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朝日新聞デジタル 2019年8月17日12時00分
マヌヒング=野上英文
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地図
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首都移転先の候補の一つに挙がっている南カリマンタン州では、国際空港の建設が進められている=2019年8月12日、バンジャルバル、野上英文撮影
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中部カリマンタン州の首都移転の候補地。ジョコ大統領の視察後に地価が最大4倍になった=2019年8月15日、マヌヒング、野上英文撮影
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東カリマンタン州の首都移転の候補地に挙げられている通称「スハルトの丘」。幹線道路を建設中だ=2019年8月13日、バリクパパン郊外、野上英文撮影
インドネシアのジョコ大統領は16日、国会での年次教書演説で、首都をジャカルタからカリマンタン(ボルネオ島)へ移す方針を表明した。具体的な移転先は明らかにしなかったが、同島各地ではすでに、発展の起爆剤になるとの期待が高まっている。
「この歴史的瞬間が誇らしい。国会議員そしてすべての国民から、カリマンタンへの首都の移転について承認をいただきたい」
ジョコ氏が演説でこう述べると議場から拍手が起きた。移転計画は4月末に閣議決定済みで、この日は国会で初めて提案された。
計画では、国会や中央省庁をカリマンタンに集め、ジャカルタは経済の中心として活用する。年内に移転先を決め、遅くとも2021年に開発を始め、24年に移転を始める予定だ。
移転の狙いについて、ジョコ氏は「東から西、北から南まで発展すべきだ」と述べ、ジャワ島のジャカルタに一極集中した現状の是正にあると説明した。ジャワ島には人口2億6千万人の57%が暮らし、渋滞や環境汚染が深刻。島外との経済格差も広がっている。
カリマンタンを選んだのは、同国の中心に位置し、国是「多様性の中の統一」にふさわしいからだ。ジョコ氏は「首都は国のアイデンティティーの象徴」とも演説で述べた。カリマンタンは人口が総人口の7%で、自然災害も少ない。
日本の国土の1・4倍の広さがあるカリマンタンのどこに移転するのか。政府関係者によると主な候補地は3カ所。ジョコ氏はこの日、具体的な移転先は明かさなかった。
4月の大統領選で再選したジョコ氏は、大票田のジャワ島での「貯金」で競り勝ったが、所属する闘争民主党はジャワ島以外での党勢の弱さが課題になっている。そのため、移転計画には「ジョコ氏のレガシー(遺産)作りに加えて、政治的思惑もあるだろう」とある駐在外交官はみる。
首都移転は歴代大統領が提案しては立ち消えになってきた経緯がある。ただ、国会では与党陣営の議席数が多数派で、これまで大きな反対論は出ていない。
■経済効果「計り知れない」、課題は移転費用
中部カリマンタン州の州都から車で2時間半のマヌヒング地区の山道。15日に訪れると、車道脇にビール瓶が刺さっていた。
「5月初め、大統領が視察で立った目印です」。案内してくれた地区長はそう説明した。ここを中心に、同州は広大な土地を移転用に用意する予定だ。
一帯の集落は人口8千人弱。大半が天然ゴムやアブラヤシの農家で、1日の世帯収入が平均10万ルピア(約740円)程度。そんな過疎地に入った「寝耳に水」の移転話で、もともと1ヘクタールあたり1千万ルピア(約7万5千円)だった地価は、この3カ月間で4倍に上がった。
スギアント州知事は「移転で200万〜300万人は移住するだろう。インフラ整備など経済効果は計り知れない」と期待する。
カリマンタンは、石炭や石油の採掘が主要産業だが、同国では発展が大きく遅れた地域の一つ。南カリマンタン州で移転先の候補とみられる港町バトゥリシンも、他の大都市につながる幹線道路がない。同州都の空港は小型機だけがとまれる造りで、その隣では大きな国際空港を建設中だった。
「加工や製造の拠点は全部ジャワ島にある。打開の手段が首都移転だ」と、国家開発企画庁幹部のファジャル・デシラさんは語る。
移転で潤うとの期待感がカリマンタンで高まる一方、課題は費用だ。
ジョコ政権は当初、最大466兆ルピア(3・5兆円)と見積もった。だが、賄いきれないとの意見が上がり、8月に93兆ルピア(6950億円)に下方修正。民間投資も活用する構えだ。
コストが抑えられるとの見立てから最有力候補とされるのが、スハルト元大統領がかつて訪問したことが名前の由来になっている東カリマンタン州の通称「スハルトの丘」だ。すでにインフラ整備が進み、州都につながる幹線道路は完成間近。近くには国際空港が二つと、大きな港もある。今月にジョコ氏と面会したイスラン知事は「90%指名される感触を得た」と取材に話した。
ただ付近には住宅街が広がり、鉱山も開発中。土地収用に費用や時間がかかる懸念もある。(マヌヒング=野上英文
https://digital.asahi.com/articles/ASM8J51TWM8JUHBI01W.html?rm=828
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