゆる情報メディアで「次期大統領はトランプに決まったので選挙の結果を待つ必要はない」と述べ注目を集めた。

同年5月8日カジノ王と言われるシェルドン・アデルソンがトランプ支持を表明。続いてキッシンジャーが同月16日トランプに会った。さらにCFR(外交問題評議会)が政策顧問をトランプ陣営に送り込んだ。イスラエル右派(金脈)とキッシンジャー、そのバックのキングメーカーCFRがトランプ支持になったのだから私が次期米大統領は選挙を待たず決まったと確信するのは当然であった。

CFRは同グループである英国王室国際研究所設立(1920年設立)の後を追って1921年設立され両者共クーン・ローブやポール・ウォーバーグ等ユダヤ資本の支援を受けてきたことから今日まで米大統領並びに財務、国務(外務)、商務長官等のキングメーカーとされてきた。私は、先進国経済は停滞期に入り、経済成長の糧(パイ)を自由競争で分かち合うことが出来なくなるので、今後は自国中心になり他国からパイを奪う時代、すなわち「下山の哲学」の時代になると述べてきた。戦後の政治の安定と経済成長はアメリカがCFR提案のLiberal World Order(リベラル世界秩序)を国際指針として世界に普及した結果であり、私に言わせれば「登山の哲学」の時代であったからである。私がアメリカのシンクタンク等で盛んに「下山の哲学」を述べている時、リチャード・ハースCFR会長も「戦後の秩序は終わろうとしている」と、自ら掲げてきた「自由とリベラルの旗」を降ろそうとしていることを知った。そしてトランプ大統領発足後間もなく(2018年3月21日)「Liberal World Order R.I.P」(リベラル世界秩序よ、安らかに眠れ)と題した論文を発表した。戦後「自由とリベラルの旗」を振ってアメリカが世界に築いた軍事覇権とグローバル経済覇権が終焉をむかえようとしているのである。トランプはキングメーカーからリベラル世界秩序の次に来る新しい秩序は知らされていない。Scrap and Build(古きを壊して新しきを造る)は生命の摂理であると共に政治・経済の宿命でもある。トランプの使命は「古きを壊す」ことであって「新しきを造る」ことではない。経済成長のパイがなければ自由貿易もグローバリズムも国際協調も「百害あって一利」なしである。

トランプは毎日既存勢力の「トランプ降ろし」の嵐の中で汗をかきながら堅固な岩盤破壊に精を出している。「平和は戦争の為の準備期間である」(増田)
リベラル世界秩序がもたらした戦後の平和と繁栄は同時に戦争準備期間であるから次に来るのは世界戦争時代である。CFRはトランプに来るべき世界戦争時代の秩序は与えていない。それはトランプの任務は「壊し屋」のみだから。

「トランプの寿命は世界戦争の発端が中東で始まる前」まで。「トランプは戦地から軍を退いて、高みの見物をするタイプではない」からである。

今トランプは中東、東欧、アジアを敵・味方に二分するのに忙しい。
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h30/jiji181003_1281.html

59. 中川隆[-13512] koaQ7Jey 2018年11月06日 23:25:31 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-20215] 報告
米国のネット集団「Q」とは何者? 掲示板に陰謀論投稿
2018年11月6日09時04分
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「Q」の投稿を集めたサイトの画像。関連動画などが豊富にアップされている

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 「Q」とは昨年10月、インターネット掲示板に突如登場した正体不明の投稿者のことだ。「匿名」を意味する「anonymous」の略語「anon」を「Q」につけた「QAnon」(キューアノン)という陰謀論を信じる集団が、「Q」の主張を解釈し、インターネットを通じて世界に発信している。

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 キューアノンは、「Q」のことをトランプ米政権の中枢にいる人間だと信じている。その根幹の主張は、「トランプ大統領は、世界の政財界、メディアに巣くう邪悪なディープステート(影の政府)と闘う救世主」というものだ。キューアノンはトランプ氏に批判的な人々を「影の政府」のメンバーとみている。

 「影の政府」という表現は、トランプ氏自身を含むトランプ政権の高官が好んで使うようになり、米国で新たな政治用語として定着した。

 「Q」は日本の「2ちゃんねる」に似た「8chan」という掲示板に投稿する。その内容は暗号めいている。例えば直近では、「POTUS(米大統領)がPUTIN(プーチン大統領)と11月11日に会う。何が奇妙か Q」などがある。

 Qの関連サイトでは、キューアノンが解釈したり、補足したりする形がとられ、双方向的なコミュニティーになっている。「Q」の投稿とそれに対する反応のまとめを制作する人は「ベイカー」(パン職人)、まとめは「ブレッド」(パン)、さらにまとめに対する「Q」の反応は「クラム」(パンくず)と呼ばれる。

 キューアノンの規模は不明だが、ユーチューブには関連動画が13万件以上も投稿されている。関連サイトの一つには月800万件以上のアクセスがあり、米タイム誌は今年6月、「ネットで最も影響力のある世界の25人」に、トランプ氏ら実在の著名人とともに「Q」を選んだ。

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https://www.asahi.com/articles/ASLC52RPDLC5UHBI00M.html


アメリカ版2ちゃんねらーが熱狂する「Qアノン」現象の恐怖
カギとなるのは「秘数17」
海野 素央明治大学教授
プロフィール
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フォロー・ザ・ホワイトラビット
最近、ドナルド・トランプ米大統領の支持者が集まる集会に、不吉な兆候が現れています。

米南部フロリダ州(現地時間7月31日)と東部ペンシルべニア州(同8月2日)で開催された集会で、“We are Q”という字句が印刷されたTシャツを着用したトランプ支持者が多数出現しました。

“Q”の文字を切り抜いたプラカードを掲げる支持者もいます。いったいQとは何を意味し、彼らはどのような信念を持っているのでしょうか。

“Q”とは、日本でいう「5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)」にあたる米国の巨大匿名掲示板“4chan”と“8chan”で、昨年10月28日から匿名で投稿を続けている「Qアノン」を指しています。

「アノン」は英語の“anonymous”(匿名の)の略です。

Qは、米エネルギー省の情報セキュリティに関する最高クリアランス“Q”に由来するとされています。このQクリアランスを有すると認められた職員には、核兵器に関する最高機密情報へのアクセス権が与えられるのです。

実際に、匿名掲示板での「Qアノン」の発言には、トランプ政権の中枢にアクセスできる人物でなければ知り得ない情報が含まれています。どの政府組織に属しているのかは不明ですが、「Qアノン」の正体は政権のインサイダーという見方が有力です。

「Qアノン」の投稿内容に共感する人々が、冒頭で触れた「Qフォロワー」です。これまではもっぱらネット上で活動してきたQフォロワーが、この夏からついに、トランプ大統領の集会に姿を現すようになったわけです。

Photo by gettyimages
Qフォロワーの中には、メジャーリーグのファンならばご存知の、ボストンレッドソックスで活躍したカート・シリング元投手など、著名人もいます。彼らの合言葉は “Follow the White Rabbit”(白ウサギを追え)。

Qフォロワーが着ているTシャツには様々な種類がありますが、その中に“Q”の文字と白ウサギの絵が印刷されたものがあります。白ウサギは、「不思議の国のアリス」でも登場したように、「案内役」の象徴です。Qフォロワーは、「白ウサギが、この歪んだ暗い洞窟(=現在の“陰謀だらけの”米国)から、温かくてフワフワした巣穴(=真実の世界)へ導いてくれる」と信じているのです。

「ロシアゲート」は、トランプの策略だ
「Qアノン」が発信する情報は、「陰謀論」とレッテルを貼られても仕方ない内容です。

たとえば、ジョン・F・ケネディ元大統領の長男ジョン・F・ケネディ・ジュニア氏が、1999年に自家用機墜落事故で死亡した事件についてです。「Qアノン」は、「ジュニア氏は、ヒラリー・クリントンの政治的キャリアを作るために殺された」と主張します。ジュニア氏が連邦上院議員に意欲を見せていたので、クリントン氏を推す仲間が、彼をミサイルで殺害する陰謀を企てたというのです。

結局、「Qアノン」は米中央情報局(CIA)が誘導ミサイルでジュニア氏の自家用機を爆破したと結論づけています。この飛行機事故の後、クリントン氏は2000年に米上院選に立候補し、大統領候補となるまでの政治的キャリアを積んだ――というのが、「Qアノン」の主張です。

さらに、「Qアノン」はトランプ陣営とロシア政府との共謀疑惑、いわゆる「ロシアゲート」についても数多く投稿しています。「ロバート・モラー特別検察官は、実はトランプ大統領を捜査していない」と断言したうえで、「本当は、オバマ元大統領やヒラリーなどの民主党幹部とロシアの関係や、民主党と小児性愛者の関係について捜査しているのだ」と主張するのです。

地球温暖化も左翼のでっち上げだ

地球温暖化も、左翼のでっち上げだ
どうして、少なからぬ米国民がこのような陰謀論を信じるのでしょうか。なぜ「Q現象」が起こったのでしょうか。それには種々の要因があります。

まず、既存の権力者に対する不信感です。先ほど触れたように、「Qアノン」は民主党と小児性犯罪を執拗に関連づけようとしています。

これには伏線があります。2015年、共和党の下院議員デニス・ハスタート氏が、1970年代に高校でレスリングを教えていたとき、生徒に対して性的虐待を行っていたことが発覚しました。米国民にとって、連邦下院議長まで務めたハスタート氏の悪行が明らかになったのは衝撃的でした。

このことによって、党派に関係なく、「政治家は小児性犯罪者だ」というイメージが一部で醸成されました。そして、やがて「クリントン氏やオバマ氏、有力な民主党議員が小児性犯罪の組織と結びついている」というデマが生まれたのです。

