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もはや際限なし!中国の南シナ海の軍事化
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8664
2017年1月17日 岡崎研究所 WEDGE Infinity
ウォール・ストリート・ジャーナル紙の12月15日付社説が、中国は南シナ海のすべての人工島で大々的な軍事化を行っており、これはA2/AD能力を更に高めるものであり極めて重大である、と警告しています。要旨、次の通り。
2015年9月、習近平はホワイトハウスで南シナ海を軍事化することはないと約束したが、それにしては大規模な軍事化だ。12月15日公表の衛星写真によると中国は南沙諸島の7つのすべての人工島に強力な高射砲とミサイル迎撃システムを配備している。
3年前、これらの所は高潮時には水没する小さな点だったが、中国は3000エーカーに及ぶ土地を造成した(空母フォードはたったの4.5エーカー)。これは小さな隣国との関係で必要とされる軍事力をはるかに超えている。シュガート中佐は「中国は恐らくもっと大きな敵を念頭に置いているのだろう」と述べている。
同中佐は、ウェブサイトWar on the Rocksの記事の中で、三大人工島の軍事施設は本土の典型的な戦闘機基地(17000人の戦闘機部隊)に匹敵する規模であると述べている。スビ礁は今やハワイの真珠湾より大きい港湾を保有し、ミスチーフ礁の外縁は首都ワシントンの外縁に匹敵する。
これらの空間はフィリピン、マレーシア、シンガポール等南シナ海全域を攻撃できる移動式ミサイルを展開するに十分な広さを持つ。中国は既に強力な接近阻止・領域拒否(A2/AD)能力を持っているがその能力が更に増大する。これに計画中とされる浮遊式原発施設を配備すれば永続的な基地になる。
米国のシンクタンクCSISは、これらの人工島に高射砲、ミサイル誘導のための目標攻撃レーダー、巡航ミサイル迎撃システム、近接防衛システムが展開されていることを明らかにした。これは重大である。
12月15日、フィリピンは「深刻な懸念」を表明したが、ドゥテルテ大統領は中国宥和の姿勢を変えていない。インドネシアは今週初めてインドとともに中国に対して国際法順守を求めた。ベトナムは管轄下にある南沙諸島の島の防衛強化に乗り出した。8月には移動式ロケット発射装置を配備した。
トランプは南シナ海のリスクに日々直面することになる。12月14日、ハリス米太平洋軍司令官は、「如何に多くの軍事基地が南シナ海の人工島に作られようとも、国際空間を一方的に閉鎖することは決して許さない」と述べた。2年前にハリス司令官は、中国は海に砂の万里の長城を築いていると述べた。1月になればトランプがハリス司令官の賢明な助言を求めることを望みたい。
出典:‘China Arms Its Great Wall of Sand’(Wall Street Journal, December 15, 2016)
http://www.wsj.com/articles/china-arms-its-great-wall-of-sand-1481848109
中国は国際社会に対する挑戦を続けるつもりのようです。中国の「飽くなき執拗さ」に驚愕させられます。7つの人工島すべてでの予想以上の大規模な軍事化を通じて、中国は2年という短期間に東アジアの現実を一方的に大きく変えようとしています。経済発展は国際協調を高めるどころか、その増大する国力は益々強圧的、一方的になっています。状況は益々難しくなっていると言わざるを得ません。国際社会は一致して、今まで以上に強い決意を以て中国に対応していかねばならないことが益々明白になっています。
12月15日に中国は、さらに大胆な行動に出ました。フィリピンの沖合で米海軍調査船ボウディッチの無人潜水機が中国軍によって奪取され、12月17日、米国防省は米中折衝の結果、無人潜水機返還で合意したと発表しました。
極めて挑発的、危険な行為です。事件はスービックの西方50マイル(スカボロー礁の東)の公海(比のEEZ内。国際法違反とされた中国の九段線の外側)で起きました。中国は米軍の目の前400メートル位のところでこれを奪取、持ち逃げたといいます。中国は新大統領をテストしようとしています。ブッシュ大統領就任の2001年4月には海南島偵察機事件が起きました(米中軍用機が空中衝突、米偵察機が海南島に不時着、中国側に拘束された)。オバマ大統領就任の2009年3月には海南島沖で中国が米音響測定艦インペカブルの航行を妨害しました。トランプの台湾総統との電話会談に対する対抗措置だとの見方もあります。
■無人潜水機奪取はルールに違反する大事件
米国の対応はなぜか抑制的であったように見えます。米国はなぜ非合法な奪取を阻止しなかったのでしょうか。強い対応はできなかったのでしょうか。米関係者は返還合意ができたことを喜んでおり、緊張激化を望まなかった、と伝えられています。仮に軍事機密に絡むものではないとしても、無人潜水機奪取はルールに違反する大事件です。米国の力の信頼性が下がっていると指摘する向きもあります。他方ハリス米太平洋軍司令官は、12月15日の豪州ローウィ研究所での演説で、「能力×決意×信号=抑止力」だと述べ、米の姿勢を強調しました。トランプは「中国には盗んだ無人機を返す必要はないというべきだ。中国にやれ」とツイッターに書きました。この意味は分かりませんが、トランプ外交の予測は困難です。
中国による南シナ海の軍事化と無人潜水機奪取が周辺国に与える影響が懸念されます。東南アジア諸国との連携を一層強めることが必要となっています。同時に、欧州との連携もますます重要です。そのようにして国際コアリッションを作って中国に強く対処していくことが緊急に必要となっています。
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