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低空飛行が得意なのもP−1の強み。潜水艦を探知するために一から機体を設計した Photo:MSDF
NZへの武器輸出計画、豪潜水艦の失敗がトラウマに!?
http://diamond.jp/articles/-/114242
2017年1月18日 週刊ダイヤモンド編集部
政府は海上自衛隊のP−1哨戒機の輸出に向けて、ニュージーランド(NZ)政府と協議を始めた。
P−1とは、国産初のジェット哨戒機のことで、川崎重工業が製造、海上自衛隊が運用している。海上を飛行し、他国の潜水艦を探知するのが主な役目だ。
輸出が実現すれば、2014年に安倍政権が定めた「防衛装備移転三原則」に基づく初めての本格的な武器輸出となる。
政府が狙うのは、NZが運用する哨戒機6機の更新需要。今夏にも機種選定が行われる見込みだ。
P−1の自衛隊向け国内価格は1機当たり約140億円。複数機のP−1に加えて、C−2輸送機(国内価格は1機当たり約180億円)と、それらのメンテナンスフィーを合わせると、事業規模は数千億円に上る見通しだ。
昨年、オーストラリアへの潜水艦輸出(事業規模4兆円超)を取り逃がした日本政府にとって今回の売り込みは雪辱戦ともいえる。
P−1とC−2を製造する川崎重工業幹部も「国内向けだけでは、せいぜい数十機の受注で終わってしまう。何とか海外に売っていきたい」と期待を寄せる。
ところが、である。政府内には、哨戒機の輸出に否定的な意見が少なくない。ある政府関係者は「NZに売ってもいいと決めたわけではない。この案件が防衛装備移転三原則に合致するかを判断する前段階だ」と話す。
潜水艦を見つける哨戒機の能力は、海戦の勝敗を決め得る“秘中の秘”。そうした軍事技術を他国へ流出させることにはリスクが伴う。とりわけ、潜水艦などを運用する海上自衛隊に慎重論が根強い。
そのため、日本はP−1の(機密部分を除く)基本的な仕様についてしかNZに伝えていない。
■競合ボーイングが優勢か
実は、日本政府の煮え切らない態度には、別の事情も影響している。受注が確実視されていたオーストラリア向け潜水艦輸出に失敗したトラウマがあるのだ。
オーストラリアの案件では、アボット前政権から受注の好感触を得ていただけに、日本は潜水艦の機密情報の開示など思い切った対応をした。だが、結局はフランス企業に敗れてしまった。
今回、NZは哨戒機の選定基準すら明らかにしていない。オーストラリアと共同運用するため、同国が採用する米ボーイング製の哨戒機を選ぶとの観測もある。
そもそも、武器輸出の目的は「地域の平和と安定」にあるというのが日本政府のスタンス。日本の防衛産業の発展は、安全保障上のメリットになることも事実だ。
百戦錬磨の欧米列強がタフな交渉を仕掛ける「武器セールス」の世界で、官主導の日本陣営の販売手法がどこまで通用するのか。オーストラリアに続く「第2戦」のNZ哨戒機輸出も難しい交渉になりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)
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