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レールガンは役立たず?米国ですでに失敗作の烙印 兵器にロマンはいらない、日本も現実的な技術開発を(JBpress)
http://www.asyura2.com/16/warb18/msg/500.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 24 日 00:38:16: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

              レールガンのプロトタイプ(2014年撮影、出所:米海軍)
 

レールガンは役立たず?米国ですでに失敗作の烙印 兵器にロマンはいらない、日本も現実的な技術開発を
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47673
2016.8.24 部谷 直亮 JBpress


 米軍による対中軍事戦略、いわゆる「第3の相殺(オフセット)戦略」(新技術に基づく新たな作戦構想と戦力によって、相手の優位性を無効化する戦略)において、今後レーザー兵器や3Dプリンタなどとともに主要な役割を果たす兵器の1つとされるのが「レールガン」である。これは火薬ではなく電磁誘導で金属弾頭を加速し、撃ち出す兵器であだ。従来の火薬式の砲塔に比べて威力・コストともに抜群の効果を発揮するとされている。

 日本でも防衛省技術研究本部が研究を進めており、与党・防衛省内でも3Dプリンタ等に比して大きな期待感を寄せられ盛り上がっているという。実際、8月22日の報道では、平成29年度防衛省の概算要求にレールガンの研究費が盛り込まれると大きく報道された(参考「超速射・レールガン(電磁加速砲)を日本独自で開発へ」(http://www.sankei.com/politics/news/160822/plt1608220009-n1.html産経ニュース)。

 だがここにきて米国では、開発の監督責任者である国防副長官がレールガンに事実上の死刑宣告を下すなど様々な課題が出てきている。

■「従来の超高速発射弾と変わらない」と国防副長官

 2016年5月2日、ロバート・ワーク国防副長官は「第3の相殺戦略」に関する講演の中でレールガンについて言及した。ワーク氏は次のような指摘をしたという。

「当初、レールガンこそが、我々が本当に欲している兵器だと思っていた。しかし試験を進めていく中で、在来の砲塔で発射可能な超高速発射弾(HVP)でも、開発や試験を行わずに同様の効果が得られることが判明した。次期政権にはどちらも選択肢とするように提案したい」

 ワーク氏はカーター国防長官の信任厚く、第3の相殺戦略の監督責任者に指名されている人物である。そのワーク氏が、レールガンとHVPは性能的に変わらない、どちらでもよい、と言っているのだ。

 現政権はレールガンの開発に既に10年以上の年月と5億ドルものコストをかけてきた。よって開発を推進してきた立場としては、はっきり中止とは言えないだろう。しかしワーク氏の発言からは、レールガンへの期待は今や完全にしぼんでしまった様子がはっきりと伝わってくる。

■レールガンは「失敗作」として放置?

 また、国防総省の「NextTec」(次世代テクノロジー)プロジェクトのまとめ役を務める軍事アナリストのPW・シンガー氏とオーガスト・コール氏も否定的に捉えている。彼らは昨年 "Ghost Fleet" (邦題『中国軍を駆逐せよ! ゴースト・フリート出撃す』)という書籍を出版した。

 本書は米軍の陸海空軍、宇宙軍司令部の推薦図書となり、米軍内でベストセラーとなった。内容は、2026年の米中戦争を描いた架空戦記である。シンガー氏とコール氏は小説の体を借りて「中国軍の軍拡と技術開発は、米軍の弱点の攻撃に特化している。ハイテク依存の米軍は、このままでは有事に戦闘不能に追い込まれる」と警鐘をならしている。

 本作は2026年の未来を描いているので、当然ながら虚実が混じっている。ただし管見の限りではほとんどは技術的に妥当性があり、米軍将校が教科書にし、国家安全保障会議のスタッフや米議会が著者たちから「現実への教訓」を聴取するのも当然といえよう。

 さて、本作ではレールガンも活躍する。ただし、その攻撃力への評価は高いが、実用性は非常に低く見積もられている。要するに、成功すれば比類ない破壊力を誇るが、電圧供給やシステムとしての安定性に欠けており、最後まで機能するか怪しい兵器、という扱いなのだ。

 しかも本作の中で、レールガンは2026年の時点で“失敗作”として放置されている。中国との戦闘が始まって急きょ投入されるも、ちょっと艦が被弾すれば機能停止してしまい、活躍もご都合主義だ。つまり、実戦における武人の蛮用には耐えられないというような表現がされている。一方で宇宙技術、レーザー技術、サイバー技術、3Dプリンタなどが高い実用性を発揮して大活躍するのとは明らかに対照的である。

