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【社説】次の米大統領を待つ戦争のうねり
オバマ大統領は米国が5つの紛争を抱えたまま表舞台を去る
モスル近郊の村から立ち上る黒煙。手前はモスル奪還作戦に参加したイラク軍兵士
2016 年 10 月 21 日 13:01 JST 更新
国際関係に関する昔も今も変わらぬ不文律の1つは、弱さが外部からの攻撃を誘引し、それが戦争にもつながり得るということだ。この真実を証明する直近の例は、オバマ米政権下の過去8年間に世界各地で戦争がうねりとなって起こっていることに見て取れる。そして、米国はその帰結から逃れることはできない。
まず、米国とロシアの間でのサイバー戦争をめぐる話から考えてみよう。バイデン米副大統領は先に、NBCの報道番組「ミート・ザ・プレス」で、米大統領選の最中に民主党のデータをハッキングしたロシアに対して米国は報復するつもりだと述べた。こうしたタカ派的な大言壮語はオバマ政権のスタイルではないが、おそらく大統領選を意識し、過去8年に比べてプーチン大統領に対する強腰な姿勢を演出したいのだろう。
ロシアによる米選挙への干渉は深刻な問題であり、単純に「答える」だけでなく、今後の攻撃を十分に阻止できるほど強く対応してしかるべきだ。それには、ハッカー側のハードウェアを破壊して相手の行動力に打撃を与える攻撃的サイバー作戦も選択肢となるだろう。もしくは、ロシア人が海外に持つ銀行口座や資産を暴露する手もあるかもしれない。その対象にはプーチン大統領も入る。
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しかし、これまで米国がロシアからのハッキングを防ぐ手立てを講じた形跡は見当たらない。米国の国家安全保障データを盗んだエドワード・スノーデン氏をロシアがかくまっていることに対する反応もない。ロシア側は、バイデン氏の脅しを一蹴し、やられたらやり返すと誓った。副大統領が威勢の良い言葉を発したのなら、米国は何らかの行動を起こさなくてはならない。そうでなければ、越えてはならない一線がまた1本消えつつあるように見えてしまう。しかし、もしオバマ大統領が本気で行動を起こせば、プーチン大統領はさらにエスカレートする可能性がある。
シリアの停戦協議から米国が手を引いた後、プーチン大統領はプルトニウムの廃棄に関する米ロ協定を一方的に停止した。そして、核搭載可能ミサイルをバルト海のロシアの飛び地カリーニングラードに配備した。「新アメリカ安全保障センター」のシニアフェロー、ロバート・カプラン氏が本紙への寄稿で指摘したように、プーチン氏は次に、ロシア系住民を守るという口実でバルト三国に動き出すかもしれない。そうなった時、オバマ大統領はどうするのか?
シリアに関して言えば、ロシアが支持するアサド大統領の部隊を米軍が空爆すれば、ロシアは対米報復も辞さないとしている。プーチン大統領はシリアに地対空ミサイルも配備しており、その気になれば米軍機を撃ち落とすこともできるだろう。問題は、アレッポや避難民を守るために飛行禁止区域を設定しようとする試みは、ロシアと戦争になるリスクを伴うということだ。
イエメンの問題もある。米海軍はイランが背後にいるシーア派系武装組織「フーシ派」によって紛争に引きずり込まれている。米海軍駆逐艦「メイソン」は今月15日、イエメン沿岸から発射されたミサイルを再び検知して防御措置を取った。米国防総省は、10日間で3度目となる攻撃が何なのかを調査している。
「フーシ派」にミサイル攻撃をやめる動機はほぼ見当たらない。彼らは、オバマ大統領に関与を強める意欲がないと分かっている。一方で、米艦船に一発でも命中して乗組員数十人に犠牲が出れば、「フーシ派」と敵対するサウジアラビアへの支援を米国がやめるかもしれないと見込んでいる。
次は、イラクでのモスル奪還をめぐる「イスラム国」との戦いだ。米国はモスル奪還作戦に特殊部隊を含む約5000人を投入し、イラク政府軍やクルド人部隊「ペシュメルガ」を支援している。オバマ大統領は、2011年にイラクから米軍を完全撤退させた時、イラク戦争の終結を宣言した。しかし、米軍撤退はイラク国内に政治的空白を生み、そこを「イスラム国」につけ込まれた。
ところで、米軍部隊が米・イラク地位協定のないままイラクに戻ったことも指摘しておきたい。こうした協定の不在については、オバマ大統領は2014年に「イスラム国」がモスルに進撃した際、2011年の米軍の一方的撤退を正当化するための言い訳として使っていた。これも撤退が侵攻を招く例だ。
イラクは兵士のみならず、モスルや周辺に残る約100万人の市民に大きな犠牲を払ってでも、モスルを取り戻すだろう。しかし、シーア派主導のイラク政府が現地のスンニ派による支配拡大を認めなければ、奪還後に秩序を保てるかどうかは分からない。モスルでは、イランが支援するシーア派武装勢力も戦っている。イランはテヘランからシリア、地中海に至る「シーア派の力の弧」を描こうとしているのだ。