米国社会の分断も大きな要因になっています。その萌芽は、オバマ政権時代からありました。

例えば、筆者が2012年の米大統領選挙の際、南部サウスカロライナ州チャールストンに住む保守系市民団体「ティーパーティー(茶会)」の活動家に、地球温暖化についてインタビューしたとき、彼は「地球温暖化は、リベラルのでっち上げだ」と述べていました。

社会の分断が進むと、社会悪や自分にとって不都合な事象の背後に、なんらかの陰謀や策略が存在するのではないか、と懐疑的になる人が増えるのです。トランプ政権後に加速した米社会の分断が、Q現象の土壌を作ったと言えるでしょう。

“8chan”に書き込まれたQの投稿
メディアに対する米国民の不信感の高さも要因です。世論調査会社ギャラップの調査(2018年6月20日発表)によれば、62%が「新聞、テレビ、ラジオの報道は偏向している」、44%が「不正確である」と回答しました。

不都合な事実を「フェイクニュース」と呼び、「報道の裏には、常にメディアの陰謀・策略がある」という印象を与えるトランプ大統領の手法は、周知の通り一定の成果を得ています。

一般に、陰謀論を信じやすいのは社会的弱者や、権力を持たない人々とされています。2016年の米大統領選挙の際、筆者がアイオワ州で戸別訪問したトランプ支持者の退役軍人は、「不法移民が職を奪っている」とかたく信じていました。

実際に(不法移民が原因ではありませんが)、白人労働者の中には企業の海外移転や業務のIT化で、仕事を失った労働者が少なくありません。彼らは「移民受け入れに賛成するリベラル連中や、自由貿易推進派のグローバリストの陰謀に、自分たちは搾取されている」と認識しています。

トランプ大統領は、こうした支持者の心理状態をきわめて巧みに把握しているのです。

秘数17

秘数17
「Qアノン」の正体に関して、政府高官のほかに、「実は、トランプ大統領本人ではないか」という憶測があります。ホワイトハウスのスティーブン・ミラー大統領補佐官(政策担当)、ケリーアン・コンウェイ大統領顧問だという見解や、ロシアのプーチン大統領ではないか、という指摘さえあります。

「Qフォロワー」が注目するのが、トランプ大統領のある発言です。

トランプ大統領は昨年10月6日、ホワイトハウスに米軍幹部とその配偶者を招いた際、記者団を前に「嵐の前の静けさだ」と語りました。当時は筆者も含め、記者団や専門家はその発言を、北朝鮮に対する軍事行動の示唆か牽制と解釈しました。

「Qアノン」も、最初の書き込みに「嵐の前の静けさ」というフレーズを使いました。Qフォロワーは、そこに「Qアノン」とトランプ大統領の共通点を見出しているのです。

Photo by gettyimages
Qフォロワーは「17」という数字にも注目しています。トランプ大統領は自身のツイッターで、モラー特別検察官が率いるロシアゲートの捜査チームのメンバーに「17人の怒れる民主党員がいる。彼らの捜査は偏向している」と繰り返し投稿しています。

「Q」はアルファベットの17番目の文字。Qフォロワーは、「モラー特別検察官による捜査には、裏がある」というトランプ大統領のメッセージを、この「17」から読み取っているのです。

どっちが「陰謀」なのやら…
大統領自ら陰謀論のタネをばら撒き、支持者を煽り、分断を加速する――このような手法を大っぴらにとったのは、米国史上でもトランプ大統領が初めてです。彼はきわめて陰謀論の活用に長けた人物と言えるでしょう。

オバマ前大統領は、グローバリゼーションの時代に生き残るために、白人労働者や退役軍人に「スキルと専門知識を持つこと」を勧めました。一方のトランプ大統領は、彼らに向かって「みなさんが苦境に直面しているのは、陰謀や策略をめぐらす、反国家的な売国奴がワシントンにはびこっているからだ。我々は彼らと戦い、必ず打ち負かす」というメッセージを送り続けています。

トランプ支持者の目には、グローバリスト、オバマ氏、クリントン氏、民主党やメディアはみな悪の手先であり、トランプ大統領はそうした悪人を駆逐するヒーローと映っているのです。

このように「Qアノン」やトランプ大統領は、現実とは異なる「もう一つの現実」を作り出し、意図する方向へ有権者を導いています。こちらのほうがよっぽど、本物の「陰謀」に見えるのですが…。


https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57119
 

60. 中川隆[-13509] koaQ7Jey 2018年11月07日 07:16:37 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-20218] 報告
2018.11.07
フェイク・ニュースを発信する米有力メディアへの信仰を捨てられない人びと
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201811050000/


 アメリカの支配層はフェイク・ニュースで人心を操作している。その重要な道具が有力メディアだということは言うまでもない。日本にはアメリカの有力メディアを「言論の自由」の象徴だと錯覚、崇拝している人もいるようだが、実態はプロパガンダ機関、つまりフェイク・ニュースの発信源だ。

 第2次世界大戦が終わった直後に情報をコントロールする目的でモッキンバードというプロジェクトが始められたことは本ブログでも繰り返し書いてきたが、1991年12月にソ連が消滅した後、西側ではあからさまな偽情報が伝えられるようになった。これはウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づくネオコンの世界制覇計画と連動している。

 有力メディアが戦争熱を煽るが、1993年にアメリカ大統領となったビル・クリントンは戦争に消極的。そうしたこともあり、この年の9月2日には有力者の公開書簡がウォール・ストリート・ジャーナル紙に掲載された。署名した有力者にはイギリスのマーガレット・サッチャー元首相、アメリカのジョージ・シュルツ元国務長官、フランク・カールッチ元国防長官、ズビグネフ・ブレジンスキー元国家安全保障問題担当大統領補佐官、ポール・ニッツェ、ジョージ・ソロス、あるいはネオコンとして知られているジーン・カークパトリック、アルバート・ウールステッター、ポール・ウォルフォウィッツ、リチャード・パールが含まれていた。その後、クリントン大統領はスキャンダルで苦境に陥る。

 クリントン政権が好戦的な方向へ開示を切ったのは、ヒラリー・クリントンの友人でブレジンスキーの教え子でもあったマデリーン・オルブライトが国務長官へ就任した1997年1月以降。オルブライトは1998年秋にユーゴスラビアへの先制攻撃を支持すると表明した。

 1998年10月にクリントン大統領はリチャード・ホルブルックをユーゴスラビアへ派遣、コソボから軍隊を引き揚げなければ空爆するとスロボダン・ミロシェビッチ大統領を脅し挙げた。ミロシェビッチは10月の終わりに撤退計画を発表しているが、アメリカ支配層は空爆へ突き進む。

 コソボにあるユーゴスラビアの警察署で45名が虐殺されたという話が1999年1月に流されるが、これは嘘だった。死者が出たのは警察側とKLA(コソボ解放軍、UCKとも表記)との戦闘の結果で、その様子はAPのテレビ・クルーが撮影していた。

 偽情報の発信源であるウィリアム・ウォーカーはアメリカの元エル・サルバドル駐在大使。大使時代の1989年にエル・サルバドルではカトリックの指導的立場にあった司祭6名とハウスキーパーやその娘がエルサルバドル軍によって殺害されたが、この事件に関する調査をウォーカーは妨害している。教会が脱出させようとした目撃者にウォーカーたちは接触し、証言内容を変えなければエルサルバドルに送り返すと脅したのだ。そして1999年3月、NATO軍はユーゴスラビアに対して全面攻撃を加えた。

 なお、1999年3月にクリントン大統領を追及していた検察側の中心的な証人が反クリントン・キャンペーンを展開しているグループからカネを受け取っていることが判明、検察側が偽証工作を行った疑惑も出て来た。(Murray Waas, 'Behind the Clinton cocaine smear,' SALON, March 26, 1998)

 2003年3月にジョージ・W・ブッシュ政権はイラクを先制攻撃するが、その口実にされた「大量破壊兵器」の話が嘘だということはブッシュ政権の閣僚たちも認めている。その嘘でイラクは破壊され、100万人程度の市民が殺されたと推測されている。

 バラク・オバマ大統領が2011年にアル・カイダ系武装勢力(サラフィ主義者やムスリム同胞団が中心)を使ってリビアやシリアへの侵略戦争を開始、リビアではNATO軍がその武装勢力を空爆で支援した。この辺の事情は本ブログで繰り返し書いてきたので、今回は割愛する。この侵略戦争では人権や民主といったタグが使われたが、いずれも嘘だった。

 オバマ政権は2013年から14年にかけてウクライナでクーデターを実行している。その手先になったのはネオ・ナチ。民主的に選ばれた政権を暴力的に排除、今でも破壊と殺戮を続けている。このクーデターをロシアからの侵略だと宣伝してきたのも西側の有力メディアだ。

 リビアのムアンマル・アル・カダフィは8カ月ほどで倒されたが、シリアのバシャール・アル・アサド政権は倒れない。オバマ政権が直接的な軍事介入の準備を整えた2015年にロシア軍がシリア政府の要請で介入、アメリカなど侵略勢力の手先になっていたアル・カイダ系武装勢力やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の支配地域は急速に縮小、アサド政権の打倒は無理な状況になっている。

 アメリカ支配層は富を独占するために破壊と殺戮を繰り返し、その実態を隠すためにフェイク・ニュースを流し、その嘘を暴く情報を「フェイク・ニュース」だと攻撃してきた。事実をチェックすれば有力メディアの嘘はすぐわかるのだが、権威好きの人びとには有力メディアのフェイク・ニュースは効果的なようだ。

 アメリカの支配層にはビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・トランプといった歴代大統領も含まれている。支配層には一種の派閥があり、今は対立が激しくなっている。オバマやヒラリー・クリントンを担いだ勢力はトランプやウラジミル・プーチンを悪役に仕立て上げ、自分たちは善人づらしているが、フェイク・ニュースという点ではこの反トランプ派の方があくどい。

 こうした反トランプ派の有力メディアが展開してきたロシアゲートは証拠が示されていない。単なる言いがかり。いや、証拠はそれがフェイク・ニュースだということを示しているのだが、アメリカの有力メディアを崇拝している人にはその実態が見えていない。