■レールガンの2つの欠陥とは

 米国でレールガンの欠陥、課題を指摘する研究者、専門家は次々に現れている。

 例えばジェームズ・マグ氏は米国の外交安保専門誌「ナショナルインタレスト」に「米海軍のレールガンの夢は、2つの大問題によって否定された」と題する論説を寄稿した。マグ氏は豪州戦略政策研究所(ASPI)に所属する、最近の軍事技術問題についての専門家である。

 この論説によれば、レールガンには2つの大きな課題があるという。

 1つは膨大な電力である。レールガンは電磁推進でマッハ6にまで加速し、6秒に1発を連射するので、6秒に1回、膨大な電力(25メガワット)をコンデンサに一気に注入しなければならない。だが例えば主力艦艇のアーレイバーグ級は7.5メガワットしか供給できない。ズムウォルト級はこれを満たすが、あまりに高価すぎるために3隻で建造中止となってしまった。つまり、現行の艦艇にはほとんど搭載できないのだ。

 第2の問題は、レールガンが対地攻撃にしか役立たないということだ。なんらかの理由によって地対空ミサイルで迎撃できなかった後に、ようやく出番が回ってくるかもしれないが、最近の技術開発プロジェクトでは従来型の5インチ砲でもHVPを用いてミサイルを迎撃できることが分っているので、レールガンである必然性はないという。

 また、BBC、MIT技術レビュー、米在郷軍人会誌などで健筆をふるうパトリック・タッカー氏も、今年6月2日の「ディフェンスワン」誌でレールガンは完成時には時代遅れになっている可能性が高いと批判している。

 彼によれば、国防総省は明らかにレールガンではなく従来型の砲塔で発射可能な炸薬式の新型砲弾開発へと舵を切りつつあるという。そして、技術問題としてやはり電力確保の問題があり、そもそもレールガンの性能を向上させようとして電力量を増やせば増やすほど、レールガンを摩耗させ、その寿命を短くするジレンマがあるという。

■兵器はマネジメントと実際の運用こそが重要

 このようにレールガンの本家本元である米国では悲観的な見解が主流になりつつある。しかし、いまだに日本では楽観論者が多い現状である。本当にそれは正しいのだろうか。

 日本のレールガン推進論者の中には南西諸島に配備するべきだという意見がある。しかし、前述のようにレールガンは25メガワット(米国の家庭で1万9000世帯分の電力)もの膨大な電力を必要とする。今後改良が進めば、さらに必要な電力量は増えるだろう。果たして沖縄電力はこれを「有事」に「安定」供給できるのだろうか(特に沖縄本島以外の離島で)。

 自衛隊用の発電所や蓄電設備を作ればよいという声もあるが、コスト面からみて非現実的だろう。そもそも攻撃への脆弱性が物理的・電子的に高いことは変わらない。

 であるならば、絶望的な見通しのレールガンを10年遅れで(しかも5億ドルも米国が投資してきた技術を)研究するよりも、HPVのような新型砲弾を米国から調達するなり、日本が著しく抜き出ている他の技術にこそ重きを置くべきではないか。

「ゴールドラッシュで最も儲けたのは採掘者ではなく、スコップ等を提供する商人だった」という歴史的事実があるが、日本がレールガンを研究するのは、10年遅れで小企業が大企業が掘りつくしつつある、しかも外れの鉱山に挑むようなものだ。今はスコップに当たる技術こそ研究し、米国等への交渉材料なり日本の軍事的優位性とすべきである。それが限りある、米中に比して乏しい日本の研究開発予算の賢明な使い方というものであろう。

「超電磁砲」という和訳の響きもあり、レールガンはロマンあふれる兵器である。しかし、兵器はロマンよりもマネジメントと実際の運用こそが大事なのである。そろそろ日本の技術開発も、ロマンあふれる攻撃力だけを見た装備品開発から、攻撃力以外の面も広く見渡す現実的な姿勢に転換すべきだろう。
 

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コメント
 
1. 戦争とはこういう物[1403] kO2RiILGgs2CsYKkgqKCpJWo 2016年8月24日 12:12:06 : 9PG0M0b68Q : jKnbezZWN40[43]
 リニア新幹線輸出の理由にこれの開発を上げる者が少なからず居たようだが。
真偽のほどはいまだ不明だ。
いずれにしろ開発利益が乏しい事は予想通りかもしれない。

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