モスルから「イスラム国」を一掃するのと同じぐらい重要なのは、新たな対立の火種となりそうな都市を取り戻す戦いだ。次の米大統領は、オバマ大統領が犯した過ちを避け、「イスラム国」の復活を阻止すべくイラク国内に恒久的な米軍基地を置く交渉をするのが賢明だ。
そして、アフガニスタンでの戦争も忘れてはならない。これもオバマ大統領は任期中に終結させると約束していたが、さらに何年も米軍の支援が必要な状況になっている。ワシントン・ポストは先に、アフガン南部ヘルマンド州では、イスラム原理主義組織「タリバン」の攻勢を防ぐため、米国の空軍力と軍事顧問団が求められていると報じた。米国家安全保障会議(NSC)の元イラク部長で、現在はシンクタンクのニュー・アメリカ・ファウンデーションでシニアフェローを務めているダグラス・オリバント氏は、米国の戦略は「ゆっくりと負けるのにやっと」の程度だと述べた。
これらをすべて念頭に置けば、次期米大統領はいくつかの難しい選択肢を迫られるはずだ。特に、プーチン大統領の攻撃姿勢にどう対応するか。プーチン氏が得たものを認める交渉は、短期的にはそれなりの平和が得られるかもしれないが、プーチン氏をつけあがらせるという代償も伴う。しかし、プーチン氏に真っ向からぶつかることは、さらなる緊張とおそらくは戦争を意味することになろう。こうして、オバマ大統領が生み出した戦争のうねりは高まるのだ。
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チャットアプリ駆使したISの新型テロ、欧州の脅威に
WSJは過激派組織「イスラム国」がシリアやイラクから送ったとみられる音声メッセージを入手した(英語音声、英語字幕あり)
By STACY MEICHTRY AND SAM SCHECHNER
2016 年 10 月 21 日 12:54 JST
【パリ】フランスのパリで過去数カ月に起きた一連のテロやテロ未遂事件(6月の警官刺殺、7月の神父殺害、9月のノートルダム大聖堂近くでの自動車爆破未遂)はいずれも、当初は過激派組織「イスラム国(IS)」とは関係ない単独の犯行とみられていた。しかし警察の調べで、実際には実行犯らがISメンバーと接触していたことが分かった。
仏当局によれば、実行犯と接触していたのはフランス国籍のラシド・カシム容疑者(29)。暗号化されたチャットアプリなどを使って、イラクやシリアから実行犯とやりとりしていた。実行犯らはISとは接点がなかったとみられている主に10代の若者で、ラシム容疑者からテロの方法について指示を受けていたもようだ。
欧州各国の捜査当局は、遠隔操作で攻撃を指示するカシム容疑者のようなテロリストが出てきたことに警戒を強めている。ISの支配地で訓練を受けて欧州に戻ったテロリストと、一匹狼型のテロリストとの境界線があいまいになるからだ。
ラシド・カシム容疑者とみられる人物 ENLARGE
ラシド・カシム容疑者とみられる人物 PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
新しいタイプのテロリスト
ドイツの情報機関、連邦憲法擁護庁(BfV)のハンス・ゲオルク・マーセン長官は、「単なる一匹狼型に見えるが、実質的にはインスタントメッセージで海外から手引きされている新しいタイプのテロリストが登場したことに懸念を抱いている」と語る。
カシム容疑者の指示を受けたとみられるテロ計画が明らかになったのを受けて、欧州の捜査当局はネット上のISの痕跡確認を急ぐとともに、実行犯の携帯電話を押収し、暗号化されたメッセージの解析に重点的に取り組み始めている。
ウォール・ストリート・ジャーナルが提供を受けたメッセージのコピーによると、ノートルダム大聖堂近くでの自動車爆破未遂では、メッセージアプリ「テレグラム」のカシム容疑者の非公開チャンネルをフォローする女らが8月中旬、爆弾に使う調理用ガスボンベの購入方法について指示を受けていたことが判明した。仏当局は、このメッセージの存在を確認した。
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警察によると、カシム容疑者とテレグラムでやり取りした女たちはその3週間後、ガスボンベを搭載した乗用車をノートルダム大聖堂近くに駐車させた。しかしガスボンベは爆発せず、警察が車を発見した。
「フランスにとどまり国内でテロを」
米国主導の有志連合がトルコ国境沿いのシリアのIS支配地の奪還を進めているだけに、ISにとっては、欧州の支持者に対して国内にとどまるよう説得し、テロを実行させる力があることは極めて重要だ。カシム容疑者は8月24日に投稿した音声メッセージで「トルコ警察は壁を築きつつある」とし、「あなたがフランスにいるならば、たとえドアが開かれていても、フランスにとどまり国内でテロを実行するよう望む」と述べた。
専門家によれば、ISにとってはテレグラムなどのアプリは、若者を勧誘プロセスに引き込む重要なフィルターの役割を果たしている。まず宣伝として、ユーチューブやフェイスブックなどに、重傷を負ったシリア人の子供たちの動画を投稿し、できるだけ多くのテロリスト予備軍に働き掛ける。共感した若者は、次にツイッターのアカウントやブログ、動画サイトを検索する。投稿されたメッセージは時に、非公開のチャットルームやチャンネルへのリンクが張られている。テレグラムのチャンネルには、非公開ないし招待者だけに限定されたものがあり、カシム容疑者はこれを利用し、9月末時点で約300人のフォロワーを持っていた。