 第2次世界大戦後、そうしたフェイク・ニュースをつかった人物がアメリカで猛威を振るった。その人物とは上院議員だったジョセフ・マッカーシー。その背後にはFBI長官だったJ・エドガー・フーバーがいた。「マッカーシー旋風」はマッカーシー上院議員だけで行ったわけではない。

 フーバー長官は映画の影響力を認識、ハリウッドの情報収集と弾圧を展開する。そのときに手先になったひとりがロナルド・レーガン。後のアメリカ大統領だ。ハリウッドはカリフォルニア州にあるが、1943年から53年にかけてカリフォルニア州知事を務めたのが後にジョン・F・ケネディ大統領暗殺に関する委員会の委員長に就任するアール・ウォーレン。その関係でフーバーとウォーレンは関係が深かった。言うまでもなく、現在のハリウッドは支配層の宣伝機関、偽情報の発信源にすぎない。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201811050000/

61. 中川隆[-13498] koaQ7Jey 2018年11月08日 05:39:10 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-20254] 報告

米国、「中間選挙」予想通りの結果でトランプ氏が握った「共和党」2018年11月08日
http://hisayoshi-katsumata-worldview.livedoor.biz/archives/13389901.html

米国の中間選挙は、大統領に不利な結果が出るというジンクスがある。今回も、その通りになった。トランプ大統領は、下院で多数を失ったものの惨敗でなかった。そのことが、トランプ氏を勇気づけているようだ。

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月7日付)は、「トランプ氏の中間選挙、惨敗避けて得たもの」と題する記事を掲載した。

(1)「ドナルド・トランプ米大統領にとって今回の中間選挙で必要だったのは、勝利よりも惨敗を回避することだった。結果は、ほぼその通りになった。米国の現状は、2016年の大統領選でトランプ氏が衝撃的な勝利を手にした時とあまり変わらない。政治も第45代大統領に対する国民の見方も、大きく分断されている。当時と違うのは、分断がさらに深まったように見えることだ。民主党支持者の多い地域ではトランプ離れがさらに進み、共和党支持者の多い地域ではトランプ氏への忠誠心が高まっている。それが6日夜に浮かび上がった構図だ」

トランプ氏の言動が、米国を分断したと批判されてきたが、今回の中間選挙で一層、その傾向が強まった。共和党は一段と「トランプ党」になり、民主党はさらに「反トランプ」を鮮明にした。中間選挙の終わりに、トランプ氏は自らの発言が過激過ぎたと反省の弁を述べていたが、今後は変わるのだろうか。

(2)「今回の選挙結果にはトランプ氏にとって明るい材料も多かった。それは民主党の下院奪還という暗雲の中でも輝くほどだ。民主党はトランプ氏を引き立てる敵になり、トランプ氏は政策が失敗した時に同党を非難することができる。特に、景気が落ち込んだ場合には言い訳に使える。安定した経済成長が何年も続いていたため景気後退の可能性はある。カウンターパンチの達人を自称したがるトランプ氏の前に、主なスパーリング相手となる下院民主党が現れる。彼らは物議を醸すトランプ氏の傾向をチェックする役割も果たすだろう」

トランプ氏は、あらゆるものを自己に有利なように使う「特技」がある。下院民主党が、反トランプを鮮明にすれば、それを利用して次期大統領選で活用するだろうと見られている。迂闊に手を出せない相手のようだ。習近平氏も安倍首相に愚痴を言うように、一筋縄ではいかない人物であることは間違いない。今後は、外交と通商で各国をキリキリ舞させるのであろう。

(3)「トランプ氏と共和党は、当初から最優先に掲げていた上院での多数派を維持した。上院選は共和党がもともと有利とみられていたが、トランプ氏は自身が貢献したと主張できるし、そうするだろう。トランプ氏が自身の中核的な支持者を活気づけ、投票所へ向かわせたことは共和党に追い風となった。例えばインディアナ州で上院議席を奪い、一時は危ぶまれたテネシー州でも簡単に議席を維持した。トランプ氏と経済界の盟友にとって、共和党が上院を支配し続けることは、大統領就任後に実施された減税と規制緩和策が撤回される恐れがないことを意味する。極めて重要なのは、連邦裁判所に保守派の判事を送り込んで司法の勢力図を書き換える共和党の取り組みが続きうること、そして実際に続くことだ」

下院で民主党が多数を占めたが、それは想定内のこと。上院の多数が崩れず、トランプ氏も共和党も何らの動揺を見せていないのだ。トランプ氏は、これで次期大統領選挙の足場を固めたと言える。米中貿易戦争では、簡単には妥協せず、中国が白旗を掲げるまで追い込むであろう。それが、次期大統領選で勝利を掴む最大の材料になるからだ。強いアメリカ。強い大統領としてトランプ氏は、中国と妥協しないと見られる。ただ、「ディール」の名人であるから、変わり身の早さに気をつけねばならない。

62. 中川隆[-13499] koaQ7Jey 2018年11月08日 18:16:01 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-20281] 報告

2018年11月08日
中間選挙に隠されたアメリカの亀裂
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68740894.html

人種で分裂するアメリカ
Trump 2121Taylor Swift 2121

(左: 「勝利宣言」をしたトランプ大統領 / 右: 民衆党支持者のテイラー・スウィフト )

  トランプ政権の国民的評価とされ中間選挙は、上院における共和党の勝利と下院における敗北で幕を閉じた。事前の予想通り、共和党は上院を征したが、下院の主導権を民衆党に奪われ、トランプ大統領にとっては痛手だ。いくらトランプに強固な支持者がいても、所詮、選挙は候補者の魅力や能力、および資金の豊富さで決まってしまうから、大統領が左右できるものではない。しかも、トランプに恨みを抱く主要メディアが、連日のように大統領批判を繰り広げ、“公平”を装いながら偏向報道を続けていたんだから、共和党の候補者が劣勢だったのも当然だろう。日本の視聴者だって、あからさまな民衆党寄りの番組構成を見れば、「こんな印象操作はやり過ぎだ」と思ったはずだ。ABCやCBS、NBC、CNNはもちろんのこと、「公共放送」を看板にするPBSも、トランプ非難一色なんだから呆れてしまうじゃないか。二年前の大統領選で煮え湯を飲まされた屈辱を忘れられないんだろう。

  日本の報道番組は上下両院のねじれ現象ばかりに注目するが、アメリカ政治の根本問題は、有権者の「質」に含まれている。つまり、現在のアメリカ社会は雑多な民族の混合体で、内政となればバルカン半島よりも分裂が激しい。例えば、選挙前にトランプ大統領は中南米からの「移民キャラバン」を取り上げたが、それに対する反応は種族によって異なっていた。南部や中西部の保守的な西歐系白人は概ねトランプに賛成したのに、ヒスパニック系国民や黒人、アジア人などはむしろ反撥を覚え、トランプを人種差別主義者と罵っていた。ここに深刻なアメリカの病がある。本来、不法移民はアメリカの法律を蹂躙する侵入者で、排斥するか処罰するのが普通である。ところが、中南米出身者やヒスパニック系帰化人の子供は、群れを成してやって来る密入国者に同情し、彼らを迎え入れようと思うのだ。何故か? それはヒスパニック系アメリカ人が、この不法移民と種族を共にする「仲間」であるからだ。確かに、いくらヒスパニック系とはいえ、カタギの生活を送る者なら、法律破りを「悪い」と考える。だが、彼らは惨めな姿でやって来る「同胞」を見て、「オレも昔はそうだったよなぁ」とか、「父さんや母さんも似たような境遇だったかも」と思ってしまうので、無碍に移民を排除できないのだ。アメリカ白人だって口には出さないが、「血は水よりも濃い」と解っているから、陰でヒスパニック系住民を「あいつら」と呼んで異邦人扱い。アメリカ人のナショナリズムは戦争の時だけで、平和な日常生活では別物だ。

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(左: アメリカに向かう南米の不法移民 / 右: アメリカ国籍を取得したヒスパニック系帰化人)

  黒人もトランプ大統領と共和党保守派に対して敵意を抱いている。ヒスパニック系移民に共鳴しない黒人でも、有色人種を嫌う白人層を「根っからのレイシスト」、あるいは「共通の敵」と考えているのだ。以前、マイケル・サンデル教授の「白熱授業」が日本でも話題になったが、彼のクラスに参加する黒人学生には特徴があった。
プラトンやアリストテレスの哲学については沈黙している受講生でも、テーマが人種問題となるや急に活き活きとしてくる。黒人学生は幼い頃から堆積している怨念を爆発させ、激しい口調で白人社会を批判していた。黒人が今日でも下層階級に甘んじているのは、目に見えない“構造的”な差別が現存し、奴隷制度の後遺症が未だに尾を曳いているからだ、と歎く。黒人が黒人の候補者に投票するのは、その政策や行政能力を理解しているからではない。「黒人だから」票を入れるのだ。立候補する者がベテランでもズブの素人でも構わない。黒人の代表は黒人しかいない、というのが本音である。ボルチモアやセント・ルイス、バーミンガムに住む下流黒人が、大統領選に出馬したバラク・オバマ上院議員に熱狂したのは、同じ悲しみと恨みを共有する「黒人」であったからだ。

  元々、アメリカ合衆国はイギリス人入植者が本国に叛旗を翻して建てたアングロ・サクソン人の共和国であった。共和政体を採ったのは、独自の王室と貴族を持っていなかったからで、建国の父祖は君主政体そのものについての怨念は持っていなかった。ギリシア・ローマの古典に通じていた指導者らは、君主と貴族を中心とする混合政体を理想としていたから、それに近い立憲政体を選んでいたのである。日本人はウィルソン大統領以降の「アメリカン・デモクラシー」を称讃しているが、アリストテレスに言わせれば、唾棄すべき衆愚政体に他ならない。大統領になったジョン・アダムズや財務長官になったアレグザンダー・ハミルトンなどは、デモクラットに程遠い人物で、どちらかと言えば貴族政支持者。当時の指導的アメリカ人は紳士階級による政治を望んでいた。日教組の赤い活動員は教えないけど、「デモクラティア」とは暴民主導の統治形態である。

