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【社説】ミャンマーのロヒンギャ迫害が生む武装蜂起
イスラム教徒の少数民族「浄化」が激しい反発を招いている
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ミャンマーとバングラデシュの国境を通過するロヒンギャの難民(11月22日)
2016 年 12 月 20 日 16:16 JST
ミャンマーは民主主義と多元主義に向けて劇的な進歩を遂げてきたが、軍はその間もイスラム教徒の少数民族ロヒンギャに対する「民族浄化」作戦を進めてきた。政府は10万人を超える人々を粗末なキャンプに追いやり、救援が受けられないようにした。
外国に逃れたロヒンギャは数万人に上り、途中で命を落とした者も多い。一方、ミャンマー西部のラカイン州には約100万人のロヒンギャが住んでいるが、政府が1980年代に市民権を?奪したことから、仕事を見つけることは難しい。
道義に反するこの政策が激しい反感を呼んでいる。サウジアラビアの支援を受けたロヒンギャの武装勢力は、ミャンマーの治安部隊に戦いを仕掛けている。治安部隊は市民に報復し、より多くのロヒンギャを戦いに向かわせるリスクを犯している。
非政府組織の国際危機グループ(ICG)は先週発表したリポートで、この新たな反政府勢力「ハラカト・アル・ヤーキン(HaY)」(アラビア語で信仰運動の意味)について説明している。HaYは10月にラカイン州で国境警備隊の拠点3カ所を襲撃し、警官9人を殺害。軍が報復措置に出ている。
HaYは、メッカに逃れたロヒンギャの委員会や外国でゲリラとして戦った経験を持つ地元司令官らの指揮下にある。最近の作戦はサウジアラビア、パキスタン、アラブ首長国連邦(UAE)などのイスラム教聖職者からファトワ(宗教令)の承認を受けている。作戦は11月になっても続き、IED(即席爆発装置)や襲撃で治安要員数人が死亡した。
スー・チー氏はどうしたいのか
ICGによれば、ロヒンギャが「急進的な集団だったことはなく」「共同体、高齢者、宗教的指導者の大部分はこれまで、逆効果だとして暴力行為を避けてきた」。しかし状況は急速に変化している。HaYは、約200人が死亡したラカイン州での大規模衝突を受けて2012年に結成され、現在では訓練を受けた戦闘員数百人を抱えるとみられている。
HaYへの軍の対応により、ラカイン州北部でのロヒンギャの生活は一段と悪化した。ICGのリポートによれば、「その場で射殺された容疑者、多数の家屋の焼失、略奪、食料備蓄の差し押さえや破壊、女性や少女のレイプが報告」されている。少なくとも1500棟の建物が最近焼かれたことが衛星写真からわかる。救援活動家やジャーナリストは近づかない。新たに約3万人のロヒンギャが住む家を追われた。
ミャンマー政府は、昨年の総選挙で圧勝した国民民主連盟(NLD)のアウン・サン・スー・チー氏が率いているが、それは旧軍事政権が08年に制定した憲法下での統治だ。反民主的な条項のため、スー・チー氏も選挙で選ばれた他の当局者も軍・国防省・国境省を制御できない。そのため、昨年の選挙はロヒンギャにほとんど好影響を及ぼしていない。投票前にロヒンギャ全てから選挙権を奪うとした政府の決定で、HaYへの参加が増えたとみられる。
スー・チー氏は軍を自制させることができるだろうか。無国籍で絶望的な状況にあるロヒンギャを、いずれミャンマーの国民として取り込めるだろうか。そもそも同氏はそうしたいのか。これまでのところスー・チー氏は、外国の指導者たちと話し、コフィ・アナン前国連事務総長をロヒンギャ問題の諮問委員会の委員長に指名した以外には、ほとんど何もしていない。国の政策が大きく変わらなければ、ラカイン州で始まった反政府運動はミャンマーの国境を越えて広がるジハード(聖戦)に拡大する恐れがある。
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