この段階になると、暗号化されたチャットに移行する。ISの共鳴者はイスラム主義の思想やテロの実行方法などについて話し合う。フォロワーが行動を起こす気になれば、「秘密のチャット」と呼ばれる暗号化機能を使って、勧誘者と1対1のやり取りをするよう誘導される。カシム容疑者は、ある音声メッセージで「秘密のチャットで私にメッセージを送ってくれ。あとで詳しく話し合おう」と述べた。
カシム容疑者が初めて公に姿を現したのは7月下旬だった。ISの動画で同月14日にニースで発生したトラック突入テロ事件を称賛するとともに、フランス政府を非難し、人質を斬首した。仏当局者によれば、同容疑者は十代の若者に狙いを定め、思い立ったら直ちにテロを実行するよう勧めている。その方が、警察に察知され未遂に終わるリスクは小さいと説いている。
仏当局者によると、カシム容疑者は今年6月にパリで警官を殺害したラロッシ・アッバラ容疑者(25)ともテレグラムを通じて接触していた。カシム容疑者はまた、7月16日に仏西部サンテティエンヌデュルブレの教会に押し入り神父を刺殺した2人の男とも、暗号化されたテレグラムのメッセージを交換していた。
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米政府、若者の過激化を阻む新たな広告戦略
ターゲティング広告を活用し、フェイスブックに動画メッセージ投稿
動画投稿サイトのユーチューブに投稿された反テロリズム動画のスクリーンショット。この動画はグーグル系列のシンクタンク「ジグソー」が管理している
2016 年 10 月 21 日 14:51 JST
【ワシントン】米国のオバマ政権は長い間、過激派組織「イスラム国(IS)」によるソーシャルメディア(SNS)を通じた戦闘員の呼び込み対策に苦戦してきた。現在、米政府は外国に住む潜在的なテロリストに向けた反過激主義のメッセージをオンライン上で展開するという新たな手法を試している。
刷新されたメディア戦略ではターゲティング広告を活用し、若い男女の目に触れさせるためフェイスブックに動画メッセージを投稿する。これらの若者には過激な活動に参加するためシリアやイラクに渡ることを検討させかねない助言が、デジタル媒体を通じて与えられてきた。
このキャンペーンは米国務省内に設置された省庁横断的なイニシアチブ、グローバル・エンゲージメント・センター(GEC)によって運営されており、米政府関係者からは戦闘員になりかねない若者にリーチ(接触)したり思いとどまらせたりする最も有望な新戦略の一つだと見られている。ただ、メッセージは政府にとって常に骨の折れる手段であり、本当の結果を知ることができないやり方だ。
グローバル・エンゲージメント・センターを率いるマイケル・ランプキン氏 ENLARGE
グローバル・エンゲージメント・センターを率いるマイケル・ランプキン氏 PHOTO: JACQUELYN MARTIN/ASSOCIATED PRESS
イニシアチブの出だしは勇気付けられる結果となった。GECはフェイスブック上での試験的な4週間の広告キャンペーンに1万5000ドル(約160万円)を投じた。ターゲットはモロッコ、チュニジア、サウジアラビアに住む13歳から34歳の未婚の男女で、フェイスブック上での活動からイラクやシリア、IS関連の話題に関心を示したことのある人たちだ。10月1日まで行われた試験的なキャンペーンでは690万人にリーチし、外部サイトへの78万1000の訪問を引き出した。
このキャンペーンでは多様なコンテンツや他サイトへのリダイレクトなどが試みられ、政府関係者にどのようなタイプの宣伝が最高の結果を出せるかを判断できるようにしている。
実験で最も成功した手段の一つ、ネイティブ動画広告は、サイトの見栄えや感覚に溶け込む形の広告だ。フェイスブックに1週間掲載され、リーチした240万人の総再生時間は105万0913分(およそ2年分に相当)に達した。
今回の試験キャンペーンは、ISのリクルート活動を分断させる試みの一環として米政府がターゲティング広告に打って出た最初のケースとなった。試験期間が終了した現在、政府はエジプト、インドネシア、フランスなど12カ国でのキャンペーンにさらに5万ドルをつぎ込んでいる。
1週間にわたる米国のキャンペーンの目玉となったこの宣伝の長さは2分間。ここではISのリクルーターと連絡を取っている1人の男がアニメで描かれている。リクルーターはシリアに行って戦うよう男に勧めるが、男はISに関する質問をいくつか投げる。ISがイスラム教徒を殺害し、女性を奴隷にしているというのは本当か――といった具合だ。顔のないリクルーターはそれぞれの質問に抗弁し、男に「われわれを信じろ」とせかす。
最終的に、男はISに参加しても自分の期待にそぐわないだろうと結論付け、ISに対抗する決心を固める。
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