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http://www.bbc.com/japanese/40269673
米国人学生、北朝鮮から解放 「昏睡状態」と
2017年06月14日
北朝鮮で米国人学生が「謝罪」会見
北朝鮮を訪問中にホテルの政治宣伝看板を盗もうとした罪で懲役15年の判決を受けた米国人学生オットー・ワームビア受刑者(22)が、解放されて出国した。米国務省が13日、明らかにした。ワームビア氏の家族は、受刑者が昨年3月の公判以降、昏睡状態にあったと1週間前に知ったばかりだと明らかにした。
レックス・ティラーソン国務長官は短い声明を発表し、「大統領の支持で国務省は、オットー・ワームビア氏の北朝鮮からの解放を確保した。ワームビア氏は米国へ向かっており、家族と再会する。国務省は、他に拘束されていると言われる米国人3人について、北朝鮮と協議を続けている。ワームビア氏と家族のプライバシーを尊重し、国務省はワームビア氏についてこれ以上のコメントを控える」と説明した。
ワームビア氏の両親フレッドとシンディ―さんはコメントで、「オットーは北朝鮮を出国した。医療避難機で帰宅中だ。残念ながら、オットーはこん睡状態にある。昨年3月からそうだと、わずか1週間前に知らされたばかりだ」と発表した。
米紙ワシントン・ポストが両親の話として伝えたところによると、ワームビア氏は昨年3月の公判から間もなくボツリヌス菌に感染したと説明されたという。ボツリヌス菌による中毒症状は麻痺を引き起こす。同紙によると、北朝鮮当局がワームビア氏に睡眠薬を与えて以来、昏睡状態にあるという。
ワームビア氏はオハイオ州シンシナティ出身で、バージニア大学で経済学を専攻していた。
観光客として北朝鮮に向かい、昨年1月2日に逮捕された。2月末の記者会見で涙ながらに、教会に持ち帰る「トロフィー」として看板を盗もうとしたと告白。「北朝鮮の人たちの勤労の精神を傷つけようとした」と話した。
北朝鮮に拘束されたことのある複数の外国人は、当局の圧力下で自白を強制されたものだと話している。
Reuters
北朝鮮の警備兵に連行されるオットー・ワームビア氏
昨年3月16日に短い裁判の後、国家反逆罪で懲役15年の労働教化刑を言い渡された。
両親は今年5月初め、米CNNに、息子とは1年以上連絡がとれていないと話していた。
Reuters
ワームビア氏が盗もうとしたとされる看板。「金正日への愛国で強力に武装しよう!」と書いてある
北朝鮮には現在、米国市民3人が拘束されている。
昨年4月には、韓国生まれで米国に帰化した62歳のキム・ドンチュル氏がスパイ罪で有罪となり、懲役10年の労働教化刑を言い渡されている。キム氏は2015年10月に逮捕された。
今年4月には、平壌科学技術大学で教えていた朝鮮系米国人キム・サンドゥク氏(別名トニー・キム氏)が逮捕された。容疑は不明。
さらに5月には、同じく平壌科学技術大学に勤務するキム・ハクソン氏が、国家への「敵対的行為」の容疑で逮捕された。
米政府はこれまで、北朝鮮が核・ミサイル開発をめぐる駆け引きの道具として米国人を拘束していると非難してきた。
AFP
ワームビア氏の翌月に涙ながらの自白会見をしたキム・ドンチュル氏(2016年3月)
ワームビア氏の釈放とは別に、韓国政府は13日、北朝鮮のドローン(小型無人飛行機)が、米製の地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)」の写真を撮った後に墜落したと発表した。
さらに韓国軍は、軍事境界線を越えて北朝鮮兵が亡命したと明らかにした。
なぜロッドマン元選手が平壌に?