Black Voters 3black Adricans 231


(左: 政治デモに参加する黒人 / 右: アメリカに住む黒人 )

  アメリカは連合王国から移住したイギリス人やスコット人が主流だったのに、第20世紀になってから続々と制定された移民法により、大量の異民族が流入し、入植者の子孫はマイノリティーとなってしまった。こうした国民の変質は深刻で、選挙は微妙な政策の賛否ではなく、人種間の対立となってしまったのだ。例えば、西歐系白人だけて構成される100名の村があったとする。こうしたコミュニティーでは軍事、外政、金融、税制などで意見の相違があっても、根本的な価値観での亀裂はない。たとえ白熱した議論や選挙となっても、だいたい51対49とか、58対48の僅差で決着がつく。ところが、その村に南米人やアフリカ黒人、アジア人、イスラム教徒のアラブ人が50名入ってくると、以前の均衡が崩壊し、保守的白人は劣勢となってしまうのだ。

  今までなら賛同者を約50名獲得すればよかったのに、移民社会になると75名以上の賛同者が必要になってくる。だが、白人の中には左翼思想に染まった愚者がいるので、彼らは移民の有色人種と同盟を組む。新たに入ってきた異邦人は自分達の私益だけを考え、コミュニティー全体の公益と将来を考えないから、保守的白人は怒り出す。しかし、異人種混淆社会では愛国的な保守派が過半数を取ることはない。裏切者の白人が存在する限り、保守派は傍流となってしまうのだ。「少数派」に転落した白人は、「俺たちの国だったのに」と不満を吐露するが、多数決原理の政体では諦めるしかない。だから、トランプを支持する白人には、祖国喪失の念を抱いている者が結構多いのではないか。民衆党が強いのは有色人種がこぞって民衆党に入り、共和党に見向きもしないからだろう。しかも、大金を稼ぐ富裕層にはリベラル派が多いので、巨大な政治献金が集まるし、共和党を憎むマスメディアという強い味方がいる。

Taylor Swift 1111Marsha Blackburn 1Phil Bredesen 2


(左: テイラー・スウィフト / 中央: マーシャ・ブラックバーン / 右: フィル・ブレンデセン )

  ちょっと余談になるけど、人気歌手のテイラー・スウィフトが選挙前、今まで控えていた政治的発言を解禁し、民衆党支持を表明した。このテネシー州に住む歌姫は、地元の議員である民衆党の候補者フィル・ブレデセン(Phil Brendesen)を支持すると表明し、対抗馬の共和党議員マーシャ・ブラックバーン(Marsha Blackburn)を批判することで、リベラル派の大衆に媚びていた。テイラー氏によれば、上院選に出馬したブラックバーン氏はLGBTに冷たいとのことであったが、彼女は人身売買や麻薬の密売、不法移民の流入に反対し、財政赤字の削減にも取り組む姿勢を表明していた。一方、ブレンデセンにはセクハラ疑惑が浮上し、隠蔽工作も取りだたされていた。彼はセクハラ行為を闇に葬るため、調査資料をシュレッダーにかけて破棄したという。テイラー・スウィフトは確か、「女性の味方」であったはずだが、こうしたスケベ親爺をどう思っているのか? 保守派論客の中には、テイラー氏の政治的発言は人気取りの可能性があると疑っている者がいる。つまり、圧倒的に民衆党贔屓の藝能界で仕事をしているから、態度を曖昧にせず、嘘でもいいから「民衆党支持者」を表明した方が“お得”と判断した訳だ。

  確かに、音楽プロデューサーとか映画監督、タニマチの大御所などには、熱烈な民衆党支持者がウジャウジャいるから、「私もアナタと同じデモクラットよ」と発表した方が色々と利益になる。もし、保守的なテネシー州民に共鳴し、共和党支持者と表明したら藝能界ではアウトだ。南部出身の白人美女がトランプ支持などを口にしたら、一瞬で多くのファンを失うし、メディアからの総攻撃を覚悟せねばならない。だから、頭が空っぽな歌手に附き添う有能なマネージャーは、じゃじゃ馬娘を説き伏せ、無理矢理にでも民衆党贔屓に仕立て上げるのだ。テイラー氏が本物の民衆党支持者なのかどうか、は定かではない。だが、金の卵を産む雌鳥は、象(共和党のマスコット)じゃなくてロバ(民衆党のマスコット)に載せるのが正解だ。ちなみに、テイラー氏が推薦したブレンデセンは落選し、下院から上院に鞍替えしたブラックバーン氏が見事当選を果たした。しかも、62%対36%の圧倒的勝利で、26ポイントの大差をつけていたのだ。何はともあれ、テイラー氏に嫌われたブラックバーン氏は大勢の有権者に好かれており、テイラー氏のファンにも裏切者がいた可能性がある。

多民族・多文化主義に汚染されたアメリカ社会

  今回の中間選挙で注目すべきは、多民族社会を反映する候補者が現れたことだ。例えば、PBSをはじめとする左翼メディアは、ジョージアの州知事選に出馬したステイシー・アブラムズ(Stacy Abrams)を熱心に応援していた。もし、彼女が当選していたら、ジョージア州で初の黒人女性知事になっていただろう。しかし、現実は厳しく、共和党の候補者である白人の州務長官ブライアン・ケンプ(Brian Kemp)が当選した。主要メディアは落胆したが、その開票結果は戦慄すべきもので、ケンプ氏が50.8%を獲得したものの、アブラムズ氏は48.3%も獲得していたのだ。以前のジョージア州なら黒人候補者など論外で、得票率だって40%に届かず、予備選すら勝ち抜くのも難しい。しかし、このまま黒人やヒスパニックの人口が増えてしまえば、やがて白人の牙城も崩れ、黒人知事誕生の可能性もある。

Stacy Abrams 1Brian Kemp 1Alexandra Ocasio-Cortez 2


(左: ステイシー・アブラムズ / 中央: ブライアン・ケンプ / 右: アレグザンドリア・オカシオ・コルテス)

  不気味なことに、多文化・多民族主義の津波は全米に広がっている。ニューヨーク州では黒人女性で最年少の下院議員が誕生し、マスコミの話題をさらっていた。民衆党のアレグザンドリア・オカシオ・コルテス(Alexandra Ocasio-Cortez)氏はブロンクス生まれのプエルト・リコ系アメリカ人で、まだ29歳の新人議員だ。マスコミはこうした出世ストーリーが大好きだから、一年前までウエイトレスやバーテンダーとして働いていた素人議員を持て囃し、期待の星と評して大はしゃぎ。だが、コルテス議員の素性や政治的思想については“さらり”と触れるだけ。彼女は極左のユダヤ人バーニー・サンダース議員の大統領選挙を手伝ったほど熱心な社会主義者で、「米国社会民衆主義者(Democratic Socialists of America)」という左翼団体に属している。また、彼女を推薦する応援団も極左組織ばかりで、「ムヴ・オン(MoveOn)」とか「ジャスティス・デモクラッツ(Justice Democrats)」「ブラック・ライヴス・マター(Black Lives Matter)」「デモクラシー・ファ・アメリカ(Democracy for America)」という名前を聞けば寒気がする。彼女は医療福祉や教育を重視する「進歩派(Progressive)」を表明しているが、その歩む道は白人の通路ではなく、黒人やヒスパニックが群れる歩行者天国に違いない。

Jahana Hays 11Veronica Escobar 1Ayanna Pressley 2


(左: ジャハナ・ヘイズ / 中央: ヴェロニカ・エスコバール / 右: アヤナ・プレスリー)

  アメリカの人口に有色人種が占める割合が増えれば、黒人やヒスパニックの政治家が誕生するのは必定だ。白人が多いコネティカット州でも初の黒人が下院に出馬し、民衆党のジャハナ・ヘイズ(Jahana Hays)が当選した。ヒスパニック系住民が増加するテキサス州でも初のラテン系下院議員が誕生し、ヴェロニカ・エスコバール(Veronica Escobar)とシルヴィア・ガルシア(Sylvia Garcia)の二人が当選を果たした。リベラル派の白人が主流となっているマサチューセッツでも黒人候補が現れ、アヤナ・プレスリー(Ayanna Pressley)が下院議員に選ばれた。白人が多数派のカンザス州でもマイノリティーが躍進し、シャリス・デイヴィッズ(Sharice Davids)がネイティヴ・アメリカンとして初の下院議員となった。ニュー・メキシコ州も同様で、デブラ・ハーランド(Debra Haaland)が民衆党の候補者となり、ネイティヴ・アメリカンとして初の下院議員となっている。

Sylvia Garcia 1Sharice Davids 1Deb Haaland 1


(左: シルヴィア・ガルシア / 中央: シャリス・デイヴィッズ / 右: デブラ・ハーランド )

Ilhan Omar 2(左 / イルハン・オマール)
  ソマリア難民や中東アジア系の移民が大量に流れ込んだミネソタ州では、驚愕の事態が起こっていた。この州にはスカンジナヴィア系の住民が多かったが、近年、その割合が低下し、有色人種があちこちで目立つようになっている。昔のミネソタでは考えられないが、パレスチナ系のラシーダ・トライブが出馬し、下院議員になってしまった。以前、彼女はトランプ大統領の演説会場に乗り込み、大声を上げてトランプを罵倒したので、警備員に抱えられて排除されたことがある。トランプへの非難は、政策上の相違ではなく、人種・民族的憎悪によるものであろう。もう一人の民主党候補者であるイルハン・オマール(Ilhan Omar)はモガディシオ生まれで、ソマリア人のイスラム教徒ときている。彼女は1995年に米国にやって来たソマリア移民の娘で、女性問題や教育改革を旗印にした「進歩派」らしい。ミネソタ州に住む共和党保守派にとっては、立ち眩みがして膝から崩れ落ちそうになるくらいの衝撃だ。気前よく移民や難民を受け容れるアホが多いと、こういう結果になるという見本がミネソタ州である。

