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▲法輪功メンバーたちのデモ行進(2015年9月19日、ウィーン市内で撮影)
韓国聯合ニュース日本語版を読んでいると、興味深いニュースが見つかった。米政府系放送局のラジオ・自由アジア(RFA)が16日、平壌在住の消息筋の情報として、北朝鮮の平壌で中国発祥の気功法集団「法輪功」が急速に拡大し、北当局はその対応に乗り出しているというのだ。
記事を読んで中国で法輪功が拡大し、中国共産党政権が対応に苦慮した1990年代後半のことを思い出した。金正恩朝鮮労働党委員長の北朝鮮で同じような現象が起きているというのだ。
平壌当局は、「法輪功を信じる者、それを知っている市民は当局に通達するように」という布告を発した。法輪功に関心がある平壌市民には労働党幹部たちが少なくないという。上記の消息筋によると、4月1日に実施された取り締まりで、平壌だけでも100人以上の法輪功信者が摘発されたという。
中国で1990年代後半に入ると、法輪功が急速に拡大し、その数は共産党員数を上回ってきた。それに危機感をもった当時の江沢民国家主席は法輪功を「邪教」とし、信者の弾圧に乗り出し、「610公室」という組織を設置して徹底的に迫害を始めた。「610公室」は旧ソ連時代のKGB(国家保安委員会)のような組織で、共産党員が減少する一方、メンバー数が急増してきた法輪功の台頭を恐れた江沢民主席の鶴の一声で作られた組織だ。
「610公室」は現存の法体制に縛られない超法的権限を有し、法輪功の根絶を最終目標としている。610公室のメンバーは都市部だけではなく、地方にも送られている。そればかりではなく、海外の中国大使館にも派遣され、西側に亡命した法輪功メンバーの監視に当たっている。中国反体制派活動家たちは「610公室」を中国版ゲシュタポ(秘密国家警察)と呼んでいるほどだ。
中国当局は拘束した法輪功メンバーから生きたままで臓器を摘出し、それを業者などを通じて売買しているという。2000年から08年の間で法輪功メンバー約6万人が臓器を摘出された後、放り出されて死去したというデータがあるほどだ。中国の不法臓器摘出の実態を報告したカナダ元国会議員のデビッド・キルガ―氏は、「臓器摘出は中国で大きなビジネスだ。政府関係者はそれに関与している。法輪功メンバーの家族が遺体を引き取った際、遺体には腎臓などの臓器が欠けていたという証言がある」と報じている。習近平時代に入っても法輪功メンバーへの弾圧は続いている。
北では「宗教の自由」は弾圧され、キリスト教信者は祈ることすらできない。北の宗教事情は中国より厳しい。それでも、3食もままならない生活環境下で国民の中には何らかの精神的世界を求める者が出てくる。法輪功は宗教ではないが、心と体のバランスを維持する上で大きな効果があるといわれる。貧しい国民だけではない。労働党幹部たちも法輪功に惹かれるケースがみられるという。中国と同じ現象だ。
北で法輪功がこのまま広がり続けると、金正恩委員長も江沢民時代と同じように、強権を発動して徹底的に法輪功迫害に乗り出すのではないか。中国の天津市には臓器移植を受けるために年間1000人以上の韓国人が殺到しているが、懸念される点は、北側が拘束した法輪功メンバーの臓器を韓国人向けに不法移植するビジネスに乗り出すのではないか、ということだ。悪事の繁殖は速いからだ。
ちなみに、海外中国メディア「大紀元」によると、世界の法輪功メンバー約5000人が18日、米ニューヨーク市のガバナーズ島に結集し、「世界法輪大法デー」を行った。李洪志氏が中国伝統修練法の法輪功を世界に伝えて今年で27周年を迎えた。法輪功は現在、世界100カ国以上に広がっているという。
ウィーン発 『コンフィデンシャル』2019年05月22日06:00
http://blog.livedoor.jp/wien2006/archives/52245734.html
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