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「アレッポ制圧 シリア内戦の行方」(キャッチ!ワールドアイ)
2016年12月26日 (月)
出川 展恒 解説委員
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/900/259787.html
【冒頭映像】
シリア内戦、最大の激戦地となってきた北部のアレッポ。取り残されていた市民の避難や反政府勢力の撤退が終わり、
アサド政権は全域の制圧を宣言しました。
(アサド政権軍声明)
「アレッポの治安の回復は、重要な転機となる勝利だ」。
アレッポの制圧を受け、内戦の終結を図ろうと動きだしたのは、アサド政権を支援し、空爆を続けてきたロシアでした。
同じくアサド政権を支援するイランと反政府勢力を支えるトルコの外相と国防相をモスクワに招き、協議を行いました。
(ロシア・ラブロフ外相)
「この3か国による会議は、シリア問題の解決を目指すうえで、最も効果的だ」。
一方、アサド政権の退陣を求め、反政府勢力を支援してきたアメリカ。
その外交政策は、ロシアとの関係改善を目指すトランプ政権に委ねられることになります。
今世紀最大の人道危機と言われるシリア内戦に終わりは来るのか。その行方を探ります。
【スタジオ】
(香月隆之 キャスター)
5年以上続くシリア内戦は、反政府勢力の最大拠点だったアレッポがアサド政権の軍によって制圧されたことで、大きな転機を迎えています。出川展恒解説委員とともにお伝えします。
Q1:
アレッポの制圧は、シリア内戦にとってどのくらい重要な意味を持つのでしょうか。
(出川展恒 解説委員)
A1:
内戦が起きる前、シリアで人口が最も多く、産業の中心でもあったアレッポは、まさに戦略的な要衝です。
このアレッポと首都ダマスカスを誰が押さえるかは、内戦とシリアの今後を大きく左右するのです。
反政府勢力は、アレッポの東部地区を拠点に、政権打倒を目指し、戦ってきましたが、アサド政権側が一気に攻勢をかけ、完全制圧を宣言しました。
反政府勢力側は最も重要な拠点を失い、一時は窮地に立たされたアサド政権が、この内戦を生き延びる可能性が高まったと言えます。
(藤田真奈美 キャスター)
Q2:
政府軍が、今回アレッポを制圧した要因はどこにあるのでしょうか。
(出川)
A2:
ロシアとイランの強力な支援で、アサド政権が形勢を逆転しました。とくにロシアが、先月半ば以降、反政府勢力に対する空爆を強化したことが大きかったと思います。
アメリカ大統領選挙でトランプ氏が当選した直後のことでした。これまでオバマ政権は、アサド政権の退陣を求め、
反政府勢力側を支援してきましたが、トランプ氏は、ロシアとの関係改善を重視する姿勢を打ち出し、そのことが戦況をアサド政権側有利に動かした形です。
(香月)
Q3:
シリア内戦は、アサド政権側の勝利で決着の方向に向かうのでしょうか。
(出川)
A3:
いえ、「決着」という表現は早すぎると思います。シリア全体の状況をみますと、内戦は今後も続き、さらに大勢の犠牲者と避難民が出ることが心配されます。
【シリア勢力図】
こちらは各勢力の支配地域です。
「アサド政権」は青、「反政府勢力」は赤、「IS」は黒、「クルド人勢力」が緑です。
アサド政権は、首都ダマスカスとアレッポを確保し、圧倒的優位に立ったものの、シリアの西部一帯を支配しているに過ぎません。
アレッポを失った反政府勢力も、まだ、シリア北西部などで一定の領土を支配しており、アサド政権打倒をめざし、戦いを続ける構えです。
とりわけ、反政府勢力の一角を占める少数民族のクルド人勢力は、シリア北部で領土を拡大し、クルド人国家独立の機会を窺っています。
さらに、アサド政権側がアレッポに兵力を集中させている間に、過激派組織ISが、世界遺産で有名な中部のパルミラを奪い返しました。
このように全体の戦況は、ますます複雑になっています。私は、シリアの隣国レバノンで専門家と意見交換し、シリア内戦の今後の見通しについて聞いてきました。
(ロクマン・スリム博士)
「反政府勢力がアサド政権を倒す“革命”は終わったが、内戦は今後何年も続く」。
(エーベルハルト・キーンレ博士)
「アサド政権が、アレッポで勝利しても、反政府勢力に完全に勝ったとは言えない」。
このように、アサド政権と反政府勢力のどちらかが、全面的な勝利を収めるというシナリオはなさそうで、さまざまな勢力による領土の取り合いと戦闘が相当長期にわたって続くのではないかという見方が支配的でした。
(香月)
Q4:
内戦の終結に向け、ロシアが主導権を取ろうと動き始めていますが、見通しはどうでしょうか。
(出川)
A4:
おっしゃるように、シリアの停戦実現と和平の取り組みは、今後ロシアの主導で、アサド政権に有利な形で進められる可能性が高いと思います。
ロシアのプーチン大統領は、23日、記者会見し、アサド政権によるアレッポの制圧は、「ロシアなしではありえなかった」としたうえで、「次の課題は、シリア全土で停戦合意が結ばれることで、 その後、直ちに和平協議を始める必要がある」と述べています。
実際、ロシアは、20日、アサド政権を支援するイラン、反政府勢力側を支援するトルコの外相と国防相をモスクワに招き、シリア情勢を協議しました。
さらにロシアは、来月、友好国のカザフスタンで、シリアの和平協議を開く準備を進めています。
(香月)
Q5:
トルコはこれまで反政府勢力を支援し、アサド政権の退陣を強く要求していましたが、そこに変化が見られると言うことでしょうか。
(出川)
A5:
はい。トルコのエルドアン大統領は、アサド大統領を残したままの和平はありえないとの立場だったのでしたが、
ここに来て、ロシアに歩み寄り、以前のようにアサド退陣を声高に叫ばなくなっています。
その背景ですが、去年11月のトルコ軍によるロシア軍機撃墜事件で悪化した両国の関係は、今年、エルドアン大統領がプーチン大統領に事実上謝罪したことで修復されました。
そして、シリアの内戦、および、イラク北部のモスルの奪還作戦で、クルド人勢力が支配地域を拡大しています。
エルドアン政権としては、何よりも、トルコ国内のクルド人勢力が独立への機運を強めることを恐れており、アサド政権維持を図るロシアとも協調するようになったのです。
(香月)
Q6:
ロシアが主導権を握ろうとする中で、アメリカは、シリアにどう関わっていくのでしょうか。
(出川)
A6:
アメリカは、オバマ政権の任期切れが来月に迫っています。アサド退陣を強く要求してきたオバマ大統領と、ロシアとの関係改善を重視し、アサド退陣にはこだわらないトランプ次期大統領では、対応のしかたが大きく変わることも予想されます。
和平を仲介してきた国連のデミストラ特使も、22日、「現実の政治情勢に合わせて調整していく」と述べて、アサド政権を支援するロシアに主導権が移りつつある流れを半ば容認する姿勢を見せています。
シリアの内戦は、戦況と政治状況の大きな変化を受けて、停戦と和平がはたして可能なのか、来年は極めて重要な年となります。
(香月)
シリア内戦の行方について出川解説委員とともにお伝えしました。
・シリアは3〜5個の小国家に分裂、同様にイラクも3つの小国家に分裂することだろう/佐藤優
http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/681.html
投稿者 仁王像 日時 2016 年 12 月 13 日 20:00:55: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
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