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【オピニオン】
アジアの核危機、トランプ大統領で拡大
北朝鮮の労働新聞に掲載された弾道ミサイル発射画像を流すニュース(6月、ソウル)
By DAVID FEITH
2016 年 11 月 14 日 16:06 JST
――筆者のデービッド・フェイスは香港支局のWSJ論説委員。
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ソウル
北東アジアの核危機は、次期米大統領が直面する最も危険な課題の1つになる運命にあった。それは8日の大統領選で誰が勝っても同じだったが、ドナルド・トランプ氏が予想外の勝利を収めたことから、劇的な形で広がることが考えられる。北朝鮮による核開発が困惑の元だったとすれば、今度は韓国と日本が自国の核計画を追求し、北朝鮮だけでなく中国との戦争のリスクまで高まりかねない状況にある。
トランプ氏はそうした波及的な核拡散を選挙戦で繰り返し支持。「いずれかの時点で言わなければならない。北朝鮮のこのならず者に対して日本が自衛したほうがわれわれには好都合だ。率直に言って、韓国が自衛し始めたほうが好都合だ」と述べている。日本と韓国が防衛費を大幅に増額しなければ米軍を撤退させるとの脅しからすると当然の発言だ。米軍は60年以上にわたり両国の平和維持に貢献してきた。
トランプ氏が大統領就任に際して日韓核武装論を撤回する可能性はある。大統領選のアドバイザーたちは、公式発言でこの話題を無視する傾向にあった。ワシントンには数十年にわたり核拡散反対への合意があることを反映しているようだ。だが他の問題と同じくトランプ大統領のアプローチは、誰を顧問にするか、そしてその助言に耳を傾けるか否かにかかっている。
韓国のシンクタンク「世宗研究所」の上級研究員である張成昌氏は、いずれにせよ韓国の核武装を呼びかけるだろう。先週、米大統領選より前にソウルで行った講演では、韓国には自衛のための核が必要であり、同胞の過半数がこれに賛成していると訴えると同時に、政府の懐疑派も遅かれ早かれこの考えを支持するとの認識を示した。その時期はトランプ政権が支持すれば早まり、そうでなくても10年以内だという。
2カ月前、張氏のほか、安全保障・外交などの専門家が核について韓国政府の選択肢を研究するグループを結成した。張氏によると、同様のグループが1990年代初頭に立ち上げられたが、「大きな社会的圧力」を受け、数年以内に解散したという。今日ではこのタブーは消え去っている。
張氏によると、北朝鮮は通算4回目と5回目に当たる2回の核実験を今年実施しており、「ソウルを全滅にする」恐れのある水爆に近づいた公算が大きい。20発を超える弾道ミサイルの実験もしており、そのうち少なくとも1発は米本土を脅かす可能性があった。潜水艦発射弾道ミサイルと道路移動型弾道ミサイルの発射も完了した。アナリストらは、トランプ氏の任期が切れる前の2020年までに北朝鮮が100発の爆弾を保有しかねないとみている。
張氏は、北朝鮮に「われわれがいくら制裁を科しても」、同国が外圧を受けて核計画を後退させることはなく、中国が同盟国を崩壊から守る政策は「変わらないだろう」とみている。また、北朝鮮が核弾頭搭載ミサイルで米国を攻撃する確かな能力を得ることは避けられず、その時に「米国に唯一残された選択肢は交渉の席に着き」、平和を訴えることだろうという。
そこで米国は、韓国を完全に見捨てることはないにしても、単なる抑制狙いの取引に至る。「北朝鮮が50発の核兵器を保有しており、それ以上は製造せずミサイル実験を凍結すると約束すれば、米国は合意するだろう」。北朝鮮政府と米政府の緊張は和らぐかもしれないが、「韓国は人質に取られたままになりそうだ」と張氏は言う。
そのため核武装の必要がある。張氏によると、韓国の民生用原子力インフラ(原子炉24基が国のエネルギーの30%を供給)は核爆弾5000発分の核分裂性物質生産に使われうる。これは、北朝鮮の能力を大きく上回っている。プルトニウムの再処理を含め、必要な技術を活用すれば、「状況は一変し、韓国が北朝鮮の問題を管理できるようになる」可能性があるという。
それはまた、「国家安全に関する米国の国益と一致」し、「核の問題を朝鮮半島の範囲内に封じ込める」と張氏は言う。こうした主張は、ワシントンで長らく続いている考えに反するものだ。米政府は一般的に、韓国の核武装が米韓同盟を台無しにし、北との戦争を引き起こし、日本そしておそらく台湾の後追い的な核武装を招く可能性を懸念している。中国が軍事力で抗議しそうなシナリオだ。
張氏の考えでは、いくつか妥協すればうまくいく。韓国政府は核武装するが、経済的にも外国的にも北朝鮮政府に関与し、誰も金正恩朝鮮労働党委員長を追放しないと保証する。韓国政府が製造する核爆弾は、北朝鮮に対する優位を得るのに必要な数に限る(「例えば、北が30発ならわれわれは40発」)。そして韓国政府は米国に、自国の武器を「共同管理」するよう要請し、2国間同盟を維持しながら、それらの武器を最終的にコントロールするのは韓国であることを中国とロシアに請け負う。
張氏によれば、日本は核武装を目指すかもしれないが、やはり規模を小さくし、共同管理にすることで、ライバル国をなだめられるかもしれない。「米国は、日本が北朝鮮の脅威に対抗する以上の核兵器を製造しないことを中国に保証すべきであり」、中国が「アジア諸国に対する核の優位を維持する」ことを認めるべきだ。台湾は傍観しなくてはならない。
こうした処方箋は、関連する不確定要因と危険を考えると、整然としすぎているように見える。韓国政府と米政府は何年もの間、成功の見込みがないとみなすかもしれない。韓国の世論調査では、1990年代から半数以上が核武装に賛成だと答えているが、日韓の政策担当者は圧倒的多数が反対だ。これも今は違う可能性がある。
韓国大統領選に出馬する可能性があるうち、セヌリ党の元裕哲・元院内代表や南景弼・京畿道知事など数人は核武装に賛成だ。張氏によると、「専門家もテクノクラート(実務家)も核に反対する傾向にある」が、北朝鮮が9月に行った直近の核実験に対して当局者が内々に示す関心は強まっている。北朝鮮が水爆を完成させれば、「多くの専門家は見解を変えるだろう」という。
そしてドナルド・トランプ氏だ。同氏は、韓国と日本は核武装したほうがいいとの考えを変えなければ、米国の伝統的な核不拡散主義をホワイトハウスの庭で燃やすかもしれない。
トランプ氏が路線を反転させたとしても、米国の同盟国を批判してきた前歴のために韓国などの国が見捨てられることへの不安を強め、コストにかかわらずヘッジをかけて核武装する確率が高まった。トランプ氏は9日夜に韓国大統領と電話で話したと伝えられているが、ソウルの今週のニュースが「ショック」と「パニック」一色だったのも意外ではない。
張氏が先週予想したように、トランプ大統領は「北東アジアの安全保障地図の形を塗り替えるだろう」
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