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シリア政府軍のパルミラ再奪還の2日前、米英仏はシリアへの制裁強化を国連で求め、中露が拒否
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201703040000/
2017.03.04 14:52:19 櫻井ジャーナル
ロシア空軍の支援を受けたシリア政府軍が3月2日、パルミラを奪還したようだ。昨年12月11日にダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)は約4000名の部隊で奇襲攻撃、下旬にはこの地域を制圧していた。その際、ダーイッシュは住宅地伝いに侵攻、ロシア空軍機は爆撃できなかったとも言われている。またシリア政府軍は兵站線が弱く、偵察が不十分だったと指摘されていた。
昨年、イラクのモスルを制圧していたダーイッシュが攻撃されているが、その際、アメリカやサウジアラビアは「ムジャヒディン」をモスルからシリアのデリゾールやパルミラへ安全に移動させることで合意していたとされているが、そうした形でシリアのダーイッシュやアル・カイダ系武装集団は戦闘態勢を整えていたのだろう。モスルからシリアへ9000人程度が移動すると言われていたが、実際にどの程度が動いたかは明確でない。
デリゾールの場合、昨年9月17日にシリア政府軍をアメリカ主導の連合軍がF-16戦闘機2機とA-10対地攻撃機2機で攻撃、80名以上の政府軍兵士を殺害している。空爆の7分後にダーイッシュの部隊が地上でシリア政府軍に対する攻撃を開始していることから、両者は連携していると見られている。その作戦が今回の攻撃を実現させたと言えるだろう。28日には2つの橋を、30日にも別の橋2つをそれぞれ爆撃して破壊した。当時、シリア政府軍はダーイッシュに対する攻撃を準備しているところだった。また、アメリカ軍の偵察衛星のつかんだ情報が反政府軍へ渡されていた可能性が高いとする分析もある。
ロシア系メディア(アラビア語のスプートニク)によると、その後、アレッポの山岳地帯にある外国軍の司令部をシリア沖にいるロシア軍の艦船から発射された3発の超音速巡航ミサイルが9月20日に攻撃、約30名が殺したという。その中にはアメリカ、イギリス、イスラエル、トルコ、サウジアラビア、カタールから派遣された軍人や情報機関の人間が含まれ、この司令部がデリゾールでの空爆を指揮したとも言われている。
当時、バラク・オバマ政権は特殊部隊をシリア北部にある7つの基地へ派遣、そのうちマブロウカには少なくとも45名、アイン・イッサには100名以上、コバネには300名以上、タル・アブヤダには少なくとも200名だとされている。言うまでもなく、こうした派兵はシリア政府軍が承諾したものでなく、最終目的はバシャール・アル・アサド体制の打倒。手先として利用してきたダーイッシュやアル・カイダ系武装集団がロシア軍の空爆で劣勢のため、テコ入れしているように見える。
安全保障担当補佐官を辞任したマイケル・フリン中将は2012年7月から14年8月まで軍の情報機関DIA(国防情報局)の局長を務めていたが、12年8月にDIAが作成、ホワイトハウスに提出された報告書には、東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフ主義者の支配国が作られる可能性があると書かれている。
オバマ政権は反シリア政府軍の「穏健派」を支援すると主張していたが、その報告書はそうした味方を否定、反シリア政府軍の主力がサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIだとしている。その勢力を西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコが支援しているとも主張している。こうした指摘は正しいのだが、この報告書が意味していることは、ダーイッシュを生み出し、育てたのはオバマ政権にほかならないということ。そのダーイッシュをアメリカ軍が支援するのは必然だ。
一方、任期切れ寸前のオバマ大統領は昨年12月にロシアの外交官35名を含む96名のロシア人を国外へ追放、年明け後の1月6日にはアブラムズM1A1戦車87輌を含む戦闘車両をドイツへ陸揚げ、戦闘ヘリのブラック・ホーク50機、10機のCH-47、アパッチ24機なども送り込んだ。派兵されたアメリカ兵の人数は2200名。アメリカ欧州陸軍のベン・ホッジス司令官はポーランドに送り込まれたアメリカ軍の戦車に一斉射撃させているが、同司令官によると、これはロシアに対する戦略的なメッセージなのだという。
また、12月にはジョン・マケインとリンゼイ・グラハム、ふたりのネオコン上院議員がジョージア(グルジア)、バルト諸国、そしてウクライナを訪問、ウクライナではキエフ政権が1月下旬からウクライナ東部のドンバス(ドネツク、ルガンスク、ドネプロペトロフスク)に対する攻撃を激化させている。2月4日にはルガンスクの軍司令官の自動車が爆破され、司令官は殺された。
その間、12月19日にトルコのアンカラでアンドレイ・カルロフ駐トルコ露大使が射殺され、20日にはロシア外務省の幹部外交官がモスクワの自宅で射殺され、29日にはロシアの石油会社ロスネフトの会長に近いという元KGB/FSBの幹部の死体が自身の自動車内で発見され、1月9日にはギリシャのアパートでロシアの領事が死亡、26日にはインド駐在露大使が心臓発作で死亡、そして2月20日にはビタリー・チュルキン国連大使が心臓発作で死亡している。CIAがロシア政府に対して「恐怖(テロ)戦術」を始めたと疑う人は少なくない。
2月26日にはアメリカ映画界のイベント、アカデミー賞の授与式でシリア市民防衛(白ヘル)の活動に関する映画「白いヘルメット」が短編ドキュメンタリー映画賞に選ばれたという。本ブログでは何度か指摘してきたが、この白ヘルはアル・カイダ系武装集団やダーイッシュの宣伝部隊だ。
チュルキンが急死した8日後、アカデミー賞の授与式から2日後に国連ではアメリカ、イギリス、フランスが提出したシリアに対する制裁強化を求める決議がロシアと中国の拒否権で阻止されている。
1992年2月にネオコンが始めた世界制覇戦争は破綻の瀬戸際に立っている。その手先として活動してきたのがダーイッシュやアル・カイダ系武装集団、あるいはウクライナのネオ・ナチ。シリア政府軍によるパルミラ再奪還はアメリカ支配層の置かれた厳しい状況を象徴する出来事でもある。
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