  多文化主義に冒されたアメリカにはもはやタブーが無い。先ほど紹介したシャリス・デイヴィッズ議員は、母子家庭で育ったレズビアンだ。そして、リベラル色の濃いコロラド州では、ジャレッド・ポリス(Jared Polis)がゲイとして初の州知事となった。オレゴン州でも性的異常者が知事に再選され、マスコミの話題を集めている。オレゴンで州務長官から州知事に昇格したケイト・ブラウン(Katherine Brown)は、2016年に第一期目を務め、今回の選挙で再選を果たした。彼女はバイセクシャルであるが、ジョン・リトルという亭主を持っており、彼の連れ子を育てていた。両方の「性」を有しているということは、女性を見ても性的興奮を覚えるということなのか。もし、女性と浮気でもしたら、夫のジョンは「男」としての立場が無い。女に女房を取られた亭主なんて、酒場で馬鹿にされるだけだ。

Jared Polis 2Kate Brown 1Christine Hallquist 1

(左: ゲイのジャレット・ポリス / 中央: 「バイセクシャル」のケイト・ブラウン / 右: 元「男」のクリスティーン・ハルクウィスト )

  もう呆れてしまうけど、ヴァーモント州では性転換者が知事候補者になっていた。「ヴァーモント・エレクトリック社」の元経営者クリスティーン・ハルクウィスト(Christine Hallquist)は、共和党のフィル・スコット(Phil Scott)に対抗して出馬したが、敢えなく落選。スコット氏が55%の得票数を獲得し、ハルクウィスト氏は40%に留まった。それでも、こんなオッサンに四割ほどの支持が集まったのだから、リベラル派が盤踞するアメリカ東部は本当に恐ろしい。ハルクウィスト氏にはちゃんと妻がいて、二人の子供をもうけており、孫も二人いるそうだ。「女」に移行する前、彼はパトリシア夫人に「結婚前から女としての側面を持っていた」と告白したそうで、周囲の者に対しては2015年に公の席で発表した。いくら家族が承認したとはいえ、女性の服を身につける60代の「元男性」なんて気持ち悪い。日本人だと自分の父親が「女」に変身すれば、恥ずかしくて友達に話せないし、自己防衛として「オヤジとは関係無いよ」と開き直るだろう。

  人種で分断されたアメリカ国民は、何かと言えば「共和党や民主党を越えたアメリカ人」という理念に酔うが、実際の生活では容姿と性別が基本である。いくら「人間は皆平等」と謳っても、人種が違えば友達になろうとは思わないし、会話をしていてもくつろぐことはできない。例えば、白人同士なら黒人の犯罪者を見て「あんな奴ら」と吐き捨てて、昔ながらの嫌悪感を共有できるが、黒人が同席していると、人種にまつわる話題を避けなければならない。結婚相手を選ぶ時だって問題が生じてくる。もし、白人男性が黒人女性を妻とすれば、生まれてくる子供の顔附きが異質になってしまうし、両親や兄弟からの反対だって有り得る。また、西歐系の白人女性が南米出身者やヒスパニック系の男性と結婚すれば、彼女の生活や嗜好は西歐的なものからラテン系のものに変わる可能性が高い。メキシコからの移民や難民を夫と共にテレビで観れば、「あんな人達を追い出すべきよ !」とは言えず、「政府は彼らを受け容れるべきよ !」と意見を変えてしまうだろう。混血児を産んだ白人の母親なら、ヒスパニック移民に対して寛容になってしまうものだ。

  トランプ大統領は2020年の再選を目指しているが、その野心には多くの障碍が立ち塞がり、今の人気だけでは叶えることはできない。というのも、二年前に投票してくれた白人の何割かが、マスコミに誘導されて離れてしまう危険性があるからだ。いくらトランプがツイッターで「フェイク・ニューズ」を連呼しても、やはりテレビや新聞を媒介とした勢力には太刀打ちできない。再選前に民衆を熱狂させる戦争とか、恐怖を煽るテロ事件のような衝撃が起これば別だが、このまま反トランプ報道が持続すれば、彼の再選は困難となる。何しろ、民衆党に結集する左翼議員と怒れる有色人種は、肉体から発せられる憎しみが原動力となっているから、とても厄介だ。たとえ、北朝鮮の非核化を実現したとしても、外政に無頓着な大衆には響かない。「白人のアメリカ」を嫌うヒスパニックや奴隷の過去を恨むアフリカ系、とりあえず民衆党に入るアジア系、不気味なアラブ系イスラム教徒、左翼が本業のユダヤ人は日に日に増えている。PRRIという研究機関の調査によれば、アメリカは分断されていると考える白人が結構いるそうで、「昔より悪くなった」と答える白人も多かった。はっきりとした根拠を示すことはできないが、皮膚感覚で「これはマズい」と思う白人層がある程度いるようだ。こうした不安を感じる白人がトランプをこっそり支持したんじゃないか。一般の日本人はまだ呑気に構えているけど、いずれ我々にも「民族で分断されている」と気付く日が来る。ただし、その原因を引き起こした政治家は責任を取らない。あの世に旅立った人もいるから仕方ないのかもね。
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68740894.html

63. 中川隆[-13564] koaQ7Jey 2018年11月10日 11:04:40 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-20428] 報告

​2018.11.09
中間選挙後に激しくなりそうな米国の権力抗争で事実は重視されない(その1)


 アメリカでは民主党や有力メディアがドナルド・トランプを失脚させようと必死で、今回の中間選挙でも争点はトランプだった。反トランプ勢力が目的達成のために叫び続けているのは「ロシアゲート」。2016年のアメリカ大統領選挙にロシア政府が介入したという主張だが、そうした疑惑の存在を裏付ける事実は示されてこなかった。「我々を信じろ」というばかりだ。

 本ブログでは繰り返し書いてきたが、2016年2月まで、この大統領選挙でヒラリー・クリントンが当選することは確実視されていた。2015年6月にオーストリアで開かれた​ビルダーバーグ・グループの会合​にジム・メッシナというヒラリー・クリントンの旧友が出席していたからだ。

 欧米エリート層の利害調整機関と見られているビルダーバーグ・グループの生みの親と言われているユセフ・レッティンゲルはヨーロッパをイエズス会の指導の下で統一しようと考え、第2次世界大戦の前から活動していた人物。イギリスの対外情報機関MI6のエージェントでもあり、大戦中はロンドンへ亡命していたポーランドのブワディスラフ・シコルスキー将軍の側近を務めた。

 シコルスキーはコミュニストを敵視、イギリス政府の支援を受けて亡命政府を名乗っていた。レッティンゲルは1952年、オランダ王室のベルンハルトへ接近する。このベルンハルトが所有、オランダのアルンヘム近くにあるビルダーバーグ・ホテルで、ある集団が1954年5月に第1回目の会議を開き、コミュニズムやソ連に関する問題などを討議した。その開催場所の名称からこの集まりはビルダーバーグ・グループと呼ばれるようになる。グループの初代会長はこのホテルのオーナーであるベルンハルト王子で、1976年にロッキード事件で辞任するまでその座にあった。

 レッティンゲルはヨーロッパ統一運動を指導していたひとり。その運動へはACUE(ヨーロッパ連合に関するアメリカ委員会)から資金が流れていた。ACUEはアレン・ダレスをはじめとするアメリカのエリートがイギリスのウィンストン・チャーチルからの協力を受け、1948年に設立された組織。ウォール街の弁護士でOSSの長官を務めたウィリアム・ドノバンが会長に就任している。副委員長は戦中から戦後にかけて、OSSとCIAで破壊工作を指揮したアレン・ダレスだ。このACUEへはアメリカの富豪たちから資金が提供されていた。

 ビルダーバーグ・グループ、あるいはその背後に存在する富豪層は現在でも支配的な立場にあり、そのグループに親友が招かれたヒラリー・クリントンは次期アメリカ大統領に内定したと考えられたのだ。しかも、彼女はズビグネフ・ブレジンスキーの教え子であるマデリーン・オルブライトやネオコンのビクトリア・ヌランドと親しいと言われている。ヒラリーとビルの政治的な立場を同じだと考えるべきではないだろう。

 ところが、2016年2月10日にヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問してウラジミル・プーチン大統領と会談、22日にシリアで停戦の合意が成立する。キッシンジャーはアメリカの破壊工作機関OPC(後にCIAの秘密工作部門の中枢になる)に所属したことがあり、ビルダーバーグ・グループで中心的な役割をはたしてきたひとり。ネルソン・ロックフェラーと親しかったことでも知られている。ビルダーバーグ・グループのアメリカ側の中心メンバーはロックフェラー色の濃いCFR(外交問題評議会)と結びついている。

 支配層の内部でヒラリー・クリントン離れが起こった一因は、おそらく、2014年のウクライナにおけるクーデターだろう。ネオコン人脈がネオ・ナチを使い、合法政権を倒したのだが、戦略的に重要なクリミアの制圧に失敗してロシアへ追いやることになり、ウクライナ東部のドンバスでは戦闘が続いている。それ以上に大きかったのは、こうしたアメリカ側の手口を見たことで中国がロシアへ急接近、この2カ国が戦略的な同盟関係に入ってしまったことだ。キッシンジャーは米中の関係回復を演出した当時も中国とソ連/ロシアを対立させようとしてきた。

 ウクライナのクーデターはロスチャイルド資本の存在を浮かび上がらせることになった。イスラエルの介入も指摘されている。この勢力とキッシンジャーの後ろ盾と対立が始まった可能性もある。そうした利害の衝突を調整する役割を担ってきたのがビルダーバーグ・グループだとも言われているが、その調整はまだうまくいっていないようだ。(つづく)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201811080000/

