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【社説】シリア情勢を後悔する米国務長官
シリア崩壊をただ傍観するオバマ政権
オバマ政権の良識の代弁者がケリー国務長官であったと認めることは難しい
2016 年 10 月 7 日 08:24 JST
ロシア軍とアサド政権軍による空爆が数日にわたって続いたアレッポの街は、そのほとんどが廃墟と化してしまった。オバマ政権のシリア政策も、崩壊したその街並みに残骸となって埋もれている。そんな中で、ジョン・ケリー米国務長官がシリアの現状に対して後悔の念を示した。アレッポに残された市民27万5000人に対する慰めに少しでもなればいいのだが。
先月行われた国連総会に合わせ、ケリー長官はシリア人の人道活動家数名と面会した。その際に彼は「ロシア政府は国際法を順守しないが、われわれは違う」と主張した。流出した会話の録音によると、ケリー氏は「多くの米国人が他国の紛争に参入して米国の若者たちを死なせるべきではないと考えている」とも話している。
しかし会話の中で最も注目すべき点は、シリア紛争を終わらせる外交努力の裏に、米軍が出動すると信じるに足る脅しがなかったとケリー氏が悔やんでいることだ。録音の中で同氏は「政権内の3人か4人が軍事展開を主張したが、私はその議論で負けた」と話している。
シリア市民に対する化学兵器の使用といった行為を目の当たりにしても、米国はアサド政権の空軍を制圧したり、飛行禁止ゾーンや移動禁止ゾーンを制定したりしないという意思表示をした。オバマ大統領がそうしたために、紛争解決に向けたかすかな希望さえも消えてしまった。そういう意味では長官は正しい。
しかし、オバマ政権の良識の代弁者がケリー長官であったと認めることは難しい。つい先週まで、ケリー氏自身もロシアやシリアとの対話を通して問題を解決しようと声を高らかに主張していたからだ。
アサド大統領最大の友人だったケリー長官
ロシアは2013年に米国家安全保障局(NSA)の元契約職員エドワード・スノーデン氏の亡命を受け入れ、翌年にウクライナに侵攻した。それを機に米国はロシアと非公式に距離を置いたが、2015年5月に交流を再開させたのはケリー氏だった。先月、ケリー氏がロシアと攻撃情報を共有し、シリアでの停戦合意交渉を進めようとした際には、アッシュ・カーター国防長官がそれに反対した。その際、ケリー氏は米国防総省にプレッシャーをかけている。しかしケリー氏が今年結んだ別の停戦合意と同様に、ロシアは今回もわずか数日で合意を破棄している。
2011年にシリア危機が始まるまで、ワシントンにおけるアサド大統領の最大の友人だったのは当時上院議員だったケリー氏だ。それも忘れてはならない。ケリー氏は独裁者のアサド大統領を信頼に足る人物だと評価し、自身に対しても「とても寛大に接してくれる」とコメントしていた。ケリー氏は先月に録音された会話の中でも、国連の「厳しい基準の元で」シリアで国民選挙が行われ、そこにアサド氏も出馬すべきだと話していた。オバマ大統領ですらアサド大統領の退陣を強く求めているにもかかわらず、だ。
反政府勢力への援助にも積極性は見られず
ケリー氏は反政府勢力を武装させることについても、新たな火種になる可能性があるとしてあまり積極的ではないようだ。「問題は、つまり、いわゆる監視役を送り込んだら、全員がより過激になるだろう?違うだろうか?」と彼は流出された会話の中で発言している。ケリー氏は「ロシアがもっと多くの兵士を投入し、イランも多くの兵士を投入し、(武装組織)ヒズボラも存在感を高め、(アルカイダ系過激派組織)ヌスラ戦線もより活発になる。サウジアラビアやトルコも金で代理戦争を行うために資金を投入し、そしてすべてが破壊される」と主張。なおアサド大統領と同盟を組むヒズボラについては「米国に陰謀を企てているわけではない」とし、同組織を敵対視していない考えも明らかにした。
つまり、ケリー氏は紛争解決のために軍事力を導入する選択肢がなかったことを後悔しつつも、アレッポを包囲する組織などを攻撃する意図は最初からなかったということだ。それと同時に、ロシアやその友人であるシリアは国際法を順守していないと指摘しながら、彼らが監視下で行われる選挙の結果に従うことを期待している。
「われわれは君たちのために戦えないが、君たちはわれわれのために戦わなければならない」。国連総会で長官と面会したあと、会話に加わっていたシリア人がニューヨーク・タイムズに対してケリー氏の考え方をこうまとめた。そのシリア人は「こんな考え方をするとは信じられないし、認められない」と続けた。認められないだけではなく、恥ずべき発想だ。
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By TAMER EL-GHOBASHY AND MARIA ABI-HABIB
2016 年 10 月 7 日 13:05 JST
アサド政権が反体制派を包囲するシリア北部の都市アレッポで、イラク民兵組織が大勢の援軍を送り込み、政府軍に加勢している。その結果、国境を挟んで敵味方の立場が逆転する状況を生み、米国主導の過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いをめぐる各勢力の関係性が一段と複雑化している。
イスラム教シーア派の民兵組織は、自国では米国が支援するイラク政府軍とともにISとの戦いの前線に立ってきたが、一方のシリアではアサド政権の側につき、米国が武器供与や軍事訓練などで支援するスンニ派の反体制派グループと戦っている。...
http://jp.wsj.com/articles/SB12557326889379443597104582358873389246082?mod=wsj_nview_latest
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