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北朝鮮の潜水艦ミサイル、配備には不透明要素 命中精度や高性能艦開発
【ソウル=加藤宏一】北朝鮮の国営メディアは25日、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射試験の様子を写真や映像などで公開した。水中から発射されたミサイルが飛ぶ現場を視察した金正恩(キム・ジョンウン)委員長は「成功中の成功」と強調した。発射技術が「完璧に完成した」というが、弾頭の誘導技術や高性能潜水艦の開発など実戦配備には不透明な要素がなお多く残る。
北朝鮮の労働新聞が25日掲載した、SLBMの発射実験の写真=共同
「核の攻撃能力を完璧に保有した軍事大国の前列に入ったことが現実として証明された」。正恩氏は発射試験を最大限の賛辞でたたえた。北朝鮮メディアは白シャツ姿の正恩氏が喜んで関係者と抱き合ったり、党幹部らとくつろいだ様子でたばこを吸ったりする写真を公開。正恩氏の前で幹部がたばこを吸う場面が公になるのは異例だ。
24日に発射されたSLBMは約500キロメートル飛行した。朝鮮中央通信は発射試験が「高角発射態勢で実施された」とし、意図的に高角度で打ち上げて飛距離を縮めたことを示唆した。韓国では通常の角度で発射すれば飛距離は1千キロ以上、射程は2500キロに達するとの見方もあった。北朝鮮メディアの報道はそうした見方を裏付けた。
韓国軍はSLBMの実戦配備が早くても2020年前後になるとみていた。今回の発射試験の結果を受けて早ければ年末、遅くても来年には実現するとの見方が浮上している。25日付の韓国紙・朝鮮日報は「韓国軍当局の評価は1年余りで『事実上失敗』から『完全成功』に百八十度変わった。軍の判断に深刻な誤りがあった」と批判した。
だが実現には不透明な要素も多い。SLBM開発には(1)陸上発射(2)水中発射(3)弾頭の飛行技術(4)弾頭を狙い通りに撃ち込む誘導技術――の4段階の技術水準を満たす必要がある。今回の試験で3段階に達したことは確認されたが、4段階に至ったかどうかは不明だ。
朝鮮中央通信は今回の試験で発射システムの安定性などとともに「誘導システムの信頼性や弾頭の命中精度など核心技術の指標が作戦上の要求に完全に到達した」としたが、確認はできない。
米国など軍事大国は探知されにくい水深50メートルから複数のSLBMを発射できる排水量1万トン級の大型潜水艦を保有している。一方、北朝鮮が保有する2千トン級の潜水艦は旧ソ連の技術を応用した旧式で推進音も最新型に比べて大きいとされる。SLBMを1基しか搭載できず、最大発射深度は10メートル程度とみられ、長距離の作戦には不向きだ。
正恩氏は「威力ある戦略潜水艦を建造する」という。SLBMを3基搭載できる3千トン級の潜水艦の開発を進めているとの見方もある。「核の兵器化にさらに拍車をかける」とも述べており、核の小型化技術を得るため、核弾頭爆発実験を実施する恐れもある。不透明な要素を残しながらも、核ミサイルの脅威が増しているのは事実だ。
米韓「深刻」一致
【ソウル=加藤宏一】北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議でそれぞれ首席代表を務める韓国の金烘均(キム・ホンギュン)朝鮮半島平和交渉本部長と米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表は25日、電話で協議した。韓国外務省によると、両者は北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射や核燃料再処理の動きについて「深刻だ」との認識で一致。国連安全保障理事会などで北朝鮮への対応について緊密に連携する方針を確認した。
[日経新聞8月26日朝刊P.6]
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