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バングラデシュの首都ダッカで起きたレストラン襲撃事件で、人質救出作戦に出動した軍の兵士たち(2016年7月2日撮影)。(c)AFP〔AFPBB News〕
バングラテロの現場になぜ中国人はいなかったのか テロの脅威がすぐそこに、早急にリスク回避の対策を
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47310
2016.7.12 姫田 小夏 JBpress
7月1日の夜、バングラデシュの首都ダッカ中心部のレストラン「ホーリー・アルティザン・ベーカリー」を、武装した男たちが銃で襲った。穏健なイスラム教国であり、親日的とされるバングラデシュで、日本人7名の命が奪われた。
■ダッカの治安はどんどん悪化していた
この凄惨な事件が起こる数週間前、筆者はダッカから帰国したばかりの大学教授と面会していた。その教授はバングラデシュ出身で日本国籍を持ち、研究のためにバングラデシュと日本の間を頻繁に行き来している。
教授は筆者に直近のダッカの様子を教えてくれた。教授曰く、経済成長が目覚ましく、街は活気にあふれている。その一方で、治安はどんどん悪化しているという。
「日本大使館からは『できるだけ外を出歩くな』『外出時は必ず車を利用せよ』と念を押されました。日本政府はバングラデシュの治安に相当神経質になっている様子でした」
そこで教授は身の安全を考慮し、アクセスに便利だった常宿から別のホテルに移動したのだという。
これは決して行き過ぎた反応ではない。ダッカでは教授が滞在中のたった2カ月半の間に、3件の殺人事件が起きている。大学教授のほかにイスラム過激派を批判した学生、性的少数者を読者に持つ雑誌の編集者が命を落とした(被害者はいずれもバングラデシュ人だった)。子どもの誘拐も増えているという。
2015年に発生した外国人殺害事件も記憶に新しい。2015年9月、バングラデシュの教会団体に所属するイタリア人男性が銃で撃たれて死亡した。また10月には、バングラデシュ北西部のランプル県で農業指導を行っていた日本人が射殺された。この事件に関しては、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。
こうした経緯から、外務省はバングラデシュへの渡航に関する危険情報を「レベル2」に引き上げ、不要不急の場合は渡航を中止するよう呼びかけていた。
■チッタゴンでも「外出の際は必ずガードマンを」
バングラデシュ第2の都市であるチッタゴンでも警戒が高まっていた。
バングラデシュでは6月に入り、イスラム過激派組織の一斉捜査・逮捕が始まった。これと前後して、チッタゴンで痛ましい事件が起きた。過激派組織の取り締まりという任務を受けた警察官の妻が、子どもを学校の送迎バスに乗せる途中に暴漢に襲われ、9カ所を刺されて死亡したのである。
チッタゴンに拠点を持つ日系企業幹部は、「たった数百メートルの移動でも外出の際はガードマンをつけている」と治安の悪化ぶりを語る。
もっとも、バングラデシュで外出時に警戒が必要なのは今に始まったことではない。この幹部は次のように続ける。
「日本大使館も繰り返しているように、外国人が集まるところへは行かない、夜間の外出は控える、固定ルートでの往来も控える、というのはバングラデシュでの生活の基本です。私たちはここで操業を始めて以来、ずっとそれを守っています」
今回のダッカのレストラン襲撃テロは、夜9時20分頃に発生した。外国人が多い大使館街の一角という場所も過激派組織の標的になりやすかったことは否定できない。現地からは「警戒していたはずなのに残念だ」との声が伝わってくる。
■バングラに住む中国人は日本人の100倍?
さて、今回の事件で筆者は疑問に思ったことがある。ダッカ在住の外国人で賑わうというそのレストランに、中国人の客はいなかったのだろうか。
一説によると、バングラデシュには約10万人の中国人がいると言われる(一方、在留邦人は約1000人とされている)。
中国・雲南省の省都、昆明から1時間足らずのフライトで到着するバングラデシュでは、個人事業主を中心に多くの中国人がビジネスに携わっている。中国に在住する日本人数がおよそ13万人だとすると、東北と北海道を合わせた程度の広さしかないバングラデシュに10万人もの中国人がいるというのは、かなりの密度である。
それだけバングラデシュに数多くの中国人がいれば、外国人が多く訪れるというレストランに中国人客がいてもよさそうなものだ。しかし、犠牲者はイタリア人と日本人であり、中国人はいなかった。
■ダッカでの中国人の生活ぶりは?
最近まで現地駐在要員としてダッカで仕事をしていた河南省出身の中国人がいる。ダッカに駐在していた時の生活の様子を尋ねると、次のように語ってくれた。
「社員が仕事以外の用事で外出することは、めったにありませんでした。私たちが生活していたのは、会社が準備した宿舎です。食料品の買い物などは会社で雇った家政婦が行い、食材や調味料は会社が大量に輸入し、それを社員に割安で販売してくれます。週末もあまり外には出ません。宿舎でDVDを見たりして過ごしていました」
その言葉を聞く限り、どうやらダッカ駐在の中国人たちはあまり出歩かず、ひっそりと身を寄せ合って生活しているようだ。ましてや、高級な飲食店で現地の富裕層や他の国の外国人と交流するという習慣はないようである。
中国の国際関係の専門家によれば、「そもそもダッカの大使館街は、中国人の行動エリアでない」という。ホーリー・アルティザン・ベーカリーで中国人が被害に遭わなかったのは“たまたま”という可能性もあるが、欧米人や日本人とは異なる現地での生活スタイルが、知らず知らずのうちに彼らの身を守っているということかもしれない。
ご存じのように、中国はアジアの鉄道敷設や道路建設などのインフラ開発に商機を見出し、投資活動や現地との共同開発プロジェクトを活発に進めている。場合によっては1つのプロジェクトで200人を派遣するような大規模な事業もある。だが、それらのプロジェクトが実施されるのは、ほとんどが治安の悪い途上国である。
彼らは、日頃どのような心構え、行動基準でリスクを回避しているのだろうか。ぜひとも情報の共有を進めたいものだ。
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