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ダッカやイスタンブールで「テロ」を実行したダーイッシュの背後に米国がいる構図に変化なし
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201607020001/
2016.07.03 11:41:38 櫻井ジャーナル
バングラデシュの首都ダッカで7月1日、レストランがダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)系の武装集団に襲撃され、日本人7名を含む20名が殺されたという。繰り返しになるが、こうした集団は傭兵の集まりにすぎず、プロジェクトや状況によってタグが付け替えられてきた。
本ブログではすでに指摘したが、ダーイッシュはマレーシアやフィリピンなど東南アジアにエネルギーを集中させるように呼びかけていて、今年1月14日にはインドネシアの首都ジャカルタで何回かの爆破と銃撃戦があった。現在、アメリカは東シナ海から南シナ海にかけての海域で軍事的な緊張を高めようとしているので、それと連動した動きだろう。
今年の3月までSACEUR(NATO欧州連合軍最高司令官)を務めていたフィリップ・ブリードラブがバラク・オバマ大統領をロシアとの軍事的な緊張を高めようと画策していたことが明らかにされたが、同じことをアジアの東側でも行っている。
ロシアや中国との戦争も視野に入れて動いているアメリカの戦争マシーンへ日本を組み込もうとしているのが安倍晋三政権。2015年6月1日に開かれた官邸記者クラブのキャップとの懇親会で安倍首相は「安保関連法制」について、「南シナ海の中国が相手」だと口にしたという。安倍首相は「戦争ごっこ」のつもりかもしれないが、日本人は非常に危険な状況の中にいる。
少し前、6月28日にはトルコのアタテュルク国際空港で爆破事件があり、45名が死亡したと伝えられている。実行犯は3名で、主犯格とされるアーメド・チャタエフはチェチェン出身。2003年にロシアの治安当局から指名手配されていたが、オーストリアが難民と認定して保護、「人権擁護団体」の支援もあり、自由に移動していた。ダーイッシュに合流してシリアでの戦闘に加わったのは2015年だという。
ダーイッシュは2014年1月にファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言して登場し、6月にモスルを制圧した。その際にトヨタ製の真新しい小型トラック「ハイラックス」を連ねてパレード、その後継を撮影した写真が世界規模で流れ、多くの人に知られるようになる。
言うまでもなく、スパイ衛星、偵察機、通信傍受、人から情報を得ているアメリカ軍はダーイッシュの動きを把握していたはずだが、反応しなかった。パレードしている車列などは格好の攻撃目標のはずだ。
ダーイッシュは当初、アメリカ軍によってサダム・フセイン体制が倒されたイラクで活動、AQI(イラクのアル・カイダ)と呼ばれていた。2006年にこの集団が中心になって再編成されたのがISI(イラクのイスラム国)で、2013年に活動範囲をシリアまで拡大してからISIS(イラクとシリアのイスラム国)、ISIL(イラクとレバントのイスラム国)、あるいはアラビア語名の頭文字をとってダーイッシュと呼ばれるようになった。
始まりはアル・カイダ。2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されて以降、アメリカ政府から「テロリスト」の象徴として扱われてきたが、1997年から2001年にかけてイギリスの外務大臣を務めたロビン・クックによると、これはCIAから軍事訓練を受けた「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル。統一された武装集団ではないということ。アル・カイダはアラビア語で「ベース」を意味し、「データベース」の訳語としても使われている。AQIはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアなどがイラクでのプロジェクト用に集められた傭兵集団だと言えるだろう。その延長線上にダーイッシュはある。
CIAから軍事訓練を受けた「ムジャヒディン」の中心はサラフ主義者/ワッハーブ派やムスリム同胞団で、資金はサウジアラビアが出していた。ソ連軍をアフガニスタンへ引き入れ、そこで「ベトナム戦争」を味わわせるというズビグネフ・ブレジンスキー大統領補佐官(当時)のプランに基づいて戦闘員は集められ、武器/兵器も供与された。
この構図は今も基本的に変化していない。DIA(国防情報局)が2012年8月に作成した文書によると、反シリア政府軍の主力はサラフ主義者(ワッハーブ派)、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けている。
そうした報告を受けた上でアメリカ政府はバシャール・アル・アサド政権を倒すため、侵略軍への支援を続けた。2012年の報告書が作成された当時のDIA局長、マイケル・フリン中将はアル・ジャジーラの取材に対し、ダーイッシュの勢力が拡大したのはオバマ政権が決めた政策によると語ったが、それはこうした背景があるからだ。またウェズリー・クラーク元SACEURは、アメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと語っている。
アメリカ軍の軍人だったフリンとクラークは触れていないが、友好国と同盟国だけでなくアメリカ自体もダーイッシュの創設に加わっている。先日、イラクのファルージャを政府軍が奪還したが、その際にイラク軍はシリアへの逃走を図るダーイッシュの車列を攻撃し、約500輌のうち200輌以上を破壊した。これはアメリカ側の要請を無視したもの。ここでもCIAがダーイッシュの戦闘員を訓練していたようで、アメリカ軍はCIAの顧問を逃がそうとしたと見られている。
シリアでは停戦を利用してアメリカ政府は侵略軍を編成し直し、新たな攻撃の準備を進めているが、その途中でロシア軍は侵略軍を攻撃した。アメリカが言うところの穏健派、アル・ヌスラ、そしてアメリカの特殊部隊が一体となっている部隊を攻撃、アメリカ政府は慌てて抗議したようだ。
アル・ヌスラと連携している武装集団のジャイシュ・アル・イスラムをアメリカ政府は「テロリスト」と認定することを拒否してきたが、そのジャイシュ・アル・イスラムは最近、人道的支援活動をしている国連の車列を攻撃したと伝えられている。アメリカの支配層にコントロールされている国連としても何らかの対応をとらざるをえないだろう。
アメリカの好戦派が描いたプランは崩れ始め、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はロシアのウラジミル・プーチン大統領に書簡を送り、昨年11月24日にトルコ軍のF-16戦闘機がロシア軍のSu-24爆撃機を撃墜、乗組員ひとりを死亡させたことを謝罪せざるをえなくなっている。
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