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アングル:中国が海軍増強を加速、予測不能なトランプ氏に対抗
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2月26日、中国政府が公海での米国支配を阻止し、世界中で戦力投射を強化しようとするなか、中国海軍は、今年の国防予算において、相当額の新たな財源を確保するとみられる。写真は、訓練で中国初の空母「遼寧」から飛び立つJ15戦闘機。南シナ海で1月撮影。提供写真(2017年 ロイター/China Stringer Network)
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[北京 26日 ロイター] - 中国政府が公海での米国支配を阻止し、世界中で戦力投射を強化しようとするなか、中国海軍は、今年の国防予算において、相当額の新たな財源を確保するとみられる。
スピード出世を果たした新司令官による指揮の下、同国初の空母「遼寧」が台湾海峡を通過し、遠く離れた海外でも新たな艦船が寄港するなどこの数カ月、中国海軍の役割が一段と増している。
トランプ大統領は米国の艦船を増やすことを公言し、台湾や南シナ海、東シナ海など、激しい議論を引き起こすような問題に対して予測不可能なアプローチを取ることで、中国当局の神経を逆なでしている。そのため、中国は米海軍との差を縮めようとまい進している。
北京に拠点を置くアジア地域のある外交官は、中国海軍の最近の動きについて「危機のなかの好機だ」と指摘。「トランプ大統領があまりに予測不能なので、中国は同大統領が最終的には自分たちに向かってくることを懸念している。そのために準備している」と語った。
中国政府は、中国海軍の予算についての内訳を公表していないが、公式発表による2016年の国防費9543億5000万元(約15兆5700億円)について、実際はそれを上回っている可能性が高いと複数の外交官は指摘する。
来月開催される中国全国人民代表大会(全人代)で今年の国防費が発表されるが、それに隠された中国の意図を読むヒントを得ようと、アジア各国のみならず、米国もその規模を注視している。
20年間ほぼ連続して2ケタの伸び率を維持してきた中国の国防費だが、昨年の伸び率は6年ぶりに2ケタ割れの7.6%にとどまり、他国を驚かせた。
「中国海軍が過去15年にわたり、増強された国防費の恩恵を多大に受けてきたことは確かだ」と語るのは、ラジャラトナム国際研究院(シンガポール)の防衛問題専門家、リチャード・ビッツィンガー氏。
「海軍にどれくらい割り当てられているかは分からないが、造船所から出てくるものの量と質の両方から勘案すると、かなり驚くほどの規模だろう」と同氏は述べた。
<加速する軍事近代化>
かつて活動範囲は概して沿岸地域に限られていた中国海軍だが、習近平国家主席が進める野心的な軍事近代化の下で急速に発展している。
中国国営メディアによると、2016年にはミサイル駆逐艦、コルベット艦、誘導ミサイルフリゲート艦を含む18隻が就役した。
1月に電子偵察船が就役するなど、何かしら新しい装備が発表されない週はほとんどない。
それでも中国海軍は米国に著しく後れを取っている。中国が空母1隻を稼働しているのに対し、米国は10隻。しかも中国の空母は旧ソ連製の「遼寧」である。
退役少将で、現在は政府系の中国軍控与裁軍協会でシニアアドバイザーを務める徐光裕氏は、海洋における米国の戦力投射能力を中国は痛感させられたと指摘する。
「マラソンのようなものだ。われわれは後を追っている。スピードを上げる必要がある」と同氏は述べた。
トランプ大統領は、米史上最大規模の軍増強の一環として、海軍の艦船を現在の290隻から350隻に増やすと約束している。同大統領の側近によれば、この動きは軍事国家としての中国の台頭に対抗するために必要な措置だという。
「15年から20年かかる計画であることは分かっているが、彼ら(中国)は年々、世界的野望とともに大海原を視野に入れた海軍力の保有に近づいている」と、ある米政府当局者は匿名で語った。
「新たな予算を受け、中国海軍は短期的には南シナ海や東シナ海において首位の戦力を維持することを目指すだろう。また中期的にはそれをインド洋にまで拡大させるのが目標だ」
中国は1月、そうした目標を推し進めるため、沈金龍中将を海軍トップに就任させた。
スピード出世となる沈氏は、習国家主席に近い人物だと、外交筋や中国政府筋は言う。
「沈氏がトップになって海軍はとてもラッキーだ。自分たちの働きが上層部にまで確実に伝わることが分かっているのだから」と、軍部に近い中国政府当局者は匿名を条件にこう話した。
中国海軍が実施した最近の任務には、米国が伝統的に海上交通路を守ってきた湾岸諸国や、南シナ海、インド洋、西太平洋への寄港が含まれている。これについて国営ウェブサイト「ストロングチャイナ」は、沈氏にとって「初めてとなる米国、日本、台湾に対する武力の誇示」だとしている。
中国国営メディアは、中国の潜水艦が先月、南シナ海に面するマレーシアのサバ州にある港に入港し、これは中国の潜水艦が外国港に寄港した2例目だと伝えた。同潜水艦はソマリア沖で海賊対処活動を支援していたという。
中国の艦船もパキスタンやバングラデシュ、ミャンマーに寄港しており、アジアのライバル国であるインドの神経をとがらせている。
「戦力投射だ」と、北京に拠点を置くある西側の外交官は中国海軍についてこう語った。
(Ben Blanchard記者、Michael Martina記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
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中国、海軍力誇示…米空母「カール・ビンソン」に対抗か ASEANも牽制
2017.02.23
プッシュ通知