2018.11.09
中間選挙後に激しくなりそうな米国の権力抗争で事実は重視されない(その2)


 本ブログでは繰り返し説明してきたように、「ロシアゲート」に根拠はない。アメリカの電子情報機関NSAで最高の分析官のひとりと言われ、NSAの不正を内部告発したことでも知られているウィリアム・ビニーも指摘しているが、「ロシアゲート」が事実ならNSAから通信の傍受記録を取り寄せるだけで決着が付く。特別検察官を任命する必要はないということだ。特別検察官を任命したということはロシアゲートがインチキであることを示しているとも言える。この作り話はトランプを攻撃するだけでなく、2016年に発覚したヒラリー・クリントン陣営のスキャンダルを隠蔽するためにも使われている。

 バラク・オバマ政権はジハード傭兵を使ってシリアやリビアを侵略、政権を転覆させて傀儡体制を築こうとした。リビアの政権転覆は成功したが、シリアはロシア政府が阻止する。アメリカ支配層はロシアの再属国化を目論んでいることもあり、ロシアとの関係を悪化させていった。

 ネオコンをはじめとするアメリカ支配層の基本戦術は「脅して屈服させる」だが、ロシアも中国も屈しない。そこで脅しをエスカレートさせるのだが、その先には全面核戦争が待ち受けている。そうした道をヒラリー・クリントンも歩もうとしていた。それに反対、ロシアとの関係修復を訴えたのがトランプだ。

 現在、アメリカでロバート・マラー特別検察官がロシアゲート疑惑を調べている。このマラーは2001年9月4日から13年9月4日かけてFBI長官を務めた。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンにある国防総省の本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのはFBI長官就任の1週間後。この攻撃では詳しい調査が行われていないが、この事件の真相を隠蔽したとマラーは批判されている。

 特別検察官の任命への道を切り開く動きは2017年3月から始まる。アメリカ下院情報委員会でアダム・シッフ議員がロシア政府による選挙介入を主張する声明を出したのが始まりだ。その根拠になったのは「元MI6」のクリストファー・スティールが作成した報告書なのだが、根拠薄弱だということはスティール自身も認めている。

 スティールに調査を依頼したのはフュージョンなる会社で、そのフュージョンを雇ったマーク・エリアス弁護士はヒラリー・クリントン陣営や民主党全国委員会の法律顧問を務めていた。

 ​フュージョンを創設したひとりであるグレン・シンプソンによると​、同社は2016年秋にネリー・オーなる人物にドナルド・トランプの調査と分析を依頼している。その夫であるブルース・オーは司法省の幹部で、このオーとシンプソンは2016年11月に会っている。その直後にブルースは司法省のポストを失い、フュージョンはスティールに調査を依頼することになる。

 こうした根拠のない話でターゲットを有罪にする手段がアメリカでは整備されている。司法取引だ。誰かを無関係の事件、場合によってはでっち上げで逮捕し、目的を達成するために偽証を強いるのだ。つまり、無実でも有罪にすることは難しくない。それがアメリカにおける「法の支配」だ。(つづく)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201811090000/

2018.11.10
中間選挙後に激しくなりそうな米国の権力抗争で事実は重視されない(その3)


 支配層のうち反トランプ派は有力メディアを支配しているが、そのひとつがCNN。このテレビ局のジム・アコスタは11月8日開かれた記者会見でトランプ大統領と言い合いになった。その際、記者からスタッフの女性がマイクを取ろうとしたのだが、記者はその手を払いのけようとした。​映像​を見る限り反射的だが、それを巡って新たな対立が始まったようだ。


 世界貿易センターとペンタゴンが攻撃される直前、CNNの支配層への従属度は格段に高まる。1999年にアメリカ陸軍の第4心理作戦群の隊員が2週間ほどCNNの本部で活動していているのだ。アメリカ軍の広報官トーマス・コリンズ少佐によると、派遣された軍人はCNNの社員と同じように働き、ニュースにも携わったという。(Trouw, 21 February 2000)

 その前年、1998年にも重要な出来事があった。アメリカ軍のMACV・SOG(ベトナム軍事援助司令部・調査偵察グループ)が1970年にインドシナで逃亡兵をサリンで殺害したとCNNは報じたのだ。その作戦名はテイルウィンド(追い風)。

 ベトナム戦争では指揮系統が違うふたつの戦闘集団が存在していた。正規軍とCIA/特殊部隊だ。後者はアメリカの侵略に抵抗する動きを潰すため、住民皆殺し作戦のフェニックス・プログラムを実行している。共同体を破壊しようとしたとも考えられている。

 この作戦を指揮したひとり、ウィリアム・コルビーはCIA長官時代にフランク・チャーチ上院議員が委員長を務める「情報活動に関する政府による作戦を調査する特別委員会」の公聴会で「1968年8月から1971年5月までの間にフェニックス・プログラムで2万0587名のベトナム人が殺され、そのほかに2万8978名が投獄された」と証言した。ウィリアム・カリー中尉に率いられた部隊が1968年3月にソンミ村(ミ・ライ)の住民を虐殺した事件もその作戦の一環だったとみられている。

 この虐殺が広く知られるようになったのは1969年11月になってから。事件に関するシーモア・ハーシュの記事が報道されたのだが、アメリカ軍に従軍していた記者やカメラマンは虐殺の直後からその事実を知っていたにもかかわらず報道されていない。「正規のルート」では情報が流れなかった。

 1970年7月から74年7月まで統合参謀本部の議長を務めたトーマス・ムーラー提督もこうした秘密工作を知りうる立場にあったひとり。CNNのサリン報道で最も重要な証人はこのムーラー提督だ。同提督の部下がサリンが使用される事実を確認したという。

 この報道をしたCNNは軍人組織だけでなくライバルの有力メディアからも激しく攻撃された。CNNの経営陣は、報道内容のチェックを弁護士のフロイド・エイブラムズに依頼し、1カ月にも満たない短期間で報告書を作成させている。報告書の結論は報道内容を否定するものだったのだが、引用に不正確な部分があり、慎重に調べたとは到底言えない代物だ。

 例えば、エイブラムズは報告書の中でムーラー提督を認知症の老人であるかのように表現しているのだが、報告書が作成された当時でもゴルフ場で普通にブレーし、別の事件で記者会見に登場するほどの健康体だった。番組を担当したプロデューサーのエイプリル・オリバーによると、放送では示されなかった重要な情報をCNNは隠しているという。(筆者に対するApril Oliverの回答)。

 結局、番組を担当したふたりのプロデューサー、ジャック・スミスとエイプリル・オリバーは報道を事実だ主張し続けたため、解雇されてしまう。担当プロデューサーが事実だと強い姿勢で臨んでいた以上、徹底した調査をするべきだったのだが、CNNは不自然な形で幕引きを図った。

 ジョージ・W・ブッシュ政権は2003年3月、統合参謀本部内の反対意見を押し切るかたちでイラクを先制攻撃したが、その際に使われた口実が大量破壊兵器。この話は嘘だったのだが、その嘘の中でイギリスのトニー・ブレア政権はイラクが45分で大量破壊兵器を使用できると主張している。

 開戦の2カ月後、BBCのアンドリュー・ギリガンはラジオ番組で「45分話」を主張する「9月文書」は粉飾されていると語り、さらにサンデー・オン・メール紙でアラステアー・キャンベル首席補佐官が情報機関の反対を押し切ってこの話を挿入したとも主張している。ギリガンの情報源だったイギリス国防省の生物兵器担当者、デイビッド・ケリーは7月15日に外務特別委員会へ呼び出された2日後に変死する。ケリーは政府の嘘に憤っていた。その後、2004年10月に「45分話」が嘘だということを外務大臣のジャック・ストローは認めた。

 ギリガンの報道にブレア政権は怒り、BBCの執行役員会会長と会長が辞任に追い込まれた。ギリガンもBBCを追い出される。この後、この放送局はプロパガンダ色が強まり、リビアやシリアへの軍事侵略を始めてからは偽情報を流し続けている。

 第2次世界大戦の直後に始まったモッキンバードは報道を統制することが目的だったが、それでも間隙を縫って事実を報道することは可能だった。1970年代の後半から報道統制は強化され、巨大資本によるメディア支配も進んだ。そして9/11の前後から米英の報道統制は質的に変化、今では有力メディアの伝える話から事実を見つけ出すことが難しいほどだ。その有力メディアを無批判に信じることも犯罪的だと言えるだろう。(了)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201811090001/

64. 中川隆[-13656] koaQ7Jey 2018年11月17日 10:16:30 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-20848] 報告

2018.11.14
中間選挙の勝者が共和・民主両党でなくトランプ大統領だった理由
中野剛志
https://diamond.jp/articles/-/185419

 米国の中間選挙は、上院では共和党が過半数を維持したものの、下院では民主党が過半数を奪還し、「ねじれ」議会となった。

 だが、「ねじれ」以上に問題なのは、米国の政治が、「共和党vs民主党」あるいは「右派(保守)vs左派(リベラル)」といった二元論では理解できなくなったということだ。

 もちろん、「右派vs左派」という対立軸は、かつてほどではないとはいえ、依然として強く残ってはいる。

 しかし、近年、とりわけ2008年の世界金融危機以降、「もう1つの対立軸」が鮮明に現われ、米国やヨーロッパの民主国家の政治を変え、国民を分断するようになった。

 その対立軸とは、「親グローバル化vs反グローバル化」というものである。

グローバル化が生んだ
「4元構造」の対立軸

 グローバル化は、先進諸国の労働者の賃金上昇の抑圧、雇用の喪失、所得格差の拡大をもたらした。

 しかし、先進諸国のエリート層は、グローバル化は豊かさをもたらすものだとして、その負の側面を是正しようとはしてこなかった。これに対して、グローバル化によって不利益を被り、疎外された中低所得者層は、グローバル化に抵抗するようになった。


