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来日したゲド・ドハティ氏 「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」12月23日からTOHOシネマズ シャンティほか全国公開。配給ファントム・フィルム
最新鋭は「蚊」型、世界中で熾烈化するドローン戦争〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161207-00000200-sasahi-soci
週刊朝日 2016年12月16日号
ニューヨーク・タイムズによると、ブッシュ政権下、ドローンによる攻撃数は50回、殺害したテロリストは296人、オバマ政権下では506回、3040人と10倍以上になっている。机上で行われる戦争の闇をリアルに描いた映画「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」のプロデューサー、ゲド・ドハティが明かすドローンの最前線とは──。
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俳優コリン・ファースと一緒に2011年に制作会社を作り、政治問題を扱う映画を作ろうと脚本を探していたところ、ドローン戦争を描いた脚本が持ち込まれ、メッセージ性があり、非常におもしろかった。読んだ時点でドローンが戦場で使われている事実はあまり知られていなかったからね。
米軍、英国軍、政府関係者に取材し、映画の製作顧問になってもらって正しい情報を得て脚本を練った。映画ではケニアのナイロビに潜み、自爆テロを計画する指名手配中のテロリストらを追う英米軍事作戦が描かれている。主人公の女性大佐はロンドン郊外から作戦を指揮し、その指令を受け、ドローンを実際に飛ばすのは米軍のネバダ州のクリーチ空軍基地。操縦士は基地内のコックピットから遠隔操作する。現場の映像がハワイ基地の画像解析班によって瞬時に送信される中、テロリストへドローンによるミサイル攻撃が敢行されるが、殺傷圏内に幼い少女がいたことから、作戦が迷走。軍人、政治家たちの間で論争が起こる。
イラク、アフガニスタンなど戦闘地域では指揮命令系統のルールは確立されているが、ケニアのような欧米の友好国がテロ現場になり、民間人が巻き添えになる危険があると英国政府、ホワイトハウスなど政治家もその責任を負わざるを得ない。もし、あなたの国で同じことが起こったらどうする?と考えてもらう作品だ。
劇中では工作員がテロリストの動向を探るために飛ばす、小型ドローン(鳥型、昆虫型などでスマホで操作できる)も登場するが、実際に軍で使われているものをモチーフにした。ホワイトハウスでは毎週火曜日、世界中のテロリストが載った暗殺リストの中から今週は誰を殺すかを大統領が決める、「恐怖の火曜日」といわれる会議がある。裁判官、検察官、弁護士、死刑執行人とすべての役割を大統領が担う。私の個人的な意見だが、トランプが大統領になり、これからその役目をどう果たすのか。考えただけでも恐ろしい。彼の判断次第で戦争が起こる。映画の取材過程で、テロリストとみなされ、リストに名前が載って実際、2回も攻撃された人をインタビューした。その人はたまたま現場にいただけでテロとは無関係と言っていたが、いまだに狙われている。
近年はドローンの誤爆などで民間人の犠牲者が増加。その影響でドローン操縦士がPTSDになるなど問題化している。日本も「駆けつけ警護」などで自衛隊が海外で本格的に活動するのであれば、ドローンをどう扱うか、真剣に議論すべきときでしょう。(構成 本誌・森下香枝)
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