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北朝鮮が崩壊すると難民が日本に押し寄せる
「巨大なテロリスト」への臨戦態勢が必要だ
2016.9.30(金) 池田 信夫
北朝鮮が初の公開航空ショー、米製のヘリコプターも登場
核実験の数週間後、北朝鮮東部・元山で同国史上初めての航空ショー「元山国際友好航空祝典」が開催された(資料写真、2016年9月24日撮影)。(c)AFP/Ed Jones〔AFPBB News〕
北朝鮮は9月9日、核弾頭の実験に成功したと発表した。今年に入って核実験は2度目で、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射実験を行なうなど、軍事的挑発のペースが上がっている。他方で最高幹部が「処刑」されたという情報が流れるなど、金正恩(キムジョンウン)労働党委員長の精神状態は不安定になっているようだ。
かつての冷戦が核戦争にならなかったのは、米ソの首脳が合理的な官僚機構に支えられていたので「相互確証破壊」の抑止システムが機能したためだが、金正恩は理性を失っており、追い詰められると何をするか分からない。今や北朝鮮は「巨大なテロリスト」であり、いつ暴発してもおかしくない。
切迫する「第2次朝鮮戦争」のリスク
韓国では、先制攻撃を求める声が高まっている。韓国の国防相は「北朝鮮の核兵器の脅威に現実的に直面していると判断した場合、金正恩の除去を図る特殊部隊の出動を準備している」と国会で答弁し、「韓国は敵の指導部の根絶や主要地域での施設を狙って精密誘導ミサイル能力を用いる計画を保持している」と述べた。
日本人は「まさか」と思うだろうが、戦争において時間は大事な要因である。太平洋戦争で日本が無謀な先制攻撃をしたのも、1941年中に米軍を叩かないと、長期戦になったら勝機はないと考えたからだ。
同様に北朝鮮が本当に核ミサイルを発射できるようになると、ソウルを「火の海」にするのは容易だ。38度線の休戦ラインからソウルまでは、40キロ足らず。東京と横浜ぐらいしか離れていないので、通常兵器でも数分で届く。今回の核実験は10キロトン(広島に落とされた原爆の半分)と推定されているので、それだけでソウルは壊滅する。
北朝鮮が核弾頭を実戦配備する前に、韓国が先制攻撃や暗殺を試みることは合理的だが、北の反撃も当然予想される。韓国が金正恩を一撃で倒すことに失敗したら、確実に報復してくるだろう。もちろん北朝鮮が先制攻撃してくる可能性もある。
いずれにせよ潮匡人氏(軍事評論家)も指摘するように、第二次朝鮮戦争のリスクが高まってきた。これは日本とも無縁ではない。SLBMは秋田沖250キロに着弾しており、これまでに比べて大きく飛翔距離が伸びた。
自衛隊はまだ北朝鮮の弾道ミサイルが「実戦レベルには達していない」とみているが、政府は自衛隊に北朝鮮ミサイルの破壊措置命令を出した。これは迎撃ではなく、憲法上の制約で「常に迎撃命令が発令された状態」に置くことだが、こんな分かりにくい態勢で国民の安全は守れるのだろうか。
最大の問題は「金正恩後」の政権
しかし今の段階では、まだ韓国もアメリカも先制攻撃はしないだろう。北朝鮮を殲滅することはイラク戦争より容易だが、そのときと同じ失敗を繰り返すおそれが強いからだ。このときはイラクが「大量破壊兵器」をもっていると示唆しただけで攻撃し、結果的には嘘だと判明した。
今回は北朝鮮が何度も実験しているので、彼らが大量破壊兵器を持っていることは明白であり、政権を倒すことも難しくない。イラク戦争のとき米英軍は約40日でイラク全土を制圧し、死者はわずか500人だった(イラク軍は2万人以上)。
問題は、その後の占領統治だ。アメリカ政府は、かつてマッカーサーが日本を占領したときのように、独裁者から解放されたイラク国民は米国旗を振って占領軍を迎えてくれると考えたが、実際にはシーア派イスラム教徒が各地で反乱を起こし、内戦が始まった。
それ以来、イラクの内戦状態は終わらず、軍民あわせた死者は10万人を超え、「イスラム国」などの武装ゲリラによって戦争は中東全域に拡大した。北朝鮮についても金正恩の後の政権を用意しないと、同じような大混乱が起こるおそれが強い。
北朝鮮は実質的な軍事政権なので、金正恩が暗殺されたら後任は軍の指導者になるだろうが、それが金よりましな指導者になるかどうかは分からない。最悪の場合には、軍内部の主導権争いで内戦状態になるおそれもある。
「ボートピープル」が日本海で難破する
逆にいうと、国家として破綻した北朝鮮の秩序をそれなりに保っているのは金正恩の恐怖政治なので、彼がいなくなると無政府状態になり、大量の脱北者が出るだろう。韓国は38度線で警備しているので、中国やロシアに逃げる難民が多いだろうが、それも国境警備を強めると、シリア難民のように船に乗って逃げるしかない。
グーグルマップから作成
だが38度線の北朝鮮側から日本の山陰地方までは、上の地図のように最短でも400キロ以上ある。大量の難民が船で逃げ出すと、シリア難民のように途中で船が沈没し、日本海で多くの死者が出るおそれが強い。公海上で追い返すのが最善だが、世界中のメディアが「ボートピープル」の悲劇を報じると、日本政府は救済せざるをえないだろう。
そこから先はヨーロッパと同じだ。日本に漂着した(あるいは保護された)北朝鮮の難民は、日本政府が一定の施設に収容して入国管理しなければならない。朝日新聞などが「無限に難民を受け入れろ」と主張するだろうが、日本が温かく迎え入れてくれると分かると、難民はみんな日本を目指す。
かつて「シリア難民の受け入れに上限はない」と表明して「ドイツの慈母」と世界から賞賛されたメルケル首相は、難民の暴行事件のおかげで選挙で連戦連敗し、「時計を(難民受け入れ前に)戻したい」と失敗を認めた。時計を戻すことはできないが、入国管理を厳格化するだろう。
フランスでもテロが頻発し、国籍の管理を厳格化している。イギリスは難民の受け入れを拒んで、EU(ヨーロッパ連合)からの離脱を決めた。難民問題は、今や世界共通の問題だ。日本だけがそれと無縁だという保証はない。
こういう世界情勢を知らない日本のメディアは、「二重国籍なんかどうでもいい」とか「難民をもっと受け入れろ」などと周回遅れの主張をしている。2015年に日本の受け入れた難民はわずか27人だが、技能実習生と称する擬装移民は18万人にのぼる。
日本に無限の資源と博愛主義があれば、ドイツのように数十万人の難民を受け入れることもできるが、日本人はよくも悪くも異民族を受け入れた経験がほとんどない。財界や自民党は低賃金労働者を求めて「20万人の移民受け入れ」を主張しているが、そのメリットに比べると、治安対策や社会保障のコストのほうがはるかに大きい。
日本人は歴史的に「国家」をほとんど意識しないで生きてきた幸福な国民だが、その幸福はそう長くは続かない。北朝鮮の崩壊は時間の問題であり、その準備を今からしても早くない。民進党の蓮舫代表の「二重国籍」問題が、日本人が国家意識に目覚めるきっかけになれば不幸中の幸いである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48013
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