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シリアなどで米好戦派の目論見が崩れる中、キエフのクーデター政権がクリミアに軍事的な挑発
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201612030000/
2016.12.03 04:40:56 櫻井ジャーナル
12月に入った直後、キエフ政権はクリミアの近くでミサイルの発射テストを実施した。11月20日にはウクライナからクリミアへ侵入した工作員がロシア軍の兵士2名を拉致している。アメリカの大統領選挙でロシアと協調すべきだと主張するドナルド・トランプが勝利したが、ヒラリー・クリントンを担いでいた、つまり軍事的な威嚇でロシアや中国を屈服させようと考える勢力の思惑が働いているのだろう。トランプがホワイトハウスへ入る前にキエフ政権やNATOを暴走させようとするかもしれない。
クリントン周辺を慌てさせている一因はシリア情勢にある。要衝のアレッポを政府軍が奪還するのは時間の問題。侵略勢力、つまりアメリカ、イギリス、フランス、サウジアラビア、カタール、トルコ、イスラエルなどが手先として使ってきたアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の部隊は壊滅寸前だと見られている。アレッポに関する西側の政府や有力メディアを使った偽情報の流布は効果がなかったようだ。
本ブログでも取り上げたように、キエフのクリミアに対する破壊工作は今年の夏には始まっている。ロシアの情報機関FSB(連邦安全保障庁)によると、8月6日から7日にかけてクリミアへ侵入したウクライナの特殊部隊が発見された。侵攻してきたのは約20名で、そのうち15名ほどはウクライナへ撤退したものの、残りは拘束、あるいは死亡したようだ。
8日にもウクライナの特殊部隊は2度にわたってクリミアへの侵攻を試み、激しい戦闘になったという。拘束されたひとりのユグニ・パノフは侵攻部隊を率いていたと見られ、その証言はロシアのテレビ局が流したようだ。軍事侵攻の目的は重要な基盤施設やライフラインを破壊だったと見られている。
ビクトリア・ヌランド国務次官補と同じようにウクライナのクーデターを指揮していたジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使はロシア側の主張を否定したが、NATOと関係の深いシンクタンクの大西洋会議はパノフの逮捕によって侵入事件をFSBのでっち上げだと言えないことが明瞭になったとしている。
しかも、ジョー・バイデン米副大統領はロシア側だけでなく、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領に対して緊張を高めないようにと強く求めたとする声明が発表された。ロシア側の主張が事実だとアメリカ政府も認めたと言えるだろう。勿論、ポロシェンコが独自の判断で実行できるとは思えず、ヌランドやパイアットを含むグループが黒幕だったのだろう。
ビクトル・ヤヌコビッチが大統領だった2014年2月4日、ヌランドとパイアットが次期政権の閣僚人事について話し合っている音声がインターネット上に流れた。その中でヌランドはアルセニー・ヤツェニュクを高く評価、実際、クーデター後に首相となった。
この会話がアップロードされた時点でキエフは混乱していたのだが、それをEUは話し合いで解決しようとしていた。そうした姿勢に怒ったヌランドは「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」という言葉を口にしている。「品が悪い」という次元の話ではない。
ヤヌコビッチを追放したクーデターの幕開けは2013年11月21日。約2000名の反ヤヌコビッチ派がユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)に集まったのだが、その原因はウクライナ政府の発表にある。EUとの「連合協定」に向けての準備を停止、ロシアとの協議を再開するという内容だった。すでに国が経済的に破綻状態のため、ウクライナ政府は良い条件を出したロシアを選んだのだが、EUへの憧れが強いウクライナの西部に住む人びとは政府の発表に反発する。アメリカやEUの巨大資本は住民以上に怒った。
2010年に行われた大統領選挙でヤヌコビッチは選ばれた。投票結果はヤヌコビッチが第1位で得票率は35.32%、第2位がジョージ・ソロスの影響下にあるユリア・ティモシェンコで25.05%、オレンジ革命で国を破壊したビクトル・ユシチェンコは5.45%で第5位にすぎなかった。上位ふたりで行われた決選投票でヤヌコビッチが48.95%だったのに対し、ティモシェンコは45.47%だった。ヤヌコビッチは選挙で合法的に選ばれたわけである。
このヤヌコビッチの支持基盤は東部と南部だった。この地域の人びとの意思を無視するため、親EU派は憲法を無視する。東部や南部の人びとが2014年2月のクーデターに反発したのは当然であり、クリミアでは3月16日にロシアの構成主体としてロシアに加盟するかどうかを問う住民投票が実施された。その結果、投票率は80%を超え、そのうち95%以上が加盟に賛成している。アメリカや日本では最近、投票の不正が指摘されているが、クリミアは国外からの監視団もいて、日米に比べれば遥かに公正なものだった。
東部のドンバス(ドネツクやルガンスク/ナバロシエ)もクリミアと同じ方向へ進もうとしたが、ロシア政府からもブレーキがかかり、キエフ政権の軍事攻撃を受けることになる。5月2日にはウクライナ南部、黒海に面した港湾都市のオデッサで住民がネオ・ナチのグループに虐殺された。大量殺戮の舞台になったのは労働組合会館。その中で50名弱が殺されたと伝えられているが、これは地上階で発見された死体の数で、それを上回る数の人びとが地下室で惨殺され、犠牲者の数は120名から130名だと住民は語っている。虐殺で脅し、屈服させようとしたのだろうが、これは成功していない。
クーデター後、クリミアではドンバスやオデッサのような破壊と殺戮は報告されていない。それが気に入らないと文句を言っているのが西側の政府や有力メディアなどだ。
キエフ政権やNATOはそのクリミアを軍事的に威嚇している。ここにきて力が衰えてきたアメリカやEUで好戦派は一気にロシアとの戦争に持ち込もうとする可能性がある。かつて、関東軍が行った役割をウクライナやNATOが果たそうとしている可能性がある。
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