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空の軍拡競争勃発か、中ロが膨大な予算投入
次世代戦闘機や新型防空システムを開発、欧米の優位を脅かす
7月の英ファンボロー国際航空ショーで披露された最新鋭ステルス戦闘機「F35ライトニングII」 PHOTO: ASSOCIATED PRESS
By ROBERT WALL
2016 年 9 月 26 日 13:34 JST
米国や欧州の同盟国が展開する戦闘機は、過去20年にわたり世界の制空権を握り続けてきた。しかし今はロシアと中国が兵器開発に膨大な予算を投入しているため、欧米の優位性が脅かされ、新たな軍拡競争が始まりかねない。
ロシアが東ヨーロッパや中東などで存在感を高め、中国も南シナ海に進出を続ける中、両国が開発する新たな戦闘機や対空兵器が数年後にも登場すると考えられている。この動きに対抗するかたちで、西側諸国も自国の次世代戦闘機開発を急がざるを得ない状況だ。
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「米空軍にとって喫緊の問題は、米軍に匹敵する最新の軍事技術を競争相手が開発していることだ」。6月、就任を目前に控えたデビッド・ゴールドファイン米空軍参謀総長は米国議員らにこう述べた。その2カ月後、米空軍は最新鋭の統合打撃戦闘機F35を認証した。1990年代に展開されたボスニア紛争での作戦以降、敵地の正確なピンポイント攻撃が西側諸国の軍事作戦の柱となっているが、F35にはそのための最新ステルス機能が搭載されている。
戦闘機のフェラーリと称される米軍のF22も2005年に配備されたばかりでまだ比較的新しい。音速の倍のスピードで飛行しながら敵機を攻撃する。最近は爆撃機としても利用されるほか、敵地上空で情報収集活動を行うこともある。
だが、米軍の戦闘機の75%以上は1970年代から継続して使われている種類のものだ。F15戦闘機は1975年、F16戦闘機は1979年から展開。海軍のF/A18戦闘機も1978年から配備されている。これらの機体はフランスのラファールや欧州4カ国共同開発のユーロファイターと並び、アジアや欧州の同盟国の軍では戦闘機として今も重要な役目を果たし続けている。
ロシアと中国の台頭
ロシアは2018年にも同国初となるステルス戦闘機のT50を配備する予定だ。双発機のT50は操作性が高く、遠方の敵機を早期発見できる最新機能もある。同国は最近、最新型の高性能戦闘機「スホーイ35(Su−35)」やSu34爆撃機をシリアに展開する動きも見せている。ロシア国防省からはコメントを得られなかった。
中国は長年にわたり戦闘機をロシアに頼り、ライセンス契約をして国内で製造するなどしていた。しかしそれも現状では変わりつつある。米軍のF22に似た中国の新型戦闘機J20(殲20)は、まだ配備はされていないものの2011年から飛行を開始した。2012年には米軍のF35に似た次世代機FC-31の飛行試験も始まっている。
米国防総省(ペンタゴン)は今年、中国軍の分析の中で「西側諸国の空軍との差を、さまざまな性能面で素早く埋めつつある」と評価。中国の国防省はペンタゴンのこの発表に不快感を示し、米軍が中国の兵器開発について「不適切なコメント」をしたと批判している。
レーダーを回避する技術は米国がロシアや中国をまだリードしている。しかし制空権を巡る激しい競争は、地上でも展開されている。
ロシア政府によると同国はより高性能なミサイル防衛システムS400を開発。これまでの倍となる約380キロ離れた飛行機をミサイルで撃ち落とすことが可能になったという。同国国防省は8月、ウクライナとの関係が緊迫する中、併合したクリミアにこのS400を配備すると発表した。ロシアは同防衛システムを他国に輸出しようと売り込んでいる。
元米空軍中将のデビッド・デプチュラ氏は、S400が「軍事作戦の展開を大幅に難しくする」と話す。
中国は今年、ベトナムと主権問題を抱える南シナ海の西沙諸島に地対空ミサイル「HQ9(紅旗9)」を配備した。
対抗する米空軍は、こうした防空システムの範囲が届かない距離から敵地を攻撃できる長距離ミサイルなどを飛行機向けに開発することを目指す。航空戦闘軍団の指揮をとるハーバート・J・カーライル将官によると、これら新型の戦闘機は2030年には配備できるよう計画を進めているという。
米海軍は、現在の攻撃機F/A-18E/Fスーパーホーネットの後継機を2035年に配備すべく準備中だという。
各国の戦闘機の性能を比較したチャート
スタートボタンを押すと各機のスピードや飛行可能距離を比較できる
F22製造再開を求める声も
ペンタゴンは最新の戦闘機がどのようなものになるかまだ確定させていない。ただ航空機大手ボーイング、防衛大手ロッキード・マーチン、そして軍需大手ノースロップ・グラマンなどは次世代戦闘機のイメージを既にまとめている。英航空・防衛大手BAEシステムズのクリス・ボードマン氏によると、同社の技術者たちは英国軍の次期戦闘機についてすでに議論している。
米国の議員などの中には、2012年に停止したF22戦闘機の製造を再開するよう求める声もある。最新の機器を搭載して敵の新型防衛システムに対応できるように改良すべきだという。
欧州各国の国防省も次世代戦闘機の開発に向けて活発に動く。東欧におけるロシアの動きを念頭に置き、英国の国防省は米国やフランスと協力して戦闘機の機能を向上させようとしている。英国はF35戦闘機も購入するが、自国でもできることはないか模索していくという。
ドイツは37年前から展開する戦闘機トルネードに代わる次世代機の開発を狙うが、無人戦闘機の導入も検討している。フランスは英国と共同で戦闘機のコンセプトを企画しているが、その一方でラファールを改良して新たな脅威に対応もしていくと同国国防省の広報は話している。
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