●1979年、ニカラグアを43年間も支配してきたソモサ独裁政権を、現ニカラグア大統領オルテガらの「サンディニスタ民族解放戦線」が打倒した「ニカラグア革命」が起きた。その後、サモサ残党らは「コントラ」を組織して、反政府武装闘争を始めたのだが、この「コントラ」を支援したのが米国のレーガン政権だった。それで、ニカラグアの革命政府は国連の安保理に、米国による「コントラ」支援は「侵略」だと提訴したが、米国の反対で革命政府の提訴は認められなかった。(反対は米国のみ。英国は棄権し、ソ連や中国だけでなく、フランスも賛成) そこで、ニカラグアの革命政府は「国際司法裁判所」(ICJ)に提訴し、1986年6月、「国際司法裁判所」は革命政府の訴えを認めて、米国に対して3億7000万ドルの賠償金の支払いを命じる有罪判決を下した。(ニカラグア事件) ところが米国は、中国と同じ<管轄権がない>という理由で、この判決を無視したのである。つまり、中国の「仲裁裁判所」の裁定無視には前例があり、その前例を犯したのは、何と日本の同盟国である米国自身だったのである。 しかもこの時、国連の安保理での審理で、ニカラグア側の提訴にソ連や中国だけでなく、フランスも賛成し、英国も棄権したように、米国の侵略は誰の目にも明らかな事実だった。しかし、日本は「国際司法裁判所」の判決を無視した米国を批判しなかったのである。 日本政府は、米国が「仲裁裁判所」よりも格上の「国際司法裁判所」の判決を無視して「国際法」を踏みにじっても黙認し、中国が同じことをすると批判する不公平な国家に成り下がっている。★ ●だから、ウクライナ政府がロシアを「国際司法裁判所」(ICJ)に提訴すれば、受理される可能性があり、ニカラグアが米国を訴えた裁判では、米国に対して有罪判決を下して公平な裁判が行われたが、そもそも、欧米の司法勢力の影響力が強い「国際司法裁判所」(ICJ)の中立性・公平性は疑わしい。 だから、ロシアが有罪とされる可能性もあるのだが、ロシアは有罪判決が出た場合は、米国も「国際司法裁判所」(ICJ)の判決を無視した歴史的事実をアピールして対抗すべきだろう。 しかし、そもそもウクライナの内戦は、欧米に支援されたウクライナのネオナチが、ヤヌコーヴィチ政権の治安部隊と、反政府デモ隊の双方を銃撃してデモ隊だけでも約100名前後の犠牲者が出し、それを治安部隊の銃撃と偽ってウクライナのマスゴミが宣伝したことで、怒った大勢の国民が決起して「革命」が起きた結果、始まった内戦である。 だから、ロシアはオデッサのロシア住民の大虐殺事件と共に、証拠のビデオ映像などを提示して堂々と裁判で戦うべきだろう。欧米の主流マスゴミは、ロシア側の主張を正確には報道しないだろうが、欧米の公平なブロガー、ジャーナリストなどは、ロシア側の主張も拡散するはずで、現在の極端に「ロシア=悪魔」とされている情況が改善する可能性がある。つまり、仮にロシア有罪判決が出ても、今以上に、情況は悪くはならないだろう。 ★:昨年の「仲裁裁判所」の裁定では、「海洋法」上の「島」の定義がより厳しくなり、外部からの補給無しで人々が住める島=水と食料が確保できる島=でないと「海洋法」上の「島」では無いとされた。だから、中国だけでなく、提訴したフィリッピン自身も含めて他の4ヶ国も、本音ではあの裁定に驚いている。 というのは、中国だけでなく、ベトナムや台湾、フィリッピン、マレーシアが実効支配している「島々」も、「海洋法」上では「排他的経済水域」を設定できない「岩」とされたからで、この4ヶ国も当惑し、4ヶ国は「仲裁裁判所」の裁定を全面支持すると、自分たちも「排他的経済水域」の設定を取り消さなければならないジレンマ状態に陥った。つまり、4ヶ国はあの裁定を喜んでばかりもいられない微妙な立場なのである。 ところが、日本は4ヶ国の立場を無視して「仲裁裁判所」の裁定を全面支持し、裁定を無視する中国だけを「無法国家」と批判している。そして、4ヶ国に対しては「排他的経済水域」の設定を取りけして、「海洋法を守れ」、「国際法を守れ」とは要請せず、逆に、あの「仲裁裁判所」の裁定を根拠に、4ヶ国も中国批判を一層強めるように誘導する外交を展開し、日本のマスゴミも、この件は一切報道せず、中国だけを悪魔化するプロパガンダを続けている。 しかし、実は、そもそも日本も、昨年の「仲裁裁判所」の裁定以前から、「海洋法」上の「岩」に過ぎない「沖ノ鳥島」を「海洋法」上の「島」として「排他的経済水域」を設定しているので、そもそも日本自体が「国際法」無視の「無法国家」なのである。(「沖ノ鳥島」を「海洋法」上の「島」と認めるの日本は少数派である。なぜなら、満潮時には約16cmしか海面上に現れない「沖ノ鳥島」が「海洋法」上の「島」であるなら、「海洋法」上の「岩」とは何かが、全く不明となるからだ) しかも、昨年の「仲裁裁判所」の裁定では、「海洋法」上の「島」の定義がより厳しくなり、外部からの補給無しで人々が住める島だけが「海洋法」上の「島」となり、1,200uの滑走路が有る南沙諸島最大の太平島(台湾が実効支配)さえも「岩」となった。 だから、昨年の「仲裁裁判所」の裁定を敷衍すれば、「沖ノ鳥島」だけでなく、海自や気象観測所の職員が常駐している「南鳥島」や尖閣諸島も「海洋法」上の「岩」になってしまうのだが、マスゴミは一切、この件を報道せず、日本政府は昨年の「仲裁裁判所」の裁定を支持した。 ニカラグア事件 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%82%A2%E4%BA%8B%E4%BB%B6
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