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シリア侵略計画が失敗に終わりそうで、戦争犯罪的な行為はサウジに責任が押しつけられる可能性
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201611300000/
2016.11.30 14:47:15 櫻井ジャーナル
シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すという計画は風前の灯火だと言えるだろう。シリア侵略勢力に属していた国々のうちイスラエルやトルコはすでにロシアへ接近、アメリカではロシアと手を組むべきだと主張するドナルド・トランプが次期大統領に選ばれている。バラク・オバマ米大統領やヒラリー・クリントンの周辺、あるいはサウジアラビアやカタールなどは窮地に陥った。中でもペルシャ湾岸の産油国は難しい局面に立たされたと言えるだろう。トランプの言動を考えると、サウジアラビアは2001年9月11日に実行された攻撃の責任が問われることも考えられる。
シリア侵攻の背後にはアメリカ、イギリス、フランス、サウジアラビア、カタール、トルコ、イスラエルなどの国々が存在、アル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)が手先として戦ってきた。こうした武装勢力の主力はサラフ主義者(ワッハーブ派)やムスリム同胞団だ。
ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、ネオコンのポール・ウォルフォウィッツがイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしたのは1991年のこと。この年の1月16日にアメリカが主導する連合軍はイラクへ軍事侵攻、2月末に停戦するが、国防次官だったウォルフォウィッツはそれが気に入らなかった。
ウォルフォウィッツたちネオコン/シオニストは1980年代からサダム・フセインを排除したがっていたのだが、ジョージ・H・W・ブッシュ政権はフセインを排除せずに戦闘を終結させてしまい、ネオコンを激怒させたのである。そしてウォルフォウィッツの発言につながった。
1991年はソ連が消滅した年でもある。7月にイギリスのロンドンで開かれたG7の首脳会談で西側の首脳はソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領に対して新自由主義経済、いわゆる「ピノチェト・オプション」の実施を要求、それに難色を示したゴルバチョフは排除されることになる。
言うまでもなく、ピノチェトとは1973年9月11日にチリで民主的政権をクーデターで倒したオーグスト・ピノチェトを指している。その軍事クーデターはCIAが後ろ盾になっていたが、その作戦を背後からを操っていたのはヘンリー・キッシンジャーだ。
クーデター後、ピノチェトはシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授の「マネタリズム」に基づく政策を導入、大企業/富裕層を優遇する政策を実施した。その政策を実際に実行したのがシカゴ大学のフリードマン教授やアーノルド・ハーバーガー教授といった経済学者の弟子たち、いわゆる「シカゴ・ボーイズ」である。
具体的な政策としては、賃金は引き下げ、労働者を保護する法律を廃止、労働組合を禁止、つまり労働環境を劣悪化、1979年には健康管理から年金、教育まで、全てを私有化しようと試みている。国有企業の私有化とは国民の資産を略奪することにほかならず、安倍晋三政権が執着しているTPP(環太平洋連携協定)と基本的に同じ。実際、安倍政権はその方向へ向かっている。
西側支配層はゴルバチョフに替わる選択肢を持っていた。ボリス・エリツィンだ。1991年7月に彼はロシアの大統領に就任する。
その一方、ゴルバチョフの政策をソ連解体の策謀と考えるグループは「国家非常事態委員会」を組織、8月に権力の奪還を狙うものの、失敗する。その目論見を利用して主導権をを奪うことに成功したのがエリツィン。1991年12月8日に彼はベラルーシにあるベロベーシの森で秘密会議を開き、国民に諮ることなくソ連からの離脱を決めた。いわゆる「ベロベーシ合意」だ。12月21日にはCIS(独立国家共同体)が発足、ソ連は消滅するのだが、この過程に国民の意思は反映されていない。
会議に出席したのはロシアからエリツィン大統領とゲンナジー・ブルブリス国務大臣、ウクライナからレオニード・クラフチュク大統領とビトルド・フォキン首相、ベラルーシのソビエト最高会議で議長を務めていたスタニスラフ・シュシケビッチとバツァスラフ・ケビッチ首相。会議を主導したのはロシアのブルブリスだと言われている。
ソ連の消滅によってアメリカの支配層はアメリカが唯一の超大国になり、その超大国を支配している自分たちが世界を支配するというストーリーを考える。そこで1992年2月に国防総省のDPGとして世界制覇プロジェクトを作成する。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンで、旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジアなどの潜在的なライバルを潰し、膨大な資源を抱える西南アジアを支配しようと計画している。
こうした計画はビル・クリントン政権で塩漬けになるが、本ブログで何度も書いているように、ヒラリー・クリントンが政権の内部に引き込んだマデリーン・オルブライトやビクトリア・ヌランドが軌道修正、つまり戦争へと導いていく。オルブライトはズビグネフ・ブレジンスキーの教え子であり、ヌランドはネオコンだ。
ビル・クリントン政権が侵略戦争へ進み始めるのはオルブライトが国連大使から国務長官へ異動した1997年1月。これは大きな節目だった。なお、ヌランドは国務副長官の首席補佐官を務めていた。
2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンにある国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されると、ホワイトハウスでネオコンなど好戦派が主導権を握る。攻撃の10日後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺では攻撃予定国リストが作成され、そこにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが載っていたとクラーク元欧州連合軍は語っている。
調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年3月5日付けのニューヨーカー誌に書いたレポートによると、アメリカ/NATO、ペルシャ湾岸産油国(サウジアラビアやカタール)、イスラエルは遅くとも2007年にシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を始めていた。その手先はサラフ主義者(ワッハーブ派)やムスリム同胞団だ。
アル・カイダ系武装集団やダーイッシュが「独裁者に虐げられた人民」でないことはアメリカ支配層に属す人びとも認めている。例えば、2014年9月に空軍のトーマス・マッキナニー中将はアメリカがダーイッシュを作る手助けしたとテレビで発言、マーティン・デンプシー統合参謀本部議長(当時)はアラブの主要同盟国がダーイッシュに資金を提供していると議会で発言、同年10月にはジョー・バイデン米副大統領がハーバーバード大学で中東におけるアメリカの主要な同盟国がダーイッシュの背後にいると語り、2015年にはクラーク元欧州連合軍最高司令官もアメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと述べている。
そして2015年8月、マイケル・フリン元DIA局長はアル・ジャジーラの番組へ出演した際、ダーイッシュが勢力を拡大できたのはバラク・オバマ政権の政策があったからだと指摘している。言うまでもなく、フリンはドナルド・トランプ大統領の安全保障担当補佐官に内定している。オバマ大統領、そしてオバマ政権で国務長官を務めたヒラリー・クリントンにとって嫌な人事だろう。
そうした中、サウジアラビアの責任を問う話が流された。例えば、今年1月には侵略戦争の旗振り役を演じてきたニューヨーク・タイムズ紙もサウジアラビアがシリアの反政府軍の資金源だとする記事を掲載した。9/11にサウジアラビアが関与しているという話も流れている。
アメリカの支配層がイスラエルの責任を問うとは考え難く、サウジアラビアは全ての責任を押しつけられる可能性もある。が、そうなると世界有数の油田国が不安定化してしまう。目先の個人的な利益を優先、アメリカの好戦派に従ってきた日本の支配層は日本を東アジアで孤立させ、破滅の瀬戸際に立たせた。
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