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「イスラム国」の「首都」ラッカ挟撃
クルド部隊に続きアサド政権が進軍、捨て身の抵抗は必至
【イスタンブール=佐野彰洋】過激派組織「イスラム国」(IS)が「首都」と位置づけるシリア北部の都市ラッカ奪還を巡り、米国が支援するクルド人などの部隊とロシアが後ろ盾のアサド政権軍が攻略を競っている。今後、南北から挟み撃ちを受けて苦境に立つISによる捨て身の抵抗は確実で、巻き添えになる一般市民の犠牲や無差別テロが増える恐れもある。
「数日中に攻撃を開始する」。米軍主導の有志連合司令部のガーバー報道官は8日、シリアの少数民族クルド人を主体とする部隊が近く同国北部マンビジュ市街地を守るIS部隊への攻撃を開始するとの見方を示した。
マンビジュはラッカとトルコを結ぶ補給路に位置する。ラッカ奪還に向け北方から5月下旬に進軍を始めたクルド人らの部隊はマンビジュ周辺の幹線道路をほぼ制圧したもよう。米軍は特殊部隊を投入したほか、空爆などで緊密に連携する。
ロイター通信によると、フランス軍の報道担当者は9日、仏軍の特殊部隊もラッカ奪還の作戦に加わっていることを明らかにした。米軍が支援するクルド人などの部隊に、武器を提供するなどしているという。
アサド政権軍も6月に入り南西方向から新たな地上作戦を開始した。シリア人権監視団(英国)によると、ロシア軍の空爆支援を受け、水源のダムや空軍基地を抱え、ラッカ防衛に重要なタブカに迫っている。
ラッカはユーフラテス川に面し、シリア北部とトルコ、イラクを結ぶ要衝。ISが2014年8月に一帯を制圧し、事実上の首都と位置づけてきた。
クルド人勢力は、シリア北部のトルコ国境沿いに支配地域を広げている。アサド政権はクルド人勢力の「南下」を強く警戒、アラブ人の街であるラッカがクルド人勢力の支配下に入ることを避けたい思惑がにじむ。米軍の活動領域が広がることを望まないロシアの意向も働いているもようだ。
二正面で攻勢をかけるが、ラッカ陥落は簡単ではない。
アハラム政治戦略研究センター(エジプト)のディア・ラシュワン氏は「ラッカの陥落は組織の存亡に関わるだけにISはあらゆる手段で抵抗を試みるだろう」と指摘する。一般市民を「人間の盾」にする戦術を採る可能性が高い。本拠地での劣勢を挽回するためにシリアの政権支配地域や欧州などでの無差別テロを実行するリスクも高まる。
米軍主導の対IS有志連合も足並みが乱れている。トルコは国内のクルド人分離勢力に対する掃討作戦を展開しており、ISと戦うシリアのクルド人勢力もテロ組織とみなす。その結果、同勢力を支援する米国との間で溝が広がっている。
トルコのチャブシオール外相は7日、「作戦終了後はクルド人勢力が撤退するとの保証を米国から得ている」と一方的に公表し、米国をけん制した。
[日経新聞6月10日朝刊P.6]
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