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露軍の空爆で手先の「テロ集団」を攻撃された米国防総省は露やシリアの戦闘機を撃墜すると発言
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201608240000/
2016.08.24 05:16:46 櫻井ジャーナル
アメリカの支配層はシリアのバシャール・アル・アサド体制の打倒に執着している。そのアメリカの国防総省で広報官を務めるピーター・クックは8月22日、自分たちが中心になっている連合軍を守るために必要ならシリアやロシアの戦闘機を撃墜すると語った。
以前、FOXニュースの番組に軍事アナリストとして登場したロバート・スケールズ退役少将はロシア人を殺せと発言していたが、最近ではマイク・モレル元CIA副長官も似たようなことを言っている。シリアを侵略して制圧するという計画をロシアやイランが妨害していることに怒り、ロシア人とイラン人を殺すべきだとインタビュアーのチャーリー・ローズに対して8月8日に語っている。このモレルはヒラリー・クリントンの支持者だ。
ところで、アメリカがアサド体制を倒すために連合軍を組織したのは2014年9月。サウジアラビア、カタール、バーレーン、アラブ首長国連合、ヨルダン、トルコ、イギリス、オーストラリア、オランダ、デンマーク、ベルギー、フランス、ドイツなどが参加することになる。アル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の創設にかかわり、支援して生きた国も含まれている。
この連合軍は2014年9月23日に攻撃を始めるが、その様子を取材したCNNのアーワ・デイモンは翌朝、最初の攻撃で破壊されたビルはその15から20日前から蛻の殻だったと伝えている。その後、アル・ヌスラやダーイッシュはシリアで勢力を拡大していくが、その理由は連合軍が本気で攻撃していなかったからだ。主なターゲットはシリアのインフラや市民だったようである。
イスラム武装勢力を組織、自分たちの手先として使い始めたのはズビグネフ・ブレジンスキー。サウジアラビアが戦闘員を雇い、武器を提供、アメリカが軍事訓練、イスラエルも支援している。
1997年から2001年までイギリスの外相を務めたロビン・クックによると、アル・カイダとはCIAから訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル。アル・カイダはアラビア語で「ベース」を意味するが、「データベース」の訳としても使われている。つまり傭兵の登録リストであり、軍事的な組織ではない。
そうした傭兵を集めて編成した戦闘集団のひとつがダーイッシュ。その集団はアメリカの友好国と同盟国によって作り上げられたとウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官は2007年に語っている。
また、2014年10月2日にジョー・バイデン米副大統領はハーバード大学で、シリアの戦乱を作り出したのは中東におけるアメリカの同盟国、すなわちトルコ、サウジアラビア、UAEだと述べている。
クラークとバイデンが口にしていないが、こうした武装集団を組織する上で最も重要な役割を果たしたのはアメリカであり、イスラエルも深く関与している。2007年3月5日付けのニューヨーカー誌でシーモア・ハーシュが書いているが、この段階でアメリカ、イスラエル、サウジアラビアはシリアとイランの2カ国とレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を開始している。勿論、すでにイラクは破壊済みだ。
2011年2月にリビア、3月にシリアで侵略戦争が始まったがその年の10月にはリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制がNATO軍の空爆とアル・カイダ系武装集団LIFGを主力とする地上部隊の連係攻撃で倒されている。その時にカダフィが惨殺されたことをCBSのインタビュー中に知らされたヒラリーは、「来た、見た、死んだ」と口にし、喜んでいる。
カダフィ体制が崩壊した後、リビア軍の倉庫から武器/兵器が持ち出されてトルコへ運ばれているが、ハーシュによると、輸送の拠点になったのはベンガジにあるCIAの施設。つまり武器の輸送はCIAが黒幕だった。そうした事実をアメリカ国務省は黙認、輸送にはマークを消したNATOの輸送機が使われたとも伝えられている。運び出された武器/兵器の中に化学兵器も含まれ、これをシリアで使い、政府軍に責任をなすりつけてNATO軍が直接、介入する口実に使用としたと言われている。
アメリカの好戦派はロシアに揺さぶりをかけるため、その周辺で武装蜂起を起こしてきた。そうした地域から戦闘員がシリアへ入り込んでいるが、それでも中心はサウジアラビアが集めているサラフ主義者(ワッハーブ派)やムスリム同胞団。アル・カイダ系武装集団のAQIも組織として侵入、アル・ヌスラを名乗っていた。
リビアのカダフィ体制が崩壊した翌年の8月、アメリカ軍の情報機関DIAは反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIであり、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとする報告書を作成している。「穏健派」などはいないということであり、アメリカ政府の「穏健派支援」はこうした勢力、つまり「過激派」の支援にほかならなかった。
この報告書がホワイトハウスへ提出された当時、DIAの局長だったマイケル・フリン中将は2015年、アル・ジャジーラのインタビュー番組で、ダーイッシュの勢力が拡大したのはオバマ政権が決めた政策によると語っている。アル・ジャジーラはシリア侵略に荷担しているカタールの放送局。インタビュアーはフリンの発言をコントロールしようとしたができず、興奮していた。
シリアに攻め込んでいる傭兵部隊へ物資を運ぶ兵站線はトルコから戦闘地域まで伸び、イスラエルは公然とシリア政府側の部隊を攻撃していた。最近、アメリカやイギリスの特殊部隊が戦闘を支援しているという話が伝えられたが、こうしたことは2011の春から続いている。
イスラエルでの報道によるとイギリスとカタールの特殊部隊が潜入、WikiLeaksが公表した民間情報会社ストラトフォーの電子メールによると、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコの特殊部隊が入っている可能性がある。すでにイギリスの特殊部隊SASの隊員120名以上がシリアへ入り、ダーイッシュの服装を身につけ、彼らの旗を掲げて活動しているとも報道された。シリア政府によると、ドイツも特殊部隊を侵入させたという。
空爆はロシアによって阻止されていたが、特殊部隊や手先の武装集団を使ってシリア侵略を続けていたアメリカの好戦派を震撼させる出来事が昨年9月30日に起こった。ロシア軍がシリアで空爆を開始、その戦闘能力がアメリカの予想を遙かに上回るものだった。ロシア軍は本当にアル・カイダ系武装集団やダーイッシュを攻撃、その支配地域は劇的に狭まる。
そこでアメリカなどは停戦で時間稼ぎを狙い、サウジアラビア外務大臣はシリアの戦況を変えるために携帯型の防空システムMANPADを供給しはじめたと発言、そのほか対戦車ミサイルTOWなどが大量に供給され、新たな戦闘員を送り込まれている。例によってタグの取り替えも行っている。
タグの取り替え中、新たなタグをつけた戦闘員がアル・カイダ系武装勢力などのタグをつけた戦闘員が混じり、そこへアメリカなどの特殊部隊が加わるという状態になったが、ロシア政府はアメリカの支配層に見切りをつけ、アメリカの特殊部隊員がいようと、必要ならロシア軍は攻撃しているようだ。
これまでロシア人を殺せと口にしていたのは軍や情報機関の元幹部だったが、ここにきて国防総省の広報官が同じようなことを言い始めている。それだけ追い詰められているのだろう。
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