こうして、「親グローバル化(エリート層)vs反グローバル化(中低所得者層)」という新たな対立軸が出現するに至ったわけだ。

 この新たな対立軸は、かつての「右vs左」という対立軸に回収されてしまうものでもなければ、それに取って代わるものでもない。

「右vs左」は、かつてと比べれば曖昧になっているとはいえ、依然として存在する。その「右vs左」に、「親グローバル化vs反グローバル化」が上乗せされるのである。

 この2つの対立軸からなる構造を分かりやすく図式化したのが、図1である。

https://diamond.jp/articles/-/185419?page=2


 このように、今の政治は「右」と「左」の2大勢力ではなく、「親グローバル化/右」「親グローバル化/左」「反グローバル化/右」「反グローバル化/左」の4大勢力間の争いとなる。

 この4元構造は、政治の不安定化をもたらしやすい。というのも、2者間の勢力争いとは違って、4者間の勢力争いは、さらに決着がつきにくいからである。

 しかし、米国の政治は、依然として「右vs左」によって分けられた二大政党しかない。その結果、政治勢力の動きは、従来の二大政党制の枠組みから外れたものとなり、混乱してしまうわけだ。


二大政党では対応できず
混迷の象徴が「トランプ大統領」

 それが顕著に表れたのが、トランプ大統領を誕生させた2016年の大統領選だった。

 当時の主要な大統領候補(トランプ、ヒラリー・クリントン、バーニー・サンダース)を、4元構造の図式の中に配置したのが、図2である(理解のために、あえて単純化している)。


https://diamond.jp/articles/-/185419?page=3

 まず、トランプ氏の立場は「右」であるが、同時に、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉からの離脱やNAFTA(北米自由貿易協定)の見直し、移民管理の厳格化など「反グローバル化」の主張を鮮明にした。

 このトランプ氏の「反グローバル化/右」を支持したのは、保守的な価値観をもちながらグローバル化によって不利益を被る人々(例えば、白人男性の労働者)だった。

 トランプ氏の「反グローバル化」主張は、「右」の共和党の中でも異端であり、主流派が受け入れるところではなかった。共和党主流派の立場は「親グローバル化」だったのである。

 これに対して、クリントン候補は、親グローバル化のリベラルだった。それは民主党の主流派を代表するものだった。

 そのクリントン氏と民主党内で争ったのは、「民主社会主義」を標榜する急進左派のサンダース候補である。サンダース氏とその支持者たちは、社会的弱者や労働者を疎外するグローバル化には批判的だった。それゆえ、彼らは「反グローバル化/左」に位置づけられる。

https://diamond.jp/articles/-/185419?page=4


これに対して、民主党の立場、今後の方向性は曖昧である。もちろん、「反トランプ」であるのは明らかだ。しかし、その「反トランプ」の意味するところが、「親グローバル化」なのか「左」なのかが、はっきりしない。

 つまり、中間選挙の結果、共和党は「反グローバル化」でまとまりやすくなったが、民主党内は「親グローバル化」と「反グローバル化」の対立が解消されていないということだ。

 このため、今後、民主党内で、「親グローバル化」の主流派と「反グローバル化」の急進左派との間の路線対立や主導権争いが勃発すると考えられる。

 しかし、内部に対立をはらんだままでは、民主党のトランプ政権に対する攻勢も鈍らざるを得ないのではないか。

 今後の米国政治を考える上で注目すべきポイントは、民主党主流派が「親グローバル化」を維持するか、「反グローバル化」に傾斜するかである。

 それによって、米国の政治は大きく変わるだろう。

 あえて大胆に予測するなら、民主党が「親グローバル化」を維持した場合には、2年後の大統領選は、2年前のクリントン候補の轍を踏むことになるだろう。

 逆に、もし民主党が「反グローバル化」に転じるなら、米国政治は、反グローバル化の下での「右vs左」という新たな二大政党制の時代を開くことになるかもしれない。


65. 中川隆[-13659] koaQ7Jey 2018年11月19日 11:57:19 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-20896] 報告
2018年11月17日
怪物の名前を書くアメリカの有権者
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68742128.html

非西歐世界からの移民で、アメリカ国籍を取得した有色人種は、圧倒的に民衆党支持者だ。黒人をはじめとして、ヒスパニック系、アジア系、アラブ系、ムスリム系アフリカ人、ユダヤ人、東歐系などは大抵、人権とか平等、福祉といった「飴」をちらつかせる左翼候補者に投票するから、白人の権利を主張する保守派の候補者に入れることはない。リベラル派がゴマンといるミネソタ州は、異民族混淆で迷走する地域の典型例である。この州はソマリア移民を大量に受け容れたことで知られており、スカンジナヴィア系の白人が政治的マイノリティーになりつつある。

  最近行われた中間選挙を論ずるとき、2008年に行われた上院議員選は注目に値する。共和党の上院議員だったノーム・コールマン(Norm Coleman)にとっては再選の年であり、民衆党からアル・フランケン(Alan S. Franken)が出馬していた。このアル・フランケンはNBCの人気番組「サタデー・ナイト・ライヴ」で放送作家をしていたユダヤ人コメディアンで、以前から政治活動に熱心だった人物である。2008年の上院選挙は二人の接戦となり、当初コールマンが725票という僅差でフランケンを上回っていた。ところが、この薄氷を目にしたフランケンは「逆転あり」と考えたのか、辣腕の弁護士軍団を引き連れ、開票結果に文句をつけてきたのである。そこで、投票用紙の再検証となり、選挙職員が数え直したところ、コールマンの優位は206票に減ってしまった。さらに、無効とされた投票用紙を加えたり、弾かれた不在者投票を数え直したところ、今度はフランケン候補が312票上回って「当選者」となってしまったのだ。(Byron York, "When 1,099 felons vote in race won by 321 ballots", Washington Examiner, August 6, 2012)

Norm Coleman 2Al Franken 3


(左: ノーム・コールマン / 右: アル・フランケン)

  この数え直して問題となったのは、有権者とは見なされない者による投票であった。驚くことに、犯罪者とされる1,099名が有権者登録に載っていたのである。調査によると、177名が不正投票で有罪となっていて、別の66名が裁判待ちになっていた。つまり、合計243名が不正に投票したことになる。コールマンとフランケンの闘いは、たった312票差で勝敗が決まった訳だから、落選したコールマンは承服できない。忿懣やるかたないコールマンは、選挙結果を裁判に持ち込むことにした。しかし、色々な審議がされたものの、結局2009年6月30日、ミネソタ州最高裁はコールマンの訴えを退け、7月7日、この判決を以てフランケンは晴れて上院議員となった。

  票の数え直しで面白かったのは、投票用紙に変な書き込みをする有権者がいたことだ。両党の審査員が目を皿のようにして投票用紙を確認していたが、有権者にはふざけた者がいたそうだ。例えば、アル・フランケンの名前の脇に楕円形を書いて小さな点をつけた用紙があったという。こんな投票になると、どう判断して良いのか分からない。他にもケシカラン有権者がいて、問題となった用紙には「神様」とか「スパゲッティー・モンスター」、「チャック・ノリス(Chuck Norris / アクション映画の有名男優)」と書かれていたそうだ。傑作なのは、フランケン候補の名前をもじって「アル・フランケンシュタイン(Al Frankenstein)」と書かれてた投票用紙があったという。(David Welna, "Senate Race Results Still Close In Minnesota", National Public Radio, December 19, 2008) 民衆党の審査員は、この「フランケンシュタイン」をフランケンに投票したものと見なし、強引に「有効票」としたそうだ。まぁ、彼の顔を目にすればモンスターに見えなくもない。だから「OK」なんだろう。

Rick Scott & Bill Nelson 1(左: ビル・ネルソン / 右: リック・スコット)

  それにしても、投票用紙の数え直しを迫る民衆党の執念は凄まじい。民衆党支持者には英語の不自由な帰化人とか、教育の乏しい下層民、素性を隠したい前科者、国籍がないのに有権者登録をしようとする不法移民など多種多彩で、日本人が見れば唖然とする人々が多い。大量の移民や難民、不法入国者を抱えるアメリカは、先進国であるはずなのに、その選挙風景はアフリカ並だ。日本のように記名投票じゃなくて、パンチ・カードを用いている。候補者の蘭に穴を開ける方式だと、機械で識別できるから便利だし、人間による不正も防ぐことが可能となる。ただし、きちんと穴を開けない奴がいるから、識別困難となり無効とされてしまう場合もあるという。有名なのは2000年の大統領選挙で、フロリダ州の開票結果を巡ってジョージ・ブッシュとアル・ゴアが揉めたことがある。今回の中間選挙でもフロリダは問題を起こしていた。上院選では共和党のリック・スコット(Rick Scott)が民衆党のビル・ネルソン(Bill Nelson)に僅か12,000票差でリードしていたので、何としても結果を覆したいネルソン候補は必死に数え直しを主張していたのだ。しかし、奇蹟の逆転はなかった。

Andrew Gillum 2(左: アンドリュー・ギラム / 右: ロン・デサンティス)

  また、フロリダ州の知事選も混乱しており、共和党のロン・デサンティス(Ron DeSantis)と民衆党のアンドリュー・ギラム(Andrew Gillum)は僅差で争っていた。権力を目の前にしたギラムは、たった34,000票で優位を得ているデサンティスに因縁をつけ、票の数え直しを主張したが、結果が変わることはなく、敗北を認める破目になった。ラテン系の移民や南米出身者の住民が多いフロリダ州は、「スウィング・ステイト(揺れ動く州)」と呼ばれ、たまに共和党が優勢となるが、どちらかと言えば民主党の色彩が強い地域である。それゆえ、ちょっとした社会情勢で片方の政党に傾き、両党の候補者が拮抗することになってしまうのだ。
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68742128.html

66. 中川隆[-13632] koaQ7Jey 2018年11月25日 06:55:09 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-21106] 報告