ワームビア氏解放の数時間前には、米プロバスケットボールNBAの元スター選手、デニス・ロッドマン氏が平壌に到着した。ロッドマン氏は北朝鮮の指導者、金正恩氏と親しく、これまでにもたびたび北朝鮮を訪れている。
Reuters
北京経由で平壌に向かうロッドマン元選手
ロッドマン氏が金氏に、米国人の解放を促すのではないかとの憶測が取りざたされたが、北京経由で平壌に向かったロッドマン氏は報道陣に、「北朝鮮に今後もスポーツを持ち込めるかが自分の目的」だと話した。
元選手は自分は「扉を開けようとしてるだけ」と述べ、「(トランプ大統領は)自分たちに必要なことを実現しようと俺がここに来てるのを、喜んでるはずだ」と付け足した。
トランプ氏は2013年の時点で当時のロッドマン氏の訪朝について、「世界を見渡すと、自分たちの周りで世界が爆発してる。もしかして、今いる指導者よりもデニスの方がずっとうまいかもしれない」と話していた。
(英語記事 Otto Warmbier: North Korea releases jailed US student 'in coma')
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http://www.bbc.com/japanese/40337186
北朝鮮から解放された米大学生が死亡 意識不明で帰国
2017年06月20日
Reuters
ワームビアさんの両親は1年3カ月にわたって息子についての情報が全くなかったと話す
北朝鮮で1年3カ月以上拘束され、昏睡(こんすい)状態となっていた米大学生のオットー・ワームビアさん(22)が19日、米国内の病院で死亡した。家族が明らかにした。
ワームビアさんは今月13日に米国に帰国したが、約1年間意識不明だったことが明らかになっていた。
北朝鮮は、ワームビアさんがボツリヌス菌に感染し意識不明になったと説明したが、ワームビアさんを診察した米国の医師団は、菌の痕跡はないと反論していた。
ワームビアさんは、北朝鮮でホテルの政治宣伝看板を盗もうとした罪で懲役15年の判決を受けていた。
脳に深刻な損傷を受けていたワームビアさんは北朝鮮から飛行機で帰国し、自宅があるオハイオ州ワイオミングにある病院に入院した。意識不明になった理由は不明。
家族は、ワームビアさんが北朝鮮で拷問されたためだと主張している。家族は文書で、「私たちの息子、オットー・ワームビアが帰路の旅を終えたと皆さんにご報告しなくてはなりません。愛する家族に見守られて、オットーはきょう午後2時20分死亡しました」と述べた。
文書によるとワームビアさんは、「口がきけず、目が見えず、話しかけても反応できなかった」という。
Reuters
2016年2月に行われた記者会見でワームビアさんは看板を盗んだと告白した
「北朝鮮によって私たちの息子はひどい虐待行為を受けました。そのせいで、私たちがきょう経験した悲しい展開以外の結果はあり得ませんでした」
ドナルド・トランプ大統領は声明を出し、ワームビアさんの死について、「法の支配や人間としての基本的な良識を尊重しない独裁政権によって、罪のない人が悲劇的な目に遭った」と批判し、「このようなことが二度と起きないよう」米政府として取り組んでいくと決意のほどを示した。
「米国は北朝鮮による新たな犠牲者を悼みつつ、北朝鮮の独裁政権による残虐行為をあらためて非難する」
ワームビアさんは中国に拠点を置く団体「ヤング・パイオニア・ツアー」を使い、北朝鮮を観光で訪れた。団体はその後、米国からの北朝鮮訪問客の受け入れを停止している。
同団体は文書で、「(ワームビアさんの)拘束への対応はぞっとするもので、このような悲劇は二度と繰り返されてならない」と述べた。
「本人や、平壌で彼と接触していた人たちへの面会を何度も申し入れたものの、すべて拒否された。無事だという返事しか返ってこ」
ワームビアさんの病状
ワームビアさんの病状を家族が知ったのは、解放のわずか数日前のことだった。
解放直前に家族は米紙ワシントン・ポストに対し、ワームビアさんが2016年3月の公判から間もなく、まれな疾患のボツリヌス菌感染症にかかり、体がまひしていると北朝鮮当局から伝えられたと語った。
同紙によると、当局は家族に、ワームビアさんには睡眠薬を投与した、昏睡状態が続いていると説明したという。
オハイオ州の病院でワームビアさんを診察したダニエル・カンター医師は、「彼の神経学的状態については、反応のない覚醒状態、と言うのが最も適当だろう」と述べた。
検査の結果、ワームビアさんの体には身体的虐待を受けた痕跡は見つからなかったという。医師らは、呼吸停止によって脳が酸素不足になり昏睡状態に至ったと考えている。
ワームビアさんはどんな人物だったのか
米バージニア大学で経済学を専攻していたワームビアさんは、2016年1月2日、北朝鮮を観光旅行中に逮捕された。
1カ月後に開かれた記者会見でワームビアさんは涙ながらに、米国の教会に「戦利品」として持っていくために宣伝看板を盗もうとしたと告白し、「朝鮮の人々の労働倫理とやる気を損なうのが目的だった」と語った。
過去には、北朝鮮で逮捕された複数の外国人が、告白を強要されたとして、後に告白内容を撤回している。
北朝鮮は、ワームビアさんを「人道主義的見地から」解放したと述べていた。
(英語記事 Otto Warmbier, US student sent home from North Korea, dies)
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