南シナ海で活動する米空母カール・ビンソン(AP)
南シナ海で活動する米空母カール・ビンソン(AP)【拡大】
中国が海軍力を誇示している。中国の国営中央テレビ(CCTV)は21日、中国海軍南海艦隊・遠洋訓練艦隊が東インド洋で行った演習映像を放映した。米原子力空母「カール・ビンソン」が南シナ海での哨戒活動を始めたことへの対抗や、フィリピンでの東南アジア諸国連合(ASEAN)非公式外相会議に圧力をかける狙いもあったようだ。
ASEAN外相会議は19日から21日まで行われ、複数の国から、中国の南シナ海での軍事的覇権拡大に対する懸念が示された。
こうしたなか、ロイター通信は21日、中国が南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島に造成した人工島に、長距離ミサイルを格納できる約20の構造物を建造していると報じた。国際社会の批判・懸念を無視するのか。
中国海軍が今回、演習映像を公開した艦隊は10日、中国・海南島の海軍基地を出港し、南シナ海での演習後、東インド洋に抜けたとみられる。
演習には、中国版のイージスシステム「中華イージス(中華神盾)」を搭載した防空ミサイル艦「海口」など新型主力艦3隻が参加した。実戦条件下での防空、防護、海上防衛作戦などの訓練が目的としているが、18日から南シナ海で哨戒活動を始めた米空母「カール・ビンソン」を中心とする空母打撃群への対抗措置であることは明らかだ。
さらに、中国海軍は今月中旬、中国海軍第24次護衛艦隊の「哈爾濱」と「邯鄲」「東平湖」をパキスタン海軍との共同合同演習「平和−17」にも派遣している。
ドナルド・トランプ米大統領の対中強硬路線に対峙するようだ。
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http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170223/frn1702231700006-n1.htm
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集
米中建艦競争、15年後には中国海軍が世界一に
2017/02/16
岡崎研究所
元米海軍大佐のジェイムス・ファネルと米海軍作戦部長スタッフのスコット・チェイニー=ピータースが、1月19日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙掲載の論説において、中国は今後も海軍を大幅に増強するものとみられ、米国はそれに対抗するため、思い切った海軍増強策を講じるべきである、と述べています。要旨、次の通り。
(iStock)
現行の米海軍艦船建造30年計画では、艦船数を現在の「展開可能な戦艦」273隻から308隻に増加するとしているが、11月トランプの側近は目標を350隻とすべきであると提言した。これは海軍自身の「戦力構成評価」の提案と軌を一にしている。
これらは中国海軍がインド・アジア・太平洋で、対等の競争者として登場していることを認めるものであるが、中国の今後の拡張を十分考慮していない。米海軍大学の分析によれば、中国海軍は2030年までに430隻以上の主要海上艦と約100隻の潜水艦を有すると予測される。そうなると、今後15年で中国の海軍は、規模と能力で米国海軍を劇的に上回ることとなる。
中国海軍はこれまで毛沢東時代の旧式の艦船と潜水艦を廃船し、近代的なもので置き換えてきたが、それが終わり、最新の艦船と潜水艦の製造に全力を挙げている。中国の海軍は、空母攻撃艦隊、潜水艦発射弾道ミサイル、艦隊のネットワークにより、世界的プレゼンスを享受するであろう。
世界秩序に対する中国の海軍力による挑戦に対抗するため、米海軍がより多くの艦船、より信頼できる抑止能力を必要としているのは明らかである。戦艦建造拡大計画についてのトランプ政権の提案を超党派で支持することが、世界における米国の国益を守るために重要である。
出典:James E. Fanell & Scott Cheney-Peters,‘Defending Against a Chinese Navy of 500 Ships’(Wall Street Journal, January 19, 2017)
http://www.wsj.com/articles/defending-against-a-chinese-navy-of-500-ships-1484848417
米海軍大学の予測によれば、2030年までに中国海軍は、規模と能力で米国海軍を劇的に上回ることになります。これは、米国が海軍の「戦略構成評価」の提案通り海軍力を増強したとしてもそうなるということです。筆者が米国の戦艦建造拡大計画を一層推進する必要があると警告する所以です。
世界的に海軍力を投影しようとする中国
米海軍大学の予測は、中国が単に南シナ海の制海権を樹立しようとするのみならず、より広く世界的に海軍力を投影しようとしていると見ています。おそらく中国の長期的ビジョンはそうなのでしょう。
それが可能かどうかは、中国が長期的に国防費を増額できるかどうかと、中国政府の優先度の置き方にかかっています。中国の軍事力の強化を最優先する考え方は、経済・財政的制約がよほど大きくならない限り、基本的に変わらないのではないかと思われます。
トランプは選挙戦中、米陸軍、海兵隊の規模の増大、海軍の艦船の350隻への増加を中心とする軍事政策を発表しています。しっかりした戦略に基づく発表とは思えませんが、方向としては軍備増強を志向しています。トランプ政権が、中国の長期的海軍増強計画を見据えて、中国の挑戦に対抗できるような海軍増強計画を検討することが望まれます。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8867
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