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シリア国境に近いトルコ・ガジアンテップで起きたクルド人結婚式“自爆テロ”(50数名死亡)は、トルコ政府によりISの犯行とされている。
その報復を名目として、トルコ軍がジャラブルス及びその周辺に砲撃を加え、それに対抗するかたちでISもトルコ領内に砲撃を行いエスカレートした軍事衝突は、トルコ軍の空爆に援護された地上部隊のシリア侵攻に発展した。
その越境侵攻には、「自由シリア軍」が地上部隊の露払いを務めた。
「自由シリア軍」やトルコ軍がジャラブルスに入ったとき、IS戦闘員は既に撤退しており、戦うことなく無血でジャラブルスを奪還した。
このようないきさつからも、今回の越境攻撃の目的が、ISを利用したクルド人武装勢力叩きであるとが判断できる。
クルド人結婚式“自爆テロ”も含む仕組まれた作戦と考えることができる。
トルコ軍の越境攻撃の直前には、トルコと“友好関係”を回復したロシアの空軍機がイランのハマダン空軍基地から出撃してシリア領内を空爆している。
また、トルコ軍がシリアに侵攻した日には、バイデン米副大統領がトルコを訪問し、ケリー米国務長官がサウジアラビアを訪問した。
そして、バイデン副大統領は、トルコのシリア越境攻撃を認めただけでなく、シリアクルド人勢力(PYD)に、ユーフラテス川の東側まで撤退するよう求めた。
イラクにおいてもシリアにおいても、クルド人武装勢力は、米国が主導する有志連合の“地上戦力”(工作員)として活用されてきたが、その役割は、シリア内戦の終結及びISの移動(北アフリカへ)とともに終息することになるが、米英仏が供与した武器や資金は中東における“不穏のネタ”になる可能性がある。
サイクス−ピコ体制をベースとする米英仏と、強い独立志向をもつクルド人勢力を内部に抱えるトルコ、シリア、イラン、イラクに共通する“利益”は、クルド人の勢力伸長を抑え込むこと=各近代国家内に分断された状況の維持である。
そして、そのような状況変化の中で、シリアのPYD人民防衛隊を宥める役がロシアになるだろう。(クルド人勢力の幹部は自分たちのポジションを承知だが戦闘員には強硬派が多い)
今回のトルコ軍シリア侵攻は、シリア内戦の終結が近づいていることを示唆するとともに、米英仏・「自由シリア軍」・IS・クルド武装勢力・トルコ・イラン・ロシアの相関図を露わにさせた。
※ダマスカス近郊で政府と反政府勢力のあいだの取引(住民を解放する代償として反政府戦闘員が北部に移動することを容認)が成立したので、アレッポやイドリブなどで停戦が合意できれば、シリア内戦はほぼ終結することになる。
ISや「自由シリア軍」は、米英仏のアセットなので、停戦ないし“消滅”はそれほど難しくない。
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クルド人勢力、撤退始める
【イスタンブール=佐野彰洋】ケリー米国務長官は25日、トルコのチャブシオール外相と電話で協議し、米軍が支援するシリアのクルド人勢力、民主連合党(PYD)が一時進出したシリア北部のユーフラテス川西側から、従来の支配地域の同川東側に撤退を始めたと伝達した。トルコ国営アナトリア通信が報じた。トルコ軍は24日、シリア北部への越境作戦を開始した。米軍も空爆で支援した。作戦の背景には、ユーフラテス川の西側に位置するマンビジュを占拠したPYDに対する強い危機感があった。
[日経新聞8月26日朝刊P.]
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