米国、「トランプ氏」中国問題で財務長官に不満「米中会談に関係」2018年11月25日
http://hisayoshi-katsumata-worldview.livedoor.biz/archives/13798677.html


米中首脳会談は、あと1週間以内に迫ってきた。トランプ大統領は例によって、中国を揺さぶっている。翻弄され続けている中国が、いかなる対案を出してくるのか。大勝負がかかった一番となってきた。

米国は、中国を袋小路に追い込むように、これまで打てる手はすべて打った感じだ。@副大統領による「新冷戦宣言」、A14種類のハイテク技術の輸出規制案、B通商法301条に照らした改善行為はゼロで実行する意思もない、Cハッカー実態調査で精華大学が関与など、詳細に取り上げている。

米国は、ここまで中国を追い込みながら、中国の反応を見ている。中国はどのように対応するのか。メンツにこだわって徹底抗戦の道を選べば、中国経済はその時点で異次元の世界へ飛び込むにちがいない。米国の財務長官経験者は、その場合、米国にも類が及ぶから、その一歩手前でブレーキをかけるように働きかけている。その窓口が、財務長官のムニューシン氏である。この動きに、トランプ大統領はご立腹と報じられた。

『共同』(11月24日付)は、「米財務長官に不満か、トランプ氏、株安と対中国」と題する記事を掲載した。

(1)「米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル電子版』は23日、トランプ米大統領がムニューシン財務長官に不満を抱いていると報じた。最近の株安と中国に対する通商政策で融和的な姿勢なのが原因という。トランプ氏は中間選挙後の記者会見で閣僚の一部交代を検討する考えを示し、セッションズ司法長官を解任した。ただ、同紙は『不満はムニューシン氏の解任を必ずしも意味しない』と分析している」

トランプ大統領は、ムニューシン氏が対中政策において融和的であるとして批判的だという。このことは、米中首脳会談が物別れに終わることを意味している。中国は、妥協せずに突っ込むのであろうか。

(2)「トランプ氏は米連邦準備理事会(FRB)の利上げが株価下落の要因とみて、FRB批判を繰り返している。パウエル氏をFRB議長に指名した人事ではムニューシン氏の推薦があった。関係者によると、トランプ氏は『彼(パウエル氏)がそんなに良いのならば、なぜこんなこと(株価下落)が起こるのだ』とムニューシン氏を批判した。ムニューシン氏は対中貿易協議で米側代表として交渉にあたってきたが、政権内では中国に融和的だとして知られる。同氏が会議で『われわれの(強硬な)対中戦略は非常にうまくいっている』と語ったところ、トランプ氏は『“われわれ”とはどういう意味だ』と問い返したという」

トランプ発言は、当意即妙であるから聞く方は面白いが、相手をする者にとっては気が抜けないであろう。安倍首相は、このトランプ氏と気が合うというのだ。トランプ氏との会話では、絶対にトランプ氏の発言を否定せずに先ず賛成すること。その後で、こういう考えはどうでしょうと言えば、聞いて貰えるという。米中首脳会談で、習氏はどのように渡り合うのか。

67. 中川隆[-13786] koaQ7Jey 2018年12月16日 20:35:58 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-22192] 報告

2018年12月15日
大規模な国民の入れ替え / 移民が国民になる
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68745142.html

有色人種の天下を狙うユダヤ人

白人の減少はアメリカでも深刻な問題となっている。しかし、アングロ・アメリカ社会には、白人の存在を憎み、その撲滅を密かに望む者が少なくない。特に、ユダヤ人ジャーナリストはマイノリティー(つまり「有色人種」)を擁護する形で、忌々しい西歐人を「少数派」にしたいと思っている。例えば、ニューヨーク・タイムズ紙に盤踞するコラムニストのミッシェル・ゴールドバーグ(Michelle Goldberg)は、ヨーロッパ系アメリカ人に対して燃えたぎる憎悪を抱いている。彼女は有色人種の大統領や州知事の誕生を切望しており、11月の中間選挙ではジョージア州の知事選に出馬した、民衆党のスティシー・アブラムズ(Stacey Y. Abrams)候補を支持していた。また、2020年の大統領選に出馬するのではないか、と囁かれているカルフォルニア州のカマラ・ハリス(Kamala Harris)州上院議員を熱心に応援しているそうだ。(ハリス議員はジャマイカ・インド系アメリカ人で、妹のマヤ・ハリスはMSNBCで政治アナリストを務めている。)

Michelle Goldberg 1Kamala Harris 3Stacy Abrams 1

(左: ミッシェル・ゴールドバーグ / 中央: カマラ・ハリス / 右: スティシー・アブラムズ)

  民衆党贔屓のユダヤ人ジャーナリストらしく、ゴールドバーグ氏はトランプ大統領が大嫌いで、同類の一般人から聞いた話しを記事の中に盛り込んでいた。例えば、ジョージア州で開かれた共和党の大会を目にした学校教師は、校外のあちこちでKKK風のチラシが蒔かれていたと話している。(Michelle Goldberg, "We Can Replace Them", The New York Times, October 29, 2018) 西歐世界に属さないゴールドバーグ氏は、心底ヨーロッパ系アメリカ人を憎んでいるようで、トランプ支持者や不法移民を非難する政治家を赦せないという。彼女はネット報道サイトの「ブライトバート(Breitbart)」に戻ったスティーヴ・バノン(Steve Bannon)や、保守派の新星リチャード・スペンサー(Richard Spencer)を白人至上主義者として扱っていた。(Michelle Goldberg, "Khakis and Tiki Torches", The New York Times , August 14, 2017)

Richard Spencer 6Steve Bannon 321Steve King 1


(左: リチャード・スペンサー  / 中央: スティーヴ・バノン / 右: ステイーヴ・キング)

不法移民の流入に警鐘を鳴らすアイオア州のスティーヴ・キング(Steve King)下院議員も大嫌いで、根拠も無いのにファシスト扱いだ。(Michelle Goldberg, "The White Supremacy Caucas", The New York Times, December 11, 2017) しかし、実際のキング議員は憲法第14条修正を正しく説明する知性的な政治家で、無知蒙昧な右翼ゴロとは異質な人物である。民衆党の人権屋は、メキシコ人の妊婦がカルフォルニアで出産したら、その赤ん坊は「アメリカ国民だぞ!」と言い張るが、そんな馬鹿げた法律は無い。中世イングランドの話をすると長くなるから省略するけど、法の精神をねじ曲げてまで、ヒスパニックやアジア人の赤ん坊を増やそうとする左翼の魂胆は本当に薄汚い。

DuBose POrter 2(左 / デュボス・ポーター )
  脱線したので話を戻す。ニューヨーク・タイムズ紙のコラムを利用して、自分の政治宣伝を行うゴールドバーグ氏は、背筋が寒くなるような“素晴らしい”談話を紹介していた。民衆党のジョージア支部で会長を務めるデュボス・ポーター(DuBose Porter)氏によれば、「もし、州内の全有権者が投票したら、ショージア州はブルー・ステイトになる」そうだ。つまり、州に住む黒人やヒスパニック、その他の有色人種が棄権するから共和党に負けるのであって、もし総ての住民が有権者登録を行い、民衆党の候補者に投票すれば、共和党の牙城を崩せるというのだ。こんなのは、南部の白人にとって悪夢のような事態である。確かに、ヒスパニックやアフリカ系、アラブ系、アジア系の住民がこのまま増え続ければ、いつかは白人が「少数派」になってしまうだろう。そうじゃなくとも、アメリカの白人票は民衆・共和で半々に割れてしまうから、有色人種が一致団結すれば、ジョージア州の市長や州検事、下院議員、上院議員、知事はみんな民衆党になってしまい、ニューヨーク州やカルフォルニア州のように不動のブルー・ステイトになってしまう。

white male 1Nordic woman 432Baby & Mom 8

(写真 / 忌まわしいアーリア系白人の男女や赤ん坊)

  ゴールドバーグはポーター氏の発言を引用し、「みんな、彼が正しいことを証明しよう !」と呼びかけ、「アメリカの有権者は白人ナショナリストが最も恐れる事を実現できるのよ!」と述べていた。そして最後に、「我々は彼ら(白人)を置き換える事ができるの! これを示しましょう!」と激励していたんだから、もう筋金入りの左翼活動家である。移民法を緩め、異民族をどんどん増やし、その圧倒的多数を以てアメリカを変えてしまおうと謀るユダヤ人は誠に恐ろしい。こんな連中を見れば、誰だって「ナチスがユダヤ人を排斥したのはもっともだ!」と思ってしまうだろう。戦前、ナチスの人種政策を密かに讃えたヨーロッパ人は意外と多く、ドイツの勢力拡大は癪に触るが、ユダヤ人が追放されるのには反対しなかった。ユダヤ人はアーリア人だけの社会を糾弾するが、フランスやブリテン、デンマーク、ネーデルラント、スウェーデンの白人は、金髪碧眼だらけの街を見て身震いするのか? 漫才師の「大木こだま」さんじゃないけど、日本人だって「そんな奴はおらんやろ〜」と否定したくなる。

Abraham Levitt & William & Alfred 2(左 / アブラハム・レヴットと息子のウィリアムとアルフレッド)

むしろ、移住希望者が殺到し、地価の高騰が起こるはずだ。たぶん、ユダヤ人なら“真っ先”に土地を買い占め、多額の利益を上げるだろう。もしかしたら、アブラハム・レヴット(Abraham Levitt)みたいな不動産屋が現れ、白人だけの高級住宅地を開発して大儲けするかも知れないぞ。(アブラハムは息子のウィリアムとアルフレッドを従え、戦後の住宅ブームを起こした人物。レヴット親子はニュー・ヨークやニュー・ジャージー、ペンシルヴァニアなどで住宅地を開発し、手頃な住宅を提供して話題と。米国では「レヴィットタウン」といえば有名だ。)
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68745142.html


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